JP4458752B2 - 改質ブローンアスファルトの製造方法と改質ブローンアスファルト。 - Google Patents

改質ブローンアスファルトの製造方法と改質ブローンアスファルト。 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、新規な性能を有するアスファルト組成物に関し、詳しくは加熱溶融温度が摂氏200度以下に設定するとともに軟化点を所定温度に維持して発煙、発臭を抑制する一方、良好なズレ性能、ダレ性能を具現するアスファルト組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、アスファルトは、安価で透水性が小さく、高温時には流動性を有し、冷却すれば硬化するというホットメルト性を活かしてアスファルトルーフィングの製造やアスファルトルーフィングによる防水工事に際して、防水材や接着剤として広く利用されている。従来から使用されているアスファルトとしては、原油蒸留の際に直接産出されるストレートアスファルト、このストレートアスファルトを改質したブロ−ンアスファルト等が知られている。ストレートアスファルトは価格が低廉ではあるが、軟化点が摂氏30〜65度と対高温性能が不十分であり防水分野で要求される形態保持性能に問題がある。 このため、現在では高温のストレートアスファルトに空気を吹き込み酸化重合させて低温、高温領域での性能を改善したブロ−ンアスファルトが種々の場面で使用されている。
そして、防水工事の主流は、ブロ−ンアスファルトを施工現場で溶解し、それによってアスファルトル−フィングを貼りつけていく作業を3〜4回繰り返し行いながら防水層を形成するいわゆるアスファルト防水熱工法である。この他にも、幾つかの工法があるが、当該工法は防水信頼性の点で従来から主流の座を占めている。
【0003】
ところで、このような工法に汎用されるブロ−ンアスファルトは高温粘度が摂氏約200度で350〜1200cpsと高いため、施工の際の工事温度は摂氏280度前後となっている。このような工事温度では、ブロ−ンアスファルトの粘度は50〜75cpsを示し、施工に適した状態となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ブロ−ンアスファルトはその加熱溶融過程において、温度が摂氏200度を超えるあたりからアスファルト中に含まれる軽質成分の蒸発による発煙、発臭現象が生じそれは温度の上昇とともに幾何級数的に増加し、通常の工事温度である摂氏280度前後では煙、臭いの発生量が極めて高くなり、施工能率や施工の安全性確保の妨げとなるばかりか、施工現場近隣に少なからぬ影響をおよぼしているのが現状である。
【0005】
上記のようにアスファルトの加熱溶融過程における発煙、発臭は、アスファルト中に含まれる軽質成分の蒸発に起因し、しかもその蒸発は摂氏200度から発生することから、アスファルトの加熱溶融において発煙、発臭を防止するには、アスファルト中に含まれる軽質成分をアスファルトから除去するか、アスファルトの加熱温度の上限を摂氏200度前後に抑制すれば良いことになる。 しかるに、アスファルトからその軽質成分を完全に取り除くことはできない。
【0006】
他方、アスファルトの加熱温度の上限を摂氏200度前後に抑制すると、前述のようにアスファルトの粘度は350〜1200cpsに留まり、施工に必要な粘度50〜75cpsを得ることができず、所定の防水工事を達成できない。
したがって、アスファルトの加熱溶融温度を摂氏200度未満に設定して、なおかつ施工に際して必要な適正粘度を得られれば発煙、発臭のない優れたアスファルト組成物が得られるはずである。
【0007】
しかしながら、摂氏200度前後で、施工に対応できる粘度を得られれば全ての問題が解決するわけではない。 ブロ−ンアスファルトなどのアスファルト組成物は、周知のようにアスファルテン、レジン、芳香族分、飽和成分といった成分からなり、固体であるアスファルテン成分がレジン、芳香族、飽和分といった液状成分中に均質に分散していると考えられている。 レジン、芳香族、飽和分は通常、マルテン成分と総称されている。
【0008】
ブロ−ンアスファルト中のアスファルテンとマルテン成分は、ヘプタンにより分離できるが、マルテン成分は、室温で流動するチクソ性の高い粘調物質であり、一方アスファルテンは比較的分子量の大きな固体物質である。マルテン成分のみを抽出して、粘度や性状を比較するとブロ−ンアスファルトおよびストレートアスファルトのいずれも同様の性状を呈し、その軟化点はおよそ摂氏10度〜30度と低い値を示す。
【0009】
さて、ブロ−ンアスファルトは、原油の減圧蒸留残油や減圧蒸留装置から得られる抽出油などの原料を所定量混合して、ブロ−ンアスファルト製造装置にて摂氏270度前後まで加熱し、空気の吹き込み(ブローイング)によりアスファルト成分を酸化重合させることにより製造される。 この酸化重合により、アスファルト成分を高分子量で固体のアスファルテン成分に変えて所定の形態保持性能を付与させる。
すなわち、上記混合物をブローイングしていくと、時間とともにアスファルテン成分量の比率が増すにつれて、軟化点、溶融粘度、形態保持性能も増していく。
【0010】
換言すれば、アスファルテンの量が増加することでアスファルトが硬く、しっかりした形状に変化する。 したがって、アスファルト中において、マルテン成分比率を増加してアスファルテンを拡散させれば粘度が下がり溶融温度を低い値に抑制できることになるが、他方では形態保持性能の低下すなわち軟化点も大幅に低下して特に夏場の屋外環境への対応が困難になる。 すなわち、例えば夏の炎天下での建物屋上の温度は、摂氏80度程度まで上昇することは珍しくなく、防水工事用の必要物性として、このような温度域でも確固とした固体形状を保持しなければならない。
【0011】
このように、アスファルト中の軽質分の蒸発が抑制され、発煙、発臭の防止が可能なブロ−ンアスファルトを得るには、摂氏200度程度で施工に適した溶融状態が得られるようにすること、しかも形態保持性能すなわちズレ、ダレ等の流動変形が生じない性能が夏の外気環境を考慮して少なくとも摂氏80度以上であること等の課題をクリアしなければならない。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、発明者の長年に渡るストレートアスファルトの改質研究において得られた知見に基づいてなされたものである。すなわち、ブロ−ンアスファルトおよびストレートアスファルト中から抽出した軟化点摂氏10〜30度の各種マルテン成分のサンプルに軟化点が摂氏95度以上の合成ワックスを少量添加したところ、全てのサンプルで摂氏90度前後まで軟化点の向上が確認された。 このようにして、軟化点摂氏60度前後のストレートアスファルトに軟化点摂氏95度以上の合成ワックスを少量添加すれば、このストレートアスファルトの軟化点は摂氏90度前後に向上することが判明した。 そして、前述の知見に基づいて完成した本願発明に係る改質ブローンアスファルトを石油系アスファルトのクリープ挙動に関する試験方法であるJISK2207ダレ長さ試験とJASS8ズレ性能試験を行うと非常に優れた性能が発現されていることが判明した。
ブロ−ンアスファルトを発煙、発臭のない温度領域で施工に対応できる状態に溶融させるには、ブロ−ンアスファルトの低粘度化が不可欠であるが、そうすると軟化点が低下して必要とされる形態保持性能が得られない。そこで、上記知見の低粘度化ブロ−ンアスファルトへの適用その他、種々の試行錯誤のすえ完成したのが本願発明である。
【0013】
本願発明の要旨は以下の通りである。 前述のようにアスファルトは、アスファルテンがレジン・芳香族分・飽和分(総じてマルテン分)中に分散した形状をなしている。マルテン分の軟化点は摂氏10〜30度と低い。アスファルト全体の形態保持性能(ズレ、ダレの発生が抑制される性能)や見かけ上の軟化点は固体成分であるアスファルテンにより発現されている。軟化点以下の温度領域でもアスファルトがクリープ現象(ズレ、ダレの発生現象)を起こすのは、アスファルテンの周りを囲むマルテン分によって起こる現象である。 いま、マルテン分自体の軟化点を高めることができれば、アスファルテンの比率の多少にかかわらず前記クリープ現象を適正に制御できることになる。
【0014】
本願発明は、上記見地に鑑みてなされたもので、ブローンアスファルトにストレートアスファルトを添加してブローンアスファルト95〜60重量部に対してストレートアスファルトの添加量は5〜40重量部以下となるようにして、アスファルテン成分率を減少させる一方マルテン成分率を増加させるようにアスファルテンおよびマルテンの両成分比率を調整して、発煙、発臭の原因であるアスファルト中の軽質成分が未だ蒸発し得ない摂氏ほぼ200度において施工に適応できる所定の熔融状態すなわち施工現場で溶解したブロ−ンアスファルトによってアスファルトル−フィングを貼りつけていく作業を3〜4回繰り返し行いながら防水層を形成するいわゆるアスファルト防水熱工法をなし得る熔融状態となるように低粘度化を図り、その粘度を50cps〜100cpsの範囲になるようにするとともに、前記低粘度化による軟化点の下降によるズレ、ダレに係るクリープ特性を是正するための補正材を添加して前記軟化点を少なくとも摂氏90度前後より高くなるように設定する一方、前記補正材は軟化点摂氏95度以上の合成ワックスで構成した改質ブローンアスファルトの製造方法を提供して、上記従来の課題を解決する。
【0015】
また、上記の請求項1記載の改質ブローンアスファルトの製造方法において、合成ワックスの添加量はブローンアスファルトとストレートアスファルトの混合物の3〜20重量部(外部)以下に構成することがある。
【0016】
さらに、本願発明は、ブローンアスファルトにストレートアスファルトを添加してブローンアスファルト95〜60重量部に対してストレートアスファルトの添加量は5〜40重量部以下となるようにして、アスファルテン成分率を減少させる一方マルテン成分率を増加させるようにしてアスファルテンおよびマルテンの両成分比率を調整し、発煙、発臭の原因であるアスファルト中の軽質成分が未だ蒸発し得ない摂氏ほぼ200度において施工に適応できる所定の熔融状態すなわち施工現場で溶解したブロ−ンアスファルトによってアスファルトル−フィングを貼りつけていく作業を3〜4回繰り返し行いながら防水層を形成するいわゆるアスファルト防水熱工法をなし得る熔融状態となるように低粘度化を図り、その粘度を50cps〜100cpsの範囲となるように設定するとともに、前記低粘度化による軟化点の下降によるズレ、ダレに係るクリープ特性を是正するため軟化点摂氏95度以上の合成ワックスを添加して、前記軟化点を少なくとも摂氏90度前後より高くなるようにしたことを特徴とする改質ブローンアスファルトを提供して上記従来の課題を解決する
【0017】
また、上記の改質ブローンアスファルトにおいて、前記合成ワックスの添加量はブローンアスファルトとストレートアスファルトの混合物の3〜20重量部以下で構成することがある。
【0018】
さらに、段落0016又は0017いずれかの改質ブローンアスファルトにおいて、摂氏200度前後における粘度を100cps以下になすとともに、摂氏80度前後においてズレ、ダレ等の流動変形を生じない形態保持性能を具備するように構成することがある。
【0019】
【発明の実施形態】
本願発明の趣旨は、ブローンアスファルトにおいて、アスファルト中の軽質成分の蒸発による発煙、発臭の始まる摂氏200度前後で施工に適応できる所定の熔融状態となり得るように低粘度化を図る一方、低粘度化による軟化点の下降を夏場の温度環境に鑑みて補正し、少なくとも摂氏90度前後より高い性能を付与することにある。 このように改質されたブローンアスファルトは、発煙、発臭の原因である軽質成分が未だ蒸発し得ない摂氏200度前後での加熱により施工に適した熔融状態に達するから、発煙、発臭をみることなく加熱熔融作業を実行でき、冷却硬化後の形態保持性も良好である。
【0020】
本願に係る改質アスファルトの実施にあたり、ブローンアスファルトの低粘度化は、ブローンアスファルト中のマルテン成分の構成比率を増す一方、相対的にアスファルテン成分の構成比率を減らすようにするが、この調整はブローンアスファルトにストレートアスファルトを所定量添加することにより行う。
例えば、ある種のストレートアスファルトの組成分析値は、環分析値重量%においてアスファルテン分10、飽和分10、芳香族分55、レジン分25を示すから、ストレートアスファルトの添加によりマルテン成分の構成比率が増す一方、相対的にアスファルテン成分の構成比率は減少して、粘度は低下する。
添加するストレートアスファルト量は5〜40重量部以下の範囲が好ましい。
さらに、マルテン成分とアスファルテン成分の構成比率は、上記のようなストートアスファルトの添加による手段の他、ブローンアスファルト生成時におけるブローイング時間の短縮、エアー吹込み量の少量化等の条件により調整することもある。
また、マルテン成分の構成比率の増加すなわち改質により変動するズレ、ダレに係るクリープ特性の変動の是正手段として補正材を添加する。
換言すれば改質により比較的低い温度環境でダレ、ズレ等が生じるようになる
がこれを是正するための補正対策としては、摂氏95度以上の各種合成ワックスの添加をなす。その添加量は3〜20重量部(外部%)以下の範囲が好ましい。
ブロ−ンアスファルトにおけるアスファルテン成分に対するマルテン成分の比率の増加にストレートアスファルトを混合することにより全体としてブローンアスファルト量が減少し、コスト低減の効果を期待できる。
【0021】
【発明の実施例】
次に、実施例により本願発明をさらに説明する。
実施例1
ブロ−ンアスファルトとストレ−トアスファルトを各々熱熔融攪拌釜に入れて、摂氏180度で溶解した後、熱熔融攪拌釜中のブロ−ンアスファルト80重量部に対して溶解したストレ−トアスファルト20重量部を添加した。 両者を十分に攪拌混合した後、軟化点が摂氏110度のワックスを前記混合物の5重量%を添加して混練して、放熱後に改質ブロ−ンアスファルト1を得た。
(1)上記改質ブロ−ンアスファルト1の製造に使用したアスファルトの成分組成:
飽和分 芳香族分 レジン分 アスファルテン分
ブロ−ンアスファルト 20.9 34.0 13.7 31.4
ストレ−トアスファルト 11.6 50.3 22.6 15.5
(2)上記改質ブロ−ンアスファルト1の成分組成:
飽和分 芳香族分 レジン分 アスファルテン分
改質ブロ−ンアスファルト1 22.9 35.5 14.7 26.9
(3)上記改質ブロ−ンアスファルト1の物性
軟化点 ズレ性能 ダレ性能 粘度(cps)
(JASS8) (JISK2207) 摂氏180度 摂氏200度 摂氏220度
摂氏93度 0ミリ 0ミリ 170 82 46
以上から、実施例1に係る改質ブロ−ンアスファルト1は、加熱温度摂氏200度において施工に適応する熔融状態(粘度50〜100cps)に達する。 そして、その軟化点は摂氏93度に達して、JASSおよびJIS規格におけるズレ性能、ダレ性能試験でも、ともに0ミリであり、夏場の苛烈な温度環境でも良好な形態保持性能を具備することを示している。
【0022】
実施例2
ブロ−ンアスファルトとストレ−トアスファルトを各々熱熔融攪拌釜に入れて、摂氏180度で溶解した後、熱熔融攪拌釜中のブロ−ンアスファルト80重量部に対して溶解したストレ−トアスファルト20重量部を添加した。 両者を十分に攪拌混合した後、軟化点が摂氏110度のワックスを前記混合物の10重量%を添加して混練して、放熱後に改質ブロ−ンアスファルト2を得た。
(1)上記改質ブロ−ンアスファルト2の製造に使用したアスファルトの成分組成:
飽和分 芳香族分 レジン分 アスファルテン分
ブロ−ンアスファルト 20.9 34.0 13.7 31.4
ストレ−トアスファルト 11.6 50.3 22.6 15.5
(2)上記改質ブロ−ンアスファルト2の成分組成:
飽和分 芳香族分 レジン分 アスファルテン分
改質ブロ−ンアスファルト2 26.4 33.9 14.1 25.6
(3)上記改質ブロ−ンアスファルト2の物性
軟化点 ズレ性能 ダレ性能 粘度(cps)
(JASS8) (JISK2207) 摂氏180度 摂氏200度 摂氏220度
摂氏101度 0ミリ 0ミリ 155 72 40
以上から、実施例2に係る改質ブロ−ンアスファルト2は、加熱温度摂氏200度において施工に適応する熔融状態(粘度50〜100cps)に達する。 そして、その軟化点は摂氏101度に達して、JASSおよびJIS規格におけるズレ性能、ダレ性能試験でも、ともに0ミリであり、夏場の苛烈な温度環境でも良好な形態保持性能を具備することを示している。
【0023】
実施例3
ブロ−ンアスファルトとストレ−トアスファルトを各々熱熔融攪拌釜に入れて、摂氏180度で溶解した後、熱熔融攪拌釜中のブロ−ンアスファルト80重量部に対して溶解したストレ−トアスファルト20重量部を添加した。 両者を十分に攪拌混合した後、軟化点が摂氏110度のワックスを前記混合物の15重量%を添加して混練して、放熱後に改質ブロ−ンアスファルト3を得た。
(1)上記改質ブロ−ンアスファルト3の製造に使用したアスファルトの成分組成:
飽和分 芳香族分 レジン分 アスファルテン分
ブロ−ンアスファルト 20.9 34.0 13.7 31.4
ストレ−トアスファルト 11.6 50.3 22.6 15.5
(2)上記改質ブロ−ンアスファルト3の成分組成:
飽和分 芳香族分 レジン分 アスファルテン分
改質ブロ−ンアスファルト3 29.6 32.4 13.5 24.5
(3)上記改質ブロ−ンアスファルト3の物性
軟化点 ズレ性能 ダレ性能 粘度(cps)
(JASS8) (JISK2207
摂氏180度 摂氏200度 摂氏220度
摂氏117度 0ミリ 0ミリ 90 58 35
以上から、実施例2に係る改質ブロ−ンアスファルト3は、加熱温度摂氏200度および180度において施工に適応する熔融状態(粘度50〜100cps)に達する。 そして、その軟化点は摂氏117度に達して、JASSおよびJIS規格におけるズレ性能、ダレ性能試験でも、ともに0ミリであり、夏場の苛烈な温度環境でも良好な形態保持性能を具備することを示している。
【0024】
以上の実施例を検討すると、実施例1,2,3のいずれにおいても、ブロ−ンアスファルトに対するストレ−トアスファルトの添加率は同一なのに、すなわちアスファルト中のマルテン成分とアスファルテン成分の構成比は同一なのに、粘度はワックスの添加率の増加に対応して低下することが判明する。これは、ワックス量の増加につれてアスファルト中のアスファルテン成分の構成率が相対的に低下することに起因するものと考えられる。
【0025】
上記実施例に加え、さらに、軟化点の異なる種々の合成ワックスをその添加量を変えて実験した。 各実験において、ブロ−ンアスファルトおよびこれに添加するストレ−トアスファルトは上記実施例と同一であり、混合率も同一でブロ−ンアスファルト80重量部に対してストレ−トアスファルト20重量部である。
以下に各実施例の内容と性能を示す。
【0026】
実施例4
添加した合成ワックスの軟化点:摂氏86度
合成ワックス添加量:5部
改質ブロ−ンアスファルトの物性
軟化点 ズレ性能 ダレ性能 粘度(cps)
(JASS8) (JISK2207
摂氏180度 摂氏200度 摂氏220度
摂氏82.1度 0ミリ 0ミリ 139 70 40
【0027】
実施例5
添加した合成ワックスの軟化点:摂氏86度
合成ワックス添加量:10部
改質ブロ−ンアスファルトの物性
軟化点 ズレ性能 ダレ性能 粘度(cps)
(JASS8) (JISK2207
摂氏180度 摂氏200度 摂氏220度
摂氏83.5度 0ミリ 0ミリ 101 51 30
【0028】
実施例6
添加した合成ワックスの軟化点:摂氏86度
合成ワックス添加量:15部
改質ブロ−ンアスファルトの物性
軟化点 ズレ性能 ダレ性能 粘度(cps)
(JASS8) (JISK2207
摂氏180度 摂氏200度 摂氏220度
摂氏88.0度 0ミリ 0ミリ 87 46 31
【0029】
実施例7
添加した合成ワックスの軟化点:摂氏107度
合成ワックス添加量:5部
改質ブロ−ンアスファルトの物性
軟化点 ズレ性能 ダレ性能 粘度(cps)
(JASS8) (JISK2207
摂氏180度 摂氏200度 摂氏220度
摂氏83.0度 0ミリ 0ミリ 160 74 42
【0030】
実施例8
添加した合成ワックスの軟化点:摂氏107度
合成ワックス添加量:10部
改質ブロ−ンアスファルトの物性
軟化点 ズレ性能 ダレ性能 粘度(cps)
(JASS8) (JISK2207
摂氏180度 摂氏200度 摂氏220度
摂氏89.4度 0ミリ 0ミリ 131 63 37
【0031】
実施例9
添加した合成ワックスの軟化点:摂氏107度
合成ワックス添加量:15部
改質ブロ−ンアスファルトの物性
軟化点 ズレ性能 ダレ性能 粘度(cps)
(JASS8) (JISK2207
摂氏180度 摂氏200度 摂氏220度
摂氏107.8度 0ミリ 0ミリ 132 70 42
【0032】
実施例10
添加した合成ワックスの軟化点:摂氏106度
合成ワックス添加量:5部
改質ブロ−ンアスファルトの物性
軟化点 ズレ性能 ダレ性能 粘度(cps)
(JASS8) (JISK2207
摂氏180度 摂氏200度 摂氏220度
摂氏92.3度 0ミリ 0ミリ 155 76 43
【0033】
実施例11
添加した合成ワックスの軟化点:摂氏106度
合成ワックス添加量:10部
改質ブロ−ンアスファルトの物性
軟化点 ズレ性能 ダレ性能 粘度(cps)
(JASS8) (JISK2207
摂氏180度 摂氏200度 摂氏220度
摂氏95.6度 0ミリ 0ミリ 123 60 35
【0034】
実施例12
添加した合成ワックスの軟化点:摂氏106度
合成ワックス添加量:15部
改質ブロ−ンアスファルトの物性
軟化点 ズレ性能 ダレ性能 粘度(cps)
(JASS8) (JISK2207
摂氏180度 摂氏200度 摂氏220度
摂氏113.5度 0ミリ 0ミリ 125 57 32
【0035】
実施例13
添加した合成ワックスの軟化点:摂氏113.5度
合成ワックス添加量:5部
改質ブロ−ンアスファルトの物性
軟化点 ズレ性能 ダレ性能 粘度(cps)
(JASS8) (JISK2207
摂氏180度 摂氏200度 摂氏220度
摂氏97.0度 0ミリ 0ミリ 176 84 47
【0036】
実施例14
添加した合成ワックスの軟化点:摂氏113.5度
合成ワックス添加量:10部
改質ブロ−ンアスファルトの物性
軟化点 ズレ性能 ダレ性能 粘度(cps)
(JASS8) (JISK2207
摂氏180度 摂氏200度 摂氏220度
摂氏107.7度 0ミリ 0ミリ 161 74 41
【0037】
実施例15
添加した合成ワックスの軟化点:摂氏113.5度
合成ワックス添加量:15部
改質ブロ−ンアスファルトの物性
軟化点 ズレ性能 ダレ性能 粘度(cps)
(JASS8) (JISK2207
摂氏180度 摂氏200度 摂氏220度
摂氏125.6度 0ミリ 0ミリ 86 66 48
【0038】
上記各実施例4〜15においても、摂氏200度でブロ−ンアスファルトは施工に適する粘度を実現しかつ軟化点が上昇して、JASS8およびJISK2207に規定されるダレ性能、ズレ性能に合格し、通常の夏場の露天環境下でも適正な形態保持性能を発揮しダレ、ズレ等の不都合は生じないことを示している。
【効果】
以上説明したように、本願発明によれば、ブロ−ンアスファルトにおけるアスファルテン成分に対するマルテン成分の比率を増大させて熔融温度領域をアスファルトの軽質成分の蒸発を抑制できる摂氏200度前後以下に設定可能としたので、防水工事等に際して発煙、発臭による不都合を防止できる。また、アスファルテン成分に対するマルテン成分の比率を増大に伴う軟化点の低下も補正材の投入により適正に是正できて、夏場の高温環境においても優れた形状保持性能を具備することができる。 また、熔融温度の低下によるエネルギーコストの低減等も期待できる。

Claims (5)

  1. ブローンアスファルトにストレートアスファルトを添加してブローンアスファルト95〜60重量部に対してストレートアスファルトの添加量は5〜40重量部以下となるようにして、アスファルテン成分率を減少させる一方マルテン成分率を増加させるようにアスファルテンおよびマルテンの両成分比率を調整して、発煙、発臭の原因であるアスファルト中の軽質成分が未だ蒸発し得ない摂氏ほぼ200度において施工に適応できる所定の熔融状態すなわち施工現場で溶解したブロ−ンアスファルトによってアスファルトル−フィングを貼りつけていく作業を3〜4回繰り返し行いながら防水層を形成するいわゆるアスファルト防水熱工法をなし得る熔融状態となるように低粘度化を図り、その粘度を50cps〜100cpsの範囲になるようにするとともに、前記低粘度化による軟化点の下降によるズレ、ダレに係るクリープ特性を是正するための補正材を添加して前記軟化点を少なくとも摂氏90度前後より高くなるように設定する一方、前記補正材は軟化点摂氏95度以上の合成ワックスで構成したことを特徴とする改質ブローンアスファルトの製造方法。
  2. 請求項1記載の改質ブローンアスファルトの製造方法において、合成ワックスの添加量はブローンアスファルトとストレートアスファルトの混合物の3〜20重量部(外部)以下としたことを特徴とする改質ブローンアスファルトの製造方法。
  3. ブローンアスファルトにストレートアスファルトを添加してブローンアスファルト95〜60重量部に対してストレートアスファルトの添加量は5〜40重量部以下となるようにして、アスファルテン成分率を減少させる一方マルテン成分率を増加させるようにしてアスファルテンおよびマルテンの両成分比率を調整し、発煙、発臭の原因であるアスファルト中の軽質成分が未だ蒸発し得ない摂氏ほぼ200度において施工に適応できる所定の熔融状態すなわち施工現場で溶解したブロ−ンアスファルトによってアスファルトル−フィングを貼りつけていく作業を3〜4回繰り返し行いながら防水層を形成するいわゆるアスファルト防水熱工法をなし得る熔融状態となるように低粘度化を図り、その粘度を50cps〜100cpsの範囲となるように設定するとともに、前記低粘度化による軟化点の下降によるズレ、ダレに係るクリープ特性を是正するため軟化点摂氏95度以上の合成ワックスを添加して、前記軟化点を少なくとも摂氏90度前後より高くなるようにしたことを特徴とする改質ブローンアスファルト
  4. 請求項3記載の改質ブローンアスファルトにおいて、前記合成ワックスの添加量はブローンアスファルトとストレートアスファルトの混合物の3〜20重量部以下で構成したことを特徴とする改質ブローンアスファルト。
  5. 請求項3又は4いずれか記載の改質ブローンアスファルトにおいて、摂氏200度前後における粘度を100cps以下になすとともに、摂氏80度前後においてズレ、ダレ等の流動変形を生じない形態保持性能を具備するように構成したことを特徴とする改質ブローンアスファルト。
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