JP4453261B2 - 燃料供給機構 - Google Patents

燃料供給機構 Download PDF

Info

Publication number
JP4453261B2
JP4453261B2 JP2003079687A JP2003079687A JP4453261B2 JP 4453261 B2 JP4453261 B2 JP 4453261B2 JP 2003079687 A JP2003079687 A JP 2003079687A JP 2003079687 A JP2003079687 A JP 2003079687A JP 4453261 B2 JP4453261 B2 JP 4453261B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel
heat
reactor
heat treatment
container
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003079687A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004288488A (ja
Inventor
直嗣 小椋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Casio Computer Co Ltd
Original Assignee
Casio Computer Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Casio Computer Co Ltd filed Critical Casio Computer Co Ltd
Priority to JP2003079687A priority Critical patent/JP4453261B2/ja
Publication of JP2004288488A publication Critical patent/JP2004288488A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4453261B2 publication Critical patent/JP4453261B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体燃料を貯蔵した燃料容器から改質装置への燃料供給機構に係り、特に改質装置が所定温度を超えた場合に燃料の供給を遮断する機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年では、携帯電話,ノート型パソコン,デジタルカメラ,PDA(Personal Digital Assistance),電子手帳等の小型の電子機器がめざましい進歩・発展を遂げており、その電源として、アルカリ乾電池,マンガン乾電池等の一次電池及びニッケル−カドミウム蓄電池,ニッケル−水素蓄電池,リチウムイオン電池等の二次電池が用いられている。
【0003】
上記のような電子機器では、小型であることに加え、電池そのものの姿勢が変わっても一定の電力が供給されるため、例えば、ノート型パソコンであれば小脇に抱えながら持ち運んだり、携帯電話やデジタルカメラであれば胸ポケットやバックに無造作に収納した状態で持ち運んだりして使用することが可能であり、ユーザの使用場面に応じて電子機器を種々の姿勢に保持して使用することができる。
【0004】
ところが、上記電子機器に搭載される一次電池又は二次電池は、エネルギーの利用効率の観点から検証すると、必ずしもエネルギーの有効利用が図られているとは言えず、今日では、一次電池及び二次電池の代替えのために、高いエネルギー利用効率を実現できる燃料電池についての研究・開発も盛んにおこなわれている。
【0005】
燃料電池というのは、燃料と大気中の酸素とを電気化学的に反応させて化学エネルギーから電気エネルギーを直接取り出すものである。特許文献1にその一例が記載されている。具体的に特許文献1に記載の燃料電池では、燃料として液体燃料が用いられており、液体の毛細管現象を利用して燃料を電池内に供給し、電気エネルギーを取り出している。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−93551号公報(段落番号0011〜0014,第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の燃料電池のように、毛細管現象を利用した燃料供給系を有する発電システムでは、液体の燃料は消費される毎に毛管力により順次流出してしまう。そのため、発熱しながら液体燃料を熱処理する熱処理装置が燃料供給系の途中に配設される発電システムにおいては、上記のような燃料供給系(つまり、液体の毛細管現象を利用した燃料供給系)を適用することに問題がある。
【0008】
すなわち、熱処理装置が正常に作動している間は問題無いが、熱処理装置に誤作動が生じ、予め設定された設定温度よりも高い温度で熱処理装置が発熱すると、これとは無関係に液体燃料が熱処理装置に流入し続け、液体燃料を無駄に消費させてしまうどころか、熱処理装置を構成する各部材を劣化・破損させる可能性もある。勿論、通常は、熱処理装置の内部に温度センサを配設して温度センサの検出結果に基づき液体燃料の供給を電気的に制御するが、熱処理装置の誤作動による異常な発熱で制御回路そのものに異常が発生すると、燃料供給の制御をおこなうことができず、この場合にも、液体燃料が、制御回路の異常とは無関係に毛管力により熱処理装置に流入し続けてしまい、異常発熱を助長してしまう可能性があり、燃料電池のみならず燃料電池により作動されるデバイスをも故障させる可能性がある。
【0009】
本発明の課題は、液体の燃料を貯蔵した燃料容器から熱処理装置への燃料の供給をおこなう燃料供給機構であって、熱処理装置が予め設定された設定温度よりも高い温度で発熱したときに電気的な制御をおこなわずに熱処理装置への燃料の流入を抑制又は遮断することができる燃料供給機構を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項に記載の発明は、
液体の燃料を貯蔵した燃料容器から、予め設定された設定温度で発熱しながら前記燃料を熱処理する熱処理装置へと前記燃料を供給するための燃料供給機構であって、
前記燃料容器は前記熱処理装置と着脱自在に取り付けられていて、
前記燃料容器と前記熱処理装置とに接続され、前記燃料を前記燃料容器から前記熱処理装置に供給する第一供給部材と、
前記燃料容器の内部に配設されるとともに前記第一供給部材と着脱自在に接続され、前記燃料を前記燃料容器の内部から第一供給部材に供給する第二供給部材と、を有し、
前記第二供給部材には、前記燃料が流通可能な孔を有する熱可塑性の熱変形体が充填され、
前記熱変形体は、前記熱処理装置が前記設定温度で発熱しているときに前記孔を開放したままの状態を維持し、前記熱処理装置が前記設定温度よりも高い温度で発熱したときに前記孔を閉塞するように塑性変形することを特徴とする。
【0014】
請求項に記載の発明では、熱処理装置に第一供給部材が接続され、第一供給部材に第二供給部材が接続され、さらに第二供給部材に熱変形体が充填されるため、熱処理装置で発熱した熱は、第一供給部材及び第二供給部材を介して熱変形体に伝導する。従って、請求項1と同様に、熱変形体は、熱処理装置が発熱している間は熱処理装置からの熱を常時受けるが、熱処理装置が設定温度で発熱しているときは孔を開放したままの状態を維持するため、燃料容器の内部の燃料は、熱変形体を通過するように第二供給部材を流通して第一供給部材及び熱処理装置に流入する。
【0015】
一方、熱処理装置が設定温度よりも高い温度で発熱したときに、熱変形体は孔を閉塞するように塑性変形するため、第二供給部材のなかでの燃料の流通は、熱変形体が充填された位置で抑制又は遮断される。これにより、熱処理装置が予め設定された設定温度よりも高い温度で発熱したときに、電気的な制御をおこなわずに熱処理装置への燃料の流入を抑制又は遮断することができ、ひいては燃料の浪費や熱処理装置の各部材の劣化・破損を防止することができる。
【0016】
さらに請求項に記載の発明では、燃料容器は熱処理装置と着脱自在に取り付けられていて、第二供給部材が、燃料容器の内部に配設されるとともに第一供給部材に着脱自在に接続されるため、第二供給部材とそれに充填された熱変形体は燃料容器毎に交換可能となっている。従って、燃料容器を交換する度に熱変形体を新規な状態で使用することができ、長期間の使用により熱変形体が熱処理装置の熱を受けて劣化するのを防止することができる。
【0017】
請求項に記載の発明は、
請求項1記載の燃料供給機構において、
前記熱変形体は、前記熱処理装置が前記設定温度よりも高い温度で発熱し始めたときに塑性変形する位置で前記第一供給部材に充填されていることを特徴とする。
【0018】
請求項に記載の発明では、熱変形体は、熱処理装置が設定温度よりも高い温度で発熱し始めたときに塑性変形する位置に充填されているため、熱処理装置が設定温度よりも高い温度で発熱し始めた初期の段階で燃料の流通を抑制又は遮断することができる。これにより、燃料の浪費を限りなく少なく抑えることができ、熱処理装置の各部材の劣化・破損も確実に防止することができる。
【0019】
請求項に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の燃料供給機構において、
前記第一供給部材は、金属から構成され、前記熱変形体は、ガラスと、ポリスチレン、ポリエチレン及びポリアミドのうち何れかである合成樹脂とのうち何れか一方から構成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項に記載の発明は、
請求項に記載の燃料供給機構において、
前記第二供給部材は、金属から構成されていることを特徴とする。
【0021】
請求項に記載の発明では、第一供給部材や第二供給部材が金属から構成されているため、熱処理装置で発熱した熱を熱変形体に確実に伝導させ、熱処理装置への燃料の流入を抑制又は遮断することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
図1は発電システム1の基本構成を示すブロック図であり、図2は、発電システム1に配設される燃料貯蔵モジュール2及び発電モジュール3の概略構成を示す一部破断斜視図である。ただし、図2では燃料貯蔵モジュール2は一端部の構成のみが図示されており、他端部が省略されている。
【0023】
図1に示す通り、発電システム1は、燃料10(図2参照)を貯蔵する燃料貯蔵モジュール2と、燃料貯蔵モジュール2に貯蔵された燃料10で発電する発電モジュール3と、を有している。
【0024】
具体的に燃料貯蔵モジュール2は、図2に示す通り、略円筒状の筐体4を有しており、筐体4が発電モジュール3に対して着脱自在に取り付けられるようになっている。筐体4の頭頂部には円形の貫通孔5が形成されており、筐体4の外周側には、発電モジュール3で生成された副生成物の水を流通させる排水管6が形成されている。燃料貯蔵モジュール2の底部には、排水用の水を貯留する排水容器(図示略)が配設されており、この排水容器に上記排水管6が接続されている。
【0025】
筐体4の内部には、所定長さを有する円筒状の燃料容器7が収納されており、燃料容器7の内部に液体の燃料10が貯蔵されている。燃料容器7は、透明又は半透明を呈した円筒状の部材であって、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリカーボネート,アクリル等の材料から構成されている。また、燃料10は具体的に、化学燃料と水との混合物である。化学燃料としては、メタノール,エタノール等のアルコール類やガソリンといった水素元素を含む化合物が適用可能である。本実施形態では、メタノールと水とを等モルで均一に混合した混合物が燃料10として用いられている。
【0026】
上記燃料容器7の頭頂部には、燃料10を発電モジュール3に供給するための供給口8が突出するように配設されており、供給口8の内部には、供給口8全体を閉塞する閉塞膜9が配設されている。本実施形態の燃料容器7では、供給口8を閉塞膜9により被膜することで、燃料容器7そのものの保存中に燃料容器7から燃料10が漏出するのを防止している。また、燃料容器7の内部には、図2において燃料容器7の底部から上記供給口8(の閉塞膜9の下方)にまで延在する第二供給部材としての供給管11が配設されている。
【0027】
なお、燃料容器7は、図2に示す通り、燃料容器7の供給口8が筐体4の貫通孔5に挿入されるように、筐体4の内部に着脱自在に収納されるようになっている。燃料容器7が筐体4の所定位置に収納された状態では、燃料容器7は、外周面の一部が筐体4の外部に露出するようになっている。この状態において、上記の通り、容器本体15が透明又は半透明であるため、燃料容器7を介して燃料10の有無又は残量を容易に確認できるようになっている。
【0028】
次に、発電モジュール3について説明する。
図1及び図2に示す発電モジュール3は、燃料容器7に貯蔵された燃料10を発熱しながら改質する熱処理装置としての改質装置20を有している。改質装置20は気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24から構成されている。また発電モジュール3は、改質装置20で改質された燃料10により発電をおこなう燃料電池25と、燃料電池25で発電された電気エネルギーを蓄電し必要に応じて電気エネルギーを供給する蓄電部26と、蓄電部26から供給された電気エネルギーを発電モジュール3全体に分配する分配部27と、上記改質装置20、燃料電池25、蓄電部26及び分配部27を電子制御する制御部28と、を有している。
【0029】
図2に示す通り、発電モジュール3は略円筒状の筐体30を有している。筐体30の内部には、気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24がこの順に重ねられた状態で配設されており、さらには気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24を囲むように燃料電池25が配設されている。また燃料電池25の外側であって筐体30の外周面には、空気中の酸素を吸気するための複数のスリット31,31,…が互いに平行に並んだ状態で形成されている。
【0030】
筐体30の頭頂部には、蓄電部26(図1参照)から外部のデバイスに電気エネルギーを供給するための端子32が配設されており、端子32の周囲であって筐体30の頭頂部には複数の通気孔33,33,…が形成されている。
【0031】
筐体30の底部であって筐体30の外周側には、燃料貯蔵モジュール2の排水管6と接続可能な排水管34が配設されている。排水管34は発電モジュール3で生成された副生成物の水を流通させるためのものである。排水管34にはバルブ36が配設されており、筐体30に設けられた水導入管37がバルブ36を介して排水管34に通じている。また筐体30の底部であって筐体30の中央部には、燃料貯蔵モジュール2の燃料容器7と接続可能な第一供給部材としての供給管35が配設されている。供給管35は燃料容器7から燃料10を吸入するためのものである。
【0032】
上記構成を具備する燃料貯蔵モジュール2と発電モジュール3とにおいて、燃料容器7を収納した燃料貯蔵モジュール2を発電モジュール3に取り付ける(接続する)と、両モジュール2,3の接続箇所の外周側では、発電モジュール3の排水管34が燃料貯蔵モジュール2の排水管6と接続される。これにより、排水管34と排水管6とが互いに通じ合い、発電モジュール3で生成された副生成物の水が、発電モジュール3の排水管34から燃料貯蔵モジュール2の排水管6へと流入可能な状態となる。
【0033】
一方、両モジュール2,3の接続箇所の中央部では、発電モジュール3の供給管35が、燃料容器7の供給口8に挿入されて閉塞膜9を突き破り、供給管11と接続される。これにより、供給管35と供給管11とが互いに通じ合い、燃料容器7に貯蔵された燃料10が、燃料容器7の供給管11から発電モジュール3の供給管35へと流入可能な状態となる。
【0034】
図3は、本発明に係る燃料供給機構60を示す図面である。
燃料供給機構60は、燃料容器7の供給管11と発電モジュール3の供給管35とを有し、供給管11及び供給管35を介して燃料容器7から発電モジュール3への燃料10の供給を実現するための機構である。そして燃料供給機構60では、発電モジュール3の供給管35の途中に、加熱により塑性変形する熱変形体15が充填されているのが特徴となっている。熱変形体15はガラス,合成樹脂等の熱可塑性材料から構成されるものであって、具体的に本実施形態では、ポリスチレン,ポリエチレン,ポリアミド等の合成樹脂から構成されている。
【0035】
さらに熱変形体15は、複数の微細孔を無作為に繋いで成形した構造を有しており、所定温度以下では燃料10が各微細孔を通過可能な状態を維持し、所定温度以上に加熱されると各微細孔が閉塞するように塑性変形(軟化)するようになっている。従って、燃料容器7から発電モジュール3へと燃料10が供給される場合、熱変形体15が所定温度以下に保持されたときには、燃料10は熱変形体15の各微細孔を通過しながら発電モジュール3の供給管35を流通可能であり、熱変形体15が所定温度以上に加熱されたときには、熱変形体15が各微細孔を閉塞するように塑性変形して発電モジュール3の供給管35のなかでの燃料10の流通が抑制又は遮断されるようになっている。
【0036】
なお、後述する通り、発電モジュール3では、一連の化学反応を引き起こすために数珠繋ぎに連結された気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の各反応器を加熱するために、これら各反応器にはマイクロ流路56がそれぞれ形成されており、各反応器のマイクロ流路56には、供給管35と連通して燃料10を流入させる流入管58がそれぞれ配設されている。そして、気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24のいずれかの反応器で異常発熱が起きると、その熱が流入管58から供給管35に伝導して、熱変形体15が各微細孔を閉塞するように塑性変形し、燃料10の流通が抑制又は遮断されるようになっている。このとき、気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の各マイクロ流路56には燃料10が到達せず(供給されず)、異常発熱を起こした反応器での異常発熱が停止するようになっている。
【0037】
また、本実施形態では、熱変形体15は、上記の通りに複数の微細孔を無作為に繋いで成形した構造を有しているが、このような構造には限定されず、熱変形体15は、例えば、燃料10が流通可能な細長い直線状の孔を有する構造であってもよいし、燃料10が流通可能な細長い孔を枝状に無作為に繋いだ構造であってもよい。つまり、熱変形体15は、所定温度以下に保持されたときに燃料10の流通を許容し、所定温度以上に加熱されたときに燃料10の流通を遮断するような孔を有していればよい。
【0038】
また、燃料容器7の供給管11、発電モジュール3の供給管35並びに気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の各流入管58は、金属等の高熱伝導性材料から構成されており、各供給管11,35及び各流入管58には、発電モジュール3の改質装置20で発熱した熱が効率よく伝導するようになっている(これについては後述する)。
【0039】
次に、改質装置20の各反応器及び燃料電池25とそこで起こる化学反応とについて説明する。
気化器21は、燃料貯蔵モジュール2の燃料容器7から供給された燃料10を加熱することで、燃料10を気化(蒸発)させるものである。気化器21で気化した混合気は水蒸気改質反応器22へ供給される。
【0040】
水蒸気改質反応器22は、化学反応式(1)のように、気化器21から供給された混合気を改質触媒で水素ガスと二酸化炭素ガスに改質するものである。
CH3OH+H2O→3H2+CO2 … (1)
また、気化器21から供給された混合気が完全に水素ガスと二酸化炭素ガスとに改質されない場合もあり、この場合、化学反応式(2)のように、水蒸気改質反応器22で微量の一酸化炭素ガスが生成される。
2CH3OH+H2O→5H2O+CO+CO2 … (2)
水蒸気改質反応器22で生成された水素ガス、二酸化炭素ガス及び一酸化炭素に加えて未反応の水蒸気は、水性シフト反応器23へ供給される。
【0041】
なお、燃料10に含有した化学燃料の濃度を高くするために、化学反応式(1)の左辺の水として燃料電池25で生成された副生成物の水をバルブ36で制御された水導入管37を介して水蒸気改質反応器22に導入させてもよく、また燃料容器7とは別の上記排水容器に溜まっている水を毛管現象等により、燃料貯蔵モジュール2の排水管6から発電モジュール3の排水管34に流入させ、排水管34から水導入管37に導入させてもよい。
【0042】
水性シフト反応器23は、化学反応式(3)のように、水蒸気改質反応器22から供給された混合気(水素ガス、二酸化炭素ガス、水蒸気及び一酸化炭素ガス)のうち一酸化炭素ガスを触媒で水性シフト反応させるものである。
CO+H2O→CO2+H2 … (3)
【0043】
水蒸気改質反応器22において未反応だった水蒸気が水性シフト反応に用いられ、混合気の水蒸気及び一酸化炭素ガス濃度は非常に希薄になる。水性シフト反応器23から選択酸化反応器24へ混合気(水素ガス、二酸化炭素ガス及び一酸化炭素ガスを含む。)が選択酸化反応器24へ供給される。なお、燃料10に含有した化学燃料の濃度を高くするために、化学反応式(3)の左辺の水として燃料電池25で生成された副生成物の水をバルブ36で制御された水導入管37を介して水性シフト反応器23に導入させてもよい。
【0044】
選択酸化反応器24は、水性シフト反応器23から供給された混合気のうち一酸化炭素ガスを触媒によって選択し、化学反応式(4)のように、一酸化炭素ガスを酸化させるものである。
2CO+O2→2CO2 … (4)
化学反応式(4)の左辺の酸素は、発電モジュール3の複数の通気孔33,33,…を介して大気中から選択酸化反応器24に取り込まれる。また、選択酸化反応器24には、化学反応式(4)の化学反応を選択的に促進する触媒が形成されているため、混合気に含まれる水素はほとんど酸化しない。選択酸化反応器24から燃料電池25へ混合気が供給されるが、その混合気には一酸化炭素ガスがほとんど含まれず、水素ガス及び二酸化炭素ガスの純度が非常に高い。選択酸化反応器24に水素とそれ以外の無害の副生成物とに分離できる機構が設けられていれば、各通気孔33からその副生成物を排出するようにしてもよい。
【0045】
燃料電池25は、触媒微粒子が付着した燃料極(カソード)と、触媒微粒子が付着した空気極(アノード)と、燃料極と空気極との間に介装されたフィルム状のイオン伝導膜とを具備するものである。燃料極には選択酸化反応器24からの混合気が供給され、空気極には、発電モジュール3の外周面に設けられた複数のスリット31,31,…を介して大気中の酸素ガスが供給される。
【0046】
電気化学反応式(5)に示すように、燃料極に水素ガスが供給されると、燃料極に付着した触媒により電子の分離した水素イオンが発生し、水素イオンがイオン伝導膜を通じて空気極へ伝導し、燃料極より電子が取り出される。また、選択酸化反応器24から供給された混合気のうち二酸化炭素ガスは、反応せずに外部に放出される。
3H2→6H++6e- … (5)
一方、電気化学反応式(6)に示すように、空気極に酸素ガスが供給されると、イオン導電膜を通過した水素イオンと、酸素ガスと、電子とが反応して、水が副生成物として生成される。
6H++3/2O2+6e-→3H2O … (6)
燃料電池25で以上のような電気化学反応が起こることによって、電気エネルギーが生成される。生成された電気エネルギーは、蓄電部26に蓄電されるようになっている。
【0047】
なお、上記気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24は、シリコン、アルミニウム合金又はガラスからなる小型の基板に形成されたマイクロ流路に流体を流してこの流体を気化させるか又は流体の少なくとも一部に化学反応を引き起こさせるマイクロリアクタとして機能するものである。以下では、気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の構造について説明する。
【0048】
図4は気化器21の断面図であり、図5は気化器21に備わった熱処理炉40の斜視図である。
図4に示す通り、気化器21は、低融点ガラスで形成された直方体状のガラス容器53を有しており、ガラス容器53の内壁及び外壁には、アルミニウムや金等で形成された輻射シールド膜51,52が成膜されている。輻射シールド膜51は輻射性に富んだ金からなり、輻射シールド膜52は、柔軟な金でできた輻射シールド膜51に応力が加えられることで傷ついたり、穴が生じないように厚めのアルミニウムで形成されている。各輻射シールド膜51,52は、赤外線を含む電磁波に対して高い反射性を有しており、後述の熱処理炉40で発した電磁波をガラス容器53の内部に反射するようになっている。これにより、熱処理炉40で発された電磁波はガラス容器53の外部に伝播するのを遮蔽され、熱処理炉40から発された電磁波による輻射熱がガラス容器53の外部に放熱するのを防止できるようになっている。
【0049】
ガラス容器53の内壁に成膜された輻射シールド膜51の内側であってガラス容器53の内部の各角部には、支持体54,54,…がそれぞれ配設されている。そして各支持体54により支持された状態で、熱処理炉40がガラス容器53の内部に配設されている。ただし、熱処理炉40はガラス容器53の内壁から離間している。
【0050】
上記熱処理炉40は、図4に示す通り、3枚の基板41,42,55を互いに重ね合わせて接合した構造を有している。各基板41,42,55はシリコン結晶,アルミニウム,ガラス等の材料で構成されている。そして図5に示す通り、各基板41,42,55の接合部には葛折りとされたマイクロ流路43,56が形成されている。
【0051】
マイクロ流路43は、基板41の一方の面に形成された葛折り状の溝を基板42に向かい合わせて基板41と基板42とを接合することで形成されており、基板41と基板42との間に封止されている。マイクロ流路43としての溝は、基板41の一方の面にフォトリソグラフィー法,エッチング法等を適宜施すことによって形成されている。
【0052】
マイクロ流路56は、マイクロ流路43と対向する位置で且つ基板55の一方の面に形成された葛折り状の溝を基板42に向かい合わせて基板55と基板42とを接合することで形成されており、基板55と基板42との間に封止されている。マイクロ流路56の一端は基板55に設けられた流入管58に連通され、マイクロ流路56の他端は基板55に設けられた流出管59に連通されている。マイクロ流路56としての溝は、基板55の一方の面にフォトリソグラフィー法,エッチング法等を適宜施すことによって形成されている。マイクロ流路56の内壁には、燃焼触媒膜57がマイクロ流路56のほぼ一端から他端までマイクロ流路56に沿って形成されている。燃焼触媒膜57は、燃料10に含まれる化学燃料を燃焼させる反応(発熱反応)を促進する触媒であり、燃焼触媒膜57によって起こる発熱反応は、マイクロ流路43での燃料10の気化反応(吸熱反応)を促進するようになっている。
【0053】
流入管58は図示しないポンプを介して供給管35と連結しており、流入管58には、供給管35から燃料10が流入するようになっている。流出管59は、燃焼後に残った二酸化炭素等の生成物を含む流体を発電モジュール3外に排出する管である。またマイクロ流路56は、マイクロ流路43と平面的に重なるのであればこの形状に限らない。
【0054】
図4及び図5に示す通り、マイクロ流路43の一方の端部には流出管45の端部が連結されている。流出管45は、基板41、輻射シールド膜51,52及びガラス容器53を貫通して熱処理炉40からガラス容器53外部に引き出されている。マイクロ流路43の他方の端部には流入管44の端部が連結されている。流入管44も、流出管45と同様に、基板42、輻射シールド膜51,52及びガラス容器53を貫通して熱処理炉40からガラス容器53の外部に引き出されている。また、流入管44は、発電モジュール3の上記供給管35に通じており、燃料容器7に貯蔵された燃料10が、供給管35及び流入管44を介してマイクロ流路43に流入するようになっている。さらに流入管44は、上記供給管35と同様に、金属等の高熱伝導性材料から構成されている。
【0055】
なお、気化器21の流入管44と発電モジュール3の供給管35との間には、燃料供給機構60の一部としてマイクロポンプ(図示略)が介在している。このマイクロポンプは上記制御部28に接続されており、上記制御部28がマイクロポンプを制御して、供給管35から気化器21の流入管44に流れる燃料10の流量を制御するようになっている。
【0056】
さらに図4に示す通り、基板42の基板41との接合面には、マイクロ流路43に対応するような葛折り状の発熱抵抗膜47が形成されている。基板41と基板42とが互いに接合された状態では、マイクロ流路43を形成する溝に発熱抵抗膜47が重なり、発熱抵抗膜47がマイクロ流路43の床を形成している。発熱抵抗膜47は、マイクロ流路43の一端から他端までマイクロ流路43に沿って形成されている。発熱抵抗膜47はマイクロ流路43と平面的に重なるのであればこの形状に限らず例えば矩形であってもよい。
【0057】
マイクロ流路43の一端において発熱抵抗膜47にリード線48が接続されており、マイクロ流路43の他端において発熱抵抗膜47にリード線49が接続されている。各リード線48,49は、金,白金,ニッケル等の抵抗率が非常に低く化学的に安定した金属材料で形成されており、各リード線48,49の電気抵抗は、発熱抵抗膜47の電気抵抗に比較しても非常に小さくなっている。発熱抵抗膜47は、マイクロ流路43での化学反応を促進するために、マイクロ流路56での燃焼による発熱を補助し、温度を微調整するためのもので、発熱抵抗膜47で発生する熱量はマイクロ流路56で発生する熱量より小さい。
【0058】
図4に示す通り、各リード線48,49は、2枚の基板41,42に挟まれた状態で輻射シールド膜51,52及びガラス容器53を貫通して熱処理炉40からガラス容器53の外部に引き出されている。リード線48はガラス容器53の外部において分配部27の一方の電極に接続されており、リード線49はガラス容器53の外部において分配部27の他方の電極に接続されている。
【0059】
分配部27は、制御部28からの制御信号に応じて発熱抵抗膜47に供給する電力を変更できる機能を有している。例えば、分配部27によって印加される電圧が一定であれば、分配部27はリード線48,49に流す電流を変更できるようになっており、分配部27によって流れる電流が一定であれば、分配部27はリード線48−リード線49に印加する電圧を変更できるようになっている。勿論、分配部27が電圧と電流の両方を変更できてもよく、直流駆動及び交流駆動のいずれであってもよい。
【0060】
また制御部28は、汎用のCPU(central processing unit)等からなる演算処理装置又は専用の論理回路を有し、分配部27の電圧及び電流を示す信号をフィードバックして分配部27から発熱抵抗膜47に付与する電力を調整する機能を有している。このような構成により、発熱抵抗膜47による発熱温度が調整されるようになっている。さらに制御部28は、供給管35を介して燃料容器7の燃料10を取り込むとともに取り込んだ燃料10を気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の各流入管58に送出する図示しないポンプを制御するようになっている。したがって、制御部28は、マイクロ流路56に流入する燃料10の流入量及び上記発熱抵抗膜47を制御することで、マイクロ流路43内の温度を統轄して制御するようになっている。
【0061】
なお、上記構成を具備する気化器21では、流入管44、流出管45及びリード線48,49が各輻射シールド膜51,52及びガラス容器53を貫通した状態において、ガラス容器53の内部は密閉された空間となっており、ガラス容器53の内部空間は気圧が非常に低い真空状態となっている。従ってガラス容器53の内部には熱を伝搬する媒体がほとんど存在せず、熱処理炉40からガラス容器53の外部への熱の放熱を抑えることができるようになっている。
【0062】
図6は、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の各反応器を示す断面図である。ただし、図6に示す水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の各反応器では、上記気化器21と同様の構成要素に上記と同様の符号を付してそれら構成要素の詳細な説明を省略している。
【0063】
図6に示す通り、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の各反応器は、上記気化器21と略同様の構成を有しているが、特に水蒸気改質反応器22の流入管44は気化器21の流出管45に通じており、水蒸気改質反応器22の流出管45は水性シフト反応器23の流入管44に通じており、水性シフト反応器23の流出管45は選択酸化反応器24の流入管44に通じており、選択酸化反応器24の流出管45は燃料電池25の燃料極に通じている。また、図2にも示す通り、気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の各反応器はこの順に重ねられているが、各反応器の外壁に被膜された輻射シールド膜52が隣り合う反応器同士で接触した状態で各反応器が重ねられている。
【0064】
さらに水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24のいずれの反応器においても、マイクロ流路43の内壁及び天井(つまり、基板41の溝の壁面)には改質触媒膜46がマイクロ流路43の一端から他端までマイクロ流路43に沿って形成されている。改質触媒膜46は、燃料10に含まれる化学燃料を改質して水素を生成するものであり、改質触媒膜46の成分・種類等は、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23、選択酸化反応器24の間で異なっていてもよい。ここで、水蒸気改質反応器22の場合には、上記化学反応式(1)で示された化学反応が改質触媒膜46によって促進され、水性シフト反応器23の場合には、上記化学反応式(3)で示された化学反応が改質触媒膜46によって促進され、選択酸化反応器24の場合には、上記化学反応式(4)で示された化学反応が改質触媒膜46によって促進されるようになっている。
【0065】
なお、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の各マイクロ流路56では、いずれも燃料10を燃焼触媒膜57により燃焼させてマイクロ流路43を加熱するようになっているが、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の各マイクロ流路43で行われる反応で必要とされる熱量がそれぞれ異なる場合には、その熱量に従った量の燃料10を各流入管58に流入させ、マイクロ流路56での発熱量を制御すればよい。また、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24に通じる各流入管58は、図示しないポンプを介して供給管35と連結されており、各流入管58には、ポンプ及び供給管35を介して燃料10が流入するようになっている。
【0066】
次に、発電システム1の使用方法及び動作を説明する。
まず、燃料容器7を収納した燃料貯蔵モジュール2を発電モジュール3に取り付ける。すると、発電モジュール3の排水管34が燃料貯蔵モジュール2の排水管6と接続され、発電モジュール3の供給管35が、燃料容器7の供給口8に挿入されて閉塞膜9を突き破り、燃料容器7の供給管11と接続される。
【0067】
そして、改質装置20を駆動するための制御信号が制御部28から分配部27に入力されると、分配部27から気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の各反応器の発熱抵抗膜47にリード線48,49を介して電力が供給され、各発熱抵抗膜47が発熱する。ここで、制御部28は、各マイクロ流路56で発生される熱の熱情報データ並びに分配部27から気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の各発熱抵抗膜47に与える電圧及び電流を示す信号をフィードバックし、各流入管58及び供給管35間に介在するポンプ(各マイクロ流路56に流入する燃料10の流入量)と分配部27の電圧及び電流とを制御する。これにより、本実施形態では、各マイクロ流路56で起こる発熱反応による加熱と各発熱抵抗膜47による加熱とで、マイクロ流路43が予め設定された設定温度になるように制御される。
【0068】
これに伴い、各流入管58及び供給管35間に介在するポンプが制御部28により制御された状態で作動し、燃料容器7の燃料10が、各流入管58を通じて気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の各マイクロ流路56に供給される。すると、供給された燃料10が燃焼触媒膜57の触媒作用により燃焼して、各マイクロ流路56で発熱反応が起こる。これにより、気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の各マイクロ流路43が加熱される。
【0069】
また、発電モジュール3のマイクロポンプ(気化器21の流入管44と供給管35との間に介在するマイクロポンプ)も制御部28により制御された状態で作動し、燃料容器7の燃料10が供給管11及び供給管35を通じて吸引される。すると、燃料10は、燃料容器7の供給管11から発電モジュール3の供給管35へと流出し、熱変形体15を通過するように供給管35を流通し、供給管35から気化器21の流入管44に流入し、流入管44から気化器21の熱処理炉40内に流入する。
【0070】
熱処理炉40内では、燃料10は、マイクロ流路56の発熱反応による熱と発熱抵抗膜47の熱とによって加熱されて蒸発し、気化器21内では気圧が高くなって対流が生じる。これにより、液体であった燃料10がメタノールと水との混合気に相変化し、気化器21から水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23、選択酸化反応器24及び燃料電池25までこの順に流通する。
【0071】
水蒸気改質反応器22においては、混合気が流入管44から流出管45へとマイクロ流路43を流れる。混合気がマイクロ流路43を流れているときには、混合気が、マイクロ流路56の発熱反応による熱と発熱抵抗膜47による熱とで加熱される。そして、混合気が改質触媒膜46によって促進されて、混合気が上記化学反応式(1)・(2)のような反応を起こす。
【0072】
水性シフト反応器23においては、混合気がマイクロ流路43を流れているときに、マイクロ流路56の発熱反応による熱と発熱抵抗膜47による熱とによって加熱されて、上記化学反応式(3)のような反応を起こす。選択酸化反応器24においても同様に、混合気がマイクロ流路43を流れているときに、マイクロ流路56の発熱反応による熱と発熱抵抗膜47による熱とによって加熱されて、上記化学反応式(4)のような反応を起こす。そして、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24によって生成された水素が燃料電池25の燃料極に供給され、燃料電池25においては、上記化学反応式(5)・(6)のような電気化学反応が起きて電気エネルギーが生成される。生成された電気エネルギーは、蓄電部26に蓄電されたり端子32を通じて外部に供給されたりする。
【0073】
さらに燃料電池25においては、上記化学反応式(6)に示すような電気化学反応に伴い、副生成物として水が生成される。燃料電池25で生成された水は、発電モジュール3の排水管34を流通し、排水管34から燃料貯蔵モジュール2の排水管6に流入し、排水管6から上記排水容器に排出される。
【0074】
ここで、上記のように、燃料容器7から改質装置20に燃料10が供給されると改質装置20では燃料10が順次改質されるが、改質装置20の各反応器では、マイクロ流路56で発熱反応が起こるとともに発熱抵抗膜47が発熱するため、改質装置20の駆動時において、気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の各反応器の温度が上昇し、改質装置20の熱が、気化器21の流入管44、各流入管58及び発電モジュール3の供給管35を介して熱変形体15に伝導する。
【0075】
本実施形態では、熱変形体15は、上記の通り、発電モジュール3の供給管35の途中の位置に充填されているが、具体的には、気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24のマイクロ流路43が設定温度通りに保持されているときはその熱を受けても塑性変形せず、気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24のマイクロ流路43が設定温度よりも高い温度になったときにその熱を受けて塑性変形する位置に充填されている。
【0076】
従って、気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24のマイクロ流路43の温度が正常に制御されている間は、熱変形体15には軟化点以上の熱が伝導されず、熱変形体15は、各微細孔を開放したままの状態を維持して燃料10の流通を許容する。逆に、改質装置20(気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24のいずれかの反応器)に誤作動が生じたり制御部28の制御に異常等が発生したりして、各反応器のマイクロ流路43が設定温度の制御幅を上回る温度になり始めると、熱変形体15に軟化点以上の熱が伝導され、熱変形体15は各微細孔が閉塞するように塑性変形(軟化)し、供給管35のなかでの燃料10の流通が抑制又は遮断される。
【0077】
以上のように本実施形態では、発電モジュール3の供給管35に熱変形体15が充填されており、改質装置20の各マイクロ流路56での発熱反応の熱量及び各発熱抵抗膜47の熱量により加熱されるマイクロ流路43内の温度が予め設定された設定温度より高くなったときに、その熱が気化器21の流入管44、流入管58又は供給管35を介して熱変形体15に伝導し、熱変形体15が、各微細孔を開放した状態から閉塞する状態へと塑性変形し、供給管35のなかでの燃料10の流通が抑制又は遮断されるようになっている。この場合、気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の各マイクロ流路56には燃料10が供給されないので、各マイクロ流路56での発熱反応が停止され、気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24のマイクロ流路43の温度が急激に下がる。これにより、燃料10の浪費や改質装置20の各部材の劣化・破損を防止することができる。
【0078】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の改良及び設計の変更をおこなってもよい。
【0079】
例えば、本実施形態の燃料供給機構60では、熱変形体15を発電モジュール3の供給管35の途中に充填したが、図7に示す通り、燃料容器7の内部に配設された供給管11に熱変形体15を充填してもよい。具体的には、上記と同様に、熱変形体15は、気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24のマイクロ流路43の温度が設定温度通りに保持されているときはその熱を受けても塑性変形せず、気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24のマイクロ流路43が設定温度よりも高い温度になったときにその熱を受けて塑性変形する位置に充填される。
【0080】
この場合には、改質装置20の熱(気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24で発生する熱)が、気化器21の流入管44、流入管58、発電モジュール3の供給管35及び燃料容器7の供給管11を介して熱変形体15に伝導し、気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24のマイクロ流路43が予め設定された設定温度よりも高い温度になったときに、熱変形体15が塑性変形して供給管11のなかでの燃料10の流通を抑制又は遮断するようになっている。またこの場合、燃料容器7毎に熱変形体15が配設されるため、燃料容器7を交換する度に熱変形体15を新規な状態で使用することができ、各熱変形体15が長期間の使用により改質装置20の熱を受けて劣化するのを防止することができる。
【0081】
また本実施形態では、発電モジュール3の供給管35が直線状に図示されている(図2及び図3参照)が、供給管35を屈曲させたり湾曲させたり又は螺旋状に旋回させたりして、供給管35の長さを、燃料容器7の供給口8から供給管35と気化器21の流入管44との繋ぎ目までの距離よりも長くしてもよい。この場合、熱変形体15が、塑性変形したときに燃料容器7又は発電モジュール3に流動するのを防止することができる。
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば、熱処理装置が予め設定された設定温度よりも高い温度で発熱したときに、電気的な制御をおこなわずに熱処理装置への燃料の流出を抑制又は遮断することができ、ひいては燃料の浪費や熱処理装置の各部材の劣化・破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発電システムの基本構成を示すブロック図である。
【図2】燃料貯蔵モジュール及び発電モジュールの概略構成を示す一部破断斜視図である。
【図3】燃料供給機構を示す図面である。
【図4】気化器を示す断面図である。
【図5】気化器の熱処理炉を示す外観斜視図である。
【図6】水蒸気改質反応器、水性シフト反応器及び選択酸化反応器の各反応器を示す断面図である。
【図7】図3に示す燃料供給機構の変形例を示す図面である。
【符号の説明】
1…発電システム
2…燃料貯蔵モジュール
3…発電モジュール
4…筐体
5…貫通孔
6…排水管
7…燃料容器
8…供給口
9…閉塞膜
10…燃料
11…供給管(第二供給部材)
15…熱変形体
20…改質装置(熱処理装置)
21…気化器
22…水蒸気改質反応器
23…水性シフト反応器
24…選択酸化反応器
25…燃料電池
26…蓄電部
27…分配部
28…制御部
30…筐体
31…スリット
32…端子
33…通気孔
34…排水管
35…供給管(第一供給部材)
36…バルブ
37…水導入管
40…熱処理炉
41,42…基板
43…マイクロ流路
44…流入管
45…流出管
46…改質触媒膜
47…発熱抵抗膜
48,49…リード線
51,52…輻射シールド膜
53…ガラス容器
54…支持体
60…燃料供給機構

Claims (4)

  1. 液体の燃料を貯蔵した燃料容器から、予め設定された設定温度で発熱しながら前記燃料を熱処理する熱処理装置へと前記燃料を供給するための燃料供給機構であって、
    前記燃料容器は前記熱処理装置と着脱自在に取り付けられていて、
    前記燃料容器と前記熱処理装置とに接続され、前記燃料を前記燃料容器から前記熱処理装置に供給する第一供給部材と、
    前記燃料容器の内部に配設されるとともに前記第一供給部材と着脱自在に接続され、前記燃料を前記燃料容器の内部から第一供給部材に供給する第二供給部材と、を有し、
    前記第二供給部材には、前記燃料が流通可能な孔を有する熱可塑性の熱変形体が充填され、
    前記熱変形体は、前記熱処理装置が前記設定温度で発熱しているときに前記孔を開放したままの状態を維持し、前記熱処理装置が前記設定温度よりも高い温度で発熱したときに前記孔を閉塞するように塑性変形することを特徴とする燃料供給機構。
  2. 請求項1記載の燃料供給機構において、
    前記熱変形体は、前記熱処理装置が前記設定温度よりも高い温度で発熱し始めたときに塑性変形する位置に充填されていることを特徴とする燃料供給機構。
  3. 請求項1又は2に記載の燃料供給機構において、
    前記第一供給部材は、金属から構成され、前記熱変形体は、ガラスと、ポリスチレン、ポリエチレン及びポリアミドのうち何れかである合成樹脂とのうち何れか一方から構成されていることを特徴とする燃料供給機構。
  4. 請求項に記載の燃料供給機構において、
    前記第二供給部材は、金属から構成されていることを特徴とする燃料供給機構。
JP2003079687A 2003-03-24 2003-03-24 燃料供給機構 Expired - Fee Related JP4453261B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003079687A JP4453261B2 (ja) 2003-03-24 2003-03-24 燃料供給機構

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003079687A JP4453261B2 (ja) 2003-03-24 2003-03-24 燃料供給機構

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004288488A JP2004288488A (ja) 2004-10-14
JP4453261B2 true JP4453261B2 (ja) 2010-04-21

Family

ID=33293730

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003079687A Expired - Fee Related JP4453261B2 (ja) 2003-03-24 2003-03-24 燃料供給機構

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4453261B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4751056B2 (ja) * 2004-12-02 2011-08-17 セイコーインスツル株式会社 固体高分子型燃料電池システムの防爆構造
KR100674864B1 (ko) * 2005-09-29 2007-01-29 삼성전기주식회사 열특성이 우수한 연료 전지용 개질기
KR100764404B1 (ko) * 2005-12-29 2007-10-05 삼성전기주식회사 마이크로 연료전지용 세라믹 다층 기판 개질 기 및 그제조방법
JP2009026673A (ja) * 2007-07-23 2009-02-05 Toshiba Corp 燃料電池
JP2009170145A (ja) * 2008-01-11 2009-07-30 Fujitsu Ltd 燃料電池用カートリッジおよび燃料電池
JP6048237B2 (ja) * 2013-03-15 2016-12-21 三浦工業株式会社 安全装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004288488A (ja) 2004-10-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4423847B2 (ja) 小型化学反応装置
US7175817B2 (en) Compact chemical reactor and chemical reaction system
JP3873171B2 (ja) 改質装置及び発電システム
JP4682476B2 (ja) 加熱装置、改質装置及び燃料電池システム
JP5098685B2 (ja) 小型化学反応装置
US20040105789A1 (en) Chemical reactor
JP4453261B2 (ja) 燃料供給機構
JP3858840B2 (ja) 燃料容器
JP4670223B2 (ja) 燃料容器
JP2005103399A (ja) 反応装置及び反応方法
JP4961657B2 (ja) 反応器
JP4269742B2 (ja) 触媒反応器の製造方法及び触媒反応器
JP2007070182A (ja) 反応装置
JP4254769B2 (ja) 反応装置
JP4428322B2 (ja) 反応装置
JP2007070178A (ja) 反応装置
JP4595906B2 (ja) 発電システムの使用方法
JP4595907B2 (ja) 燃料の残量確認方法
JP4605180B2 (ja) 小型化学反応装置
JP5151345B2 (ja) 燃料容器及び発電システム
JP5168750B2 (ja) 気化装置、反応装置及び発電装置
JP4258554B2 (ja) 改質装置の封止方法
JP4552915B2 (ja) 改質装置及び発電システム
JP4595905B2 (ja) 発電システム
JP5141662B2 (ja) 燃料容器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060317

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090811

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091013

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100112

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100125

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130212

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130212

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140212

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees