JP4454709B2 - クッション性を有するグラビア版の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、段ボール等の粗面に印刷したり、あるいはコンパクトディスク等に画像を印刷したり、あるいは液晶パネル用ガラスへカラーフィルタを構成するためのマトリックス画像をカラー印刷するのに好適なクッション性を有するグラビア版の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、印刷版特に、液晶パネル用ガラスへカラーフィルタを構成するためのマトリックス画像をカラー印刷したり、あるいはコンパクトディスク等に画像をカラー印刷するには、グラビアオフセット印刷または水なしオフセット印刷が採用されてきており、グラビア印刷は採用されてこなかった。
【0003】
その理由は、グラビア印刷は、クッション性がないので印圧が増大するとガラスを割ってしまったり、コンパクトディスク等に歪みを与える惧れがあるので、ゴムからなるブランケットロールを介して印刷することにより、印圧が増大するときはゴムの変形により印圧の増大を抑制できるグラビアオフセット印刷が適切だからである。
【0004】
液晶パネル用ガラスへカラー印刷するには、ガラスに転移した直後のウエットのインキの膜厚を均一な5〜6μmとして、ドライなインキの膜厚を均一な1〜1.5μmとして、バックライト光を均一に透過しかつ高い透過率を保障する必要がある。
【0005】
また、コンパクトディスク等に画像をカラー印刷するには、画像がシャープに得られる限度にインキの膜厚を可能な限り薄くする必要がある。その理由は、コンパクトディスク等に印刷する画像は、中心に対して偏って印刷されるので、画像を形成しているインキの重量が、次世代のコンパクトディスク装置の流体動圧軸受を採用したスピンドルモータの高速回転化にともなって、アンバランス回転の原因として無視できなくなることが分かった。
【0006】
従来のグラビア印刷版は、銅メッキの表層部に深さが15〜25μmとなるようにセルを形成する必要があり、そうすると、ウエットのインキの膜厚が15〜25μmとなるから、液晶パネル用ガラスへカラー印刷したり、あるいはコンパクトディスク等に画像をカラー印刷するのにはインキの膜厚が厚すぎて適していない。
【0007】
従来のグラビア印刷版において、銅メッキの表面に深さが5〜6μmとなるようにセルをエッチング形成できないのは、銅メッキ被膜が結晶組織であるためエッチングの進行が均一に行われないためである。セルの輪郭や底面に凹凸が生じたり、大きさによって深さが異なったセルができることは避けられない。特にシャドウ部の大きなセルについて、深さが5〜6μmとなるように得ても、ハイライト部の小さなセルについては、輪郭や底面に凹凸が生じる確率が高く、深さが5〜6μmに確実に得ることはほとんど望めない。
【0008】
そこで、セルの深さが5〜6μmのグラビア版を確実に得るには、アルカリガラスに画像を焼き付けて現像しフッ酸によりエッチングすることにより深さが均一なかなり正確なセルを形成することができる。ただし、これは、グラビア印刷とはならず、ブランケットロールを介して印刷を行うグラビアオフセット印刷となる。
【0009】
こうして、従来は、液晶パネル用ガラスへカラー印刷したり、あるいはコンパクトディスク等にカラー印刷するには、グラビアオフセット印刷、または水なし平印刷版オフセット印刷が採用されてきており、グラビア印刷は採用されてこなかった。
【0010】
他方、従来のフレキソ版(樹脂凸版)は、光硬化性樹脂にマスクフィルムを重ねて赤外光を照射しエッチングするか、又は光硬化性樹脂にカーボンブラックの被膜を形成し、ポジ型の感光膜を塗ってレーザーによりネガ画像を焼き付けて現像し、次いで赤外光を照射してからエッチングすることにより製版している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の印刷法によって製作される液晶パネル用カラーフィルタは、画像のシャープさが低く、線画像のエッジの乱れ、線画像の凹凸があり、フィルム法によって製作される液晶パネル用カラーフィルタに比べて著しく品質が劣り、このため、玩具関係にしか用途が広がらず、コンピュータディスプレイやテレビジョン等の高級品には全く採用されていない。
【0012】
グラビアオフセット印刷によって製作される液晶パネル用カラーフィルタの品質が劣り原因は、次のように考えられる。
【0013】
グラビアオフセット印刷は、ブランケットロールからガラス等の被印刷物にインキを転移させる際に多少なりとも印圧が加わる。該印圧は、インキを押圧するので、インキの輪郭が外側に広がりあるいは乱れ、これが、ラインアンドセペースの値を小さくできない原因の一つである。また、転移するインキが版からブランケットロールに、さらにブランケットロールからガラス等の被印刷物に、それぞれ100%の確率で転移しないときは、インキが引きちぎられる結果となり、ガラス等の被印刷物に印刷されるインキの膜厚は均一でなく表面に凹凸ができる。
【0014】
転移するインキがガラス等の被印刷物に100%の確率で転移できるとした研究結果が論文に発表されている。
【0015】
それによれば、アルカリガラス製の印刷版の0.1μmのシリコンゴムの被膜をコートして離型性を付与すること、及びセルに光硬化性のインキを盛った時点で光を照射してインキを半乾きにして千切れ難いインキにすることによって、版からブランケットロールに100%の確率でインキを転移させることができたとしており、さらに、シリコン誘導体のブランケットロールに転移したインキを液晶パネル用ガラスに印刷する前にもう一度光を照射してインキを半乾きにして千切れ難いインキにするとともに、液晶パネル用ガラスの表面に0.2〜0.3μmの膜厚のアクリル系粘着剤をコートすることにより、ブランケットロールから液晶パネル用ガラスに100%の確率でインキを転移させることができたとしている。
【0016】
しかし、ブランケットロールから液晶パネル用ガラスに100%の確率でインキを転移させるためには、版や印刷装置を超精密に製作することが必須条件である。すなわち、通常の印刷装置の機械精度では、ブランケットロールから液晶パネル用ガラスにインキを転移させる際に印圧が掛りしかも変動することが避けられない。印圧が全く無くしたり、全く変動しないように機械精度を高めることは至難である。
【0017】
仮に、ブランケットロールと液晶パネル用ガラスとの隙間をインキの膜厚と完全に一致させてしかも印刷中に隙間寸法に変動が生じないように、印刷機械を超精密に製作できたとすれば、印圧は殆どかからず変動しない。しかしながら、そのような装置を実用化することはほとんど不可能である。
【0018】
なぜならば、ブランケットロールと液晶パネル用ガラスとの隙間を例えば5.5μmに保持し、ブランケットロールに付着している6μmの膜厚のインキを液晶パネル用ガラスに転移させるときには、インキの膜厚が5.5μmとなるように印圧が発生する。ブランケットロールが回転するとともに、ブランケットロールの表面の速度に完全に一致させて液晶パネル用ガラスを直動させる際に、ブランケットロールと液晶パネル用ガラスとの隙間を全く変動させないようにすることは至難である。ブランケットロールは真円・真円筒となるように超精密に製作する必要があり、液晶パネル用ガラスを全く波動が生じないように直動させる必要がある。ブランケットロールの直径に1μmの偏心があっても、または液晶パネル用ガラスがブランケットロールに対して1μm近づくか遠ざかったりすると、それだけで、インキの膜厚が4.5μmとなり印圧が変動し、または、ブランケットロールと液晶パネル用ガラスとの隙間が5.5μmよりも大きくなってしまい、そのときは、ブランケットロールに付着しているインキが液晶パネル用ガラスに転移できない。
【0019】
このことから言えることは、グラビアオフセット印刷機械の超精密化をいくら追求しても、印圧をかける必要があり、印圧の変動を抑えることは不可能である。従って、印圧がかかり、印圧が変動することが必須なので、ブランケットロールから液晶パネル用ガラスに100%の確率でインキを転移させることは、実験ではできたとしても、実用化はとても困難であると考えられる。
【0020】
他方、従来のフレキソ版(樹脂凸版)は、光硬化性樹脂を使用しているので、ちいさなドットを柱状に形成すると容易に折損してしまい、硬化樹脂の脆性を解消できず、高精細な版を作ることができなかった。
【0021】
本発明は、上述した点に鑑み案出したもので、印刷版、特に、クッション性を有することにより、硬質な被印刷物に対してブランケットロールを用いないダイレクトなグラビア印刷が可能であり、段ボール印刷等、粗面に対するグラビア印刷が良好に行えて、液晶パネル用ガラスへカラーフィルタを構成するためのマトリックス画像をカラー印刷したり、あるいはコンパクトディスク等に画像をカラー印刷するのに好適であるクッション性を有するグラビア版の製造方法を提供することを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明のクッション性を有するグラビア版の製造方法の第1の態様は、中空円筒体からなる版基材の表面に形成されたゴムまたは樹脂からなるクッション層の表面に、紫外線に対し光重合性を有する感光性エラストマー組成物からなる感光性版材層を形成し、該感光性版材層の表面に、紫外線を遮断するグラビア画像であるマスク画像を有するマスクを重ね、紫外線を照射して前記感光性版材層に光重合反応を生じさせ、前記マスクを除いて現像することにより、前記感光性版材層の表面にグラビアセルを形成することを特徴とする。
【0023】
又、本発明のクッション性を有するグラビア版の製造方法の第2の態様は、中空円筒体からなる版基材の表面に形成されたゴムまたは樹脂からなるクッション層の表面に、紫外線に対し光反応性を有する感光性エラストマー組成物からなる感光性版材層を形成し、該感光性版材層の表面に、紫外線を遮断するグラビア画像であるマスク画像を有するマスクを重ね、紫外線を照射して前記感光性版材層に光反応を生じさせ、前記マスクを除いて現像することにより、前記感光性版材層の表面にグラビアセルを形成することを特徴とする。
【0024】
本発明のクッション性を有するグラビア版の製造方法においては、前記グラビアセルの形成された感光性版材層の表面にDLC膜をコートするのが好ましい。
【0025】
前記感光性版材層は、紫外線照射により光重合反応を起こし現像液に対して不溶性になる感光剤又は感光性シート状物を前記クッション層にコーティングにより薄膜形成し又は積層してなり、これに対して、前記マスクは、カーボン含有ポリマーよりなる黒色コート剤、又は、ネガチブのフォトクロミック剤を前記感光性版材層にコートして、レーザ照射により、前記グラビア画像の非画線部に対応させて前記感光性版材層を露出又は透過するように形成してなるか、又は、前記グラビア画像の非画線部が透明であるネガチブのマスクフィルムであるか、又は、感光剤を前記感光性版材層にコートし電磁波照射により光重合反応を起こし現像することにより形成するネガチブのレジスト画像であるように構成するのが好適である。
【0026】
又、別の態様として、前記感光性版材層は、紫外線照射により光反応を起こし現像液に対して可溶性になる感光剤又は感光性シート状物を前記クッション層にコーティングにより薄膜形成し又は積層してなり、これに対して、前記マスクは、カーボン含有ポリマーよりなる黒色コート剤、又は、ポジチブのフォトクロミック剤を前記感光性版材層にコートして、レーザ照射により、前記グラビア画像の画線部に対応させて前記感光性版材層を露出又は透過するように形成してなるか、又は、前記グラビア画像の画線部が透明であるポジチブのマスクフィルムであるか、又は、感光剤を前記感光性版材層にコートし電磁波照射により光反応を起こし現像することにより形成するポジチブのレジスト画像であるように構成することもできる。
【0027】
又、本発明のクッション性を有するグラビア版の製造方法について、前記感光性版材層は、数十μmの膜厚に形成し、前記クッション層を露出しないように、前記感光性版材層にグラビアセルを形成するのが好ましい。
【0028】
又、本発明のクッション性を有するグラビア版の製造方法について、前記感光性版材層は、数十μmの膜厚に形成し、前記クッション層が露出するように、前記感光性版材層にグラビアセルを形成することもできる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態にかかるクッション性を有するグラビア版の製造方法を図面を参照して説明する。
【0030】
図1(a)〜(g)において、符号1はアルミニウム製のロール状の版基材、符号2はゴムまたはクッション性を有する樹脂からなる5〜10ミリ位の厚さのクッション層、符号3は感光性版材層、符号4はマスク、符号5はセル、符号6はDLC膜である。
【0031】
この実施態様のグラビア版の製造方法は、
先ず、図1(a),(b)に示すように、版基材1の表面にクッション層2と感光性版材層3を積層する。版基材1は、両端に被チャック孔を有する中空形状で、外面が真円かつ円筒に精密研磨されたアルミニウム製(鉄製でもよい)円筒体(平版にあっては板状体)とする。クッション層2は、ゴム、又は樹脂からなり、5〜10cm(1〜2mmでもよい)の均一な厚さで表面の平滑度が高いシート状のものを、継ぎ目に隙間が開かないように版基材1に巻付け強固に接着しその後精密円筒研磨・鏡面研磨してなる。感光性版材層3は、紫外線に対し光重合性を有し光重合反応の前後において又は反応後において適度のクッション性と耐刷力を有する感光性版材、具体的には、感光性エラストマー組成物(ジエン系ポリマー、エチレン性不飽和化合物、及び光重合開始剤を主成分とする、詳細は例えば特開平5−249695号公報)である。感光性版材層3は、数mmの厚さの表面平滑度が高いシート状であり継ぎ目に隙間が開かないように巻付け接着しその後精密円筒研磨してなる。感光性版材層3は、コーティングにより形成してもよく、一般に数μmの膜厚になる。感光性版材層3の膜厚は版の使用目的と関連してセルの深さに対応して決める。段ボール印刷等ではセルの深さを1ミリ以上とすることがあるのでそれよりも数mm厚くする。従って、シート状物を巻き付けて精密円筒研磨する。液晶パネル用ガラスへカラーフィルタを構成するためのマトリックス画像をカラー印刷するには、インキ膜厚が均一になるようにするため、セルを均一な5〜6μmの深さに形成する必要がある。従って、感光性版材層3をコーティングにより5〜6μmの厚さとなるように形成して、クッション層2が露出するようにセルを形成する。さらに好ましくは、クッション層2をシリコンゴムにより形成してセルに盛られるインキの液晶パネル用ガラスへの転移性を高めるのが良い。コンパクトディスク等も極めて薄いインキ膜厚となるのが良いので、セルの深さを数μmとする。感光性版材層3の膜厚は、1〜2mmで良いし、コーティングにより5〜6μmの薄膜としても良い。要は、感光性版材層3の形成の容易性、コスト、現像との関連で適宜に決定できる。
【0032】
続いて、図1(c),(d)に示すように、感光性版材層3の表面にグラビア画像であるマスク画像を有するマスク4を積層し又は密着して重ね、紫外線を必要な時間だけ照射し、感光性版材層3の必要な部分に光重合反応を生じさせ、現像液に対して非画線部を不溶化する。
【0033】
従って、感光性版材層3は、紫外線照射により光重合反応を起こし現像液に対して不溶性になる感光剤又は感光性シート状物をクッション層2にコートし又は積層してなり、
これに対して、マスク4は、カーボン含有ポリマーよりなる黒色コート剤、又は、ネガチブのフォトクロミック剤をコーティングにより成膜し、YAGレーザ或いは半導体レーザを照射することにより、グラビア画像の非画線部に対応させて感光性版材層3を飛ばして露出するか透過するように形成してなるか、
又は、グラビア画像の非画線部が透明であるネガチブのマスクフィルムであるか、又は、感光剤を前記感光性版材層にコートし電磁波照射により光重合反応を起こし現像することにより形成するネガチブのレジスト画像とする。
【0034】
前記カーボン含有ポリマーよりなる黒色コート剤とは、特に、ニトロセルロース又はパラヒドロキシスチレンと、ブラックカーボンを混ぜ合わせてなるものを選択すると、半導体レーザによる焼付けが良好にでき省エネルギーが図れる。
【0035】
ネガチブのフォトクロミック剤とは、有色のときに紫外線遮蔽性を有しレーザ照射により透明になる有機フォトクロミック分子単独、又は有機フォトクロミック分子と高分子との相溶体であり、半導体レーザによる焼付けが良好にでき省エネルギーが図れる。
【0036】
続いて、図1(e),(f)に示すように、マスクを除いて現像して感光性版材層3の光重合した部分を残し未露光部分をクッション層2が露出しない限度に現像液に溶解してセル5を形成し続いて紫外線を全面照射して感光性版材層3の光重合しなかった部分も光重合させて安定化処理する。
【0037】
感光性版材層3である感光性エラストマー組成物に対する現像液は、例えば、特開平4−18564号公報に特開平4−285967号公報、特開平5−249695号公報、特開平6−258847号公報、特開平7−234523号公報、特開平8−95257号公報のそれぞれに示される現像剤を使用できる。
【0038】
この実施の形態では、感光性版材層3にクッション層2が露出しないようにセル5を形成するが、上記のように、液晶パネル用ガラスへカラーフィルタを構成するためのマトリックス画像をカラー印刷するためのものであるときは、感光性版材層3をコーティングにより5〜6μmの厚さとなるように形成して、クッション層2が露出するようにセル5を形成する。
【0039】
最後に、図1(g)に示すように、感光性版材層3のセル5が形成された表面にプラズマCVD法やスパッタリング等の薄膜形成技術により、DLC膜をコートして高い耐刷力を付与して印刷版とする。DLCは、ダイヤモンドライクカーボン=硬質炭素化合物である。DLC膜は、薄膜形成技術の種類により膜厚が異なるが、3μm位の膜厚に形成できるが、0.5μm位の膜厚でも充分である。DLC膜は、被覆対象物によって硬さが異なるが、ゴム等に形成するものは、硬質クロムメッキよりも若干軟らかい硬さが得られる。
【0040】
なお、高い耐刷力を求めるものでなければ、図1(e),(f)に示すように、感光性版材層3にセル5を形成した状態にて印刷版として供しても良い。
【0041】
本願発明のクッション性を有するグラビア版の製造方法は、感光性版材層3がポジチブである場合も含む。
【0042】
すなわち、本願発明のクッション性を有するグラビア版の製造方法においては、
感光性版材層は、紫外線照射により光反応を起こし現像液に対して可溶性になる感光剤又は感光性シート状物を前記クッション層にコーティングにより薄膜形成し又は積層してなり、
これに対して、マスクは、
カーボン含有ポリマーよりなる黒色コート剤、又は、ポジチブのフォトクロミック剤を前記感光性版材層にコートして、レーザ照射により、前記グラビア画像の画線部に対応させて前記感光性版材層を露出又は透過するように形成してなるか、
又は、前記グラビア画像の画線部が透明であるポジチブのマスクフィルムであるか、
又は、感光剤を前記感光性版材層にコートし電磁波照射により光反応を起こし現像することにより形成するポジチブのレジスト画像である場合も含む。
【0043】
従って、マスクした感光性版材層を紫外線照射するとグラビア画像の画線部が光反応を起こし現像液に対して可溶性になり、マスクを除いて現像を行うと、グラビアセルを形成でき、DLC膜をコートすれば、高い耐刷力が得られる。
感光性版材層3がネガチブとポジチブのいずれであっても上記の現像液が使用できる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明のクッション性を有するグラビア版の製造方法によれば、
ゴムまたは樹脂からなるクッション層の表面に、紫外線に対し光反応性を有し光反応の前後において又は反応後において適度のクッション性と耐刷力を有する感光性版材層を形成し、該感光性版材層の表面に、紫外線を遮断するグラビア画像であるマスク画像を有するマスクを重ね、紫外線を照射して前記感光性版材層に光反応を生じさせ、前記マスクを除いて現像することにより、前記感光性版材層の表面にグラビアセルを形成する構成であるか、さらに表面にDLC膜をコートする構成であるので、
印刷版に、クッション性を持たせることができ、硬質な被印刷物に対してブランケットロールを用いないダイレクトなグラビア印刷が可能であり、液晶パネル用ガラスへカラーフィルタを構成するためのマトリックス画像をカラー印刷したり、あるいはコンパクトディスク等に画像をカラー印刷するのに好適であり、また、段ボール印刷等、粗面に対する印刷も良好にできる。
【0045】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態にかかるクッション性を有するグラビア版の製造方法に係り、(a)は版基材にクッション層を形成しさらにクッション層の表面に感光性版材層を形成してなるグラビア用版材を示す断面図、(b)はグラビア用版材の拡大断面図、(c)はグラビア用版材の感光性版材層にマスクを密着して重ねて紫外線を照射した状態を示す拡大断面図、(d)はグラビア用版材の感光性版材層の光重合した部分と未露光部分を示す一層拡大した断面図、(e)は現像して感光性版材層の光重合した部分を残し未露光部分をクッション層が露出しない限度に現像液に溶解してセルを形成し続いて紫外線を全面照射して感光性版材層の光重合の完全化処理する状態を示す拡大断面図、(f)は感光性版材層に形成したセルを示す一層拡大した断面図、(g)は感光性版材層にセルを形成した後にDLC膜を形成した状態を示す拡大断面図である。
【0046】
【符号の説明】
1 ・・・・版基材
2 ・・・・クッション層
3 ・・・・感光性版材層
4 ・・・・マスク
5 ・・・・セル
6 ・・・・DLC膜
Claims (9)
- 中空円筒体からなる版基材の表面に形成されたゴムからなるクッション層の表面に、紫外線に対し光重合性を有する感光性エラストマー組成物からなる感光性版材層を形成し、該感光性版材層の表面に、紫外線を遮断するグラビア画像であるマスク画像を有するマスクを重ね、紫外線を照射して前記感光性版材層に光重合反応を生じさせ、前記マスクを除いて現像することにより、前記感光性版材層の表面にグラビアセルを形成することを特徴とするクッション性を有するグラビア版の製造方法。
- 中空円筒体からなる版基材の表面に形成された樹脂からなるクッション層の表面に、紫外線に対し光重合性を有する感光性エラストマー組成物からなる感光性版材層を形成し、該感光性版材層の表面に、紫外線を遮断するグラビア画像であるマスク画像を有するマスクを重ね、紫外線を照射して前記感光性版材層に光重合反応を生じさせ、前記マスクを除いて現像することにより、前記感光性版材層の表面にグラビアセルを形成することを特徴とするクッション性を有するグラビア版の製造方法。
- 前記感光性版材層は、紫外線照射により光重合反応を起こし現像液に対して不溶性になる感光剤又は感光性シート状物を前記クッション層にコーティングにより薄膜形成し又は積層してなり、これに対して、前記マスクは、カーボン含有ポリマーよりなる黒色コート剤、又は、ネガチブのフォトクロミック剤を前記感光性版材層にコートして、レーザ照射により、前記グラビア画像の非画線部に対応させて前記感光性版材層を露出又は透過するように形成してなるか、又は、前記グラビア画像の非画線部が透明であるネガチブのマスクフィルムであるか、又は、感光剤を前記感光性版材層にコートし電磁波照射により光重合反応を起こし現像することにより形成するネガチブのレジスト画像である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のクッション性を有するグラビア版の製造方法。
- 中空円筒体からなる版基材の表面に形成されたゴムからなるクッション層の表面に、紫外線に対し光反応性を有する感光性エラストマー組成物からなる感光性版材層を形成し、該感光性版材層の表面に、紫外線を遮断するグラビア画像であるマスク画像を有するマスクを重ね、紫外線を照射して前記感光性版材層に光反応を生じさせ、前記マスクを除いて現像することにより、前記感光性版材層の表面にグラビアセルを形成することを特徴とするクッション性を有するグラビア版の製造方法。
- 中空円筒体からなる版基材の表面に形成された樹脂からなるクッション層の表面に、紫外線に対し光反応性を有する感光性エラストマー組成物からなる感光性版材層を形成し、該感光性版材層の表面に、紫外線を遮断するグラビア画像であるマスク画像を有するマスクを重ね、紫外線を照射して前記感光性版材層に光反応を生じさせ、前記マスクを除いて現像することにより、前記感光性版材層の表面にグラビアセルを形成することを特徴とするクッション性を有するグラビア版の製造方法。
- 前記感光性版材層は、紫外線照射により光反応を起こし現像液に対して可溶性になる感光剤又は感光性シート状物を前記クッション層にコーティングにより薄膜形成し又は積層してなり、これに対して、前記マスクは、カーボン含有ポリマーよりなる黒色コート剤、又は、ポジチブのフォトクロミック剤を前記感光性版材層にコートして、レーザ照射により、前記グラビア画像の画線部に対応させて前記感光性版材層を露出又は透過するように形成してなるか、又は、前記グラビア画像の画線部が透明であるポジチブのマスクフィルムであるか、又は、感光剤を前記感光性版材層にコートし電磁波照射により光反応を起こし現像することにより形成するポジチブのレジスト画像である、ことを特徴とする請求項4又は5に記載のクッション性を有するグラビア版の製造方法。
- 前記グラビアセルの形成された感光性版材層の表面にDLC膜をコートすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のクッション性を有するグラビア版の製造方法。
- 前記感光性版材層は、数十μmの膜厚に形成し、前記クッション層を露出しないように、前記感光性版材層にグラビアセルを形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のクッション性を有するグラビア版の製造方法。
- 前記感光性版材層は、数十μmの膜厚に形成し、前記クッション層が露出するように、前記感光性版材層にグラビアセルを形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のクッション性を有するグラビア版の製造方法。
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