JP2003168566A - 発光装置 - Google Patents

発光装置

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JP2003168566A
JP2003168566A JP2001367454A JP2001367454A JP2003168566A JP 2003168566 A JP2003168566 A JP 2003168566A JP 2001367454 A JP2001367454 A JP 2001367454A JP 2001367454 A JP2001367454 A JP 2001367454A JP 2003168566 A JP2003168566 A JP 2003168566A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 TFTの特性に影響を与えることなく、ま
た、これまで用いられてきたアルカリ金属やアルカリ土
類金属といった材料を用いた場合のように陰極からの電
子の注入性を向上させるような発光素子を提供する。 【解決手段】 陰極に接する有機化合物層に電子供与体
として機能する有機化合物(以下、ドナー性分子と示
す)をドーピングすることにより、陰極と有機化合物層
の間にそれぞれの最低空分子軌道(LUMO:Lowest U
noccupied Molecular Orbital)準位の間のドナー準位
を形成することができるので、陰極からの電子の注入、
および注入された電子の伝達を効率良く行うことができ
る。また、電子の移動に伴うエネルギーの余分な損失や
有機化合物層自体の変質等の問題もないことから陰極材
料の仕事関数に拘わらず電子の注入性を向上させると共
に駆動電圧の低下を実現することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一対の電極間に有
機化合物を含む膜(以下、「有機化合物層」と記す)を
設けた素子に電界を加えることで、蛍光又は燐光が得ら
れる発光素子を用いた発光装置及びその作製方法に関す
る。なお、本明細書中における発光装置とは、画像表示
デバイス、発光デバイス、もしくは光源を指す。また、
発光素子にコネクター、例えばFPC(Flexible printed
circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テー
プもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けら
れたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板
が設けられたモジュール、または発光素子にCOG(Chip
On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装された
モジュールも全て発光装置に含むものとする。
【0002】
【従来の技術】本発明でいう発光素子とは、電界を加え
ることにより発光する素子である。その発光機構は、電
極間に有機化合物層を挟んで電圧を印加することによ
り、陰極から注入された電子および陽極から注入された
正孔が有機化合物層中で再結合して、励起状態の分子
(以下、「分子励起子」と記す)を形成し、その分子励
起子が基底状態に戻る際にエネルギーを放出して発光す
ると言われている。
【0003】このような発光素子において、通常、有機
化合物層は1μmを下回るほどの薄膜で形成される。ま
た、発光素子は、有機化合物層そのものが光を放出する
自発光型の素子であるため、従来の液晶ディスプレイに
用いられているようなバックライトも必要ない。したが
って、発光素子は極めて薄型軽量に作製できることが大
きな利点である。
【0004】また、例えば100〜200nm程度の有
機化合物層において、キャリアを注入してから再結合に
至るまでの時間は、有機化合物層のキャリア移動度を考
えると数十ナノ秒程度であり、キャリアの再結合から発
光までの過程を含めてもマイクロ秒以内のオーダーで発
光に至る。したがって、非常に応答速度が速いことも特
長の一つである。
【0005】こういった薄型軽量・高速応答性・直流低
電圧駆動などの特性から、発光素子は次世代のフラット
パネルディスプレイ素子として注目されている。また、
自発光型であり視野角が広いことから、視認性も比較的
良好であり、携帯機器の表示画面に用いる素子として有
効と考えられている。
【0006】ところで、イーストマン・コダック社のT
angらは、素子の特性向上のために、キャリア輸送性
の異なる有機化合物を積層し、正孔と電子がそれぞれ陽
極、陰極よりバランス良く注入される構造とし、しかも
有機層の膜厚を200nm以下とすることで、10V以
下の印加電圧で1000cd/m2と外部量子効率1%
の実用化に充分な高輝度、高効率を得ることに成功して
いる(文献1:Appl.Phys.Lett.,51,913(1987))。な
お、この高効率素子において、Tangらは基本的に絶縁体
と見なされる有機化合物に対して、金属電極から電子を
注入する際に問題となるエネルギー障壁を低下させるた
め、仕事関数の小さいMg(マグネシウム)を使用した
が、Mgは酸化しやすく不安定であることと、有機表面
への接着性に乏しいことから、比較的安定で、しかも有
機表面への密着性に優れたAg(銀)と共蒸着により合
金化させたものを用いていた。
【0007】さらに、凸版印刷株式会社のグループ(文
献2:第51回応用物理学会学術講演会、講演予稿集9
p−zc−15、p.1127)は、Mgより更に仕事
関数の小さいLi(リチウム)を用い、Al(アルミニ
ウム)と合金化することにより安定化させ、陰極として
用いることによりMg合金を用いた素子より低い駆動電
圧と高い発光輝度を達成したことを報告している。
【0008】上記の合金電極を背景として、より安定な
陰極の開発が望まれていたが、最近になって極薄膜の絶
縁層(0.5nm)としてフッ化リチウム(LiF)等
の陰極バッファー層を介在させることにより、アルミニ
ウム陰極でもMg:Ag等の合金を用いて形成された陰
極と同等以上の発光特性が得られることが報告されてい
る(文献3:L.S.Hung,C.W.Tang and M.G.Mason:Appl.P
hys.Lett.,72,1593(1998).)。
【0009】この陰極バッファー層を設けることによる
特性向上の機構は、陰極バッファー層を形成するLiF
が有機化合物層の電子輸送層を形成するAlq3と接し
て形成されたときにAlq3のエネルギーバンドを曲
げ、電子注入障壁が低下するためであると考えられてい
る。
【0010】その他にも、発光素子の陰極に接する有機
化合物層に仕事関数が4.2eV以上のアルカリ金属
や、アルカリ土類金属、希土類金属を含む遷移金属のい
ずれか一つ以上からなる金属ドーピング層を形成するこ
とにより、陰極からの有機化合物層への電子注入障壁を
小さくして、陰極からの電子の注入性を向上させるとい
う技術も報告されている(特開平10−270171号
公報)。
【0011】以上のようにして、陽極、陰極及び有機化
合物層からなる発光素子において、電極からのキャリア
の注入性を向上させる工夫をすることで、発光素子の素
子特性の向上が図られている。
【0012】その他にも、発光素子の陽極と接する正孔
輸送層に電子受容性の材料をドーピングすることによ
り、正孔の注入性の向上に伴うキャリア密度の増加と、
導電性を増加させることができ、これにより低電圧の駆
動が可能になるという報告がされている。(文献4:J.
Blochwitz, M.Pfeiffer, T.Fritz, and K.Leo:Applied.
Physics.Letters.,73,6,729(1998).)。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかし、アクティブマ
トリクス型の発光装置において、有機化合物層と陰極と
の間に上述したような陰極バッファー層や金属ドーピン
グ層を設けて、発光素子の素子特性向上を図ろうとする
と、陰極からの注入性が向上する一方で、陰極バッファ
ー層や金属ドーピング層の一部に含まれるアルカリ金属
およびアルカリ土類金属が拡散してドリフトするため、
発光素子と接続されたTFTに影響を与え、その特性が
低下するという問題が生じる。すなわち、発光素子とし
ての特性が向上する一方で、TFT特性が低下するとい
う問題が生じる。
【0014】そこで、本発明では、TFTの特性に影響
を与えることなく、また、これまで用いられてきたアル
カリ金属やアルカリ土類金属といった材料を用いた場合
のように陰極からの電子の注入性を向上させるような発
光素子を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するためになされたものであり、陰極に接する有機化
合物層に電子供与体として機能する有機化合物(以下、
ドナー性分子と示す)をドーピングすることにより、陰
極と有機化合物層の間にそれぞれの最低空分子軌道(L
UMO:Lowest Unoccupied Molecular Orbital)準位
の間のドナー準位を形成することができるので、陰極か
らの電子の注入、および注入された電子の伝達を効率良
く行うことができる。また、電子の移動に伴うエネルギ
ーの余分な損失や有機化合物層自体の変質等の問題もな
いことから陰極材料の仕事関数に拘わらず電子の注入性
を向上させると共に駆動電圧の低下を実現することがで
きる。
【0016】さらに、これらのドナー性分子は拡散し
て、TFTの特性を低下させるという問題もないことか
ら、アルカリ金属やアルカリ土類金属を用いた場合のよ
うなデメリットを受けることなく発光素子の特性を向上
させることができる。
【0017】すなわち、本発明の発光素子は、陽極と陰
極との間に有機化合物層が形成される発光素子であっ
て、有機化合物層は、発光層と、ドナー性分子を含む電
子伝達層を有し、電子伝達層は、陰極と接して形成され
ることを特徴とする発光装置である。
【0018】本発明において開示する発明の構成は、陽
極、陰極、及び有機化合物層を有する発光装置であっ
て、前記陽極と前記陰極との間に前記有機化合物層を有
し、前記有機化合物層は、電子伝達層を有し、前記電子
伝達層は、前記陰極と接して形成されることを特徴とす
る発光装置である。
【0019】さらに、他の発明の構成は、絶縁表面上に
設けられたTFTと、前記TFT上に形成された層間絶
縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成された第1の電極と、
前記第1の電極の端部を覆って形成された絶縁層と、前
記第1の電極上に形成された有機化合物層と、前記有機
化合物層上に形成された第2の電極とを有する発光装置
であって、前記TFTは、ソース領域およびドレイン領
域を有し、前記第1の電極は、前記ソース領域または前
記ドレイン領域のいずれか一方と電気的に接続され、前
記有機化合物層は、電子伝達層を有することを特徴とす
る発光装置である。
【0020】なお、上記構成において、第1の電極が陽
極であり、第2の電極が陰極である場合には、電子伝達
層は第2の電極と接して形成されるが、第1の電極が陰
極であり、第2の電極が陽極で形成されている場合に
は、電子伝達層は第1の電極と接して形成される。
【0021】なお、上記各構成において、有機化合物層
は、正孔注入層と、正孔輸送層と、発光層と、ブロッキ
ング層と、電子輸送層と、電子伝達層のうち、発光層と
電子伝達層を含み、電子伝達層は、ドナー性分子を含む
有機化合物からなることを特徴とする。
【0022】なお、本発明の発光装置は、TFTと電気
的に接続された発光素子とを有するアクティブマトリク
ス型の発光装置に適した構成であるが、パッシブマトリ
クス型の発光装置においても実施することが可能であ
る。
【0023】尚、本発明の発光装置から得られる発光
は、一重項励起状態又は三重項励起状態のいずれか一
方、またはその両者による発光を含むものとする。
【0024】
【発明の実施の形態】[実施の形態1]本発明の発光装
置の素子構造について、図1を用いて説明する。
【0025】図1において、陽極102上に有機化合物
層103が形成され、有機化合物層103上に陰極10
4が形成されている。なお、陽極102から有機化合物
層103に正孔が注入され、陰極104からは有機化合
物層103に電子が注入される。そして、有機化合物層
103において、正孔と電子が再結合することにより発
光が得られる。
【0026】また、有機化合物層103は、発光層11
2および電子伝達層114を含み、正孔注入層、正孔輸
送層、ブロッキング層、電子輸送層、および電子注入層
といったキャリアに対する機能の異なる層のいずれか一
つ、もしくは複数を組み合わせて積層することにより形
成される。なお、本実施の形態においては、有機化合物
層103が正孔注入層111、発光層112、電子輸送
層113及び電子伝達層114からなる積層構造を有す
る場合について説明する。
【0027】なお、本発明において有機化合物層におい
て生じた光は、陽極側から出射させても良いし、陰極側
から出射させても良い。なお、陽極側から出射させる場
合には、陽極を透光性の材料で形成することは必須であ
るが、陰極を遮光性の材料で形成することにより素子特
性をより向上させることができる。また、陰極側から出
射させる場合には、陰極を透光性の材料で形成し、陽極
を遮光性の材料で形成することが好ましい。
【0028】陽極102を形成する材料としては、陽極
からの正孔の注入性を妨げないために仕事関数が4.5
eV以上の仕事関数の大きい材料を用いる。なお、陽極
が透光性を有する場合と遮光性を有する場合とで適した
材料が異なる。
【0029】陽極102を透光性の材料で形成する場合
には、酸化インジウム・スズ(ITO)膜、酸化インジ
ウムに2〜20[%]の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透
明導電膜、IZO、およびIDIXO(In23−Zn
O)といった透明導電膜を用いて形成することができ
る。
【0030】一方、陽極102を遮光性の材料で形成す
る場合には、元素周期律の第4族、第5族、又は第6族
に属する金属元素の窒化物または炭化物である金属化合
物を用いることができる。好ましくは、窒化チタン、窒
化ジルコニウム、炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化
タンタル、炭化タンタル、窒化モリブデン、炭化モリブ
デンを用いて形成することができる。
【0031】なお、これらの金属化合物は、仕事関数が
4.7eV以上である。例えば、窒化チタン(TiN)
は、仕事関数が4.7eVである。また、金属化合物
は、オゾン雰囲気下における紫外線照射処理(UVオゾ
ン処理)により、仕事関数をさらに大きくすることがで
きる。
【0032】次に、有機化合物層103が形成される。
なお、有機化合物層103を形成する材料としては、低
分子系、高分子系、もしく中分子系の公知の有機化合物
を用いることができる。なお、ここでいう中分子系の有
機化合物とは、昇華性を有さず、分子数が20以下、又
は連鎖する分子の長さが10μm以下の材料のことをい
う。
【0033】なお、本実施の形態により形成される発光
素子の有機化合物層103には、以下に示すような有機
化合物を用いることができる。
【0034】有機化合物層103は、正孔輸送性材料か
らなる正孔輸送層111、発光性材料からなる発光層1
12、電子輸送性材料からなる電子輸送層113、およ
びドナー性分子をその一部に含む電子伝達層114を積
層することにより形成される。なお、本発明における有
機化合物層の積層構造は、ここで示す構成に限られるこ
とはなく、その他にも正孔注入材料からなる正孔注入層
や、正孔阻止性材料からなるブロッキング層(正孔阻止
層)を含めた積層構造とすることも可能である。以下に
好適な材料をそれぞれ列挙する。ただし、本発明の発光
素子に用いる材料は、これらに限定されない。
【0035】正孔輸送層111を形成する正孔輸送材料
としては、芳香族アミン系(すなわち、ベンゼン環−窒
素の結合を有するもの)の化合物が好適である。広く用
いられている材料として、例えば、先に述べたTPDの
他、その誘導体である4,4'−ビス[N−(1−ナフ
チル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(以下、
「α−NPD」と記す)や、4,4',4''−トリス
(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン
(以下、「TDATA」と記す)、4,4',4''−ト
リス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−ア
ミノ]−トリフェニルアミン(以下、「MTDATA」
と記す)などのスターバースト型芳香族アミン化合物が
挙げられる。
【0036】発光層112を形成する発光材料として
は、具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニ
ウム(以下、Alq3と示す)、トリス(4−メチル−
8−キノリノラト)アルミニウム(以下、Almq3
示す)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリ
ナト)ベリリウム(以下、BeBq2と示す)、ビス
(2−メチル−8−キノリノラト)−(4−ヒドロキシ
−ビフェニリル)−アルミニウム(以下、BAlqと示
す)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾ
オキサゾラト]亜鉛(以下、Zn(BOX)2と示
す)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾ
チアゾラト]亜鉛(以下、Zn(BTZ)2と示す)な
どの金属錯体の他、各種蛍光色素が有効である。また、
三重項発光材料も可能であり、白金ないしはイリジウム
を中心金属とする錯体が主体である。三重項発光材料と
しては、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム
(以下、Ir(ppy)3と示す)、2,3,7,8,
12,13,17,18−オクタエチル−21H,23
H−ポルフィリン−白金(以下、PtOEPと示す)な
どが知られている。
【0037】電子輸送層113を形成する電子輸送材料
としては、金属錯体がよく用いられ、先に述べたAlq
3、Almq3、BeBq2などのキノリン骨格またはベ
ンゾキノリン骨格を有する金属錯体や、混合配位子錯体
であるBAlqなどが好適である。また、Zn(BO
X)2、Zn(BTZ)2などのオキサゾール系、チアゾ
ール系配位子を有する金属錯体もある。さらに、金属錯
体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−te
rt−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール
(以下、PBDと示す)、1,3−ビス[5−(p−ter
t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール
−2−イル]ベンゼン(以下、OXD−7と示す)など
のオキサジアゾール誘導体、3−(4−tert−ブチルフ
ェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−
1,2,4−トリアゾール(以下、TAZと示す)、3
−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフ
ェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−ト
リアゾール(以下、p−EtTAZと示す)などのトリ
アゾール誘導体、バソフェナントロリン(以下、BPh
enと示す)、バソキュプロイン(以下、BCPと示
す)などのフェナントロリン誘導体が電子輸送性を有す
る。
【0038】電子伝達層114の形成には、以下の構造
式(D1)〜(D7)で示される分子骨格を少なくとも
一部に含むドナー性分子と電子輸送性材料を用いて形成
される。なお、ドナー性分子は、注入された電子の輸送
性の向上、および電子伝達層の導電性を向上させる点か
ら全体の50%以上に含まれるように形成することが望
ましい。
【0039】
【化1】
【0040】
【化2】
【0041】
【化3】
【0042】
【化4】
【0043】
【化5】
【0044】
【化6】
【0045】
【化7】
【0046】その他、有機化合物層に正孔注入層を含め
る場合には、正孔注入層を形成する正孔注入材料として
は、有機化合物であればポルフィリン系の化合物が有効
であり、フタロシアニン(以下、H2−Pcと示す)、
銅フタロシアニン(以下、Cu−Pcと示す)などがあ
る。導電性高分子化合物に化学ドーピングを施した材料
もあり、ポリスチレンスルホン酸(以下、PSSと示
す)をドープしたポリエチレンジオキシチオフェン(以
下、PEDOTと示す)や、ポリアニリン、ポリビニル
カルバゾール(以下、PVKと示す)などが挙げられ
る。
【0047】さらに有機化合物層にブロッキング層を含
める場合には、ブロッキング層を形成する正孔阻止材料
として、上で述べたBAlq、OXD−7、TAZ、p
−EtTAZ、BPhen、BCPなどが、励起エネル
ギーレベルが高いため有効である。
【0048】次に、陰極104が形成される。陰極10
4を形成する材料としては、陰極104からの電子の注
入性を向上させるために仕事関数が3.8eV以下の仕
事関数の小さい材料を用いる。なお、陰極104が透光
性を有する場合には、陰極214の可視光に対する透過
率は40%以上であることが好ましい。一方、陰極10
4が遮光性を有する場合には、陰極を形成する膜に対す
る可視光の透過率が10%未満となるように形成する。
例えばAl、Ti、W、等からなる単層膜や、仕事関数
の小さい材料との積層膜により形成する。
【0049】以上により、陽極102、有機化合物層1
03および陰極104からなり、有機化合物層103に
電子伝達層114を含む本発明の発光素子を形成するこ
とができる。
【0050】[実施の形態2]本発明により形成される
発光装置における発光素子の素子構造について図2を用
いて説明する。なお、図2(A)は、発光装置の画素部
の断面構造について示すものであり、図2(B)は、発
光素子の素子構造について示したものである。具体的に
は、電流制御用TFTと電気的に接続された一方の電極
に対し、有機化合物層を挟んで形成された他方の電極が
透光性の材料からなる陰極である場合における上方出射
型の素子構造について説明する。
【0051】図2(A)において、基板201上に薄膜
トランジスタ(TFT)が形成されている。なお、ここ
では、発光素子215の第1の電極210と電気的に接
続され、発光素子215に供給される電流を制御する機
能を有する電流制御用TFT222と、電流制御用TF
T222のゲート電極に印加されるビデオ信号を制御す
るためのスイッチング用TFT221を示す。
【0052】基板201としては、遮光性を有するシリ
コン基板を用いるが、ガラス基板、石英基板、樹脂基
板、フレキシブルな基板材料(プラスチック)を用いて
も良い。また、各TFTの活性層は、少なくともチャネ
ル形成領域202、ソース領域203、ドレイン領域2
04を備えている。
【0053】また、各TFTの活性層は、ゲート絶縁膜
205で覆われ、ゲート絶縁膜205を介してチャネル
形成領域202と重なるゲート電極206が形成されて
いる。また、ゲート電極206を覆って層間絶縁膜20
8が設けられている。なお、層間絶縁膜208を形成す
る材料としては、酸化珪素、窒化珪素および窒化酸化珪
素等の珪素を含む絶縁膜の他、ポリイミド、ポリアミ
ド、アクリル(感光性アクリルを含む)、BCB(ベン
ゾシクロブテン)といった有機樹脂膜を用いることがで
きる。
【0054】次に、層間絶縁膜208上に電流制御用T
FT222のソース領域203と電気的に接続された配
線207、およびドレイン領域204と電気的に接続さ
れた第1の電極211が設けられる。なお、本実施の形
態においては、第1の電極211は陽極となるように形
成されている。そこで、第1の電極(陽極)211は、
陽極として機能する仕事関数の大きい材料を用いる。な
お、第1の電極211を形成する材料としては、遮光性
を有し、かつ反射率の高い導電性材料を用いることが望
ましい。また、電流制御用TFT222は、pチャネル
型で形成されるのが望ましい。
【0055】また、第1の電極(陽極)211の端部、
および配線207等を覆って絶縁層209が形成され
る。次に、第1の電極(陽極)211上に有機化合物層
213が形成され、その上に、陰極となる第2の電極2
14を形成することにより発光素子215を完成させる
ことができる。なお、本実施の形態では、第2の電極
(陰極)214が光透過性を有するように形成する必要
があることから、第2の電極(陰極)214は、光(可
視光)を透過する程度の膜厚で形成される。
【0056】本実施の形態においては、第2の電極(陰
極)214が光透過性を有することから有機化合物層2
13におけるキャリアの再結合により生じた光が、第2
の電極(陰極)214側から出射される上面出射構造と
なる。
【0057】次に、図2(A)で説明した発光装置の発
光素子における素子構造について図2(B)を用いて詳
細に説明する。特に、有機化合物層に低分子系化合物を
用いて形成した素子構造について説明する。
【0058】第1の電極(陽極)211は、遮光性の金
属化合物膜により形成される。本実施の形態において、
第1の電極(陽極)211は、図2(A)で示したよう
に電流制御用TFT222と電気的に接続された電極で
あり、本実施の形態においては、TiNを用いてスパッ
タリング法により120nmの膜厚で形成される。な
お、ここで用いるスパッタリング法としては、2極スパ
ッタ法、イオンビームスパッタ法、または対向ターゲッ
トスパッタ法等がある。
【0059】そして、第1の電極(陽極)211上に有
機化合物層213が形成されるが、初めに陽極からの正
孔の注入性を向上させる機能を有する正孔注入層231
が形成される。本実施の形態では、正孔注入層231と
して、銅フタロシアニン(以下、Cu−Pcと示す)を
30nmの膜厚で蒸着法により成膜する。
【0060】次に正孔輸送性に優れた材料により正孔輸
送層232が形成される。ここでは4,4'−ビス[N
−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェ
ニル(以下、α−NPDと示す)を40nmの膜厚で蒸
着法により成膜する。
【0061】次に発光層233が形成される。本実施の
形態では、発光層233において、正孔と電子が再結合
し、発光を生じる。なお、発光層233は、正孔輸送性
のホスト材料として4,4’−ジカルバゾール−ビフェ
ニル(以下、CBPと示す)を用い、発光性の有機化合
物であるトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム
(以下、Ir(ppy)3と示す)と共に共蒸着するこ
とにより30nmの膜厚で成膜する。
【0062】さらに、ブロッキング層234を形成す
る。ブロッキング層235は、正孔阻止層とも呼ばれ、
発光層233に注入された正孔が電子輸送層を通り抜け
て陰極に到達してしまうことにより再結合に関与しない
無駄な電流が流れるのを防ぐための層である。本実施の
形態ではブロッキング層234としてバソキュプロイン
(以下、BCPと示す)を10nmの膜厚で蒸着法によ
り成膜する。
【0063】そして、電子輸送層235が形成される。
なお、電子輸送層235は、電子受容性を有する電子輸
送性の材料により形成される。本実施の形態では、電子
輸送層235としてAlq3を40nmの膜厚で蒸着法
により成膜する。
【0064】最後に電子伝達層236を形成することに
より積層構造を有する有機化合物層213が完成する。
なお、電子伝達層236は、構造式(D1)〜(D7)
で示される分子骨格を少なくとも一部に含むドナー性分
子により形成される。本実施の形態では、電子伝達層2
36として、3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン:3,
3',5,5'-Tetramethylbenzidine(以下、TMBと示す)
とAlq3とを5nmの膜厚で共蒸着することにより成
膜する。
【0065】次に陰極となる第2の電極214が形成さ
れる。本発明において、第2の電極(陰極)214は有
機化合物層213で生じた光を透過させる電極であるの
で透光性を有する材料で形成される。また、第2の電極
(陰極)214は、電子を有機化合物層213に注入す
る電極であるため仕事関数の小さい材料で形成される必
要がある。そこで、本実施の形態では、アルミニウム
(Al)を20nmの膜厚で形成し、第2の電極(陰
極)214を形成する。
【0066】なお、本実施の形態では、陰極における透
過率を40%以上確保するために10〜30nm程度の
極薄膜で形成することとしたが、陰極としての機能を十
分有し、かつ透過率を40%以上確保することが可能な
材料であれば、必ずしも膜厚を薄くする必要はない。
【0067】さらに、本実施の形態の素子構造を有する
発光装置において、有機化合物層に高分子系化合物と低
分子系化合物とを用いて形成した場合の素子構造につい
て図3を用いて説明する。
【0068】図2(B)と同様に第1の電極(陽極)3
01は、遮光性の金属化合物膜により形成される。しか
し、第1の電極(陽極)301上に形成される有機化合
物層302は、図2(B)とは異なり、正孔輸送層30
3、発光層304、電子輸送層305、および電子伝達
層306との積層構造からなる。なお、ここでは正孔輸
送層303、および発光層304に高分子系化合物を用
いた場合について説明する。
【0069】正孔輸送層303は、PEDOT(poly
(3,4‐ethylene dioxythiophene))とポリスチレンスル
ホン酸(以下、PSSと示す)とを両方用いて形成する
他、ポリアニリン(以下、PANIと示す)とショウノ
ウスルホン酸(以下、CSAと示す)とを両方用いて形
成することができる。なお、これらの材料は、水溶性で
あることから水を溶媒として作製した塗布液をスピンコ
ート法により塗布して成膜する。なお、本実施の形態で
は正孔輸送層303としてPEDOT及びPSSからな
る膜を30nmの膜厚で形成する。
【0070】また、発光層304には、ポリパラフェニ
レンビニレン系、ポリパラフェニレン系、ポリチオフェ
ン系、もしくはポリフルオレン系の材料を用いることが
できる。
【0071】ポリパラフェニレンビニレン系の材料とし
ては、オレンジ色の発光が得られるポリパラフェニレン
ビニレン(poly(p-phenylene vinylene))(以下、PPV
と示す)、ポリ(2−(2'−エチル−ヘキソキシ)−
5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン)(poly[2-
(2'-ethylhexoxy)-5-methoxy-1,4-phenylene vinylen
e])(以下、MEH−PPVと示す)、緑色の発光が得
られるポリ(2−(ジアルコキシフェニル)−1,4−
フェニレンビニレン)(poly[2-(dialkoxyphenyl)-1,4-p
henylene vinylene])(以下、ROPh−PPVと示
す)等を用いることができる。
【0072】ポリパラフェニレン系の材料としては、青
色発光が得られるポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4
−フェニレン)(poly(2,5-dialkoxy-1,4-phenylene))
(以下、RO−PPPと示す)、ポリ(2,5−ジヘキ
ソキシ−1,4−フェニレン)(poly(2,5-dihexoxy-1,4
-phenylene))等を用いることができる。
【0073】また、ポリチオフェン系の材料としては、
赤色発光が得られるポリ(3−アルキルチオフェン)(p
oly(3-alkylthiophene))(以下、PATと示す)、ポリ
(3−ヘキシルチオフェン)(poly(3-hexylthiophene))
(以下、PHTと示す)、ポリ(3−シクロヘキシルチ
オフェン)(poly(3-cyclohexylthiophene))(以下、P
CHTと示す)、ポリ(3−シクロヘキシル−4−メチ
ルチオフェン)(poly(3-cyclohexyl-4-methylthiophen
e))(以下、PCHMTと示す)、ポリ(3,4−ジシ
クロヘキシルチオフェン)(poly(3,4-dicyclohexylthio
phene))(以下、PDCHTと示す)、ポリ[3−(4
−オクチルフェニル)−チオフェン](poly[3-(4octylp
henyl)-thiophene])(以下、POPTと示す)、ポリ
[3−(4−オクチルフェニル)−2,2ビチオフェ
ン](poly[3-(4-octylphenyl)-2,2-bithiophene])(以
下、PTOPTと示す)等を用いることができる。
【0074】さらに、ポリフルオレン系の材料として
は、青色発光が得られるポリ(9,9−ジアルキルフル
オレン)(poly(9,9-dialkylfluorene)(以下、PDAF
と示す)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(pol
y(9,9-dioctylfluorene)(以下、PDOFと示す)等を
用いることができる。
【0075】なお、これらの材料は、有機溶媒に溶解さ
せた溶液を塗布法により塗布して形成する。なお、ここ
で用いる有機溶媒としては、トルエン、ベンゼン、クロ
ロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、テトラ
リン、キシレン、ジクロロメタン、シクロヘキサン、N
MP(N−メチル−2−ピロリドン)、ジメチルスルホ
キシド、シクロヘキサノン、ジオキサン、THF(テト
ラヒドロフラン)等である。
【0076】なお、本実施の形態では、発光層304と
してPPVをトルエンに溶解させて作製した塗布液をス
ピンコート法により塗布して、80nmの膜厚に形成す
る。
【0077】次に、発光層304上に電子輸送層305
を形成する。なお、ここでは電子輸送層305を形成す
る材料として低分子系化合物であるAlq3を用いて蒸
着法により40nmの膜厚で形成する。
【0078】次に電子伝達層306を形成することによ
り積層構造を有する有機化合物層302が完成する。な
お、ここでも図2(B)と同様に電子伝達層306とし
てTMBとAlq3とを5nmの膜厚で共蒸着すること
により形成する。
【0079】最後に第2の電極(陰極)307が形成さ
れ、発光素子が完成する。なお、ここで形成される第2
の電極(陰極)307は、図2(B)で説明した場合と
同様に20nmのAlの積層により形成される。
【0080】[実施の形態3]本実施の形態では、実施
の形態2で示した発光装置とは発光素子の素子構造が異
なるものについて図4を用いて説明する。なお、図4
(A)は発光装置の画素部の断面構造であり、図4
(B)は、発光素子の素子構造について示したものであ
る。具体的には、電流制御用TFTと電気的に接続され
た一方の電極に対し、有機化合物層を挟んで形成された
他方の電極が透光性の材料からなる陽極である場合にお
ける上方出射型の素子構造について説明する。
【0081】なお、本実施の形態における発光装置も実
施の形態2と同様に電流制御用TFT422及びスイッ
チング用TFT421を基板401上に有しているが、
本実施の形態の場合には電流制御用TFT422はnチ
ャネル型TFTで形成されるのが望ましい。
【0082】電流制御用TFT422及びスイッチング
用TFT421を覆って形成された層間絶縁膜408上
には、電流制御用TFT422のソース領域403と電
気的に接続された配線407、およびドレイン領域40
4と電気的に接続された第1の電極411が設けられて
いる。なお、本実施の形態においては、第1の電極41
1は陰極となるように形成されている。そこで、第1の
電極(陰極)411は、陰極として機能する仕事関数の
小さい材料を用いる。なお、第1の電極(陰極)411
を形成する材料としては、遮光性を有し、かつ反射率の
高い導電性材料を用いることが望ましい。
【0083】また、第1の電極(陰極)411上に有機
化合物層413が形成され、その上に、陽極となる第2
の電極414を形成することにより発光素子415を完
成させることができる。なお、本実施の形態では、第2
の電極(陽極)414が光透過性を有するように形成す
る必要があることから、第2の電極(陽極)414は、
光(可視光)を透過する透明導電膜で形成される。
【0084】本実施の形態においては、第2の電極(陽
極)414に透明導電膜を用いることから有機化合物層
413におけるキャリアの再結合により生じた光が、第
2の電極(陽極)414側から出射される上面出射構造
となる。なお、本実施の形態においては、第1の電極
(陰極)411を遮光性の材料で形成することが望まし
い。
【0085】次に、図4(A)で説明した発光装置の発
光素子における素子構造について図4(B)を用いて詳
細に説明する。特に、有機化合物層に低分子系化合物を
用いて形成した素子構造について説明する。
【0086】第1の電極(陰極)411は、遮光性の導
電膜により形成される。本実施の形態において、第1の
電極(陰極)411は、図4(A)で示したように電流
制御用TFT422と電気的に接続された電極であり、
本実施の形態においては110nmの膜厚で形成された
Alにより形成される。なお、ここでの成膜には蒸着法
を用いる。
【0087】そして、第1の電極(陰極)411上に有
機化合物層413が形成されるが、初めに電子伝達層4
31が形成される。なお、電子伝達層431は、構造式
(D1)〜(D7)で示される分子骨格を少なくとも一
部に含むドナー性分子により形成される。本実施の形態
では、電子伝達層431としてTMBとAlq3とを5
nmの膜厚で共蒸着することにより成膜する。
【0088】次に、電子の輸送性を高める機能を有する
電子輸送層432が形成される。電子輸送層432は、
電子受容性を有する電子輸送性の材料により形成され
る。本実施の形態では、電子輸送層432としてAlq
3を40nmの膜厚で蒸着法により成膜する。
【0089】次に、ブロッキング層433を形成する。
ブロッキング層433は、正孔阻止層とも呼ばれ、発光
層434に注入された正孔が電子輸送層432を通り抜
けて第1の電極(陰極)411に到達してしまった場合
に再結合に関与しない無駄な電流が流れるのを防ぐため
の層である。本実施の形態ではブロッキング層433と
してBCPを10nmの膜厚で蒸着法により成膜する。
【0090】次に発光層434が形成される。本実施の
形態では、発光層434において、正孔と電子が再結合
し、発光を生じる。なお、発光層434は、正孔輸送性
のホスト材料としてCBPを用い、発光性の有機化合物
であるIr(ppy)3と共蒸着することにより30n
mの膜厚で成膜する。
【0091】次に正孔輸送性に優れた材料により正孔輸
送層435が形成される。ここではα−NPDを40n
mの膜厚で蒸着法により成膜する。
【0092】最後に正孔注入層436を形成することに
より積層構造を有する有機化合物層413が完成する。
なお、正孔注入層436は、陽極からの正孔の注入性を
向上させる機能を有する。本実施の形態においては、正
孔注入層436として、Cu−Pcを30nmの膜厚で
成膜して形成する。なお、蒸着法を用いて形成する。
【0093】次に陽極となる第2の電極414が形成さ
れる。本発明において、第2の電極(陽極)414は有
機化合物層413で生じた光を透過させる電極であるの
で透光性を有する材料で形成される。また、第2の電極
(陽極)414は、正孔を有機化合物層413に注入す
る電極であるため仕事関数の大きい材料で形成する必要
がある。なお、本実施の形態では、第2の電極(陽極)
414を形成する材料として、ITO膜や酸化インジウ
ムに2〜20[%]の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明
導電膜をスパッタリング法により100nmの膜厚に成
膜して用いる。なお、仕事関数の大きい透明性の導電膜
であれば、公知の他の材料(IZO、IDIXO等)を
用いて第2の電極(陽極)414を形成することもでき
る。
【0094】さらに、本実施の形態の素子構造を有する
発光装置において、有機化合物層に高分子系化合物と低
分子系化合物とを用いて形成した場合の素子構造につい
て図5を用いて説明する。
【0095】図4(B)と同様に第1の電極(陰極)5
01は、遮光性の導電膜により形成される。しかし、第
1の電極(陰極)501上に形成される有機化合物層5
02は、図4(B)とは異なり、電子伝達層503、電
子輸送層504、発光層505、および正孔輸送層50
6との積層構造からなる。なお、ここでは発光層50
5、および正孔輸送層506に高分子系化合物を用いた
場合について説明する。
【0096】第1の電極(陰極)501に電子伝達層5
03が形成される。ここでは、図4(B)において説明
したのと同様に電子伝達層503としてTMBとAlq
3とを5nmの膜厚で共蒸着することにより成膜する。
【0097】次に、電子伝達層503の上に電子輸送層
504を形成する。なお、ここでは電子輸送層504を
形成する材料として低分子系化合物であるAlq3を用
いて蒸着法により40nmの膜厚で形成する。
【0098】次に、発光層505としてPPVをトルエ
ンに溶解させて作製した塗布液をスピンコート法により
塗布して、80nmの膜厚に形成する。
【0099】次に正孔輸送層506を形成することによ
り積層構造を有する有機化合物層502が完成する。な
お、本実施の形態では、PEDOTとPSSとを水に溶
解させて作製した塗布液をスピンコート法により塗布し
て成膜する。なお、本実施の形態では正孔輸送層506
を30nmの膜厚で形成する。
【0100】最後に第2の電極(陽極)507が形成さ
れ、発光素子が完成する。なお、ここで形成される第2
の電極(陽極)507は、図4(B)で示した場合と同
様に酸化インジウム・スズ(ITO)膜や酸化インジウ
ムに2〜20[%]の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明
導電膜をスパッタリング法により成膜して形成する。
【0101】[実施の形態4]本実施の形態では、実施
の形態2または実施の形態3で示した発光装置とは発光
素子の素子構造が異なるものについて図6を用いて説明
する。なお、図6(A)は発光装置の画素部の断面構造
であり、図6(B)は、発光素子の素子構造について示
したものである。具体的には、電流制御用TFTと電気
的に接続された電極が透光性の材料からなる陽極である
場合における下方出射型の素子構造について説明する。
【0102】なお、本実施の形態における発光装置も実
施の形態2及び実施の形態3と同様に電流制御用TFT
622及びスイッチング用TFT621を基板601上
に有しているが、本実施の形態の場合には電流制御用T
FT622はpチャネル型TFTで形成されるのが望ま
しい。
【0103】電流制御用TFT622及びスイッチング
用TFT621を覆って形成された層間絶縁膜608上
には、電流制御用TFT622のソース領域603と電
気的に接続された配線607、およびドレイン領域60
4と電気的に接続された第1の電極611が設けられて
いる。なお、本実施の形態においては、第1の電極61
1は陽極となるように形成されている。そこで、第1の
電極(陽極)611は、陽極として機能する仕事関数の
大きい材料を用いる。なお、第1の電極(陽極)611
を形成する材料としては、透光性を有する導電性材料を
用いることが望ましい。
【0104】また、基板601としては、透光性を有す
る基板としてガラス基板を用いるが、石英基板を用いて
も良い。
【0105】また、第1の電極(陽極)611上に有機
化合物層613が形成され、その上に、陰極となる第2
の電極614を形成することにより発光素子615を完
成させることができる。なお、本実施の形態では、第1
の電極(陽極)611が光透過性を有するように形成す
る必要があることから、第1の電極(陽極)611は、
光(可視光)を透過する透明導電膜で形成される。な
お、第2の電極(陰極)614は、遮光性の材料により
形成されることが望ましい。
【0106】本実施の形態においては、第1の電極(陽
極)611に透明導電膜を用いることから有機化合物層
613におけるキャリアの再結合により生じた光が、第
1の電極(陽極)611側から出射される下面出射構造
となる。
【0107】次に、図6(A)で説明した発光装置の発
光素子における素子構造について図6(B)を用いて詳
細に説明する。特に、有機化合物層に低分子系化合物を
用いて形成した素子構造について説明する。
【0108】第1の電極(陽極)611は、透光性の透
明導電膜により形成される。本実施の形態において、第
1の電極(陽極)611は、図6(A)で示したように
電流制御用TFT622と電気的に接続された電極であ
り、本実施の形態では、第1の電極(陽極)611を形
成する材料として、酸化インジウム・スズ(ITO)膜
や酸化インジウムに2〜20[%]の酸化亜鉛(ZnO)
を混合した透明導電膜を用い、スパッタリング法により
100nmの膜厚で形成される。
【0109】そして、第1の電極(陽極)611上に有
機化合物層613が形成されるが、初めに陽極からの正
孔の注入性を向上させる機能を有する正孔注入層631
が形成される。本実施の形態では、正孔注入層631と
して、Cu−Pcを30nmの膜厚で蒸着法により成膜
する。
【0110】次に正孔輸送性に優れた材料により正孔輸
送層632が形成される。ここではα−NPDを40n
mの膜厚で蒸着法により成膜する。
【0111】次に発光層633が形成される。本実施の
形態では、発光層633において、正孔と電子が再結合
し、発光を生じる。なお、発光層633は、正孔輸送性
のホスト材料としてCBPを用い、発光性の有機化合物
であるIr(ppy)3と共に共蒸着することにより3
0nmの膜厚で成膜する。
【0112】さらに、ブロッキング層634を形成す
る。ブロッキング層634は、正孔阻止層とも呼ばれ、
発光層633に注入された正孔が電子輸送層を通り抜け
て陰極に到達してしまった場合に再結合に関与しない無
駄な電流が流れるのを防ぐための層である。本実施の形
態ではブロッキング層634としてBCPを10nmの
膜厚で蒸着法により成膜する。
【0113】そして、電子輸送層635が形成される。
なお、電子輸送層635は、電子受容性を有する電子輸
送性の材料により形成される。本実施の形態では、電子
輸送層635としてAlq3を40nmの膜厚で蒸着法
により成膜する。
【0114】最後に電子伝達層636を形成することに
より積層構造を有する有機化合物層613が完成する。
なお、電子伝達層636は、構造式(D1)〜(D7)
で示される分子骨格を少なくとも一部に含むドナー性分
子により形成される。本実施の形態では、電子伝達層6
36としてTMBとAlq3とを5nmの膜厚で共蒸着
することにより成膜する。
【0115】次に陰極となる第2の電極614が形成さ
れる。本発明において、第2の電極(陰極)614は、
電子を有機化合物層613に注入する電極であるため仕
事関数の小さい材料で形成される必要がある。そこで、
本実施の形態では110nmの膜厚で形成されたAlか
らなる第2の電極(陰極)614を形成する。なお、こ
こでの成膜には蒸着法を用いる。
【0116】さらに、本実施の形態の素子構造を有する
発光装置において、有機化合物層に高分子系化合物と低
分子系化合物とを用いて形成した場合の素子構造につい
て図7を用いて説明する。
【0117】図6(B)と同様に第1の電極(陽極)7
01は、透光性の透明導電膜により形成される。しか
し、第1の電極(陽極)701上に形成される有機化合
物層702は、正孔輸送層703、発光層704、電子
輸送層705、および電子伝達層706との積層構造か
らなる。なお、ここでは正孔輸送層703、および発光
層704に高分子系化合物を用いた場合について説明す
る。
【0118】第1の電極(陽極)701上に正孔輸送層
703が形成される。ここでは、正孔輸送層703とし
てPEDOTとPSSとを水に溶解させて作製した塗布
液をスピンコート法により塗布して成膜する。なお、本
実施の形態では正孔輸送層703を30nmの膜厚で形
成する。
【0119】次に、正孔輸送層703の上に発光層70
4を形成する。なお、ここでは発光層704としてPA
Tをトルエンに溶解させて作製した塗布液をスピンコー
ト法により塗布して、80nmの膜厚に形成する。
【0120】次に、発光層704の上に電子輸送層70
5を形成する。なお、ここでは電子輸送層705を形成
する材料として低分子系化合物であるAlq3を用いて
蒸着法により40nmの膜厚で形成する。
【0121】次に電子伝達層706を形成が形成され
る。ここでは、図6(B)において説明したのと同様に
電子伝達層706としてTMBとAlq3とを5nmの
膜厚で共蒸着することにより形成する。
【0122】最後に第2の電極(陰極)707が形成さ
れ、発光素子が完成する。なお、ここで形成される第2
の電極(陰極)707は、図6(B)で示したのと同様
に110nmの膜厚で形成されたAlにより形成され
る。
【0123】[実施の形態5]本実施の形態では、同一
基板上に画素部と、画素部の周辺に設ける駆動回路のT
FT(nチャネル型TFT及びpチャネル型TFT)を
同時に作製し、さらに、画素部にはTFTと電気的に接
続された発光素子を形成して、素子基板を作製する方法
について図8〜図11を用いて説明する。なお、本実施
の形態では、実施の形態2で示した素子構造を有する発
光素子を形成する。
【0124】まず、基板600上に下地絶縁膜601を
形成し、結晶構造を有する第1の半導体膜を得た後、所
望の形状にエッチング処理して島状に分離された半導体
層602〜605を形成する。
【0125】基板600としては、ガラス基板(#17
37)を用い、下地絶縁膜601としては、プラズマC
VD法で成膜温度400℃、原料ガスSiH4、NH3
2Oから作製される酸化窒化シリコン膜601a(組
成比Si=32%、O=27%、N=24%、H=17
%)を50nm(好ましくは10〜200nm)形成する。
次いで、表面をオゾン水で洗浄した後、表面の酸化膜を
希フッ酸(1/100希釈)で除去する。次いでプラズ
マCVD法で成膜温度400℃、原料ガスSiH4、N2
Oから作製される酸化窒化シリコン膜601b(組成比
Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)を1
00nm(好ましくは50〜200nm)の厚さに積層形
成し、さらに大気解放せずにプラズマCVD法で成膜温
度300℃、成膜ガスSiH4で非晶質構造を有する半
導体膜(ここではアモルファスシリコン膜)を54nm
の厚さ(好ましくは25〜80nm)で形成する。
【0126】本実施の形態では下地膜601を2層構造
として示したが、前記絶縁膜の単層膜または2層以上積
層させた構造として形成しても良い。また、半導体膜の
材料に限定はないが、好ましくはシリコンまたはシリコ
ンゲルマニウム(SiXGe1 -X(X=0.0001〜
0.02))合金などを用い、公知の手段(スパッタ
法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により
形成すればよい。また、プラズマCVD装置は、枚葉式
の装置でもよいし、バッチ式の装置でもよい。また、同
一の成膜室で大気に触れることなく下地絶縁膜と半導体
膜とを連続成膜してもよい。
【0127】次いで、非晶質構造を有する半導体膜の表
面を洗浄した後、オゾン水で表面に約2nmの極薄い酸
化膜を形成する。次いで、TFTのしきい値を制御する
ために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピ
ングを行う。ここでは、ジボラン(B26)を質量分離
しないでプラズマ励起したイオンドープ法を用い、ドー
ピング条件を加速電圧15kV、ジボランを水素で1%
に希釈したガス流量30sccm、ドーズ量2×1012
/cm2で非晶質シリコン膜にボロンを添加した。
【0128】次いで、重量換算で10ppmのニッケル
を含む酢酸ニッケル塩溶液をスピナーで塗布する。塗布
に代えてスパッタ法でニッケル元素を全面に散布する方
法を用いてもよい。
【0129】次いで、加熱処理を行い結晶化させて結晶
構造を有する半導体膜を形成する。この加熱処理は、電
気炉の熱処理または強光の照射を用いればよい。電気炉
の熱処理で行う場合は、500℃〜650℃で4〜24
時間で行えばよい。ここでは脱水素化のための熱処理
(500℃、1時間)の後、結晶化のための熱処理(5
50℃、4時間)を行って結晶構造を有するシリコン膜
を得る。なお、ここでは炉を用いた熱処理を用いて結晶
化を行ったが、短時間での結晶化が可能なランプアニー
ル装置で結晶化を行ってもよい。なお、ここではシリコ
ンの結晶化を助長する金属元素としてニッケルを用いた
結晶化技術を用いたが、他の公知の結晶化技術、例えば
固相成長法やレーザー結晶化法を用いてもよい。
【0130】次いで、結晶構造を有するシリコン膜表面
の酸化膜を希フッ酸等で除去した後、結晶化率を高め、
結晶粒内に残される欠陥を補修するためのレーザー光
(XeCl:波長308nm)の照射を大気中、または
酸素雰囲気中で行う。用いるレーザーは、連続発振また
はパルス発振の固体レーザーまたは気体レーザーまたは
金属レーザーが望ましい。なお、前記固体レーザーとし
ては、連続発振またはパルス発振のYAGレーザー、Y
VO4レーザー、YLFレーザー、YAlO3レーザー、
ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライド
レーザー、Ti:サファイアレーザー等があり、前記気
体レーザーとしては、連続発振または、パルス発振のエ
キシマレーザー、Arレーザー、Krレーザー、CO2
レーザー等があり、前記金属レーザーとしては、連続発
振またはパルス発振のヘリウムカドミウムレーザー、銅
蒸気レーザー、金蒸気レーザーが挙げられる。また、レ
ーザー光を非線形光学素子によって第2高調波、第3高
調波に変換して用いてもよい。なお、パルス発振のレー
ザーを用いる場合には、繰り返し周波数10Hz〜10KH
z程度のパルスレーザー光を用い、当該レーザー光を光
学系にて100〜1500mJ/cm2に集光し、50
〜98%のオーバーラップ率をもって照射し、シリコン
膜表面を走査させればよい。ここでは、繰り返し周波数
30Hz、エネルギー密度393mJ/cm2でレーザ
ー光の照射を大気中で行う。また、連続発振のレーザー
を用いる場合には、エネルギー密度は0.01〜100
MW/cm2程度(好ましくは、0.1〜10MW/c
2)が必要である。そして、0.5〜2000cm/
s程度の速度でレーザー光に対して相対的にステージを
動かして照射すればよい。なお、大気中、または酸素雰
囲気中で行うため、レーザー光の照射により表面に酸化
膜が形成される。
【0131】また、レーザー光の照射により形成された
酸化膜を希フッ酸で除去した後、第2のレーザー光の照
射を窒素雰囲気、或いは真空中で行い、半導体膜表面を
平坦化してもよい。その場合にも上述したような連続発
振またはパルス発振の固体レーザーまたは気体レーザー
または金属レーザーを用いることができる。このレーザ
ー光(第2のレーザー光)も同様に非線形光学素子によ
って第2高調波、第3高調波に変換して用いてもよい。
第2のレーザー光のエネルギー密度は、第1のレーザー
光のエネルギー密度より大きくするのが好ましい。
【0132】なお、ここでのレーザー光の照射は、酸化
膜を形成して後のスパッタ法による成膜の際、結晶構造
を有するシリコン膜への希ガス元素の添加を防止する上
でも、ゲッタリング効果を増大させる上でも非常に重要
である。次いで、レーザー光の照射により形成された酸
化膜に加え、オゾン水で表面を120秒処理して合計1
〜5nmの酸化膜からなるバリア層を形成する。
【0133】次いで、バリア層上にスパッタ法にてゲッ
タリングサイトとなるアルゴン元素を含む非晶質シリコ
ン膜を膜厚150nmで形成する。本実施の形態のスパ
ッタ法による成膜条件は、成膜圧力を0.3Paとし、
ガス(Ar)流量を50(sccm)とし、成膜パワー
を3kWとし、基板温度を150℃とする。なお、上記
条件での非晶質シリコン膜に含まれるアルゴン元素の原
子濃度は、3×1020/cm3〜6×1020/cm3、酸
素の原子濃度は1×1019/cm3〜3×101 9/cm3
である。その後、ランプアニール装置を用いて650
℃、3分の熱処理を行いゲッタリングする。
【0134】次いで、バリア層をエッチングストッパー
として、ゲッタリングサイトであるアルゴン元素を含む
非晶質シリコン膜を選択的に除去した後、バリア層を希
フッ酸で選択的に除去する。なお、ゲッタリングの際、
ニッケルは酸素濃度の高い領域に移動しやすい傾向があ
るため、酸化膜からなるバリア層をゲッタリング後に除
去することが望ましい。
【0135】次いで、得られた結晶構造を有するシリコ
ン膜(ポリシリコン膜とも呼ばれる)の表面にオゾン水
で薄い酸化膜を形成した後、レジストからなるマスクを
形成し、所望の形状にエッチング処理して島状に分離さ
れた半導体層を形成する。半導体層を形成した後、レジ
ストからなるマスクを除去する。
【0136】また、半導体層を形成した後、TFTのし
きい値(Vth)を制御するためにp型あるいはn型を
付与する不純物元素を添加してもよい。なお、半導体に
対してp型を付与する不純物元素には、ボロン(B)、
アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)など周期律第
13族元素が知られている。なお、半導体に対してn型
を付与する不純物元素としては周期律15族に属する元
素、典型的にはリン(P)または砒素(As)が知られ
ている。
【0137】次いで、得られた結晶構造を有するシリコ
ン膜(ポリシリコン膜とも呼ばれる)の表面にオゾン水
で薄い酸化膜を形成した後、レジストからなるマスクを
形成し、所望の形状にエッチング処理して島状に分離さ
れた半導体層602〜605を形成する。半導体層を形
成した後、レジストからなるマスクを除去する。
【0138】次いで、フッ酸を含むエッチャントで酸化
膜を除去すると同時にシリコン膜の表面を洗浄した後、
ゲート絶縁膜607となる珪素を主成分とする絶縁膜を
形成する。本実施の形態では、プラズマCVD法により
115nmの厚さで酸化窒化シリコン膜(組成比Si=
32%、O=59%、N=7%、H=2%)で形成す
る。
【0139】次いで、図8(A)に示すように、ゲート
絶縁膜607上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜
608と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜60
9とを積層形成する。本実施の形態では、ゲート絶縁膜
607上に膜厚50nmの窒化タンタル膜、膜厚370
nmのタングステン膜を順次積層する。
【0140】第1の導電膜及び第2の導電膜を形成する
導電性材料としてはTa、W、Ti、Mo、Al、Cu
から選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金
材料もしくは化合物材料で形成する。また、第1の導電
膜及び第2の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピ
ングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、A
g:Pd:Cu合金を用いてもよい。また、2層構造に
限定されず、例えば、膜厚50nmのタングステン膜、
膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al
−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層し
た3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、
第1の導電膜のタングステンに代えて窒化タングステン
を用いてもよいし、第2の導電膜のアルミニウムとシリ
コンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチ
タンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、第3の
導電膜の窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよ
い。また、単層構造であってもよい。
【0141】次に、図8(B)に示すように光露光工程
によりレジストからなるマスク610〜613を形成
し、ゲート電極及び配線を形成するための第1のエッチ
ング処理を行う。第1のエッチング処理では第1及び第
2のエッチング条件で行う。エッチングにはICP(In
ductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッ
チング法を用いると良い。ICPエッチング法を用い、
エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、
基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度
等)を適宜調節することによって所望のテーパー形状に
膜をエッチングすることができる。なお、エッチング用
ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4、CCl4
どを代表とする塩素系ガスまたはCF4、SF6、NF3
などを代表とするフッ素系ガス、またはO2を適宜用い
ることができる。
【0142】本実施の形態では、基板側(試料ステー
ジ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実
質的に負の自己バイアス電圧を印加する。なお、基板側
の電極面積サイズは、12.5cm×12.5cmであ
り、コイル型の電極面積サイズ(ここではコイルの設け
られた石英円板)は、直径25cmの円板である。この
第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1
の導電層の端部をテーパー形状とする。第1のエッチン
グ条件でのWに対するエッチング速度は200.39n
m/min、TaNに対するエッチング速度は80.3
2nm/minであり、TaNに対するWの選択比は約
2.5である。また、この第1のエッチング条件によっ
て、Wのテーパー角は、約26°となる。この後、レジ
ストからなるマスク610〜613を除去せずに第2の
エッチング条件に変え、エッチング用ガスにCF4とC
2とを用い、それぞれのガス流量比を30/30(s
ccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500
WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマ
を生成して約30秒程度のエッチングを行った。基板側
(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MH
z)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印
加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件
ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。
第2のエッチング条件でのWに対するエッチング速度は
58.97nm/min、TaNに対するエッチング速
度は66.43nm/minである。なお、ゲート絶縁
膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、1
0〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると
良い。
【0143】上記第1のエッチング処理では、レジスト
からなるマスクの形状を適したものとすることにより、
基板側に印加するバイアス電圧の効果により第1の導電
層及び第2の導電層の端部がテーパー形状となる。この
テーパー部の角度は15〜45°とすればよい。
【0144】こうして、第1のエッチング処理により第
1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層
615〜618(第1の導電層615a〜618aと第
2の導電層615b〜618b)を形成する。ゲート絶
縁膜となる絶縁膜607は、10〜20nm程度エッチ
ングされ、第1の形状の導電層615〜618で覆われ
ない領域が薄くなったゲート絶縁膜620となる。
【0145】次いで、レジストからなるマスクを除去せ
ずに第2のエッチング処理を行う。ここでは、エッチン
グ用ガスにSF6とCl2とO2とを用い、それぞれのガ
ス流量比を24/12/24(sccm)とし、1.3
Paの圧力でコイル型の電極に700WのRF(13.
56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチ
ングを25秒行った。基板側(試料ステージ)にも10
WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に
負の自己バイアス電圧を印加する。第2のエッチング処
理でのWに対するエッチング速度は227.3nm/m
in、TaNに対するエッチング速度は32.1nm/
minであり、TaNに対するWの選択比は7.1であ
り、絶縁膜620であるSiONに対するエッチング速
度は33.7nm/minであり、SiONに対するW
の選択比は6.83である。このようにエッチングガス
用ガスにSF6を用いた場合、絶縁膜620との選択比
が高いので膜減りを抑えることができる。本実施の形態
では絶縁膜620において約8nmしか膜減りが起きな
い。
【0146】この第2のエッチング処理によりWのテー
パー角は70°となった。この第2のエッチング処理に
より第2の導電層621b〜624bを形成する。一
方、第1の導電層は、ほとんどエッチングされず、第1
の導電層621a〜624aとなる。なお、第1の導電
層621a〜624aは、第1の導電層615a〜61
8aとほぼ同一サイズである。実際には、第1の導電層
の幅は、第2のエッチング処理前に比べて約0.3μm
程度、即ち線幅全体で0.6μm程度後退する場合もあ
るがほとんどサイズに変化がない。
【0147】また、2層構造に代えて、膜厚50nmの
タングステン膜、膜厚500nmのアルミニウムとシリ
コンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタ
ン膜を順次積層した3層構造とした場合、第1のエッチ
ング処理における第1のエッチング条件としては、BC
3とCl2とO2とを原料ガスに用い、それぞれのガス
流量比を65/10/5(sccm)とし、基板側(試
料ステージ)に300WのRF(13.56MHz)電
力を投入し、1.2Paの圧力でコイル型の電極に45
0WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズ
マを生成して117秒のエッチングを行えばよく、第1
のエッチング処理における第2のエッチング条件として
は、CF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量
比を25/25/10(sccm)とし、基板側(試料
ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力
を投入し、1Paの圧力でコイル型の電極に500Wの
RF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生
成して約30秒程度のエッチングを行えばよく、第2の
エッチング処理としてはBCl3とCl2を用い、それぞ
れのガス流量比を20/60(sccm)とし、基板側
(試料ステージ)には100WのRF(13.56MH
z)電力を投入し、1.2Paの圧力でコイル型の電極
に600WのRF(13.56MHz)電力を投入して
プラズマを生成してエッチングを行えばよい。
【0148】次いで、レジストからなるマスクを除去し
た後、第1のドーピング処理を行って図9(A)の状態
を得る。ドーピング処理はイオンドープ法、もしくはイ
オン注入法で行えば良い。イオンドープ法の条件はドー
ズ量を1.5×1014atoms/cm2とし、加速電圧を60
〜100keVとして行う。n型を付与する不純物元素
として、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用
いる。この場合、第1の導電層及び第2の導電層621
〜624がn型を付与する不純物元素に対するマスクと
なり、自己整合的に第1の不純物領域626〜629が
形成される。第1の不純物領域626〜629には1×
1016〜1×1017/cm3の濃度範囲でn型を付与する不
純物元素を添加する。ここでは、第1の不純物領域と同
じ濃度範囲の領域をn--領域とも呼ぶ。
【0149】なお、本実施の形態ではレジストからなる
マスクを除去した後、第1のドーピング処理を行った
が、レジストからなるマスクを除去せずに第1のドーピ
ング処理を行ってもよい。
【0150】次いで、図9(B)に示すようにレジスト
からなるマスク631〜633を形成し第2のドーピン
グ処理を行う。マスク631は駆動回路のpチャネル型
TFTを形成する半導体層のチャネル形成領域及びその
周辺の領域を保護するマスクであり、マスク632は画
素部のTFTを形成する半導体層のチャネル形成領域及
びその周辺の領域とを保護するマスクである。
【0151】第2のドーピング処理におけるイオンドー
プ法の条件はドーズ量を1.5×1015atoms/cm2
し、加速電圧を60〜100keVとしてリン(P)を
ドーピングする。ここでは、第2の導電層621bをマ
スクとして各半導体層に不純物領域が自己整合的に形成
される。勿論、マスク631〜633で覆われた領域に
は添加されない。こうして、第2の不純物領域634、
635と、第3の不純物領域637が形成される。第2
の不純物領域634、635には1×1020〜1×10
21/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加さ
れている。ここでは、第2の不純物領域と同じ濃度範囲
の領域をn+領域とも呼ぶ。
【0152】また、第3の不純物領域は第1の導電層に
より第2の不純物領域よりも低濃度に形成され、1×1
18〜1×1019/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純
物元素を添加されることになる。なお、第3の不純物領
域は、テーパー形状である第1の導電層の部分を通過さ
せてドーピングを行うため、テーパ−部の端部に向かっ
て不純物濃度が増加する濃度勾配を有している。ここで
は、第3の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をn-領域
とも呼ぶ。また、マスク632で覆われた領域は、第2
のドーピング処理で不純物元素が添加されず、第1の不
純物領域638となる。
【0153】次いで、レジストからなるマスク631〜
633を除去した後、新たにレジストからなるマスク6
39、640を形成して図9(C)に示すように第3の
ドーピング処理を行う。
【0154】駆動回路において、上記第3のドーピング
処理により、pチャネル型TFTを形成する半導体層お
よび保持容量を形成する半導体層にp型の導電型を付与
する不純物元素が添加された第4の不純物領域641、
642及び第5の不純物領域643、644を形成す
る。
【0155】また、第4の不純物領域641、642に
は1×1020〜1×1021/cm3の濃度範囲でp型を付与
する不純物元素が添加されるようにする。尚、第4の不
純物領域641、642には先の工程でリン(P)が添
加された領域(n--領域)であるが、p型を付与する不
純物元素の濃度がその1.5〜3倍添加されていて導電
型はp型となっている。ここでは、第4の不純物領域と
同じ濃度範囲の領域をp+領域とも呼ぶ。
【0156】また、第5の不純物領域643、644は
第2の導電層125aのテーパー部と重なる領域に形成
されるものであり、1×1018〜1×1020/cm3の濃度
範囲でp型を付与する不純物元素が添加されるようにす
る。ここでは、第5の不純物領域と同じ濃度範囲の領域
をp-領域とも呼ぶ。
【0157】以上までの工程でそれぞれの半導体層にn
型またはp型の導電型を有する不純物領域が形成され
る。導電層621〜624はTFTのゲート電極とな
る。
【0158】次いで、ほぼ全面を覆う絶縁膜(図示しな
い)を形成する。本実施の形態では、プラズマCVD法
により膜厚50nmの酸化シリコン膜を形成した。勿
論、この絶縁膜は酸化シリコン膜に限定されるものでな
く、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造と
して用いても良い。
【0159】次いで、それぞれの半導体層に添加された
不純物元素を活性化処理する工程を行う。この活性化工
程は、ランプ光源を用いたラピッドサーマルアニール法
(RTA法)、或いはYAGレーザーまたはエキシマレ
ーザーを裏面から照射する方法、或いは炉を用いた熱処
理、或いはこれらの方法のうち、いずれかと組み合わせ
た方法によって行う。
【0160】また、本実施の形態では、上記活性化の前
に絶縁膜を形成した例を示したが、上記活性化を行った
後、絶縁膜を形成する工程としてもよい。
【0161】次いで、窒化シリコン膜からなる第1の層
間絶縁膜645を形成して熱処理(300〜550℃で
1〜12時間の熱処理)を行い、半導体層を水素化する
工程を行う(図10(A))。この工程は第1の層間絶
縁膜645に含まれる水素により半導体層のダングリン
グボンドを終端する工程である。酸化シリコン膜からな
る絶縁膜(図示しない)の存在に関係なく半導体層を水
素化することができる。ただし、本実施の形態では、第
2の導電層としてアルミニウムを主成分とする材料を用
いているので、水素化する工程において第2の導電層が
耐え得る熱処理条件とすることが重要である。水素化の
他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起
された水素を用いる)を行っても良い。
【0162】次いで、第1の層間絶縁膜645上に有機
絶縁物材料から成る第2の層間絶縁膜646を形成す
る。本実施の形態では膜厚1.6μmのアクリル樹脂膜
を形成する。
【0163】さらに、第2の層間絶縁膜646上に層間
絶縁膜の内部から発生する酸素などの脱ガスや水分等が
放出されるのを防ぐためにバリア膜647を形成する。
バリア膜647を形成する材料としては、具体的には窒
化アルミニウム(AlN)、窒化酸化アルミニウム(A
lNO)、酸化窒化アルミニウム(AlNO)、窒化珪
素(SiN)、窒化酸化珪素(SiNO)等のアルミニ
ウム又は珪素を含む絶縁膜を用いて、0.2〜1μmの
膜厚で形成することができるが、本実施の形態では、窒
化珪素からなるバリア膜をスパッタリング法により0.
3μmの膜厚で形成する。なお、ここで用いるスパッタ
リング法としては、2極スパッタ法、イオンビームスパ
ッタ法、または対向ターゲットスパッタ法等がある。
【0164】次いで、各不純物領域に達するコンタクト
ホールを形成する。本実施の形態では複数のエッチング
処理を順次行う。本実施の形態では第1の層間絶縁膜を
エッチングストッパーとして第2の層間絶縁膜をエッチ
ングした後、絶縁膜(図示しない)をエッチングストッ
パーとして第1の層間絶縁膜をエッチングしてから絶縁
膜(図示しない)をエッチングする。
【0165】そして、各高濃度不純物領域634、63
5、641、642とそれぞれ電気的に接続する配線6
50〜656と、陽極となる第1の電極657を形成す
る。本実施の形態では、遮光性の導電性材料を用いて形
成する。具体的には、元素周期律の第4族、第5族また
は6族に属する元素からなる導電性の窒化物、酸化物、
炭化物、ホウ化物、珪化物を用いることができるが、こ
こでは、窒化チタン(TiN)を用い、500nmの膜
厚に成膜した後、これをパターニングして配線650〜
656および第1の電極(陽極)657を形成する。
【0166】なお、本実施の形態におけるパターニング
の際のエッチング条件は、エッチング用ガスにCF4
Cl2とを用い、それぞれのガス流量比を40/40
(sccm)とし、1.2Paの圧力でコイル型の電極
に450WのRF(13.56MHz)電力を投入して
プラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行う。
基板側(試料ステージ)にも100WのRF(13.5
6MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電
圧を印加する。
【0167】なお、本実施の形態では、第1の電極(陽
極)657は配線形成と同時に形成され、高濃度不純物
領域642との配線を兼ねて形成される。
【0168】以上の様にして、nチャネル型TFT70
1、pチャネル型TFT702を有する駆動回路705
と、nチャネル型TFTからなるスイッチング用TFT
703、nチャネル型TFTからなる電流制御用TFT
704とを有する画素部706を同一基板上に形成する
ことができる(図10(C))。本明細書中ではこのよ
うな基板を便宜上アクティブマトリクス基板と呼ぶ。
【0169】画素部706において、スイッチング用T
FT703(nチャネル型TFT)にはチャネル形成領
域503、ゲート電極を形成する導電層623の外側に
形成される第1の不純物領域(n--領域)638とソー
ス領域、またはドレイン領域として機能する第2の不純
物領域(n+領域)635を有している。
【0170】また、画素部706において、電流制御用
TFT704(pチャネル型TFT)にはチャネル形成
領域504、ゲート電極を形成する導電層624の外側
に形成される第4の不純物領域(n--領域)642とソ
ース領域、またはドレイン領域として機能する第5の不
純物領域(n+領域)644を有している。
【0171】また、駆動回路705において、nチャネ
ル型TFT701はチャネル形成領域501、ゲート電
極を形成する導電層621の一部と絶縁膜を介して重な
る第3の不純物領域(n-領域)637とソース領域、
またはドレイン領域として機能する第2の不純物領域
(n+領域)634を有している。
【0172】また、駆動回路705において、pチャネ
ル型TFT702にはチャネル形成領域502、ゲート
電極を形成する導電層622の一部と絶縁膜を介して重
なる第5不純物領域(p-領域)643と、ソース領域
またはドレイン領域として機能する第4の不純物領域
(p+領域)641を有している。
【0173】これらのTFT701、702を適宜組み
合わせてシフトレジスタ回路、バッファ回路、レベルシ
フタ回路、ラッチ回路などを形成し、駆動回路705を
形成すればよい。例えば、CMOS回路を形成する場合
には、nチャネル型TFT701とpチャネル型TFT
702を相補的に接続して形成すればよい。
【0174】なお、信頼性が最優先とされる回路には、
ゲート絶縁膜を介してLDD(LDD:Lightly Doped
Drain)領域をゲート電極と重ねて配置させた、いわゆ
るGOLD(Gate-drain Overlapped LDD)構造である
nチャネル型TFT701の構造が適している。
【0175】なお、駆動回路705におけるTFT(n
チャネル型TFT、pチャネル型TFT)は、高い駆動
能力(オン電流:Ion)およびホットキャリア効果に
よる劣化を防ぎ信頼性を向上させることが要求されてい
ることから本実施の形態では、ホットキャリアによるオ
ン電流値の劣化を防ぐのに有効である構造として、ゲー
ト電極がゲート絶縁膜を介して低濃度不純物領域と重な
る領域(GOLD領域)を有するTFTを用いている。
【0176】これに対して、画素部706におけるスイ
ッチング用TFT703は、低いオフ電流(Ioff)
が要求されていることから、本実施の形態ではオフ電流
を低減するためのTFT構造として、ゲート電極がゲー
ト絶縁膜を介して低濃度不純物領域と重ならない領域
(LDD領域)を有するTFTを用いている。
【0177】次に絶縁膜を1μmの厚さに成膜する。な
お、本実施の形態においては、絶縁膜を形成する材料と
して酸化珪素からなる膜を用いているが、場合によって
は、窒化珪素および酸化窒化珪素といった珪素を含む絶
縁膜の他、ポリイミド、ポリアミド、アクリル(感光性
アクリルを含む)、BCB(ベンゾシクロブテン)とい
った有機樹脂膜を用いることもできる。
【0178】この絶縁膜の第1の電極(陽極)657と
重なる位置に開口部を形成して、絶縁層658を形成す
る(図11(A))。
【0179】具体的には、感光性アクリルを用いて1μ
mの絶縁膜を形成し、フォトリソグラフィ−法によりパ
ターニングを行った後で、エッチング処理を行うことに
より絶縁層658を形成する。
【0180】次に、絶縁層658の開口部において露出
している第1の電極(陽極)657上に有機化合物層6
59を蒸着法により形成する(図11(A))。なお、
有機化合物層659は、実施の形態2で示した素子構造
と同様の積層を行うことにより形成することができる。
【0181】ここでは、1画素しか示していないが、本
実施の形態において画素部に複数形成される各画素には
赤、緑、青の3種類の発光を示す有機化合物層のうちの
いずれかが形成され、フルカラー化が可能となることか
ら、3種類の発光色を示す有機化合物層を形成する有機
化合物の組み合わせについて、図12により説明する。
【0182】なお、図12(A)に示す発光素子は、第
1の電極(陽極)1201、有機化合物層1202、及
び第2の電極(陰極)1203からなり、有機化合物層
1202は、正孔輸送層1204、発光層1205、ブ
ロッキング層1206、電子輸送層1207、および電
子伝達層1208の積層構造を有している。なお、赤色
発光を示す発光素子を構成する材料及び膜厚について図
12(B)に示し、緑色発光を示す発光素子を構成する
材料及び膜厚について図12(C)に示し、青色発光を
示す発光素子を構成する材料及び膜厚について図12
(D)にそれぞれ示す。
【0183】はじめに、赤色発光を示す有機化合物層を
形成する。具体的には、正孔輸送層1204は、正孔輸
送性の有機化合物である、α−NPDを40nmの膜厚
に成膜し、発光層1205は、発光性の有機化合物であ
る、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタ
エチル−21H、23H−ポルフィリン−白金(以下、
PtOEPと示す)をホストとなる有機化合物(以下、
ホスト材料という)であるCBPと共に共蒸着させて3
0nmの膜厚に成膜し、ブロッキング層1206は、ブ
ロッキング性の有機化合物である、BCPを10nmの
膜厚に成膜し、電子輸送層1207は、電子輸送性の有
機化合物である、Alq3を40nmの膜厚に成膜し、
電子伝達層1208をTMBとAlq3とを共蒸着して
5nmの膜厚で形成することにより赤色発光の有機化合
物層を形成する。
【0184】なお、ここでは赤色発光の有機化合物層と
して、5種類の機能の異なる有機化合物を用いて形成す
る場合について説明したが、本発明は、これに限られる
ことはなく、赤色発光を示す有機化合物として公知の材
料を用いることができる。
【0185】次に、緑色発光を示す有機化合物層を形成
する。具体的には、正孔輸送層1204は、正孔輸送性
の有機化合物である、α−NPDを40nmの膜厚で成
膜し、発光層1205は、正孔輸送性のホスト材料とし
てCBPを用い、発光性の有機化合物であるIr(pp
y)3と共に共蒸着することにより30nmの膜厚で成
膜し、ブロッキング層1206は、ブロッキング性の有
機化合物であるBCPを10nmの膜厚で成膜し、電子
輸送層1207は、電子輸送性の有機化合物である、A
lq3を40nmの膜厚で成膜し、電子伝達層1208
をTMBとAlq3とを共蒸着して5nmの膜厚で形成
することにより緑色発光の有機化合物を形成することが
できる。
【0186】なお、ここでは緑色発光の有機化合物層と
して、4種類の機能の異なる有機化合物を用いて形成す
る場合について説明したが、本発明はこれに限られるこ
とはなく、緑色発光を示す有機化合物として公知の材料
を用いることができる。
【0187】次に、青色発光を示す有機化合物層を形成
する。具体的には、発光層1205は、発光性および正
孔輸送性の有機化合物である、α−NPDを40nmの
膜厚で成膜し、ブロッキング層1206は、ブロッキン
グ性の有機化合物である、BCPを10nmの膜厚に成
膜し、電子輸送層1207は、電子輸送性の有機化合物
である、Alq3を40nmの膜厚で成膜し、電子伝達
層1208をTMBとAlq3とを共蒸着して5nmの
膜厚で形成することにより青色発光の有機化合物層を形
成することができる。
【0188】なお、ここでは青色発光の有機化合物層と
して、3種類の機能の異なる有機化合物を用いて形成す
る場合について説明したが、本発明はこれに限られるこ
とはなく、青色発光を示す有機化合物として公知の材料
を用いることができる。
【0189】以上に示した有機化合物を第1の電極(陽
極)上に形成することにより画素部において、赤色発
光、緑色発光及び青色発光を示す有機化合物層を形成す
ることができる。
【0190】次に、図11(B)に示すように有機化合
物層659及び絶縁層658を覆って、第2の電極(陰
極)660を形成する。なお、本実施の形態において陰
極660は、透光性の導電膜により形成されている。具
体的には、陰極660からの電子の注入性を向上させる
ために仕事関数の小さい材料で形成されることが望まし
い。なお、本実施の形態において、第2の電極(陰極)
660は、アルミニウムもしくは銀により形成する。
【0191】なお、本実施の形態において、第2の電極
(陰極)660は発光素子において生じた光を透過させ
る電極であることから、透光性を有する必要がある。そ
のため、アルミニウム膜を20nmの膜厚で成膜して第
2の電極(陰極)660を形成する。
【0192】このように極薄膜からなる第2の電極(陰
極)660を形成することにより、光の透過性を有する
電極を形成することができる。なお、仕事関数が小さ
く、かつ透光性の導電膜であれば、公知の他の材料を用
いて第2の電極(陰極)660を形成することもでき
る。
【0193】こうして図11(B)に示すように、電流
制御用TFT704に電気的に接続された第1の電極
(陽極)657と、前記第1の電極(陽極)657と隣
り合う電極(図示せず)との隙間に形成された絶縁層6
58と、第1の電極(陽極)657上に形成された有機
化合物層659と、有機化合物層659及び絶縁層65
8上に形成された第2の電極(陰極)660からなる発
光素子661を有する素子基板を形成することができ
る。
【0194】なお、本実施の形態において、TFTの駆
動電圧は、1.2〜10Vであり、好ましくは、2.5
〜5.5Vである。
【0195】また、画素部の表示が動作しているとき
(動画表示の場合)には、発光素子が発光している画素
により背景の表示を行い、発光素子が非発光となる画素
により文字表示を行えばよいが、画素部の動画表示があ
る一定期間以上静止している場合(本明細書中では、ス
タンバイ時と呼ぶ)には、電力を節約するために表示方
法が切り替わる(反転する)ようにしておくと良い。具
体的には、発光素子が発光している画素により文字を表
示し(文字表示ともいう)、発光素子が非発光となる画
素により背景を表示(背景表示ともいう)するようにす
る。
【0196】ここで、本実施の形態において説明した発
光装置の画素部の詳細な上面構造を図13(A)に示
し、回路図を図13(B)に示す。図13(A)及び図
13(B)は共通の符号を用いるので互いに参照すれば
よい。
【0197】図13において、基板上に設けられたスイ
ッチング用TFT1300は図11のスイッチング用
(nチャネル型)TFT703を用いて形成される。従
って、構造の説明はスイッチング用(nチャネル型)T
FT703の説明を参照すれば良い。また、1302で
示される配線は、スイッチング用TFT1300のゲー
ト電極1301(1301a、1301b)を電気的に
接続するゲート配線である。
【0198】なお、本実施の形態ではチャネル形成領域
が二つ形成されるダブルゲート構造としているが、チャ
ネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造もし
くは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良
い。
【0199】また、スイッチング用TFT1300のソ
ースはソース配線1303に接続され、ドレインはドレ
イン配線1304に接続される。また、ドレイン配線1
304は電流制御用TFT1305のゲート電極130
6に電気的に接続される。なお、電流制御用TFT13
05は図11の電流制御用(pチャネル型)TFT70
4を用いて形成される。従って、構造の説明は電流制御
用(pチャネル型)TFT704の説明を参照すれば良
い。なお、本実施の形態ではシングルゲート構造として
いるが、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造
であっても良い。
【0200】また、電流制御用TFT1305のソース
は電流供給線1307に電気的に接続され、ドレインは
ドレイン配線1308に電気的に接続される。また、ド
レイン配線1308は点線で示される第1の電極(陽
極)1309に電気的に接続される。
【0201】また、1310で示される配線は、消去用
TFT1311のゲート電極1312と電気的に接続す
るゲート配線である。なお、消去用TFT1311のソ
ースは、電流供給線1307に電気的に接続され、ドレ
インはドレイン配線1304に電気的に接続される。
【0202】なお、消去用TFT1311は図11の電
流制御用(pチャネル型)TFT704と同様にして形
成される。従って、構造の説明は電流制御用(pチャネ
ル型)TFT704の説明を参照すれば良い。なお、本
実施の形態ではシングルゲート構造としているが、ダブ
ルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良
い。
【0203】また、1313で示される領域には保持容
量(コンデンサ)が形成される。コンデンサ1313
は、電流供給線1307と電気的に接続された半導体膜
1314、ゲート絶縁膜と同一層の絶縁膜(図示せず)
及びゲート電極1306との間で形成される。また、ゲ
ート電極1306、第1層間絶縁膜と同一の層(図示せ
ず)及び電流供給線1307で形成される容量も保持容
量として用いることが可能である。
【0204】なお、図13(B)の回路図で示す発光素
子1315は、第1の電極(陽極)1309と、第1の
電極(陽極)1309上に形成される有機化合物層(図
示せず)と有機化合物層上に形成される第2の電極(陰
極)(図示せず)からなる。本発明において、第1の電
極(陽極)1309は、電流制御用TFT1305のソ
ース領域またはドレイン領域と接続している。
【0205】発光素子1315の第2の電極(陰極)に
は対向電位が与えられている。また電流供給線Vは電源
電位が与えられている。そして対向電位と電源電位の電
位差は、電源電位が陽極に与えられたときに発光素子が
発光する程度の電位差に常に保たれている。電源電位と
対向電位は、本発明の発光装置に、外付けのIC等によ
り設けられた電源によって与えられる。なお対向電位を
与える電源を、本明細書では特に対向電源1316と呼
ぶ。
【0206】[実施の形態6]本実施の形態では、本発
明のアクティブマトリクス型発光装置の外観図について
図14を用いて説明する。なお、図14(A)は、発光
装置を示す上面図、図14(B)は図14(A)をA−
A’で切断した断面図である。点線で示された1401
はソース側駆動回路、1402は画素部、1403はゲ
ート側駆動回路である。また、1404は封止基板、1
405はシール剤であり、シール剤1405で囲まれた
内側は、空間になっている。
【0207】なお、1408はソース側駆動回路140
1及びゲート側駆動回路1403に入力される信号を伝
送するための配線であり、外部入力端子となるFPC
(フレキシブルプリントサーキット)1409からビデ
オ信号やクロック信号を受け取る。なお、ここではFP
Cしか図示されていないが、このFPCにはプリント配
線基盤(PWB)が取り付けられていても良い。本明細
書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、そ
れにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含
むものとする。
【0208】次に、断面構造について図14(B)を用
いて説明する。基板1410上には駆動回路及び画素部
が形成されているが、ここでは、駆動回路としてソース
側駆動回路1401と画素部1402が示されている。
【0209】なお、ソース側駆動回路1401はnチャ
ネル型TFT1413とpチャネル型TFT1414と
を組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動
回路を形成するTFTは、公知のCMOS回路、PMO
S回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、
本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライ
バー一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、基板上
ではなく外部に形成することもできる。
【0210】また、画素部1402は電流制御用TFT
1411とそのドレインに電気的に接続された第1の電
極1412を含む複数の画素により形成される。
【0211】また、第1の電極1412の両端には絶縁
層1413が形成され、第1の電極1412上には有機
化合物層1414が形成される。さらに、有機化合物層
1414上には第2の電極1416が形成される。これ
により、第1の電極1412、有機化合物層1414、
及び第2の電極1416からなる発光素子1418が形
成される。
【0212】第2の電極1416は全画素に共通の配線
としても機能し、接続配線1408を経由してFPC1
409に電気的に接続されている。
【0213】また、基板1410上に形成された発光素
子1418を封止するためにシール剤1405により封
止基板1404を貼り合わせる。なお、封止基板140
4と発光素子1418との間隔を確保するために樹脂膜
からなるスペーサを設けても良い。そして、シール剤1
405の内側の空間1407には窒素等の不活性気体が
充填されている。なお、シール剤1405としてはエポ
キシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、シール剤14
05はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であるこ
とが望ましい。さらに、空間1407の内部に酸素や水
を吸収する効果をもつ物質を含有させても良い。
【0214】また、本実施の形態では封止基板1404
を構成する材料としてガラス基板や石英基板の他、FR
P(Fiberglass-Reinforced Plastics)、PVF(ポリ
ビニルフロライド)、マイラー、ポリエステルまたはア
クリル等からなるプラスチック基板を用いることができ
る。また、シール剤1405を用いて封止基板1404
を接着した後、さらに側面(露呈面)を覆うようにシー
ル剤で封止することも可能である。
【0215】以上のようにして発光素子を空間1407
に封入することにより、発光素子を外部から完全に遮断
することができ、外部から水分や酸素といった有機化合
物層の劣化を促す物質が侵入することを防ぐことができ
る。従って、信頼性の高い発光装置を得ることができ
る。
【0216】なお、本実施の形態の構成は、実施の形態
1〜実施の形態5に示したいずれの構成と自由に組み合
わせて実施することが可能である。
【0217】[実施の形態7]本実施の形態では本発明
の素子構造を有するパッシブ型(単純マトリクス型)の
発光装置を作製した場合について説明する。説明には図
15を用いる。図15において、1501はガラス基
板、1502は金属化合物からなる第1の電極(陽極)
である。本実施の形態では、金属化合物としてTiNを
スパッタリング法により形成する。なお、図15では図
示されていないが、複数本の陽極が紙面と平行にストラ
イプ状に配列されている。なお、パッシブマトリクス型
の発光装置においては、アクティブマトリクス型の発光
装置よりも陽極材料に対して導電性が要求されるため、
従来のITOよりも導電性の高い金属化合物を陽極に用
いることは発光素子の駆動電圧を低下させる上で有効で
ある。
【0218】また、ストライプ状に配列された第1の電
極(陽極)1502と交差するように絶縁材料からなる
バンク1503が形成される。バンク1503は第1の
電極(陽極)1502と接して紙面に垂直な方向に形成
されている。
【0219】次に、有機化合物層1504が形成され
る。有機化合物層1504を形成する材料としては、本
明細書中で示した材料の他、発光が得られる公知の材料
を用いて形成することができる。
【0220】例えば、赤色発光を示す有機化合物層、緑
色発光を示す有機化合物層及び青色発光を示す有機化合
物層をそれぞれ形成することにより、3種類の発光を有
する発光装置を形成することができる。なお、これらの
有機化合物層1504はバンク1503で形成された溝
に沿って形成されるため、紙面に垂直な方向にストライ
プ状に配列される。
【0221】次に、有機化合物層1504上に第2の電
極(陰極)1505が形成される。なお第2の電極(陰
極)1505は、メタルマスクを用いて蒸着法により形
成する。
【0222】なお、本実施の形態では下側の第1の電極
(陽極)1502が遮光性の材料で形成されているた
め、有機化合物層1504で発生した光は上側の第2の
電極(陰極)1505から出射される。
【0223】次に、封止基板1507としてガラス基板
を用意する。本実施の形態の構造では透光性の材料を用
いる必要があることから、ガラス基板の他、プラスチッ
クや石英からなる基板を用いることが可能である。
【0224】こうして用意した封止基板1507は、紫
外線硬化樹脂からなるシール剤1508により貼り合わ
される。なお、シール剤1508の内側1506は密閉
された空間になっており、窒素やアルゴンなどの不活性
ガスが充填されている。また、この密閉された空間15
06の中に酸化バリウムに代表される吸湿剤を設けるこ
とも有効である。最後にFPC1511を取り付けてパ
ッシブ型の発光装置が完成する。
【0225】なお、本実施の形態は、実施の形態1〜実
施の形態6に示した素子構造(アクティブマトリクス
型)に関連するもの以外の構成を自由に組み合わせて実
施することが可能である。
【0226】[実施の形態8]発光素子を用いた発光装
置は自発光型であるため、液晶表示装置に比べ、明るい
場所での視認性に優れ、視野角が広い。従って、本発明
の発光装置を用いて様々な電気器具を完成させることが
できる。
【0227】本発明により作製した発光装置を用いて作
製された電気器具として、ビデオカメラ、デジタルカメ
ラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプ
レイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カー
オーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナ
ルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイル
コンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書
籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはデ
ジタルビデオディスク(DVD)等の記録媒体を再生
し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)など
が挙げられる。特に、斜め方向から画面を見る機会が多
い携帯情報端末は、視野角の広さが重要視されるため、
発光素子を有する発光装置を用いることが好ましい。そ
れら電気器具の具体例を図16に示す。
【0228】図16(A)は表示装置であり、筐体20
01、支持台2002、表示部2003、スピーカー部
2004、ビデオ入力端子2005等を含む。本発明に
より作製した発光装置をその表示部2003に用いるこ
とにより作製される。発光素子を有する発光装置は自発
光型であるためバックライトが必要なく、液晶表示装置
よりも薄い表示部とすることができる。なお、表示装置
は、パソコン用、TV放送受信用、広告表示用などの全
ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0229】図16(B)はデジタルスチルカメラであ
り、本体2101、表示部2102、受像部2103、
操作キー2104、外部接続ポート2105、シャッタ
ー2106等を含む。本発明により作製した発光装置を
その表示部2102に用いることにより作製される。
【0230】図16(C)はノート型パーソナルコンピ
ュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2
203、キーボード2204、外部接続ポート220
5、ポインティングマウス2206等を含む。本発明に
より作製した発光装置をその表示部2203に用いるこ
とにより作製される。
【0231】図16(D)はモバイルコンピュータであ
り、本体2301、表示部2302、スイッチ230
3、操作キー2304、赤外線ポート2305等を含
む。本発明により作製した発光装置をその表示部230
2に用いることにより作製される。
【0232】図16(E)は記録媒体を備えた携帯型の
画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本
体2401、筐体2402、表示部A2403、表示部
B2404、記録媒体(DVD等)読み込み部240
5、操作キー2406、スピーカー部2407等を含
む。表示部A2403は主として画像情報を表示し、表
示部B2404は主として文字情報を表示するが、本発
明により作製した発光装置をこれら表示部A、B240
3、2404に用いることにより作製される。なお、記
録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器など
も含まれる。
【0233】図16(F)はゴーグル型ディスプレイ
(ヘッドマウントディスプレイ)であり、本体250
1、表示部2502、アーム部2503を含む。本発明
により作製した発光装置をその表示部2502に用いる
ことにより作製される。
【0234】図16(G)はビデオカメラであり、本体
2601、表示部2602、筐体2603、外部接続ポ
ート2604、リモコン受信部2605、受像部260
6、バッテリー2607、音声入力部2608、操作キ
ー2609、接眼部2610等を含む。本発明により作
製した発光装置をその表示部2602に用いることによ
り作製される。
【0235】ここで図16(H)は携帯電話であり、本
体2701、筐体2702、表示部2703、音声入力
部2704、音声出力部2705、操作キー2706、
外部接続ポート2707、アンテナ2708等を含む。
本発明により作製した発光装置をその表示部2703に
用いることにより作製される。なお、表示部2703は
黒色の背景に白色の文字を表示することで携帯電話の消
費電力を抑えることができる。
【0236】なお、将来的に有機材料の発光輝度が高く
なれば、出力した画像情報を含む光をレンズ等で拡大投
影してフロント型若しくはリア型のプロジェクターに用
いることも可能となる。
【0237】また、上記電気器具はインターネットやC
ATV(ケーブルテレビ)などの電子通信回線を通じて
配信された情報を表示することが多くなり、特に動画情
報を表示する機会が増してきている。有機材料の応答速
度は非常に高いため、発光装置は動画表示に好ましい。
【0238】また、発光装置は発光している部分が電力
を消費するため、発光部分が極力少なくなるように情報
を表示することが好ましい。従って、携帯情報端末、特
に携帯電話や音響再生装置のような文字情報を主とする
表示部に発光装置を用いる場合には、非発光部分を背景
として文字情報を発光部分で形成するように駆動するこ
とが好ましい。
【0239】以上の様に、本発明により作製された発光
装置の適用範囲は極めて広く、本発明の発光装置をあら
ゆる分野の電気器具に適用することが可能である。ま
た、本実施の形態の電気器具は実施の形態1〜実施の形
態7を実施することにより作製された発光装置を用いる
ことにより完成させることができる。
【0240】
【発明の効果】本発明では、有機化合物層の一部にドナ
ー性分子を含む電子伝達層を形成し、これを陰極と接す
るように形成することで、陰極と有機化合物層の間にそ
れぞれのLUMO準位の中間に位置するドナー準位を形
成することができるので、陰極から注入された電子の伝
達を効率良く行うことができる。
【0241】つまり、本発明では、電子の注入性を向上
させるために一般的に用いられるアルカリ金属やアルカ
リ土類金属を用いることなく発光素子の特性を向上させ
ることができるので、TFTを有するアクティブマトリ
クス型の発光装置の場合において、特にTFTの特性に
影響を与えることなく発光素子の特性を向上させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の発光装置の素子構造を説明する図。
【図2】 上方出射型の発光装置の素子構造を説明す
る図。
【図3】 上方出射型の発光装置の素子構造を説明す
る図。
【図4】 上方出射型の発光装置の素子構造を説明す
る図。
【図5】 上方出射型の発光装置の素子構造を説明す
る図。
【図6】 下方出射型の発光装置の素子構造を説明す
る図。
【図7】 下方出射型の発光装置の素子構造を説明す
る図。
【図8】 本発明の発光装置の作製工程を説明する
図。
【図9】 本発明の発光装置の作製工程を説明する
図。
【図10】 本発明の発光装置の作製工程を説明する
図。
【図11】 本発明の発光装置の作製工程を説明する
図。
【図12】 本発明の発光装置の素子構造を説明する
図。
【図13】 本発明に用いることのできる回路構成を説
明する図。
【図14】 本発明の発光装置の素子構造を説明する
図。
【図15】 パッシブマトリクス型の発光装置を説明す
る図。
【図16】 電気器具の一例を示す図。
【符号の説明】
102陽極 103有機化合物層 104陰極 111正孔輸送層 112発光層 113電子輸送層 114電子伝達層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽極、陰極、及び有機化合物層を有する発
    光装置であって、 前記陽極と前記陰極との間に前記有機化合物層を有し、 前記有機化合物層は、発光層および電子伝達層を有し、 前記電子伝達層はドナー性分子を含み、かつ前記陰極と
    接して形成されることを特徴とする発光装置。
  2. 【請求項2】陽極、陰極、及び有機化合物層を有する発
    光装置であって、 前記陽極と前記陰極との間に前記有機化合物層を有し、 前記有機化合物層は、発光層および電子伝達層を有し、 前記電子伝達層はドナー性分子および電子輸送性材料を
    含み、かつ前記陰極と接して形成されることを特徴とす
    る発光装置。
  3. 【請求項3】絶縁表面上に設けられたTFTと、 前記TFT上に形成された層間絶縁膜と、 前記層間絶縁膜上に形成された第1の電極と、 前記第1の電極の端部を覆って形成された絶縁層と、 前記第1の電極上に形成された有機化合物層と、 前記有機化合物層上に形成された第2の電極とを有する
    発光装置であって、 前記TFTは、ソース領域およびドレイン領域を有し、 前記第1の電極は、前記ソース領域または前記ドレイン
    領域のいずれか一方と電気的に接続され、 前記有機化合物層は、発光層および電子伝達層を有し、 前記電子伝達層はドナー性分子を含むことを特徴とする
    発光装置。
  4. 【請求項4】絶縁表面上に設けられたTFTと、 前記TFT上に形成された層間絶縁膜と、 前記層間絶縁膜上に形成された第1の電極と、 前記第1の電極の端部を覆って形成された絶縁層と、 前記第1の電極上に形成された有機化合物層と、 前記有機化合物層上に形成された第2の電極とを有する
    発光装置であって、 前記TFTは、ソース領域およびドレイン領域を有し、 前記第1の電極は、前記ソース領域または前記ドレイン
    領域のいずれか一方と電気的に接続され、 前記有機化合物層は、発光層および電子伝達層を有し、 前記電子伝達層はドナー性分子および電子輸送性材料を
    含むことを特徴とする発光装置。
  5. 【請求項5】請求項3または請求項4において、 前記第1の電極は陽極であり、前記第2の電極は陰極で
    あり、 前記電子伝達層は、前記第2の電極と接して形成される
    ことを特徴とする発光装置。
  6. 【請求項6】請求項3または請求項4において、 前記第1の電極は陰極であり、前記第2の電極は陽極で
    あり、 前記電子伝達層は、前記第1の電極と接して形成される
    ことを特徴とする発光装置。
  7. 【請求項7】請求項1乃至請求項6のいずれか一におい
    て、 前記電子伝達層に3,3',5,5'-テトラメチルベンジジンを
    含むことを特徴とする発光装置。
  8. 【請求項8】請求項1乃至請求項7のいずれか一におい
    て、 前記発光装置は、表示装置、デジタルスチルカメラ、ノ
    ート型パーソナルコンピュータ、モバイルコンピュー
    タ、記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置、ゴーグル
    型ディスプレイ、ビデオカメラ、携帯電話から選ばれた
    一種であることを特徴とする発光装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005235564A (ja) * 2004-02-19 2005-09-02 Sharp Corp 有機elデバイス
JP2007507107A (ja) * 2003-09-24 2007-03-22 イーストマン コダック カンパニー 非正孔阻止バッファ層を有するoled
JP2010055075A (ja) * 2008-07-31 2010-03-11 Chiba Univ エレクトロクロミック材料及びそれを用いたリライタブル表示装置。

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