JP4451976B2 - 食器洗い乾燥機 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は食器の洗浄、濯ぎ、乾燥を順次行う食器洗い乾燥機に関し、詳しくは洗浄する前に洗浄槽に給湯する構造に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
この種の食器洗い乾燥機は例えば図７、図８に示すように構成されている。食器洗い乾燥機の外箱１内には洗浄槽２を設けてあり、外箱１の前面開口に装着した扉３にて洗浄槽２を開閉自在にしてある。この洗浄槽２には食器を保持する食器籠４を内装してあり、食器籠４が洗浄槽２に対して出し入れ自在に装着してある。図示の例では食器籠４が上下の上食器籠４ａと下食器籠４ｂとで構成されている。また洗浄槽２内には噴射ノズル５を設けてあり、噴射ノズル５から噴射した水を食器に当てて食器を洗浄するようになっている。この噴射ノズル５としては上噴射ノズル５ａと下噴射ノズル５ｂとがあり、上噴射ノズル５ａが上食器籠４ａの下に対応させてあり、下噴射ノズル５ｂが下食器籠４ｂの下に対応させてある。洗浄槽２の底部には通電することにより加熱するヒータ６を配置してある。
【０００３】
また洗浄槽２の壁面には給水口７を設けてあり、給水管路８が給水電磁弁９を介して給水口７に連通させてある。また洗浄槽２の下方には洗浄ポンプ１０を配置してあり、洗浄槽２内の水を汲み上げて上記噴射ノズル５から噴射して循環させるようになっている。また洗浄槽２の下方には排水ポンプ１１を配置してあり、洗浄槽２内の水を排水できるようになっている。また扉３の裏面には洗剤を投入するための洗剤投入器１２を配置してある。また洗浄槽２の上方には乾燥ファン１３を配置してあり、乾燥ファン１３を駆動することで温風を循環させて食器を乾燥できるようになっている。
【０００４】
上記のように食器洗い乾燥機が構成され、例えば次のように食器の洗浄が行われる。汚れた食器が上食器籠４ａ及び下食器籠４ｂにセットされ扉３が閉じられた後、洗浄工程に入る。洗浄工程では給水口７から湯が洗浄水として供給され、所定の湯が洗浄槽２に供給された状態で、ヒータ６に通電されて加熱され、また洗浄ポンプ１０が駆動され、投入器１２から洗剤が投入される。すると、洗浄槽２内の洗浄水が汲み上げられ、噴射ノズル５から洗浄水を噴射するように洗浄水が循環し、噴射ノズル５から噴射した洗浄水を食器に当てて食器が洗浄される。上記のようにして所定の時間洗浄をした後、排水ポンプ１１が駆動されて汚れた洗浄水が排水され、次に濯ぎ工程に入る。濯ぎ工程では給水口７から湯または水が濯ぎ水として供給され、所定の濯ぎ水が供給された状態で洗浄ポンプ１０が駆動され、洗浄と同様に洗浄ポンプ１０を駆動することで噴射ノズル５から噴射した濯ぎ水を食器に当てて濯がれ、所定時間濯いだ後に排水ポンプ１１が駆動されて排水される。濯ぎ工程では上記の濯ぎ動作が複数回繰り返し行われる。濯ぎ工程を終えた後、乾燥工程に入り、食器が乾燥される。乾燥工程では乾燥ファン１３が駆動されると共にヒータ６に通電され、温風を循環させることにより食器が乾燥される。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来例にあっては、給湯機で温められた湯を給水管路８を介して給水口７から給水する構造であるが、給湯機で温められた湯だけを洗浄槽に溜めるため、給湯機と洗浄槽２との間の給水配管に残る水を洗浄槽２を介して排水してから給湯機の温度の高い湯を洗浄槽２に溜めるようになっており、洗浄の運転初期の洗浄槽２内の温度を上げ、ヒータ６による加熱時間を短縮できるように制御するようになっている。かかる従来例にあっては、洗浄槽に給湯機の温度の高い湯が溜められるが、食器が温まっていないために洗浄工程が始まると洗浄槽２に溜めた湯の温度が下がり、ヒータ６による加熱時間がかかり、運転時間が長くなるという問題がある。
【０００６】
また上記従来例では洗剤投入器１２で自動的に洗浄工程の途中に洗剤を供給するようになっており、洗剤投入器１２で洗剤を投入するまでは洗剤に湯がかからないようになっているが、このように所定の時期に洗剤を投入する洗剤投入器１２を設けることはコストがかかるという問題がある。
【０００７】
本発明は叙述の点に鑑みてなされたものであって、洗浄する前に食器を温めることができてヒータによる加熱時間を短くして運転時間を短縮できる食器洗い乾燥機を提供することを課題とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明の食器洗い乾燥機は、洗浄槽２内の食器籠４に食器Ａを入れ、食器Ａの洗浄、食器Ａの濯ぎ、食器Ａの乾燥を順次行うようにした食器洗い乾燥機において、洗浄槽２内の壁面に設けられると共に給湯機からの湯を洗浄槽２に給水する給水口７と、給水口７に設けられると共に給水口７から給水される湯水を食器Ａ全体にかけるようにするための散水ノズル１５とを備え、給水口７から洗浄槽２に供給される湯が、給湯機から給湯する所定温度の湯となるまでは洗浄槽２に溜められず排水され、給湯機から給湯する所定温度の湯となったときは排水が停止されると共に洗浄槽２に湯が溜められ、洗浄槽２に溜められた湯がヒータ６により加熱されると共に食器Ａの洗浄が行なわれるようにされたことを特徴とする。洗浄槽２に給湯機から湯を給湯するとき、温度の高い湯が給水口７から洗浄槽２に供給するまで洗浄槽２に流して捨てるが、このとき湯を散水ノズル１５から食器Ａ全体に散水してかけることで食器Ａの温度を上げることができる。これにより洗浄するまでに食器Ａの温度を上げることができ、ヒータ６により加熱する時間を短くできて洗浄時間を短縮できる。
【０００９】
また洗浄槽２に溜められた湯を洗浄ポンプ１０により汲み上げ、その汲み上げられた湯を食器Ａに当てて食器Ａを洗浄する噴出ノズル５と、洗浄槽２内の壁面に設けられ洗剤を入れる凹部状の洗剤入れ１６と、洗剤入れ１６の開口の上部に設けられると共に前記散水ノズル１５からの湯が洗剤入れ１６内の洗剤１８にかかるのを阻止するカバー１７とを備え、噴出ノズル５から噴出した湯水がカバー１７内に入って洗剤１８を溶かし、その解けた洗剤１８が洗浄槽２に供給されるようにしたことを特徴とすることも好ましい。洗剤入れ１６に洗剤１８を入れて洗剤１８を供給するようにしてあるために自動的に洗剤を投入する洗剤投入器を用いて洗剤を投入するより構造を簡単にして安価にできる。また散水ノズル１５から散水することにより食器Ａ全体に湯をかけるようになっていてもカバー１７にて洗剤入れ１６の洗剤１８に湯がかかるのを防ぐことができ、簡単に洗剤１８を供給することができる洗剤入れ１６を用いるものでも弊害がないようにできる。
【００１０】
また凹部状の洗剤入れ１６の開口の下部に開口を覆うように洗剤受け１９を設けたことを特徴とすることも好ましい。洗浄を開始する前に洗剤入れ１６から洗浄槽２に洗剤が落ちる弊害を防止できる。
【００１１】
【発明の実施の形態】
食器洗い乾燥機全体の構造は従来例のものと基本的に同じであるために本発明の従来例と異なる要部だけを説明する。洗浄槽２には食器籠４を設けてあり、食器籠４に食器Ａをセットした状態で洗浄、濯ぎ、乾燥が順次できるようになっている。洗浄槽２の背部の壁面には湯または水を給水する給水口７を設けてあるが、本発明の場合、図１に示すようにこの給水口７に散水ノズル１５を設けてあり、散水ノズル１５からシャワー状に散水して食器籠４の食器Ａ全体に湯がかかるようにしてある。
【００１２】
食器洗い乾燥機は給湯機に接続してあり、洗浄を開始する前に洗浄槽２に湯が給湯されて所定量の湯が溜められるようになっている。このとき給湯管路に温度の低い湯が残っているので、給湯機から給湯する所定温度の湯になるまでは給水口７から洗浄槽２に供給された湯が洗浄槽２に溜められず、そのまま排水されるようになっている。そして給湯機から給湯する所定温度の湯になったとき排水が停止されて所定の水位まで湯が溜まるように給水される。本発明の場合、洗浄槽２に給湯する給水口７に散水ノズル１５を設けてあるために食器籠４の食器Ａに湯がかけられて食器Ａが温められる。つまり、洗浄槽２に所定温度の湯を溜めるように給湯する前に排水するときの湯を食器Ａにかけて食器Ａを温めている。このように食器Ａを温めた後に所定温度の湯が洗浄槽２に溜められ、ヒータ６に通電されて洗浄槽２内の湯が所定の洗浄温度になるように加熱されると共に洗浄ポンプ１０が駆動されて洗浄が行われる。
【００１３】
上記洗浄の工程と洗浄槽２内の槽内温度の関係を示したのが図２であり、図２（ａ）は上記本発明のものであり、図２（ｂ）は従来例のものである。図２で縦軸は槽内温度で、横軸は時間、ａは洗浄時に到達する設定温度、ｂは給湯時間である。従来の場合、給湯するとき洗浄槽２に単に湯を入れているだけのために食器Ａが温められていなく、ヒータ６に通電した後に洗浄ポンプ１０を駆動して湯を循環させたときに食器Ａにて槽内の湯の温度が符号ｃ′のように大きく下降し、それから温度が上昇して設定温度ａに到達するために給湯を終えた後に設定温度まで到達する到達時間ｄ′が長くかかり、洗浄時間が長くなる。本発明の場合、洗浄槽２に湯を溜める前の湯を食器Ａにかけて食器Ａを温めておくため、ヒータ６に通電した後に洗浄ポンプ１０を駆動して湯を循環させたとき食器Ａにて槽内の温度が下降する温度ｃ（ｃ＜ｃ′）が小さく、給湯を終えた後に設定温度ａまで到達する到達時間ｄが短くなり、洗浄時間が短縮できる。
【００１４】
また扉３の裏面には洗剤入れ１６が設けられるが、本発明の場合、図３、図４に示すように壁面に凹部を凹設することにより形成してあり、粒状等の洗剤１８を装填できるようになっている。この凹部状の洗剤入れ１６の開口の下部に開口を覆うように洗剤受け１９を設けてあり、この洗剤受け１９には洗剤出口２０を穿孔してある。また凹部状の洗剤入れ１６の開口の上部には開口を覆うようにカバー１７を設けてある。本発明の場合、凹部状の洗剤入れ１６を設けてあり、洗剤入れ１６から洗浄時に洗剤１８を洗浄槽２に供給することができるようになっているため、自動的に洗剤を投入できる洗剤投入器を用いる従来のものに比べて構造を簡単にして安価に提供できる。また凹部状の洗剤入れ１６に洗剤１８を入れて供給するものであっても洗剤入れ１６の開口の下部に洗剤受け１９があって洗剤入れ１６から不用意に洗剤１８が洗浄槽２に落下することがなく、洗浄を開始する前に洗剤入れから洗浄槽２に洗剤１８が落下する弊害を防止できる。また本発明の場合、洗浄槽２に湯を供給するとき散水ノズル１５から散水して食器Ａ全体に湯をかけるために洗剤入れ１６に洗剤１８を入れただけであると、湯が洗剤１８にかかるが、洗剤入れ１６の開口の上部にカバー１７を設けてあるため、図５の符号ｅのようにかかる湯がカバー１７に当たって符号ｆのように反射し、洗剤入れ１６内の洗剤１８に湯がかかるおそれがない。また洗浄ポンプ１０を駆動して湯を循環させて洗浄するときは、図６の符号ｈのような循環水が符号ｉの矢印のようにカバー１７内に入り、洗剤入れ１６内の洗剤１８を溶かし、溶けた洗剤が図６の符号ｊのように洗剤出口２０から流出して洗浄槽２に供給される。これによりカバー１７や洗剤受け１９が設けてあっても洗浄槽２に洗剤１８を供給することができる。
【００１５】
【発明の効果】
本発明の請求項１の発明は、洗浄槽内の壁面に設けられると共に給湯機からの湯を洗浄槽に給水する給水口と、給水口に設けられると共に給水口から給水される湯水を食器全体にかけるようにするための散水ノズルとを備え、給水口から洗浄槽に供給される湯が、給湯機から給湯する所定温度の湯となるまでは洗浄槽に溜められず排水され、給湯機から給湯する所定温度の湯となったときは排水が停止されると共に洗浄槽に湯が溜められ、洗浄槽に溜められた湯がヒータにより加熱されると共に食器の洗浄が行なわれるようにされたものであって、洗浄するまでに食器の温度を上げることができてヒータにより加熱する時間を短くできて洗浄時間を短縮できるものである。
【００１６】
また本発明の請求項２の発明は、洗浄槽に溜められた湯を洗浄ポンプにより汲み上げ、その汲み上げられた湯を食器に当てて食器を洗浄する噴出ノズルと、洗浄槽内の壁面に設けられ洗剤を入れる凹部状の洗剤入れと、洗剤入れの開口の上部に設けられると共に前記散水ノズルからの湯が洗剤入れ内の洗剤にかかるのを阻止するカバーとを備え、噴出ノズルから噴出した湯水がカバー内に入って洗剤を溶かし、その解けた洗剤が洗浄槽に供給されるようになっているので、自動的に洗剤を投入する洗剤投入器を用いて洗剤を投入するより構造を簡単にして安価に提供できるものであり、また給湯する湯が洗剤入れ内の洗剤にかかるのを阻止するカバーを洗剤入れの上方に設けあるので、散水ノズルから散水することにより食器全体に湯をかけるようになっていてもカバーにて洗剤入れの洗剤に湯がかかるのを防ぐことができ、簡単に洗剤を供給することができる洗剤入れを用いるものでも弊害がないようにできるものである。
【００１７】
また本発明の請求項３の発明は、凹部状の洗剤入れの開口の下部に開口を覆うように洗剤受けを設けたので、洗浄を開始する前に洗剤入れから洗浄槽に洗剤が落ちる弊害を防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態の一例の散水する構造を示す斜視図である。
【図２】（ａ）（ｂ）は同上の動作を示すグラフである。
【図３】（ａ）は同上の洗剤入れの部分を説明する一部切欠側面図、（ｂ）は（ａ）のＸ部の拡大図である。
【図４】（ａ）は同上の扉の内面を示す正面図、（ｂ）は（ａ）のＹ部拡大図である。
【図５】同上の洗剤入れの部分の給水時の動作を説明する側面図である。
【図６】同上の洗剤入れの洗浄時の動作を説明するものであって、（ａ）は側面図、（ｂ）は正面図である。
【図７】従来例の一部切欠正面図である。
【図８】同上の側面から見た断面図である。
【符号の説明】
Ａ 食器
２ 洗浄槽
４ 食器籠
７ 給水口
１５ 散水ノズル
１６ 洗剤入れ
１７ カバー
１８ 洗剤
１９ 洗剤受け

Claims (3)

1. 洗浄槽内の食器籠に食器を入れ、食器の洗浄、食器の濯ぎ、食器の乾燥を順次行うようにした食器洗い乾燥機において、
   洗浄槽内の壁面に設けられると共に給湯機からの湯を洗浄槽に給水する給水口と、
   給水口に設けられると共に給水口から給水される湯水を食器全体にかけるようにするための散水ノズルとを備え、
   給水口から洗浄槽に供給される湯が、給湯機から給湯する所定温度の湯となるまでは洗浄槽に溜められず排水され、給湯機から給湯する所定温度の湯となったときは排水が停止されると共に洗浄槽に湯が溜められ、
   洗浄槽に溜められた湯がヒータにより加熱されると共に食器の洗浄が行なわれるようにされたことを特徴とする食器洗い乾燥機。
2. 洗浄槽に溜められた湯を洗浄ポンプにより汲み上げ、その汲み上げられた湯を食器に当てて食器を洗浄する噴出ノズルと、
   洗浄槽内の壁面に設けられ洗剤を入れる凹部状の洗剤入れと、
   洗剤入れの開口の上部に設けられると共に前記散水ノズルからの湯が洗剤入れ内の洗剤にかかるのを阻止するカバーとを備え、
   噴出ノズルから噴出した湯水がカバー内に入って洗剤を溶かし、その解けた洗剤が洗浄槽に供給されるようにしたことを特徴とする請求項１記載の食器洗い乾燥機。
3. 凹部状の洗剤入れの開口の下部に開口を覆うように洗剤受けを設けて成ることを特徴とする請求項２記載の食器洗い乾燥機。

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