JP4454978B2 - コイルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はコイルの製造方法に係り、特にコイルの製造を容易にするとともに、巻線時における巻線の皮膜の損傷を抑制し、安全性および信頼性に優れたコイルを製造することが可能なコイルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車部品、一般家電品、産業用機器におけるモータ等に用いられるコイルにおいては、巻線時の巻線の皮膜保護、スロット内の絶縁補助のため、スロット内に絶縁シートを挿入したり、スロット内面に粉体塗装を施したりすることが一般的に行われている。
【0003】
スロット内に絶縁シートを挿入する方法では、例えばポリエチレンテレフタレートフィルムやポリイミドフィルム等を絶縁シートとして用い、これをスロットの大きさ、長さに合わせて加工した後、スロットに挿入し、巻線を施す(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかしながら、このような方法では絶縁シートの厚み、形状によっては、スロットの面積に比べ、実際に巻線を施すことのできる面積が小さくなってしまう。また、絶縁シートはスロット内に単に挿入されているだけであり、内面に固定されているわけではないため、使用時の振動により巻線が損傷してしまうことがある。
【0005】
また、スロット内に粉体塗装を行う方法では、粉体塗装を行うための設備の費用および設備を稼働させるための費用が他の方法に比べて高くなる傾向にある。また、このような方法においては粉体が作業環境に飛散しやすく、環境への配慮を十分に行う必要があることから、このような方法を用いることは容易ではない。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−23601号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述したような課題を解決するためになされたものであって、コイルの製造に必要な設備を簡略化でき、かつ、十分な性能および信頼性を有するコイルが得られるコイルの製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のコイルの製造方法は、複数の磁極歯を有するコアに巻線を装着してコイルを製造する方法において、前記コアの端面に、前記隣接する磁極歯すべての間に対応する位置に径方向の切れ目を設けた粘着性絶縁シートを貼着する工程と、前記切れ目の両側の粘着性絶縁シートを前記磁極歯の側面側の角部に沿って折り曲げ、その側面に貼着する工程と、前記磁極歯間に巻線を装着する工程とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明に用いられるコアは、例えばステータコアまたはロータコアであり、本発明に用いられる粘着性絶縁シートは、例えばプリプレグまたはカバーレイである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のコイルの製造方法について具体的に説明する。
【0012】
図1は本発明のコイルに用いられるコアの一例としてのステータコア1を示したものである。図1は、ステータコア1を端面側から見たものである。ステータコア1は環状の枠部(本体)2と、その径方向の内側に設けられた複数の磁極歯3とを有する。磁極歯3の端面と側面との角部が側面側角部4である。また、隣接する磁極歯3間の凹部はスロット5である。
【0013】
ここで、ステータコア1の外径(枠部の外径)をS1、枠部の内径をS2、内径(磁極歯3の先端部分を結んだ円の径)をS3とする。
【0014】
このステータコア1の各径の大きさ、磁極歯3形成数、形状および大きさ等は特に制限されるものではなく、一般にモータ等のステータコアとして用いられているものを広く用いることができる。
【0015】
図2は、上記ステータコア1に貼着され、巻線の保護のために用いられるステータコア用粘着性絶縁シート6を示したものである。ステータコア用粘着性絶縁シート6はステータコア1に合わせて環状となっており、内径側から外径側に径方向の切れ目7が設けられている。この径方向の切れ目7は放射状に複数設けられており、外径部分に達しない範囲で設けられる。
【0016】
また、ステータコア用粘着性絶縁シート6には、例えば図3に示すように、径方向の切れ目7の外径側先端部分に円周方向に延びる円弧状の切れ目8を設けることが好ましい。
【0017】
図4は、図1に示されるステータコア1上に、図3に示されるステータコア用粘着性絶縁シート6をその中心軸を合わせて貼着した状態を示したものである。なお、図中、点線で示される部分は磁極歯3の側面側角部4を示したものである。
【0018】
図4に示されるように、ステータコア1とステータコア用粘着性絶縁シート6とは、ステータコア1の磁極歯3の中間、言い換えればスロット5の径方向の中心線にステータコア用粘着性絶縁シート6の径方向の切れ目7が対応するように貼着される。
【0019】
そして、ステータコア用粘着性絶縁シート6のうちステータコア1の磁極歯3間、言い換えればスロット5上に位置する部分は、径方向の切れ目7を境にしてそれぞれ磁極歯3の側面側角部4で折り曲げられて、磁極歯3の側面に貼着される。
【0020】
上述したようなことからもわかるように、ステータコア用粘着性絶縁シート6はステータコア1に重ねて用いられるため、その各径の大きさ、軸方向の切れ目7の本数および長さ、円周方向の切れ目8の本数および長さは、ステータコア1の形状に応じて適宜決められる。
【0021】
まず、ステータコア用粘着性絶縁シート6の外径a1は、ステータコア1の外径(枠部外径)S1以下、枠部内径S2以上とすることが好ましい。ステータコア用粘着性絶縁シート6の外径a1がステータコア1の外径S1を超えると、外観不良等の原因となる。また、ステータコア用粘着性絶縁シート6の外径a1がステータコア1の枠部内径S2未満であると、ステータコア用粘着性絶縁シート6の外径部分をステータコア1の枠部2に貼着できなくなり、上述したようなステータコア用粘着性絶縁シート6の折り曲げ等が困難となる。
【0022】
ステータコア用粘着性絶縁シート6の内径a2は、ステータコア1の枠部内径S2以下、内径S3以上とすることが好ましい。ステータコア用粘着性絶縁シート6の内径a2がステータコア1の枠部内径S2を超えると、ステータコア1の磁極歯3の側面にステータコア用粘着性絶縁シート6を貼着することが困難となり、巻線を施す際の巻線の皮膜保護が十分でなくなる。また、ステータコア用粘着性絶縁シート6の内径a2がステータコア1の内径S3未満であるとモータ等に用いたときにロータと接触する場合がある。
【0023】
ステータコア用粘着性絶縁シート6の径方向の切れ目7および円周方向の切れ目8の本数はステータコア1の磁極歯3間に形成される凹部すなわちスロット5の数と一致させることが好ましい。
【0024】
そして、径方向の切れ目7は、ステータコア1とステータコア用粘着性絶縁シート6とを重ねたときに、ステータコア1の枠部内径部分に達するように設けることが好ましい。また、円周方向の切れ目8は、ステータコア1とステータコア用粘着性絶縁シート6とを重ねたときに、ステータコア1のスロット5の底部と同様の形状、長さとすることが好ましい。
【0025】
本発明では、図5に示されるように、ステータコア1として磁極歯3の先端部分に円周方向の凸部9が設けられたものを用いることもできる。このような場合には、例えば図6に示すようなステータコア用粘着性絶縁シート6を用いることが好ましい。
【0026】
すなわち、ステータコア1とステータコア用粘着性絶縁シート6とを重ねたときに、隣接する磁極歯3の対向する円周方向の凸部9の間に対応する部分が削除されるとともに、磁極歯3の円周方向の凸部9の外径側角部10に対応する部分に円周方向の切れ目11が設けられている。このような形状とすることで、ステータコア用粘着性絶縁シート6を磁極歯3の側面に容易に折り曲げ、貼着することができる。
【0027】
図7は本発明のコイルに用いられるコアの他の例としてのロータコア12を示したものである。ロータコア12は、例えば環状の軸部(本体)13と、その径方向の外側に設けられた複数の磁極歯14とからなる。磁極歯14の端面と側面との角部が側面側角部15である。磁極歯14の先端部分には、例えば円周方向の凸部16が設けられている。また、隣接する磁極歯14間の凹部はスロット17である。
【0028】
ここで、ロータコア12の磁極歯14先端部分の径を外径R1とし、磁極歯14に設けられた凸部16の軸部側の径を内径R2とし、軸部13の径を軸径R3とする
【0029】
このロータコア12の各径の大きさ、磁極歯14、スロット17の形成数、形状および大きさ等は特に制限されるものではなく、一般にモータ等のロータコアとして用いられているものを広く用いることができる。
【0030】
図8は、上記ロータコア12に貼着し、巻線の保護のために用いられるロータコア用粘着性絶縁シート18を示したものである。ロータコア用粘着性絶縁シート18はロータコア12に合わせて環状となっており、外径部分から径方向内側にかけて放射状の切れ目19が設けられている。
【0031】
この径方向の切れ目19の径方向内側の先端部分には、円周方向に延びる円弧状の切れ目20が設けられている。また、ロータコア用粘着性絶縁シート18の隣接する径方向の切れ目19の中間部分の外径部分には複数の凸部21が設けられている。そして、この凸部21の内径側には円周方向の切れ目22が設けられている。
【0032】
図9は、図7に示されるロータコア12上に、図8に示されるロータコア用粘着性絶縁シート18をその中心軸を一致させて貼着した状態を示したものである。なお、図中、点線で示される部分はロータコア12の磁極歯14の側面側角部15を示したものである。
【0033】
図9に示されるように、ロータコア12とロータコア用粘着性絶縁シート18とは、ロータコア12の隣接する磁極歯14間、言い換えるとスロット17の径方向の中心線上に、ロータコア用粘着性絶縁シート18の径方向の切れ目19が対応するように貼着される。
【0034】
このとき、ロータコア12の磁極歯14の先端部分およびその円周方向の凸部16に、ロータコア用粘着性絶縁シート18の凸部21が対応し、ロータコア12の凸部16の内側部分に、ロータコア用粘着性絶縁シート18の円周方向の切れ目22が対応する。さらに、ロータコア12のスロット17の底部にロータコア用粘着性絶縁シート18の円周方向の切れ目20が対応する。
【0035】
そして、ロータコア用粘着性絶縁シート18のうちロータコア12の磁極歯14間、言い換えるとスロット17に対応する部分が、径方向の切れ目19を境にしてそれぞれ磁極歯14の側面側角部15で折り曲げられて、磁極歯14の側面に貼着される。
【0036】
上述したようなことからもわかるように、ロータコア用粘着性絶縁シート18の各径の大きさ、径方向の切れ目19の本数および長さ、円周方向の切れ目20の本数および長さ等は、ロータコア12の形状に応じて適宜決められる。
【0037】
まず、ロータコア用粘着性絶縁シート18の凸部径(凸部21の先端部分(外側部分)を結んだ円の径)b1は、ロータコア12の外径R1以下とすることが好ましい。ロータコア用粘着性絶縁シート18の凸部径b1がロータコア12の外径R1を超えると、外観不良の原因となったり、モータ等としたときにステータコアの内部と接触してしまうことがある。
【0038】
ロータコア用粘着性絶縁シート18の外径b2は、ロータコア12の内径R2とほぼ同等とすることが好ましい。ロータコア用粘着性絶縁シート18の外径b2がロータコア12の内径R2未満または内径R2を超える場合には、巻線の保護が十分でなくなったり、ロータコア用粘着性絶縁シート18をロータコア12の磁極歯14の側面に容易に折り曲げにくくなる。
【0039】
ロータコア用粘着性絶縁シート18の径方向の切れ目19および円周方向の切れ目20の本数はロータコア12のスロット17の数と一致させることが好ましい。そして、径方向の切れ目19は、ロータコア12とロータコア用粘着性絶縁シート18とを貼着したときに、ロータコア12の軸部13の軸径(R3)部分に達するように設けることが好ましい。
【0040】
また、円周方向の切れ目20は、径方向の切れ目19の径方向内側の先端部分に設けられ、ロータコア12とロータコア用粘着性絶縁シート18とを貼着したときに、ロータコア12のスロット17の底部に対応するような形状、長さとすることが好ましい。
【0041】
そして、ロータコア用粘着性絶縁シート18の凸部21は、ロータコア12とロータコア用粘着性絶縁シート18とを貼着したときに、ロータコア12の磁極歯14先端部分およびその凸部16と対応するような形状とする。
【0042】
ロータコア用粘着性絶縁シート18の形状をこのような形状とすることで、ロータコア12とロータコア用粘着性絶縁シート18とを適切に貼着し、ロータコア用粘着性絶縁シート18の一部をロータコア12の磁極歯14の側面に容易に折り曲げ、貼着することができる。
【0043】
粘着性絶縁シート6、18としては、少なくとも一方の面が粘着性を有するシート状のものであればよく、このようなものとしては一般に用いられているプリプレグ、カバーレイ等を用いることができる。
【0044】
本発明に用いられるプリプレグは基材に樹脂組成物を含浸させたものであり、一般に知られているもの広く用いることができる。
【0045】
基材としては、例えばガラスやアスベスト等の無機繊維、ポリエステル、ポリアミド等の有機合成繊維、木綿等の天然繊維からなる織布、不織布、マットを用いることができる。
【0046】
基材に含浸させる樹脂組成物としては、例えば熱硬化性樹脂、硬化剤、硬化促進剤、無機充填材等を必要に応じて溶剤とともに混合したものが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば熱硬化型エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン変性樹脂、熱硬化型ポリフェニレンエーテル樹脂等を用いることができる。
【0047】
エポキシ樹脂としては、具体的にはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を用いることができ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0048】
硬化剤としては、上述したようなエポキシ樹脂の硬化に用いられる化合物であれば特に制限なく用いることができ、例えばアミン硬化系としてはジシアンジアミド、芳香族ジアミン等が挙げられ、フェノール硬化系としてはフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0049】
硬化促進剤としては、上述したようなエポキシ樹脂の硬化促進剤として用いられている化合物であれば特に制限なく用いることができ、例えば2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、三フッ化ホウ素アミン錯体、トリフェニルホスフィン等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0050】
無機充填材としては、例えばタルク、アルミナ、水酸化アルニウム、水酸化マグネシウム、溶融シリカ、合成シリカが挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。樹脂組成物中の無機充填材の含有量は0〜50重量%とすることが好ましい。
【0051】
また、溶剤としては、上述したようなエポキシ樹脂、硬化剤および硬化促進剤等を溶解するものであればよいが、乾燥工程において溶剤が残留しないように沸点が160℃以下であることが好ましい。
【0052】
具体的な溶剤としては、メチルエチルケトン、トルエン、アセトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、シクロヘキサノン等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0053】
粘着性絶縁シート6、18として上述したようなプリプレグを用いる場合には、その厚さを0.03mm〜0.20mmとすることが好ましい。0.03mm未満ではコア1、12に接着して巻線を施した場合に巻線の皮膜保護が十分でなく、また0.20mmを超えるとスロット内での巻線の線積率が低くなってしまうため好ましくない。
【0054】
また、粘着性絶縁シート6、18として用いられるカバーレイとしては、ポリイミドフィルム、PETフィルム等の絶縁性フィルムに粘着性の樹脂組成物が塗布されたものが挙げられ、粘着性の樹脂組成物としては、上述したプリプレグの作製に用いられる樹脂組成物と同様のものを用いることができる。
【0055】
粘着性絶縁シート6、18としてカバーレイを用いる場合には、その厚さを0.025mm〜0.200mmとすることが好ましい。0.025mm未満ではコア1、12に接着して巻線を施した場合に巻線の皮膜保護が十分でなく、また0.20mmを超えるとスロット内での巻線の線積率が低くなるため好ましくない。
【0056】
このような粘着性絶縁シート6、18は、上述したようにコア1、12と貼着される。一例としてステータコア1へステータコア用粘着性絶縁シート6を貼着する方法について説明する。
【0057】
まず、例えば図4に示すように、ステータコア用粘着性絶縁シート6を、その中心がステータコア1と一致するように、かつ、そのその径方向の切れ目7がステータコア1の磁極歯3間、言い換えるとスロット5の径方向の中心線と一致するように貼着する。
【0058】
次に、ステータコア1に貼着されたステータコア用粘着性絶縁シート6のうち磁極歯3間に対応する部分を、ステータコア1の磁極歯3の側面側角部4で折り曲げて、ステータコア1の磁極歯3の側面に貼着する。このようなステータコア用粘着性絶縁シート6の折り曲げ、貼着は、例えば図10に示すような治具23を用いて行うことができる。
【0059】
治具23は、例えば図10に示すように、円板状の治具本体24の一方の面に複数の凸部25が環状に形成されたものである。各凸部25の断面形状は、例えば図11に示すように、ステータコア1の磁極歯3間の凹部断面形状とほぼ同様な断面形状で、ステータコア用粘着性絶縁シート6の厚さ分だけ若干小さくしたものである。また、治具23の凸部25の数はステータコア1の磁極歯3間の凹部の数、すなわちスロット5の数と同数である。
【0060】
このような治具23を、図12、図13に示すように、ステータコア1のステータコア用粘着性絶縁シート6が貼着された側から挿入し、加圧する。治具23の凸部25をステータコア1の磁極歯3間へ挿入することにより、ステータコア用粘着性絶縁シート6が磁極歯3の側面側角部4に沿って折り曲げられ、さらに治具23の凸部25の側面で磁極歯3の側面へ押しつけられ、貼着される。
【0061】
この際、ステータコア用粘着性絶縁シート6が主に熱硬化性樹脂から構成されていることから、ステータコア1および治具23のうちのすくなくとも一方を加熱しながら、上記作業を行うことが好ましい。加熱方法は、熱風循環炉、高周波による誘導加熱、治具23内部に設けた発熱体等により行う。
【0062】
加熱温度は80℃〜250℃とすることが好ましい。加熱温度が80℃未満であると樹脂が硬化せず、250℃を超えると樹脂の分解、発煙、発泡が起こる可能性がある。
【0063】
そして、治具23による加圧は3秒〜5分程度行うことが好ましい。3秒未満であるとステータコア用粘着性絶縁シート6を硬化させ、有効に固定することが困難であり、5分を超えて加圧しても接着性の向上は見られず、かえって作業時間が増えるため量産性が低下し好ましくない。
【0064】
以上、ステータコア1にステータコア用粘着性絶縁シート6を貼着する方法について説明したが、ロータコア12にロータコア用粘着性絶縁シート18を貼着する場合も同様にして行うことができる。
【0065】
そして、上述したような方法により得られたものに巻線を施すことによってコイルを得ることができる。図14、15は、一例としてステータコア1を用いた場合の本発明のコイル26を示したものである。
【0066】
ステータコア1の端面にはステータコア用粘着性絶縁シート6からなる絶縁保護シート27が貼着されている。そして、ステータコア1の端面に貼着された絶縁保護部材27の一部は、ステータコア1の磁極歯3の側面側角部4およびその側面近傍に貼着されている。絶縁保護部材27が貼着された磁極歯3間、すなわちスロット5内には巻線28が設けられている。
【0067】
本発明のコイル26では、ステータコア1の磁極歯3のすくなくとも側面側角部4が絶縁保護部材27で保護されているため、巻線28を施す際にその皮膜の損傷が抑制される。
【0068】
また、本発明のコイル26では絶縁保護部材27がステータコア1に貼着され固定されているため、使用時の振動等による絶縁保護部材27のズレが抑制され、使用時の巻線28の皮膜の損傷が抑制され、安全性、信頼性に優れたものとなっている。
【0069】
さらに、上述したように絶縁保護部材27を1つの連続したシートからなるものとすることで、ステータコア1の磁極歯3の側面側角部4を一括して保護することが可能となり、量産性にも優れたものである。
【0070】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0071】
(実施例1)
モータのステータコアとして外径95mm、内径53mm、スロット数24、スロットの深さ12mmのものを用意した。
【0072】
このステータコアに貼り付けるステータコア用粘着性絶縁シートとしてプリプレグを用意した。プリプレグは、厚さ約30μmのTLP552YZ、厚さ約50μmのTLP552YN、厚さ約100μmのTLP552YJ、厚さ約200μmのTLP552YU(いずれも京セラケミカル製 商品名)を使用した。また、IPC Style104を用い、樹脂成分を上記TLP552系と同一としてプリプレグを作製した。
【0073】
上記プリプレグを外径85mm、内径53mmの環状に打ち抜くとともに、内径側から外径側にかけて径方向の切れ目を設けてステータコア用粘着性絶縁シートとした。なお、径方向の切れ目の長さは12mmとし、その数は上記ステータコアのスロットの数と同様に24とした。
【0074】
上記ステータコアとステータコア用粘着性絶縁シートとを中心を合わせ、かつ、ロータコアのスロットの径方向の中心線とステータコア用粘着性絶縁シートの径方向の切れ目とが対応するように貼着した。
【0075】
さらに、ステータコア用粘着性絶縁シートが貼着された側から180℃に加熱した治具を挿入し2分間加圧し、ステータコア用粘着性絶縁シートをステータコアの端面および磁極歯側面に折り曲げて熱接着し絶縁保護シート付きステータコアを作製し、巻線を施しコイルを作製した。また、従来のコイルとして、ステータコアに粉体塗装を施し、巻線を施したコイルを作製した。
【0076】
上述したような本発明のコイルおよび従来のコイルをそれぞれ100台作製し、通電を行いショートの有無を確認した。結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
表1から明らかなように、本発明のコイルはいずれも高い信頼性を有することが認められた。特に、ステータコア用粘着性絶縁シートの厚さを30〜200μmとしたものは、従来の粉体塗装を行ったコイルと同等の信頼性を得られることが認められた。
【0079】
(実施例2)
モータのステータコアとして外径95mm、内径53mm、スロットの深さ12mmのものを用意した。
【0080】
このステータコアに貼り付けるステータコア用粘着性絶縁シートとしてカバーレイを用意した。カバーレイは、厚さ約12μmのTFA−577KHL−1225、厚さ約25μmのTFA−577KHL−2525、厚さ約50μmのTFA−577KHL−5035(いずれも京セラケミカル製 商品名)を使用した。
【0081】
上記カバーレイを外径85mm、内径53mmの環状に打ち抜くとともに、内径側から外径側にかけて径方向の切れ目を設けてステータコア用粘着性絶縁シートとした。なお、径方向の切れ目の長さは12mmとし、その数は上記ステータコアのスロットの数と同様に24とした。
【0082】
上記ステータコアとステータコア用粘着性絶縁シートとを中心を合わせ、かつ、ステータコアのスロットの径方向の中心線とステータコア用粘着性絶縁シートの径方向の切れ目とが対応するように貼着した。
【0083】
さらに、ステータコア用粘着性絶縁シートが貼着された側から180℃に加熱した治具を挿入し2分間加圧し、ステータコア用粘着性絶縁シートをステータコアの端面および磁極歯側面に折り曲げて熱接着し、絶縁保護シート付きステータコアを作製し、巻線を施しコイルを作製した。また、従来のコイルとして、ステータコアに粉体塗装を行い、巻線を施したコイルを作製した。
【0084】
上述したような本発明のコイルおよび従来のコイルを100台作製し、通電を行いショートの有無を確認した。結果を表2に示す。
【0085】
【表2】
【0086】
表2から明らかなように、本発明のコイルはいずれも高い信頼性を有することが認められた。特に、ステータコア用粘着性絶縁シートの厚さを25μm以上としたものは、従来の粉体塗装を行ったコイルと同等の信頼性を得られることが認められた。
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の粉体塗装によるコイルの製造に比べ設備を簡略化でき、作業環境も悪化させることもなく、かつ、従来のコイルと同等の性能および信頼性を有するコイルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられるコアの一例を示した平面図
【図2】本発明に用いられる粘着性絶縁シートの一例を示した平面図
【図3】本発明に用いられる粘着性絶縁シートの他の例を示した平面図
【図4】本発明に用いられるコアと粘着性絶縁シートとを貼着した状態を示した平面図
【図5】本発明に用いられるコアの他の例を示した一部平面図
【図6】本発明に用いられる粘着性絶縁シートの他の例を示した一部平面図
【図7】本発明に用いられるコアの一例を示した平面図
【図8】本発明に用いられる粘着性絶縁シートの一例を示した平面図
【図9】本発明に用いられるコアと粘着性絶縁シートとを貼着した状態を示した平面図
【図10】治具を用いた粘着性絶縁シートの貼着方法を示した外観図
【図11】治具を用いた粘着性絶縁シートの貼着方法を示した断面図
【図12】治具を用いた粘着性絶縁シートの貼着方法を示した外観図
【図13】治具を用いた粘着性絶縁シートの貼着方法を示した断面図
【図14】本発明のコイルを示した一部平面図
【図15】本発明のコイルを示した一部断面図
【符号の説明】
1…ステータコア 2…ステータコア枠部(本体) 3…磁極歯 4…側面側角部 5…スロット 6…ステータコア用粘着性絶縁シート 7…径方向の切れ目 8…円周方向の切れ目 9…磁極歯凸部 10…凸部内径側角部 11…円周方向の切れ目 12…ロータコア 13…ロータコア軸部(本体) 14…磁極歯 15…側面側角部 16…磁極歯凸部 17…スロット 18…ロータコア用粘着性絶縁シート 19…径方向の切れ目 20…円周方向の切れ目 21…ロータコア用粘着性絶縁シートの凸部 22…円周方向の切れ目 23……治具 24…治具本体 25…治具凸部 26…コイル 27…絶縁保護シート 28…巻線
Claims (3)
- 複数の磁極歯を有するコアに巻線を装着してコイルを製造する方法において、
前記コアの端面に、前記隣接する磁極歯すべての間に対応する位置に径方向の切れ目を設けた粘着性絶縁シートを貼着する工程と、
前記切れ目の両側の粘着性絶縁シートを前記磁極歯の側面側の角部に沿って折り曲げ、その側面に貼着する工程と、
前記磁極歯間に巻線を装着する工程と
を有することを特徴とするコイルの製造方法。 - 前記コアはステータコアまたはロータコアであることを特徴とする請求項1記載のコイルの製造方法。
- 前記粘着性絶縁シートはプリプレグまたはカバーレイであることを特徴とする請求項1または2記載のコイルの製造方法。
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