JP2004152542A - 発光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】アクティブマトリクス型の発光装置において、有機化合物層の上部に形成された陽極が光取り出し電極となる上面出射型の発光装置を提供する。
【解決手段】陰極と、有機化合物層と、陽極とからなる発光素子において、光取り出し電極である陽極と有機化合物層との界面に保護膜を形成することを特徴とする。なお、有機化合物層上に形成された保護膜は、透過率が70〜100%であり、また、陽極をスパッタリング法により成膜する際に有機化合物層に与えられるダメージを防ぐことができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の電極間に有機化合物を含む膜(以下、「有機化合物層」と記す)を設けた素子に電界を加えることで、蛍光又は燐光が得られる発光素子を用いた発光装置に関する。なお、本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは光源を指す。また、発光素子にコネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【0002】
【従来の技術】
本発明でいう発光素子とは、電界を加えることにより発光する素子である。その発光機構は、電極間に有機化合物層を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔が有機化合物層中で再結合して、励起状態の分子(以下、「分子励起子」と記す)を形成し、その分子励起子が基底状態に戻る際にエネルギーを放出して発光すると言われている。
【0003】
なお、有機化合物が形成する分子励起子の種類としては、一重項励起状態と三重項励起状態が可能であると考えられるが、本明細書中ではどちらの励起状態が発光に寄与する場合も含むこととする。
【0004】
このような発光素子において、通常、有機化合物層は1μmを下回るほどの薄膜で形成される。また、発光素子は、有機化合物層そのものが光を放出する自発光型の素子であるため、従来の液晶ディスプレイに用いられているようなバックライトも必要ない。したがって、発光素子は極めて薄型軽量に作製できることが大きな利点である。
【0005】
また、例えば100〜200nm程度の有機化合物層において、キャリアを注入してから再結合に至るまでの時間は、有機化合物層のキャリア移動度を考えると数十ナノ秒程度であり、キャリアの再結合から発光までの過程を含めてもマイクロ秒以内のオーダーで発光に至る。したがって、非常に応答速度が速いことも特長の一つである。
【0006】
こういった薄型軽量・高速応答性・直流低電圧駆動などの特性から、発光素子は次世代のフラットパネルディスプレイ素子として注目されている。また、自発光型であり視野角が広いことから、視認性も比較的良好であり、携帯機器の表示画面に用いる素子として有効と考えられている。
【0007】
また、このような発光素子をマトリクス状に配置して形成された発光装置には、パッシブマトリクス駆動(単純マトリクス型)とアクティブマトリクス駆動(アクティブマトリクス型)といった駆動方法を用いることが可能である。しかし、画素密度が増えた場合には、画素(又は1ドット)毎にスイッチが設けられているアクティブマトリクス型の方が低電圧駆動できるので有利であると考えられている。
【0008】
また、これまでアクティブマトリクス型の発光装置としては、図18に示すように基板1701上のTFT1705と陽極1702とが電気的に接続され、陽極1702上に有機化合物層1703が形成され、有機化合物層1703上に陰極1704が形成された発光素子1707を有する。なお、発光素子1707における陽極材料としては、正孔注入性を容易にするために仕事関数の大きい導電性材料が使用され、これまでに実用特性を満たす材料としてITO(indium tinoxide)やIZO(indium zinc oxide)などの透光性を有する導電性材料が用いられている。そして、発光素子1707の有機化合物層1703において生じた光は、透光性を有する陽極1702からTFT1705の方向へ取り出されるという構造(以下、下面出射型という)が主流である。
【0009】
しかし、下面出射型の構造においては、解像度を向上させようとしても画素部におけるTFT及び配線等の配置により、開口率が制限されるという問題が生じる。
【0010】
これに対して、近年、陰極側から光を取り出す構造(以下、上面出射型という)が考案されている。上面出射型の場合には、下面出射型に比べて開口率を大きくすることができるので、より高輝度が得られる発光素子を形成することができると考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−43980号公報
【0012】
なお、上記発明においては、陰極材料として透光性を有する材料が無いために陰極を形成した後、透明導電膜であるITOを積層し、陰極側から光を取り出すという構成を有している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記陰極側から光を取り出す素子構造の場合には、陰極としての機能を保持するために充分な成膜性が要求されるのに対し、光取り出し電極としての透光性を確保するために極薄膜で形成する必要があるため、両者の条件を満たすためには矛盾が生じてしまう。
【0014】
そこで、本発明では、これらの問題を解決するため、上面出射型の発光装置の作製において、光取り出し電極としては、既に実用化レベルの特性を有しているITOやIZOといった透明導電膜を電極材料として用い、従来の上面出射型の発光装置と素子構造の異なる発光素子を作製することを目的とする。
【0015】
また、光取り出し電極として透明電極を形成する場合には、有機化合物層を形成した後で透明導電膜を形成することになる。通常、透明導電膜の成膜はスパッタリング法により行われるため、成膜時に有機化合物表面がスパッタリングダメージを受けることにより、素子劣化の原因となるといった問題がある。
【0016】
そこで、本発明では上面出射型の発光素子の作製において、有機化合物層にダメージを与えることなく、これまで以上に発光素子の発光効率を向上させることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記課題を解決するために陰極と、有機化合物層と陽極とからなる発光素子の陽極と有機化合物層との界面に保護膜を形成することを特徴とする。
【0018】
なお、本発明において、陽極は透光性を有する導電膜で形成され、光取り出し電極としての機能を有する。また、陰極は画素電極上に形成されるため、陰極材料が必ずしも遮光性を有する必要はないが、画素電極と陰極を積層させたときの積層膜が遮光性を有している必要がある。これは、有機化合物層で生じた光を効率よく陽極側から取り出すためである。なお、ここでいう遮光性とは、その積層膜に対する可視光の透過率が10%未満であることをいう。また、陰極材料としては、仕事関数が3.8eV以下の材料を用いることを特徴とする。なお、このような陰極材料を用いることにより、陰極と有機化合物層の間におけるエネルギー障壁を緩和することができるので陰極からの電子の注入性が高められる。
【0019】
また、陰極上に形成された有機化合物層の上に保護膜が形成される。本明細書中でいう保護膜とは、有機化合物層形成後に形成される陽極成膜時に有機化合物層に与えられるスパッタダメージを防ぐための機能を有するものである。なお、保護膜を形成する材料としては、陽極からの正孔(ホール)の注入性を向上させることができるような仕事関数が4.5〜5.5eVの材料を用いることを特徴とする。さらに、本発明において、有機化合物膜と保護膜との界面には混合領域が形成される。なお、本明細書中における混合領域とは、有機化合物層と保護膜との界面に形成され、有機化合物層を形成する材料と、保護膜を形成する材料とからなる領域のことをいう。
【0020】
このように界面に混合領域を形成することにより、有機化合物層を形成する材料の仕事関数と保護膜を形成する材料の仕事関数とにより生じるエネルギー障壁を緩和させることができるので、陽極から注入された正孔の輸送性を高めることができるとともに、有機化合物層上に形成される保護膜の密着性を高めることができるので、素子特性をも向上させることができる。
【0021】
また、保護膜を形成した後で発光素子の陽極が形成されるが、本発明においては、従来の陽極材料であるITOやIZOといった透明導電膜を用いることができるので、これまでの陽極と何ら変わりなく作製することができる。
【0022】
本発明において開示する発明の構成は、
絶縁表面上に設けられたTFTと、前記TFT上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に形成された画素電極と、前記画素電極の端部を覆って形成された絶縁膜と、前記画素電極上に形成された陰極と、前記陰極上に形成された有機化合物層と、保護膜と、陽極とを有する発光装置であって、前記TFTは、ソース領域およびドレイン領域を有し、前記画素電極は、前記層間絶縁膜に形成された開口部において、前記ソース領域または前記ドレイン領域のいずれか一方と電気的に接続され、前記有機化合物層と前記保護膜との間に混合領域を有し、前記混合領域は、前記有機化合物層を構成する有機化合物、および前記保護膜を構成する金属材料を含むことを特徴とする発光装置である。
【0023】
また、他の発明の構成は、絶縁表面上に設けられたTFTと、前記TFT上に形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成された画素電極と、前記画素電極の端部を覆って形成された絶縁膜と、前記画素電極上に形成された陰極と、前記陰極上に形成された有機化合物層と、保護膜と、陽極とを有する発光装置であって、前記TFTは、ソース領域およびドレイン領域を有し、前記画素電極は、前記層間絶縁膜に形成された開口部において、前記ソース領域または前記ドレイン領域のいずれか一方と電気的に接続され、前記有機化合物層と前記保護膜との間に混合領域を有し、前記混合領域は、前記有機化合物層を構成する有機化合物、および前記保護膜を構成する金属材料を含み、かつ、その平均膜厚が0.5〜10nm、好ましくは1〜5nmであることを特徴とする発光装置である。
【0024】
また、他の発明の構成は、絶縁表面上に設けられたTFTと、前記TFT上に形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成されたバリア膜と、前記バリア膜上に形成された画素電極と、前記画素電極の端部を覆って形成された絶縁膜と、前記画素電極上に形成された陰極と、前記陰極上に形成された有機化合物層と、保護膜と、陽極とを有する発光装置であって、前記TFTは、ソース領域およびドレイン領域を有し、前記画素電極は、層間絶縁膜およびバリア膜に形成された開口部を介して前記ソース領域または前記ドレイン領域のいずれか一方と電気的に接続され、前記有機化合物層と前記保護膜との間に混合領域を有し、前記混合領域は、前記有機化合物層を構成する有機化合物、および前記保護膜を構成する金属材料を含むことを特徴とする発光装置である。
【0025】
さらに、他の発明の構成は、絶縁表面上に設けられたTFTと、前記TFT上に形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成されたバリア膜と、前記バリア膜上に形成された画素電極と、前記画素電極の端部を覆って形成された絶縁膜と、前記画素電極上に形成された陰極と、前記陰極上に形成された有機化合物層と、保護膜と、陽極とを有する発光装置であって、前記TFTは、ソース領域およびドレイン領域を有し、前記画素電極は、前記層間絶縁膜および前記バリア膜に形成された開口部を介して前記ソース領域または前記ドレイン領域のいずれか一方と電気的に接続され、前記有機化合物層と前記保護膜との間に混合領域を有し、前記混合領域は、前記有機化合物層を構成する有機化合物、および前記保護膜を構成する金属材料を含み、かつ、その平均膜厚が0.5〜10nm、好ましくは1〜5nmであることを特徴とする発光装置である。
【0026】
なお、上記構成において、バリア膜は、窒化アルミニウム(AlN)、窒化酸化アルミニウム(AlNO)、酸化窒化アルミニウム(AlNO)、窒化珪素(SiN)、窒化酸化珪素(SiNO)等のアルミニウム又は珪素を含む絶縁膜からなり、層間絶縁膜からの酸素等の脱ガスや水分等が発光素子の方へ侵入するのを防ぐことができると共に、陰極材料として含まれているアルカリ金属の層間絶縁膜側への侵入を防ぐことができる。
【0027】
さらに、他の発明の構成は、絶縁表面上に設けられたTFTと、前記TFT上に形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成された画素電極と、前記画素電極の端部を覆って形成された絶縁膜と、前記画素電極上に形成された陰極と、前記陰極上に形成された有機化合物層と、保護膜と、陽極とを有する発光装置であって、前記TFTはソース領域およびドレイン領域を有し、前記画素電極は、前記層間絶縁膜に形成された開口部において、前記ソース領域または前記ドレイン領域のいずれか一方と電気的に接続され、前記有機化合物層と前記保護膜との間には混合領域を有し、前記有機化合物層は、有機化合物からなる第一の層と、前記第一の層を構成する物質とは異なる有機化合物からなる第二の層とを有し、前記第一の層と前記第二の層との間に、前記第一の層を構成する有機化合物、および前記第二の層を構成する有機化合物を含む混合層を有することを特徴とする発光装置である。
【0028】
上記各構成において、層間絶縁膜および絶縁膜は酸化珪素、窒化珪素および窒化酸化珪素等の珪素を含む絶縁性の膜の他、ポリイミド、ポリアミド、アクリル(感光性アクリルを含む)、BCB(ベンゾシクロブテン)といった有機樹脂膜を用いることができる。また、塗布法により形成される塗布シリコン酸化膜(SOG:Spin On Glass)を用いることもできる。
【0029】
また、上記各構成において、画素電極は基板上に形成されたTFTと電気的に接続される配線としての機能を有し、アルミニウム、チタンおよびタングステンなどの低抵抗な金属材料を単体若しくは積層して用いることにより形成される。
【0030】
上記各構成において、陰極は、仕事関数の小さい材料からなり、画素電極上に形成される。ここでは、元素周期律の1族または2族に属する元素、すなわちアルカリ金属及びアルカリ土類金属の他、希土類金属を含む遷移金属などが適しているが、本発明では、特にこれらを含む合金や化合物が適している。これは、仕事関数の小さい金属は大気中で不安定であり、酸化や剥離が問題となるためである。
【0031】
具体的には、上記金属を含むフッ化物としてフッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化バリウム(BaF)、フッ化リチウム(LiF)等を用いることができる。その他にもマグネシウムに銀を添加した合金(Mg:Ag)や、アルミニウムにリチウムを添加した合金(Al:Li)、アルミニウムにリチウム、カルシウム及びマグネシウムを含んだ合金などを用いることができる。なお、リチウムを添加したアルミニウム合金は、最もアルミニウムの仕事関数を小さくすることができる。
【0032】
なお、陰極は上述した材料を用いて、1〜50nmの厚さで形成されるが、上述したフッ化物を用いる場合には5nm以下の極薄膜で用いることが好ましい。また、その他にもリチウムアセチルアセトネート(Liacac)といった材料を用いることができる。
【0033】
また、上記各構成において、有機化合物層とは陰極及び陽極から注入されたキャリアが再結合する場である。有機化合物層は、発光層のみの単層で形成される場合もあるが、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、ブロッキング層、電子輸送層および電子注入層などの複数の層が積層されて形成される場合も本発明に含まれる。さらに、複数の層が積層されて形成される場合には、各積層界面において、隣り合う層を形成する材料を混合させて形成される層(これを本明細書中では混合層という)を形成することもできる。なお、混合層を形成することにより、積層界面に生じるエネルギーギャップを緩和させることができるので、有機化合物層内でのキャリアの移動度を高めることができ、駆動電圧を低下させることができる。
【0034】
また、上記各構成において、混合領域は、有機化合物層を形成する材料と保護膜を形成する金属材料とからなり、混合領域全体に含まれる金属材料の含有量は10〜50%であることが望ましい。
【0035】
さらに本発明における有機化合物層は、低分子系もしくは高分子系の有機化合物を用いて形成される場合だけではなく、有機化合物層の一部に無機材料(具体的には、SiおよびGeの酸化物の他、窒化炭素(CxNy)、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、およびランタノイド系元素のいずれかの酸化物とZn、Sn、V、Ru、Sm、およびIrのいずれかとの組み合わせた材料等)を用いることも可能である。
【0036】
また、上記各構成において、保護膜は有機化合物層の上に形成され、陽極形成時のスパッタダメージを防ぐ機能を有する。なお、保護膜は陽極と接して形成されるため、その材料としては、陽極材料となるITOなどの仕事関数と同じであるかそれ以上の仕事関数(4.5〜5.5eV)を有する金属材料を用いることにより形成される。なお、本発明においては、元素周期律において遷移金属に属する金属を用いることができる。また、遷移金属の中でも、特に長周期型の周期律表における元素周期律の第9族、第10族、または第11族に属する金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)といった金属材料が好ましい。
【0037】
なお、本発明の素子構造の場合には、有機化合物層で生じた光は、保護膜を透過して、陽極から外部に出射されるため可視光の透過率が70〜100%である必要がある。そのため陽極および保護膜の透過率はいずれも70〜100%である必要がある。また、本発明における保護膜は、陽極成膜時におけるスパッタダメージを防ぐことがその目的であることから、必ずしも均一な膜である必要はなく、透過率が確保できればよいため5〜50nmの膜厚で形成すればよい。
【0038】
尚、本発明の発光装置から得られる発光は、一重項励起状態又は三重項励起状態のいずれか一方、またはその両者による発光を含むものとする。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図1(A)(B)を用いて説明する。なお、図1(A)には、画素電極101上に形成された発光素子102の素子構造について示す。
【0040】
図1(A)に示すように画素電極101上に陰極103が形成され、陰極103と接して有機化合物層104が形成され、有機化合物層104と接して保護膜105が形成され、その上に陽極106が形成される。なお、陰極103から有機化合物層104に電子が注入され、陽極106からは有機化合物層104に正孔が注入される。そして、有機化合物層104において、正孔と電子が再結合することにより発光が得られる。
【0041】
また、画素電極101は、発光素子を駆動するための薄膜トランジスタ(以下、TFTと示す)のソース領域、またはドレイン領域のいずれか一方と陰極103とを電気的に接続する機能を有する。なお、図1(A)(B)に示すように陰極103とは別に画素電極101を設ける場合には、有機化合物層104と直接接することはなく、発光素子102の電極(陰極)として機能するわけでもないので、配線材料に要求される導電率の高い材料で形成すればよい。ただし、画素電極101自体を発光素子の陰極として用いる場合には、陰極として機能する程度に仕事関数の小さい金属材料(具体的には、仕事関数が3.8eV以下)を用いる必要がある。
【0042】
次に画素電極101上に陰極103が形成される。なお、陰極103に用いる仕事関数の小さい(具体的には、仕事関数が3.8eV以下)材料としては、元素周期律の1族または2族に属する元素、すなわちアルカリ金属及びアルカリ土類金属の他、希土類金属を含む遷移金属が適しているが、本発明では、特にこれらを含む合金や化合物が適している。これは、仕事関数の小さい金属は大気中で不安定であり、酸化や剥離が問題となるためである。
【0043】
また、有機化合物層104は、発光層を含み、正孔注入層、正孔輸送層、ブロッキング層、電子輸送層、および電子注入層といったキャリアに対する機能の異なる層のいずれか一つ、もしくは複数を組み合わせて積層することにより形成される。なお、有機化合物層104を形成する材料としては、公知の材料を用いることができる。なお、本発明において、有機化合物層が2種類以上の積層構造を有する場合においては、その積層界面に隣り合う層を形成する材料からなる層(以下、混合層という)を形成することもできる。なお、積層界面に混合層を形成することにより、界面において仕事関数によりエネルギーギャップを緩和することができるので有機化合物層の内部におけるキャリア(正孔および電子)の輸送性を高めることができる。
【0044】
本発明において、有機化合物層104を形成したところで、有機化合物層104の上に混合領域107を形成する。なお、混合領域107は、有機化合物層104の形成に用いた有機化合物と、保護膜105の形成に用いる金属材料とを含み形成される。
【0045】
なお、保護膜105は、陽極106を形成する時のスパッタダメージを防ぐ機能を有する。その他にも、保護膜を形成することにより先に形成された有機化合物層への水分や酸素等の侵入を防ぐ効果も期待できる。また、保護膜105は陽極106と接して形成されるため、その材料としては、陽極からの正孔の注入性を妨げないために陽極106の材料となるITOなどと同じであるかそれ以上の仕事関数(4.5eV〜5.5eV)を有する金属材料を用いるとよい。
【0046】
また、図1(B)には、基板110上に形成されたTFT(電流制御用TFTともいう)111と図1(A)に示した発光素子102とが電気的に接続されたアクティブマトリクス型の発光装置を示す。
【0047】
図1(B)において、電流制御用TFT111はソース領域、ドレイン領域、チャネル領域、ゲート絶縁膜およびゲート電極を有しており、これらを覆って層間絶縁膜112が形成される。さらに、層間絶縁膜112からの脱ガスや水分の放出を防ぐためにバリア膜108が形成されており、バリア膜108上に配線113と同時に画素電極101が形成される。
【0048】
なお、本実施の形態においては、TFT105のソース領域またはドレイン領域のいずれか一方に電気的な信号を入力するのが配線113であり、また、他方から電気的な信号を出力するのが画素電極101である。
【0049】
なお、画素電極101の端部は絶縁層114で覆われており、表面に露出している画素電極101上に陰極103が形成される。また、陰極103上には、図1(A)で示したのと同様に有機化合物層104、保護膜105および陽極106が積層され、発光素子102が完成する。
【0050】
ここで、図2((A)〜(D))および図3((A)〜(D))を用いてアクティブマトリクス型の発光装置の作製方法について説明する。
【0051】
図2(A)において、基板201上にTFT202が形成されている。なお、本実施の形態では、基板201としてガラス基板を用いるが、石英基板を用いても良い。また、本発明において、光は発光素子から基板と反対側に出射されるため、基板が特に透光性である必要はなく、遮光性の公知の材料を用いることもできる。TFT202は公知の方法を用いて形成すれば良く、TFT202は、少なくともゲート電極203と、ゲート絶縁膜204を挟んでゲート電極203と反対側に形成されたソース領域205と、ドレイン領域206と、チャネル形成領域207、とを備えている。なお、チャネル領域207は、ソース領域205と、ドレイン領域206との間に形成されている。
【0052】
また、図2(B)に示すようにTFT202を覆って層間絶縁膜208が1〜2μmの膜厚で設けられ、層間絶縁膜208上にバリア膜209が形成される。
【0053】
なお、層間絶縁膜208を形成する材料としては、酸化珪素、窒化珪素および窒化酸化珪素等の珪素を含む絶縁性の膜の他、ポリイミド、ポリアミド、アクリル(感光性または非感光性アクリルを含む)、BCB(ベンゾシクロブテン)といった有機樹脂膜を用いることができる。また、例えばアクリルと酸化珪素との積層膜のように上述した材料を積層させた膜を用いることもできる。なお、層間絶縁膜は、スパッタリング法や蒸着法により形成される。さらに、塗布法により形成されるシリコン酸化膜として、塗布シリコン酸化膜(SOG:Spin On Glass)を用いることもできる。
【0054】
また、バリア膜209を形成する材料としては、具体的には窒化アルミニウム(AlN)、窒化酸化アルミニウム(AlNO)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒化珪素(SiN)、窒化酸化珪素(SiNO)等のアルミニウム又は珪素を含む絶縁膜を用いることができる。また、0.2〜1.0μmの膜厚で形成することが望ましい。なお、バリア膜209を設けることで、アルカリ金属、水、または有機気体などの拡散を防ぐことができる。
【0055】
そして、層間絶縁膜208およびバリア膜209に開口部を形成した後、バリア膜209の上に導電膜210をスパッタリング法により成膜する(図2(C))。
【0056】
導電膜210を形成する導電性材料としてはタンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)から選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料を用いることができる。また、これらを複数組み合わせて積層構造としてもよい。なお、ここでは、膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造を用いる。
【0057】
次に図2(D)に示すように上記導電膜210をパターニングすることによりTFT202と電気的に接続される配線211を形成する。なお、本発明においては、配線としての機能も兼ねた画素電極212が同時に形成される。また、パターニングの方法としては、ドライエッチング法又はウエットエッチング法のいずれを用いてもよい。
【0058】
また、図3(A)に示すように陽極の端部と陽極間の隙間を覆うようにして絶縁層213が形成される。なお、絶縁層213は絶縁膜を形成した後で、画素電極上に開口部を形成することにより得ることができる。絶縁層213を形成する材料としては、酸化珪素、窒化珪素および窒化酸化珪素等の珪素を含む材料の他、ポリイミド、ポリアミド、アクリル(感光性アクリルを含む)、BCB(ベンゾシクロブテン)といった有機樹脂膜を用いることができる。さらに、シリコン酸化膜として、塗布シリコン酸化膜(SOG:Spin On Glass)を用いることもできる。なお、膜厚は、0.1〜2μmで形成することができるが、特に酸化珪素、窒化珪素および窒化酸化珪素等の珪素を含む材料を用いる場合には0.1〜0.3μmの膜厚で形成することが望ましい。
【0059】
次に陰極214が形成される。なお、陰極214は、陰極材料をメタルマスクを用いてスパッタリング法や蒸着法によりパターニングして作製される。なお、陰極214を形成する材料としては陰極214からの電子の注入性を向上させるために仕事関数の小さい材料が好ましく、元素周期律の1族または2族に属する元素、すなわちアルカリ金属及びアルカリ土類金属の他、希土類金属を含む遷移金属などを用いることができる。
【0060】
具体的には、上記金属を含むフッ化物としてフッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化バリウム(BaF)、フッ化リチウム(LiF)等を用いることができる。その他にもマグネシウムに銀を添加した合金(Mg:Ag)や、アルミニウムにリチウムを添加した合金(Al:Li)、アルミニウムにリチウム、カルシウム及びマグネシウムを含んだ合金などを用いることができる。なお、リチウムを添加したアルミニウム合金は、最もアルミニウムの仕事関数を小さくすることができる。
【0061】
なお、陰極214は上述した材料を用いて、1〜50nmの厚さで形成されるが、上述したフッ化物を用いる場合には5nm以下の極薄膜で用いることが好ましい。また、その他にもリチウムアセチルアセトネート(Liacac)といった材料を用いることができる。
【0062】
次に、有機化合物層215が、陰極214上に形成される(図3(B))。なお、有機化合物層215を形成する材料としては、低分子系、高分子系、もしくは中分子系の公知の有機化合物を用いることができる。なお、ここでいう中分子系の有機化合物とは、昇華性や溶解性を有さない有機化合物の凝集体(好ましくは分子数10以下)、又は連鎖する分子の長さが5μm以下(好ましくは50nm以下)の有機化合物のことをいう。また、成膜方法としては、蒸着法(抵抗加熱法)、スピンコーティング法、インクジェット法、印刷法等を用いることができる。なお、有機化合物層はメタルマスクを用いて成膜することによりパターニングすることができる。
【0063】
なお、有機化合物層215が単層構造、積層構造のいずれの場合であってもその膜厚は10〜300nmであることが望ましい。
【0064】
次に、有機化合物層215の上には混合領域216が形成される。混合領域216の形成には、有機化合物層215の形成に用いた有機化合物(有機化合物層が積層構造を有していた場合には、最表面の層を形成している有機化合物)と、次に形成される保護膜217を形成する材料(金属材料)とが用いられる。
【0065】
例えば、有機化合物層215が蒸着法により形成されていた場合には、金属材料との共蒸着により形成され、有機化合物層215がスピンコート法などの塗布法により形成される場合には、塗布液に金属材料を混合した混合液を塗布することにより形成される。
【0066】
なお、蒸着法を用いて混合領域216を形成する場合には図17に示すような蒸着室において成膜を行う。図17に示すように基板301は、ホルダ302に固定されており、さらにその下方には、蒸発源303が設けられている。蒸発源303aには、有機化合物304aが備えられており、蒸発源303bには、金属材料304bがそれぞれ備えられている。また、蒸発源303(303a、303b)のそれぞれには、シャッター306(306a、306b)が形成されている。なお、成膜室において膜が均一に成膜されるように、蒸発源303(303a、303b)、または、蒸着される基板が移動(回転)するようにしておくと良い。なお、ここでは、蒸発源を2つしか示していないが、有機化合物層が積層構造を有する場合などには、複数の有機化合物が必要となるため、複数の蒸発源を設けることにより実施することができる。
【0067】
また、蒸発源303(303a、303b)は、導電性の材料からなり、ここに電圧が印加された際に生じる抵抗により内部の有機化合物304a、または金属材料304bが加熱されると、気化して基板301の表面へ蒸着される。なお、基板301の表面とは本明細書中では、基板とその上に形成された薄膜も含むこととし、ここでは、基板301上にTFT、TFTと接続された画素電極および陰極が形成されている。
【0068】
なお、シャッター306(306a、306b)は、気化した有機化合物304a、または金属材料304bの蒸着を制御する。つまり、シャッターが開いているとき、加熱により気化した有機化合物304a、または金属材料304bを蒸着することができる。
【0069】
また、成膜室には、防着シールド307が設けられており、蒸着時に基板上に蒸着されなかった有機化合物を付着させることができる。そして、防着シールド307の周囲に設けられている電熱線308で防着シールド307全体を加熱することができるので、付着した有機化合物を気化させることができるため蒸着されなかった有機化合物を再び回収することができる。
【0070】
例えば、先に説明した有機化合物層215が第1の蒸発源303aに備えられている有機化合物を蒸着することにより形成され、第2の蒸発源303bに、保護膜217を形成する金属材料が備えられているとする。この場合、第1の蒸発源303aに備えられている有機化合物と、第2の蒸発源303bに備えられている金属材料とを同時に基板上へ蒸着(共蒸着)することにより混合領域216を形成することができる。なお、本実施の形態において形成される混合領域216の膜厚は、平均膜厚が0.5〜10nmであり、好ましくは1〜5nmとなるように形成する。
【0071】
なお、混合領域216を形成した後、第1の蒸発源303aのシャッター306aのみを閉じることにより、第2の蒸発源303bから金属材料のみで形成される保護膜217を混合領域216上に形成することができる(図3(b))。なお、ここでの成膜を連続的に行うことにより、界面における不純物汚染を防ぐことができる。
【0072】
なお、保護膜217を形成する金属材料としては、陽極217の材料となるITOなどの仕事関数と同じであるかそれ以上の仕事関数(具体的には4.5〜5.5eV)を有する金属材料を用いることにより形成される。例えば、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)等の長周期型の元素周期律表における第9族、第10族または第11族に属する金属材料を用いることにより形成することができる。また、本発明における保護膜は、陽極217を成膜する際に有機化合物層に与えられるスパッタダメージを防ぐことがその目的であることから、必ずしも均一な膜である必要はなく、透過率が確保できればよいため、可視光の透過率が70〜100%である導電膜を用い、0.5〜5nmの膜厚で形成するとよい。
【0073】
さらに、保護膜217上に陽極218を形成することにより発光素子219が完成する。陽極218を形成する材料としては、ITOやIZOの他、IDIXO(In−ZnO)といった透明導電膜を用い、スパッタリング法により形成する。
【0074】
なお、ここではトップゲート型のTFTを例として説明したが、特に限定されず、トップゲート型のTFTに代えて、ボトムゲート型TFTや順スタガ型TFTやその他のTFT構造に適用することも可能である。
【0075】
このような構造とすることによって、有機化合物層215において、キャリアの再結合により生じた発光を陽極218側から効率良く出射させることができる。
【0076】
また、本発明の発光装置においては、図4(A)(B)に示す構造とすることも可能である。図4(A)に示す構造は、図1(A)と比べて画素電極401を形成する材料としてITOを用いて形成される点、および陰極材料に関して異なるが、それ以外については、図1(A)(B)における説明を参照すればよい。
【0077】
さらに、図4(B)には、基板410上に形成されたTFT(電流制御用TFTともいう)411と図4(A)に示した発光素子402とが電気的に接続されたアクティブマトリクス型の発光装置を示すが、配線413と画素電極401が別々に形成され、画素電極がITOで形成されている点で図1(B)で示したものとは異なる構造を有する。なお、この構造を形成する場合には、画素電極側からの無駄な光の出射を防ぐために陰極403が遮光性を有するように形成することが望ましい。なお、図1(A)(B)の場合と同様に、陰極材料としては、仕事関数の小さい(具体的には、仕事関数が3.8eV以下)材料であり、さらに膜厚等を厚く形成することにより遮光性を有することができる材料を用いることが望ましい。
【0078】
以上のような構造を有する本発明の発光装置について、以下に示す実施例でもってさらに詳細な説明を行うこととする。
【0079】
【実施例】
以下に、本発明の実施例について説明する。
【0080】
(実施例1)
本実施例では、本発明の発光装置が有する発光素子の素子構造について図5(A)(B)を用いて詳細に説明する。特に、有機化合物層に低分子系化合物を用いて形成される場合について説明する。
【0081】
実施の形態で説明したように、画素電極上に陰極501が形成される。本実施例において、陰極501は、CsFを用いて蒸着法により5nmの膜厚で形成される。
【0082】
そして、陰極501上に有機化合物層503が形成されるが、初めに電子輸送層504が形成される。電子輸送層504は、電子受容性を有する電子輸送性の材料により形成される。本実施例では、電子輸送層504としてトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(以下、Alqと示す)を40nmの膜厚で蒸着法により成膜する。
【0083】
さらに、ブロッキング層505を形成する。ブロッキング層505は、正孔阻止層とも呼ばれ、発光層506に注入された正孔が電子輸送層504を通り抜けて陰極501に到達してしまった場合に再結合に関与しない無駄な電流が流れるのを防ぐための層である。本実施例ではブロッキング層505としてバソキュプロイン(以下、BCPと示す)を10nmの膜厚で蒸着法により成膜する。
【0084】
次に発光層506が形成される。本実施例では、発光層506において、正孔と電子が再結合し、発光を生じる。なお、発光層506は、正孔輸送性のホスト材料として4,4’−ジカルバゾール−ビフェニル(以下、CBPと示す)を用い、発光性の有機化合物であるトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy))と共に共蒸着することにより30nmの膜厚で成膜する。
【0085】
次に正孔輸送性に優れた材料により正孔輸送層507が形成される。ここでは4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(以下、α−NPDと示す)を40nmの膜厚で蒸着法により成膜する。
【0086】
最後に正孔注入層508を形成することにより積層構造を有する有機化合物層503が完成する。なお、正孔注入層508は、陽極からの正孔の注入性を向上させる機能を有する。本実施例においては、正孔注入層508として、銅フタロシアニン(Cu−Pc)を30nmの膜厚で成膜して形成する。なお、蒸着法を用いて形成する。
【0087】
次に、正孔注入層508の形成に用いた材料と、この後形成される保護膜の材料とを共蒸着することにより、混合領域511を形成する。本実施例ではCu−Pcと金とを共蒸着し、1〜2nmの膜厚で形成する。
【0088】
混合領域511を形成した後、保護膜509が形成される。なお、保護膜509を形成する金属材料としては、具体的には、可視光の透過率が70〜100%であり、なおかつ仕事関数が4.5〜5.5の導電膜を用いる。また、金属膜は、可視光に対して不透明であることが多いため0.5〜5nmの膜厚で形成する。なお、本実施例では、先に述べたように金を用い、4nmの膜厚で蒸着法により形成する。
【0089】
次に陽極510が形成される。本発明において、陽極510は有機化合物層503で生じた光を透過させる電極であるので透光性を有する材料で形成される。また、陽極510は、正孔を有機化合物層503に注入する電極であるため仕事関数の大きい材料で形成する必要がある。なお、本実施例では、陽極510を形成する材料として、酸化インジウム・スズ(ITO)膜や酸化インジウムに2〜20[%]の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜をスパッタリング法により100nmの膜厚に成膜して用いる。なお、仕事関数の大きい透明性の導電膜であれば、公知の他の材料(IZO、IDIXO等)を用いて陽極510を形成することもできる。
【0090】
なお、本実施例において、図5(B)に示すように有機化合物層503を形成する電子輸送層504、ブロッキング層505、発光層506、正孔輸送層507、正孔注入層508の積層界面に隣り合う層を形成する材料からなる混合層を形成することもできる。
【0091】
具体的には、電子輸送層504とブロッキング層505との積層界面に混合層I(531)を形成し、ブロッキング層505と発光層506との積層界面に混合層II(532)を形成し、発光層506と正孔輸送層507との積層界面に混合層III(533)を形成し、正孔輸送層507と正孔注入層508との積層界面に混合層IV(534)を形成する。なお、本実施例の場合には、混合層I(531)をAlqとBCPを共蒸着させることにより形成し、混合層II(532)をBCP、CBP、および(Ir(ppy))とを共蒸着させることにより形成し、混合層III(533)をCBP、(Ir(ppy))、およびα−NPDを共蒸着させることにより形成し、混合層IV(534)をα−NPDとCu−Pcとで共蒸着させることにより形成する。
【0092】
なお、図5(B)に示したのは、好ましい一例であることから、必ずしも有機化合物層の積層界面全てに混合層を形成する必要はなく、例えば、発光層506と接するブロッキング層505、および正孔輸送層507との界面にのみ混合層を形成しても良い。
【0093】
以上により、有機化合物層に低分子系の材料を用いて形成された発光素子を形成することができる。
【0094】
(実施例2)
本実施例では、本発明の発光装置が有する発光素子の素子構造について図6((A)〜(C))を用いて詳細に説明する。特に、有機化合物層に高分子系化合物を用いて形成され素子構造について説明する。
【0095】
実施の形態で説明したように、画素電極上に陰極701が形成される。本実施例において、陰極701は、CaFを用いて蒸着法により5nmの膜厚で形成される。
【0096】
また、本実施例において陰極701上に形成される有機化合物層702は、発光層703と正孔輸送層704との積層構造からなる。なお、本実施例における有機化合物層702には、高分子系の有機化合物を用いて形成する。
【0097】
また、発光層703には、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリパラフェニレン系、ポリチオフェン系、もしくはポリフルオレン系の材料を用いることができる。
【0098】
ポリパラフェニレンビニレン系の材料としては、オレンジ色の発光が得られるポリパラフェニレンビニレン(poly(p−phenylene vinylene))(以下、PPVと示す)、ポリ(2−(2’−エチル−ヘキソキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン)(poly[2−(2’−ethylhexoxy)−5−methoxy−1,4−phenylene vinylene])(以下、MEH−PPVと示す)、緑色の発光が得られるポリ(2−(ジアルコキシフェニル)−1,4−フェニレンビニレン)(poly[2−(dialkoxyphenyl)−1,4−phenylene vinylene])(以下、ROPh−PPVと示す)等を用いることができる。
【0099】
ポリパラフェニレン系の材料としては、青色発光が得られるポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレン)(poly(2,5−dialkoxy−1,4−phenylene))(以下、RO−PPPと示す)、ポリ(2,5−ジヘキソキシ−1,4−フェニレン)(poly(2,5−dihexoxy−1,4−phenylene))等を用いることができる。
【0100】
また、ポリチオフェン系の材料としては、赤色発光が得られるポリ(3−アルキルチオフェン)(poly(3−alkylthiophene))(以下、PATと示す)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(poly(3−hexylthiophene))(以下、PHTと示す)、ポリ(3−シクロヘキシルチオフェン)(poly(3−cyclohexylthiophene))(以下、PCHTと示す)、ポリ(3−シクロヘキシル−4−メチルチオフェン)(poly(3−cyclohexyl−4−methylthiophene))(以下、PCHMTと示す)、ポリ(3,4−ジシクロヘキシルチオフェン)(poly(3,4−dicyclohexylthiophene))(以下、PDCHTと示す)、ポリ[3−(4−オクチルフェニル)−チオフェン](poly[3−(4octylphenyl)−thiophene])(以下、POPTと示す)、ポリ[3−(4−オクチルフェニル)−2,2ビチオフェン](poly[3−(4−octylphenyl)−2,2−bithiophene])(以下、PTOPTと示す)等を用いることができる。
【0101】
さらに、ポリフルオレン系の材料としては、青色発光が得られるポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)(poly(9,9−dialkylfluorene)(以下、PDAFと示す)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(poly(9,9−dioctylfluorene)(以下、PDOFと示す)等を用いることができる。
【0102】
なお、これらの材料は、有機溶媒に溶解させた溶液を塗布法により塗布して形成する。なお、ここで用いる有機溶媒としては、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、テトラリン、キシレン、ジクロロメタン、シクロヘキサン、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノン、ジオキサン、THF(テトラヒドロフラン)等である。
【0103】
本実施例では、発光層703としてPPVからなる膜を80nmの膜厚で形成する。
【0104】
正孔輸送層704には、PEDOT(poly(3,4‐ethylene dioxythiophene))とアクセプター材料であるポリスチレンスルホン酸(以下、PSSと示す)とを両方用いて形成する他、ポリアニリン(以下、PANIと示す)とアクセプター材料であるショウノウスルホン酸(以下、CSAと示す)とを両方用いて形成することができる。なお、これらの材料は、水溶性であることから水溶液としたものを塗布法により塗布して成膜する。なお、本実施例では正孔輸送層704としてPEDOT及びPSSからなる膜を30nmの膜厚で形成する。以上により発光層703および正孔輸送層704とを積層した有機化合物層702を得ることができる。
【0105】
次に、正孔輸送層704の形成に用いた塗布液に、この後形成される保護膜の材料を混合させたものを塗布することにより混合領域707を形成する。なお、本実施例ではPEDOTとPSS材料とを含む水溶液に金を混合した塗布液を塗布して、1〜2nmの膜厚で形成する。
【0106】
混合領域707を形成した後、保護705が形成される。なお、保護膜705を形成する金属材料としては、具体的には、可視光の透過率が70〜100%であり、なおかつ仕事関数が4.5〜5.5の導電膜を用いる。また、金属膜は、可視光に対して不透明であることが多いため0.5〜5nmの膜厚で形成する。なお、本実施例では、金を用い、4nmの膜厚で蒸着法により形成する。
【0107】
次に陽極706が形成される。本発明において、陽極706は有機化合物層702で生じた光を透過させる電極であるので透光性を有する材料で形成される。また、陽極706は、正孔を有機化合物層702に注入する電極であるため仕事関数の大きい材料で形成する必要がある。なお、本実施例では、陽極706を形成する材料として、酸化インジウム・スズ(ITO)膜や酸化インジウムに2〜20[%]の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜をスパッタリング法により100nmの膜厚に成膜して用いる。なお、仕事関数の大きい透明性の導電膜であれば、公知の他の材料(IZO、IDIXO等)を用いて陽極706を形成することもできる。
【0108】
なお、本実施例において、図6(B)に示すように有機化合物層702を形成する発光層703と正孔輸送層704との積層界面に隣り合う層を形成する材料からなる混合層731を形成することもできる。
【0109】
以上により、有機化合物層に高分子系の材料を用いて形成された発光素子を形成することができる。
【0110】
(実施例3)
本発明の実施例について図7〜図10を用いて説明する。ここでは、同一基板上に画素部と、画素部の周辺に設ける駆動回路のTFT(nチャネル型TFT及びpチャネル型TFT)を同時に作製する方法について詳細に説明する。
【0111】
まず、基板600上に下地絶縁膜601を形成し、結晶構造を有する第1の半導体膜を得た後、所望の形状にエッチング処理して島状に分離された半導体層602〜605を形成する。
【0112】
基板600としては、ガラス基板(#1737)を用い、下地絶縁膜601としては、プラズマCVD法で成膜温度400℃、原料ガスSiH、NH、NOから作製される酸化窒化シリコン膜601a(組成比Si=32%、O=27%、N=24%、H=17%)を50nm(好ましくは10〜200nm)形成する。次いで、表面をオゾン水で洗浄した後、表面の酸化膜を希フッ酸(1/100希釈)で除去する。次いでプラズマCVD法で成膜温度400℃、原料ガスSiH、NOから作製される酸化窒化シリコン膜601b(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)を100nm(好ましくは50〜200nm)の厚さに積層形成し、さらに大気解放せずにプラズマCVD法で成膜温度300℃、成膜ガスSiHで非晶質構造を有する半導体膜(ここではアモルファスシリコン膜)を54nmの厚さ(好ましくは25〜80nm)で形成する。
【0113】
本実施例では下地膜601を2層構造として示したが、前記絶縁膜の単層膜または2層以上積層させた構造として形成しても良い。また、半導体膜の材料に限定はないが、好ましくはシリコンまたはシリコンゲルマニウム(Si1−XGe(X=0.0001〜0.02))合金などを用い、公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により形成すればよい。また、プラズマCVD装置は、枚葉式の装置でもよいし、バッチ式の装置でもよい。また、同一の成膜室で大気に触れることなく下地絶縁膜と半導体膜とを連続成膜してもよい。
【0114】
次いで、非晶質構造を有する半導体膜の表面を洗浄した後、オゾン水で表面に約2nmの極薄い酸化膜を形成する。次いで、TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行う。ここでは、ジボラン(B)を質量分離しないでプラズマ励起したイオンドープ法を用い、ドーピング条件を加速電圧15kV、ジボランを水素で1%に希釈したガス流量30sccm、ドーズ量2×1012/cmで非晶質シリコン膜にボロンを添加した。
【0115】
次いで、重量換算で10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液をスピナーで塗布する。塗布に代えてスパッタ法でニッケル元素を全面に散布する方法を用いてもよい。
【0116】
次いで、加熱処理を行い結晶化させて結晶構造を有する半導体膜を形成する。この加熱処理は、電気炉の熱処理または強光の照射を用いればよい。電気炉の熱処理で行う場合は、500℃〜650℃で4〜24時間で行えばよい。ここでは脱水素化のための熱処理(500℃、1時間)の後、結晶化のための熱処理(550℃、4時間)を行って結晶構造を有するシリコン膜を得る。なお、ここでは炉を用いた熱処理を用いて結晶化を行ったが、短時間での結晶化が可能なランプアニール装置で結晶化を行ってもよい。なお、ここではシリコンの結晶化を助長する金属元素としてニッケルを用いた結晶化技術を用いたが、他の公知の結晶化技術、例えば固相成長法やレーザー結晶化法を用いてもよい。
【0117】
次いで、結晶構造を有するシリコン膜表面の酸化膜を希フッ酸等で除去した後、結晶化率を高め、結晶粒内に残される欠陥を補修するためのレーザー光(XeCl:波長308nm)の照射を大気中、または酸素雰囲気中で行う。レーザー光には波長400nm以下のエキシマレーザー光や、YVOレーザーの第2高調波、第3高調波を用いる。いずれにしても、繰り返し周波数10〜1000Hz程度のパルスレーザー光を用い、当該レーザー光を光学系にて100〜500mJ/cmに集光し、90〜95%のオーバーラップ率をもって照射し、シリコン膜表面を走査させればよい。ここでは、繰り返し周波数30Hz、エネルギー密度393mJ/cmでレーザー光の照射を大気中で行う。なお、大気中、または酸素雰囲気中で行うため、レーザー光の照射により表面に酸化膜が形成される。
【0118】
また、レーザー光の照射により形成された酸化膜を希フッ酸で除去した後、第2のレーザー光の照射を窒素雰囲気、或いは真空中で行い、半導体膜表面を平坦化してもよい。その場合、このレーザー光(第2のレーザー光)には波長400nm以下のエキシマレーザー光や、YAGレーザーの第2高調波、第3高調波を用いる。第2のレーザー光のエネルギー密度は、第1のレーザー光のエネルギー密度より大きくし、好ましくは30〜60mJ/cm大きくする。
【0119】
なお、ここでのレーザー光の照射は、酸化膜を形成して後のスパッタ法による成膜の際、結晶構造を有するシリコン膜への希ガス元素の添加を防止する上でも、ゲッタリング効果を増大させる上でも非常に重要である。次いで、レーザー光の照射により形成された酸化膜に加え、オゾン水で表面を120秒処理して合計1〜5nmの酸化膜からなるバリア層を形成する。
【0120】
次いで、バリア層上にスパッタ法にてゲッタリングサイトとなるアルゴン元素を含む非晶質シリコン膜を膜厚150nmで形成する。本実施例のスパッタ法による成膜条件は、成膜圧力を0.3Paとし、ガス(Ar)流量を50(sccm)とし、成膜パワーを3kWとし、基板温度を150℃とする。なお、上記条件での非晶質シリコン膜に含まれるアルゴン元素の原子濃度は、3×1020/cm〜6×1020/cm、酸素の原子濃度は1×1019/cm〜3×1019/cmである。その後、ランプアニール装置を用いて650℃、3分の熱処理を行いゲッタリングする。
【0121】
次いで、バリア層をエッチングストッパーとして、ゲッタリングサイトであるアルゴン元素を含む非晶質シリコン膜を選択的に除去した後、バリア層を希フッ酸で選択的に除去する。なお、ゲッタリングの際、ニッケルは酸素濃度の高い領域に移動しやすい傾向があるため、酸化膜からなるバリア層をゲッタリング後に除去することが望ましい。
【0122】
次いで、得られた結晶構造を有するシリコン膜(ポリシリコン膜とも呼ばれる)の表面にオゾン水で薄い酸化膜を形成した後、レジストからなるマスクを形成し、所望の形状にエッチング処理して島状に分離された半導体層を形成する。半導体層を形成した後、レジストからなるマスクを除去する。
【0123】
また、半導体層を形成した後、TFTのしきい値(Vth)を制御するためにp型あるいはn型を付与する不純物元素を添加してもよい。なお、半導体に対してp型を付与する不純物元素には、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)など周期律第13族元素が知られている。なお、半導体に対してn型を付与する不純物元素としては周期律15族に属する元素、典型的にはリン(P)または砒素(As)が知られている。
【0124】
次いで、得られた結晶構造を有するシリコン膜(ポリシリコン膜とも呼ばれる)の表面にオゾン水で薄い酸化膜を形成した後、レジストからなるマスクを形成し、所望の形状にエッチング処理して島状に分離された半導体層602〜605を形成する。半導体層を形成した後、レジストからなるマスクを除去する。
【0125】
次いで、フッ酸を含むエッチャントで酸化膜を除去すると同時にシリコン膜の表面を洗浄した後、ゲート絶縁膜607となる珪素を主成分とする絶縁膜を形成する。なお、ゲート絶縁膜607としては、Siをターゲットとしたスパッタリング法で形成された酸化珪素膜と窒化珪素膜とからなる積層膜や、プラズマCVD法により形成された酸化窒化珪素膜や、酸化珪素膜を用いることができる。本実施例では、プラズマCVD法により115nmの厚さで酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)で形成する。
【0126】
次いで、図7(A)に示すように、ゲート絶縁膜607上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜608と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜609とを積層形成する。本実施例では、ゲート絶縁膜607上に膜厚50nmの窒化タンタル膜、膜厚370nmのタングステン膜を順次積層する。
【0127】
第1の導電膜及び第2の導電膜を形成する導電性材料としてはTa、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成する。また、第1の導電膜及び第2の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、Ag:Pd:Cu合金を用いてもよい。また、2層構造に限定されず、例えば、膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、第1の導電膜のタングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、第2の導電膜のアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、第3の導電膜の窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。また、単層構造であってもよい。
【0128】
次に、図7(B)に示すように光露光工程によりレジストからなるマスク610〜613を形成し、ゲート電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。第1のエッチング処理では第1及び第2のエッチング条件で行う。エッチングにはICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用いると良い。ICPエッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することによって所望のテーパー形状に膜をエッチングすることができる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl、BCl、SiCl、CClなどを代表とする塩素系ガスまたはCF、SF、NFなどを代表とするフッ素系ガス、またはOを適宜用いることができる。
【0129】
本実施例では、基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。なお、基板側の電極面積サイズは、12.5cm×12.5cmであり、コイル型の電極面積サイズ(ここではコイルの設けられた石英円板)は、直径25cmの円板である。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。第1のエッチング条件でのWに対するエッチング速度は200.39nm/min、TaNに対するエッチング速度は80.32nm/minであり、TaNに対するWの選択比は約2.5である。また、この第1のエッチング条件によって、Wのテーパー角は、約26°となる。この後、レジストからなるマスク610〜613を除去せずに第2のエッチング条件に変え、エッチング用ガスにCFとClとを用い、それぞれのガス流量比を30/30(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行った。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CFとClを混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。第2のエッチング条件でのWに対するエッチング速度は58.97nm/min、TaNに対するエッチング速度は66.43nm/minである。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。
【0130】
上記第1のエッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとすることにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部がテーパー形状となる。このテーパー部の角度は15〜45°とすればよい。
【0131】
こうして、第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層615〜618(第1の導電層615a〜618aと第2の導電層615b〜618b)を形成する。ゲート絶縁膜となる絶縁膜607は、10〜20nm程度エッチングされ、第1の形状の導電層615〜618で覆われない領域が薄くなったゲート絶縁膜620となる。
【0132】
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う。ここでは、エッチング用ガスにSFとClとOとを用い、それぞれのガス流量比を24/12/24(sccm)とし、1.3Paの圧力でコイル型の電極に700WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを25秒行った。基板側(試料ステージ)にも10WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。第2のエッチング処理でのWに対するエッチング速度は227.3nm/min、TaNに対するエッチング速度は32.1nm/minであり、TaNに対するWの選択比は7.1であり、絶縁膜620であるSiONに対するエッチング速度は33.7nm/minであり、SiONに対するWの選択比は6.83である。このようにエッチングガス用ガスにSFを用いた場合、絶縁膜620との選択比が高いので膜減りを抑えることができる。本実施例では絶縁膜620において約8nmしか膜減りが起きない。
【0133】
この第2のエッチング処理によりWのテーパー角は70°となった。この第2のエッチング処理により第2の導電層621b〜624bを形成する。一方、第1の導電層は、ほとんどエッチングされず、第1の導電層621a〜624aとなる。なお、第1の導電層621a〜624aは、第1の導電層615a〜618aとほぼ同一サイズである。実際には、第1の導電層の幅は、第2のエッチング処理前に比べて約0.3μm程度、即ち線幅全体で0.6μm程度後退する場合もあるがほとんどサイズに変化がない。
【0134】
また、2層構造に代えて、膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造とした場合、第1のエッチング処理における第1のエッチング条件としては、BClとClとOとを原料ガスに用い、それぞれのガス流量比を65/10/5(sccm)とし、基板側(試料ステージ)に300WのRF(13.56MHz)電力を投入し、1.2Paの圧力でコイル型の電極に450WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して117秒のエッチングを行えばよく、第1のエッチング処理における第2のエッチング条件としては、CFとClとOとを用い、それぞれのガス流量比を25/25/10(sccm)とし、基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行えばよく、第2のエッチング処理としてはBClとClを用い、それぞれのガス流量比を20/60(sccm)とし、基板側(試料ステージ)には100WのRF(13.56MHz)電力を投入し、1.2Paの圧力でコイル型の電極に600WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行えばよい。
【0135】
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、第1のドーピング処理を行って図8(A)の状態を得る。ドーピング処理はイオンドープ法、もしくはイオン注入法で行えば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量を1.5×1014atoms/cmとし、加速電圧を60〜100keVとして行う。n型を付与する不純物元素として、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いる。この場合、第1の導電層及び第2の導電層621〜624がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に第1の不純物領域626〜629が形成される。第1の不純物領域626〜629には1×1016〜1×1017/cmの濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加する。ここでは、第1の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をn−−領域とも呼ぶ。
【0136】
なお、本実施例ではレジストからなるマスクを除去した後、第1のドーピング処理を行ったが、レジストからなるマスクを除去せずに第1のドーピング処理を行ってもよい。
【0137】
次いで、図8(B)に示すようにレジストからなるマスク631、632を形成し第2のドーピング処理を行う。マスク631は駆動回路のpチャネル型TFTを形成する半導体層のチャネル形成領域及びその周辺の領域を保護するマスクであり、マスク632は画素部のTFT(スイッチング用TFT)を形成する半導体層のチャネル形成領域及びその周辺の領域を保護するマスクである。
【0138】
第2のドーピング処理におけるイオンドープ法の条件はドーズ量を1.5×1015atoms/cmとし、加速電圧を60〜100keVとしてリン(P)をドーピングする。ここでは、第2の導電層621bをマスクとして各半導体層に不純物領域が自己整合的に形成される。勿論、マスク631、632で覆われた領域には添加されない。こうして、第2の不純物領域634、635、636と、第3の不純物領域637、639が形成される。第2の不純物領域634、635、636には1×1020〜1×1021/cmの濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加されている。ここでは、第2の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をn領域とも呼ぶ。
【0139】
また、第3の不純物領域は第1の導電層により第2の不純物領域よりも低濃度に形成され、1×1018〜1×1019/cmの濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加されることになる。なお、第3の不純物領域は、テーパー形状である第1の導電層の部分を通過させてドーピングを行うため、テーパ−部の端部に向かって不純物濃度が増加する濃度勾配を有している。ここでは、第3の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をn領域とも呼ぶ。また、マスク632で覆われた領域は、第2のドーピング処理で不純物元素が添加されず、第1の不純物領域638となる。
【0140】
次いで、レジストからなるマスク631、632を除去した後、新たにレジストからなるマスク630、640、633を形成して図8(C)に示すように第3のドーピング処理を行う。
【0141】
駆動回路において、上記第3のドーピング処理により、pチャネル型TFTを形成する半導体層および保持容量を形成する半導体層にp型の導電型を付与する不純物元素が添加された第4の不純物領域641及び第5の不純物領域643を形成する。
【0142】
また、第4の不純物領域641には1×1020〜1×1021/cmの濃度範囲でp型を付与する不純物元素が添加されるようにする。尚、第4の不純物領域641には先の工程でリン(P)が添加された領域(n−−領域)であるが、p型を付与する不純物元素の濃度がその1.5〜3倍添加されていて導電型はp型となっている。ここでは、第4の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をp領域とも呼ぶ。
【0143】
また、第5の不純物領域643は第2の導電層125aのテーパー部と重なる領域に形成されるものであり、1×1018〜1×1020/cmの濃度範囲でp型を付与する不純物元素が添加されるようにする。ここでは、第5の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をp領域とも呼ぶ。
【0144】
以上までの工程でそれぞれの半導体層にn型またはp型の導電型を有する不純物領域が形成される。導電層621〜624はTFTのゲート電極となる。
【0145】
次いで、ほぼ全面を覆う絶縁膜(図示しない)を形成する。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚50nmの酸化シリコン膜を形成した。勿論、この絶縁膜は酸化シリコン膜に限定されるものでなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0146】
次いで、それぞれの半導体層に添加された不純物元素を活性化処理する工程を行う。この活性化工程は、ランプ光源を用いたラピッドサーマルアニール法(RTA法)、或いはYAGレーザーまたはエキシマレーザーを裏面から照射する方法、或いは炉を用いた熱処理、或いはこれらの方法のうち、いずれかと組み合わせた方法によって行う。
【0147】
また、本実施例では、上記活性化の前に絶縁膜を形成した例を示したが、上記活性化を行った後、絶縁膜を形成する工程としてもよい。
【0148】
次いで、窒化シリコン膜からなる第1の層間絶縁膜645を形成して熱処理(300〜550℃で1〜12時間の熱処理)を行い、半導体層を水素化する工程を行う(図9(A))。なお、第1の層間絶縁膜645は、プラズマCVD法により形成された窒化酸化珪素膜と窒化珪素膜からなる積層構造としても良い。この工程は第1の層間絶縁膜645に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。酸化シリコン膜からなる絶縁膜(図示しない)の存在に関係なく半導体層を水素化することができる。ただし、本実施例では、第2の導電層としてアルミニウムを主成分とする材料を用いているので、水素化する工程において第2の導電層が耐え得る熱処理条件とすることが重要である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行っても良い。
【0149】
次いで、第1の層間絶縁膜645上に有機樹脂膜から成る第2の層間絶縁膜646を形成する。本実施例では膜厚1.6μmのアクリル樹脂膜を形成する。
【0150】
さらに、第2の層間絶縁膜646上に層間絶縁膜の内部から発生する酸素などの脱ガスや水分等が放出されるのを防ぐためにバリア膜647が形成される。バリア膜647を形成する材料としては、具体的には窒化アルミニウム(AlN)、窒化酸化アルミニウム(AlNO)、酸化窒化アルミニウム(AlNO)、窒化珪素(SiN)、窒化酸化珪素(SiNO)等のアルミニウム又は珪素を含む絶縁膜を用いて、0.2〜1μmの膜厚で形成することができるが、本実施例では、窒化珪素からなるバリア膜をスパッタリング法により0.3μmの膜厚で形成する。なお、ここで用いるスパッタリング法としては、2極スパッタ法、イオンビームスパッタ法、または対向ターゲットスパッタ法等がある。
【0151】
次いで、各不純物領域に達するコンタクトホールを形成する。本実施例では複数のエッチング処理を順次行う。本実施例では第1の層間絶縁膜をエッチングストッパーとして第2の層間絶縁膜をエッチングした後、絶縁膜(図示しない)をエッチングストッパーとして第1の層間絶縁膜をエッチングしてから絶縁膜(図示しない)をエッチングした。
【0152】
その後、Al、Ti、Mo、Wなどを用いて配線を形成する。また、場合によっては、配線と接して形成される発光素子の画素電極を同時に形成することもできる。これらの電極及び画素電極の材料は、AlまたはAgを主成分とする膜、またはそれらの積層膜等の反射性の優れた材料を用いることが望ましい。こうして、配線650〜657が形成される。
【0153】
以上の様にして、nチャネル型TFT701、pチャネル型TFT702を有する駆動回路705と、nチャネル型TFTからなるスイッチング用TFT703、nチャネル型TFTからなる電流制御用TFT704とを有する画素部706を同一基板上に形成することができる(図9(C))。本明細書中ではこのような基板を便宜上アクティブマトリクス基板と呼ぶ。
【0154】
画素部706において、スイッチング用TFT703(nチャネル型TFT)にはチャネル形成領域503、ゲート電極を形成する導電層623の外側に形成される第1の不純物領域(n−−領域)638とソース領域、またはドレイン領域として機能する第2の不純物領域(n領域)635を有している。
【0155】
また、画素部706において、電流制御用TFT704(nチャネル型TFT)にはチャネル形成領域504、ゲート電極を形成する導電層624の一部と絶縁膜を介して重なる第3の不純物領域(n領域)639とソース領域、またはドレイン領域として機能する第2の不純物領域(n領域)636を有している。
【0156】
また、駆動回路705において、nチャネル型TFT701はチャネル形成領域501、ゲート電極を形成する導電層621の一部と絶縁膜を介して重なる第3の不純物領域(n領域)637とソース領域、またはドレイン領域として機能する第2の不純物領域(n領域)634を有している。
【0157】
また、駆動回路705において、pチャネル型TFT702にはチャネル形成領域502、ゲート電極を形成する導電層622の一部と絶縁膜を介して重なる第5の不純物領域(p領域)643と、ソース領域またはドレイン領域として機能する第4の不純物領域(p領域)641を有している。
【0158】
これらのTFT701、702を適宜組み合わせてシフトレジスタ回路、バッファ回路、レベルシフタ回路、ラッチ回路などを形成し、駆動回路705を形成すればよい。例えば、CMOS回路を形成する場合には、nチャネル型TFT701とpチャネル型TFT702を相補的に接続して形成すればよい。
【0159】
なお、信頼性が最優先とされる回路には、ゲート絶縁膜を介してLDD(LDD:Lightly Doped Drain)領域をゲート電極と重ねて配置させた、いわゆるGOLD(Gate−drain Overlapped LDD)構造であるnチャネル型TFT701の構造が適している。
【0160】
なお、駆動回路705におけるTFT(nチャネル型TFT、pチャネル型TFT)は、高い駆動能力(オン電流:Ion)およびホットキャリア効果による劣化を防ぎ信頼性を向上させることが要求されていることから本実施例では、ホットキャリアによるオン電流値の劣化を防ぐのに有効である構造として、ゲート電極がゲート絶縁膜を介して低濃度不純物領域と重なる領域(GOLD領域)を有するTFTを用いている。
【0161】
これに対して、画素部706におけるスイッチング用TFT703は、低いオフ電流(Ioff)が要求されていることから、本実施例ではオフ電流を低減するためのTFT構造として、ゲート電極がゲート絶縁膜を介して低濃度不純物領域と重ならない領域(LDD領域)を有するTFTを用いている。
【0162】
次に絶縁膜を成膜する。なお、本実施例において絶縁膜を形成する材料としては、窒化珪素および酸化窒化珪素といった珪素を含む絶縁膜の他、ポリイミド(感光性ポリイミドを含む)、ポリアミド、アクリル(感光性アクリルを含む)、BCB(ベンゾシクロブテン)といった有機樹脂膜を用いることもできる。
【0163】
また、この絶縁膜の画素電極657に対応する位置に開口部を形成して、絶縁層658を形成する(図10(A))。なお、本実施例では感光性ポリイミドを用いて1μmの絶縁膜を形成し、フォトリソグラフィ−法によりパターニングを行った後で、エッチング処理を行うことにより絶縁層658を形成する。
【0164】
次に、絶縁層658の開口部において露出している画素電極657上に陰極659をメタルマスクを用いた蒸着法によりパターン形成する。具体的な陰極材料としては、電子の注入性を向上させるために仕事関数の小さい材料で形成されることが望ましく、アルカリ金属やアルカリ土類金属に属する材料や希土類金属を含む遷移金属を単体で用いたり、その他の材料と積層したり、その他の材料とで形成される化合物(例えば、CsF、BaF、CaF等)、その他の材料とで形成される合金(例えばAl:Mg合金やAl:Mg合金やMg:In合金等)を用いることができる。なお、本実施例では、CsFを用いて5nmの膜厚で形成する。さらに、陰極659上に有機化合物層660をメタルマスクを用いた蒸着法により形成する(図10(A))。ここでは、本実施例において赤、緑、青の3種類の発光を示す有機化合物により形成される有機化合物層のうちの一種類が形成される様子を示すが、3種類の有機化合物層を形成する有機化合物の組み合わせについて、以下に詳細に説明する。
【0165】
はじめに、赤色発光を示す有機化合物層について説明する。具体的には、電子輸送層は、電子輸送性の有機化合物である、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(以下、Alqと示す)を40nmの膜厚に成膜し、ブロッキング層は、ブロッキング性の有機化合物である、バソキュプロイン(以下、BCPと示す)を10nmの膜厚に成膜し、発光層は、発光性の有機化合物である、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H、23H−ポルフィリン−白金(以下、PtOEPと示す)をホストとなる有機化合物(以下、ホスト材料という)である4,4’−ジカルバゾール−ビフェニル(以下、CBPと示す)と共に共蒸着させて30nmの膜厚に成膜し、正孔輸送層は、正孔輸送性の有機化合物である、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(以下、α−NPDと示す)を40nmの膜厚に成膜することにより赤色発光の有機化合物層を形成することができる。
【0166】
なお、ここでは赤色発光の有機化合物層として、5種類の機能の異なる有機化合物を用いて形成する場合について説明したが、本発明は、これに限られることはなく、赤色発光を示す有機化合物として公知の材料を用いることができる。
【0167】
次に、緑色発光を示す有機化合物層について説明する。具体的には、電子輸送層は、電子輸送性の有機化合物である、Alqを40nmの膜厚で成膜し、ブロッキング層は、ブロッキング性の有機化合物であるBCPを10nmの膜厚で成膜し、発光層は、正孔輸送性のホスト材料としてCBPを用い、発光性の有機化合物であるトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy))と共に共蒸着することにより30nmの膜厚で成膜し、正孔輸送層は、正孔輸送性の有機化合物である、α−NPDを40nmの膜厚で成膜することにより緑色発光の有機化合物を形成することができる。
【0168】
なお、ここでは緑色発光の有機化合物層として、4種類の機能の異なる有機化合物を用いて形成する場合について説明したが、本発明はこれに限られることはなく、緑色発光を示す有機化合物として公知の材料を用いることができる。
【0169】
次に、青色発光を示す有機化合物層について説明する。具体的には、電子輸送層は、電子輸送性の有機化合物である、Alqを40nmの膜厚で成膜し、ブロッキング層は、ブロッキング性の有機化合物である、BCPを10nmの膜厚に成膜し、発光層は、発光性および正孔輸送性の有機化合物である、α−NPDを40nmの膜厚で成膜することにより青色発光の有機化合物層を形成することができる。
【0170】
なお、ここでは青色発光の有機化合物層として、3種類の機能の異なる有機化合物を用いて形成する場合について説明したが、本発明はこれに限られることはなく、青色発光を示す有機化合物として公知の材料を用いることができる。
【0171】
以上に示したような組み合わせの有機化合物層を陽極上に形成することにより画素部において、赤色発光、緑色発光及び青色発光を示す有機化合物層を形成することができる。
【0172】
なお、本実施例では、上記各有機化合物層の上に有機化合物層660を形成する材料と、保護膜661を形成する材料とを共蒸着して混合領域を形成する。図10(B)において、有機化合物層と保護膜との界面で、破線で示しているところが混合領域である。なお、混合領域は、有機化合物層660及び絶縁層658を覆って1〜2nmの膜厚で形成される。例えば、有機化合物層660が赤色発光を示す有機化合物層で形成され、保護膜661を形成する金属材料として金が用いられていた場合には、正孔輸送層を形成するα−NPDと金とを共蒸着することにより混合領域が形成される。
【0173】
混合領域の上には保護膜661が形成される。なお、保護膜661を形成する金属材料としては、具体的には、可視光の透過率が70〜100%であり、なおかつ仕事関数が4.5〜5.5の導電膜を用いる。また、金属膜は、可視光に対して不透明であることが多いため0.5〜5nmの膜厚で形成する。なお、本実施例では、先に述べたように金を用い、4nmの膜厚で蒸着法により形成する。
【0174】
次に陽極662が形成される。本発明において、陽極662は有機化合物層660で生じた光を透過させる電極であるので透光性を有する材料で形成される。また、陽極662は、正孔を有機化合物層660に注入する電極であるため仕事関数の大きい材料で形成する必要がある。なお、本実施例では、陽極662を形成する材料として、酸化インジウム・スズ(ITO)膜や酸化インジウムに2〜20[%]の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜をスパッタリング法により100nmの膜厚に成膜して用いる。なお、仕事関数の大きい透明性の導電膜であれば、公知の他の材料(IZO、IDIXO等)を用いて陽極662を形成することもできる。また、陽極662形成時においては、基板の裏面側から基板を冷却、または、基板温度が80℃程度に維持されるようにすることで、スパッタリング時に有機化合物層に与えられる熱のダメージを緩和させてもよい。
【0175】
こうして図10(B)に示すように、電流制御用TFT704に電気的に接続された画素電極657と、前記画素電極657と隣り合う画素電極(図示せず)との隙間に形成された絶縁層658と、画素電極657上に形成された陰極659と、陰極659上に形成された有機化合物層660と、有機化合物層660及び絶縁層658上に形成された混合領域と、混合領域上に形成された保護膜661と、保護膜661上に形成された陽極662とからなる発光素子663を有する素子基板を形成することができる。
【0176】
なお、本実施例における発光装置の作製工程においては、回路の構成および工程の関係上、ゲート電極を形成している材料を用いてソース線を形成し、ソース領域、ドレイン領域と電気的に接続された配線を形成する材料を用いて走査線を形成しているが、それぞれ異なる材料を用いることは可能である。
【0177】
また、本発明の発光装置は、ソース線から入力されるビデオ信号に基づいた所定の電圧が電流制御用TFT704のゲートに入力される方式(以下、定電圧駆動方式という)の場合や、ソース信号線から入力されるビデオ信号に基づいた所定の電流が電流制御用TFT704から入力される方式(以下、定電流駆動方式という)のいずれの場合においても実施することが可能である。なお、本実施例において、TFTの駆動電圧は、1.2〜10Vであり、好ましくは、2.5〜5.5Vである。
【0178】
さらに、本実施例の図10(B)において説明した発光装置の構造の一部が異なる場合について図15に示す。
【0179】
図15において、図10(B)と同様にして画素電極1501が形成される。そして、その端部を覆うように絶縁層1502が形成されるが、ここでは、絶縁層1502を形成する材料として窒化珪素、酸化珪素、または酸化窒化珪素といった珪素を含む無機絶縁材料を用いて0.1〜0.3μmの膜厚で形成する。
【0180】
具体的には、窒化珪素膜をスパッタリング法により0.2μmの膜厚で形成する。
【0181】
以上のように絶縁層1502を無機絶縁材料により形成することで、有機樹脂膜を用いて形成した場合に比べて、材料から放出される水分や有機気体等を低減させることができる。
【0182】
また、図15(B)には、図15(A)の構造を有する場合における画素部1511の一部の上面図を示す。画素部1511には、複数の画素1512が形成されている。また、ここで示す上面図は、図15(A)の絶縁層1502まで形成された状態を示している。つまり、絶縁層1502は、ソース線1513、走査線1514および電流供給線1515を覆うように形成されている。また、下方に画素電極とTFTとの接続部分が形成されている領域a(1503)の部分も絶縁層1502で覆われている。
【0183】
さらに、図15(B)に示す画素部1511の点線AA’における断面図であって、画素電極1501上に陰極1504、有機化合物層1505、混合領域((図示せず)、および保護膜1506まで形成された状態を図15(C)に示す。なお、ここでは、紙面に対して縦方向に同一の材料からなる有機化合物層が形成されており、横方向にそれぞれ異なる材料からなる有機化合物層が形成されている。
【0184】
例えば、図15(B)の画素(R)1512aには赤色発光を示す有機化合物層(R)1505aが形成され、画素(G)1512bには緑色発光を示す有機化合物層(G)1505bが形成され、画素(B)1512cには青色発光を示す有機化合物層(B)1505cが形成される。また、これらの有機化合物層上には、混合領域を介して保護膜がそれぞれ形成されている。なお、絶縁層1502は、有機化合物層形成時のマージンとなり、有機化合物層の成膜位置が多少ずれて、図15(C)に示すように絶縁層1502上で異なる材料からなる有機化合物層が重なってしまったとしても、それが絶縁層1502上であれば何ら問題はない。
【0185】
さらに、図15(B)に示す画素部1511の点線BB’における断面図であって、図15(C)と同様に画素電極1501上に陰極1504および有機化合物層1505まで形成された状態を図15(D)に示す。
【0186】
なお、点線BB’で切断される画素には、画素(R)1512aと同様の赤色発光を示す有機化合物層(R)1505aが形成されるため、図15(D)で示す構造を有する。
【0187】
また、画素部の表示が動作しているとき(動画表示の場合)には、発光素子が発光している画素により背景の表示を行い、発光素子が非発光となる画素により文字表示を行えばよいが、画素部の動画表示がある一定期間以上静止している場合(本明細書中では、スタンバイ時と呼ぶ)には、電力を節約するために表示方法が切り替わる(反転する)ようにしておくと良い。具体的には、発光素子が発光している画素により文字を表示し(文字表示ともいう)、発光素子が非発光となる画素により背景を表示(背景表示ともいう)するようにする。
【0188】
(実施例4)
本実施例では、実施例3で示したのと一部構造の異なる発光装置について図11を用いて説明する。
【0189】
図11(A)において、図9(C)で形成される画素電極の代わりに配線670が形成される。その後、配線670を覆って第3の層間絶縁膜671が形成される。なお、ここで形成される第3の層間絶縁膜671の材料としては、第1および第2の層間絶縁膜を形成する際に用いた材料を用いて形成することができる。
【0190】
次に第3層間絶縁膜671の配線670と重なる位置に開口部を形成した後で画素電極672を形成する。なお、画素電極672を形成する材料としては、配線670形成に用いた材料を用いて形成することができる。
【0191】
さらに、画素電極672の端部を覆うように絶縁層673が形成され、画素電極672上には、陰極674、有機化合物層675が形成される。なお、絶縁層673を形成する材料としては実施例3と同様にして感光性ポリイミドを用いて1μmの膜厚で形成する。
【0192】
以上により、図11(B)に示すように有機化合物層675上に保護膜676、および陽極677が形成され、発光素子678が完成する。なお、画素電極672を形成した後の作製工程は実施例3と同様の方法で形成することができるので省略する。
【0193】
なお、本実施例で示したような構造とすることで、画素電極の面積を大きくすることができるので、本発明のような上方出射型の発光装置においては、より開口率を向上させることができる。
【0194】
さらに、本実施例の図11(B)において説明した発光装置の構造の一部が異なる場合について図16に示す。
【0195】
図16において、図11(B)と同様にして画素電極1601が形成される。そして、その端部を覆うように絶縁層1602が形成されるが、ここでは、図11(B)で示したのとは異なり、窒化珪素、酸化珪素、または酸化窒化珪素といった珪素を含む無機絶縁材料により0.1〜0.3μmの膜厚で形成する。
【0196】
具体的には、窒化珪素膜をスパッタリング法により0.2μmの膜厚で形成する。
【0197】
以上のように絶縁層1602を無機絶縁材料により形成することで、有機樹脂膜を用いて形成した場合に比べて、材料から放出される水分や有機気体等を低減させることができる。なお、絶縁層1602の後に形成される陰極1604、有機化合物層1605、保護膜1606、および陽極1607は、図11(B)で示したのと同様にして形成することができる。
【0198】
(実施例5)
本実施例では、定電流駆動方式により駆動する発光装置の画素部の画素構成について説明する。図13に示す画素1310は、信号線Si(S1〜Sxのうちの1つ)、第1走査線Gj(G1〜Gyのうちの1つ)、第2走査線Pj(P1〜Pyのうちの1つ)及び電源線Vi(V1〜Vxのうちの1つ)を有している。また画素1310は、Tr1、Tr2、Tr3、Tr4、発光素子1311及び保持容量1312を有している。
【0199】
Tr3とTr4のゲートは、共に第1走査線Gjに接続されている。Tr3のソースとドレインは、一方は信号線Siに、もう一方はTr2のソースに接続されている。またTr4のソースとドレインは、一方はTr2のソースに、もう一方はTr1のゲートに接続されている。つまり、Tr3のソースとドレインのいずれか一方と、Tr4のソースとドレインのいずれか一方とは、接続されている。
【0200】
Tr1のソースは電源線Viに、ドレインはTr2のソースに接続されている。Tr2のゲートは第2走査線Pjに接続されている。そしてTr2のドレインは画素電極を介して画素電極上に形成される発光素子1311に接続されている。発光素子1311は、陰極と、陽極と、陰極と陽極の間に設けられた有機化合物層とを有している。発光素子1311の陽極は外部に設けられた電源によって一定の電圧が与えられている。
【0201】
なお、Tr3とTr4は、nチャネル型TFTとpチャネル型TFTのどちらでも良い。ただし、Tr3とTr4の極性は同じである。また、Tr1はnチャネル型TFTとpチャネル型TFTのどちらでも良い。Tr2は、nチャネル型TFTとpチャネル型TFTのどちらでも良いが、本発明において、Tr2と接続される電極は陰極であるため、Tr2はnチャネル型TFTで形成するのが望ましい。
【0202】
保持容量1312はTr1のゲートとソースとの間に形成されている。保持容量1312はTr1のゲートとソースの間の電圧(VGS)をより確実に維持するために設けられているが、必ずしも設ける必要はない。
【0203】
図13に示した画素では、ソース線に供給される電流は、信号線駆動回路が有する電流源において制御している。
【0204】
なお、本発明の構成は実施例1〜実施例4のいずれの構成と自由に組み合わせて実施することができる。
【0205】
(実施例6)
本実施例では、本発明の発光装置の外観図について図12を用いて説明する。なお、図12(A)は、発光装置を示す上面図、図12(B)は図12(A)をA−A’で切断した断面図である。点線で示された1201はソース信号側駆動回路、1202は画素部、1203はゲート信号側駆動回路である。また、1204は封止基板、1205はシール剤であり、シール剤1205で囲まれた内側は、空間になっている。
【0206】
なお、1208はソース信号側駆動回路1201及びゲート信号側駆動回路1203に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)1209からビデオ信号やクロック信号を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基盤(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0207】
次に、断面構造について図12(B)を用いて説明する。基板1210上には駆動回路及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路としてソース信号側駆動回路1201と画素部1202が示されている。
【0208】
なお、ソース信号側駆動回路1201はnチャネル型TFT1213とpチャネル型TFT1214とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路を形成するTFTは、公知のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施例では、基板上に駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、基板上ではなく外部に形成することもできる。
【0209】
また、画素部1202は電流制御用TFT1211とそのドレインに電気的に接続された画素電極1212を含む複数の画素により形成される。
【0210】
また、画素電極1212の両端には絶縁層1213が形成され、画素電極1212上には陰極1214が形成され、さらに陰極1214上には有機化合物層1215が形成される。さらに、有機化合物層1215と保護膜1216との界面に混合領域(図示せず)を形成し、保護膜1216上には陽極1217が形成される。これにより、陰極1214、有機化合物層1215、保護膜1216、及び陽極1217からなる発光素子1218が形成される。
【0211】
陽極1217は全画素に共通の配線としても機能し、接続配線1208を経由してFPC1209に電気的に接続されている。
【0212】
また、基板1210上に形成された発光素子1218を封止するためにシール剤1205により封止基板1204を貼り合わせる。なお、封止基板1204と発光素子1218との間隔を確保するために樹脂膜からなるスペーサを設けても良い。そして、シール剤1205の内側の空間1207には窒素等の不活性気体が充填されている。なお、シール剤1205としてはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、シール剤1205はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。さらに、空間1207の内部に酸素や水を吸収する効果をもつ物質を含有させても良い。
【0213】
また、本実施例では封止基板1204を構成する材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、マイラー、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。また、シール剤1205を用いて封止基板1204を接着した後、さらに側面(露呈面)を覆うようにシール剤で封止することも可能である。
【0214】
以上のようにして発光素子を空間1207に封入することにより、発光素子を外部から完全に遮断することができ、外部から水分や酸素といった有機化合物層の劣化を促す物質が侵入することを防ぐことができる。従って、信頼性の高い発光装置を得ることができる。
【0215】
なお、本実施例の構成は、実施例1〜実施例5に示したいずれの構成と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【0216】
(実施例7)
発光素子を用いた発光装置は自発光型であるため、液晶表示装置に比べ、明るい場所での視認性に優れ、視野角が広い。従って、本発明の発光装置を用いて様々な電気器具を完成させることができる。
【0217】
本発明により作製した発光装置を用いて作製された電気器具として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはデジタルビデオディスク(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。特に、斜め方向から画面を見る機会が多い携帯情報端末は、視野角の広さが重要視されるため、発光素子を有する発光装置を用いることが好ましい。それら電気器具の具体例を図14に示す。
【0218】
図14(A)は表示装置であり、筐体2001、支持台2002、表示部2003、スピーカー部2004、ビデオ入力端子2005等を含む。本発明により作製した発光装置をその表示部2003に用いることにより作製される。発光素子を有する発光装置は自発光型であるためバックライトが必要なく、液晶表示装置よりも薄い表示部とすることができる。なお、表示装置は、パソコン用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0219】
図14(B)はデジタルスチルカメラであり、本体2101、表示部2102、受像部2103、操作キー2104、外部接続ポート2105、シャッター2106等を含む。本発明により作製した発光装置をその表示部2102に用いることにより作製される。
【0220】
図14(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス2206等を含む。本発明により作製した発光装置をその表示部2203に用いることにより作製される。
【0221】
図14(D)はモバイルコンピュータであり、本体2301、表示部2302、スイッチ2303、操作キー2304、赤外線ポート2305等を含む。本発明により作製した発光装置をその表示部2302に用いることにより作製される。
【0222】
図14(E)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体2401、筐体2402、表示部A2403、表示部B2404、記録媒体(DVD等)読み込み部2405、操作キー2406、スピーカー部2407等を含む。表示部A2403は主として画像情報を表示し、表示部B2404は主として文字情報を表示するが、本発明により作製した発光装置をこれら表示部A、B2403、2404に用いることにより作製される。なお、記録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器なども含まれる。
【0223】
図14(F)はゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)であり、本体2501、表示部2502、アーム部2503を含む。本発明により作製した発光装置をその表示部2502に用いることにより作製される。
【0224】
図14(G)はビデオカメラであり、本体2601、表示部2602、筐体2603、外部接続ポート2604、リモコン受信部2605、受像部2606、バッテリー2607、音声入力部2608、操作キー2609、接眼部2610等を含む。本発明により作製した発光装置をその表示部2602に用いることにより作製される。
【0225】
ここで図14(H)は携帯電話であり、本体2701、筐体2702、表示部2703、音声入力部2704、音声出力部2705、操作キー2706、外部接続ポート2707、アンテナ2708等を含む。本発明により作製した発光装置をその表示部2703に用いることにより作製される。なお、表示部2703は黒色の背景に白色の文字を表示することで携帯電話の消費電力を抑えることができる。
【0226】
なお、将来的に有機材料の発光輝度が高くなれば、出力した画像情報を含む光をレンズ等で拡大投影してフロント型若しくはリア型のプロジェクターに用いることも可能となる。
【0227】
また、上記電気器具はインターネットやCATV(ケーブルテレビ)などの電子通信回線を通じて配信された情報を表示することが多くなり、特に動画情報を表示する機会が増してきている。有機材料の応答速度は非常に高いため、発光装置は動画表示に好ましい。
【0228】
また、発光装置は発光している部分が電力を消費するため、発光部分が極力少なくなるように情報を表示することが好ましい。従って、携帯情報端末、特に携帯電話や音響再生装置のような文字情報を主とする表示部に発光装置を用いる場合には、非発光部分を背景として文字情報を発光部分で形成するように駆動することが好ましい。
【0229】
以上の様に、本発明の作製方法を用いて作製された発光装置の適用範囲は極めて広く、本発明の発光装置を用いてあらゆる分野の電気器具を作製することが可能である。また、本実施例の電気器具は実施例1〜実施例6を実施することにより作製された発光装置を用いることにより完成させることができる。
【0230】
(実施例8)
さらに、本発明の発光装置は、図19で示す構造とすることも可能である。
【0231】
陰極1803の端部(および配線1813)を覆う絶縁層1814(バンク、隔壁、障壁、土手などと呼ばれる)としては、無機材料(酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコンなど)、感光性または非感光性の有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン)、またはこれらの積層などを用いることができるが、例えば、有機樹脂の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合には、図19に示すように絶縁物の端部における曲率半径が0.2〜2μmとなるようにし、接触面における角度が35度以上となる曲面を持たせることが好ましい。
【0232】
また、発光素子1802の有機化合物層1804に用いる材料として、白色発光を示す材料を用いることができる。この場合には、蒸着法を用いて形成し、例えば陰極1803側からTPD(芳香族ジアミン)、p−EtTAZ、Alq、部分的に赤色発光色素であるナイルレッドをドープしたAlq、Alqを順次積層形成すればよい。
【0233】
さらに、発光素子1802の陽極1807上に絶縁性の材料を用いてパッシベーション膜1815を形成することもできる。なお、この際パッシベーション膜1815に用いる材料としては、スパッタリング法において、Siをターゲットとして形成された窒化珪素膜の他、吸湿性の材料を窒化珪素膜により挟んで形成された積層膜を用いることができる。さらに、DLC膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)や、窒化炭素(CxNy)等を用いることも可能である。
【0234】
【発明の効果】
本発明では、上面出射型の発光装置を作製することにより、下面出射型の発光装置に比べてより開口率の高い素子を形成することが可能となった。また、上面出射型の発光装置の作製において、TFTと接続された電極(下部電極)を陰極とし、陰極上に形成された有機化合物層上に光取り出し電極(上部電極)となる陽極を形成することから、既に実用化レベルの特性を有しているITOやIZOといった透明導電膜を陽極材料として用い、従来の上面出射型の発光装置と素子構造の異なる発光素子を作製することができる。
【0235】
これにより、上部電極である陰極側から光を取り出す素子構造の場合には、陰極としての機能を保持するために充分な成膜性が要求されるのに対し、光取り出し電極としての透光性を確保するために極薄膜で形成する必要があるため、両者の条件を満たすために生じる矛盾を解決することができる。
【0236】
さらに、有機化合物層と陽極との界面に保護膜を設けることにより陽極形成時に問題となる有機化合物層へのダメージを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発光装置の素子構造を説明する図。
【図2】本発明の発光装置の作製工程を説明する図。
【図3】本発明の発光装置の作製工程を説明する図。
【図4】本発明の発光装置の素子構造を説明する図。
【図5】本発明の低分子型発光装置の素子構造を説明する図。
【図6】本発明の高分子型発光装置の素子構造を説明する図。
【図7】本発明の発光装置の作製工程を説明する図。
【図8】本発明の発光装置の作製工程を説明する図。
【図9】本発明の発光装置の作製工程を説明する図。
【図10】本発明の発光装置の作製工程を説明する図。
【図11】本発明の発光装置の作製工程を説明する図。
【図12】本発明の発光装置の素子構造を説明する図。
【図13】本発明に用いることのできる回路構成を説明する図。
【図14】電気器具の一例を示す図。
【図15】本発明の発光装置の素子構造を説明する図。
【図16】本発明の発光装置の素子構造を説明する図。
【図17】成膜室を示す図。
【図18】従来例を示す図。
【図19】本発明の発光装置の素子構造を説明する図。

Claims (6)

  1. 絶縁表面上に設けられたTFTと、
    前記TFT上に形成された層間絶縁膜と、
    前記層間絶縁膜上に形成された画素電極と、
    前記画素電極の端部を覆って形成された絶縁膜と、
    前記画素電極上に形成された陰極と、
    前記陰極上に形成された有機化合物層と、保護膜と、陽極とを有する発光装置であって、
    前記TFTはソース領域およびドレイン領域を有し、
    前記画素電極は、前記層間絶縁膜に形成された開口部において、前記ソース領域または前記ドレイン領域のいずれか一方と電気的に接続され、
    前記有機化合物層と前記保護膜との間には混合領域を有し、
    前記有機化合物層は、有機化合物からなる第一の層と、
    前記第一の層を構成する物質とは異なる有機化合物からなる第二の層とを有し、
    前記第一の層と前記第二の層との間に、前記第一の層を構成する有機化合物、および前記第二の層を構成する有機化合物を含む混合層を有することを特徴とする発光装置。
  2. 請求項2において、
    前記保護膜は、仕事関数が4.5〜5.5eVである材料からなることを特徴とする発光装置。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記保護膜および前記陽極は70〜100%の透過率を有することを特徴とする発光装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
    前記保護膜は元素周期律の第9族、第10族、または第11族に属する金属材料からなることを特徴とする発光装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
    前記保護膜は金、銀、または白金からなることを特徴とする発光装置。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
    前記発光装置は、表示装置、デジタルスチルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、モバイルコンピュータ、記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置、ゴーグル型ディスプレイ、ビデオカメラ、携帯電話から選ばれた一種であることを特徴とする発光装置。
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