JP4451669B2 - 光学素子、光偏向素子、光偏向装置、画像表示装置及び抵抗体形成方法 - Google Patents

光学素子、光偏向素子、光偏向装置、画像表示装置及び抵抗体形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学素子、及び該光学素子からなり入射した光を偏向する光偏向素子、及び該光偏向素子を用いた光偏向装置、及び該光偏向装置を用いた画像表示装置、及び前記光学素子の抵抗体形成方法に関する。
現在、光偏向素子等に応用される液晶材料を用いた光学素子が各種提案されており、例えば、透明なライン形状をした複数の電極を、それより高いシート抵抗の接続用ストライプ電極あるいは抵抗体で電極間を接続し、これに電圧を印加し電位勾配を発生させて、電界をかける方式の光学素子(光偏向素子等)が種々提案されている(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3等参照)。上記の光学素子の例では、電極を接続する高いシート抵抗の接続用ストライプ電極や抵抗体は基板上に形成されるか、電極間を別々の抵抗にて接続している。また、特許文献4には、第一の基板に上記ストライプ電極構造、第二の基板に共通電極を有するものが提案されている。
ここで、一例として特許文献2に記載の光偏向素子は、透明な一対の基板と、この一対の基板間に充填されたホメオトロピック配向をなすキラルスメクチックC相よりなる液晶と、この液晶に電界を作用させる少なくとも1組以上の電界印加手段とを備える構成としたものであり、キラルスメクチックC相よりなる液晶を利用しているので、従来の光偏向素子に比して、構成が複雑であることに伴う高コスト、装置大型化、光量損失、光学ノイズを改善でき、かつ、従来のスメクチックA液晶やネマチック液晶などにおける応答性の鈍さも改善でき、高速応答が可能となるようにしたものである。
また、特許文献3に記載の光偏向装置は、ライン形状をした複数のライン電極群が2つの透明基板上に形成され、各透明基板上でのライン電極の位置が交互に配置されている。一端のライン電極から他端のライン電極に向けて、印加電圧が段階的に増加あるいは減少していくように、両透明基板間で交互に段階的に異なる値に設定する電圧印加手段が構成されている。このような構成により、逆電界の発生を防止し、ライン電極近傍でも反対側透明基板のライン電極による電位差の発生により、ライン電極付近でも光偏向効果を得られるようにしている。
特開平10−221703号公報 特開2002−328402号公報 特開2003−98502号公報 特開2000−214429号公報 特許第2893260号公報(特開平4−38803号公報)
液晶層と、該液晶層を保持する基板と、該基板上に設けられた複数の電極と、該複数の電極を電気的に接続する抵抗体を有し、該抵抗体に通電することにより前記複数の電極の各々に所望の電位を与え、前記液晶層の液晶分子方向を制御する光学素子として、前述の特許文献1〜4に記載の光学素子(光偏向素子等)がある。ここで、特許文献2、特許文献3に記載の光学素子では、基板外部に分圧を行うための抵抗を配置しているが、電極間距離が狭くなったり、数が多くなることで配線が難しくなる場合が発生する。さらに、液晶に対してより均一な電界をかけようとすると、電極をより密にすることが必要となり、そのために抵抗数の増大によるコストの増大、抵抗用スペースの増大、配線の困難等の問題が発生する。また、特許文献1、特許文献4に記載の光学素子では、所望の電位を与えるための傾斜電位電極として、透明導電膜や金属材料を使用している。これらは抵抗値が低いために、発熱による影響を考えると、印加される電位が低い場合にしか使用できず、さらに形成方法は、スパッタリングや蒸着等の真空中(あるいは希ガス雰囲気中)での成膜工程を必要とするため、コストが高くなる。
本発明者らは先に、光偏向素子(装置)において、液晶層の面方向に平行な方向に作用する電界を広範囲に亘って発生させ、光損失を低減するとともに、装置の小型化や製造コストの低減を図ることを目的として、平行に配列された複数のライン電極が少なくとも一方に設けられた一対の基板と、前記各ライン電極の一端側が電気的に接続された抵抗体と、前期一対の基板間に設けられた液晶層と、前記抵抗体に対して前記ライン電極の配列方向に電圧を印加する電圧印加手段とを具備する光偏向装置を提案している(先願1:特願2003−77112号)。
この光偏向装置では、複数のライン電極を抵抗体で接続したものを配置し、抵抗体を他の電極に比べ高い抵抗を有した物質とすることにより透明基板外への配線数を減らし、透明基板の大型化に対処するとともに、これに直線的に電位が変化するように電圧を印加して、2つの透明基板間にある液晶層へ透明基板に平行な方向に均一な電界をかけ、光偏向装置の偏向角の駆動を実現している。具体的な抵抗体としては、スパッタリングや蒸着等の工程を必要とするCrSiO,SiC,SnOにSbやPをドープした物等を用いており、抵抗値は規定範囲内に収まる物質を用いている。
また、本発明者らは先に、複数の電極を接続する抵抗体を、絶縁基板上に直接形成せず、抵抗体のみを抵抗基板として別の支持体に形成することで、製造コストを下げるとともに、抵抗体成膜時の電極や抵抗体の変質等をなくすことができる構成の光学素子を実現することを目的として、絶縁基板上に複数の電極を形成し、その電極間を抵抗体により接続し、該抵抗体に電圧を印加することにより電極間に電位差を生じさせることで電界を発生させ、それにより液晶分子層を配向させる光学素子において、液晶分子層を含む光学的要素を備えた構造体を挟む二つの透明な絶縁基板の少なくとも一方に複数の電極を形成し、前記絶縁基板とは異なる支持体に形成された抵抗体により、複数の電極を電気的に接続し、前記抵抗体に電圧を印加して電位勾配を発生させ、電極間に電界を発生することで、前記液晶分子層を配向させる構成の光学素子を提案している(先願2:特願2003−323085号)。
この光学素子では、複数の電極を接続する抵抗体を、絶縁基板上に直接形成せず、抵抗体のみを抵抗基板として別の支持体に形成することで、製造コストを下げるとともに、抵抗体成膜時の電極や抵抗体の変質等をなくし、その抵抗基板の抵抗体で電極間を電気的に接続し、抵抗体に電圧を印加することにより、電極間に電位差を生じさせることにより、2つの絶縁基板間にある液晶層へ電界をかけ、光学素子の液晶の駆動を実現する。
本発明者らは、上記の先願1に記載されている抵抗体により前述の従来技術の問題を解決しているが、具体的に記載されている抵抗体の形成方法は、スパッタリングや蒸着等の成膜工程を必要とするため、コストが高くなる。これの解決方法として上記の先願2では、複数の電極を接続する抵抗体を、絶縁基板上に直接形成せず、抵抗体のみを抵抗基板として別の支持体に形成しているが、抵抗体の形成方法がスパッタリングや蒸着等の成膜工程を必要とするために、大量且つ安価に形成できるものではなかった。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、液晶層を保持する基板上に設けられた複数の電極に、液晶を制御するために必要な所望の電位を与えることができる抵抗体を、安価に大量に製造することができる構成の光学素子を提供することを目的とする。また、本発明は、その光学素子からなり安価に製造することができる光偏向素子を提供することを目的とし、さらには、その光偏向素子を用いて製造コストの低減、装置の簡素化、小型化を図ることができる光偏向装置を提供することを目的とする。さらに本発明は、その光偏向装置を用いて表示画像の高精細化と製造コストの低減を図ることができる画像表示装置を提供することを目的とする。さらに本発明は、前記光学素子の複数の電極に所望の電位を与えるための抵抗体を安価に製造することができる抵抗体形成方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための解決手段として、本発明では以下のような構成を特徴としている。
[1]:液晶層と、該液晶層を保持する基板と、該基板上に設けられた複数の電極と、該複数の電極を電気的に接続する抵抗体を有し、該抵抗体を通電することにより前記複数の電極の各々に所望の電位を与え、前記液晶層の液晶分子方向を制御する光学素子において、前記抵抗体は、少なくとも所望の抵抗値を発現するための材料を前記基板に塗布することにより形成された塗布型抵抗体であることを特徴とする。
ここで抵抗体を塗布することに関しては、基板に塗布した抵抗体を非常に高い温度(700〜900℃)下の窒素雰囲気炉で焼結して厚膜高温焼成抵抗体を焼成する方法がある。しかし、この方法では、抵抗体を光学素子作成の最初の工程で形成する場合でも基板として用いるガラスが高温に耐えることができず、また、抵抗体を光学素子作成の後の工程で作製する場合では、液晶や透明電極等の構成材料が高温に耐えることができず、光学素子を作成することができなかった。さらに厚膜高温焼成で形成できる抵抗体は表面抵抗が10Ω/□〜10Ω/□の抵抗範囲である。一方、ポリマー抵抗体(抵抗ペースト)を使用して265℃以下の温度で塗布する方法が特許文献5に記載されているが、この方法では抵抗体の表面抵抗が最高で10Ω/□程度であり、例えば光学素子の液晶に垂直配向強誘電性液晶を用いた場合、液晶の配向を十分に傾かせるためには、150V/mm程度の電界を発生させなければならない。このため基板上に電界を発生させ液晶を制御する場合には、抵抗体の消費電力による発熱があり、抵抗体が安定的に機能し、抵抗破壊等がなく、光学素子の液晶層への熱による悪影響がないようにするためには、抵抗体の体積抵抗を高くする必要がある。この体積抵抗を高くするためには、抵抗体の幅を小さくする必要がある。しかし、抵抗体の幅を小さくすることで抵抗体自身の放熱効果が少なくなるとともに、消費電力当たりの発熱温度が高くなることから、安定的に機能し、悪影響を及ぼさないような抵抗体の形成は困難である。さらに幅を小さくすることで、塗布による均一な形成の難易度が高くなる。
なお、光学素子に用いる抵抗体は、抵抗が高すぎても問題がある。すなわち、高抵抗になりすぎるとリーク電流が増大し、電流が抵抗膜に正常に流れなくなり、それにより抵抗による分圧を正常に行うことができなくなるとともに、消費電力が大きくなることで発熱量が増大し、抵抗膜へ悪影響を及ぼす。従って、抵抗体の抵抗値を所望の範囲に設定できることが重要となる。
そこで本発明においては、かかる課題を解決するため、光学素子の複数の電極を接続する抵抗体を、少なくとも所望の抵抗値を発現するための材料を前記基板に塗布することにより、焼結という工程を必要とせずに基板上に形成し、この広範囲の抵抗値を実現する塗布型抵抗体で光学素子の抵抗体を形成することで、製造コストを大幅に下げるとともに、基板外部の抵抗用スペースを不用とし、電極が高密度になる場合の配線問題も抵抗による分圧により外部との接続数が減ることにより解決するものである。また、以下においては、その解決手段となる抵抗体の具体的な構成とその形成方法を提供するとともに、抵抗体の特性を変動させる要因を防ぐ手段を施すことにより、抵抗体の特性変動要因を減らし、電圧の分圧を安定的に行うことで、良好な動作を行う光学素子を実現するものである。
[2]:[1]に記載の光学素子において、前記塗布型抵抗体は、前記基板上の前記液晶層を通過する光の光路外に配置されていることを特徴とする。この構成は抵抗体による通過光への影響を防止するものである。
[3]:[1]または[2]に記載の光学素子において、前記塗布型抵抗体は、前記基板上の前記液晶層より外側に配置されていることを特徴とする。この構成は抵抗体の発熱による液晶特性への影響を防止するものである。
[4]:[1]〜[3]の何れか一つに記載の光学素子において、前記塗布型抵抗体の材料は、導電性有機材料を含むことを特徴とする。
[5]:[4]に記載の光学素子において、前記導電性有機材料は、導電性高分子であることを特徴とする。
これらの構成は抵抗体の抵抗値を所望の値にする手段を提供するものである。
[6]:[1]〜[3]の何れか一つに記載の光学素子において、前記塗布型抵抗体の材料は、複数の異なる導電性微粒子を含有することを特徴とする。
ここで[1]の光学素子の構成では、複数の電極の各々に所望の電位与えるための抵抗体を塗布による塗布型抵抗体にて形成するという、光学素子の構成要素の耐えることができない高温を用いることなく、製造が容易で安価な方法で実現したが、多くの条件で所望の抵抗を得るためには、より広い範囲で抵抗を制御して抵抗体を形成する必要がある。そこで[6]の光学素子の構成では、抵抗体は、広い範囲で所望の抵抗値を発現するため複数の異なる導電性微粒子を含有する塗布型抵抗体とすることで、その配合を制御することにより、1種類の導電性微粒子を用いて抵抗体を形成する場合に比べ、制御できる抵抗範囲を拡大することができる。抵抗体の塗布形成方法としては、後述するスピンコート、凸版印刷、凹版印刷、孔版印刷、ディッピング、ノズルによる噴射等による方法がある。
[7]:[1]〜[3]の何れか一つに記載の光学素子において、前記塗布型抵抗体の材料は、少なくとも絶縁性を示す材料と導電性を示す材料から構成されることを特徴とする。この構成は材料の抵抗率を調整可能な機能を提供するものである。
[8]:[7]に記載の光学素子において、前記絶縁性を示す材料に熱可塑性樹脂を使用したことを特徴とする。この構成は簡便な方法で硬化し、リペアできる抵抗体を得るものである。
[9]:[7]に記載の光学素子において、前記絶縁性を示す材料に熱硬化性樹脂を使用したことを特徴とする。この構成は製造効率を高めることができ、強固な抵抗体を得るものである。
[10]:[7]に記載の光学素子において、前記絶縁性を示す材料に光硬化性樹脂を使用したことを特徴とする。この構成はより高い製造効率と、強固な抵抗体を得るものである。
[11]:[7]に記載の光学素子において、絶縁性を示す材料に湿気硬化型樹脂を使用したことを特徴とする。この構成は光学素子の複数の電極に所望の電位を与えるための抵抗体を安価に製造するものである。
[12]:[7]〜[11]の何れか一つに記載の光学素子において、前記導電性を示す材料として導電性酸化物を用いたことを特徴とする。この構成は抵抗体の抵抗値を安定に実現する材料を提供するものである。
[13]:[7]〜[11]の何れか一つに記載の光学素子において、前記導電性を示す材料として導電性酸化物微粒子を用いたことを特徴とする。この構成は抵抗値を安定に実現する材料を提供するものである。
[14]:[12]または[13]に記載の光学素子において、前記導電性酸化物または前記導電性酸化物微粒子としてATO(アンチモン含有酸化スズ)を使用したことを特徴とする。この構成は高抵抗の抵抗体を得るものである。
[15]:[7]〜[11]の何れか一つに記載の光学素子において、前記導電性を示す材料としてカーボン微粒子を用いたことを特徴とする。この構成は抵抗体の抵抗値を安定に実現する材料を提供するものである。
[16]:[7]〜[11]の何れか一つに記載の光学素子において、前記導電性を示す材料として金属微粒子を用いたことを特徴とする。この構成は抵抗体の抵抗値を安定に実現する材料を提供するものである。
[17]:[1]〜[16]の何れか一つに記載の光学素子において、前記塗布型抵抗体の周囲の湿度変動に伴う前記塗布型抵抗体の抵抗値の変動を抑制するための防湿手段を設けることを特徴とする(請求項)。
[18]:[17]に記載の光学素子において、前記防湿手段はオーバーコート層であることを特徴とする。
これらの構成は抵抗体の特性が湿度(水分)により変動するのを防止するものである。
[19]:[1]〜[18]の何れか一つに記載の光学素子において、前記塗布型抵抗体に対して少なくとも所望の波長域の光が照射されるのを防止する遮光手段を備えることを特徴とする(請求項)。
[20]:[19]に記載の光学素子において、前記遮光手段が、オーバーコート層であることを特徴とする(請求項)。
これらの構成は抵抗体への光による影響(抵抗値の変動)を防ぎ、安定した特性を得るものである。
[21]:[1]〜[20]の何れか一つに記載の光学素子からなる光偏向素子であって、少なくとも液晶層と、該液晶層を挟持する透明な一対の基板と、該基板上に平行に配置された複数の電極と、該複数の電極を電気的に接続する塗布型抵抗体を備え、前記塗布型抵抗体に通電することにより、前記複数の電極に電位勾配を発生させることで電界を発生させ、その電界方向により、前記液晶層の液晶分子の配向方向を切換え、入射光に対する出射光の光路を切換えることを特徴とする(請求項)。この構成は複数の電極に所望の電位を与えるための抵抗体を安価に大量に製造することができる光偏向素子を提供するものである
[22]:[1]〜[20]の何れか一つに記載の光学素子からなる光偏向素子であって、少なくともホメオトロピック配向をなすキラルスメクチックC相を形成可能な液晶層と、該液晶層を挟持する透明な一対の基板と、該基板上に平行に配置された複数の電極と、該複数の電極を電気的に接続する塗布型抵抗体とを備え、前記塗布型抵抗体に通電することにより、前記複数の電極に電位勾配を発生させることで電界を発生させ、その電界方向によって、前記液晶層の液晶分子の配向方向を切換え、入射光に対する出射光の光路を切換えることを特徴とする(請求項)。この構成は光偏向素子を構成する光学素子の基板により保持される液晶の具体的な材料を提供するものである。
[23]:光偏向装置において、少なくとも、[21]または[22]に記載の光偏向素子と、該光偏向素子の前記抵抗体に対して電極の配列方向に電圧を印加する電圧印加手段を備えたことを特徴とする(請求項)。この構成は製造コストの低減、装置の簡素化、小型化を図ることができる光偏向装置を提供するものである。
[24]:[23]に記載の光偏向装置において、前記電圧印加手段として、基板上の複数の電極と電気的に接続されてなる抵抗体に同一の電源を接続することを特徴とする(請求項)。この構成は装置の低コスト化、コンパクト化をより図ることができる光偏向装置を提供するものである。
[25]:少なくとも、画像情報に従って光を二次元的に制御可能な画像表示手段と、該画像表示手段の画像情報を観察または投射するための光学部材と、画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールド毎に画像表示手段と光学部材の間の光路を偏向する光偏向装置とを備えた画像表示装置において、前記光偏向装置として[23]または[24]に記載の光偏向装置を備えたことを特徴とする(請求項)。この構成は表示画像の高精細化と製造コストの低減を図ることができる画像表示装置を提供するものである。
次に本発明に係る光学素子の複数の電極に所望の電位を与えるための抵抗体を安価に製造することができる抵抗体形成方法を以下に示す。
[26]:[1]〜[20]の何れか一つに記載の光学素子の前記抵抗体の形成方法において、前記抵抗体を、所望の抵抗値を発現する材料を基板に塗布することにより形成することを特徴とする(請求項)。
[27]:[26]に記載の抵抗体形成方法において、抵抗体材料を、溶媒に希釈した状態で基板に塗布することによって抵抗体を形成することを特徴とする。
[28]:[26]に記載の抵抗体形成方法において、前記抵抗体は、マスキングの後、ディッピング法またはスピンコート法によって形状を制御し、塗布することを特徴とする。
[29]:[26]に記載の抵抗体形成方法において、前記抵抗体は、印刷法によって形状を制御し、塗布することを特徴とする。
ここで印刷法としては、平版を用いるオフセット印刷、凹版を用いるグラビア印刷、凹版を用いるグラビアオフセット印刷、凹版を用いるパッド印刷、孔版を用いるスクリーン印刷、凸版を用いる凸版印刷、凸版を用いるフレキソ印刷、凸版を用いるドライオフセット印刷などを用いることができる。
[30]:[26]に記載の抵抗体形成方法において、前記抵抗体は、ローラーによって形状を制御し、塗布することを特徴とする。
[31]:[26]に記載の抵抗体形成方法において、前記抵抗体は、マスキングの後、ローラーによって形状を制御し、塗布することを特徴とする。
[32]:[26]に記載の抵抗体形成方法において、前記抵抗体は、ノズルによる液状抵抗材の噴射により形状を制御し、塗布することを特徴とする。
[33]:[26]に記載の抵抗体形成方法において、前記抵抗体は、マスキングの後にノズルによる液状抵抗材の噴射により塗布することを特徴とする。
[34]:[26]に記載の抵抗体形成方法において、前記抵抗体は、インクジェツト方式による液状抵抗材の噴射により形状を制御し、塗布することを特徴とする(請求項10)。
[35]:[26]〜[34]の何れか一つに記載の抵抗体形成方法において、基板上に塗布した抵抗体に熱を加えることにより、硬化させることを特徴とする。
[36]:[26]〜[34]の何れか一つに記載の抵抗体形成方法において、基板上に塗布した抵抗体に光を照射することにより、硬化させることを特徴とする。
[37]:[26]〜[34]の何れか一つに記載の抵抗体形成方法において、基板上に塗布した抵抗体に熱を加える工程と光を照射する工程の複数の工程を用いることにより、硬化させることを特徴とする。
[38]:[26]に記載の抵抗体形成方法において、前記抵抗体の形成は、不活性ガスを充填した環境で行うことを特徴とする。
[39]:[26]に記載の抵抗体形成方法において、前記抵抗体の形成は、該抵抗体の構造劣化を誘起する光を遮光した環境で行うことを特徴とする。
[40]:[38]または[39]に記載の抵抗体形成方法において、前記環境を抵抗体に防湿手段または遮光手段が施されるまで維持することを特徴とする。
[41]:[26]に記載の抵抗体形成方法において、光学素子の製造工程内に抵抗体の構造劣化を生じせしめる光を照射する工程を有する場合は、前記抵抗体の形成は、該光を照射する工程以降に行われることを特徴とする。
[42]:[26]に記載の抵抗体形成方法において、光学素子の製造工程内に抵抗体の構造劣化を生じせしめる加熱工程を有する場合は、前記抵抗体の形成は、該加熱工程以降に行われることを特徴とする。
[43]:[26]に記載の抵抗体形成方法において、前記抵抗体の含有水分量の調節により所望の抵抗値にした後、防湿手段を施すことを特徴とする(請求項11)。

前述の解決手段の[1]に記載の光学素子では、少なくとも所望の抵抗値を発現するための材料を前記基板に塗布することにより形成された塗布型抵抗体を用いて広範囲の抵抗値を形成することで、広範囲の液晶を制御できるとともに、光学素子に影響を与えることなく抵抗体を形成することができる。また、外部に形成した抵抗アレイ等と電気的な接続をとったり、電極を形成した基板上に真空蒸着やスパッタリングで成膜する等の抵抗体形成方法に対して、塗布することで安価に抵抗体を得ることができるので、製造コストが大幅に低減され、しかも真空蒸着やスパッタリングのような真空中(または希ガス中)での成膜プロセスを必要としないことから、大量に製造することが可能となる。
[2]に記載の光学素子では、[1]の効果に加え、抵抗体が液晶層を通過する光の光路外に配置されることにより、液晶層を通過する光への影響がなくなる。また、光の通過を前提としないことから、抵抗体として使用可能な材料(不透明等)の種類が広がる。
[3]に記載の光学素子では、[1]または[2]の効果に加え、通電により発生する抵抗体の発熱から、液晶層より外に抵抗体を配置することにより、液晶特性への影響を減少させることができる。
[4]に記載の光学素子では、[1]〜[3]の何れかの効果に加え、抵抗体の材料に導電性有機材料を含むことにより、分子設計、合成方法、ドーピング効果等により、導電率を調整することができ、所望の抵抗値に調整することができる。
[5]に記載の光学素子では、[4]の効果に加え、導電性高分子はドーピング効果により導電率を広範囲に調整可能なことから、抵抗体を所望の抵抗値に調整することができる。
[6]に記載の光学素子では、[1]〜[3]の何れかの効果に加え、複数の導電性微粒子を組み合わせ、その配合を制御することにより抵抗体を形成することで、1種類の導電性微粒子を用いて抵抗体を形成する場合に比べ、得ることができる所望の抵抗値範囲を拡大することができる。
[7]に記載の光学素子では、[1]〜[3]の何れかの効果に加え、導電性材料と絶縁性材料の混合比を調整することで、容易に抵抗値を調整することができる。
[8]に記載の光学素子では、[7]の効果に加え、有機溶剤に溶ける、蒸発乾燥という簡易な方法で硬化する、形成不良の場合に再度塗布しなおすことができる等の効果を得ることができる。
[9]に記載の光学素子では、[7]の効果に加え、架橋反応により丈夫な皮膜を形成することができる。また、一度硬化したあとは加熱しても再び軟化せず、加熱により硬化するため、硬化速度を速くすることができ、製造効率が高くなる。
[10]に記載の光学素子では、[7]の効果に加え、全量が硬化する、非吸収性の基板面でも短時間で硬化が行われ、製造作業効率の大幅な向上が図れる等の効果を得ることができる。
[11]に記載の光学素子では、[7]の効果に加え、簡易な方法で硬化する、製造作業効率の大幅な向上が図れる等の効果を得ることができる。
[12]に記載の光学素子では、[7]〜[11]の何れかの効果に加え、導電性酸化物を使用することで、通常、製品を使用する条件下で導電性自体の安定性を安価に実現することができる。
[13]に記載の光学素子では、[7]〜[11]の何れかの効果に加え、導電性酸化物微粒子を用いることで、金属微粒子等を用いるより、より安定な特性を得ることができる。
[14]に記載の光学素子では、[12]または[13]の効果に加え、導電性酸化物の中で、抵抗の高いATOを用いることにより、高抵抗の抵抗体を実現することができる。
[15]に記載の光学素子では、[7]〜[11]の何れかの効果に加え、導電性を示す材料としてカーボン微粒子を用いることにより、非常に安価な抵抗体になる。
[16]に記載の光学素子では、[7]〜[11]の何れかの効果に加え、導電性を示す材料として金属微粒子を用いることにより、安定な特性を得ることができる。
[17]に記載の光学素子では、[1]〜[16]の何れかの効果に加え、防湿手段を設けることにより、抵抗体への湿度(水分)の影響を減少させることができる。
[18]に記載の光学素子では、[17]の効果に加え、前記防湿手段をオーバーコート層とすることで、抵抗体が湿度等の外部環境からの影響を受け難くなる。
[19]に記載の光学素子では、[1]〜[18]の何れかの効果に加え、前記塗布型抵抗体に対して少なくとも所望の波長域の光が照射されるのを防止する遮光手段を備えることにより、光の影響がなくなり、抵抗値の変動がなくなることから、安定した特性が得られる。さらに光の影響を受ける抵抗体の使用も可能になる。
[20]に記載の光学素子では、[19]の効果に加え、オーバーコート層において、遮光性能を備える材料を用いることにより、抵抗体の外部からのある種の波長の光の影響を防ぐことができる。
[21]に記載の光偏向素子では、[1]〜[20]の何れか一つに記載の光学素子からなり、複数の電極を電気的に接続する抵抗体を塗布型抵抗体で形成するので、外部に形成した抵抗アレイ等と電気的な接続をとったり、電極を形成した基板上に真空中の成膜プロセス(蒸着、スパッタリング等)で成膜する等の抵抗体形成方法に比べて、塗布することで安価に抵抗体を得ることができるので、製造コストが大幅に低減され、また、真空中での成膜プロセス(蒸着、スパッタリング等)を必要としないことから、大量に製造することが可能となる。
[22]に記載の光偏向素子では、[21]と同様の効果に加え、ホメオトロピック配向をなすキラルスメクチックC相を形成可能な液晶層を用いることにより、高速応答を実現することができる。
[23]に記載の光偏向装置では、少なくとも、[21]または[22]に記載の光偏向素子と、該光偏向素子の前記抵抗体に対して電極の配列方向に電圧を印加する電圧印加手段を備えた構成としたので、電圧を安定して抵抗で分圧し液晶分子を光軸に対して傾斜させる光偏向素子の抵抗体を、塗布という製造コストの安い方法で形成することができるので、光偏向装置のコストを下げることができる。さらに、塗布型抵抗体(抵抗膜)にて分圧するため、配線が容易になり、外部抵抗分圧回路が不用となり、装置全体が簡素化、小型化できる。
[24]に記載の光偏向装置では、[23]の効果に加え、前記電圧印加手段として、基板上の複数の電極と電気的に接続されてなる抵抗体に同一の電源を接続することにより、抵抗体に電圧を供給する電源を共通化できるので、電源数が減り、それにより電源の減った分だけ装置のコスト下がるとともに、コンパクトになる。
[25]に記載の画像表示装置では、画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールド毎に画像表示手段と光学部材の間の光路を偏向する光偏向装置として[23]または[24]に記載の光偏向装置を備えたことにより、製造コストが安く、小型でコンパクトな光偏向装置を用いることができるので、表示画像の高精細化と、画像表示装置の製造コストの低減を図ることができる。
[26]に記載の抵抗体形成方法では、[1]〜[20]の何れか一つに記載の光学素子の前記抵抗体を、所望の抵抗値を発現する材料を基板に塗布することにより形成するので、外部に形成した抵抗アレイ等と電気的な接続をとったり、電極を形成した基板上に真空プロセスで成膜する等の抵抗体形成方法に比べて、塗布することで安価に抵抗体を得ることができ、製造コストが大幅に低減され、真空中での成膜プロセス(蒸着、スパッタリング等)を必要としないことから、大量に製造することが可能となる。
[27]に記載の抵抗体形成方法では、[26]の効果に加え、抵抗体材料を、溶媒に希釈した状態で基板に塗布することによって抵抗体を形成するので、抵抗体材料を各種塗布法に合わせた粘度に調整することが可能になる。
[28]に記載の抵抗体形成方法では、[26]の効果に加え、前記抵抗体は、マスキングの後、ディッピング法またはスピンコート法によって形状を制御し、塗布することにより、大量生産でき、且つ大量生産方式のため、製品コスト及びマスク代が廉価であり、且つマスクにより縦横方向の形状が所望のサイズで形成できる。また、スピンコート法では均一な厚さに形成することができる。
[29]に記載の抵抗体形成方法では、[26]の効果に加え、前記抵抗体は、印刷法によって形状を制御し、塗布することにより、大量生産でき、且つ大量生産方式のため、製品コストが廉価である。
ここで、印刷法としては、オフセット印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、パッド印刷、スクリーン印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷などを用いることができるが、このうち、オフセット印刷は、製版が比較的簡単なうえ、版の複製も簡単に高精度に作ることができるので、大量印刷が可能であり、また、印刷機にかかる対象の大きさに合わせて面付けして、一度に複数版を印刷することができる。また、スピンコートに比べ塗布液を無駄にしない。
グラビア印刷は、版の耐久性に優れ、乾きが速い抵抗体向きであり、輪転印刷が可能であり、印刷スピードも早く、大量印刷に向く。ただし、製版コストが高い。また、グラビアオフセット印刷は、再現性に優れる。
パッド印刷は、版の経時変化がなく、基板等の形状に関係なく、微細な形状が形成できる。また、塗布厚が薄いために、抵抗体材料の乾燥が速く、塗布工程が短時間で終了し、作業効率が上がる。
スクリーン印刷は、スピンコートに比べ塗布液を無駄にせず、1回の塗工で厚膜・微細パターンの形成が可能である。
凸版印刷は、微細なパターンをシャープに形成することができ、塗布形成速度が速いため、大量生産が可能になる。
フレキソ印刷は、印刷対象物に多少の凹凸があっても、版が柔らかいので印刷できる。また、オフセット印刷より、膜厚の厚い塗布ができ、グラビア印刷と比較して、形状がシャープにできる。また、水性、完全脱溶剤型の液状抵抗体材料の塗布が可能である。
ドライオフセット印刷は、湿し水を使わないため版持ちがよい。
[30]に記載の抵抗体形成方法では、[26]の効果に加え、前記抵抗体は、ローラーによって形状を制御し、塗布するので、ローラーの幅による制御により一定幅の塗布が可能で、安価に製造することができる。
[31]に記載の抵抗体形成方法では、[26]の効果に加え、前記抵抗体は、マスキングの後、ローラーによって形状を制御し、塗布するので、マスキングにより縦横方向の形状が所望のサイズで形成でき、且つ安価に製造することができる。
[32]に記載の抵抗体形成方法では、[26]の効果に加え、前記抵抗体は、ノズルによる液状抵抗材の噴射により形状を制御し、塗布するので、非常に簡易な方法で塗布ができるため、設備にかかるコストが小さい。
[33]に記載の抵抗体形成方法では、[26]の効果に加え、前記抵抗体は、マスキングの後にノズルによる液状抵抗材の噴射により塗布するので、マスキングにより所望の形状に抵抗体を塗布することができ、また、非常に簡易な方法で塗布ができるため、設備にかかるコストが小さい。
[34]に記載の抵抗体形成方法では、[26]の効果に加え、前記抵抗体は、インクジェツト方式による液状抵抗材の噴射により形状を制御し、塗布するので、非接触のため、塗布面の凸凹に適応でき、高速塗布が可能であり、塗布装置の小型化、低騒音化を図ることができる。
[35]に記載の抵抗体形成方法では、[26]〜[34]の何れかの効果に加え、基板上に塗布した抵抗体に熱を加えることにより、硬化させるので、蒸発乾燥による溶剤蒸発の促進、分子、結合の活性・活発化、溶剤分が分離して樹脂が析出固化等の作用により、乾燥・硬化時間が速くなることで、製造効率を高めることができる。また、強固な抵抗体を形成することができる。
[36]に記載の抵抗体形成方法では、[26]〜[34]の何れかの効果に加え、基板上に塗布した抵抗体に光を照射することにより、硬化させるので、非吸収性の塗布面で瞬間的な硬化をすることができ、強固な抵抗体を形成することができる。また、ほとんど加熱がないので、少ないエネルギーで硬化させることができる。
[37]に記載の抵抗体形成方法では、[26]〜[34]の何れかの効果に加え、基板上に塗布した抵抗体に熱を加える工程と光を照射する工程の複数の工程を用いることにより、硬化させるので、溶剤を含む光硬化性の抵抗体材料の乾燥・硬化を促進でき、さらに強固な抵抗体を形成することができる。
[38]に記載の抵抗体形成方法では、[26]の効果に加え、前記抵抗体の形成は、不活性ガスを充填した環境で行うことにより、抵抗体への雰囲気(酸素、湿度等)の影響による特性変化を排除することができる。
[39]に記載の抵抗体形成方法では、[26]の効果に加え、前記抵抗体の形成は、該抵抗体の構造劣化を誘起する光を遮光した環境で行うことにより、安定した特性が得られ、また、光の影響を受ける抵抗体の使用も可能になる。
[40]に記載の抵抗体形成方法では、[38]または[39]の効果に加え、前記環境を抵抗体に防湿手段または遮光手段が施されるまで維持することにより、抵抗体への環境からの影響(酸素、湿度、光等)による特性変化を排除することができる。
[41]に記載の抵抗体形成方法では、[26]の効果に加え、光学素子の製造工程内に抵抗体の構造劣化を生じせしめる光を照射する工程を有する場合は、前記抵抗体の形成は、該光を照射する工程以降に行われるので、抵抗体の光による構造劣化を防止することができる。
[42]に記載の抵抗体形成方法では、[26]の効果に加え、光学素子の製造工程内に抵抗体の構造劣化を生じせしめる加熱工程を有する場合は、前記抵抗体の形成は、該加熱工程以降に行われるので、抵抗体の熱による構造劣化を防止することができる。
[43]に記載の抵抗体形成方法では、[26]の効果に加え、前記抵抗体の含有水分量の調節により所望の抵抗値にした後、防湿手段を施すので、抵抗体の含有水分量の調節と、防湿手段による含有水分量を一定に保つ方法により、所望の抵抗値を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図示の実施例に基いて詳細に説明する。
[実施例1]
まず、前述の解決手段の[1]に記載の光学素子の実施例を示す。
図1は本発明に係る光学素子の概要を示す概略斜視図、図2は光学素子の断面構造の一例を示す概略断面図である。図1に示す光学素子は、液晶層1を保持する基板2と、その基板2上に形成した複数の電極3と、この複数の電極3を電気的に接続する抵抗体4を備え、この抵抗体4に電源8を接続して通電することで、電圧が抵抗体4により分割され、各電極3に所望の電位を与えることができる。そして各電極3間の電位差により電界が発生することで、液晶層1の液晶分子方向が変わることになる。図1では、液晶層1は線1aで囲われた範囲内にある。図2は、液晶層1を2つの基板2で挟持した構造の一例である。基板2に複数の電極3が形成され、この複数の電極3を電気的に接続する抵抗体4が基板上に形成されている。さらに一対の基板2に挟まれて、液晶層1、配向膜5、スペーサ6等を含む光学的要素を備えている。
従来、光学素子の抵抗体4に通電することにより各電極3に所望の電位を与える方法としては、ディスクリートの抵抗素子や、チップ抵抗を並べて電圧を取り出すか、抵抗体をスパッタリングや真空蒸着法で形成する方法がある。抵抗素子やチップ抵抗を並べる方法では、電圧を取り出す数が増えるに従い、部品を配置するスペースが大きくなり、部品全体が大型化する。最も大きな問題は、基板2がガラス基板等の光学部品の場合であり、前述の抵抗部品や抵抗チップを配列する部分と光学部品を構成するガラス部品間で、電位を与える各電極を接続することである。この場合、部品点数が増え、部品の実装コストが高くなり、光学部品自体のコストが上昇する。また、抵抗体をスパッタリングや真空蒸着により形成する方法では、1度作成工程に入ると、減圧(スパッタリングでは、ガス導入)、形成プロセス間で時間がかかる。1度に多量の処理を行うためには、前述の減圧・形成プロセス部分が大型化するため、膨大な設備コストが必要となる。
これらの欠点を解決する手段として、本発明では抵抗体4として、少なくとも所望の抵抗値を発現するための材料を基板2に塗布することにより形成された塗布型抵抗体を用いる。すなわち、本発明では、所望の抵抗値を発現するための材料を基板2に塗布することにより抵抗体4を形成する方法を用いる。塗布による形成では、基板上に直接抵抗体4を形成するため、前述の抵抗部品や抵抗チップを配列する部分と光学部品を構成するガラス部品間で、電位を与える各電極を接続する必要がなくなり、実装コストが下がるとともに、そのための実装面積も小さくすることができる。また、真空槽を用いるスパッタリングや真空蒸着法と異なり、特殊な密閉空間も必要なく、大量生産が可能となり、安価な製造が可能になる。尚、塗布型抵抗体の構成材料や形成方法については後述の実施例で説明する。また、以下の実施例においては、抵抗体4は塗布型抵抗体である。
[実施例2]
次に前述の解決手段の[2]に記載の光学素子の実施例を示す。尚、光学素子の構成は実施例1と同様である。
図3は光学素子の液晶層1を通過する光の光路35と抵抗体4の形成位置の一例を表した概略斜視図である。図3では抵抗体4の形成位置は光の光路35外に配置されている。抵抗体4が光の光路35内に配置されている場合には、いくつかの問題点が生じる。すなわち、抵抗体4による光の透過率減少、光の回折による光学特性の劣化等である。また、光が透過することから、抵抗体4に用いる材料が、透明な材料に限定されてしまう。以上の問題を解決するために、本発明では図3に示すように抵抗体4を光の光路35外に配置することにより、透過する光の劣化を起こさせることなく、材料を光の透過率によることなく選定することが可能となる。
[実施例3]
次に前述の解決手段の[3]に記載の光学素子の実施例を示す。尚、光学素子の構成は実施例1と同様である。
図4は光学素子の液晶層1と抵抗体4の形成位置の一例を表した概略斜視図である。図4では抵抗体4の形成位置は液晶層1の範囲外に配置されている。抵抗体4は通電されることにより、電力を消費し、消費した電力が熱に変わることにより発熱する。一般的に液晶は温度が上がると複屈折性が小さくなり、反応速度が速くなる。また、一定値以上に高くなると液晶性がなくなるということが起る。従って、抵抗体4が液晶層1の範囲に配置されている場合には、この抵抗体4の発熱による熱が液晶層1に波及し、その特性が変化してしまうとともに、発熱する抵抗体4との距離により、その特性にムラが生じ、均一な特性を得ることができなくなってしまう。そこで本発明では図4に示すように、抵抗体4を液晶層1の範囲外に配置することにより、抵抗体4の発熱による液晶層1に及ぼす影響を減少またはなくすことができる。
[実施例4]
次に前述の解決手段の[4]、[5]に記載の光学素子の実施例を示す。尚、光学素子の構成は実施例1〜3の何れかと同様である。
本実施例の光学素子における抵抗体4の材料は、所望の抵抗値を有する必要があるが、導電性有機材料を抵抗体の材料に含むことにより、分子設計、合成方法、ドーピング効果等の方法を行い、導電率を調整することができる。よって所望の抵抗値に調整することができる。また、導電性有機材料の中でも、導電性高分子は、そのドーピング効果により、導電率を絶縁体から金属までの広範囲で変化させることができる。つまり、導電性高分子を抵抗体の材料に含むことにより、広範囲の所望の抵抗値をもつ抵抗体を形成することができるようになる。
本実施例の抵抗体の材料に用いる導電性有機材料としては、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯塩等の有機半導体材料や、ポリピロール等の導電性高分子材料が使用される。本発明の抵抗体の材料に用いる有機半導体材料としては、一般にTTF−TCNQ、TMTSF塩、TMTTF塩、BEDT−TTF等と表記される電荷移動錯体の他に、π電子共役系の芳香族化合物、鎖式化合物、有機顔料、有機けい素化合物等が望ましい。具体的な材料としては、ペンタセン、テトラセン、チオフェンオリゴマ誘導体、フェニレン誘導体、フタロシアニン化合物、ポリアセチレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、シアニン色素等が挙げられるが、これらの材料に限定されるわけではない。
本実施例の抵抗体の材料に用いる導電性高分子材料としては、ポリアセチレンによって代表されるように、ドーピングによって高導電性を有するに至るπ電子共役系ポリマーが使用される。例えば、ポリアセチレンに五フツ化ヒ素、ヨウ素、三酸化イオウ、塩化第二鉄等のような電子受容性化合物或いはアルカリ金属のような電子供与性化合物をドーピングすることにより、それぞれp型半導体及びn型半導体を形成させることができ、さらには10S/cmもの導体レベルの高い導電性を与えることもできる。また、ポリ−p−フエニレンやポリ−p−フエニレンサルフアイドなども五フツ化ヒ素などをドーピングすることにより、それぞれ電導度は500S/cm及び1S/cmである導電性有機重合体とすることができる。
本実施例の抵抗体の材料に用いられるπ電子共役系ポリマーの例としては、ポリアセチレン(PA)及びその誘導体;ポリイソチアナフェン及びその誘導体;ポリチオフェン(PT)及びその誘導体;ポリピロール(PPr)及びその誘導体;ポリ−2,5−チエニレンビニレン(PTV)及びその誘導体;ポリ−p−フェニレン(PPP)及びその誘導体;ポリフルオレン(PF)及びその誘導体;ポリ−フェニレンビニレン(PPV)及びその誘導体;ポリカルバゾール及びその誘導体;ポリ−1,6−ヘプタジイン;ポリイソチアナフェン及びその誘導体;ポリキノレン並びに半導体ポリアニリン類(すなわち、ロイコエメラルジン及び/またはエメラルジン塩基型)、ポリエチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルホネート(PEDT/PSS)、ポリピロールまたはドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)その他の酸でドープしたその官能基誘導体などがある。
[実施例5]
次に前述の解決手段の[6]に記載の光学素子の実施例を示す。尚、光学素子の構成は実施例1〜3の何れかと同様である。
本実施例の光学素子における抵抗体4を形成する中の導電性を示す材料としては、導電性酸化物微粉末や微粒子、導電性フィラー、金属微粒子、樹脂を導電性材料を皮膜したもの等があり、各々異なる抵抗値や特性を有している。導電性酸化物は、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化亜鉛、ITO(インジウム含有酸化スズ)、ATO(アンチモン含有酸化スズ)等が挙げられる。これら導電性酸化物は純粋な金属よりも導電性では劣るが、安定した導電性を得ることができる。導電性酸化物の中では、ATOの抵抗が高い。導電性フィラーであるカーボン微粒子のフィラーには、カーボンブラック、グラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック他がある。種類や粒径により体積抵抗値が変化する。カーボン微粒子は安価なものが多く、非常に安価な抵抗体を実現することができる。また、抵抗体を形成した表面の酸化による劣化がないという長所がある。金属微粒子には金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、窒化チタン等がある。Au、Agは化学的に非常に安定であり、導電性も高い。他は導電性が高く、Au、Agに比較すると化学的な安定性は落ちるが、より安価である。金属微粒子は導電性が高く、安定な特性を得ることができる。他に、樹脂に導電性材料を皮膜したものも使用することが可能である。また、これらの導電性を示す複数の導電性微粒子を組み合わせ、その配合を制御することによって抵抗体を形成することで、1種類の導電性微粒子を用いて抵抗体を形成する場合に比べ、得ることができる抵抗範囲を拡大することができる。
抵抗体材料として、(1):10nm以下のATO微粒子1.9g、100nm以下のカーボンブラック微粒子0.1g、プロピレングリコール2.0g、ブチルセロソルブ10.0g、水86.0g、または(2):10nm以下のATO微粒子1.9g、プロピレングリコール2.0g、ブチルセロソルブ10.0g、水86.0gとし、抵抗体を形成する。具体的には、基板を40℃に加熱し、その上に抵抗体材料をスピンコート法(150rpm×30sec)により塗布し、ドライヤーにて乾燥後、160℃にて30分間熱を印加し成膜する。このようにして形成された抵抗体の表面抵抗は、(1)の材料構成の抵抗体が2×10Ω/□、(2)の材料構成の抵抗体が4×10Ω/□となり、ATOに比べ導電率の高いカーボンブラック微粒子を組合せることにより、抵抗体の表面抵抗値が低くなる。このように抵抗の異なる導電性を示す材料を組合せることにより、抵抗体の抵抗を制御することができる。
[実施例6]
次に前述の解決手段の[7]〜[10]に記載の光学素子の実施例を示す。尚、光学素子の構成は実施例1〜3の何れかと同様である。
本実施例では、光学素子の抵抗体4を形成する際に基板上に塗布する材料として、絶縁性を示す材料と導電性を示す材料からなる材料を使用することで、抵抗値を調整することを実現する。絶縁性を示す材料としては、高分子、樹脂等を使用することができる。具体的には、溶媒中に溶解した樹脂(溶媒の蒸発・気化により析出)、溶媒中に分散した樹脂(溶媒の蒸発・気化により堆積)、モノマー、エラストマと、反応開始剤を含む溶液を使用して、反応開始剤を活性化する熱、光(紫外線)等を照射したことによる樹脂材料(熱硬化、光硬化樹脂)、複数の材料を混合攪拌することで硬化する樹脂(エポキシ樹脂)、熱による可塑性を示す熱可塑樹脂等を使用することができる。導電性を示す材料としては、カーボンや、金属系微粒子としてのAu、Ag、Ni、Cu、窒化チタン等の他、これら導電性の金属で被服を行った微粒子等、導電性を持つ材料を微細化したものを使用することができる。これら、材料の比率を調整することで、基板上に形成する抵抗体の抵抗値を容易に調整することができる。
次に絶縁性を示す材料の個々について述べる。
熱可塑性樹脂は線状構造であるため、常温では弾性をもち、変形しにくいが、加熱により軟化して加工できるようになり、冷やすと固化し、これを繰り返すことができるという特徴がある。このため、形成不良の場合に再度塗布し直すことができる。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、PET、ポリメチルメタクリレート等がある。
熱硬化性樹脂は、比較的低分子の物質であるが、加熱により、軟化して加工できるようになり、さらに加熱すると、化学反応により高分子量の3次元架橋構造になり硬化するため、剛性、耐溶剤性、耐熱性に優れる。一度硬化したあとは加熱しても再び軟化することはない。加熱により硬化するため、硬化速度を速くすることができる。熱硬化性樹脂の具体例としては、マレイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノキシエーテル樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
光硬化性樹脂は、モノマー、オリゴマー、光重合開始剤、各種添加剤(安定剤、フィラー、顔料など)から構成される合成有機材料である。照射された光エネルギーの作用で、光重合開始剤は、光を吸収して励起し、活性化した光重合開始剤は分解等を経てモノマーやオリゴマーなどの樹脂成分に反応する。反応生成物はさらに樹脂成分に反応し、連鎖的に反応が進行し、3次元的に架橋化反応が進行して分子量が増大し、一定以上の大きさの分子になると、光照射した部分が液体状態から固体状態に変化し、乾燥・硬化する。非吸収性の基板面でも、高速な乾燥・硬化が行え、製造時間が短縮できる。硬化した抵抗体は強固で、全量が硬化する。
光硬化性樹脂に使用する光重合開始剤は、光照射によりカチオン、ラジカルを発生するものであれば、特に制限はない。光カチオン重合開始剤としては、例えばジアゾニウム塩やスルホニウム塩や、ヨードニウム塩や、金属化合物、トリルクミルアイオドニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(ローヌ・プーラン社製)等がある。これらの光重合開始剤は単独で使用しても混合して使用してもよい。光ラジカル重合開始剤の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系開始剤、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリロイル化ベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系開始剤、チオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル等の開始剤が挙げられる。これらの光重合開始剤をそれぞれ単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
重合開始剤は重合性モノマーおよびオリゴマーの合計100重量部に対し1〜50重量部、特には2〜40重量部の範囲で添加することが好ましい。添加量が50重量部を越えると硬化後の塗膜物性、すなわち可撓性、接着性等が劣る場合があるからである。
光硬化性樹脂としては、ラジカル重合性樹脂またはカチオン重合性樹脂を挙げることができる。ラジカル重合性樹脂を形成する重合性モノマーとして、以下のものを使用することができる。アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル化合物、スチレン等のビニル芳香族化合物、アミド系不飽和化合物等で代表されるラジカル重合性二重結合を有する化合物を配合することができる。代表的なアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルは以下のようなものがある。メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソオクチルオキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリル酸エステル類等が使用される。重合性オリゴマーとしては、ポリエステルポリオールの(メタ)アクリル酸エステル類、ポリエーテルポリオールの(メタ)アクリル酸エステル類、ポリエポキシと(メタ)アクリル酸との付加物およびポリオールにポリイソシアネートを介してヒドロキシ(メタ)アクリレートを導入した樹脂等が例示できる。
カチオン重合性樹脂としては、エポキシ樹脂(単量体も包含する)及びカチオン重合触媒からなる組成物がある。エポキシ樹脂としては従来公知の芳香族エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。芳香族エポキシ樹脂としてとくに好ましいのは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールまたはそのアルキレンオキサイド付加体のポリグリシジルエーテルであって、例えばビスフェノールAまたはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドロジンとの反応によって製造されるグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂が挙げられる。環状脂肪族エポキシ樹脂として特に好ましいものは少なくとも1個の脂環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテルまたはシクロヘキセンまたはシクロペンテン環含有化合物を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物である。ポリグリシジルエーテルの代表例としては水素添加ビスフェノールAまたはそのアルキレンオキサイト付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるグリシジルエーテルが挙げられる。脂肪族エポキシ樹脂として特に好ましいものは脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加体のポリグリシジルエーテルであり、その代表例としては、1,4−ブタンジオールのグルシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグルシジルエーテルが挙げられる。
[実施例7]
次に前述の解決手段の[11]に記載の光学素子の実施例を示す。尚、光学素子の構成は実施例1〜3の何れかと同様である。
本実施例では、光学素子の抵抗体4を形成する際に基板上に塗布する材料として、絶縁性を示す材料と導電性を示す材料からなる材料を使用することで、抵抗値を調整することを実現する。絶縁性を示す材料としては、実施例6で述べた材料の他、湿気硬化型樹脂を使用することができる。また、導電性を示す材料としては、導電性酸化物、カーボン、金属系微粒子としてのAu、Ag、Ni、Cu、窒化チタン等の他、これら導電性の金属で被服を行った微粒子等、導電性を持つ材料を微細化したものを使用することができる。また、これらの材料の比率を調整することで、基板上に形成する抵抗体の抵抗値を容易に調整することができる。
絶縁性を示す湿気硬化型樹脂は、空気中の湿気と反応し、架橋して網目構造になることにより硬化し、耐薬品性、耐摩耗性、耐水性、耐候性、耐熱性に優れている。湿気硬化型樹脂の具体例としては、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリサルファイド系樹脂等がある。また、ウレタン樹脂等の湿気硬化型樹脂は、環境を汚染する溶剤を使用せず空気中の湿気により接着力を発揮するため、環境負荷が少ない。従来の湿気硬化型樹脂は、建築用塗料や接着剤として一般的に用いられており、本発明のような光学素子の抵抗体材料としては用いられていない。また、樹脂の中でも抵抗値が高めであり、これと導電性材料を組合せることにより、その配合割合や、導電性材料の種類により、所望の抵抗を得ることができる。塗布方法は、後述するスクリーン印刷やフレキソ印刷をはじめとして、その粘度により選択する。
[実施例8]
次に前述の解決手段の[12]〜[16]に記載の光学素子の実施例を示す。尚、光学素子の構成は実施例1〜3の何れかと同様である。
本実施例では、光学素子の抵抗体4を形成する際に基板上に塗布する材料として、絶縁性を示す材料と導電性を示す材料からなる材料を使用することで、抵抗値を調整することを実現する。絶縁性を示す材料としては、実施例6や実施例7で述べた材料を使用することができる。また、本実施例では、導電性を示す材料として導電性酸化物の微粉末を使用するものである。具体的には、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化亜鉛、ITO、ATO等が挙げられる。これら導電性酸化物は純粋な金属に比べて安定した導電性を得ることができる。液晶を駆動するための電界を基板水平方向に設定する場合、数十V/mm以上の高電圧が必要となってくる。高電圧を抵抗体に印加することにより抵抗体の消費電力により、抵抗体が発熱するという現象が発生する。発熱による抵抗体や液晶への影響を少なくするためには、消費電力を少なくする必要がある。消費電力を減らす方法としては、抵抗体の抵抗値を高くする方法がある。つまり、強誘電性液晶を用いる場合には、導電性酸化物の中で抵抗が高いATOを用いることにより、液晶の安定した制御を行うことができる。
次に導電性を示す材料である導電性フィラーについて述べる。樹脂中に分散している導電性フィラー同士が表面接触することにより、抵抗体は導電性を示す。導電性フィラーの形状は、粒子同士の接触面積の大きくなる扁平やフレーク状のものがより導電性がよい。カーボン微粒子のフィラーには、カーボンブラック、グラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック他がある。種類や粒径により体積抵抗値が変化する。カーボン微粒子は安価なものが多く、非常に安価な抵抗体を実現することができる。また、抵抗体を形成した表面の酸化による劣化がないという長所がある。
金属微粒子にはAu、Ag、Ni、Cu、窒化チタン等がある。Au、Agは化学的に非常に安定であり、導電性も高い。他は導電性が高くAu、Agに比較すると化学的な安定性は落ちるが、より安価である。金属微粒子は導電性が高く、安定な特性を得ることができる。
導電性酸化物微粒子には、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化亜鉛、ITO、ATO等がある。金属微粒子よりも導電性では劣るが、化学的により安定な特性を得ることができる。他に、樹脂を導電性材料に皮膜したものも使用することが可能である。一例として10nm以下の粒子径のATOを1.8重量部、アクリルウレタン系紫外線硬化樹脂を34.7重量部、メチルエチルケトン33.5重量部、ジアセトンアルコール30.0重量部を分散し、塗布型抵抗体材料を作成した。表面抵抗は1×10Ω/□を得た。
[実施例9]
次に前述の解決手段の[17]〜[20]に記載の光学素子の実施例を示す。尚、光学素子の構成は実施例1〜3の何れかと同様であり、抵抗体の形成材料は実施例4〜8の何れかと同様である。
実施例4〜8で述べた光学素子の抵抗体4として用いられる材料には、その抵抗値が湿度や、その材料に含有される水分量により変化する特性を有するものがある。そこで本実施例では、抵抗体の周囲湿度変動に伴なう抵抗値の変動を抑制するための防湿手段を設ける。抵抗体の周囲湿度の変動に伴う抵抗値の変動を抑制するための防湿手段としては、抵抗体全体を囲うか覆うことにより、外気と隔離するケーシングや、オーバーコート等の方法がある。ケーシングによる方法では、ケースにより抵抗体を含む空間を外気から密閉する。ケースには樹脂、金属、ガラス、セラミック等が用いられ、通電部と接触する部分には構造体が同距離にて抵抗体よりも十分高い抵抗値を有するものを用いる。それにより、接触による感電等の危険を防止し、安全性を高めるとともに、リーク電流がケースに流れることによる分圧への影響を無視できる程度にする。オーバーコートによる方法では、抵抗体表面全体に、耐湿性や撥水性を有する物質をオーバーコートし、外気から密閉する。
これら防湿手段により、周囲湿度の変動による影響を抵抗体が受けることがなくなり、湿度の影響による抵抗値の変動を抑制することができる。オーバーコートの場合にも、抵抗体と接触するオーバーコート材が、抵抗体の10倍以上の抵抗値を有するようにすることで、接触による感電等の危険を防止し、安全性を高めるとともに、リーク電流がオーバーコート材に流れることによる分圧への影響を無視できる程度にすることができる。オーバーコートは一層以上の構造を有し、複数の層で一つの機能を備える物から、一層にて複数の機能を有する物まであるが、少ない層である方が、製造コスト的には好ましい。
抵抗体の中にはある種の波長の光を浴びることにより、組成が変化したり、抵抗体内のフィラーが励起されるなどして、抵抗体としての特性に影響する場合があるため、遮光手段が必要となる場合が発生してくる。遮光手段としては、ケーシング、オーバーコートや物理的に光路を遮断する遮光板等の方法がある。ケーシングの場合には、全体か、少なくとも光の入射方向部分に、光を通さないか、少なくとも抵抗体に影響を及ぼす範囲の波長の光を遮断、吸収や反射する材料を用いることにより、光の抵抗体への照射がなくなり、抵抗体への影響をなくすことができる。オーバーコートの場合には、その材料に少なくとも抵抗体に影響を及ぼす範囲の波長の光を遮断、吸収、反射する特性を有する材料を用いることにより、光の抵抗体への照射がなくなり、抵抗体への影響をなくすことができる。また、物理的に光路を遮断する方法では、光学素子の使用環境において、光学素子の抵抗体に影響を及ぼす光の光路上に、光を通さないか、少なくとも抵抗体に影響を及ぼす範囲の波長の光を遮断、吸収や反射する材料で形成された、部品、構造物を配置することにより、光の抵抗体への照射がなくなり、抵抗体への影響をなくすことができる。オーバーコート層において、少なくとも遮光、防湿の両性能を備える材料を用いるか、遮光、防湿各々の性能を有する別々の層を重ねてコートすることにより、複数の機能を備えることができ、抵抗体の外部からの湿度と、ある種の波長の光の影響を防ぐことにより、抵抗体の構造劣化を防ぎ、その特性変化を抑制することができる。
光の波長の中でも影響が大きいものに紫外線がある。ここではその紫外線を防ぐオーバーコート層の一例を示す。オーバーコート層には樹脂に紫外線吸収剤を配合したものを用いる。樹脂には塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂等がある。紫外線吸収剤は、それ自体が吸収した光エネルギーを自己消費し、輻射熱として放出する機構を持ち合わせているものが適している。ベンゾフェノン系、ベンゾトリアノール系の紫外線吸収剤はケトーエタノール互変異性化反応、シアノアクリレート類はシスートランス異性化反応によってそれぞれエネルギーを自己消費するため、これにあたる。
[実施例10]
次に前述の解決手段の[21]に記載の光偏向素子の実施例を示す。
図5は本発明の一実施例を示す光偏向素子の構成説明図であり、(A)は光偏向素子の概略断面図、(B)は光偏向素子を上から見たときの平面図である。光偏向素子に入射する光は図1(A)では紙面の上下方向、同図(B)では紙面に直交する方向(正面から背面方向)に通過する。光偏向素子は実施例1〜9で説明した光学素子からなり、液晶層1と、液晶層1を挟持する透明な一対の基板2と、基板2上に平行に配置された複数の電極3と、これら電極3を電気的に接続する抵抗体(塗布型抵抗体)4により形成されている。また、配向膜5、スペーサ6等を含む光学的要素も基板2に挟持されている。図5(A)では、電極3等が形成されている基板2は一つであるが、液晶を挟持する両基板に電極3等を備えるものもある。また、抵抗体4に通電するための入力端子7を有する。この入力端子7に電源(図示せず)を接続して電圧を印加し、抵抗体4により各電極3に電位勾配を発生させることで電界が発生し、その電界方向により液晶層1の液晶分子の配向方向を切換える。この切換えにより、入射光に対する出射光の光路を、図1(A)に示すa方向からb方向またはb’方向に切換えることができる。
従来、抵抗体4に通電することにより各電極3に所望の電位を与える方法としては、ディスクリートの抵抗素子や、チップ抵抗を並べて電圧を取り出すか、抵抗体をスパッタリングや真空蒸着法で形成する方法がある。抵抗素子やチップ抵抗を並べる方法では、電圧を取り出す数が増えるに従い、部品を配置するスペースが大きくなり、部品全体が大型化する。最も大きな問題は、基板2がガラス基板等の光学部品の場合で、前述の抵抗部品や抵抗チップを配列する部分と光学部品を構成するガラス部品間で、電位を与える各電極を接続することである。部品点数は増え、部品の実装コストが高くなり、光学部品自体のコストが上昇する。また、抵抗体をスパッタリング、真空蒸着により形成する方法では、1度作成工程に入ると、減圧(スパッタリングでは、ガス導入)と形成プロセス間で時間がかかる。1度に多量の処理を行うためには、前述の減圧・形成プロセス部分が大型化するため、膨大な設備コストが必要となる。これに対して前述の実施例1〜9で述べたように、抵抗体4を塗布により形成する方法を用いると、基板上に直接抵抗体4を形成するため、前述の抵抗部品や抵抗チップを配列する部分と光学部品を構成するガラス部品間で、電位を与える各電極を接続する必要がなくなり、実装コストが下がるとともに、そのための実装面積も小さくすることができる。また、スパッタリング、真空蒸着法と異なり、特殊な密閉空間も必要なく、大量生産が可能となり、安価な製造が可能になる。
[実施例11]
次に前述の解決手段の[22]に記載の光偏向素子の実施例を示す。
光偏向素子の基本的な構成は実施例10と同様であるが、本実施例では図5に示す光偏向素子の液晶層1に、ホメオトロピック配向をなすスメクチックC相を形成可能な液晶層を用いた例を記す。スメクチックC相を形成可能な液晶層1である「スメクチック液晶」は、液晶分子の長軸方向を層状(スメクチック層)に配列してなる液晶層である。このような液晶層に関し、層の法線方向(層法線方向)と液晶分子の長軸方向とが一致していない液晶を「スメクチックC相」と呼んでいる。スメクチックC相よりなる強誘電液晶は、一般的に外部電界が働かない状態において各スメクチック層毎に液晶ダイレクタ方向が螺旋的に回転しているいわゆる螺旋構造をとる。また、スメクチックC相反強誘電液晶は各層毎に液晶ダイレクタが対向する方向を向く。これらのスメクチックC相よりなる液晶は、不斉炭素を分子構造に有し、これによって自発分極しているため、この自発分極と外部電界により定まる方向に液晶分子が再配列することで光学特性が制御される。また、強誘電液晶を用いることにより反応速度が速くなる。したがって、従来の光偏向素子の構成が複雑であることに伴う高コスト、素子の大型化、光量損失、光学ノイズを改善でき、かつ、従来のネマチック液晶などにおける応答性の鈍さも改善でき、高速応答が可能となるようなる。
[実施例12]
次に前述の解決手段の[23]に記載の光偏向装置の実施例を示す。
図6は図5に示す光偏向素子を用いた光偏向装置の一例を示す図であり、(A)は光偏向装置の光偏向素子の概略断面図、(B)は光偏向装置を上から見たときの平面図である。この光偏向装置に用いる光偏向素子の構成は実施例10または実施例11と同様である。また、図6(A)では、複数の電極3等が形成されている基板2は一つであるが、液晶を挟持する両基板に電極3等を備えるものもある。光偏向素子の抵抗体4には入力端子7を介して電源8により電圧が印加される。この電圧は液晶層1の配向が可能且つ絶縁破壊を起こさない範囲である。また、電圧が高い程反応速度は速くなる。電源8は交流電源であるが、正負の所定電圧を交互に矩形的に発生するものが好ましい。電圧を安定して抵抗で分圧し、液晶分子を光軸に対して傾斜させる光学素子の抵抗体4が、本発明では塗布という製造コストの安い方法で形成することができることで、光偏向装置の製造コストを下げることができ、さらに基板上に形成された抵抗体4にて分圧するため、外部への配線が減ることで製造が容易になる。また、外部抵抗分圧回路が不用となり、装置全体が簡素化、小型化できる。
[実施例13]
次に前述の解決手段の[24]に記載の光偏向装置の実施例を示す。
図7は光偏向素子の液晶層を挟持した基板上の抵抗体に同一の電源を接続した構成の光偏向装置の一例を示す図であり、(A)は光偏向装置の光偏向素子の概略断面図、(B)は光偏向装置を上から見たときの平面図である。本実施例の光偏向装置では、光偏向素子の液晶層1を挟持した基板2A,2B上に、複数の電極3A,3Bと、この複数の電極3A,3Bに電気的に接続されてなる抵抗体4A,4Bと、入力端子7A,7Bを備え、基板2A,2Bの抵抗体4A,4Bには入力端子7A,7Bを介して同一の電源8が接続されている。抵抗体4A,4Bでは、印加された電圧を分割するが、供給される電圧が等しく、抵抗体4A,4Bが均一な場合には、抵抗値の値に寄らず各電極には所定の電位が与えられる。電界を発生するために必要なのは電位なので、2つの抵抗体4A,4Bを並列にして、各々同数且つ、電極間距離が全体の電極間距離の割合で等しく配置されている場合、電源8に接続する方向が同一ならば、同位置の電極に与えられる電位は等しい値になる。このことから、両基板2A,2Bの電極位置が液晶層1を挟んで等しい場合には、両抵抗体4A,4Bを同一の電源8に接続することで、液晶を挟んだ電極3A,3Bの電位は等しくなる。また、電極3A,3Bを両基板で位置をずらして配置した場合には、その距離分の抵抗を抵抗体端部に追加するれば、電位は電極位置により直線的に増減する。このことから、液晶層1を挟持した基板上の抵抗体4A,4Bに同一の電源8を接続することで、各抵抗対毎に別電源に接続する必要がなくなり、電源数が減少することで、光偏向装置のコストが減少するとともに、電源部に必要な体積も減少させることができ、装置の小型化を図れる。
[実施例14]
次に前述の解決手段の[25]に記載の光偏向装置の実施例を示す。
図8は本発明の一実施例を示す光偏向装置を用いた画像表示装置の概略構成図である。この画像表示装置では、光源光を均一化するために設けられたインテグレータ照明光学系を光源9とフライアイレンズアレイ10,11で構成する。コンデンサレンズ12は照明光を偏光ビームスプリッター18を介して画像表示手段である画像表示素子19に集光し、照明する。本実施例では画像表示素子19は反射型液晶パネルであり、投射レンズ13は反射型液晶パネル19からの画像光をスクリーン14に投射し、スクリーン14上に画像を表示する。また、偏光ビームスプリッター18は照明光と画像光を分離するためのものである。光偏向装置16は実施例12または13に示したように光偏向素子等よりなり、符号17は光偏向装置16の制御回路である。また、符号15は画像表示素子(反射型液晶パネル)の制御回路である。
図8において、照明光源9から放出された照明光は、インテグレータ照明光学系により均一化された照明光となり、コンデンサレンズ11により反射型液晶パネル19を照明する。この反射型液晶パネル19で空間光変調された照明光は、画像光として光偏向装置16に入射し、光偏向装置16によって画像光が画素の配列方向に設定されたシフト量だけシフトされる。そして、この光は投射レンズ13で拡大されてスクリーン14に投射され、スクリーン14上で画像が表示される。
ここで、光偏向装置16によるシフト量は画素ピッチの整数分の1であることが好ましい。また、画素の配列方向に対して2倍の画像増倍を行う場合には画素ピッチの1/2にし、4倍の画素増倍を行う場合には画素ピッチの1/4にすることが好ましい。いずれの場合も、シフトレベル数に応じた量に応じて画像フレームを時間的に分割した複数のサブフレームで構成し、各サブフレーム毎に光偏向装置16を作用させ、光偏向装置16の作用状態に応じた表示位置に対応する画像情報を画像表示素子19に表示させることで、見かけ上高精細な画像を表示することができる。このような画像表示装置に本発明の光学素子(光偏向素子)16を用いることによって、均一な電界を効率的に発生し、液晶のスイッチングの制御性が向上した精度の高い光配向を行うことで、高精細画像を精度良く安定的に表示する画像表示装置を実現できる。
[実施例15]
次に前述の解決手段の[26]〜[34]に記載の抵抗体形成方法の実施例を示す。
本実施例では、液晶層と該液晶層を保持する基板を有し、該基板上に複数の電極と該複数の電極を電気的に接続する抵抗体を形成し、該抵抗体に通電することにより前記複数の電極の各々に所望の電位を与え、前記液晶層の液晶分子方向を制御する光学素子の前記抵抗体形成方法において、前記抵抗体を、所望の抵抗値を発現する材料を基板上に塗布して形成する場合の、塗布する材料に合わせた抵抗体形成方法を記す。従来の基板上に抵抗体を形成する方法には、スパッタリングや真空蒸着法などで形成する方法がある。しかし、これらの方法では、1度作成工程に入ると、減圧(スパッタリングでは、ガス導入)と形成プロセス間で時間がかかる。1度に多量の処理を行うためには、前述の減圧・形成プロセス部分が大型化するため、膨大な設備コストが必要となる。しかし、本発明のように塗布により抵抗体を形成すると、これらの欠点を解決することができる。
一概に塗布による形成方法といっても各々の形成方法毎に使用できる抵抗体材料の特性が異なってくる。その中でも一番の要素は粘度である。例えばスピンコートでは粘度が高いとスピンによる広がりも遅く、ムラが発生するし、粘度が低いとスクリーン印刷ではスクリーン上に塗布材料が留まることができない。このように塗布方法の違いにより、塗布できる材料の粘度に違いがある。本発明では抵抗体を形成する抵抗体材料を溶媒に希釈した状態で塗布する。粘度は、溶媒の量を調節することに調整することができ、塗布する抵抗体材料を塗布方法に合わせて粘度を調節することで、塗布による形成が可能になる。以下、塗布による抵抗体形成方法の具体例を示す。
[実施例15−1]
抵抗体を塗布する方法の一例としてディッピングという方法がある。この方法の原理は、液の中に塗布対象を浸漬し、一定速度で引上げることにより、漬かった部分に液が塗布されるという方法である。引上げる速度により膜厚を制御することができ、引上げ速度が速いほど厚くなる。図9はディッピングによる抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図であり、以下、その概略を説明する。
図9において、(1),(2):基板2上に抵抗体を形成する範囲を残してマスキング20を行い、(3):これを液状の抵抗体材料21の中に漬けた後に、(4):一定速度で引上げ、(5):抵抗体材料21が硬化した後に、マスキング20を外すことで、(6):基板2上に抵抗体材料21からなる抵抗体4が塗布形成される。
本方法は最低限、液を溜める容器と、漬け上げを行う手段と、マスキング手段があれば塗布が行えることから、設備コストが小さく、大量生産が可能である。
[実施例15−2]
抵抗体を塗布する方法の別の例としてスピンコート法という方法がある。この方法の原理は、回転させた基板に液を滴下し、回転の遠心力により均一な厚みで塗布するという方法である。また、回転速度により厚みを制御することができる。図10はスピンコート法による抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図であり、以下、その概略を説明する。
図10において、(1),(2):基板2上に抵抗体を形成する範囲を残しマスキング20を行い、(3):基板をスピナー22にて回転させる。回転した基板に液状の抵抗体材料21を滴下し、(4):回転の遠心力により均一な厚みで塗布する。(5):抵抗体材料21が硬化した後にマスキング20を外すことで、(6):基板2上に抵抗体4が塗布形成される。
本方法は最低限、基板2を回転させるスピナー22と抵抗体材料21を滴下する手段と、マスキング手段があれば塗布が行えることから、設備コストが小さく、均一な厚みの抵抗体が形成できる。
[実施例15−3]
抵抗体を塗布する方法の別の例としてオフセット印刷という方法がある。オフセット印刷は、版面からインキを一旦ゴムブランケット(ゴム布)に移し、これから対象物に印刷する方法である。この方法では、抵抗体材料は疎水性と親油性を有するものが塗布可能である。形成は、まず抵抗体の塗布する形状を有する版を作成する。そして版を輪転機に装着する。輪転機に装着された版には常に水分と抵抗体材料を供給する。水分を与えられた版上では、塗布部は疎水性のため、印刷される部分には水分が残らない。しかし、非塗布部では表面に非常に細かな凹凸があって、その部分に小さな水滴が残る。その状態の版に対して抵抗体材料を供給すると、抵抗体材料は親油性と疎水性を有するので、塗布部上には抵抗体材料が乗り、非塗布部上では水と反発して抵抗体材料が乗らない。この抵抗体材料の乗った部分だけがブランケットに転移され、基板上に塗布されることで形成できる。また、シリコンゴムによる反撥性を利用して、水を使わずに塗布部のみに抵抗体を着肉する方法もある。この方法ではフィルムを通って露光した部分の感光層が重合架橋し、シリコンゴム層と接着する。前処理液で版面を湿らせて、接着力の弱まったシリコンゴム層をブラシで擦り取る。残ったシリコンゴムが従来の水の役割を担い、抵抗体材料をはじき非塗布部になる。図11はオフセット印刷による抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図であり、以下、その概略を説明する。
図11において、(1),(2):塗布基板25上にシリコンゴムにて版24が形成されており、抵抗体塗布用ローラ23が版24に液状抵抗体材料21を塗布するが、シリコンゴムの反撥性により、シリコンゴム層には抵抗対材料は乗らず、塗布部のみに塗布される。(2),(3):版面から抵抗対材料21を転写用ローラー26に移す。(4),(5):ローラー23,26が基板方向に移動。(5),(6):転写用ローラー26から基板2上に抵抗対材料21が転写される。
オフセット印刷は、製版が比較的簡単なうえ、版の複製も簡単に高精度に作ることができるので、大量印刷が可能である。また、スピンコート法に比べて抵抗材料を無駄にしない。また、ベタがムラなく塗布できる。
[実施例15−4]
抵抗体を塗布する方法の別の例としてグラビア印刷という方法がある。この方法では、銅板に焼きつけた版の凹部に抵抗体材料を溜めて刷るものである。また、版の凹部の深さにより厚みを制御することが可能である。図12はローラーを用いたグラビア印刷による抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図であり、以下、その概略を説明する。
図12において、(1):液状抵抗体材料21をローラーに巻装された版24の凹部に溜め、(2),(3):不用な抵抗体材料21をブレード27にてかき落した後に基板2に塗布する。
この塗布方法では、抵抗体材料の乾きが速く、低粘度のものを使う必要がある。また、版の耐久性に優れ、塗布する速度も早く、大量生産が可能である。ただし、製版コストは塗布法の中では高い。
[実施例15−5]
抵抗体を塗布する方法の別の例としてグラビアオフセット印刷という方法がある。図13はグラビアオフセット印刷による抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図であり、以下、その概略を説明する。
図13において、(1):印刷の版24となるシリンダー状の筒表面の塗布する部分に小さな穴を設け、その中に液状抵抗体材料21を入れ、ブレード27にて余分な抵抗体材料21をかきとった後、ブランケットのような軟らかいものを使用した転写用ローラ26に抵抗体材料21を移し、(2),(3):この転写用ローラ26から基板2上に抵抗体材料21を塗布する。
この塗布方法では、再現性に優れるという利点がある。
[実施例15−6]
抵抗体を塗布する方法の別の例としてパッド印刷という方法がある。パッド印刷はグラビアオフセット印刷の一種であり、この方法では、焼き入れした鋼板や樹脂版に図柄をエッチングして彫り込む。図14はパッド印刷による抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図であり、以下、その概略を説明する。
図14において、(1):凹版24に液状抵抗体材料21を乗せ、図示しないブレードにより版面の余分な抵抗体材料21をかき取る。(2),(3):柔らかいゴム製のパッド28を版面に押し付けて抵抗体材料21を拾い、(4),(5):これを基板2上に押付けることで、抵抗体材料21を基板2に転写する。
この塗布方法は、版の経時変化がなく、微細な形状が形成できる。また、塗布厚が薄いために、抵抗体材料の乾燥が速く、塗布工程が短時間で終了する。
[実施例15−7]
抵抗体を塗布する方法の別の例としてスクリーン印刷という方法がある。この方法の原理は、ステンシル(紗)と呼ばれる細かい網状のスクリーンに、塗布しない部分を遮蔽して刷版を作る。塗布は、被塗布物の上に塗布部以外が遮蔽されたスクリーン版を置き、その上から粘度のやや高い抵抗体材料をスキージと呼ばれる板状のゴム板で抵抗体材料を掻くことによって、遮蔽されていない孔の開いている部分から抵抗体材料を押し出し、基板に付着させる。このため、本方法で塗布する抵抗体材料にはやや高めの粘度が必要である。図15、図16にこの方法の例を示す。図15はスクリーン印刷による抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図である。
図15において、(1),(2):基板2をスクリーン版24の下に置き、ブレード27でステンシル全体に抵抗体材料21を広げる。(3),(4):スキージ29でスクリーン版24を基板2の方向に圧力を掛けながら、抵抗体材料21を掻くことにより、抵抗体材料21がステンシルの網を通り抜け、基板2上に抵抗体材料21を塗布される。
また、図16は円筒にステンシル(スクリーン版24)を貼ったスクリーン印刷の例である。
図16において、(1):円筒30の中に抵抗体材料21があり、これをスキージ29にて円筒30のスクリーン版24に圧力をかけながら掻いている。円筒30を回転させることで版24が回転し、それに合わせて基板2を移動することで、(2):抵抗体材料21を基板2上に塗布していくことができる。
スクリーン印刷は、版面が柔軟で印圧が非常に少なく、塗布厚が他版式と比べて厚いという特長がある。また、被塗布物の形状を選ばない。紗にはシルク、ナイロン(登録商標)、テトロン(登録商標)、ポリエステル繊維、ステンレスの針金で織ったものや金属板にエッチングで穴を開けたもの等が使用される。
[実施例15−8]
抵抗体を塗布する方法の別の例として凸版印刷という方法がある。ここでは凸版印刷の中から凸版直刷方式について説明する。図17は凸版印刷による抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図である。
図17において、(1):液状抵抗体材料21を版24に乗せるローラー23が左右に移動し、版24に抵抗体材料21が乗る。(2):版24が下がり抵抗体材料21を基板2上に塗布する。(3):版24が上がり元の位置に戻る。
以上の工程で基板2上に抵抗体材料21が塗布される。基板面に接触する版の形状は、形成する抵抗体により決まる。凸版印刷は、微細なパターンをシャープに形成することができ、塗布形成速度が速いため、大量生産が可能な抵抗体形成方法である。
[実施例15−9]
抵抗体を塗布する方法の別の例としてフレキソ印刷という方法がある。図18はフレキソ印刷による抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図であり、この方法の一例としてツーロール方式を示している。
図18において、(1):円筒上の凸の版(ハンコ)24の表面に、アニロックスロール31と呼ばれるローラーで、低粘度の抵抗体材料21を付け、(2):さらにその版24を基板2に押し付けて、(3):抵抗体材料21を基板2に転写する方式である。
アニロックスロール31は、クロムやセラミックスでメッキ、コートされた金属のシリンダーの表面に、セルと呼ばれる小さな穴が規則正しく並んだもので、その穴の中に抵抗体材料21が入り、その抵抗体材料21が版24の表面に転移される。アニロックス表面に付き過ぎた抵抗体材料21は、ドクターロール32と呼ばれるゴムロールや、ドクターブレードと呼ばれる板を表面に押し付けることでかき落とされ、常に安定した量の抵抗体材料21が版4の表面に供給される。基板2等の被塗布物に多少凹凸があっても、版が柔らかいので印刷でき、オフセット印刷より、膜厚の厚い塗布ができる。また、グラビア印刷と比較して、形状がシャープにできる。さらに、水性、完全脱溶剤型の抵抗体が塗布可能である。また、抵抗体材料の無駄が少なく低コストであり、高速印刷が可能なため大量生産が可能である。
[実施例15−10]
抵抗体を塗布する方法の別の例としてドライオフセット印刷という方法がある。この方法は湿し水を使わない凸版を版面に用いるオフセット印刷である。図19はドライオフセット印刷による抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図である。
図19において、(1):抵抗体材料塗布ロール25により凸版の版24に液状抵抗体材料21を付け、その版24から転写用のロール26に抵抗体材料21を移し、(2),(3):その転写用ロール26から基板2に抵抗体材料21が塗布される。
この方法では、転写用ロール26の材料により、種々な材料の基板2に塗布を行うことができる。版材は、感光性樹脂凸版や金属凸版などが用いられ、塗布部の厚さは0.2〜0.3mm程度である。また、湿し水を使わないため版持ちが良いという利点がある。
[実施例15−11]
抵抗体を塗布する方法の別の例としてローラーによる塗布という方法がある。図20はローラーによる抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図である。
図20において、(1),(2):表面に柔軟性のあるローラー33の幅を基板2上に形成する抵抗体材料21の幅により定めた凹凸のないローラー33に、抵抗体材料21を付け、(3),(4):基板2上の形成位置に、ローラー33により塗布する。
本方法は、装置が極めて簡便であり、設備コストが非常に小さい。
[実施例15−12]
抵抗体を塗布する方法の別の例としてマスキングの後にローラーにより塗布を行う方法がある。図21はローラーとマスキングによる抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図である。
図21において、(1),(2):基板2の抵抗体形成範囲以外にマスキング20を施し、(3),(4):表面に柔軟性のある凹凸のないローラー33に、抵抗体材料21を付け、基板2上に、ローラー33により塗布する。(5),(6):抵抗体材料21硬化後にマスキング20を外せば、基板2に抵抗体が塗布形成される。
本方法は、装置が極めて簡便であり、設備コストが非常に小さい。
[実施例15−13]
抵抗体を塗布する方法の別の例としてノズルにより液状抵抗体材料を噴霧するという方法がある。図22はノズルによる抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図である。
図22において、(1),(2):液状抵抗体材料の容器(図示せず)からノズル方向に向けて液状の抵抗体材料21に圧力をかけてノズル34から押し出すことにより、(3),(4):ノズル34から基板2上に抵抗体材料21が噴霧され、塗布される。基板2またはノズル34位置を移動することにより、所望の移動方向の形状に塗布を行うことができる。また、ノズル34の形状、抵抗体材料21への圧力、基板2との距離により、塗布範囲や塗布量を調整することができる。
本方法は、非常に簡易な方法で塗布ができるため、設備にかかるコストが小さい。
[実施例15−14]
抵抗体を塗布する方法の別の例としてマスキングの後にノズルにより液状抵抗体材料を噴霧するという方法がある。図23はノズルとマスキングによる抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図である。
図23において、(1),(2):基板2の抵抗体形成範囲以外にマスキング20を施した後に、(3):液状抵抗体材料の容器(図示せず)からノズル方向に向けて液状の抵抗体材料21に圧力をかけてノズル34から押し出すことにより、ノズル34から基板2上に抵抗体材料21が噴霧され塗布される。(4):抵抗体材料21の硬化後にマスキング20を外すことで、(5):所望の形状に抵抗体4を塗布することができる。
本方法は、非常に簡易な方法で塗布ができるため、設備にかかるコストが小さい。
[実施例15−15]
抵抗体を塗布する方法の別の例としてインクジェットという方法がある。この方法は細いノズルから液滴を吐出させて紙などに付着させる塗布方法であり、以下の方式がある。[1] 圧電振動子を用いて連続的に液滴を吐出する方式であり、印字時のみ電界制御により紙面上に液滴を導くのが連続式である。
[2] ピエゾ素子で弾性板を振動させるピエゾ方式で、電圧をかけると長さが変化するというピエゾ素子を用いることで少量の低粘度抵抗体材料を吹き出す方式である。抵抗体材料は表面張力で球形になり、基板に向かって突出される。
[3] 発熱体により生成する気泡で液滴を吐出させるサーマルインクジェット方式である。穴を空けた小箱の中に発熱体と抵抗体材料を入れ、発熱体に通電して温度を上昇させると、抵抗体材料の溶媒が沸騰して泡が発生するが、これに伴い箱の中の圧力が上昇し、穴から抵抗体材料が押し出される方式である。
このインクジェットによる方法では、低粘度、微粒子、良好な分散性、均一な液滴形成、迅速な乾燥、耐候性、ノズルで目詰まりを起こさない等の性質が必要となるが、基板上への抵抗体の微細な形成ができ、装置の小型化が図れる。
[実施例16]
次に前述の解決手段の[35]に記載の抵抗体形成方法の実施例を示す。
実施例15に示した何れかの方法で基板上に塗布した抵抗体は、自然乾燥により形成されるものもあるが、本実施例では、恒温槽に入れたり、遠赤外線やマイクロ波の照射や、熱風を当てることによって加熱し、硬化させる。蒸発乾燥により、乾燥・硬化されるタイプの抵抗体では、溶剤の蒸発が促進され、乾燥・硬化する時間が速くなる。また、重合により乾燥・硬化するタイプの抵抗体では、加熱により分子自体が活性化したり、結合が活発化することにより、また、熱重合タイプでは、溶剤分が分離して樹脂が析出固化することにより乾燥・硬化し、乾燥・硬化時間を速くすることができる。つまり、塗布した抵抗体を加熱することにより、その乾燥・硬化時間を短縮することができ、製造効率を高めることができる。また、マイクロ波による加熱では、極性溶剤を含む抵抗体のみを加熱することも可能であり、抵抗体以外への加熱による影響を最小限に抑えることができる。
[実施例17]
次に前述の解決手段の[36]に記載の抵抗体形成方法の実施例を示す。
実施例15に示した何れかの方法で基板上に塗布した抵抗体に、ある種の波長の光を照射することにより、重合反応を起こさせ、抵抗体を乾燥・硬化させる方法がある。ここでは、その一例として紫外線硬化乾燥方式を説明する。基板上に塗布された抵抗体は、紫外線を照射すると、照射された光を吸収し、励起してラジカル化する光重合開始剤か増感剤と、このラジカルに刺激されて励起し、ラジカル化する重合反応性化合物からなり、重合反応により、急速に高分子化することにより、乾燥・硬化する。紫外線による方法では、高速な乾燥・硬化により、製造時間が短縮でき、工程が容易かつ安定性に優れ、安全性も高いため、製造効率を高めることができる。また、ほとんど加熱がないので、硬化にかかるエネルギーが少ない。また、硬化した抵抗体が強固である。
[実施例18]
次に前述の解決手段の[37]に記載の抵抗体形成方法の実施例を示す。
実施例15に示した何れかの方法で基板上に塗布した抵抗体は、自然乾燥により形成されるものもあるが、本実施例では、恒温槽に入れたり、遠赤外線やマイクロ波の照射や、熱風を当てることによって加熱し、抵抗体を乾燥・硬化させる方法と、ある種の波長の光を照射することにより、重合反応を起こさせ、抵抗体を乾燥・硬化させる方法とを、複数行うことにより、抵抗体の乾燥・硬化を行う方法である。光の照射により乾燥・硬化する抵抗体材料には、溶剤等を含むものがあるので、加熱による溶剤の蒸発と、光の照射による乾燥・硬化を合わせて行うことにより、光硬化性の抵抗体材料の乾燥・硬化を促進でき、さらに強固な抵抗体を形成することができる。
[実施例19]
次に前述の解決手段の[38]に記載の抵抗体形成方法の実施例を示す。
抵抗体の形成工程において、抵抗体は環境要因により、その特性や組成に影響を受ける場合がある。影響があるものには、湿度、酸素等がある。この影響を避ける一つの方法として、抵抗体形成工程中に外部環境より密閉する方法がある。本実施例では、抵抗体形成工程中は、外気から遮断した環境下で、密閉空間に不活性ガスのアルゴン(Ar)等の酸素を含まない気体を封入する。不活性ガスで充填された空間は、酸素、水分が無視できる程度になるので、抵抗体の形成と特性への影響を減少、または無くすことができる。
[実施例20]
次に前述の解決手段の[39]に記載の抵抗体形成方法の実施例を示す。
抵抗体に用いることができる材料の中には、ある波長域の光を照射されることにより、その構造に劣化を生じたり、特性が変化するものがある。特性の変化を利用し、抵抗体を形成する場合を除くと、光を受けることは、抵抗体の所望の特性を得ることへの阻害要因になる。本実施例では、この問題を解決するために、少なくとも抵抗体形成工程を含めた光学素子形成工程において、抵抗体へ光が照射されぬよう、遮光を行う。これにより、抵抗体の光による構造劣化を防止することができる。
[実施例21]
次に前述の解決手段の[40]に記載の抵抗体形成方法の実施例を示す。
抵抗体に用いることができる材料の中には、ある波長域の光を照射されたり、酸素、湿度等の雰囲気により、その構造に劣化を生じたり、特性が変化するものがある。そこで、本実施例では、防湿や遮光手段が施され、抵抗体へ外部環境の影響が減少または無くなるまでの間、外気から遮断した密閉空間に不活性ガスのAr等の酸素を含まない気体を満たした環境や、抵抗体に影響のある波長域の光の照射をなくした環境下に置く。これにより、抵抗体への酸素、水分、光等の外部からの影響を減少、または無くすことができる。
[実施例22]
次に前述の解決手段の[41]に記載の抵抗体形成方法の実施例を示す。
抵抗体に用いることができる材料の中には、ある波長域の光を照射されることにより、その構造に劣化を生じたり、特性が変化するものがある。また、抵抗体の形成工程が、抵抗体に影響ある波長域の光を照射する工程の前工程にある場合には、抵抗体の構造劣化や特性変化が生じてしまう。そこで、本実施例では、抵抗体の形成工程を、抵抗体に影響のある波長域の光を照射する工程以降にする。これにより、抵抗体の光による構造劣化を防止することができる。
[実施例23]
次に前述の解決手段の[42]に記載の抵抗体形成方法の実施例を示す。
抵抗体に用いることができる材料の中には、一定温度以上に加熱されることにより、その構造に劣化を生じたり、特性が変化するものがある。また、抵抗体の形成工程が、抵抗体に影響ある一定温度以上に加熱される工程の前工程にある場合には、抵抗体の構造劣化や特性変化が生じてしまう。そこで本実施例では、抵抗体の形成工程を、抵抗体に影響のある一定温度以上に加熱される工程以降にする。これにより、抵抗体の熱による構造劣化を防止することができる。
[実施例24]
次に前述の解決手段の[43]に記載の抵抗体形成方法の実施例を示す。
抵抗体を形成した後に、定めた範囲内の抵抗値が得られなかった場合、その抵抗体を含む光学素子自体が不良品となり、製造コストの増加を招く。また、抵抗体の中には湿度や含有水分量により抵抗値が変化する性質のものがある。そこで本実施例においては、抵抗体を形成した後に抵抗体を定めた範囲内の抵抗値にするために、その抵抗値と定めた範囲との差を、湿度や含有水分量により抵抗値が変化する性質を利用して変更し、定めた範囲内の抵抗値の状態で、防湿手段を施すことにより、抵抗体の抵抗値を定めた範囲内に固定する。抵抗体の湿度は、その湿度雰囲気下に曝すことで、含有水分量は、温度(加熱、冷却等)、湿度を調節することにより調節する。本実施例の方法により、抵抗値によって不良品となっていた光学素子が、抵抗値が抵抗体形成後に調節可能となることで良品となり、歩留りの向上により製造コストを低減することができる。
[本発明の実施例と従来例との比較]
以上、本発明に係る光学素子、光偏向素子、光偏向装置、画像表示装置及び抵抗体形成方法の実施例を説明したが、次に光学素子(光偏向素子)の抵抗体に本発明の塗布型抵抗体を用いた場合と、従来のスパッタリングにより成膜した抵抗体を用いた場合の電位勾配の比較を行ったので、その結果を以下に示す。
比較実験に用いた光学素子は図24に示す構成であり、液晶層を挟持する透明な一対の基板2と、基板2上に平行に配置された複数の電極3と、これら電極3を電気的に接続する抵抗体4により形成されている。これは図5に示したものと同様の構成であり、断面構造は図5(A)と同じである。
本発明に係る塗布型抵抗体には実施例8で説明した材料構成のものを用い、具体的には、配合物として、10nm以下の粒子径のATO微粒子1.8重量部、メチルエチルケトン33.5重量部、ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂34.7重量部、ジアセトンアルコール30.0重量部を分散し、抵抗体材料を作成した。次に基板上に長方形のフレキソ版を用いて上記抵抗体材料を塗布し、基板を50℃の雰囲気にて乾燥させた後、UV照射を100mWにて90秒行い硬化し、塗布型抵抗体を作製した。この抵抗体の膜幅は約1.5mmである。
次に従来例として、Cr:SiO=60:40を同じ基板に厚さ平均約0.073μm、膜幅1.2mmをスパッタリングにて成膜し、抵抗体を作製した。
次に、本発明の塗布型抵抗体を形成した光学素子と、従来例の抵抗体を形成した光学素子の共通の条件として、複数の電極3の電極間距離0.1mm、電極幅0.01mm、電極数101本とし、101本の電極3の端部電極からの電極間電圧を測定した。両端の電極に印加する印加電圧は1.5kVとし、電極材料はITOとし、電極厚みを約0.13μmとした。
図25は本発明の塗布型抵抗体を形成した光学素子の電位勾配を示すグラフであり、図26は従来例の抵抗体を形成した光学素子の電位勾配を示すグラフである。両者を比較すると、本発明の塗布型抵抗体を形成した光学素子の方が電位勾配の直線性が良く、良好な特性が得られている。
以上説明したように、本発明は、液晶層を保持する基板上に設けられた複数の電極に、液晶を制御するために必要な所望の電位を与えることができる抵抗体を、安価に大量に製造することができる構成の光学素子を提供することができ、この光学素子を用いることにより安価に製造することができる光偏向素子を提供することができる。さらには、その光偏向素子を用いることにより、製造コストの低減、装置の簡素化、小型化を図ることができる光偏向装置を提供することができる。さらには、その光偏向装置を用いることにより、表示画像の高精細化と製造コストの低減を図ることができる画像表示装置を提供することができる。さらに本発明の抵抗体形成方法を用いることにより、前記光学素子の複数の電極に所望の電位を与えるための抵抗体を安価に製造することができる。
本発明に係る光学素子の概要を示す概略斜視図である。 本発明に係る光学素子の断面構造の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る光学素子の液晶層を通過する光の光路と抵抗体の形成位置の一例を表した概略斜視図である。 本発明に係る光学素子の液晶層と抵抗体の形成位置の一例を表した概略斜視図である。 本発明の一実施例を示す光偏向素子の構成説明図であり、(A)は光偏向素子の概略断面図、(B)は光偏向素子を上から見たときの平面図である。 図5に示す光偏向素子を用いた光偏向装置の一例を示す図であり、(A)は光偏向装置の光偏向素子の概略断面図、(B)は光偏向装置を上から見たときの平面図である。 光偏向素子の液晶層を挟持した基板上の抵抗体に同一の電源を接続した構成の光偏向装置の一例を示す図であり、(A)は光偏向装置の光偏向素子の概略断面図、(B)は光偏向装置を上から見たときの平面図である。 本発明の一実施例を示す光偏向装置を用いた画像表示装置の概略構成図である。 ディッピングによる抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図である。 スピンコート法による抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図である。 オフセット印刷による抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図である。 グラビア印刷による抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図である。 グラビアオフセット印刷による抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図である。 パッド印刷による抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図である。 スクリーン印刷による抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図である。 円筒用スクリーン印刷による抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図である。 凸版印刷による抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図である。 フレキソ印刷による抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図である。 ドライオフセット印刷による抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図である。 ローラーによる抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図である。 ローラーとマスキングによる抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図である。 ノズルによる抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図である。 ノズルとマスキングによる抵抗体形成方法の一例を示す工程説明図である。 比較実験に用いた光学素子の構成例を示す平面図である。 本発明の実施例の塗布型抵抗体を形成した光学素子の電位勾配を示すグラフである。 従来例の抵抗体を形成した光学素子の電位勾配を示すグラフである。
符号の説明
1:液晶層
2,2A,2B:基板
3,3A,3B:電極
4,4A,4B:抵抗体
5:配向膜
6:スペーサ
7,7A,7B:入力端子
8:電源
9:光源
10,11:フライアイレンズアレイ
12:コンデンサレンズ
13:投射レンズ
14:スクリーン
15:反射型液晶パネルの制御回路
16:光偏向装置、
17:光偏向装置の制御回路
18:偏光ビームスプリッター
19:画像表示素子(反射型液晶パネル)
20:マスク、
21:液状抵抗体材料
22:スピナー
23:塗布用ローラ
24:版
25:塗布基板
26:転写用ローラー
27:ブレード
28:パッド
29:スキージ
30:円筒
31:アニックスロール
32:ドクターロール
33:ローラー
34:ノズル
35:光路

Claims (11)

  1. 液晶層と、該液晶層を保持する基板と、該基板上に設けられた複数の電極と、該複数の電極を電気的に接続する抵抗体を有し、該抵抗体を通電することにより前記複数の電極の各々に所望の電位を与え、前記液晶層の液晶分子方向を制御する光学素子において、
    前記抵抗体は、少なくとも所望の抵抗値を発現するための材料を前記基板に塗布することにより形成された塗布型抵抗体であり、
    前記塗布型抵抗体の周囲の湿度変動に伴う前記塗布型抵抗体の抵抗値の変動を抑制するための防湿手段を設けることを特徴とする光学素子。
  2. 請求項1記載の光学素子において、
    前記塗布型抵抗体に対して少なくとも所望の波長域の光が照射されるのを防止する遮光手段を備えることを特徴とする光学素子。
  3. 請求項記載の光学素子において、
    前記遮光手段が、オーバーコート層であることを特徴とする光学素子。
  4. 請求項1〜3の何れか一つに記載の光学素子からなる光偏向素子であって
    少なくとも液晶層と、該液晶層を挟持する透明な一対の基板と、該基板上に平行に配置された複数の電極と、該複数の電極を電気的に接続する塗布型抵抗体を備え、前記塗布型抵抗体に通電することにより、前記複数の電極に電位勾配を発生させることで電界を発生させ、その電界方向により、前記液晶層の液晶分子の配向方向を切換え、入射光に対する出射光の光路を切換えることを特徴とする光偏向素子。
  5. 請求項1〜4の何れか一つに記載の光学素子からなる光偏向素子であって
    少なくともホメオトロピック配向をなすキラルスメクチックC相を形成可能な液晶層と、該液晶層を挟持する透明な一対の基板と、該基板上に平行に配置された複数の電極と、該複数の電極を電気的に接続する塗布型抵抗体とを備え、前記塗布型抵抗体に通電することにより、前記複数の電極に電位勾配を発生させることで電界を発生させ、その電界方向によって、前記液晶層の液晶分子の配向方向を切換え、入射光に対する出射光の光路を切換えることを特徴とする光偏向素子。
  6. 少なくとも、請求項4または5記載の光偏向素子と、該光偏向素子の前記抵抗体に対して電極の配列方向に電圧を印加する電圧印加手段を備えたことを特徴とする光偏向装置
  7. 請求項6記載の光偏向装置において、
    前記電圧印加手段として、基板上の複数の電極と電気的に接続されてなる抵抗体に同一の電源を接続することを特徴とする光偏向装置
  8. 少なくとも、画像情報に従って光を二次元的に制御可能な画像表示手段と、該画像表示手段の画像情報を観察または投射するための光学部材と、画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールド毎に画像表示手段と光学部材の間の光路を偏向する光偏向装置とを備えた画像表示装置において
    前記光偏向装置として請求項6または7記載の光偏向装置を備えたことを特徴とする画像表示装置
  9. 請求項1〜の何れか一つに記載の光学素子の前記抵抗体の形成方法において
    前記抵抗体を、所望の抵抗値を発現する材料を基板に塗布することにより形成することを特徴とする抵抗体形成方法
  10. 請求項9記載の抵抗体形成方法において、
    前記抵抗体は、インクジェツト方式による液状抵抗材の噴射により形状を制御し、塗布することを特徴とする抵抗体形成方法
  11. 請求項記載の抵抗体形成方法において、
    前記抵抗体の含有水分量の調節により所望の抵抗値にした後、防湿手段を施すことを特徴とする抵抗体形成方法
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