JP4452753B1 - プレス成形性と強度のバランスに優れたチタンまたはチタン合金板 - Google Patents

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Abstract

【課題】プレス成形性と強度のバランスに優れ、熱交換器や化学プラントの素材として有用なチタンまたはチタン合金板を提供する。
【解決手段】一方向に圧延されたチタンまたはチタン合金板であって、その表面に潤滑皮膜が塗布され、該潤滑皮膜表面の動摩擦係数が0.15未満に制御されると共に、チタンまたはチタン合金板における圧延方向の伸び(L−El)と、圧延方向と垂直な方向でのr値(T−r)との間に下記(1)式の関係を有するものである。
T−r/L−El≧0.07 …(1)
【選択図】図1

Description

本発明は、熱交換器や化学プラントの素材として有用なチタンまたはチタン合金板に関するものであり、特に所定の強度を確保しつつプレス成形性にも優れたチタンまたはチタン合金板に関するものである。
チタンまたはチタン合金板(以下、「チタン板で代表することがある」は、優れた耐食性および比強度を有することから、近年熱交換器や化学プラントの素材として使用されている。チタン板は、特に海水に対しては全く腐食しないことから、海水熱交換器に多く使用されている。
チタン板の主要な用途の一つとして、プレート式熱交換器が挙げられるが、こうした用途に適用するチタン板には、伝熱効率(熱交換効率)を向上させるという観点から、複雑な形状に成形できる程度に良好なプレス成形性が望まれている。また、熱交換器の高圧力化に対応できる程度に高い強度も要求されることになる。しかしながら、強度とプレス成形性は相反する特性であり、これら両特性を満足し得るようなチタン板が得られていないのが実情である。
鋼板等の金属板におけるプレス成形性を向上させる手段としては、合金設計、集合組織や結晶粒径などの適正化のための組織制御などによる特性向上方法に加え、例えば特許文献1や特許文献2等に開示されているように、潤滑皮膜を鋼板表面に塗布する方法が知られている。これらの技術では、鋼板表面に潤滑皮膜を形成すことによって、金型への鋼板の変形を許容してプレス成形性を向上されるものである。
上記各技術においては、潤滑皮膜を形成する金属板の種類として、チタン板への適用も示唆されている。また、特許文献3や特許文献4等に開示されているように、鋼板に潤滑皮膜を施し、原板のr値と伸びを夫々一定以上に定めると潤滑皮膜の効果を発揮するという記述も認められる。これらの特許文献3,4によれば、一般に伸びが高く、r値が高くなるにつれて成形性が向上することが示されており、より成形性の高い鋼板に潤滑皮膜を塗布することで、成形性が更に向上することが言及されている。しかしながら、潤滑皮膜がチタン板のプレス成形性に及ぼす影響について検討したところ、単に伸びが高く、r値が高い高成形性のチタン薄板に潤滑皮膜を表面に形成しただけでは、必ずしも良好な成形性が得られるとは限らないことが判明した。
即ち、チタン板はその結晶構造が最密六方格子(hcp)であるので、チタンにおける特性上の異方性が、鋼板等に比べて大きいことが知られている。一方向に圧延して製造されたチタン板では、圧延方向(以下、「L方向」と呼ぶことがある)と圧延方向に垂直な方向(以下、「T方向」と呼ぶことがある)での特性が大きく異なるものとなる。例えば、降伏応力(YS)では、T方向に対してL方向はおよそ20%以上低く、またL方向の伸びはT方向に対しておよそ40%以上高いというチタン板ならではの特徴を示すものとなる。こうした特性上の違いが、鋼板で有用とされていた技術をそのままチタン板に適用しても、その効果が有効に発揮されない理由と考えられる。
特許第3056446号公報 特開2004−232085号公報 特開2003−65564号公報 特許第3639060号公報
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、プレス成形性と強度とのバランスに優れ、熱交換器や化学プラントの素材として有用なチタンまたはチタン合金板を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明のチタンまたはチタン合金板とは、一方向に圧延されたチタンまたはチタン合金板であって、その表面に潤滑皮膜が塗布され、該潤滑皮膜表面の動摩擦係数が0.15未満に制御されると共に、チタンまたはチタン合金板における圧延方向の伸び(L−El)と、圧延方向と垂直な方向でのr値(T−r)との間に下記(1)式の関係を有するものである点に要旨を有するものである。
T−r/L−El≧0.07 …(1)
本発明のチタンまたはチタン合金板においては、板厚は0.3〜1.0mm程度であることが好ましい。
本発明によれば、その表面に潤滑皮膜を塗布すると共に、チタンまたはチタン合金板における圧延方向の伸び(L−El)と、圧延方向と垂直な方向でのr値(T−r)との間に所定の関係を満足させることにとって、プレス成形性と強度とのバランスに優れたチタンまたはチタン合金板が実現でき、こうしたチタンまたはチタン合金板は、熱交換器や化学プラントの素材として極めて有用である。
本発明者らは、チタンまたはチタン合金板のプレス成形性に対する潤滑皮膜の影響について、様々な角度から検討した。その結果、次のような知見が得られた。まずチタン板表面における潤滑性が高くなると、低延性であるT方向への塑性変形が起こり易くなることから、チタン板におけるプレス成形性が却って悪くなる場合があり、潤滑性を高くすることによるプレス成形性向上効果を有効に発揮させるためには、T方向への変形を素材自体が起こりにくくなるようにする必要があることが分かった。そして、その指標として、本発明者らはランクフォード値(r値)を選び、T方向におけるr値を或る程度高く設定すれば良いとの着想が得られた。
尚、上記r値(ランクフォード値)は、一軸引張り試験における幅方向(本発明ではL方向に相当)の対数歪みεと板厚方向対数歪みεの比(r=ε/ε)で表されるものであり、このr値が大きいほど、限界絞り比が大きくなる(荷重を受け持つ金型部分での板厚が薄くなりにくくなる)ものとして知られているものである。
一方、チタン板表面に潤滑皮膜の塗布をせずに、通常のプレス油程度の潤滑性を付与した程度では、L方向の伸び(L−El)が高ければ高いほどプレス成形性が良好になる。しかしながら、チタン板表面が高潤滑な状態になれば、マクロ的にチタン板が流動しやすい状態となるので、均一変形領域が大きくなる。これによって、プレス油程度の摩擦抵抗ではごく微小な高塑性歪み領域であれば局部変形によって当該部分が割れに至らないものであっても、局部変形ではまかないきれない比較的大きな領域に応力が集中して高塑性歪み領域を成形しまうことになり、却って潤滑皮膜が無い場合よりも大きな割れに至ってしまうことになる。
そして、こうした状況を防止するためには、L方向が高延性になること(即ち、L方向での強度低下)はあまり好ましい状態とはいえず、L方向での伸びは或る程度低くして強度をある程度高めにすることによって、T方向への塑性歪みも或る程度促さなければならないことが分かった。
そしてこれらの知見に基づいて、更に検討した結果、素地であるチタン板自体の上記L方向の伸び(L−El)とT方向のr値(T−r)の比(T−r/L−El)が所定の範囲となれば、強度を確保しつつ良好なプレス成形性が確保できることを見出し、本発明を完成した。具体的には、圧延方向の伸び(L−El)と、圧延方向と垂直な方向でのr値(T−r)との間に下記(1)式の関係があれば、潤滑皮膜を塗布したチタン板に優れたプレス成形性が発揮できたのである。尚、この(1)式の右辺の好ましい値(下限)は0.08である。また、比(T−r/L−El)の値の上限については、特に限定されるものではないが、チタンの引張り特性および製造条件を考慮すれば、0.2程度となる。
T−r/L−El≧0.07 …(1)
本発明では、上記のように圧延方向(L方向)の伸び(L−El)と、圧延方向と垂直な方向(T方向)でのr値(T−r)の比を適切な範囲に制御することによって、上記のような効果を発揮させるものであり、夫々のパラメータ[伸び(L−El)およびr値(Tr)]自体の範囲については限定するものではないが、チタンの引張り特性および製造条件等を考慮すれば、伸び(L−EL)は50%以下、r値(T−r)は1.8以上であることが好ましい。
上記伸び(L−El)については、最終焼鈍温度を変化させて粒径の成長を変更させることによって調整できる。最終焼鈍温度は、通常750〜800℃程度で行なわれるが、この温度を比較的低くすることによって(例えば、700℃程度)、L方向の伸びを低くすることができる。
尚、チタンの焼鈍方法は、実験室的には真空焼鈍(真空雰囲気、若しくは真空引き後にArで置換した雰囲気での焼鈍→その後酸洗なし)を行う場合もあるが、工業的には生産性を重視して大気雰囲気での10分程度の焼鈍(その後酸洗)が行なわれるのが一般的である。
T方向のr値(T−r)については、冷間圧延時(通常の圧延方向)の圧下回数を調整することによって調整することができる。即ち、通常では圧下率50〜75%程度の冷間圧延が2回行なわれるのであるが、こうした冷間圧延の回数を増減させることによって、r値(T−r)を調整することができる。r値は集合組織を考えた場合、結晶の(0001)面が板厚に平行に集積するほど高くなる。これは、チタンのすべり面が(0001)面で優先的に発生していることに起因している。また、冷間圧延を施すことによって、r値が高くなる集合組織つまり結晶の(0001)面が板面に平行に集積するので、圧延回数を増やすことによって、r値を調整することができる。
T方向のr値(T−r)とL方向の伸び(L−El)が、上記(1)式の関係を満足させることによって、強度を維持しつつ良好な成形性が得られる理由については、特に異方性が強いチタン板のプレス成形時の変形挙動の解析の全てが把握できたものではないが、おそらくL方向の伸び(L−El)とT方向のr値(Tr)をバランスさせることによって、強度を低下させることなく、適切な変形状態が確保できたものと考えることができた。
本発明のチタン板は、その表面に高潤滑性の皮膜が形成されていることを前提とするものであり、高潤滑性であることによって、上記(1)式の関係を規定することの有用性が顕著になる。即ち、潤滑性皮膜を形成することによる成形性向上効果を、上記(1)式の関係を満足させることによって有効に発揮させためには、潤滑皮膜の動摩擦係数は0.15未満であることが必要である(後記図3参照)。この動摩擦係数が0.15以上となると、十分に材料の流入が起こらず、マクロ的な均一性が向上しないために、上記の効果が発揮されにくくなる。
また、潤滑皮膜を形成する素材については、従来公知の素材を使用することができ、例えばポリウレタン樹脂やポリオレフィン樹脂等を主体とする有機系樹脂を好適に用いることができる(後記実施例参照)。また、潤滑皮膜には、必要によりシリカ系の無機系固体潤滑剤を配合したものも使用できるが、この配合割合が大きくなると、潤滑皮膜表面の動摩擦係数が大きくなるので、良好な潤滑性を発揮させる(即ち、動摩擦係数をできるだけ小さくする)範囲に調整することが好ましい。尚、潤滑皮膜表面の動摩擦係数については、基本的に樹脂皮膜の種類によって或る程度決まってくるのであるが、素地となるチタン板の表面性状(表面の凹凸)の影響を受けて、同じ種類の潤滑皮膜であっても若干変化することになる。
本発明のチタン合金は、熱交換機器や化学プラントの素材として適用され、こうした素材に適用するときのプレス成形性を良好にするものであるが、板厚があまり厚くなると、潤滑皮膜を塗布することによる成形性向上効果が発揮されにくくなる。即ち、板厚が大きくなればなるほど、プレス油程度の摩擦抵抗ではごく微小な高塑性歪み領域であれば、局部変形によって、当該部分が割れには至らないものであるが、潤滑皮膜を施すことによって逆に局部変形ではまかないきれない比較的大きな領域に集中して高塑性歪み領域を成形してしまい割れに至ることになる。こうしたことから、チタン板の板厚は1.0mm以下とすることが好ましい。
チタン板(若しくはチタン合金板)の厚さの下限については、必要とされる強度等を考慮して設定すればよく、チタンまたはチタン合金板の種類によっても異なるが、例えば工業用純チタンの場合(1種または2種)には、0.3mm程度以上とするのが良く、少量の合金元素を含有させたチタン合金の場合には、それよりも薄くなっても構わない。
本発明で対象とするチタン板は基本的に工業的に用いられる純チタン(JIS1種または2種)を想定したものであり、こうしたチタンを熱交換器や化学プラント部材に適用するときに要求されるプレス成形性を更に高めたものである。しかしながら、プレス成形性を阻害しない程度で少量の合金元素を含有させたチタン合金も、本発明で対象とするチタン合金に含まれるものである。例えば、Al、Si、Nb等の元素を含有させることはチタン板(即ち、チタン合金板)の強度を高める上で有効であるが、これらの元素の含有量が増大すると、強度が高くなり過ぎて、本発明で期待するプレス成形性が得られなくなるので、これらの元素の含有量(1種または2種以上の合計の含有量)は2%程度までとすることが好ましい。また、Feについては、不可避不純物として基本的に含まれているものであるが、こうしたFeを1.5%程度までを積極的に含有させて強度を高めたチタン合金板を適用することもできる。
本発明で対象とするチタン板またはチタン合金板は、上記含有成分の他(残部)は、チタンおよび不可避的不純物からなるものである。上記「不可避的不純物」は、原料のスポンジチタンに不可避的に含まれる不純物元素のことであり、代表的には、酸素、鉄(Feを積極的に含有させた場合を除く)、炭素、窒素、水素、クロム、ニッケル等があり、また製造工程においても更に製品中に取り込まれる可能性のある元素、例えば水素等も不可避的不純物に含まれる。これらの不純物のうち、特に酸素および鉄についてはチタン板またはチタン合金板の特性(引張強度、伸び)に影響を与えるものであり、その含有量によってこれらの特性が違ったものとなる(後記表1〜3参照)。酸素、鉄等の不可避的不純物の含有量範囲は、酸素:0.03〜0.05質量%程度、鉄:0.02〜0.04質量%程度である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
下記表1に示す各種化学成分組成のチタン板またはチタン合金板を用い、これら冷間圧延を行うことによって各種板厚とした(0.5〜1.5mm)。用いたチタン板は、JIS1種、JIS2種相当純チタンとし、チタン合金板は、Al、SiおよびNb等を合計で1.2%含有させたもの(表中「1.2ASN」と記す)と、Feを1.5%含有させたもの(表中「1.5Feチタン合金」と記す)とし、大気焼鈍した後(焼鈍時間10分)、酸洗処理(硝ふっ酸洗浄)を行なった。また、JIS1種相当純チタンについては、L方向伸び(L−El)は焼鈍温度、T方向のr値(T−r)については、化学成分組成および冷間圧延回数によって調整した。
得られたチタンまたはチタン合金板に対して、下記に示す各種潤滑皮膜を塗布した(塗布量:0.2〜3.0g/m2)。このときの各種チタン板またはチタン合金板の焼鈍温度、冷間圧延回数、板厚、潤滑皮膜の種類、潤滑皮膜表面の動摩擦係数を下記表2に示す。尚、同じ種類の潤滑皮膜であってもその表面の動摩擦係数が異なることがあるのは、上述したように、チタンまたはチタン合金板表面の性状(表面凹凸)の影響によるものである。
[潤滑皮膜の種類]
有機系1:ポリウレタン90質量%+コロイダルシリカ10質量%
有機系2:ポリオレフィン90質量%+コロイダルシリカ10質量%
有機系3:ポリオレフィン80質量%+コロイダルシリカ20質量%
無機系1:コロイダルシリカ70質量%+ポリウレタン25質量%+ポリオレフィン5質量%
無機系2:コロイダルシリカ60質量%+ポリウレタン30質量%+ポリオレフィン10質量%
上記潤滑皮膜を塗布する前のチタンまたはチタン合金板について、ASTMに規定されている試験片を採取し、ASTM E8に規定されている金属材料引張試験方法に基づいてL方向の降伏応力(L−YS)、L方向の引張強度(L−TS)、全伸び(L方向の伸び:L−El)、T方向のr値(T−r)を測定した。降伏応力(YS)、引張強度(TS)および伸び(L−El)については、引張試験時の試験速度は始めから0.5%の歪みまでは0.5%/minで、それ以降は40%/minとした。また、r値(T−r)の測定については、歪む付加量は6%とし、引張試験速度を10%/minとして、r値(T−r)を求めた。
潤滑皮膜を塗布したチタンまたはチタン板について、後述する方法によってプレス成形性を評価した。このとき、本発明の評価方法と対比させるために、一般的なプレス成形性の評価方法とされているエリクセン値についても測定した。このエレクセン値の測定には、上記で得られたチタン板またはチタン合金板(潤滑皮膜を塗布したもの)から、大きさ90mm×90mmの試験片を採取し、JIS Z 2247に規定されているエリクセン試験を実施した。本発明で用いたプレス成形性評価方法は次の通りである。
各チタンまたはチタン合金板について、プレート式熱交換器の熱交換部分を模擬した、大きさ100×100mm、ピッチ:10mm,最大高さ4mm、曲率半径R=0.4,0.6,0.8,1.0,1.4,1.8(mm)の6種の稜線を有する金型を用い、8ton(トン)油圧プレス機でプレスを行なった。このときのプレス条件は、最大荷重300N、プレス速度:1mm/秒、4mmの押し切りである。
上記のようにして得られるプレス試験片の割れ測定位置は、図1に示すように[図1(a)は平面図、図1(b)は断面図]、稜部と破線の交点の36箇所である。割れの基点となる、A、C、C’、Eに関しては、目視にて判断したときに、健全なら2点、ネッキング(くびれる現象)傾向があれば1点、割れが生じていれば0点とし[下記(2)式]、B、Dに関しては、健全なら1点、ネッキング傾向があれば0.5点、割れが生じていれば0点とし[下記(3)式]、更に夫々の点数に曲率半径R[これらを一括して「R(ij)」と表す]の逆数を掛けて割れの状況を数値化し[下記(2)式、(3)式]、その値と全体に割れが生じていない場合の割合をスコアとして表しており[下記(4)式]、本発明におけるプレス成形性評価の指標としている。
E(ij)=1.0×(健全:2、ネッキング:1、割れ発生:0) …(2)
E(ij)=0.5×(健全:2、ネッキング:1、割れ発生:0) …(3)
スコア=[ΣE(ij)/R(ij)]/[ΣA,C,C’,E2/R(ij)+ΣB,D1/R(ij)]×100…(4)
潤滑性皮膜を塗布した場合のスコアと、潤滑性皮膜を塗布していない場合のスコアを測定すると共に、その比(塗布ありスコア/塗布なしスコア)を算出し、潤滑性皮膜塗布による成形性向上効果を更に向上させることができるかによって(即ち、上記比の値が1.0以上となるかによって)、本発明の効果を確認した。
測定結果を、チタン板またはチタン合金板の引張特性(L−YS、L−TS、L−El、T−rおよびT−r/L−El)と共に、下記表3に一括して示す。また、この結果に基づき、T−r/L−Elと(塗布ありスコア/塗布なしスコア)の関係を図2に、動摩擦係数が高い場合(0.15以上)のT−r/L−Elと(塗布ありスコア/塗布なしスコア)の関係を図3に、エリクセン値とスコア(潤滑皮膜を塗布したときのスコア)との関係を図4に夫々示す(各図中、No.は試験No.を示す)。
図2の結果から明らかなように、T−r/L−Elの値を0.07以上とすることによって、潤滑皮膜の塗布による成形性向上効果が有効に発揮されていることが分かる。
図3は、潤滑皮膜の動摩擦係数が高い場合(0.15以上)のT−r/L−Elと(塗布ありスコア/塗布なしスコア)の関係を示したものであるが、動摩擦係数が0.15未満でないと、潤滑皮膜の塗布によるプレス成形性向上効果が得られにくいことが分かる。
図4の結果から明らかなように、本発明でプレス成形性の評価基準である「スコア」は、エリクセン値と良好な相関関係があり、スコアによってプレス成形性が正確に評価できていることが分かる。
プレス成形性を評価する方法を説明するための図である T−r/L−Elと(塗布ありスコア/塗布なしスコア)の関係を示すグラフである。 動摩擦係数が高い場合(0.15以上)のT−r/L−Elと(塗布ありスコア/塗布なしスコア)の関係を示すグラフである。 エリクセン値とスコアとの関係を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 一方向に圧延されたチタンまたはチタン合金板であって、その表面に潤滑皮膜が塗布され、該潤滑皮膜表面の動摩擦係数が0.15未満に制御されると共に、チタンまたはチタン合金板における圧延方向の伸び(L−El)と、圧延方向と垂直な方向でのr値(T−r)との間に下記(1)式の関係を有するものであることを特徴とするプレス成形性と強度のバランスに優れたチタンまたはチタン合金板。
    T−r/L−El≧0.07 …(1)
  2. 板厚が0.3〜1.0mmである請求項1に記載のチタンまたはチタン合金板。
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