JP4451949B2 - 染色された成形体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の繰り返し構造単位を含有してなるポリカーボネートからなる染色された成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
透明性樹脂は、無機ガラスに比べて軽量で割れ難くく、加工性に優れる等の諸特性を有することから、無機ガラスの代替として各種レンズ(例えば、眼鏡レンズなど)等の光学用途に使用されている。
【0003】
現在までに、該光学用途に用いられる樹脂としては多くのものが知られている。例えば、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートをモノマーとする熱硬化性樹脂(DAC樹脂)は、透明性、耐熱性に優れ、色収差が小さく、また染色が容易であるという利点などから、汎用眼鏡レンズ用途に多く用いられている。しかしながら、このDAC樹脂は低屈折率(nd =1.50)であり、耐衝撃性に劣るという欠点を有していた。
【0004】
熱可塑性樹脂である2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン(略称、ビスフェノールA)のポリカーボネート(以下、BPA−PCと表す)は、透明性、耐衝撃性、耐熱性に優れ、比較的高い屈折率を有していることから、射出成形眼鏡レンズ用樹脂として広く用いられている。しかしながら、BPA−PCを代表とするポリカーボネート類は、一般的な染色方法(例えば、分散染料による染色など)では、染色性が極めて乏しいという問題点を有しており、染色を行うためには、染色可能なハードコート材により、レンズ上にコート層を設け、該コート層を染色する等の煩雑な工程を経る必要があった。
【0005】
ポリカーボネートを比較的簡便に染色する方法として、溶剤配合物中の染料に成形体を含浸させることにより、ポリカーボネートの成形体を直接染色する方法(例えば、特開平8−104759号公報など)が提案されている。しかしながら該方法は、言わば、有機溶剤を用いてレンズなどの成形体の表面を浸食しつつ、染料または顔料で染色する方法であって、有機溶剤を使用するという点で環境上問題があると言われていた。加えて、該方法によって得られる染色されたレンズは、染色条件によっては、レンズ表面が溶剤配合物によって過度に浸食されてしまい、染色はなされるものの透明性が失われる等、実用上、問題もあった。
【0006】
ファッション性が要求される眼鏡レンズ用途などに代表される透明性樹脂の成形体の用途においては、光学特性(例えば、透明性、高屈折率等)、耐衝撃性などの特性を有することは勿論のこと、その上に、簡便な染色方法により容易に染色可能であることも強く求められていた。現在では、簡便な方法によって染色可能な光学用樹脂、ならびに、該樹脂を染色された成形体が要望されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記の問題点を克服し、染色性に優れた特定の繰り返し構造単位を有するポリカーボネートからなる染色されたレンズを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するため、鋭意検討した結果、容易に染色できる芳香族ポリカーボネートを見い出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
(1) 下記式(1−a)で表される繰り返し構造単位を50モル%以上含有してなるポリカーボネート成形体を、水性媒体中有機溶剤の非存在下、あるいは水と水溶性アルコール系溶媒の混合物中、分散染料により、染色後の分光透過率が、430nm、510nmおよび595nmの少なくとも1つの波長において、染色前の分光透過率の10〜90%となるまで染色して得られる染色された成形体。
【0009】
【化2】
Figure 0004451949
【0010】
(2) ポリカーボネート成形体が、前記式(1−a)で表される繰り返し構造単位の80〜100モル%と、下記式(2−a)で表される繰り返し構造単位の0〜20モル%を含む(1)に記載の染色された成形体。
【化101】
Figure 0004451949
【0011】
(3) 成形体が、重量平均分子量10000〜300000のポリカーボネートからなるものである(1)または(2)に記載の染色された成形体。
【0012】
(4) (1)〜(3)のいずれかに記載の染色された成形体からなる光学用レンズ。
【0013】
(5) 染色された成形体の厚さ1.5±0.5mmである部分の、430nm、510nmおよび595nmの少なくとも1つの波長において、5〜85%の分光透過率を示すことを特徴とする(4)に記載された光学用レンズ。
に関するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関して詳細に説明する。
本発明は、前記式(1−a)で表される構造単位を含有してなるポリカーボネートからなる染色された成形体に関するものである。
【0015】
本発明に係るポリカーボネートは、下記式(1)(化3)で表されるα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン(以下、BPMまたはビスフェノールMと略す)を、カーボネート前駆体(例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジフェニル等の炭酸ジエステル化合物、ホスゲン等のハロゲン化カルボニル化合物など)と作用させ、重合することにより得られるものであり、それ自体は、例えば、米国特許3466260号等に記載されている公知のポリマーである。
【0016】
【化3】
Figure 0004451949
本発明に係るビスフェノールMのポリカーボネートが優れた染色性を有することについては、米国特許34662460号をはじめとする、公知の特許、文献等には記載がなく、これまで全く知られていなかった。ビスフェノールMのポリカーボネートの染色性については、本発明者らが、種々検討の結果、初めて見出したものであり、ポリカーボネートは染色性が極めて乏しいという従来の常識からは、全く驚くべきことであった。
【0017】
かかるポリカーボネートの製造方法としては、該米国特許3466260号に記載の方法、あるいは、公知の各種ポリカーボネート重合方法〔例えば、実験化学講座第4版(28)高分子合成、231〜242頁、丸善出版(1988年)に記載の溶液重合法、エステル交換法または界面重合法等〕等が挙げられる。
【0018】
本発明の方法で用いるポリカーボネートとは、式(1−a)で表されるビスフェノールMより誘導されるポリカーボネート単位を必須として含有してなるポリカーボネート重合体、もしくはビスフェノールMと他のビスフェノールより誘導されるポリカーボネート共重合体であり、これ等を本明細書ではポリカーボネート(共)重合体と称する。また、これ等ポリカーボネート(共)重合体と、公知の他のポリカーボネート(共)重合体とのブレンドポリマーであってもよい。
【0019】
本発明に係るポリカーボネート(共)重合体の分子量としては、特に限定されるものではないが、通常、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)で測定する標準ポリスチレン換算の分子量として重量平均分子量が、10000〜300000であり、好ましくは、20000〜250000であり、より好ましくは、30000〜200000である。
【0020】
また、重量平均分子量と数平均分子量の比として表される多分散性インデックスとしては、特に限定されるものではなく、好ましくは、1.5〜20.0であり、より好ましくは、2.0〜15.0である。
【0021】
本発明に係るポリカーボネートにおいて、末端基は、ヒドロキシ基、ハロホーメート基、炭酸エステル基等の反応性の末端基であってもよく、また、後述するような分子量調節剤で封止された不活性な末端基であってもよい。好ましくは、分子量調節剤で封止された不活性な末端基である。
【0022】
本発明に係るポリカーボネート(共)重合体中の末端基の量は特に制限はないが、通常、構造単位の総モル数に対して、0.001〜5モル%であり、好ましくは、0.01〜5モル%であり、より好ましくは、0.1〜3モル%である。前記の方法に従い、本発明に係るポリカーボネート(共)重合体を製造する際に、分子量を調節する目的で、分子量調節剤の存在下に重合を行うことは好ましいことである。分子量調節剤としては特に限定されるものではなく、ポリカーボネート重合の際に使用される公知の分子量調節剤が用いられる。例えば、1価のヒドロキシ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳香族化合物、もしくはそれらの誘導体(例えば、1価のヒドロキシ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳香族化合物のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、1価のヒドロキシ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳香族化合物のハロホーメート化合物、1価のヒドロキシ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳香族化合物の炭酸エステルなど)、1価のカルボン酸もしくはその誘導体(例えば、1価のカルボン酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、1価のカルボン酸の酸ハライド、1価のカルボン酸のエステルなど)等が挙げられる。
【0023】
分子量調節剤の使用量は特に制限するものでなく、目的の分子量に調節するために、所望に応じて用いればよい。通常、重合するジヒドロキシ化合物の総モル数に対して、0.001〜5モル%であり、好ましくは0.01〜5モル%である。
【0024】
本発明に係るポリカーボネートは、式(1−a)で表される繰り返し構造単位を必須成分として含有してなるポリカーボネートであって、式(1−a)で表される繰り返し構造単位以外に、他の繰り返し構造単位を含有していてもよい。この場合、全繰り返し構造単位中の式(1−a)で表される繰り返し構造単位の占める割合は、通常、50モル%以上であり、好ましくは、70モル%であり、より好ましくは、80モル%以上であり、さらに好ましくは、90モル%以上である。また、かかる他の構造単位を含有する場合、式(1−a)で表される繰り返し構造単位以外の1種または異なる2種類以上の構造単位を含有していてもよい。
【0025】
本発明の所望の効果を得るためには、前記式(1−a)で表される繰り返し構造単位のみからなる、他の繰り返し構造単位を含有しないポリカーボネートは、特に好ましい。
これらの場合、ポリマー鎖の末端基の構造単位としては、前述したような分子量調節剤から誘導される構造単位が挙げられる。
【0026】
本発明で用いられる式(1−a)以外の他の繰り返し構造単位は、前記式(1)で表されるビスフェノールM以外の他のジヒドロキシ化合物から誘導される繰り返し構造単位であって、該ジヒドロキシ化合物としては、各種公知の芳香族ジヒドロキシ化合物または脂肪族ジヒドロキシ化合物を例示することができる。
【0027】
該芳香族ジヒドロキシ化合物の具体例としては、例えば、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2-ビス(4' −ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-ナフチルメタン、1,1-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)プロパン(略称、ビスフェノールA)、2-(4'−ヒドロキシフェニル)-2-(3'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)-3−メチルブタン、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3-ビス(4'-ヒドロキシフェニル) ペンタン、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル) ヘキサン、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル) ヘプタン、4,4-ビス(4'-ヒドロキシフェニル) ヘプタン、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル) トリデカン、2,2-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2-ビス(3'−メチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3'−エチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3'−n−プロピル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3'−イソプロピル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3'−sec−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3'−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3'−シクロヘキシル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3'−アリル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3'−メトキシ−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3',5'-ジメチル−4'−ヒドロキシフェニル) プロパン、2,2-ビス(2',3',5',6'-テトラメチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シアノメタン、1-シアノ-3,3−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)シクロヘプタン、1,1-ビス(3'−メチル−4'−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(3',5'-ジメチル−4'−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(3',5'-ジクロロ−4'−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(3'−メチル−4'−ヒドロキシフェニル)−4−メチルシクロヘキサン、1,1-ビス (4'−ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、2,2-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)アダマンタン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
4,4'- ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'- ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルエーテル、エチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル等のビス(ヒドロキシアリール)エーテル類;
4,4'- ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジシクロヘキシル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジフェニル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等のビス(ヒドロキシアリール)スルフィド類;
4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド等のビス(ヒドロキシアリール)スルホキシド類;
4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'- ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルスルホン等のビス(ヒドロキシアリール)スルホン類;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ケトン等のビス(ヒドロキシアリール)ケトン類;
その他、α、α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールP)、6,6'-ジヒドロキシ-3,3,3',3'-テトラメチル -1,1'-スピロビインダン、7,7'−ジヒドロキシ−3,3',4,4'-テトラヒドロ−4,4,4',4'-テトラメチル-2,2'-スピロビ(2H−1−ベンゾピラン)、トランス-2,3- ビス(4'−ヒドロキシフェニル)-2- ブテン、9,9-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)フルオレン、3,3-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)-2- ブタノン、1,6-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)-1,6- ヘキサンジオン、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン等のジヒドロキシ化合物が挙げられる。
また、例えばビスフェノールA2モルとイソフタロイルクロライドまたはテレフタロイルクロライド1モルとを反応させることにより製造することができるエステル結合を含む芳香族ジヒドロキシ化合物も包含される。
【0028】
該脂肪族ジヒドロキシ化合物の具体例としては、1,2−ジヒドロキシエタン、1,3−ジヒドロキシプロパン、1,4−ジヒドロキシブタン、1,5−ジヒドロキシペンタン、3−メチル−1,5−ジヒドロキシペンタン、1,6−ジヒドロキシヘキサン、1,7−ジヒドロキシヘプタン、1,8−ジヒドロキシオクタン、1,9−ジヒドロキシノナン、1,10−ジヒドロキシデカン、1,11−ジヒドロキシウンデカン、1,12−ジヒドロキシドデカン、ジヒドロキシネオペンチル、2−エチル−1,2−ジヒドロキシヘキサン、2−メチル−1,3−ジヒドロキシプロパン等のジヒドロキシアルカン;
1,3−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ジヒドロキ シシクロヘキサン及び2,2−ビス(4’−ヒドロキシルシクロヘキシル)プロパン等のジヒドロキシシクロアルカンを挙げることができる。
【0029】
さらに、o−ジヒドロキシキシリレン、m−ジヒドロキシキシリレン、p−ジヒドロキシキシリレン、1,4−ビス(2’−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1,4−ビス(3’−ヒドロキシプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(4’−ヒドロキシブチル)ベンゼン、1,4−ビス(5’−ヒドロキシペンチル)ベンゼン、1,4−ビス(6’−ヒドロキシヘキシル)ベンゼン、2,2−ビス[4’−(2”−ヒドロキシエチルオキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4’−(2”−ヒドロキシエプロピルオキシ)フェニル]プロパン、6,6'-ビス(2" −ヒドロキシエチルオキシ)-3,3,3',3'-テトラメチル-1,1'-ス ピロビインダン、6,6'-ビス(2“−ヒドロキシプロピルオキシ)-3,3,3',3'- テトラメチル-1,1'-スピロビインダン等のジヒドロキシ化合物を挙げることができる。
【0030】
本発明に係るポリカーボネートは、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、製造時あるいは成形時に、公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール類、亜リン酸エステル類、リン酸エステル類など)または熱安定剤(例えば、フェノール系、ヒンダードフェノール系、硫黄系、リン酸金属塩、亜リン酸金属塩など)、紫外線吸収剤、滑剤、有機ハロゲン化合物系の難燃剤、離型剤、流動性改良剤、帯電防止剤などを添加してもよい。
【0031】
さらに、本発明に係るポリカーボネートは、所望の効果を損なわない範囲で、他のポリカーボネート、例えば2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導される芳香族ポリカーボネートと配合することにより成形材料として使用することも可能である。その際、式(1−a)で表される繰り返し構造単位の占める割合は、通常、70モル%であり、好ましくは、80モル%以上であり、より好ましくは、90モル%以上である。
【0032】
他のポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、パラオキシベンゾイル系ポリエステル、ポリアリーレート、ポリスルフィド等が挙げられる。
【0033】
本発明の染色された成形体は、(1)上記ポリカーボネートを用いて、後述する公知の各種成形方法によって成形体を製造する工程、(2)該成形体を公知の各種染色方法によって染色する工程などを経て、好適に製造される。
【0034】
本発明に係る成形体として、代表的には、例えば、眼鏡、サングラス等に用いられる光学用レンズ、車両(例えば、自動車など)、建築物等に使用されるガラス代替の透明性部材、電気・電子機器などに用いられる透明性の構造用部材など、透明性、染色性が要求される各種成形体が挙げらるが、これらに限定されるものではない。また、眼鏡、サングラスなどの光学用レンズは、ファッション性の観点から染色性が特に要求されることから、本発明の染色される成形体の具体例として、特に好ましい。
【0035】
本発明に係るポリカーボネートは熱可塑性であって、溶融状態で射出成形、押出成形、ブロー成形が可能であり、さらには、圧縮成形、溶液キャスティングなど、各種公知の成形方法によって成形可能である。本発明に係る成形体は、かかる成形方法によって好適に製造される。
【0036】
本発明の染色された成形体は、上記の成形方法によって得られた成形体を、公知の各種染色方法により染色することにより好適に製造される。すなわち、代表的な染色方法としては、例えば、水性媒体中または有機溶媒中、あるいは、これらの混合媒体中において、染料(例えば、分散染料など)、顔料等を用いて染色する方法等が挙げられる。
【0037】
上記方法の中で、有機溶媒中で染色する方法(例えば、特開平8−104759号公報等に記載の方法など)は、成形体を高い濃度で染色することが比較的容易である利点があるが、染色条件(溶媒の種類、染色温度、染色時間など)によっては成形体表面が有機溶媒で浸食され透明性が損なわれる場合などもあるため、前記方法の中でも、水性媒体中で分散染料により染色する方法が、より好ましい。
【0038】
有機溶媒中で行う場合、使用される有機溶媒として、特に制限はなく、一般的に使用される公知の各種有機溶媒が使用されるが、前記問題を考慮すると、非水溶性有機溶媒(特に、ハロゲン化炭化水素系溶媒など)よりも、水溶性のアルコール系溶媒またはそれと水との混合物が好ましい。
【0039】
また、染料、顔料としては、特に制限されるものではなく、繊維、樹脂等の染色に使用される公知の各種染料、顔料が好適に使用される。
【0040】
水性媒体中で分散染料により染色する方法としては、例えば、分散染料を水性媒体中に分散させ、必要に応じて、各種公知の添加剤(例えば、界面活性剤、pH調整剤、分散均染剤、染色促進剤など)を添加し、染色温度を保って染色浴を調製し、この染色浴中に、上記の方法で成形されたレンズを、所定時間浸漬する方法などが例示されるである。
【0041】
本発明の染色された成形体を製造する際に用いられる染料として、上述したように分散染料が好適に用いられる。該分散染料として、例えば、アゾ系染料、キノフタロン系染料、アントラキノン系染料などが例示される。
分散染料の使用量としては、特に制限はないが、通常、染浴濃度で0.5〜30g/リットルの濃度である。
【0042】
使用する分散染料として、特に限定するものではなく、公知の各種分散染料が好適に使用される。かかる分散染料の具体例として、例えば、下記の三井BASF染料(株)製のものが挙げられる。
【0043】
アゾ染料としては、例えば、Miketon Polyester(以下、M/Pと記す)Yellow 5G、 M/P Yellow 5GF、M/P Yellow 5R、 M/P Yellow GL、 M/P Orange3GSF、 M/P Orange SF、 M/P Orange SC、M/P Orange B、 M/P Yellow Brown R、M/P Brown 2RL、 M/P Scarlet RR、 M/P Scarlet 3R、 M/P Scarlet 3RG、 M/P Scarlet RCS、 M/P Scarlet BRSF、M/P Red FL、M/PRed 3BSF、 M/P Ruibine GCSF、 M/PRuibine GL、 M/P Violet ADW、 M/P Discharge Blue R、 M/P Blue G−ADW、 M/P Blue 3RT、 M/P Blue 3RSF、 M/P Blue 2RF、 M/PBlue 7GSF、 M/P Red Brown S、 M/P Navy Blue 3GS、 M/P Navy Blue GLSF、M/P Navy Blue BGSF、 M/P Navy Blue TNSF、 M/P Navy Blue RRSF、 M/P Navy Blue TRSF等が挙げられる。
【0044】
キノフタロン系染料としては、M/P Yellow 3GSL、M/PYellow F3G、 M/P Yellow GSL等が挙げられる。
【0045】
アントラキノン系染料としては、M/P Yellow HLS、 M/P Red FB、 M/P Red 4BF、 M/P Red SL、 M/PRed T4B、 M/P Red BLSF、 M/P Red Viol et 4RL、 M/P Red Violet FR、 M/P Red Pink REL、 M/P Blue FBL、 M/P Blue FTK、M/P Blue VSL、 M/P Blue TGSF、 M/P Blue TSF、 M/P Brill Blue 5B、 M/P Brill Blue BG等が挙げられる。
その他の染料として、M/P Yellow YL、 M/P BrillRed FGG、 M/P Brown G、 M/P Brown GF、MLPGold Yellow−2、 MLP Red−2、 MLP Blue−2等が挙げられる。
【0046】
水性媒体中において分散染料により染色する際に、必要により、染色浴に添加する界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ラウリル硫酸塩などの陰イオン系界面活性剤、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン系界面活性剤などが例示される。これらは単独で、もしくは2種類以上を混合して用いてもよい。
【0047】
該界面活性剤の使用量としては、特に制限はないが、通常、染浴濃度で、0.1〜500g/リットルである。
染色温度としては、特に制限するものではないが、通常、50〜110℃、好ましくは80〜95℃の範囲である。
染色時間は、染色温度等の条件によっても影響されるが、通常、1分〜1時間程度である。
【0048】
本発明の染色された成形体は、必要に応じて、所望の色調に染色される必要があり、各色(赤色、青色、黄色など)の染料・顔料に対して染色性が良好であることが、必要となる。本発明において使用するビスフェノールM構造をくり返し単位として含有してなるポリカーボネートは、これら各色の染料、顔料に対して、優れた染色性を示すことから、上述の染色条件(染料・顔料の種類、染色浴の媒体の種類、染色温度、染色時間など)を設定することにより、所望の色調、濃度に染色すること、あるいは、成形体の染色濃度が勾配を有する段階的色調に染色(グラジエント染色)すること等、所望に応じた染色が可能である。
【0049】
本発明の染色された成形体は、430nm、510nmおよび595nmの少なくとも一つの波長において、染色後の分光光線透過率が、染色前の分光透過率に対して0.1〜0.9[以下、この比を分光透過率比とも言う]であることが好ましい。本発明の染色された成形体として、より好ましくは、分光透過率比が0.15〜0.85であり、さらに好ましくは、0.15〜0.75である。本発明の染色された成形体として、分光透過率比が0.2〜0.7であることは、特に好ましい。
【0050】
本発明の成形体は、特に光学レンズとして好適に使用され、その際染色された成形体の厚さ1.5±0.5mmである部分の、430nm、510nmおよび595nmの少なくとも1つの波長において、5〜85%、好ましくは10〜80%、さらに好ましくは15〜70%、最も好ましくは20〜70%の分光透過率を示すことである。
【0051】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の製造例および比較製造例で製造したポリカーボネートの物性の測定は以下の方法により行った。
【0052】
〔分子量の測定〕
ポリカーボネートの0.2重量%クロロホルム溶液を、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)〔昭和電工(株)製、System−11〕により測定し、重量平均分子量(Mw)を求めた。尚、測定値は、標準ポリスチレン換算の値である。
【0053】
〔分光透過率の測定〕
下記実施例及び比較例記載の方法に従って製造され、染色された成形体(レンズ)を使用して、各波長における分光透過率を、日本バリアン社製分光光度計(CARY−5)を用いて測定した。
また、分光透過比は、前記方法で測定された染色前後の成形体の分光透過率の比として表した。
【0054】
製造例1(ビスフェノールMポリカーボネートの製造)
内容量2リットルのバッフル付きフラスコに、格子翼を備えた攪拌機、還流冷却管、ホスゲン吹き込み用浸漬管を設けた。このフラスコに、173g(0.50モル)のα、α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM、BPM)、56g(1.40モル)の水酸化ナトリウム、0.423g(0.0045モル)のフェノール、および、600ミリリットルの脱イオン水を装入し、水溶液を調製した。その後、該水溶液に600ミリリットルのジクロロメタンを添加し、2相混合物とし、この2相混合物を攪拌しながら、該混合物に59.4g(0.60モル)の塩化カルボニルを9.9g/分の供給速度で供給した。塩化カルボニルの供給終了後、0.08gのトリエチルアミンを反応混合物に添加し、さらに90分間攪拌混合した。その後、攪拌を停止し、反応混合物を分液し、ジクロロメタン相を塩酸水溶液により中和し、脱イオン水を使用して、水性洗浄液に電界質が実質的に検出されなくなるまで洗浄した。その後、ジクロロメタン相から、ジクロロメタンを蒸発留去することにより、重量平均分子量が150000の無色固体状態の前記式(1−a)で表される繰り返し構造単位を含有してなるポリカーボネート 170gを得た。走査熱量計(DSC−3100、マックサイエンス社製)で、0℃〜300℃の温度範囲で示差熱分析を行ったところ、ガラス転移温度(Tg)は102℃であった。得られたポリカーボネートの1重量%重水素化クロロホルム溶液の 1H−NMR、ならびに、IR測定結果を以下に示した。
1H−NMR δ(CDCl3 ):
1.4(s,12H)、6.3〜7.2(m,12H)
・IR(KBr法):1780cm-1[−O−C(=O)−O−]
その他、物性を以下に示した。
・比重: 1.15
・屈折率(nd ): 1.59
・アッベ数: 30
製造例2
製造例1において、173g(0.50モル)のα、α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM、BPM)を使用する代わりに、138g(0.40モル)のα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM、BPM)、および、22.8g(0.10モル)の 2,2-ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンを使用する以外は、製造例1と同様にして行い、下記式(1−a)および式(2−a)(化4)で表される構造単位を含有してなるポリカーボネート共重合体(ランダム共重合体)を白色粉状固体で得た。
【0055】
重量平均分子量は125000であった。走査熱量計(DSC−3100、マックサイエンス社製)で、0℃〜300℃の温度範囲で示差熱分析を行ったところ、ガラス転移温度(Tg)は120℃であった。
【0056】
【化4】
Figure 0004451949
得られたポリカーボネートの1重量%重水素化クロロホルム溶液を1H−NM R測定した結果、イソプロピリデン基の積分比から、上記式(1−a)で表される繰り返し構造単位と式(2−a)で表される繰り返し構造単位のモル比は、80対20であることが確認された。得られたポリカーボネート共重合体のIR測定結果を以下に示した。
・IR(KBr法):
1750cm-1、1780cm-1[−O−C(=O)−O−]
比較製造例1
製造例1において、ビスフェノールMの代わりに、ビスフェノールA(BPA)を使用する以外は、製造例1に記載の方法と同様にして、ビスフェノールAのポリカーボネートを製造した。重量平均分子量は30000であった。
【0057】
比較製造例2
製造例1において、ビスフェノールMの代わりに、α、α‘−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールP)を使用する以外は、製造例1に記載の方法と同様にして、ビスフェノールPのポリカーボネートを製造した。重量平均分子量は80000であった。
【0058】
〔染色浴の調製〕
分散染料として、MLP Gold Yellow−2〔三井BASF染料(株)製〕5gを、純水1000mlに添加し、85℃に加熱し、保温して黄色の染色液を得た。これとは別に、MLP Gold Yellow−2の代わりに、MLP Red−2、または、MLP Blue−2〔何れも、三井BASF染料(株)製〕を使用して上記と同様な方法により、赤色の染色液と青色の染色液をそれぞれ調製した。
【0059】
実施例1(赤色に染色されたレンズの製造)
製造例1で製造したビスフェノールMポリカーボネート100重量部、トリス(2,4−ジ−tert―ブチルフェニル)ホスファイト0.2重量部を、ヘンシェルミキサーにて混合した後、単軸押出機(65mm)にて溶融混練し、該ポリカーボネートのペレットを得た。得られたペレットを30t直圧式成形機にて、成形温度260℃、金型温度50℃で射出成形して、無色透明、中心厚1.5mmのプラスレンズ(凸レンズ)形状の成形体を得た。この成形体を用いて、上記方法により、430nm、510nmおよび595nmにおける分光透過率を測定したところ、いずれも90%であった。
【0060】
この成形体を前記の方法で調製した赤色の染色液に、80℃で、10分間浸漬して、赤色に染色された成形体を得た。該成形体を用いて、上記方法により厚さ1.5mmでの510nmにおける分光透過率を測定したところ48%であり、分光透過率比は0.533であった。染色性は、目視判定では非常に良く、色ムラもなく、良好に染色された成形体であった。また、該レンズ形状の成形体は、耐衝撃性、耐熱性等の面において、実用上満足できるものであった。
【0061】
実施例2(青色に染色された成形体の製造)
実施例1において、赤色の染色浴の代わりに、青色の染色浴を使用する以外は、実施例1と同様な方法により、青色に染色されたレンズ形状の成形体を得た。該成形体を用いて、上記方法により厚さ1.5mmでの595nmにおける分光透過率を測定したところ50%であり、分光透過率比は0.556であった。また、染色性は非常に良く色ムラもなく、良好に染色された成形体であった。また、該レンズ形状の成形体は、耐衝撃性、耐熱性等の面において、実用上満足できるものであった。
【0062】
実施例3(黄色に染色された成形体の製造)
実施例1において、赤色の染色浴の代わりに、黄色の染色浴を使用する以外は、実施例1と同様な方法により、黄色に染色されたレンズ形状の成形体を得た。該成形体を用いて、上記方法により厚さ1.5mmでの430nmにおける分光透過率を測定したところ50%であり、分光透過率比は0.556であった。また、染色性は非常に良く色ムラもなく、良好に染色された成形体であった。また、該レンズ形状の成形体は、耐衝撃性、耐熱性等の面において、実用上満足できるものであった。
【0063】
実施例4(赤色に染色されたレンズの製造)
製造例2で製造したポリカーボネート共重合体100重量部、トリス(2,4−ジ−tert―ブチルフェニル)ホスファイト0.1重量部を、ヘンシェルミキサーにて混合した後、単軸押出機(65mm)にて溶融混練し、該ポリカーボネートのペレットを得た。得られたペレットを30t直圧式成形機にて、成形温度270℃、金型温度70℃で射出成形して、無色透明、中心厚1.5mmのマイナスレンズ(凹レンズ)形状の成形体を得た。この成形体を用いて、上記方法により、430nm、510nmおよび595nmにおける分光透過率を測定したところ、いずれも90%であった。
【0064】
この成形体を前記の方法で調製した赤色の染色液に、75℃で、15分間浸漬して、赤色に染色された成形体を得た。
該成形体を用いて、上記方法により、厚さ1.5mmでの510nmにおける分光透過率を測定したところ45%であり、分光透過率比は0.556であった。染色性は、目視判定では非常に良く色ムラもなく、良好に染色された成形体であった。
実施例5(青色に染色された成形体の製造)
実施例4において、赤色の染色浴の代わりに、青色の染色浴を使用する以外は、実施例4と同様な方法により、青色に染色されたレンズ形状の成形体を得た。該成形体を用いて、上記方法により、厚さ1.5mmでの595nmにおける分光透過率を測定したところ46%であり、分光透過率比は0.511であった。染色性は、目視判定では非常に良く色ムラもなく、良好に染色された成形体であった。また、該レンズ形状の成形体は、耐衝撃性、耐熱性等の面において、実用上満足できるものであった。
【0065】
実施例6(黄色に染色された成形体の製造)
実施例4において、赤色の染色浴の代わりに、黄色の染色浴を使用する以外は、実施例4と同様な方法により、黄色に染色されたレンズ形状の成形体を得た。該成形体を用いて、上記方法により、厚さ1.5mmでの430nmにおける分光透過率を測定したところ45%であり、分光透過率比は0.5であった。染色性は、目視判定では非常に良く色ムラもなく、良好に染色された成形体であった。また、該レンズ形状の成形体は、耐衝撃性、耐熱性等の面において、実用上満足できるものであった。
【0066】
比較例1
製造例1で製造したBPMのポリカーボネートの代わりに、比較製造例1で製造したビスフェノールAのポリカーボネートを使用する以外は、実施例1〜実施例3と同様な方法によって、レンズ形状の成形体を製造し、染色を行ったところ、成形体の、430nm、510nmおよび595nmでの透過率はいずれも90%であり、分光透過率比は1.0であった。
目視による観察では、該成形体は、赤色、青色、黄色のいずれの色においても、ほとんど染色されていなかった。
【0067】
比較例2
製造例1で製造したビスフェノールMのポリカーボネートの代わりに、比較製造例2で製造したビスフェノールPのポリカーボネートを使用する以外は、実施例1〜実施例3と同様な方法によって、レンズ形状の成形体を製造し、染色を行ったところ、成形体の、430nm、510nmおよび595nmでの透過率はいずれも89%であり、分光透過率比は0.989であった。
【0068】
比較例3
製造例1において製造したビスフェノールMポリカーボネートを用いて、実施例1に記載の方法によりレンズ形状の成形体を製造した。該成形体を使用して、特開平8―104759号公報の実施例2に記載の方法に従って染色を行ったところ、目視上、色ムラなく良好に染色されたものの、染色用の混合物中に含まれる溶剤配合物(有機溶媒)によって成形体が白濁してしまい、透明性を失った。
【0069】
【発明の効果】
汎用の光学用樹脂であるビスフェノールAのポリカーボネート、あるいは、ビスフェノールPのポリカーボネートは、通常のレンズの染色法では実質的に染色されることはない。これに対して、本発明において使用したビスフェノールMを構成単位として含有するポリカーボネートが非常に良好な染色性を示すことは、驚くべきことである。本発明によって、初めて、ポリカーボネートからなる染色されたレンズを提供することが可能となった。

Claims (5)

  1. 下記式(1−a)(化1)で表される繰り返し構造単位を50モル%以上含有してなるポリカーボネート成形体を、水性媒体中有機溶剤の非存在下、あるいは水と水溶性アルコール系溶媒の混合物中、分散染料により、染色後の分光透過率が、430nm、510nmおよび595nmの少なくとも1つの波長において、染色前の分光透過率の10〜90%となるまで染色して得られる染色された成形体。
    Figure 0004451949
  2. ポリカーボネート成形体が、前記式(1−a)で表される繰り返し構造単位の80〜100モル%と、下記式(2−a)で表される繰り返し構造単位の0〜20モル%を含む請求項1に記載の染色された成形体。
    Figure 0004451949
  3. 成形体が、重量平均分子量10000〜300000のポリカーボネートからなるものである請求項1又は2に記載の染色された成形体。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の染色された成形体からなる光学用レンズ。
  5. 染色された成形体の厚さが1.5±0.5mmである部分の、430nm、510nmおよび595nmの少なくとも1つの波長において、5〜85%の分光透過率を示すことを特徴とする請求項に記載された光学用レンズ。
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