JP4458701B2 - 洗面化粧台 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペルチェ素子(熱電素子)を用いた保冷室を有する洗面化粧台に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、多機能を有する洗面化粧台として、低温に保持される保冷室を有するものが知られている。このような洗面化粧台では、そのような保冷室に例えば化粧水、目薬、コンタクト用保存液等の物品を収納することにより、それらの物品の長期保存による劣化、変質等を防止することができる。また、浴室に設けられた洗面化粧台にあっては、そのような保冷室に例えばジュースやビール等の飲料水や青果物を収納することにより、入浴後にいつでもそれらを取り出して水分補給等を行わしめることができる。
【0003】
特に、近年にあっては、そのような保冷室を冷却面により冷却すべく、ペルチェ素子を用いることも提案されている。かかるペルチェ素子を用いれば、一般的な圧縮機及び冷媒ガスを用いた保冷室に比し、静粛性、省電力、省スペース、環境性等の優れた効果も奏する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の洗面化粧台では、保冷室内に化粧品や薬品等が収納されることにより、保冷室内に結露が生じ、その結露水により保冷室が劣化しやすく、ひいては洗面化粧台の品質悪化を招来してしまうという問題が起こり得る。特に、化粧品や薬品等の代わりにジュースやビール等の飲料水等を保冷室に収納する場合には、保冷室内に多量の結露水を生じ、その不具合が大きくなる。
【0005】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、保冷室内を劣化させることなく、品質を維持可能な洗面化粧台を提供することを解決すべき課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の洗面化粧台は、ペルチェ素子の冷却面により冷却可能な保冷室を有する洗面化粧台において、
【0007】
前記ペルチェ素子の加熱面は、前記保冷室に断熱状態で隣接して外気と連通する保温室を保温可能であり、
前記保冷室は、底面が前記ペルチェ素子に向かって下り傾斜した傾斜面とされ、
前記保冷室内で生じた結露水をこの傾斜面に沿って流下させ、前記加熱面側に集めて加熱し、気化可能であることを特徴とする。
【0008】
本発明の洗面化粧台では、ペルチェ素子がその冷却面により保冷室を冷却可能であり、その加熱面が保冷室に断熱状態で隣接して外気と連通する保温室を保温可能である。そして、この洗面化粧台では、保冷室で生じた結露水がペルチェ素子の加熱面によって加熱されることにより、気化する。こうして、この洗面化粧台では、保冷室内で生じた結露を除去することができる。
【0009】
したがって、この洗面化粧台では、結露による保冷室の劣化を防止することができ、ひいては品質を維持することができる。
【0010】
保冷室で生じた結露水を保温室内に案内する手段としては、例えば、保冷室内の底面が凹凸形状を有する傾斜面になっており、その凹部に集まった結露水が傾斜面によって保温室まで流されるように構成することができる。
【0011】
本発明の洗面化粧台では、少なくとも保冷室が引出内に形成されていることができる。引出内に保冷室が形成されておれば、洗面化粧台の前にいる使用者が奥側に存在する化粧品等を手にしやすい。
【0012】
本発明の洗面化粧台では、保冷室は、奥側に位置し冷却面に近い第1保冷室と、の第1保冷室に非断熱状態で隣接しつつ手前側に位置し、冷却面から遠い第2保冷室とからなることが好ましい。第1保冷室は、冷却面に近いことから、冷却されやすく、第2保冷室は、冷却面から遠いことから、第1保冷室ほど冷却されない。このため、第1保冷室と第2保冷室とで保冷温度を分けることができるため、保冷するものの好ましい温度特性に応じて区分けして保存することができる。
【0013】
本発明の洗面化粧台では、第1保冷室は断熱材により形成された蓋部材により開閉可能であることが好ましい。断熱材としては、金属箔をラミネートしたフィルム等が重ね合わされ、内部を真空にしたり、内部に不織布を介してガラス粉末、ガラス繊維、コルク等を真空状態で充填してなるもの等を採用することができる。第1保冷室は、断熱材により形成された蓋部材を有することにより、閉ざされた暗室となり、一定温度を保ちやすくなる。このため、収納する物品の劣化等を確実に防止することができる。
【0014】
本発明の洗面化粧台では、保冷室内は、照明装置により引出の引き出し時に照光されるようになっていることが好ましい。こうであれば、引出からなる保冷室を引き出した時に、保冷室内に保存されているものを確実に確認することができる。このため、保冷室内に保存されているものが複雑に混在する場合であっても、それらを容易に取り出すことができる。また、イルミネーションの効果もある。照明装置としては、引出に固定又は内蔵されたLED等の発光体を有するものを採用することができる。
【0015】
引出は、それ自体を断熱材で構成したり、外方を断熱材で覆ったりすることができる。本発明の洗面化粧台では、引出は透明材により構成されていることが好ましい。引出が透明材であることにより、引出の外から保冷室内を確認することができる。このため、上述の効果をより一層発揮することができる。また、照明装置により引出の引き出し時に照光されるようになっている場合には、照明装置の発光体を引出の奥側に設けたとしても、発光体の光が引出全体に及んで引出内を明るくすることができる。また、この場合にはイルミネーションの効果が大きい。
【0016】
本発明の洗面化粧台では、透明材は真空断熱ガラスであることが好ましい。こうであれば、断熱効果が大きい一方、薄型にできるからである。透明な真空断熱ガラスであることがより好ましい。
【0017】
本発明の洗面化粧台では、保温室内には湿った布類が収納可能になっていることが好ましい。例えば、このような保温室内には、使用後のタオル等のような湿った布類が収納できる。このような湿った布類に含まれる水分は、保冷室から案内された結露水と共に保温室内で気化される。このため、湿った布類を乾燥させることができ、カビ等の発生を抑えることができるので、衛生的である。
【0018】
本発明の洗面化粧台では、保温室は排気ダクトにより外気に連通し、その保温室又はダクトには脱臭装置が設けられていることが好ましい。こうであれば、保温室内で気化された水分や結露水等は、排気ダクトにより外気に排出されることとなる。また、脱臭装置によって保温室又は排気ダクト内を脱臭することができる。このため、保温室又は排気ダクト内は、乾燥状態かつ無臭状態を維持できることとなり、衛生的となる。特に、青果物を保冷室に収納することがある場合には、青果物から生じるエチレンを吸着すべく、脱臭装置として活性炭を用いたフィルタを採用することが好ましい。
【0019】
本発明の洗面化粧台では、排気ダクトは鏡に向かって開口していることが好ましい。排気ダクトから排気される熱を利用することにより鏡を暖めることができ、鏡の曇りを防止することができる。開口は鏡の表面側であってもよく、裏面側であってもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜3を参照しつつ説明する。
【0021】
図1に示すように、実施形態の洗面化粧台は、浴室の床面に載置される収納ケース30と、この収納ケース30の上方に一体に設けられた鏡台20とから構成されている。鏡台20の上方には鏡12が固定されている。
【0022】
収納ケース30には、扉30aと、上段の第1引出31と、中段の第2引出32と、下段の第3引出33とから構成されている。
【0023】
そして、収納ケース30内では、図2に示すように、扉30a内に保温室35が形成されているとともに、第3引出33内に保冷室34が形成され、これら保温室35の奥側と保冷室34の奥側とは連通路36により連通されている。保冷室34は透明な真空断熱ガラスにより形成されている。他方、保温室35及び連通路36は木材やプラスチック材等により形成され、その内面には断熱材が貼着されている。なお、保冷室34も木材やプラスチック材等により形成し、その外面に断熱材を貼着することも可能である。また、第1、2引出31、32は木材やプラスチック材等により形成されている。
【0024】
この保冷室34は、貫通孔を有する非断熱34cがほぼ中央に設けられることにより、奥側の第1保冷室34aと、表側の第2保冷室34bとに仕切られている。第1保冷室34aの側壁には、図3に示すように、図示しない電源と接続されたLED34hが設けられている。
【0025】
また、第2図に示すように、第1保冷室34aと第2保冷室34bとの底面には、図3にも示すように、引き出し方向に延びる凹凸が形成されている。凹凸の凸部34iは水平に形成されている。他方、凹凸の凹部34eは奥方向に向かって下り傾斜している。非断熱壁34cの下端には第1流水孔34dが貫設され、凹部34eはこの第1流水孔34dにより第1保冷室34aと第2保冷室34bとで繋がっている。第1保冷室34aの上方には、一般的な断熱材により形成された蓋部材34fが開閉可能に設けられている。
【0026】
そして、第1保冷室34aの奥側と連通路36との間には、図示しない電源に接続されたペルチェ素子38が設けられている。ここで、ペルチェ素子38の冷却面38は第1保冷室3a側に設けられており、ペルチェ素子38の加熱面38bは連通路36側に設けられている。ペルチェ素子38の加熱面38bの真下には結露水を溜める凹み36aが凹設されている。冷却面38aには吸熱効果を高めるためのフィン38cが設けられ、加熱面38bには放熱効果を高めるためのフィン38dが設けられている。また、ペルチェ素子38の下方には、第2流水孔34gが設けられており、その第2流水孔34gによって第1保冷室34aと連通路36とが繋がっている。
【0027】
連通路36は、図2に示すように、一方が収納ケース30に開口した吸気孔36cに繋がっており、他方が保温室35に繋がっている。そして、連通路36の保温室35側には、図示しない電源及びモータにより駆動される送風ファン36bが設けられている。
【0028】
また、保温室35の奥側には排気ダクト35bが設けられており、保温室35と排気ダクト35bとの間には脱臭装置としてのフィルタ(クラレケミカル(株)「活性炭低温触媒」)35aが設けられている。排気ダクト35bは、図1に示すように、鏡台20内において、鏡12の裏側全面に拡がり、上方に開口された排気口13に繋がっている。
【0029】
鏡台20には洗面器21が設けられており、洗面器21の上方には図示しない水道管等と接続された水栓金具22等が設けられている。
【0030】
上記のようにして構成された実施形態の洗面化粧台では、図2に示すように、収納ケース30の第3引出33内に保冷の必要性がある物を好ましい温度特性に応じて区分けして保存することができる。すなわち、ペルチェ素子38の冷却面38aによって強く冷却され、蓋部材34f等によって一定温度に保たれた第1保冷室34aには、ジュース、ビール等の飲料水や化粧水、目薬、コンタクト用保存液等の物品等を収納し、効果的に保冷することができる。また、第1保冷室34aの冷却熱は、非断熱壁34cによって緩和されて第2保冷室34bに伝えられるため、第2保冷室34bは第1保冷室34aほど低くない温度で冷却される。このため、第2保冷室34b内には野菜や果物等の青果物等を収納し、やや緩和された条件で保冷することができる。この間、第3引出33は、真空断熱ガラスで構成されているため、断熱効果が大きく、薄型のものとなっている。
【0031】
ここで、第3引出33を引き出すとき、図3に示すように、その第3引出33内ではLED34hが照光することとなる。このため、第3引出33内に形成された保冷室34内に保冷されているものを容易に取り出すことができる。
【0032】
さて、第1保冷室34a内や第2保冷室34b内では、上述の飲料水等が収納されることにより、結露が生じる。この結露水は、第1保冷室34aや第2保冷室34bの凹部34eに滴下され、図3に示すように、第1流水孔34d及び第2流水孔34gを通って連通路36内の凹み36aに至る。こうして凹み36a内に集められた結露水は、ペルチェ素子38の加熱面38bによって加熱されることにより、気化する。気化した結露水は、図2に示すように、連通路36内で加熱された空気と共に送風ファン36bによって保温室35内に送られる。
【0033】
保温室35にはこうして温められた空気が供給され、保温室35内では使用後の湿ったタオル等が乾燥させられる。このため、湿ったタオル等に発生するカビ等を抑えることができる。保温室35内の臭いはフィルタ35aによって吸着する。このため、保温室35内のタオル等に臭いが残ることはなく、乾燥状態かつ無臭状態を維持できることとなり、衛生的な雰囲気を保つことができる。
【0034】
そして、保温室35内を経た空気は、排気ダクト35bを通って、鏡12の裏側全面に送られた後、排気13から排気される。これにより、鏡12の裏側前面を温めることができることから、鏡12の曇りを防止することができる。
【0035】
こうして、保冷室34で生じた結露水等は外気に放出される。このためこの洗面化粧台は、結露による保冷室34の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る洗面化粧台の全体正面図である。
【図2】実施形態に係る洗面化粧台の横断面図である。
【図3】実施形態に係る洗面化粧台の縦断面図である。
【符号の説明】
38…ペルチェ素子
38a…冷却面
34…保冷室
38b…加熱面
35…保温室
31、32、33…引出(31…第1引出、32…第2引出、33…第3引出)
34a…第1保冷室
34b…第2保冷室
34f…蓋部材
35b…排気ダクト
35a…脱臭装置(フィルタ)
12…鏡

Claims (4)

  1. ペルチェ素子の冷却面により冷却可能な保冷室を有する洗面化粧台において、
    前記ペルチェ素子の加熱面は、前記保冷室に断熱状態で隣接して外気と連通する保温室を保温可能であり、
    前記保冷室は、底面が前記ペルチェ素子に向かって下り傾斜した傾斜面とされ、
    前記保冷室内で生じた結露水をこの傾斜面に沿って流下させ、前記加熱面側に集めて加熱し、気化可能であることを特徴とする洗面化粧台。
  2. 少なくとも前記保冷室が引出内に形成されていることを特徴とする請求項記載の洗面化粧台。
  3. 前記保冷室は、奥側に位置し、前記冷却面に近い第1保冷室と、この第1保冷室に非断熱状態で隣接しつつ手前側に位置し、前記冷却面から遠い第2保冷室とからなることを特徴とする請求項1又は2記載の洗面化粧台。
  4. 前記第1保冷室は断熱材により形成された蓋部材により開閉可能であることを特徴とする請求項3記載の洗面化粧台。
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