JP4453661B2 - 車両のエンジン冷却系構造 - Google Patents
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また、エンジンにはターボチャージャが備えられている場合がある。このターボチャージャにおいては、その内部でタービンが高速で回転するため、非常に高温となる。このため、このターボチャージャ内にもウォータジャケットを形成し、冷却水を流通させ、ターボチャージャの昇温を抑制する技術が存在する。なお、このようなターボチャージャの冷却に関する技術としては以下の特許文献1がその一例として挙げられる。
他方で、冷却系内の空気と水とを分離させるという気水分離タンク(41)の本来的な機能上、この気水分離タンク(41)は冷却系内で比較的高い位置に設けなければならないという制約がある。また、気水分離タンク(41)はいかに小型化したとしてもある程度の容積は確保する必要があるため、やはり、車内スペースの都合上、特許文献1のような構成にできない場合も多い。
また、請求項3記載の本発明の車両の冷却系の構造は、請求項1または2記載の内容において、ラジエータが、該車両の前面に配設されるとともに、該エンジンが、該車両の後部に配設され、該ラジエータと該エンジン水路とを接続するラジエータ管路とが備えられることを特徴としている。
また、エンジンの冷却により過給器の冷却が妨げられることを防ぐことができる。(請求項2)
また、車両の後部にエンジンおよび過給器が配設されていても、車両の前部にラジエータを配設することで、ラジエータを容易に走行風に晒すことが可能となり、冷却水の放熱効率を向上させることができる。また、エンジンとラジエータとの距離が長くなることによって、ラジエータとエンジン水路とを接続するラジエータ管路の長さが増大しても、冷却系を流通する冷却水温が非常に高くなる箇所に配設された気水分離タンクの調圧弁により、冷却系内の圧力を適切に調節することが可能となり、冷却系の信頼性を向上させることもできる。(請求項3)
図1に示すように、車両1の後部にはエンジン10が搭載されるとともに、これらのエンジン10およびターボチャージャ11を冷却する冷却系20が搭載されている。また、この車両1の後部には、エンジン10の側方にトランスミッション19も設けられている。
これらのうち、シリンダヘッド給水口12は、上述のようにエンジン・ウォータジャケットの冷却水入口であって、エンジン給水管路16を通じて後述するウォータポンプ17の吐出口17Aと接続されており、このウォータポンプ17の吐出口17Aから送出された冷却水がこのシリンダヘッド給水口12を通じてエンジン・ウォータジャケットに供給されるようになっている。
シリンダヘッド下部排水口14は、エンジン・ウォータジャケットの冷却水出口の1つであって、シリンダヘッド10Bにおいて上記のシリンダヘッド上部排水口13よりも下方に設けられている。そして、このシリンダヘッド下部排水口14は、ターボ給水管路(過給器給水管路)23を通じてターボチャージャ11のターボ給水口(過給器給水口)24と接続されている。なお、このターボ給水管路23の内径φ23も約6〜7mmである。
ウォータポンプ17は、エンジン10のクランクシャフト(図示略)に接続され、このエンジン10から動力を得て駆動し、冷却系20内で冷却水を流通させる圧力源である。つまり、エンジン10が運転を停止すると、このウォータポンプ17も停止するようになっている。また、このウォータポンプ17の吐出口17Aはシリンダヘッド給水管路16を通じてシリンダヘッド給水口12に接続されている。他方、このウォータポンプ17の吸入口はポンプ給水管27を通じて後述するラジエータ28の排水口28Bに接続されている。
また、このラジエータ28の後方に近接してラジエータファン(図示略)が設けられ、車両1が停止しているような場合であっても、ラジエータ28に対する空気の流れを生じさせることができるようになっている。
この調圧キャップ37には、図示しない弁体が内蔵されている。そして、この弁体は、通常の場合は閉じており、調圧キャップ37の入口37A(即ち、気水分離タンク31の内部側)と調圧キャップ37の出口37B(即ち、気水分離タンク31の外部側)とは連通しないようになっているが、気水分離タンク31内の圧力が所定の上限圧以上になった場合には、調圧弁37の入口37Aと出口37B、即ち、気水分離タンク31の内部と外部とを連通させるようになっている。これにより、冷却系20内の圧力が過剰に高くなること防ぐことができるようになっている。
スロットルボディ・ウォータジャケット(図示略)は、エンジン10のスロットルボディ18内に形成された冷却水路であって、その給水口18Aはヒータ給水管路45に接続され、他方、その排水口18Bはタンク排水管路43と接続されている。つまり、このスロットルボディ・ウォータジャケット内を流通する冷却水はエンジン10やターボチャージャ11により熱せられ温められているが、この暖かい冷却水がその内部を流通することで、スロットルボディ18のスロットルバルブ(図示略)が凍結することを防ぐことができるようになっている。
まず、ウォータポンプ17のポンプ吐出口17Aから吐出された冷却水は、シリンダヘッド給水管路16を通じてシリンダヘッド給水口12へ供給される(図2中矢印W1参照)。その後、シリンダヘッド給水口12を通じてシリンダヘッド・ウォータジャケット内に流入した冷却水は、シリンダヘッド10Bを冷却した後、シリンダヘッド上部排水口13を通じて排出されるとともに(図2中矢印W2参照)、シリンダヘッド下部排水口14を通じて排出され(図2中矢印W3参照)、さらに、シリンダブロック・ウォータジャケットへ流入する。
他方、シリンダヘッド・ウォータジャケットからシリンダヘッド下部排水口14を通じて排出された冷却水は、ターボ給水管路23(内径φ23=6〜7mm)を通じてターボ給水口24に流入する。
また、この気水分離タンク31の内部の圧力が所定の閾値よりも高い場合には、調圧キャップ37の弁体が開き、気水分離タンク31の内部と外部とを連通させ、冷却系20内の圧力が過剰に高くなることを防ぐ。なお、この気水分離タンク31内には、冷却水の層である冷却水層と、空気の層である空気層とが存在している。したがって、冷却系20内の圧力がある程度変動したとしても、気水分離タンク31内の空気層がこの圧力変動を減衰することができ、調圧キャップ37の弁体が頻繁に開くことはない。これにより、冷却系20を流通する冷却水が蒸発して気水分離タンク31の外部へ放出される機会を減らし、冷却水を追加注水する手間を省くことができる。
このうち、シリンダブロック第1排水口15Aを通じて排出された冷却水は、ヒータコア32の給水口32A、および、スロットルボディ18のウォータジャケット給水口18Aへ供給される。
そして、このラジエータ給水口28Aを通じてラジエータ28に供給された冷却水は、ラジエータ28内を流通する。そして、このラジエータ28に対して、車両1の走行風、或いは、ラジエータファン(図示略)により発生した風にラジエータ28が晒されることで、このラジエータ28内を流通する冷却水の熱が奪われ、冷却水の冷却が図られる。
このように、本発明の一実施形態に係る車両の冷却系の構造によれば、冷却系20において非常に高温となる箇所、即ち、エンジン10やターボチャージャ11の近傍に設けられた気水分離タンク31において圧力を調整することで、冷却系20が損傷することを未然に防ぐことができる。
また、シリンダヘッド上部排水口13から排出された高温(約100℃)の冷却水と、ターボ排水口26から排出された極めて高温(約130℃)の冷却水とを合流管部22Bにおいて合流させて混合した後、調圧キャップ37を有する気水分離タンク31内に供給するようになっているので、ターボチャージャ11を冷却した後の極めて高温となった冷却水がそのまま気水分離タンク31に対して供給されることを防ぐことができ、これにより、気水分離タンク31に求められる耐熱性を抑制することが可能となり、コスト低減に寄与することができる。
また、車両1の後部にターボチャージャ11を有するエンジン10が配設されていても、車両1の前部にラジエータ28が配設することで、ラジエータ28を容易に走行風に晒すことが可能となり、冷却水の放熱効率を向上させることができる。
例えば、上述の実施形態においては、ウォータポンプ17がエンジン10のクランクシャフトに接続され、エンジン10の動力により作動するようになっている場合を説明したが、このような構成に限定するものではなく、例えば、電動のウォータポンプを用いるようにしてもよい。
11 ターボチャージャ(過給器)
13 シリンダヘッド上部排水口(エンジン排水口)
16 シリンダヘッド給水管路(ラジエータ管路)
17 ウォータポンプ
21 シリンダヘッド排水管路(エンジン排水管路)
22 ターボ排水管路(過給器排水管路)
26 ターボ排水口(過給器排水口)
27 ポンプ給水管路(ラジエータ管路)
28 ラジエータ
31 気水分離タンク
37 調圧キャップ(調圧弁)
36 ラジエータ給水管路(ラジエータ管路)
Claims (3)
- ウォータポンプにより冷却水を流通させ過給器付きのエンジンを冷却する、車両の冷却系構造であって、
該過給器内に形成された過給器水路と、
該エンジン内に形成されたエンジン水路と、
該過給器に近接し且つ冷却系において比較的高い位置に設けられ、該冷却系内の圧力を調整する調圧弁を有する気水分離タンクと、
該過給器水路の出口である過給器排水口と該気水分離タンクとを接続する過給器排水管路と、
該エンジン水路の出口であるエンジン排水口と該過給器排水管路とを接続するエンジン排水管路とを備える
ことを特徴とする、車両のエンジン冷却系構造。 - 該過給器排水管路の内径は、該エンジン排水管路の内径以上となるように形成されている
ことを特徴とする、請求項1記載の車両のエンジン冷却系構造。 - ラジエータが、該車両の前面に配設されるとともに、
該エンジンが、該車両の後部に配設され、
該ラジエータと該エンジン水路とを接続するラジエータ管路とが備えられる
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の車両のエンジン冷却系構造。
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