JP4459560B2 - 液晶性物質の成膜方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶性物質の成膜方法に関し、さらに詳しくは、基板上に液晶性物質を均一にスピンコートする方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガラス基板等に液晶性物質を塗布する方法としては、スピンコート法が用いられている。しかしながら、スピンコート法は塗布したコーティング液の大半が基板上から周囲に飛散してしまい、高価なコーティング液が大量に消費され、経済性がきわめて低いという問題があり、ガラス基板上から飛散したコーティング液がミスト状になって基板上に跳ね返り、欠陥発生の原因となることもあり、コーティング歩留まりを低下させるという問題があった。
液晶性物質を塗布する方法としては、マトリックス高分子と液晶とを低沸点溶媒に溶解または分散させた塗布液を、スピンコート法により透明電極表面上に塗布するに際し、室温以上、塗布液の沸点未満に保持する液晶表示素子の製造方法が開示されている(特許文献1参照。)。
また、高分子液晶をスピンコート法で成膜し、転移温度以上に加熱した後転移点以下の室温まで徐冷する高分子液晶成膜方法が開示されている(特許文献2参照。)。
さらに、高分子液晶を溶媒に溶かして塗剤を調整し、ワイヤバーを用いて高分子液晶を塗布する高分子液晶成膜方法が開示されている(特許文献3参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−303082号公報
【特許文献2】
特開平9−33901号公報
【特許文献3】
特開平10−104614号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の液晶性物質の成膜方法においては、スピンコートした時に、液晶分子が流動配向して、面内に均一な配向状態を作ることができないという問題があった。
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、塗布液の損失が少なく、流動配向がなく、塗布面内に均一な配向状態を形成する光学特性にムラを生じない液晶性物質の成膜方法を提供することである。
【0005】
【問題を解決するための手段】
前記問題点の原因を主々検討した結果、主成分が液晶分子とそれを溶解する溶媒から成るコーティング液中の、液晶成分の液晶成分単体における、固相−液晶相−等方相転移温度と、スピンコート時の温度の関係が大きく関係していることを見出した。
すなわち、あるコーティング温度においてスピンコートする場合、コーティング液中の液晶成分の液晶成分単体における、液晶相を示す温度範囲の下限値が前記コーティング温度より高い場合、あらかじめ、ダイコート、スリットコート、スロットコート、バーコート、スクリーンコート、ビードコートのいずれかの方法により基板上に前記コーティング液を広げてから、続いて、前記基板を回転させてスピンコートすれば、流動配向を阻止して、面内に均一な配向状態を作ることができる事を見出した。
そのメカニズムは、以下の様に考えられる。スピンコート時に、コーティング液を中央滴下した場合は、滴下された液がスピンコーターの高速回転による遠心力により広がる際に、溶媒が蒸発し、コーティング液中の液晶成分が析出し始め、析出した液晶が基板上の配向膜を摩擦し、配向膜を再ラビングし、流動配向模様が観察される様になるが、あらかじめ、コーティング液を基板上に広げておけば、その様なことは起こり難くなる。
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係わる液晶性物質の成膜方法は、液晶相を示す温度範囲の下限値がコーティング温度より高い液晶性物質を溶解した溶媒を含むコーティング液を基板上に成膜する方法において、あらかじめ、ダイコート、スリットコート、スロットコート、バーコート、スクリーンコート、ビードコートのいずれかの方法により前記基板上に前記コーティング液を広げてから、前記コーティング温度において続いて、前記基板を回転させてスピンコートするようにしたものである。本発明によれば、例えば、液晶相を示す温度範囲の下限値が室温以上である液晶性物質を溶媒に溶かしてスピンコートする場合、室温において、あらかじめ、ダイコート、スリットコート、スロットコート、バーコート、スクリーンコート、ビードコートのいずれかの方法により基板上に前記コーティング液を広げておくことにより、続いて、前記基板を回転させてスピンコートする工程で流動配向が起こらなくなり、面内に均一な配向状態を作る液晶性物質の成膜方法が提供される。
【0008】
請求項2発明に係わる液晶性物質の成膜方法は、前記コーティング液にカイラル剤を含む場合のものである。コーティング液にカイラル剤を含む場合、本発明の効果はより顕著になる。
【0009】
請求項3の発明に係わる液晶性物質の成膜方法は、スピンコートした後に、前記溶媒を蒸発させる工程を含むようにしたものである。溶媒の蒸発速度が遅い場合には、溶媒蒸発工程を行うことにより、優れた塗膜品質の液晶性物質が形成できる。
【0010】
請求項4の発明に係わる液晶性物質の成膜方法は、前記溶媒を蒸発させる工程が、減圧乾燥工程および/または加熱工程を含むようにしたものである。
【0011】
請求項5の発明に係わる液晶性物質の成膜方法は、前記溶媒を蒸発させる工程の後に、液晶相を示す温度範囲の下限値以上の温度で前記液晶性物質を加熱する工程を含むようにしたものである。本加熱工程を行うことにより、より均一な塗膜面が提供される。
【0012】
請求項6の発明に係わる液晶性物質の成膜方法は、前記加熱する工程の温度が、液晶相を示す温度範囲の上限値を越えて等方相を示す温度範囲であるようにしたものである。等方相を示す温度範囲にすることにより、配向状態を一端解消し、再度均一な配向を形成し得る状態を形成するものである。
【0013】
請求項7の発明に係わる液晶性物質の成膜方法は、前記加熱する工程の後に、液晶相を示す温度範囲に冷却する工程を含むようにしたものである。液晶性物質を一旦等方相状態にし、再度、液晶相状態にして均一な配向状態を形成するものである。
【0014】
請求項8の発明に係わる液晶性物質の成膜方法は、前記冷却する工程の温度が、液晶相を示す温度範囲の下限値以下の温度であるようにしたものである。本発明の工程を行うことにより、液晶層を過冷却状態にし、その後の基板のハンドリング(加速、減速、傾斜、回転、振動等)による乱れを抑制することが出来る。
【0015】
請求項9の発明に係わる液晶性物質の成膜方法は、前記液晶性物質が架橋もしくは重合可能な物質であるようにしたものである。架橋もしくは重合可能な液晶性物質を用いることにより、液晶分子を液晶状態のままで光学的に固定化することができ、取扱い性を向上させた常温で安定した液晶膜が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明の液晶性物質の成膜方法による工程断面図を示す一実施例である。
まず、ガラス、樹脂フィルム等の基板1上に、液晶配向剤をスピンコート法、ロールコート法、印刷法等により塗布し、所定の温度で加熱乾燥して配向膜2を設ける(図1(a))。
【0017】
基板1としては、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等のガラス基板、石英基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等のプラスチックフィルム等からなる基板を用いることができる。
本発明において、基板1の主面上にITO膜(In2 O3 −SnO2 )、ネサ膜(SnO2 )等の透明導電膜をあらかじめ設けた基板を用いることも可能である。
【0018】
配向膜2の形成は従来公知の方法が適用し得る。すなわち、配向膜としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリビニルアルコール等の樹脂、代表的にはポリイミド樹脂の表面に、布や獣毛ブラシ等で一定方向に摩擦するラビング処理を施したラビング配向膜を用いることができる。また、酸化ケイ素を斜め蒸着した基板、あるいはアゾベンゼンを含むポリマーやポリビニルシンナメート等の光配向膜を用いることもできる。配向膜2の膜厚は、通常、0.001〜1μm、好ましくは0.005〜0.5μmである。
【0019】
次に、配向膜2の上に、液晶性物質を溶解した溶媒を含むコーティング液をあらかじめ基板上に広げて塗布し、塗布膜3aを形成する(図1(b))。コーティング液をあらかじめ基板上に広げて塗布する方法としては、ダイコート、スリットコート、スロットコート、バーコート、スクリーンコート、ビードコートのいずれかの方法が用いられる。
【0020】
続いて、直ちに、コーティング液を広げて塗布し塗膜面3aが形成された基板1をスピンコートすることにより、基板1の上に均一な膜厚のスピンコート塗膜3bを形成する(図1(c))。あらかじめ基板上にコーティング液を広げておくことにより、コーティング液が適正量で済み、スピンコート工程で液晶性物質の流動配向が起こらなくなり、面内に均一な配向状態を作ることができる。本発明における液晶性物質の塗膜3bの膜厚は0.5〜5μm程度が好ましい。
【0021】
本発明において用いられる液晶性物質としては、液晶相を示す温度範囲の下限値がコーティング温度以上であれば、液晶の種別に特に制約されず、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶、高分子コレステリック液晶等が用いられるが、液晶性物質が架橋もしくは重合可能な物質であることを好ましい形態としている。架橋もしくは重合可能な液晶性物質は、電離放射線硬化性物質とするのが成膜工程が容易で好ましい。電離放射線硬化性の液晶性物質としては、液晶骨格に電離放射線照射により重合可能な官能基、例えば、アクリロイロキシ基などのC=C二重結合を有する重合性の官能基を持ち、電離放射線、具体的には電子線照射、もしくは光重合開始剤を伴なって紫外線照射によりラジカル重合もしくは架橋が可能な液晶であれば、いずれのものでもよい。架橋もしくは重合可能な液晶性物質を用いることにより、液晶分子を液晶状態のままで光学的に固定化することができ、取扱い性を向上させた常温で安定した液晶膜を成膜することができ、必要に応じて、液晶層を多層構造とすることも容易になる。
【0022】
例えば、ネマチック液晶やカイラルネマチック液晶(コレステリック液晶)である場合には、重合性液晶材料が好ましく、重合性液晶モノマー、重合性液晶オリゴマーおよび重合性液晶高分子を挙げることができる。
このような重合性液晶材料の一例としては、例えば下記の一般式(1)で表わされる化合物(I)や下記に示す化合物を挙げることができる。化合物(I)としては、一般式(1)に包含される化合物の2種を混合して使用することも可能である。
【0023】
また、重合性液晶材料としては、一般式(1)に包含される化合物や下記の化合物の2種以上を混合して使用することもできる。
【0024】
【化1】
【化2】
化合物(I)を表わす一般式(1)において、R1 およびR2 はそれぞれ水素またはメチル基を示し、Xは、塩素またはメチル基であることが好ましい。また、化合物(I)のスペーサーであるアルキレン基の鎖長を示すaおよびbは、2〜9の範囲であることが液晶性を発現させる上で好ましい。
【0025】
上述した例では、重合性液晶モノマーの例を挙げたが、本発明においては、重合性液晶オリゴマーや重合性液晶高分子等を用いることも可能である。このような重合性液晶オリゴマーや重合性液晶高分子としては、従来提案されているものを適宜選択して用いることが可能である。
また、本発明において用いられる液晶性物質として高分子液晶を用いる場合には、例えば、側鎖にコレステリル基を導入した高分子コレステリック液晶が挙げられる。
【0026】
特に、液晶性物質として、液晶相を示す温度範囲の下限値がコーティング温度以上である場合に本発明の効果は顕著である。その理由は、液晶相を示す温度範囲がコーティング温度以上である場合、そのコーティング温度でコーティングしていると、液晶相を維持できなくなり、低分子液晶の場合は固相、高分子液晶の場合はガラス状態となって、均一に配向した状態の液晶層とするのが難しくなるからである。本発明において、コーティング温度は、スピンコーティング直前のコーティング液の温度を示し、液晶性物質の液晶相を示す温度範囲の下限値に関係するので特に限定されないが、コーティング作業性からは室温程度が好ましい。また、あらかじめ基板上にコーティング液を広げる温度は、スピンコーティングとの作業の連続性から、前記コーティング温度と同じとするのが好ましい。
【0027】
上記の液晶性物質を溶解する溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、酢酸3−メトキシブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル−2−アセテート等が用いられる。溶媒は乾燥速度が遅いほうが塗膜が均質化するので、例えば、シクロヘキサノン、メトアセ、PGMEA等の高沸点溶媒がより好ましい。溶媒添加による溶液の固形分比としては、固形分濃度10〜50重量%の範囲が好ましい。固形分量が10%以下だと、溶媒の蒸発に時間を要し、適切な塗布膜厚が得にくくなり、50%を越えるとコーティングによる塗布むらを生じ易くなるからである。上記の液晶性物質の塗膜形成乾燥後の膜厚は、0.5〜5μm程度の範囲で用いられる。
【0028】
本発明においては、上記のコーティング液にあらかじめカイラル剤を含ませた形態とすることができ、ネマチック液晶にカイラル剤を混合することによりカイラルネマチック液晶(コレステリック液晶)とすることが出来る。 カイラル剤としては、右巻きのもの、もしくは左巻きのもののいずれも用いることができ、通常、液晶分野でよく用いられるカイラル化合物が使用できる。
【0029】
本発明に用いられるカイラル剤としては、光学活性な部位を有する低分子化合物であり、分子量1500以下の化合物を意味する。カイラル剤は主として化合物(I)が発現する正の一軸ネマチック規則性に螺旋ピッチを誘起させる目的で用いられる。この目的が達成される限り、化合物(I)や上記の化合物と、溶液状態あるいは溶融状態において相溶し、上記ネマチック規則性をとりうる液晶材料の液晶性を損なうことなく、これに所望の螺旋ピッチを誘起できるものであれば、下記に示すカイラル剤としての低分子化合物の種類は特に限定されないが、分子の両末端に重合性官能基があることが耐熱性のよい光学素子を得る上で好ましい。液晶に螺旋ピッチを誘起させるために使用するカイラル剤は、少なくとも分子中に何らかのキラリティーを有していることが必須である。本発明の液晶性組成物に含有させる光学活性な部位を有するカイラル剤には、螺旋ピッチを誘発する効果の大きなカイラル剤を選択することが好ましく、具体的には一般式(2)、(3)または(4)で表わされるような分子内に軸不斉を有する低分子化合物(II)の使用が好ましい。
【0030】
【化3】
【化4】
【化5】
カイラル剤(II)を表わす一般式(2)、(3)または(4)において、R4は水素またはメチル基を示す。Yは上記に示す式(i)〜(xxiv)の任意の一つであるが、なかでも、式(i)、(ii)、(iii)、(v)および(vii)のいずれか一つであることが好ましい。また、アルキレン基の鎖長を示すcおよびdは、2〜9の範囲であることが好ましい。cおよびdが、2未満または10以上であると、液晶性が発現しにくくなる。
【0031】
本発明の液晶材料に配合されるカイラル剤の量は、用いる液晶材料により大きく異なるものではあるが、液晶材料の合計量100質量部当り、1〜20質量部の範囲で選ばれる。この配合量が上記範囲よりも少ない場合は、液晶材料に充分なコレステリック性を付与できない場合があり、上記範囲を越える場合は、分子の配向が阻害され、紫外線によって硬化させる際に悪影響を及ぼすことがある。
【0032】
本発明においては、上記のように、カイラル剤として特に重合性を有することが必須ではない。しかしながら、液晶性物質を含む層の熱安定性等を考慮すると、上述した重合性液晶材料と重合し、コレステリック規則性を固定化することが可能な重合性のカイラル剤を用いることが好ましい。特に、分子の両末端に重合性官能基があることが、耐熱性のよい液晶性物質を含む層を得る上で好ましい。
【0033】
上記のほか、紫外線照射により硬化を行なう場合は、光重合開始剤を配合し、必要に応じ、分散剤を加えて混合して、コーティング液を調製する。
【0034】
図1(d)は、スピンコートすることにより、基板1の塗布面上に均一な膜厚の塗膜3bを形成し、溶媒を蒸発させた後、紫外線4を照射する工程を示し、図1(e)は、基板1上の配向膜の上に光硬化し、流動配向が無く均一な塗膜面で成膜された液晶性物質5を示す。
【0035】
本発明においては、スピンコーティングした後に、溶媒を蒸発させる工程を行なうのが好ましく、溶媒蒸発工程は、減圧乾燥および/または加熱乾燥を含むものであり、減圧乾燥には1×10-2〜1Torr程度の範囲の真空度が用いられる。常圧で加熱乾燥する場合の温度は、液晶性物質および使用する溶媒に応じて適切な温度を設定すればよく、減圧乾燥を併用する場合は、常圧の時よりも低い温度で溶媒蒸発ができる。
【0036】
本発明において、実施形態として、上記の減圧乾燥および/または加熱乾燥を含む溶媒を蒸発させる工程の後に、液晶相を示す温度範囲の下限値以上の温度で加熱する工程を含む場合をとり得る。液晶相を示す温度範囲の下限値は液晶性物質により異なるが、例えば、室温でコーティングした場合には、40℃〜95℃程度の温度範囲で加熱する工程を用いるのが好ましい。
【0037】
さらに、本発明においては、上記の加熱する工程の温度が、液晶相を示す温度範囲の上限値を越えて等方相を示す温度範囲とすることもできる。液晶相を示す温度範囲の上限値は液晶性物質により異なるが、通常、85℃〜120℃程度の温度範囲が用いられる。
【0038】
また、本発明の実施形態として、等方相を示す温度範囲とする加熱工程の後に、液晶相を示す温度範囲に冷却する工程を含む形態とすることができる。液晶性物質は、塗布中の温度ムラを含む温度、塗布膜厚、配向膜の界面の状態等によって、分子配列の乱れや規則性の相違が生じることがある。そこで、液晶性物質を成膜した後、加熱工程により液晶性物質を等方相状態にし、次に冷却工程をとることにより、再度、液晶相状態にして均一な配向状態を形成するものである。
【0039】
さらに、また本発明の実施形態として、前記冷却する工程の温度が、液晶相を示す温度範囲の下限値以下の温度に冷却する形態をとることができる。本発明の工程を行うことにより、液晶層を過冷却状態にし、その後の基板のハンドリング(加速、減速、傾斜、回転、振動等)による乱れを抑制することが出来る。
【0040】
【実施例】
(実施例1)
ガラス基板上にポリイミド樹脂をスピンコーティングし、乾燥後、200℃で加熱して成膜後、一定方向にラビングして配向膜を厚さ0.1μmに設けた。次に、その上にネマチック液晶20重量%、カイラル剤を10重量%トルエンに溶液したコーティング液をダイコート法により、室温(23℃±2℃)で全面に塗布し、直ちにスピンコートすることにより、基板上に液晶性物質の塗布膜を形成した。
次に、液晶性物質を塗布した基板を温度50℃で加熱しながら真空度1Torrで真空乾燥し、基板上に流動配向が生じず、塗布面内に均一な配向状態を形成した光学特性にムラがない塗膜面を成膜した。
【0041】
(比較例1)
実施例1で用いた配向膜形成基板と同じ基板上に、同じコーティング液をスピンコート法のみで塗布したところ、塗膜面に流動配向による明暗模様が目視で観察された。
【0042】
(実施例2)
ガラス基板上に溶媒に溶解したポリイミドをスピンコート法で塗布し、乾燥後、200℃で加熱して成膜後、一定方向にラビングして配向膜を厚さ0.1μmに設けた。次に、両端末に重合可能なアクリレートを有するネマチック液晶モノマー分子90部と、両端末に重合可能なアクリレートを有するカイラル剤10部とをトルエンに溶解し、光開始剤を前記モノマー分子に対し5重量%添加し、コーティング液とした。
次に、室温において、上記のコーティング液を前記のガラス基板の配向膜上にダイコート法で塗布し、続いてスピンコートして液晶性物質の塗布膜を形成した。次に、液晶性物質を塗布した基板を温度80℃で加熱してトルエンを蒸発させ塗膜面を形成した。
次いで、上記の塗膜面に紫外線を照射し、モノマー分子のアクリレートを架橋してポリマー化し、基板上に流動配向が生じず、塗布面内に均一な配向状態を形成した光学特性にムラがない塗膜面を形成した。
【0043】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、基板上に成膜するのに必要な量のコーティング液を塗布するので、高価なコーティング液を無駄に消費することがなく、また、飛散したコーティング液がミスト状になって基板上に跳ね返り、コーティング歩留まりを低下させることもなく、液晶性物質の塗布品質の向上、コスト低減を可能にする。
また、本発明によれば、液晶性物質の流動配向がなく、塗布面内に均一な配向状態を形成し光学特性にムラを生じない液晶性物質が成膜される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液晶性物質の成膜方法の1実施形態を示す工程断面図
【符号の説明】
1 基板
2 配向膜
3a 塗布膜
3b スピンコート塗膜
4 紫外線
5 成膜された液晶性物質
Claims (9)
- 液晶相を示す温度範囲の下限値がコーティング温度より高い液晶性物質を溶解した溶媒を含むコーティング液を基板上に成膜する方法において、あらかじめ、ダイコート、スリットコート、スロットコート、バーコート、スクリーンコート、ビードコートのいずれかの方法により前記基板上に前記コーティング液を広げてから、続いて、前記基板を回転させて前記コーティング温度でスピンコートすることを特徴とする液晶性物質の成膜方法。
- 前記コーティング液にカイラル剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の液晶性物質の成膜方法。
- 前記コーティング液をスピンコートした後に、前記溶媒を蒸発させる工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の液晶性物質の成膜方法。
- 前記溶媒を蒸発させる工程が、減圧乾燥工程および/または加熱工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の液晶性物質の成膜方法。
- 前記溶媒を蒸発させる工程の後に、液晶相を示す温度範囲の下限値以上の温度で前記液晶性物質を加熱する工程を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の液晶性物質の成膜方法。
- 前記加熱する工程の温度が、液晶相を示す温度範囲の上限値を越えて等方相を示す温度範囲であることを特徴とする請求項5に記載の液晶性物質の成膜方法。
- 前記加熱する工程の後に、液晶相を示す温度範囲に冷却する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の液晶性物質の成膜方法。
- 前記加熱する工程の後に、液晶相を示す温度範囲の下限値以下の温度で冷却する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の液晶性物質の成膜方法。
- 前記液晶性物質が架橋もしくは重合可能な物質であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の液晶性物質の成膜方法。
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