JP4454258B2 - 発光装置及び電気器具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の電極間に有機化合物を含む膜(以下、「電界発光膜」と記す)を設けた素子に電界を加えることで、蛍光又は燐光が得られる発光素子を用いた発光装置及びその作製方法に関する。尚、本発明における発光装置とは、発光素子を用いた画像表示デバイス、発光デバイスもしくは光源(照明装置含む)を指す。また、発光素子にコネクター、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【0002】
【従来の技術】
薄型軽量、高速応答性、直流低電圧駆動などの特徴を有する材料を発光体として用いた発光素子は、次世代のフラットパネルディスプレイへの応用が期待されている。特に、発光素子をマトリクス状に配置した発光装置は、従来の液晶表示装置と比較して、視野角が広く視認性が優れる点に優位性があると考えられている。
【0003】
発光素子の発光機構は、一対の電極間に電界発光膜を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔が電界発光膜中の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に戻る際にエネルギーを放出して発光するといわれている。励起状態には一重項励起と三重項励起が知られ、発光はどちらの励起状態を経ても可能であると考えられている。
【0004】
このような発光装置には、パッシブマトリクス駆動(単純マトリクス型)とアクティブマトリクス駆動(アクティブマトリクス型)といった駆動方法を用いることが可能である。しかし、画素密度が増えた場合には、画素(又は1ドット)毎にスイッチが設けられているアクティブマトリクス型の方が低電圧駆動できるので有利であると考えられている。
【0005】
アクティブマトリクス型の発光装置としては、絶縁表面上に薄膜トランジスタ(以下、TFTとよぶ)を形成した後、TFT上に形成された層間絶縁膜を介してTFTと電気的に接続された発光素子が形成されるのが一般的である。なお、発光素子は陽極、電界発光膜および陰極とから形成されている。
【0006】
また、これまでアクティブマトリクス型の発光装置としては、TFTと電気的に接続された電極は陽極であり、陽極上に電界発光膜、陰極を順次積層して形成される発光素子(順積み型)において、電界発光膜において生じた光を陽極からTFT側(すなわち基板側)へ取り出す構造(下面出射構造)が主流である。従って、この場合における陽極材料としては、イオン化ポテンシャル(金属の場合は仕事関数と同値)が大きい上に可視光を透過する導電性材料が用いられており、代表的には、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)がある。
【0007】
しかし、この構造においては、解像度を向上させようとすると画素部におけるTFT及び配線等の配置により開口率が制限されるという問題が生じることから近年、陰極側(基板と反対側であって、電界発光膜上に後から形成される電極側)から光を取り出すという構造(上面出射構造)が注目されつつある(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−43980号公報。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上面出射構造の発光装置の作製において、先に説明したような順積み型を形成する場合に発光素子の陽極材料として適するITO等の透明導電膜を用いると、可視光を透過するがゆえに基板側で光漏れを起こしてしまう等の問題が生じる。従って、イオン化ポテンシャルが大きく導電性があるというメリットを理由に、順積み型の上面出射型素子の陽極として透明導電膜を用いる場合は、その下に光を透過しない材料を成膜するなどの光の遮断が必要となり、プロセスは煩雑になってしまう。
【0010】
また、順積み型の上面出射構造を有する発光素子の陽極として金属膜を用いる場合には、光を遮断することはできるが、ITOほどイオン化ポテンシャルが大きい材料となると金や白金のような貴金属になるため、コスト的に問題が生じる。また、金属と電界発光膜を形成する材料との密着性が悪いといった問題がある。
【0011】
一方、TFTと電気的に接続された電極が陰極であり、陰極上に電界発光膜、陽極を順次積層して形成される発光素子(逆積み型)で上面出射構造を形成すれば、陽極にはITOを用いればよいため、上面から光を取り出すことに関しては容易となる。しかしながらこの場合、陰極としてはイオン化ポテンシャルの小さい金属を使用することになるため、電界発光膜を形成する材料との密着性が悪く、電子注入が行われにくいといった問題がある。
【0012】
つまり、上面出射構造を有する発光素子においては、順積み・逆積みいずれの場合においても、電極のイオン化ポテンシャルという制限のために上述したような困難が生じている。
【0013】
そこで本発明では、上面出射構造を有する発光素子において、電極(特に基板に接している側の電極)のイオン化ポテンシャルを考慮することなく、容易に作製される発光素子およびその作製方法を提供することを目的とする。また、この発光素子を利用し、高効率で、かつ安価に作製できる発光装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、図1(A)に示すように仕事関数を問題とすることなく遮光性または反射性を有する汎用金属(具体的にはTiやAlなどの配線材料)により形成された第1の電極101と、第1の電極101上に導電性を有する高分子材料を塗布して形成された導電性高分子層102と、導電性高分子層102と接して形成された電界発光膜103と、電界発光膜103上に形成された透光性を有する第2の電極104とからなる上面出射構造の発光装置を考えた。
【0015】
なお、本発明では導電性高分子層102を形成する材料として、導電性高分子層102と接する第1の電極101からキャリアを引き抜く機能を有するレドックスポリマー(酸化還元性高分子)や、キャリアの存在確率を高めるためにドーパント(ドナーまたはアクセプター)がドーピングされたポリマーを用いることを特徴とする。
【0016】
なお、導電性高分子層102にレドックスポリマーを用いた場合には、図1(B)に示すような反応が第1の電極101との界面において生じる。まず、第1の電極101が陽極の場合には、レドックスポリマーが還元剤として機能するため、第1の電極101との界面において、第1の電極からホール(正孔)を引き抜くように(言い換えれば、電子を放出するように)働き、自身はキャリア(ホール)として存在することになる。一方、第1の電極101が陰極の場合には、レドックスポリマーが酸化剤として機能するため、第1の電極101との界面において、第1の電極101から電子を引き抜くように働き、自身はキャリア(電子)として存在することになる。従って、第1の電極101が陽極または陰極のいずれの場合であっても、レドックスポリマーが第1の電極101からキャリアを引き抜くために働くので、第1の電極101からのキャリアの注入性を高めることができる。
【0017】
また、導電性高分子層102にドーパントがドープされたポリマーを用いる場合において、第1の電極101が陽極の場合には、ドーパントとしてアクセプター性分子がドープされたポリマーを用い、第1の電極101が陰極の場合には、ドーパントとしてドナー性分子がドープされたポリマーを用いる。
【0018】
図1(C)には、導電性高分子層102にアクセプター性分子がドープされた場合の概念図を示す。この場合、第1の電極(陽極)101は、導電性高分子中に存在するアクセプター準位から電子の引き抜きを行い、同時にアクセプター準位にホールを導電性高分子層中に注入する。なお、注入されたホールは、導電性高分子層におけるHOMO準位に移動し、さらに、電界発光膜103のHOMO準位に移動する。なお、この場合において、第1の電極101から導電性高分子層への移動は、エネルギー差がほとんどないところで行われるために容易に行われる。また、注入されたホールがアクセプター準位から電界発光膜103のHOMO準位へ移動する場合も直接第1の電極101から注入される場合に比べてエネルギー差が緩和されているので、第1の電極からのホールの注入性を向上させることができる。
【0019】
また、図1(D)には、導電性高分子層102にドナー性分子がドープされた場合の概念図を示す。この場合、第1の電極(陰極)101から導電性高分子層102中に存在するドナー準位に電子の注入が行われる。なお、注入された電子は、導電性高分子層102におけるLUMO準位に移動し、さらに、電界発光膜103のLUMO準位に移動する。なお、この場合において、第1の電極101から導電性高分子層への移動は、エネルギー差がほとんどないところで行われるために容易に行われる。また、注入された電子が導電性高分子層102におけるLUMO準位から電界発光膜103のLUMO準位へ移動する場合も直接第1の電極101から注入される場合に比べてエネルギー差が緩和されているので第1の電極からの電子の注入性を向上させることができる。
【0020】
なお、本発明の構成は、第1の電極、導電性高分子層、電界発光膜、および第2の電極を有する発光装置であって、前記導電性高分子層は、レドックスポリマーからなり、かつ前記第1の電極及び前記電界発光膜の間に接して形成され、前記第2の電極は透明性導電膜からなることを特徴とする発光装置である。
【0021】
なお、上記構成において、前記第1の電極を陽極として機能させる場合には、電界発光膜を構成する正孔輸送層および電子輸送層のうち、正孔輸送層が導電性高分子層と接する構造を有し、前記第2の電極を仕事関数の小さい材料(具体的には、仕事関数が3.5eV以下が好ましい)で形成することを特徴とする。
【0022】
また、上記構成において、前記第1の電極を陰極として機能させる場合には、電界発光膜を構成する正孔輸送層および電子輸送層のうち、電子輸送層が導電性高分子層と接する構造を有し、前記第2の電極を仕事関数の大きい材料(具体的には、仕事関数が4.0eV以上が好ましい)で形成することを特徴とする。
【0023】
さらに本発明の他の構成は、第1の電極、導電性高分子層、電界発光膜、および第2の電極からなる発光素子を有する発光装置であって、前記第1の電極は陽極として機能し、前記導電性高分子層は、アクセプター材料がドーピングされた導電性高分子材料からなり、かつ前記第1の電極及び前記電界発光膜の間に接して形成され、前記第2の電極は透明性導電膜からなることを特徴とする発光装置である。
【0024】
なお、上記構成において、前記第1の電極を陽極として機能させる場合には、第1の電極を仕事関数の大きい材料で形成することが好ましく、電界発光膜を構成する正孔輸送層および電子輸送層のうち、電子輸送層が導電性高分子層と接する構造を有し、前記第2の電極を仕事関数の小さい材料で形成することを特徴とする。
【0025】
さらに本発明の他の構成は、第1の電極、導電性高分子層、電界発光膜、および第2の電極からなる発光素子を有する発光装置であって、前記第1の電極は陰極として機能し、前記導電性高分子層は、ドナー材料がドーピングされた導電性高分子材料からなり、かつ前記第1の電極及び前記電界発光膜の間に接して形成され、前記第2の電極は透明性導電膜からなることを特徴とする発光装置である。
【0026】
なお、上記構成において、前記第1の電極を陰極として機能させる場合には、第1の電極を仕事関数の小さい材料で形成することが好ましく、電界発光膜を構成する正孔輸送層および電子輸送層のうち、正孔輸送層が導電性高分子層と接する構造を有し、前記第2の電極を仕事関数の大きい材料で形成することを特徴とする。
【0027】
上記各構成において、電界発光膜は、公知の材料を用いることができ、低分子系または高分子系の有機材料、および無機材料を単層もしくは複数組み合わせて積層することにより形成される。
【0028】
以上のような構成とすることで、導電性高分子層と接して形成される電極材料の仕事関数を従来のように気にすることなく発光素子を形成することができるので、電極材料の選択の幅を広げることができる。例えば、TFTと接続された発光素子を有する発光装置を作製する場合には、TFTと発光素子を電気的に接続するための配線を発光素子の電極として用いることもできるため、電極を配線と別工程で作製する場合に比べて、プロセスを簡略化することができるので低コスト化を実現すると共に、歩留まりの向上が可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態1においては、図2(A)に示すように第1の電極201上に導電性高分子層としてレドックスポリマーからなるレドックスポリマー層202が形成され、レドックスポリマー層202上に電界発光膜203が形成され、その上に第2の電極204が形成される場合について説明する。
【0030】
なお、第1の電極201は陽極として機能する電極であるため、通常は仕事関数の大きい陽極材料で形成されるが、ここでは第1の電極201がレドックスポリマー層202と接して形成されるため、特に仕事関数の大きい材料を用いる必要はないが、本発明において、第1の電極201に遮光性、もしくは反射性を持たせるような金属材料を用いることが好ましい。具体的には、図2(B)で示すようにAlを120nm程度の膜厚で形成することができる。
【0031】
次に、第1の電極201上にレドックスポリマー層202が形成される。なお、レドックスポリマー層202を形成する材料としては、エメラルディン・ベース・ポリアニリン(以下、EB−PAniと示す)を用いることができ、20〜50nm(好ましくは30nm)の膜厚で形成される。なお、その他、公知のレドックスポリマーを用いることも可能である。
【0032】
次に、レドックスポリマー層202上に電界発光膜203が形成される。電界発光膜203は、単一の材料で形成されていても良いが、複数の材料によって形成された積層構造としても良い。
【0033】
なお、積層構造の場合には、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層(ブロッキング層)、電子輸送層、電子注入層などの各機能を有する層を組み合わせて、少なくとも発光性を有する層を含む構成にすればよい。
【0034】
本実施の形態1では、図2(B)に示すように電界発光膜203を正孔輸送層211および電子輸送層212との積層構造で形成することとする。具体的には、正孔輸送層211は正孔輸送性の材料である4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(以下、α−NPDと示す)を50nmの膜厚とし、電子輸送層212を電子輸送性の材料であるトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(以下、Alq3と示す)を50nmの膜厚とすることにより形成する。なお、この積層構造の場合には、電子輸送層212を形成するAlq3が発光性を有する。
【0035】
次に、電界発光膜203上に第2の電極204が形成される。なお、第2の電極204は陰極として機能する電極であるため仕事関数の小さい陰極材料で形成される。なお、陰極204は、単一の材料で形成された単層構造であっても良いが、複数の材料からなる積層構造で形成されていても良い。本実施の形態1では、図2(B)に示すようにフッ化リチウム(LiF)を2nm、アルミニウム(Al)を20nmの膜厚としたものを積層することにより陰極204が形成される場合について示す。なお、この場合には、LiFを用いることにより陰極204の仕事関数を小さくすることができると共に、Alを用いることにより陰極204の導電性を高めるという複数の機能を兼ね備えた電極形成が実現される。なお、陰極材料としては、仕事関数の小さい公知の材料を自由に組み合わせて用いることができる。
【0036】
また、ここで形成される第2の電極204は電界発光膜203で生じた光を透過して、外部に放出させる必要があることから、可視光が透過する程度の透過率を確保する必要がある。具体的には、可視光の透過率が30%以上であることが好ましい。
【0037】
(実施の形態2)
本実施の形態2では、図3(A)に示すように第1の電極301上に導電性高分子層としてポリマーにドーパントがドープされたドーピング層302が形成され、その上に第2の電極304が形成される場合について説明する。
【0038】
本実施の形態2においても実施の形態1と同様に第1の電極301は陽極として機能する電極である。なお、第1の電極301を形成する材料としては、仕事関数の大きい材料(具体的には、仕事関数が4.0eV以上の材料)を用いることが好ましい。
【0039】
次に、第1の電極301上にドーピング層302が形成される。なお、本実施の形態2におけるドーピング層302は、p型であり、高分子材料とアクセプター性分子であるドーパントを用いて形成する。具体的には、高分子材料であるポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDOTと示す)にポリスチレンスルホン酸(以下、PSSと示す)をドーピングしたものを用いることができ、20〜50nm(好ましくは、30nm)の膜厚で形成される。なお、高分子材料およびアクセプター性分子であるドーパントとしてその他の公知の材料を用いることも可能である。
【0040】
次にドーピング層302上に電界発光膜303が形成される。電界発光膜303は、単一の材料で形成されていても良いが、複数の材料によって形成された積層構造としても良い。
【0041】
なお、積層構造の場合には、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層(ブロッキング層)、電子輸送層、電子注入層などの各機能を有する層を組み合わせて、少なくとも発光性を有する層を含む構成にすればよい。
【0042】
本実施の形態2では、図3(B)に示すように電界発光膜303を正孔輸送層311および電子輸送層312との積層構造で形成することとする。具体的には、正孔輸送層311は正孔輸送性の材料であるα−NPDを50nmの膜厚とし、電子輸送層312を電子輸送性の材料であるAlq3を50nmの膜厚とすることにより形成する。なお、この積層構造の場合には、電子輸送層312を形成するAlq3が発光性を有する。
【0043】
次に、電界発光膜303上に第2の電極304が形成される。なお、第2の電極304は陰極として機能する電極であるため仕事関数の小さい陰極材料で形成される。なお、陰極304は、単一の材料で形成された単層構造であっても良いが、複数の材料からなる積層構造で形成されていても良い。本実施の形態2では、図3(B)に示すようにLiFを2nm、Alを20nmの膜厚としたものを積層することにより陰極304が形成される場合について示す。この場合には、LiFを用いることにより陰極304の仕事関数を小さくすることができると共に、Alを用いることにより陰極304の導電性を高めるという複数の機能を兼ね備えた電極形成が実現される。なお、陰極材料としては、仕事関数の小さい公知の材料を自由に組み合わせて用いることができる。
【0044】
また、ここで形成される第2の電極304は電界発光膜で生じた光を透過して、外部に放出させる必要があることから、可視光が透過する程度の透過率を確保する必要がある。具体的には、可視光の透過率が30%以上であることが好ましい。
【0045】
(実施の形態3)
本実施の形態3においては、図4(A)に示すように第1の電極401上に導電性高分子層としてレドックスポリマーからなるレドックスポリマー層402が形成され、レドックスポリマー層402上に電界発光膜403が形成され、その上に第2の電極404が形成される場合について説明する。
【0046】
なお、第1の電極401は陰極として機能する電極であるため、通常は仕事関数の小さい陰極材料で形成されるが、ここでは第1の電極401がレドックスポリマー層402と接して形成されるため、特に仕事関数の小さい材料を用いる必要はないが、本発明において、第1の電極401に遮光性、もしくは反射性を持たせるような金属材料を用いることが好ましい。具体的には、図4(B)で示すようにAlを120nm程度の膜厚で形成することができる。
【0047】
次に、第1の電極401上にレドックスポリマー層402が形成される。なお、レドックスポリマー層402を形成する材料としては、EB−PAniを用いることができ、20〜50nm(好ましくは30nm)の膜厚で形成される。なお、その他、公知のレドックスポリマーを用いることも可能である。
【0048】
次に、レドックスポリマー層402上に電界発光膜403が形成される。電界発光膜403は、単一の材料で形成されていても良いが、複数の材料によって形成された積層構造としても良い。
【0049】
なお、積層構造の場合には、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層(ブロッキング層)、電子輸送層、電子注入層などの各機能を有する層を組み合わせて、少なくとも発光性を有する層を含む構成にすればよい。
【0050】
本実施の形態3では、図4(B)に示すように電界発光膜403を電子輸送層411、正孔輸送層412、および正孔注入層413との積層構造で形成することとする。具体的には、電子輸送層411は電子輸送性の材料であるAlq3を50nmの膜厚とし、正孔輸送層412は正孔輸送性の材料であるα−NPDを30nmの膜厚とし、正孔注入層43は正孔輸送性の材料である銅フタロシアニン(以下、Cu−Pcと示す)を20nmの膜厚とすることにより形成する。なお、この積層構造の場合には、電子輸送層411を形成するAlq3が発光性を有する。
【0051】
次に、電界発光膜403上に第2の電極404が形成される。なお、第2の電極404は陽極として機能する電極であるため仕事関数の大きい陽極材料で形成される。なお、第2の電極404は、単一の材料で形成された単層構造であっても良いが、複数の材料からなる積層構造で形成されていても良い。本実施の形態3では、図4(B)に示すように金(Au)を20nmの膜厚としたものを積層することにより第2の電極404が形成される場合について示す。なお、第2の電極404に用いる陽極材料としては、仕事関数の大きい公知の材料を自由に組み合わせて用いることができる。
【0052】
また、ここで形成される第2の電極404は電界発光膜403で生じた光を透過して、外部に放出させる必要があることから、可視光が透過する程度の透過率を確保する必要がある。具体的には、可視光の透過率が30%以上であることが好ましい。
【0053】
(実施の形態4)
本実施の形態4では、図5(A)に示すように第1の電極501上に導電性高分子層としてポリマーにドーパントがドープされたドーピング層502が形成され、その上に第2の電極504が形成される場合について説明する。
【0054】
本実施の形態4においても実施の形態3と同様に第1の電極501は陰極として機能する電極である。なお、第1の電極501を形成する材料としては、仕事関数の小さい材料(具体的には、仕事関数が3.5eV以下の材料)を用いることが好ましい。
【0055】
次に、第1の電極501上にドーピング層502が形成される。なお、本実施の形態4におけるドーピング層502は、n型であり、高分子材料とドナー性分子であるドーパントを用いて形成する。具体的には、高分子材料でありレドックスポリマーでもあるEB−PAniにテトラチアフルバレン(以下、TTFと示す)をドーピングしたものを用いることができ、20〜50nm(好ましくは、30nm)の膜厚で形成される。なお、高分子材料およびドナー性分子であるドーパントとしてその他の公知の材料を用いることも可能である。
【0056】
次にドーピング層502上に電界発光膜503が形成される。電界発光膜503は、単一の材料で形成されていても良いが、複数の材料によって形成された積層構造としても良い。
【0057】
なお、積層構造の場合には、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層(ブロッキング層)、電子輸送層、電子注入層などの各機能を有する層を組み合わせて、少なくとも発光性を有する層を含む構成にすればよい。
【0058】
本実施の形態4では、図5(B)に示すように電界発光膜503を電子輸送層511、正孔輸送層512、および正孔注入層513との積層構造で形成することとする。具体的には、電子輸送層511は電子輸送性の材料であるAlq3を50nmの膜厚とし、正孔輸送層512は正孔輸送性の材料であるα−NPDを30nmの膜厚とし、正孔注入層513は正孔注入性の材料であるCu−Pcを20nmの膜厚とすることにより形成する。なお、この積層構造の場合には、電子輸送層511を形成するAlq3が発光性を有する。
【0059】
次に、電界発光膜503上に第2の電極504が形成される。なお、第2の電極504は陽極として機能する電極であるため仕事関数の大きい陽極材料で形成される。なお、第2の電極504は、単一の材料で形成された単層構造であっても良いが、複数の材料からなる積層構造で形成されていても良い。本実施の形態4では、図5(B)に示すようにAuを20nmの膜厚とすることにより形成される。
【0060】
また、ここで形成される第2の電極504は電界発光膜503で生じた光を透過して、外部に放出させる必要があることから、可視光が透過する程度の透過率を確保する必要がある。具体的には、可視光の透過率が30%以上であることが好ましい。
【0061】
【実施例】
以下に、本発明の実施例について説明する。
【0062】
(実施例1)
本実施例では、絶縁表面を有する基板上に形成されたTFTと発光素子が接続された発光パネルを作製する例を図6に示す。本実施例では画素部において発光素子と接続される一つのTFTの断面図を示す。
【0063】
まず、絶縁表面を有する基板601上に半導体層を形成する。なお、ここでは図示しないが基板601上に酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜などの絶縁膜の積層からなる下地絶縁膜を形成することもできる。
【0064】
半導体層は、非晶質構造を有する半導体膜を公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により成膜した後、公知の結晶化処理(レーザー結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの触媒を用いた熱結晶化法等)を行って得られた結晶質半導体膜を所望の形状にパターニングして形成する。この半導体層の厚さは25〜80nm(好ましくは30〜60nm)の厚さで形成する。結晶質半導体膜の材料に限定はないが、好ましくはシリコンまたはシリコンゲルマニウム合金などで形成すると良い。
【0065】
また、レーザー結晶化法で結晶質半導体膜を作製する場合には、パルス発振型または連続発光型のエキシマレーザーやYAGレーザー、YVO4レーザーを用いることができる。これらのレーザーを用いる場合には、レーザー発振器から放射されたレーザー光を光学系で線状に集光し半導体膜に照射する方法を用いると良い。結晶化の条件は実施者が適宣選択するものであるが、エキシマレーザーを用いる場合はパルス発振周波数30Hzとし、レーザーエネルギー密度を100〜400mJ/cm2(代表的には200〜300mJ/cm2)とする。また、YAGレーザーを用いる場合にはその第2高調波を用いパルス発振周波数1〜10kHzとし、レーザーエネルギー密度を300〜600mJ/cm2(代表的には350〜500mJ/cm2)とすると良い。そして幅100〜1000μm、例えば400μmで線状に集光したレーザー光を基板全面に渡って照射し、この時の線状レーザー光の重ね合わせ率(オーバーラップ率)を80〜98%として行えばよい。
【0066】
次いで、半導体層の表面をフッ酸を含むエッチャントで洗浄し、半導体層を覆うゲート絶縁膜605を形成する。ゲート絶縁膜605はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを40〜150nmとしてシリコンを含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により115nmの厚さで酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)で形成する。勿論、ゲート絶縁膜は酸化窒化シリコン膜に限定されるものでなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0067】
次いで、ゲート絶縁膜605の表面を洗浄した後、ゲート電極606を形成し、さらに半導体にp型を付与する不純物元素(B:ボロンなど)、ここではボロンを適宜添加して、ソース領域603及びドレイン領域604を形成する。なお、不純物元素を添加した後、不純物元素を活性化するために加熱処理、強光の照射、またはレーザー光の照射を行う。また、活性化と同時にゲート絶縁膜へのプラズマダメージやゲート絶縁膜と半導体層との界面へのプラズマダメージを回復することができる。特に、室温〜300℃の雰囲気中において、表面または裏面からYAGレーザーの第2高調波を照射して不純物元素を活性化させることは非常に有効である。YAGレーザーはメンテナンスが少ないため好ましい活性化手段である。
【0068】
次いで、有機材料または無機材料からなる層間絶縁膜608を形成する。なお、ここでは、層間絶縁膜608を非感光性の有機樹脂膜で形成した後、窒化珪素膜からなる保護膜609を形成する場合について示す。
【0069】
次いで、ソース領域603、またはドレイン領域604に達するコンタクトホールを形成する。次いで、ソース領域603またはドレイン領域604と接続された配線607を形成してTFT622(pチャネル型TFT)を完成させる。このTFT622が発光素子616に供給する電流を制御するTFTとなる。なお、本実施例においては、ドレイン領域604と接続された配線は、次に形成される発光素子616の第1の電極611としての機能も有する。
【0070】
この第1の電極611は、発光素子616の陽極または陰極となる。次いで、第1の電極611の端部を覆う絶縁層(バンク、隔壁、障壁、土手などと呼ばれる)612を形成する。なお、絶縁層612は、感光性の有機樹脂により形成される。次いで、第1の電極611上に導電性高分子層613を形成し、その上に電界発光膜614を形成し、さらに第2の電極615を形成して発光素子616を完成させる。この第2の電極615は、発光素子616の陰極または陽極となるが、第1の電極611とは異なる極性を示す。
【0071】
なお、本発明において、第1の電極611は、導電性高分子層613と接して形成されるので、第1の電極611を形成する電極材料は、導電性材料であり、さらに、光の取り出し効率を高めるために遮光性または反射性が要求されるが、これらの特性を備えつつ陽極として機能する場合には、仕事関数が大きく(具体的には仕事関数が4.0eV以上)、陰極として機能する場合には、仕事関数が小さい(具体的には仕事関数が3.5eV以下)材料であることがさらに好ましい。
【0072】
このように第1の電極611に用いる上記機能を備えた材料としては、具体的には、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、クロム(Cr)、銀(Ag)から選ばれた元素、もしくはこれらを含む合金を用いることができ、特に仕事関数も大きいものとしては、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、窒化ジルコニウム(ZrN)、窒化モリブデン(MoN)、窒化クロム(CrN)、窒化タングステン(WN)、炭化チタン(TiC)、炭化タンタル(TaC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化モリブデン(MoC)等の元素周期律の第4族、第5族、または第6族に属する元素の窒化物または炭化物が挙げられ、また、特に仕事関数も小さいものとしては、アルカリ金属やアルカリ金属を一部に含む金属材料を用いることができる。例えば、アルミニウム・リチウム合金(Al:Li)や、マグネシウム・銀合金(Mg:Ag)の他、AlとLiFを積層させたものを用いることができる。
【0073】
また、導電性高分子層613において、実施の形態1や実施の形態3で示したようにレドックスポリマー層を形成する場合には、EB−PAniやその他公知のレドックスポリマー(酸化還元性高分子材料)を用いて形成し、実施の形態2や実施の形態4で示したようにドーピング層を形成する場合には、PEDOTにPSSをドーピングしたもの(p−ドープポリマー)や、EB−PAniにTTFをドーピングしたもの(n−ドープポリマー)を用いて形成することができる。なお、これらの導電性高分子層613の形成に用いる溶媒としては、水、n−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の極性溶媒を用い、これらに各種材料を溶解させて溶液としたものを塗布法、スピンコート法により成膜する。
【0074】
電界発光膜614の形成には、公知の低分子系もしくは高分子系の電界発光材料を用いることができる。なお、本実施例では、低分子系の電界発光材料を用いて蒸着法により成膜する場合について説明する。電界発光膜614は、単一の材料からなる単層構造としても良いが、複数の材料を用いた積層構造とすることもできる。積層構造とする場合には、正孔輸送性材料からなる正孔輸送層、発光性材料からなる発光層、電子輸送性材料からなる電子輸送層を積層することにより形成される。なお、本発明における有機化合物層の積層構造は、ここで示す構成に限られることはなく、その他にも正孔注入材料からなる正孔注入層や、正孔阻止性材料からなるブロッキング層(正孔阻止層)を含めた積層構造とすることも可能である。以下に好適な材料をそれぞれ列挙する。ただし、本発明の電界発光膜614に用いる材料は、これらに限定されない。
【0075】
正孔輸送層を形成する正孔輸送材料としては、芳香族アミン系(すなわち、ベンゼン環−窒素の結合を有するもの)の化合物が好適である。広く用いられている材料として、例えば、先に述べたTPDの他、その誘導体であるα−NPDや、4,4',4''−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(以下、TDATAと示す)、4,4',4''−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(以下、MTDATAと示す)などのスターバースト型芳香族アミン化合物が挙げられる。
【0076】
発光層を形成する発光材料としては、具体的には、Alq3、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(以下、Almq3と示す)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(以下、BeBq2と示す)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−(4−ヒドロキシ−ビフェニリル)−アルミニウム(以下、BAlqと示す)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾオキサゾラト]亜鉛(以下、Zn(BOX)2と示す)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾチアゾラト]亜鉛(以下、Zn(BTZ)2と示す)などの金属錯体の他、各種蛍光色素が有効である。また、三重項発光材料も可能であり、白金ないしはイリジウムを中心金属とする錯体が主体である。三重項発光材料としては、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(以下、Ir(ppy)3と示す)、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン−白金(以下、PtOEPと示す)などが知られている。
【0077】
電子輸送層を形成する電子輸送材料としては、金属錯体がよく用いられ、先に述べたAlq3、Almq3、BeBq2などのキノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体や、混合配位子錯体であるBAlqなどが好適である。また、Zn(BOX)2、Zn(BTZ)2などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体もある。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(以下、PBDと示す)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(以下、OXD−7と示す)などのオキサジアゾール誘導体、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(以下、TAZと示す)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(以下、p−EtTAZと示す)などのトリアゾール誘導体、バソフェナントロリン(以下、BPhenと示す)、バソキュプロイン(以下、BCPと示す)などのフェナントロリン誘導体が電子輸送性を有する。
【0078】
なお、以上の材料を積層する場合には、陽極として機能する電極側から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層の順で積層する必要がある。但し、全ての層を必ずしも選択する必要はなく適宜選択して組み合わせることができる。なお、発光層に関しては、その他の層が発光性を示す場合には、積層構造に含めなくてもよい。
【0079】
また、第2の電極615は、本発明において電界発光膜614において生じた光を外部に出射するための電極であるため、透光性を有する材料で形成される必要がある。具体的には、透明性導電膜を用いたり、導電膜を薄膜化することにより可視光に対する透過率が30%以上となるようにする。また、第2の電極615も陽極、または陰極として機能するが、第1の電極611とは極性が異なる。
【0080】
第2の電極615が陰極として機能する場合には、第1の電極611に用いることができる材料として説明したように仕事関数の小さい(具体的には仕事関数が3.5eV以下)アルカリ金属やアルカリ金属を一部に含む金属材料を10〜20nm程度の薄膜で用いることができる。例えば、アルミニウム・リチウム合金(Al:Li)や、マグネシウム・銀合金(Mg:Ag)の他、AlとLiFの積層膜を用いることができる。
【0081】
これに対して、第2の電極615が陽極として機能する場合には、仕事関数の大きい(具体的には仕事関数が4.0eV以上)透明導電膜を用いることができる。例えば、酸化インジウム・スズ(ITO:indium tin oxide)膜や酸化インジウムに2〜20[%]の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜、およびIZO(indium zinc oxide)を用いることができる。また、第2の電極615は、電界発光膜614上に形成されることから蒸着法により形成される。
【0082】
以上により、基板上のTFTと接続された発光素子を備えた発光パネルが完成する。
【0083】
(実施例2)
本実施例では、実施例1で説明した発光パネルをアクティブマトリクス型の発光装置として完成させた際の全体の外観図について図7に説明する。なお、図7(A)は、発光装置を示す上面図、図7(B)は図7(A)をA−A’で切断した断面図である。点線で示された701はソース側駆動回路、702は画素部、703はゲート側駆動回路である。また、704は封止基板、705はシール剤であり、シール剤705で囲まれた内側707は、空間または樹脂(シール剤)になっている。
【0084】
なお、708はソース側駆動回路701及びゲート側駆動回路703に入力される信号を伝送するための接続配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)709からビデオ信号やクロック信号を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基盤(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0085】
次に、断面構造について図7(B)を用いて説明する。基板710上には駆動回路及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路としてソース側駆動回路701と画素部702が示されている。
【0086】
なお、ソース側駆動回路701はnチャネル型TFT723とpチャネル型TFT724とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路を形成するTFTは、公知のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施例では、基板上に駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、基板上ではなく外部に形成することもできる。
【0087】
また、画素部702はスイッチング用TFT711と、電流制御用TFT712とそのドレインに電気的に接続された第1の電極(陽極)713とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極(陽極)713の端部を覆って絶縁層714が形成されている。
【0088】
第1の電極713上には、本発明の導電性高分子層715、電界発光膜716および第2の電極(陰極)717がそれぞれ形成されている。なお、具体的な構成については、実施例1を参照すればよい。
【0089】
また、第2の電極717は全画素に共通の配線としても機能し、接続配線708を経由してFPC709に電気的に接続されている。
【0090】
また、基板710上に形成された発光素子718を封止するためにシール剤705により封止基板704を貼り合わせる。なお、封止基板704と発光素子718との間隔を確保するために樹脂膜からなるスペーサを設けても良い。そして、シール剤705の内側707は空間になっている。なお、シール剤705としてはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、シール剤705はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。
【0091】
また、本実施例では封止基板704を構成する材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass-Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、マイラー、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。また、シール剤705を用いて封止基板704を接着した後、さらに側面(露呈面)を覆うようにシール剤で封止することも可能である。
【0092】
以上のようにして発光素子718を空間707に封入することにより、発光素子を外部から完全に遮断することができ、外部から水分や酸素といった有機化合物層の劣化を促す物質が侵入することを防ぐことができる。従って、信頼性の高い発光装置を得ることができる。
【0093】
なお、本実施例は実施の形態1乃至4、および実施例1と自由に組み合わせることができる。
【0094】
(実施例3)
発光素子を用いた発光装置は自発光型であるため、液晶表示装置に比べ、明るい場所での視認性に優れ、視野角が広い。従って、本発明の発光装置を用いて様々な電気器具を完成させることができる。
【0095】
本発明により作製した発光装置を用いて作製された電気器具として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはデジタルビデオディスク(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。特に、斜め方向から画面を見る機会が多い携帯情報端末は、視野角の広さが重要視されるため、発光素子を有する発光装置を用いることが好ましい。それら電気器具の具体例を図8に示す。
【0096】
図8(A)は表示装置であり、筐体2001、支持台2002、表示部2003、スピーカー部2004、ビデオ入力端子2005等を含む。本発明により作製した発光装置をその表示部2003に用いることにより作製される。発光素子を有する発光装置は自発光型であるためバックライトが必要なく、液晶表示装置よりも薄い表示部とすることができる。なお、表示装置は、パソコン用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0097】
図8(B)はデジタルスチルカメラであり、本体2101、表示部2102、受像部2103、操作キー2104、外部接続ポート2105、シャッター2106等を含む。本発明により作製した発光装置をその表示部2102に用いることにより作製される。
【0098】
図8(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス2206等を含む。本発明により作製した発光装置をその表示部2203に用いることにより作製される。
【0099】
図8(D)はモバイルコンピュータであり、本体2301、表示部2302、スイッチ2303、操作キー2304、赤外線ポート2305等を含む。本発明により作製した発光装置をその表示部2302に用いることにより作製される。
【0100】
図8(E)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体2401、筐体2402、表示部A2403、表示部B2404、記録媒体(DVD等)読み込み部2405、操作キー2406、スピーカー部2407等を含む。表示部A2403は主として画像情報を表示し、表示部B2404は主として文字情報を表示するが、本発明により作製した発光装置をこれら表示部A、B2403、2404に用いることにより作製される。なお、記録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器なども含まれる。
【0101】
図8(F)はゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)であり、本体2501、表示部2502、アーム部2503を含む。本発明により作製した発光装置をその表示部2502に用いることにより作製される。
【0102】
図8(G)はビデオカメラであり、本体2601、表示部2602、筐体2603、外部接続ポート2604、リモコン受信部2605、受像部2606、バッテリー2607、音声入力部2608、操作キー2609、接眼部2610等を含む。本発明により作製した発光装置をその表示部2602に用いることにより作製される。
【0103】
ここで図8(H)は携帯電話であり、本体2701、筐体2702、表示部2703、音声入力部2704、音声出力部2705、操作キー2706、外部接続ポート2707、アンテナ2708等を含む。本発明により作製した発光装置をその表示部2703に用いることにより作製される。なお、表示部2703は黒色の背景に白色の文字を表示することで携帯電話の消費電力を抑えることができる。
【0104】
なお、将来的に有機材料の発光輝度が高くなれば、出力した画像情報を含む光をレンズ等で拡大投影してフロント型若しくはリア型のプロジェクターに用いることも可能となる。
【0105】
また、上記電気器具はインターネットやCATV(ケーブルテレビ)などの電子通信回線を通じて配信された情報を表示することが多くなり、特に動画情報を表示する機会が増してきている。有機材料の応答速度は非常に高いため、発光装置は動画表示に好ましい。
【0106】
また、発光装置は発光している部分が電力を消費するため、発光部分が極力少なくなるように情報を表示することが好ましい。従って、携帯情報端末、特に携帯電話や音響再生装置のような文字情報を主とする表示部に発光装置を用いる場合には、非発光部分を背景として文字情報を発光部分で形成するように駆動することが好ましい。
【0107】
以上の様に、本発明により作製された発光装置の適用範囲は極めて広く、本発明の発光装置をあらゆる分野の電気器具に適用することが可能である。また、本実施例の電気器具は実施の形態1〜実施の形態4、実施例1および実施例2を実施して作製された発光装置を用いることにより完成させることができる。
【0108】
【発明の効果】
本発明を実施することにより、アクティブマトリクス型の発光装置において開口率を問題としない上面出射構造の発光装置を作製することができる。また、発光装置が有する発光素子の第1の電極と接して導電性高分子層を形成することにより、第1の電極からのキャリアの注入性を向上させることができるので、第1の電極材料の選択においてイオン化ポテンシャルを特に考慮することなく作製することができる。そのため、材料選択の幅が広がるため、安価で、かつ高効率な発光装置を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の発光素子の素子構造について説明する図。
【図2】 第1の電極が陽極である発光素子の素子構造について説明する図。
【図3】 第1の電極が陽極である発光素子の素子構造について説明する図。
【図4】 第1の電極が陰極である発光素子の素子構造について説明する図。
【図5】 第1の電極が陰極である発光素子の素子構造について説明する図。
【図6】 TFTと接続された発光素子の構造について説明する断面図。
【図7】 発光装置について説明する図。
【図8】 電気器具について説明する図。
【符号の説明】
101 第1の電極
102 導電性高分子層
103 電界発光膜
104 第2の電極

Claims (6)

  1. 第1の電極、導電性高分子層、電界発光膜、および第2の電極が、順次積層された発光素子を有する発光装置であって、
    前記第1の電極は、遮光性または反射性を有する金属からなり、かつ陰極として機能し、
    前記導電性高分子層は、テトラチアフルバレンがドーピングされたエメラルディン・ベース・ポリアニリンからなり、かつ前記第1の電極及び前記電界発光膜の間にそれぞれ接して形成され、
    前記第2の電極は透明性導電膜からなり、かつ陽極として機能することを特徴とする発光装置。
  2. 請求項において、
    前記第1の電極は、前記薄膜トランジスタと、前記発光素子とを電気的に接続する配線として機能することを特徴とする発光装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記第1の電極は、アルミニウム、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、ニッケル、銅、クロム、銀、窒化チタン、窒化タンタル、窒化ジルコニウム、窒化モリブデン、窒化クロム、または窒化タングステンを有することを特徴とする発光装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一において、
    前記第2の電極は、可視光の透過率が30%以上であることを特徴とする発光装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一に記載の発光装置を表示部に含む電気器具。
  6. 請求項5において、前記電気器具は、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ヘッドマウントディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末、携帯電話機、携帯型ゲーム機、電子書籍、または画像再生装置であることを特徴とする電気器具。
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