JP4450976B2 - 光学的な開口の作製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光学的な開口の作製方法に関するものである。特に近視野光を照射・検出する近視野光デバイスに用いる開口の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
試料表面においてナノメートルオーダの微小な領域を観察するために走査型トンネル顕微鏡(STM)や原子間力顕微鏡(AFM)に代表される走査型プローブ顕微鏡(SPM)が用いられている。SPMは、先端が先鋭化されたプローブを試料表面に走査させ、プローブと試料表面との間に生じるトンネル電流や原子間力などの相互作用を観察対象として、プローブ先端形状に依存した分解能の像を得ることができるが、比較的、観察する試料に対する制約が厳しい。
【0003】
そこでいま、試料表面に生成される近視野光とプローブとの間に生じる相互作用を観察対象とすることで、試料表面の微小な領域の観察を可能にした近視野光学顕微鏡(SNOM)が注目されている。
【0004】
近視野光学顕微鏡においては、先鋭化された光ファイバーの先端に設けられた開口から近視野光を試料の表面に照射する。開口は、光ファイバーに導入される光の波長の回折限界以下の大きさを有しており、たとえば、100nm程度の直径である。プローブ先端に形成された開口と試料間の距離は、SPMの技術によって制御され、その値は開口の大きさ以下である。このとき、試料上での近視野光のスポット径は、開口の大きさとほぼ同じである。したがって、試料表面に照射する近視野光を走査することで、微小領域における試料の光学物性の観測を可能としている。
【0005】
顕微鏡としての利用だけでなく、光ファイバープローブを通して試料に向けて比較的強度の大きな光を導入させることにより、光ファイバープローブの開口にエネルギー密度の高い近視野光を生成し、その近視野光によって試料表面の構造または物性を局所的に変更させる高密度なメモリ装置としての応用も可能である。強度の大きな近視野光を得るために、プローブ先端の先端角を大きくすることが試みられている。
【0006】
これら近視野光を利用したデバイスにおいて、開口の形成が最も重要である。開口の作製方法の一つとして、特許公報平5-21201に開示されている方法が知られている。この方法で、開口を形成するための試料として、先鋭化した光波ガイドに遮光膜を堆積したものを用いている。開口の作製方法は、遮光膜付きの先鋭化した光波ガイドを圧電アクチュエータによって良好に制御された非常に小さな押しつけ量で硬い平板に押しつけることによって、先端の遮光膜を塑性変形させている。
【0007】
また、開口の形成方法として、特開平11-265520に開示されている方法がある。この方法において、開口を形成する対象は、平板上に集束イオンビーム(FIB)によって形成された突起先端である。開口の形成方法は、突起先端の遮光膜に、側面からFIBを照射し、突起先端の遮光膜を除去することによって行っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許公報平5-21201の方法によれば、光波ガイド一本ずつしか開口を形成する事ができない。また、特許公報平5-21201の方法によれば、移動分解能が数nmの圧電アクチュエータによって押し込み量を制御する必要があるため、開口形成装置をその他の装置や空気などの振動による影響が少ない環境におかなくてはならない。また、光伝搬体ロッドが平板に対して垂直に当たるように調整する時間がかかってしまう。また、移動量の小さな圧電アクチュエータの他に、移動量の大きな機械的並進台が必要となる。さらに、移動分解能が小さな圧電アクチュエータをもちいて、押し込み量を制御するさいに、制御装置が必要であり、かつ、制御して開口を形成するためには数分の時間がかかる。したがって、開口作製のために、高電圧電源やフィードバック回路などの大がかりな装置が必要となる。また、開口形成にかかるコストが高くなる問題があった。
【0009】
また、特開平11-265520の方法によれば、加工対象は平板上の突起であるが、FIBを用いて開口を形成しているため、一つの開口の形成にかかる時間が10分程度と長い。また、FIBを用いるために、試料を真空中におかなければならない。従って、開口作製にかかる作製コストが高くなる問題があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、遮光膜で覆われた状のチップの先端近傍に存在し、近視野光を照射及び検出する光学的な開口を形成するにあたり、前記チップと略同じ高さを有する複数のストッパーに接触している接触体の少なくとも一部が、外部の力により変位し、変位した前記接触体の少なくとも一部を前記チップの先端近傍の前記遮光膜に接触させることにより前記開口を形成することを特徴とする光学的な開口の作製方法とした。したがって、本発明の光学的な開口の作製方法によれば、前記チップと略同じ高さを有するストッパーによって、前記接触体の変位が制御されるため、所定の力で平面を押すだけで簡単に光学的な開口を作製する事ができる。また、真空中、液中、大気中など様々な環境下で開口を作製することができる。また、光学的な開口を作製する際に特別な制御装置を必要としないため、光学的な開口を作製するための装置を単純化する事ができる。また、所定の力を与える時間を非常に短くすることが容易であり、開口作製にかかる時間を短くすることができるため、開口作製にかかるコストを低くすることができる。
【0011】
また、前記ストッパーが前記状のチップの近傍に配置され、前記状のチップと前記ストッパーを同時に形成することを特徴とする光学的な開口の作製方法とした。したがって、前記チップおよび前記ストッパーの高さの差を制御でき、かつ、高さの差を非常に小さくできるため、大きさが均一で、かつ、微小な光学的な開口を簡単に作製する事ができ、光学的な開口の作製歩留まりを向上させることが容易である。
【0012】
また、前記錐状のチップの少なくとも一部が複数層の誘電体で構成されていることを特徴とする光学的な開口の作製方法とした。したがって、開口近辺の誘電体材料をより高屈折率な材料とすることで、見かけ上カットオフ領域が狭くなり、高効率な開口を量産性よく作製することが可能となる。
【0013】
また、前記錐状のチップの斜面の少なくとも一部が複数の異なる斜度を有することを特徴とする光学的な開口の作製方法とした。したがって、開口に多くの光を集めることが可能となり、開口の高効率化が可能となる。またこの高効率な開口をシリコンプロセスにて一括で作製できることから、低コスト化が図れる。
【0014】
また、前記錐状のチップの少なくとも一部が誘電体で構成され、前記チップの近傍に配置されたストッパーの少なくとも一部が、半導体もしくは金属で構成されていることを特徴とする光学的な開口の作製方法とした。したがって、ストッパーの材料に加工性の優れた材料を選択することで、接触体と接触するストッパーの表面の平坦度及び表面粗さを小さくすることができることから、接触体とチップ頂点との距離をウェハ面内で均一にでき、形成される開口径を一定に保つことが可能となる。この結果、開口作製の歩留まりが向上し、開口形成の低コスト化が図れる。
【0015】
また、前記錐状のチップおよび前記ストッパーが同一基板上に複数個形成されていることを特徴とする光学的な開口の作製方法とした。したがって、同一基板上に形成された前記チップおよび前記ストッパーに、一括で前記力を加えることによって、一度に複数の前記チップに光学的な開口を形成することが可能であり、開口一つあたりの加工時間を非常に短くすることができ、結果として光学的な開口の作製コストを低くすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の開口の形成方法について、添付の図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1から図3は、本発明の実施の形態1に係る開口の形成方法について説明した図である。図1に示す、ワーク1000は、基板4上に形成された透明層5、透明層5の上に形成された状のチップ1および尾根状のストッパー2、チップ1、ストッパー2および透明層5の上に形成された遮光膜3からなる。なお、ワーク1000において、透明層5は、必ずしも必要ではなく、その場合、遮光膜3は、チップ1、ストッパー2および基板4上に形成される。また、遮光膜3は、チップ1にだけ堆積されていてもよい。
【0017】
チップ1の高さH1は、数mm以下であり、ストッパー2の高さH2は、数mm以下である。高さH1と高さH2の差は、1000nm以下である。チップ1とストッパー2の間隔は、数mm以下である。また、遮光膜3の厚さは、遮光膜3の材質によって異なるが、数10nmから数100nmである。
【0018】
チップ1、ストッパー2および透明層5は、二酸化ケイ素やダイヤモンドなどの可視光領域において透過率の高い誘電体や、ジンクセレンやシリコンなどの赤外光領域において透過率の高い誘電体や、フッ化マグネシウムやフッ化カルシウムなどの紫外光領域において透過率の高い材料を用いる。また、チップ1の材料は、開口を通過する光の波長帯において少しでもチップ1を透過する材料であれば用いることができる。また、チップ1、ストッパー2および透明層5は、同一の材料で構成されても良いし、別々の材料で構成されても良い。遮光膜3は、たとえば、アルミニウム、クロム、金、白金、銀、銅、チタン、タングステン、ニッケル、コバルトなどの金属や、それらの合金を用いる。
【0019】
図2は、開口を形成する方法において、チップ1上の遮光膜3を塑性変形させている状態を示した図である。図1で示したワーク1000の上に、チップ1および少なくともストッパー2の一部を覆い、かつ、少なくともチップ1およびストッパー2側が平面である板6を載せ、さらに板6の上には、押し込み用具7を載せる。押し込み用具7にチップ1の中心軸方向に力Fを加えることによって、板6がチップ1に向かって移動する。チップ1と板6との接触面積に比べて、ストッパー2と板6との接触面積は、数100〜数万倍も大きい。したがって、与えられた力Fは、ストッパー2によって分散され、結果として板6の変位量は小さくなる。板6の変位量が小さいため、遮光膜3が受ける塑性変形量は非常に小さい。また、チップ1およびストッパー2は、非常に小さな弾性変形を受けるのみである。力Fの加え方は、所定の重さのおもりを所定の距離だけ持ち上げて、自由落下させる方法や、所定のバネ定数のバネを押し込み用具7に取り付け、所定の距離だけバネを押し込む方法などがある。板6が、遮光膜よりも堅く、チップ1およびストッパー2よりも柔らかい材料である場合、チップ1およびストッパー2が受ける力は、板6によって吸収されるため、板6の変位量がより小さくなり、遮光膜3の塑性変形量を小さくすることが容易となる。
【0020】
図3は、力Fを加えた後に、板6および押し込み用具7を取り除いた状態を示した図である。遮光膜3の塑性変形量が非常に小さく、チップ1およびストッパー2が弾性変形領域でのみ変位しているため、チップ1の先端に開口8が形成される。開口8の大きさは、数nmからチップ1を通過する光の波長の回折限界程度の大きさである。なお、上記では、押し込み用具7とワーク1000の間に板6が挿入されていたが、板6を除去して直接押し込み用具7で押し込むことによっても同様に開口8を形成できることは、いうまでもない。開口8に光を導入するために、基板4をチップ1の形成面と反対側からエッチングすることによって透明体5またはチップ1の少なくとも一部を露出させて、開口8への光の導入口を形成する。また、基板4を透明材料103で構成することによって、光の導入口を形成する工程を省くことができるのは言うまでもない。
【0021】
以上説明したように、本発明の開口作製方法によれば、ストッパー2によって板6の変位量を良好に制御することができ、かつ、板6の変位量を非常に小さくできるため、大きさが均一で小さな開口8をチップ1先端に容易に作製することができる。また、基板側から光を照射して、開口8から近視野光を発生させることができる。
【0022】
次に、ワーク1000の製造方法を図4と図5を用いて説明する。図4は、基板材料104上に透明材料103を形成したのち、チップ用マスク101およびストッパー用マスク102を形成した状態を示している。図4(a)は上面図を示しており、図4(b)は、図4(a)のA-A'で示す位置における断面図を示している。透明材料103は、気相化学堆積法(CVD)やスピンコートによって基板材料104上に形成する。また、透明材料103は、固相接合や接着などの方法によっても基板材料104上に形成することができる。次に、透明材料103上にフォトリソグラフィ工程によって、チップ用マスク101及びストッパー用マスク102を形成する。チップ用マスク101とストッパー用マスク102は、同時に形成しても良いし、別々に形成しても良い。
【0023】
チップ用マスク101およびストッパー用マスク102は、透明材料103の材質と次工程で用いるエッチャントによるが、フォトレジストや窒化膜などを用いる。透明材料103は、二酸化ケイ素やダイヤモンドなどの可視光領域において透過率の高い誘電体や、ジンクセレンやシリコンなどの赤外光領域において透過率の高い誘電体や、フッ化マグネシウムやフッ化カルシウムなどの紫外光領域において透過率の高い材料を用いる。
【0024】
チップ用マスク101の直径は、たとえば数mm以下である。ストッパー用マスク102の幅W1は、たとえば、チップ用マスク101の直径と同じかそれよりも数10nm〜数μmだけ小さい。また、ストッパー用マスク102の幅W1は、チップ用マスク101の直径よりも数10nm〜数μmだけ大きくてもよい。また、ストッパー用マスク102の長さは、数10μm以上である。
【0025】
図5は、チップ1およびストッパー2を形成した状態を示している。図5(a)は上面図であり、図5(b)は、図5(a)のA-A'で示す位置の断面図である。チップ用マスク101およびストッパー用マスク102を形成した後、ウエットエッチングによる等方性エッチングによってチップ1およびストッパー2を形成する。透明材料103の厚さとチップ1およびストッパー2の高さの関係を調整することによって、図1に示す透明層5が形成されたり、形成されなかったりする。チップ1の先端半径は、数nmから数100nmである。この後、遮光膜をスパッタや真空蒸着などの方法で堆積する事によって、図1に示すワーク1000を形成する事ができる。また、遮光膜3をチップ1にだけ堆積する場合、遮光膜3の堆積工程において、チップ1上に遮光膜が堆積するような形状を有するメタルマスクを乗せてスパッタや真空蒸着などを行う。また、ワーク1000のチップが形成された面の全面に遮光膜3を堆積した後、チップ1にだけ遮光膜3が残るようなフォトリソグラフィ工程を用いても、チップ1上にだけ遮光膜3を形成する事ができることは言うまでもない。
【0026】
図6および図7は、上記で説明したワーク1000の作製方法におけるチップ1とストッパー2の高さの関係を説明する図である。なお、以下では、チップ用マスク101の直径が、ストッパー用マスク102の幅よりも小さい場合について説明する。図6は、図5(a)で説明した工程において、チップ1とストッパー2だけを示した図であり、図7は、図6中B-B'で示す位置のチップ1と、図6中C-C'で示す位置のストッパー2の断面図である。
図7(a)は、チップ1がちょうど形成された状態を示した図である。ストッパー用マスク102の幅は、チップ用マスク101の直径よりも大きいため、図7(a)の状態では、ストッパー2の上面には、平らな部分が残り、この平らな部分上にストッパー用マスク102が残っている。しかしながら、チップ用マスク101は、チップ1との接触面積が非常に小さくなるため、はずれてしまう。図7(a)の状態では、チップ1の高さH11とストッパー2の高さH22は、同じである。
図7(b)は、図7(a)の状態からさらにエッチングを進め、ストッパー2上面の平らな部分がちょうどなくなった状態を示している。図7(a)の状態からさらにエッチングを行うと、チップ用マスク101が無いチップ1の高さH111は、徐々に低くなっていく。一方、ストッパー用マスクが残っているストッパー2の高さH222は、H22と同じままである。ストッパー2の上面の平らな部分の幅は、徐々に狭くなり、断面形状は図7(b)に示すように、三角形になる。このときのチップ1とストッパー2の高さの差ΔHは、チップ用マスク101の直径とストッパー用マスク102の幅の差、および、チップ1とストッパー2の先端角によって異なるが、おおよそ1000nm以下程度である。
図7(c)は、図7(b)の状態からさらにエッチングを進めた状態を示している。チップ1の高さH1111は、高さH111よりも低くなる。同様に、ストッパーH2222の高さも、高さH222よりも小さくなる。しかし、高さH1111と高さH2222の減少量は、同じであるため、チップ1とストッパー2の高さの差ΔHは、変化しない。なお、ストッパー用マスク102の幅が、チップ用マスク101よりも小さい場合は、チップ1とストッパー2の高さの関係が逆になるだけである。また、チップ用マスク101とストッパー用マスク102が等しい場合は、チップ1とストッパー2の高さが等しくなることは言うまでもない。
【0027】
本発明のワーク1000の作製方法によれば、フォトリソグラフィ工程によってチップ1とストッパー2の高さの差ΔHを良好に制御することができる。したがって、図1から図3で説明した開口作製方法において、板6の変位量を良好に制御することができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態1によれば、チップ1とストッパー2の高さを良好に制御することができ、かつ、ストッパー2を設けることによって板6の変位量を小さくすることができるため、分解能の高いアクチュエータを用いなくても、大きさが均一で微小な開口8をチップ1先端に形成する事が容易である。我々の実験では、手に持ったハンマーなどで、押し込み用具7を叩くだけで直径100nm以下の開口8を形成する事ができた。また、チップ1とストッパー2の高さが良好に制御されるため、開口8の作製歩留まりが向上した。また、本発明の実施の形態1で説明したワーク1000は、フォトリソグラフィ工程によって作製可能なため、ウエハなどの大きな面積を有する試料に、複数個作製することが可能であり、力Fを一定にすることによって複数個作製されたワーク1000それぞれに対して均一な開口径の開口8を形成する事ができる。また、力Fの大きさを変えることが非常に簡単なため、複数個作製されたワーク1000に対して個別に開口径の異なる開口8を形成する事が可能である。また、単純に力Fを加えるだけで開口8が形成されるため、開口作製にかかる時間は数秒から数10秒と非常に短い。また、本発明の実施の形態1によれば、加工雰囲気を問わない。従って、大気中で加工する事が可能でありすぐに光学顕微鏡などで加工状態を観察できる。また、走査型電子顕微鏡中で加工することによって、光学顕微鏡よりも高い分解能で加工状態を観察することも可能である。また、液体中で加工することによって、液体がダンパーの役目をするため、より制御性の向上した加工条件が得られる。
また、ワーク1000が複数個作製された試料に対して、一括で力Fを加えることによって、開口径のそろった開口8を一度に複数個作製する事も可能である。一括で加工する場合、ウエハ一枚あたりのワーク1000の数にもよるが、開口1個あたりの加工時間は、数100ミリ秒以下と非常に短くなる。
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2に係る開口の形成方法について説明した図であり、本実施の形態2において、開口を先端に形成したチップ81の材料とストッパー82の材料とは異なっている。ここで、可視光帯域において非常に透過率が高い酸化珪素でチップ81を構成する場合、ストッパー82を、例えば単結晶シリコンで構成する。単結晶シリコンは酸化珪素に比べ切削や研磨などの機械加工の加工性が比較的良く、ストッパー82の材料に酸化珪素ではなく単結晶シリコンを選択することで、押し当て治具と接触するストッパー82の上面を表面粗さを小さく加工でき、且つ平坦度を向上させることも可能である。実際、通常のウェハ平坦化加工に用いられるラッピング加工において、単結晶シリコンと硝子との平坦度及び表面粗さを比較すると、表面粗さ(いわゆるRa)については、単結晶シリコンが1nm以下の大きさに対し、硝子(例えば石英)が3〜5nmと大きくなる。また、平坦度(いわゆるLTV)に関しても、単結晶シリコンが2μmなのに対し、硝子は5μm程度の大きさとなる(ともに直径4インチウェハでの比較)。このことから、ストッパー82の材料に酸化珪素を用いた場合、平坦度が単結晶シリコンに比べ比較的大きいことから、押し当て治具をストッパー82上に載せたときに、押し当て治具とストッパー82の上面が接触している点と接触していない点とが顕著に現れ、押し当て治具がストッパー82と接している点の高さとストッパー82の高さとにずれが生じ、たとえチップ81とストッパー82の一部の高さを正確に制御できていても、押し当て治具とチップ頂点との距離がばらつき、一定の力を押し当て治具に加えたとしても開口83のサイズにばらつきが生じる。また、表面粗さに関しても酸化珪素の場合、3〜5nmと大きいため、この大きさに応じた開口83のサイズのばらつきも生じる。これに対し、加工性の良い単結晶シリコンをストッパー82の材料として使用した場合は、表面粗さ或いは平坦度が向上することから、ウェハ全面においてチップ頂点と押し込み治具との距離を均一に保つことが可能となり、一定の力を押し込み治具に加えることで均一な開口形状を作製することが可能となる。これにより、開口作製の歩留まりが向上し、結果、デバイス作製に係るコストが低減する。また、このような開口を、近視野光を利用した高密度光メモリ用のヘッドのように、ストッパー82が最終的にデバイスの一部に残る場合、このストッパー82の材料を単結晶シリコンにすることで、ストッパー内において光の減衰がおき、ストッパー82の上面からの漏れ光を低減することができる。近視野光メモリの場合、開口以外からの漏れ光は、ノイズの大きな原因となることから、ストッパーに単結晶シリコンを使用することで、信号のSN比を大きく向上させることが可能となり、高密度近視野光メモリで高速化やSN比向上のために必要な部品の削除による低コスト化が実現する。
次に、図8で説明した実施の形態2に係わる開口作製方法の一例を示す。図9では、ストッパー面を形成するところの工程を示す。
まず、基板84の材料として単結晶シリコン基板を選択する(P91)。基板の種類は、いわゆるn型でもp型でも良い。また、面方位も(100)、(110)、(111)等どの方位を選択しても構わない。もちろん比抵抗についても問わない。
次に、P92のように、この単結晶シリコン基板をエッチングし、表面に凹凸を形成する。この凹凸が後にストッパー82の形として現れる。ここでのエッチング量は、チップ81の高さより若干高めに設定する。例えばチップの高さを10μm程度に設定した場合、12〜15μm程度に設定しておく。エッチングでは、半導体プロセスで使用されるフォトリソグラフィ工程にて、マスクパターンを形成し、選択的エッチングにて単結晶シリコンをエッチングする。その後、マスク材を剥離し、単結晶シリコンの表面に凹凸を形成する。このときのマスク材には、フォトレジストや酸化珪素、あるいは窒化珪素等を使用する。酸化珪素、窒化珪素をマスク材として使用するときは、単結晶シリコン基板上にその材料を積層し、フォトリソグラフィ工程にて形成したフォトレジストのパターンに合わせ、酸化珪素及び窒素珪素を加工することで、マスクパターンは形成される。エッチングには、反応性イオンエッチングに代表されるいわゆる乾式エッチングを使用する。乾式エッチングを使用することで、マスクパターンの形状を転写することが可能となり、垂直に加工することや任意の斜度を持たせることも可能となる。乾式エッチングで使用するガスとして、SF6、CF4、CHF3、C2H4等を用いる。乾式エッチングに限らず、湿式エッチングを用いることも可能である。この場合、単結晶シリコン基板には面方位が(100)の基板を選択する。(100)基板の(110)方向に対し水平なマスクパターンを形成し、単結晶シリコンに対し異方性のエッチングレート特性を有するエッチャント(例えば水酸化カリウムやTMAH)にてエッチングを施すと、(111)面へのエッチングレートが他の面方位に比べ極端に小さいことから、(111)面が斜面を形成するようにエッチングが進行する。この(111)面は、(100)面に対し、54.7°の開き角を有し、この一定角を有する凹凸が(100)単結晶シリコン基板表面に形成される。この特性を利用し、P92のような形状を作製できる。この湿式エッチングを用いるときのマスク材には、耐エッチャント性の高い材料、例えば酸化珪素或いは窒化珪素、を使用する。
次に、P93のように、チップ材料85を単結晶シリコンの凹凸上に積層する。チップ材料に酸化珪素を選択したときは、TEOS等の酸化珪素材料を含んだソースからのガスをプラズマあるいは熱、または光を用いた分解反応による気相積層法にて堆積させる。この方法は、通常真空状態で行われ、不純物が少なく純度の高い酸化珪素の堆積が可能である。あるいは、水硝子のような酸化珪素を含んだ液体を表面に塗布し、溶媒を蒸発させることで堆積させても良い。堆積させる量は、P92にてエッチングした深さ以上の厚みにする。
次に、P94のように、凹凸な表面を研削および研磨し、平坦化する。この平坦化の作業は、単結晶シリコン基板の凸部が表面に現れるまで行われる。この研磨加工において、脆く、堅い酸化珪素に比べ、単結晶シリコンが加工しやすい材料であるため、加工面に現れた単結晶シリコンの表面は、酸化珪素の表面に比べ、面内での平坦度及び表面粗さが小さくなる。
続いて、図10にてチップを形成する工程を示す。
まず、P95のように、チップ形成のためのマスクパターン86を研磨した酸化珪素表面に形成する。マスク材料には感光性フォトレジストを使用し、半導体プロセスのフォトリソグラフィ技術を用いることで寸法精度の高いマスクパターン86の形成が可能である。酸化珪素との密着性を考慮し、ネガ性のレジストを使用する方が好ましいが、もちろんポジ性のレジストを使用しても構わない。レジストの厚みは、厚みばらつきを容易に制御できる1μm程度が適切である。
次に、P96のように、酸化珪素をエッチングし、チップ81の形状を作製する。チップ81は、高さの低い台形から、高さがだんだんと高くなるとともに、上辺が短くなっていき、その後図のように三角形のチップ81となる。この台形から三角形になったときには、チップ81の頂点の高さがストッパー82の高さと一致しており、このときエッチングを終了する。エッチングには湿式のエッチングを用いても、乾式のエッチングを用いても構わない。湿式のエッチングでは、エッチャントとして、バッファーふっ酸(弗化水素酸と弗化アンモニウムの混合液)を使用し、アンダーエッチング量のコントロールにより任意のチップを形成する。乾式のエッチングでは、ガス種、流量の選択、プラズマのRFパワー、真空度がそれぞれ微妙にチップ形状に影響する。乾式のエッチングにおいても、弗化ガスや塩化ガスによる化学反応を利用したエッチングを用いても良いし、スパッタのような物理反応を利用したエッチングを用いても良い。チップ下に残った酸化珪素を導波路として機能させ、その導波路からチップを伝わって開口へと光を供給する。また、チップ下の酸化珪素がエッチング後にほとんど残らなかった場合には、基板となる単結晶シリコンにチップに向かって貫通した穴を開け、開口に光を供給することも可能である。
次に、P97のように、酸化珪素のエッチング時に使用したマスクを除去する。マスク材にフォトレジストを用いたときは、専用の剥離液を使用しても、硝酸や硫酸などで分解除去しても構わない。もちろん、アセトン等の有機溶剤で溶かして除去しても構わない。
次に、P98のように、チップを遮光する金属膜87をチップ側表面全体に積層する。積層する方法として、真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法、あるいはめっき法等を用いる。薄く、均一に積層でき、グレインを小さく抑えることができることから、真空蒸着法を主に使用する。この積層法により、100nmから1μm程度の範囲において、任意の厚みに積層する。積層する材料は、アルミニウム、金、銀、銅、白金、チタン、タングステン、クロム、およびそれらの合金が主要材料であるが、密着性を良くするためやグレインを抑えるために、微量であるがシリコンのような不純物を含ませる場合もある。
最後に、P99のように、実施の形態1で説明した方法にて、チップ頂点に光学的開口83を形成する。ここでは、その詳細は省略する。
このようにして、チップ81を酸化珪素で、ストッパー82を単結晶シリコンで構成した場合の開口形成方法が可能となる。
このように実施の形態2における開口形成方法により、ストッパー表面の平坦度や表面粗さを向上させることが可能となり、開口形成の歩留まりが向上し、開口形成のコスト低減が実現する。よって、この形成方法で作製した開口を有するデバイスの低価格化が実現する。
ここまでは、ストッパー82の材料として単結晶シリコンを使用した場合について説明してきたが、その他の材料を用いても構わない。例えば、ストッパー82では光を透過させる必要はなく、遮光する材料、例えば金属やそれらの合金がストッパー82の一部および全体を構成していても構わない。その場合の作製方法は、基板自体にその材料を使用しても構わないし、あるいは別の基板上にその材料を堆積させ、単結晶シリコンを加工したのと同様にその材料を加工することで、同様の構成を作製すること勿論可能であるので、詳細は省略する。
(実施の形態3)
図11は、実施の形態3に係わる開口の形成方法について説明した図である。本実施の形態においては、チップ111及びストッパー112が、透過性の高い2層の異なる酸化珪素で構成されている。本構成の開口形成方法においては、実施の形態1の開口形成方法と同様に、エッチングによりチップ111とストッパー112を同時に作製する。ところが、チップ111とストッパー112がことなる材料で2層に形成されていることから、その異なる材料でエッチングのレートに差があり、上層と下層ではそのテーパ角が異なる。例えば、図11の例でいえば、下層118の材料は、上層119の材料よりエッチングレートが早いため、下層118は鋭い角度でチップが形成されていくが、上層119はエッチングレートが遅いため、頂角が鈍角のチップ111とストッパー112が形成される。この結果、下層118が上層119に比べテーパ角が大きい2段のチップ111とストッパー112が形成させる。
【0028】
図12は、2段のチップ部を拡大した図であり、頂点には開口113が形成されている。この図を用いて2段に形成されたチップの光学的な効果を説明する。はじめに、図13で1段テーパのチップ内での光伝搬の様子を説明する。開口120へ向かってくる光は、ある角度をもってテーパ内に入射する。その一部は直接開口120へと照射されるが、そのほとんどはテーパ部の金属膜121により反射され、その方向はテーパの角度が一定なことからほぼ同一の角度にて反射される。よって、テーパで反射された光は、チップ内で反射を繰り返し、開口120へ到達することはまずない。このようにチップ内で反射を繰り返す光は別の反射された光と干渉を起し、チップ内のある領域において、光強度の強い点が発生する。この点では、開口部での強度の十倍以上となることがある。
【0029】
この光の強い点に開口を位置づけることで、開口からの光強度を増加させることができる。2段のテーパをもつチップによりこれを実現した。図12を用いてその様子を説明する。直接開口113へ向かってくる光は、1段テーパのときと変わらないが、金属膜117で反射した光の一部は開口方向へと反射される。例えば、図12のように下層の金属膜117で反射した光は、テーパ角が異なる上層で形成せれた開口方向へと反射される光が存在する。また、下層の金属膜117で反射したまた別の光は、上層の金属膜117でさらに反射され、開口近辺へと反射される。このような原理から、光の入射する角度と、下層のテーパ角、上層のテーパ角と厚みを調整することで、チップ内での開口部と離れた位置に存在した光強度の大きい点を開口近辺に位置づけることが可能となり、開口からの光量が増加する。つまり、開口部の光利用効率を向上させることが可能となる。
【0030】
図14と図15を用いて図11で説明した実施の形態3に係わる開口作製方法の一例を示す。
【0031】
まず、図14では、チップおよびストッパーとなる材料である誘電体を積層する工程を説明する。
【0032】
はじめに、P141のように、基板114上に導波路115として機能する材料を積層させる。基板114には、単結晶シリコンやガリウム砒素基板、硝子材基板などを使用し、導波路115には、可視光帯域にて透過率の高い酸化珪素や窒化珪素、ダイヤモンド薄膜等を使用し、プラズマ、熱、光等による化学分解反応を利用した気相真空積層法にて堆積させる。この導波路115によりチップ111および開口113に光を供給できる。導波路115は必ずしも形成する必要はなく、その場合、チップへの光の供給は、直接基板114から行ったり、あるいは、基板自体にチップまで貫通した穴を開け、その穴を通して行っても良い。そこで、基板114に透過率の高い材料を用いた場合には、その基板自体が導波路の役割を担う場合がある。
【0033】
次に、P142とP143のように、2層の異なるチップ材料を積層させる。例えば、上層119に酸化珪素、下層118にフッ素をドープした酸化珪素を用いることで図11のような2段テーパのチップ111及びストッパー112の作製は可能である。酸化珪素は、TEOSソースのプラズマCVD法にて積層でき、この条件に、CF4ガスを混入させることで、フッ素ドープした酸化珪素をを積層できる。ここで、酸化珪素にドープする材料は、フッ素に限らず、ガリウム、ボロン、リン等、他の材料を用いても構わない。これら、酸化珪素中に不純物を混入させることで、エッチング速度を変化させることができる。
【0034】
続いて、図15にて、チップ及びストッパーを形成する工程について説明する。
【0035】
まず、P144のように、堆積した酸化珪素上に半導体プロセスのフォトリソグラフィ技術を用いてチップとストッパー形成用のマスクパターン116をフォトレジストで形成する。スピンコートにて面内1μm程度の厚みに均一に塗布したレジストを別途設けたフォトマスクパターンを用いて、必要な個所だけ露光し、専用の現像液にて溶解することで、必要なパターン形状が容易に得られる。
【0036】
次に、P145とP146のように、酸化珪素をエッチングし、チップ111とストッパー112を形成する。エッチングは、チップが形成するまで中断なしで連続的に行われる。まず、上層119のエッチングが終了した時点での断面図をP145に示す。チップはまだ台形形状をしており、チップ及びストッパーの斜面は1段のテーパ角でしかない。さらにエッチングを進行させ、チップエッチングが終了した時点の断面図をP146に示す。上層119と異なる材料の下層118をエッチングしたことから、エッチングレートが上がり、斜面の角度に変化が生じた。その結果、2段のテーパ角を持つチップ111とストッパー112が形成された。この場合も、チップ形状が台形から三角形に移るときにエッチングを終了させ、スライダー高さとチップ高さを一致させている。
【0037】
次に、P147のように、エッチング用のマスクを剥離し、チップ111とストッパー112の表面をきれいに洗浄する。
【0038】
次に、P148のように、金属膜117、例えばアルミニウム、金、チタン、白金等をチップ及びストッパー上に積層させる。
【0039】
最後に、P149のように、実施の形態1で説明した方法にて、チップ頂点に光学的開口113を形成する。ここでは、その詳細は省略する。
【0040】
このように実施の形態3における開口形成方法により、シリコンプロセスを用いて量産性良く高効率な開口が作製でき、コスト低減が実現する。このような開口部の光利用効率の向上により、この形成方法で作製した開口をもつプローブを使用した近視野光顕微鏡においては、より高分解能な光測定においても、精度よく観察することができる。また、この開口から発生する近視野光を利用することで、高分解能な光加工が実現する。また、高分解能な光学分析が可能となる。また、この形成方法で作製した開口を利用した高密度用光メモリにおいては、SN比が向上することから、高速化を図れる。また、光源の出力を抑えても十分に記録および再生できることから、光源の低電圧化、低消費電力化、高寿命化、低価格化、小型化が図れ、メモリ装置においても、同様に、光源の低電圧化、低消費電力化、高寿命化、低価格化、小型化の効果が図れる。
【0041】
ここまでは、チップ111とストッパー112の下層118にエッチングレートの早い材料を、上層119にエッチングレートの遅い材料を選択した場合の説明をしたが、上層119にエッチングの早い材料を、下層118にエッチングの遅い材料を選択しても構わない。この場合、頂角が鋭く切り立つような形状となるが、入射する光の角度と上層119及び下層118の角度や厚みを調整することで、図12のような光学的な効果を導き出すことは可能である。また、チップ頂角が小さくなることで、任意の大きさの開口を形成するときの押し込み範囲が広がり、開口形成の歩留まりが向上し、製造コストの削減が実現する。
【0042】
また、上層と下層とでエッチングレートに差が無く、チップ形状が1段となった場合でも、特に上層に高屈折率材料を選択した場合に、屈折率nの材料内での光の波長が見かけ上空気中での波長の1/nとして振舞うことから、開口近辺のカットオフ領域が狭くなることの光学的な効果により、開口からの光量を増加させることが可能となる。また、これと同様の効果は、図16のような構成においても発揮される。この図16では、チップおよびストッパーが形成された後に、その上面に高屈折率材料161を薄く積層させた図であり、開口163が実施の形態1で説明した作製方法にて形成されている。この場合にも、チップ形状は1段であるが、開口近辺では高屈折材料161によりカットオフ領域が狭くなり、開口での高光利用効率化が図れる。
【0043】
また、ここまでは、2層の異なる酸化珪素の場合について説明したが、2層に限らず、3層または4層、それ以上の複数の異なる材料で形成されたチップ及びストッパーを使用しても構わない。また、また、酸化珪素に限らず、窒化珪素やカーボン系の透明材料(ダイヤモンド等)をチップ及びストッパーの材料として使用しても構わない。また、2層の異なる材料として、例えば酸化珪素と窒化珪素を用いても同様の形状が可能であり、同様の効果を発揮する。
【0044】
【発明の効果】
チップ1とストッパー2の高さ、および、力Fを制御する事によって、分解能の高いアクチュエータを用いなくても、簡単に開口8を形成する事ができる。また、チップ1とストッパー2の高さが良好に制御されるため、開口8の作製歩留まりが向上した。また、本発明の実施の形態1で説明したワーク1000は、フォトリソグラフィ工程によって作製可能なため、ウエハなどの大きな面積を有する試料に、複数個作製することが可能であり、力Fを一定にすることによって複数個作製されたワーク1000それぞれに対して均一な開口径の開口8を形成する事ができる。また、力Fの大きさを変えることが非常に簡単なため、複数個作製されたワーク1000に対して個別に開口径の異なる開口8を形成する事が可能である。また、単純に力Fを加えるだけで開口が形成されるため、開口作製にかかる時間は数10秒以下と非常に短い。また、本発明の実施の形態1によれば、加工雰囲気を問わない。従って、大気中で加工する事が可能でありすぐに光学顕微鏡などで加工状態を観察できる。また、走査型電子顕微鏡中で加工することによって、光学顕微鏡よりも高い分解能で加工状態を観察することも可能である。また、液体中で加工することによって、液体がダンパーの役目をするため、より制御性の向上した加工条件が得られる。
また、ワーク1000が複数個作製された試料に対して、一括で力Fを加えることによって、開口径のそろった開口8を一度に複数個作製する事も可能である。一括で加工する場合、ウエハ一枚あたりのワーク1000の数にもよるが、開口1個あたりの加工時間は、数100ミリ秒以下と非常に短くなる。
【0045】
また、ストッパーをチップと異なる加工性の優れた材料で構成することで、ストッパー上面の平坦度や表面粗さを向上させることが可能となる。これにより、押し当て治具とチップ頂点との距離をウェハ面内で一定に保持することが可能となり、押し当て治具に加える一定の力により、形成される開口径も一定となる。この結果、狙った径の開口を容易に作製できるとともに、開口形成の歩留まりが向上し、開口形成のコスト低減が実現する。よって、この形成方法で作製した開口を有するデバイスの低価格化が実現する。
【0046】
また、異なるテーパ角を有する複数の斜度で形成されたチップを用いて開口を形成することで、シリコンプロセスを用いて量産性良く高効率な開口が作製でき、コスト低減が実現する。この形成方法で作製した高効率な開口をもつプローブを使用した近視野光顕微鏡においては、より高分解能な光測定においても、精度よく観察することが可能となる。また、この高効率な開口から発生する近視野光を利用することで、高分解能な光加工が実現する。さらに、高分解能な光学分析が可能となる。また、この形成方法で作製した高効率な開口を利用した高密度用近視野光メモリにおいては、SN比が向上することから、高速化を図れる。また、光電変換率の低い検出器を用いても再生できることから、装置の低価格化が実現する。また、光源の出力を抑えても十分に記録および再生できることから、光源の低電圧化、低消費電力化、高寿命化、低価格化、小型化が図れ、メモリ装置全体においても、同様に、光源の低電圧化、低消費電力化、高寿命化、低価格化、小型化の効果が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る開口の形成方法について説明した図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る開口の形成方法について説明した図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る開口の形成方法について説明した図である。
【図4】ワーク1000の製造方法について説明した図である。
【図5】ワーク1000の製造方法について説明した図である。
【図6】ワーク1000の作製方法におけるチップ1とストッパー2の高さの関係を説明する図である。
【図7】ワーク1000の作製方法におけるチップ1とストッパー2の高さの関係を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る開口の形成方法について説明した図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係わる開口作製方法の一例におけるストッパー形成工程を説明した図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係わる開口作製方法の一例におけるチップ形成工程を説明した図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係わる開口の形成方法について説明した図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係わる2段のチップ部を拡大した図である。
【図13】1段テーパのチップ内での光伝搬の様子を説明した図である。
【図14】本発明の実施の形態3に係わる開口作製方法の一例における誘電体積層工程を説明した図である。
【図15】本発明の実施の形態3に係わる開口作製方法の一例におけるチップ及びストッパー形成工程を説明した図である。
【図16】本発明の実施の形態3に係る開口の形成方法について説明した図である。
【符号の説明】
1 チップ
2 ストッパー
3 遮光膜
4 基板
5 透明層
6 板
7 押し込み用具
8 開口
101 チップ用マスク
102 ストッパー用マスク
103 透明材料
104 4基板材料
1000 ワーク
F 力
H1 チップの高さ
H2 ストッパーの高さ
81、111 チップ
82、112 ストッパー
83、113、120、163 開口
84、114 基板
85 チップ材料
86、116 マスクパターン
87、117、121 金属膜
115 導波路
118 下層
119 上層
161 高屈折材料

Claims (8)

  1. 錐状のチップと前記チップ上に備えられた遮光膜とを有する近視野光デバイスにおける前記チップ先端に、接触体を接触させることによって前記遮光膜を塑性変形させて開口を形成する光学的な開口の作製方法において、
    前記近視野光デバイスと、前記チップと略同じ高さの度当たり部を有するストッパーとを備える被開口形成体を略平坦な面上に形成し、
    前記接触体は前記チップを覆うとともに前記ストッパーの少なくとも一部を覆うような略平面部を有するものであり、前記接触体と前記度当たり部とを接触させることによって前記接触体の変位を制御することにより、前記チップ先端に前記開口を形成し、
    前記錐状のチップの少なくとも一部が複数層の誘電体で構成されていることを特徴とする光学的な開口の作製方法。
  2. 錐状のチップと前記チップ上に備えられた遮光膜とを有する近視野光デバイスにおける前記チップ先端に、接触体を接触させることによって前記遮光膜を塑性変形させて開口を形成する光学的な開口の作製方法において、
    前記近視野光デバイスと、前記チップと略同じ高さの度当たり部を有するストッパーとを備える被開口形成体を略平坦な面上に形成し、
    前記接触体は前記チップを覆うとともに前記ストッパーの少なくとも一部を覆うような略平面部を有するものであり、前記接触体と前記度当たり部とを接触させることによって前記接触体の変位を制御することにより、前記チップ先端に前記開口を形成し、
    前記錐状のチップの斜面の少なくとも一部が複数の異なる斜度を有することを特徴とする光学的な開口の作製方法。
  3. 透明材料上に、前記チップを形成するために用いられるチップ用マスク及び前記ストッパーを形成するために用いられるストッパー用マスクを形成し、
    前記チップ用マスク及び前記ストッパー用マスクを用いて前記透明材料の等方性エッチングを行うことにより、前記透明材料に前記チップと前記ストッパーとを同時に形成することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の光学的な開口の作製方法
  4. 前記錐状のチップの斜面の少なくとも一部が複数の異なる斜度を有することを特徴とする請求項に記載の光学的な開口の作製方法。
  5. 錐状のチップと前記チップ上に備えられた遮光膜とを有する近視野光デバイスにおける前記チップ先端に、接触体を接触させることによって前記遮光膜を塑性変形させて開口を形成する光学的な開口の作製方法において、
    前記近視野光デバイスと、前記チップと略同じ高さの度当たり部を有するストッパーとを備える被開口形成体を略平坦な面上に形成し、
    前記接触体は前記チップを覆うとともに前記ストッパーの少なくとも一部を覆うような略平面部を有するものであり、前記接触体と前記度当たり部とを接触させることによって前記接触体の変位を制御することにより、前記チップ先端に前記開口を形成し、
    前記錐状のチップの少なくとも一部が誘電体で構成され、前記チップの近傍に配置されたストッパーの少なくとも一部が、半導体もしくは金属で構成されていることを特徴とする光学的な開口の作製方法。
  6. 前記錐状のチップの少なくとも一部が複数層の誘電体で構成されていることを特徴とする請求項に記載の光学的な開口の作製方法。
  7. 前記錐状のチップの少なくとも一部が誘電体で構成され、前記チップの近傍に配置されたストッパーの少なくとも一部が、半導体もしくは金属で構成されていることを特徴とする請求項に記載の光学的な開口の作製方法。
  8. 前記錐状のチップおよび前記ストッパーが同一基板上に複数個形成されていることを特徴とする請求1から請求項のいずれか1つに記載の光学的な開口の作製方法。
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