JP4450666B2 - スチールワイヤおよびスチールコードの巻き取り方法とスチールコードの製造方法 - Google Patents

スチールワイヤおよびスチールコードの巻き取り方法とスチールコードの製造方法 Download PDF

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本発明は、スチールワイヤおよびスチールコードを巻取リールに巻き取った際の、巻癖を抑制し得るスチールワイヤおよびスチールコードの巻き取り方法と、これら巻き取り方法を利用してスチールコードを製造する方法に関するものである。
ゴム物品、特に、その典型例であるタイヤの補強に用いられるスチールワイヤ並びにスチールコードには、幾つかの基本性能が求められている。その1つは真直性であり、この真直性に劣ると、例えばタイヤ製造の際のカレンダー工程にて、スチールワイヤまたはコードのゴム引き布であるトリート材が反り返った状態になり、トリート材相互の接合に支障をきたす。
従来、タイヤの補強材などに適用するスチールワイヤは、鋼線材に熱処理次いでブラスめっきを施した後、該鋼線材を複数の引抜ダイスに通して湿式伸線加工を行い、例えば径を0.15〜0.40mm程度まで伸線することによって得られる。さらに、得られたスチールワイヤの複数本を撚り合わせれば、スチールコードが得られる。
タイヤを製造する際に、スチールワイヤ又はコードを使用するときは、規定長さのワイヤ又はコードを一旦リールに巻き付けておき、このリールからワイヤ又はコードを巻き出して、スチールワイヤ又はコードを未加硫ゴムに埋設してトリート材とするのが一般的である。このトリート材は複数枚を接合して、それを例えばカーカスプライやベルトとして貼り合わせて、生タイヤを成形するのに供する。従って、トリート材中のスチールワイヤ又はコードが曲がっていると、トリート材に反りとして反映され、トリート材相互の接合が阻害されるのである。
従来、スチールワイヤの真直性は、例えば、伸線後に曲げと引張り加工などを付与して矯正を行って真直性を確保し、またコードの場合は、複数本のスチールワイヤを撚り合せた後に、曲げと引張り加工などを行って真直性を確保している。このように、スチールワイヤおよびコードは、タイヤ製造時に悪影響を与えないように、その製造時に真直性について調整を行っている。
かような工程を経て製造されたスチールワイヤおよびコードは、共に巻取リールに巻かれて保管或いは次工程に向けて待機させられるが、この巻取リールに巻くことで真直性が悪化する、いわゆる巻癖が生じる。特に、巻きつける巻取リールの径が小さければ小さいほど真直性の悪化の問題は大きかった。
すなわち、これまで巻取リールに巻き付ける前段階での真直性の改善は実施してきたが、巻取リールに巻取った後に生じる、巻き付け時の曲げ変形に起因した巻癖の問題は残ったままであり、巻取リールの前段に行う、治具などを使用した真直性の改善だけでは不十分であった。
特に、タイヤ製造の際に、スチールワイヤまたはコードにゴム被覆してトリート材を製造するに当たって、スチールワイヤまたはコードに使用するワイヤの径が太いほど、又は、ワイヤの使用量が多いかゴムの使用量が少ないほど、スチールワイヤまたはコードがゴムの剛性より強くなり、カレンダー工程にてトリート材が反り返った状態となる結果、トリート材の接合不良をまねくのである。
このトリート材の反りの問題について、特許文献1には、タイヤ用部材であるスチールコードのフィラメント径が太くなる傾向に対して、太いフィラメント径に対してもコード−ゴムコーティング反の反りをなくして製造作業性を改善するための技術が提案されている。
すなわち、コードが太く曲げ剛性が大きくなり、トリートの剛性が小さくなった場合にトリートが反る問題を、
(i)スプール(巻取リール)の芯径を従来考えられなかったくらい大きくすること、
(ii)スプール上側巻き出しと下側巻き出しとを交互にすること、
(iii)搬送用ベルトコンベア上でコード・ゴムコーティング部材の反り方向を下側へ向けること
にて、解消するものである。
特開平8−13366号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示の技術には、次のような改善が望まれていた。
(I)スプールの芯径を大きくするには限度があり、従来考えられなかったくらい大きくするには新たな設備投資が必要となり、コストの上昇を避けることができない。
(II)スプールからの巻き出しを上下で交互にすることは、セット時の作業性を煩雑にして生産性の低下をまねく、おそれがある。
(III)過度の反りが発生した場合は、搬送用ベルトコンベア上でトリート材の反り方向を下側に向けることでは対処し切れない場合がある。
そこで、本発明は、巻取リールに巻取ったスチールワイヤ又はコードにおける真直性の悪化を抑制するための巻き取り方法について提案することを目的とする。かような巻き取りを経たスチールワイヤ又はコードは、それを未加硫ゴム中に埋設した際に、スチールワイヤ又はコードが真直性に乏しい為にスチールワイヤ又はコードを埋設した未加硫ゴムが反り、タイヤ製造時の作業性を低下させてしまうという、問題を解消することができる。
従来、スチールワイヤ又はコードは、比較的径の小さいリールを巻取リールとして使用していることから、巻癖によって真直性が悪化し、さらに時間が経つと、その傾向が大きくなっていた。この現象は、小さい径の巻取リールにスチールワイヤ又はコードを巻くことによって、ワイヤが塑性変形して巻癖となって現れるものであり、特に伸線等の強加工がなされた鋼線材では、いわゆるひずみ時効の関与により、真直性がさらに悪化するものと推定される。
発明者は、このひずみ時効を逆に利用して、真直性が保持された状態下で予めワイヤのひずみ時効を促進しておけば、その後に巻取リールに巻き付ける際に曲げ変形を与えても塑性変形し難い状態となり、小さい径の巻取リールに巻いても真直性が悪化しないことを新たに見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明の要旨構成は、次のとおりである。
(1)製造後のスチールコードを巻取リールに巻き取るに先立ち、該スチールコードを大径の仮巻リールに一旦巻き取り、仮巻リールに巻き付けたスチールコードに、下記式(A)を満足する温度T(℃)および時間t(秒)の下に加熱処理を施し、その後巻取リールに巻き取ることを特徴とするスチールワイヤの巻き取り方法。

(D ×exp(−Q/(R×(T+273)))×t) 0.5 ×10 9 ≧16.3 …(A)
ここで、Cの振動数項D =1.24×10 −0.5 m 2 /s
活性化エネルギーQ=99.5×(1−30.9/(T+273))KJ/mol
気体定数R=8.314472J/mol・K
)上記(1)において、仮巻リールとして、スチールワイヤの径dに関して下記式(B)を満足する曲率半径rにて該スチールワイヤの巻付けが可能であるリールを用いることを特徴とするスチールワイヤの巻き取り方法。

d/2r×100≦0.13 …(B)
)製造後のスチールコードを巻取リールに巻き取るに先立ち、該スチールコードを大径の仮巻リールに一旦巻き取り、仮巻リールに巻き付けたスチールコードに、下記式(A)を満足する温度T(℃)および時間t(秒)の下に加熱処理を施し、その後巻取リールに巻き取ることを特徴とするスチールコードの巻き取り方法。

(D ×exp(−Q/(R×(T+273)))×t) 0.5 ×10 9 ≧16.3 …(A)
ここで、Cの振動数項D =1.24×10 −0.5 m 2 /s
活性化エネルギーQ=99.5×(1−30.9/(T+273))KJ/mol
気体定数R=8.314472J/mol・K
)上記()において、仮巻リールとして、スチールコードを構成するワイヤの径dに関して下記式(B)を満足する曲率半径rにて該ワイヤの巻付けが可能であるリールを用いることを特徴とするスチールコードの巻き取り方法。

d/2r×100≦0.13 …(B)
)製造後のスチールワイヤを大径の仮巻リールに一旦巻き取り、仮巻リールに巻き付けたスチールワイヤに加熱処理を施してから、該スチールワイヤを巻取った巻取リールを、複数用意し、各巻取リールから巻出した複数本のスチールワイヤを撚り合わせてスチールコードとし、その後スチールコードを大径の仮巻リールに一旦巻き取り、仮巻リールに巻き付けたスチールコードに加熱処理を施してから、スチールコードを巻取リールに巻き取ることを特徴とするスチールコードの製造方法。
)上記()において、下記式(A)を満足する温度T(℃)および時間t(秒)の下に加熱処理を施すことを特徴とするスチールコードの製造方法。

(D×exp(−Q/(R×(T+273)))×t)0.5×109≧16.3 …(A)
ここで、Cの振動数項D=1.24×10−0.5m2/s
活性化エネルギーQ=99.5×(1−30.9/(T+273))KJ/mol
気体定数R=8.314472J/mol・K
)上記(5)または(6)において、仮巻リールとして、スチールワイヤの径dに関して下記式(B)を満足する曲率半径rにて該スチールワイヤの巻付けが可能であるリールを用いることを特徴とするスチールコードの製造方法。

d/2r×100≦0.13 …(B)
本発明によれば、スチールワイヤ又はコードを小さい径の巻取リールに巻き付けた際の巻癖を抑制することができる。従って、本発明に従って巻取ったスチールワイヤ又はコードは、巻取リールから巻き出した際の真直性は良好であり、これらスチールワイヤ又はコードを未加硫ゴム中へ埋設して得られるトリート材は平坦に保たれるため、その相互接合を確実かつ容易に行うことができ、タイヤ製造時の作業性が改善される。
次に、本発明のスチールワイヤ又はコードの巻き取り方法について、図面を参照して詳しく説明する。
まず、スチールワイヤの場合を図1に示す。同図(a)に示すように、例えばC量が0.6〜1.2質量%を含む炭素鋼による線材1を伸線機2にて線引きして得た、スチールワイヤ(以下、単にワイヤと示す)3は、必要に応じて矯正機4に通したのち、加熱処理を施して、後述の真直性が保持された状態下でひずみ時効を促進し、ワイヤ3の降伏点を加熱処理前に比較して高くすることが肝要である。
この加熱処理は、伸線後のワイヤ3を巻取リールに巻き取るまでのライン上に加熱炉等を設けて、該ラインを移動するワイヤ3に対して連続的に加熱処理を行うこともできるが、巻取ラインの延長や設備費の増加を余儀なくされることから、図1(a)に示すように、伸線後のワイヤ3を一旦、真直性が阻害されない程度の大径の仮巻リール5に巻き取り、次に同図(b)に示すように、ワイヤ3を巻き付けた仮巻リール5を恒温槽6に装入し、ここで加熱処理を行う。その後、恒温槽6から仮巻リール5を取出し、加熱処理によってひずみ時効が促進されて降伏点が引き上げられたワイヤ30を、仮巻リール5から所定量巻き出して巻取リール7に巻き取る。なお、恒温槽6としては、少なくとも50〜100℃を制御可能な自然対流タイプの定温乾燥器を用いることができるが、加熱処理の雰囲気は特に限定する必要はなく、大気中で処理しても構わない。
ここで、ひずみ時効は、CやNなどの侵入型固溶原子が、例えば時間の経過とともに転位に固着することによって現れるものであり、その因子としては、時間の他、温度、侵入型固溶原子の量および転位密度などが挙げられる。そして、伸線加工を経たワイヤには、その縮径に伴って大きなひずみが加わり、内部の転位は高密度になっている。すなわち、伸線後のワイヤは、侵入型固溶原子が固着する転位が十分に存在する状態にある。
そこで、この伸線後のワイヤに軽い加熱処理を施して侵入型固溶原子の拡散を速めることによって、短時間にひずみ時効を促進することが可能になり、この操作によってワイヤが持つ降伏点は上昇する結果、巻き取り時に塑性変形し難いワイヤが得られるのである。
このひずみ時効を促進させる加熱処理には、適当な熱と時間が必要であり、下記式(A)を満足する温度T(℃)および時間t(秒)の下に加熱処理を施すことが有利である。なお、下記式(A)を満足する加熱処理であれば、特に処理形態を問う必要はない。

(D×exp(−Q/(R×(T+273)))×t)0.5×109≧16.3 …(A)
ここで、Cの振動数項D=1.24×10−0.5m2/s
活性化エネルギーQ=99.5×(1−30.9/(T+273))KJ/mol
気体定数R=8.314472J/mol・K
この数式Aは、鉄中に侵入型固溶原子であるCが拡散する拡散移動距離を示す指標であり、この指標でひずみ時効の進み程度を示すものである。この数字が小さいときは侵入型固溶原子であるCが十分に拡散移動できず、転位への固着が不十分となり、つまり、ひずみ時効が不十分ということになる。数式Aの値が16.3以上にならないと、真直性を保持しておいて、その後大きな曲げ歪を与えると、いわゆる巻き癖を起こしてしまう。
また、加熱処理を、図1に示したように、仮巻リールに巻き付けた状態で行う場合は、この仮巻リールとして、ワイヤの径dに関して下記式(B)を満足する曲率半径rにて該ワイヤの巻付けが可能であるリールを用いることが好ましい。

d/2r×100≦0.13 …(B)
なぜなら、B式は、ワイヤに曲げ変形を与えたとき、ワイヤ表面にかかる表面ひずみを示すものであり、B式が0.13を超えるような値をとると、真直性を保持しているとは言えなくなる表面ひずみが与えられ、この状態でひずみ時効を加速しても十分な真直性が得られない。
次に、スチールコード(以下、単にコードと示す)の巻き取り方法について、図2を参照して説明する。
すなわち、コード9は複数本のワイヤを撚線機8にて撚り合わせることによって得られるが、これらワイヤには、図1に示すところに従って巻取リール7に巻き取って降伏点の上昇を図ったワイヤ30を用いることが好ましい。勿論、通常の伸線及び巻き取り工程を経たワイヤを用いることもできる。
かくして製造されたコード9は、図2(a)に示すように、一旦、大径の仮巻リール10に巻き取り、次に同図(b)に示すように、コード9を巻き付けた仮巻リール10を恒温槽6に装入し、ここで加熱処理を行う。その後、恒温槽6から仮巻リール10を取出し、加熱処理によってひずみ時効を促進して降伏点が引き上げられたコード90を、仮巻リール10から所定量巻き出して巻取リール11に巻き取る。以上の工程は、基本的に図1に示したワイヤの巻き取りと同様であり、巻き取り時のコードの塑性変形が回避されるのである。
また、仮巻リール10における加熱処理について、上述の式(A)、さらには式(B)を満足する条件下で行うことが有利であることは、上記したワイヤの場合と同様である。なお、式(B)の適用において、ワイヤの径dは、コードを構成する素線としてのワイヤの径を意味し、コードが径の異なるワイヤから成る場合は、同径本数の最も多いワイヤの径か、同径本数が同じときはコードの外層に存在するワイヤの径を採用する。
以上の巻き取りを経たワイヤまたはコードは、その巻取リール7または11から巻き出して、例えばワイヤ又はコードと未加硫ゴムと複合してトリート材を製造するのに供する。
ちなみに、ワイヤ又はコードの素材としては、ある程度の強度を得る為、C量が0.6〜1.2質量%程度の鋼を用いることが推奨される。すなわち、C量が0.6質量%未満では必要な強度を得ることが難しく、一方1.2質量%より高いと熱処理工程で適当な金属組織が得られず、伸線中に断線をまねいて生産性を阻害する、おそれがある。
C:0.80質量%を含有する高炭素鋼線材(直径:5.5mm)に、直径を約1.4mmになるまで乾式伸線を施した後、パテンティング処理およびブラスめっき処理を施した。次いで、この線材に径が0.20mmになるまで湿式伸線加工を施し、最終伸線ダイス後に千鳥足状に配置したロールによる矯正機に通して真直性を確保した後、表1に示す条件の加熱処理を施した。具体的には、予め準備した大径の仮巻リールに巻き付けて恒温槽内に装入し一定時間保持して熱を与えた。その後、表1に示す径の巻取リールに巻き取り、そのまま2週間放置してから、真直性の評価を以下のようにして実施した。さらに、2週間放置した巻取リールから巻き出したワイヤを未加硫ゴム中に50本/50mmで埋設したトリート材を製造し、その性状とトリート材相互の接合作業性とを評価した。
同様に、パテンティング処理及びブラスめっきした1.7mm径の線材を0.3mm径に、そしてパテンティング及びプラスめっきした1.8mm径の線材を0.35mm径に、それぞれ伸線し、次いで表1に示す条件の加熱処理を施した。その後、表1に示す径の巻取リールに巻き取り、そのまま2週間放置してから、真直性の評価を以下のようにして実施した。さらに、2週間放置した巻取リールから巻き出したワイヤを未加硫ゴム中に20本/50mmで埋設したトリート材を製造し、その性状とトリート材相互の接合作業性とを評価した。
これらの評価結果を、表1に併記する。
なお、真直性は、アークハイトで評価した。すなわち、図3に示すように、切断した40cmの長さのワイヤ又はコードを平面精度の高い滑らかな平面上に置いたときにワイヤ又はコードが描く円弧の高さAH(アークハイト)で表し、この円弧の高さAHを真直性の指標とする。勿論、このAHが小さいほど、真直性が良好であることを示し、40mm/40cm未満であれば、トリート材における反りの発生は回避される。
Figure 0004450666
表1に示す結果から明らかなように、本発明に従って巻き取られたワイヤの真直性はいずれも40mm/40cm未満となり、また未加硫ゴムに埋設したトリート材の性状は平坦となり、トリート材相互の接合における作業性も良好であった。
C:0.80重量%を含有する高炭素鋼線材(直径:5.5mm)に、直径を約1.7mmになるまで乾式伸線を施した後、パテンティング処理およびブラスめっき処理を施した。次いで、この線材に径が0.3mmになるまで湿式伸線加工を施し、最終伸線ダイス後に千鳥足状に配置したロールによる矯正機に通して真直性を確保した。かくして得られたワイヤの一部は、表2に示す加熱処理を施した後、これを巻き出してコードの芯となる1×3構造のストランドを作製し、同様の加熱処理を経た0.3mm径のワイヤを8本巻き出し、先の芯ストランドのまわりに8本のワイヤを撚り合わせて3+8構造のコードを作製した。その後、更にコードに表2に示す加熱処理を施してから、表2に示す径の巻取リールに巻き取り(発明例2−1)、そのまま2週間放置してから、真直性の評価を以下のようにして実施した。さらに、2週間放置した巻取リールから巻き出したコードを未加硫ゴム中に20本/50mmで埋設したトリート材を製造し、その性状とトリート材相互の接合作業性とを評価した。
また、上記と同様に伸線して真直性を保持した0.3mm径のワイヤを、加熱処理することなしに巻取リールに巻き取り、これを巻きだし、コードの芯になる部分を予め撚り合わせて1×3構造のストランドを作製し、同様に加熱処理を施さない0.3mm径のワイヤを8本巻き出し、先の芯ストランドのまわりに8本のワイヤを撚り合わせて3+8構造のコードを作製した。その後、表2に示す加熱処理を施してから、表2に示す径の巻取リールに巻き取り(発明例2−2〜4)、そのまま2週間放置してから、真直性の評価を以下のようにして実施した。さらに、2週間放置した巻取リールから巻き出したコードを未加硫ゴム中に20本/50mmで埋設したトリート材を製造し、その性状とトリート材相互の接合作業性とを評価した。
なお、真直性は、アークハイトで評価した。すなわち、図3に示すように、切断した40cmの長さのコードを平面精度の高い滑らかな平面上に置いたときにコードが描く円弧の高さAH(アークハイト)で表し、この円弧の高さAHを真直性の指標とする。勿論、このAHが小さいほど、真直性が良好であることを示し、40mm/40cm未満であれば、トリート材における反りの発生は回避される。
Figure 0004450666
表2に示す結果から明らかなように、本発明に従って巻き取られたコードの真直性はいずれも40mm/40cm未満となり、また未加硫ゴムに埋設したトリート材の性状は平坦となり、トリート材相互の接合における作業性も良好であった。
本発明に従って巻き取られたワイヤまたはコードは、巻癖のない真直性の良好な状態で巻き出されて使用に供することが可能であるため、上記したタイヤのトリート材への適用の他にも、工業用ベルトコンベアを始めとする、各種工業用ゴム製品に好適に適用することができる。
ワイヤの巻き取り手順を示す図である。 コードの巻き取り手順を示す図である。 真直性の評価方法を示す図である。
符号の説明
1 線材
2 伸線機
3 ワイヤ
4 矯正機
5 仮巻リール
6 恒温槽
7 巻取リール
8 撚線機
9 コード
10 仮巻リール
11 巻取リール

Claims (7)

  1. 製造後のスチールワイヤを巻取リールに巻き取るに先立ち、該スチールワイヤを大径の仮巻リールに一旦巻き取り、仮巻リールに巻き付けたスチールワイヤに、下記式(A)を満足する温度T(℃)および時間t(秒)の下に加熱処理を施し、その後巻取リールに巻き取ることを特徴とするスチールワイヤの巻き取り方法。

    (D ×exp(−Q/(R×(T+273)))×t) 0.5 ×10 9 ≧16.3 …(A)
    ここで、Cの振動数項D =1.24×10 −0.5 m 2 /s
    活性化エネルギーQ=99.5×(1−30.9/(T+273))KJ/mol
    気体定数R=8.314472J/mol・K
  2. 請求項1において、仮巻リールとして、スチールワイヤの径dに関して下記式(B)を満足する曲率半径rにて該スチールワイヤの巻付けが可能であるリールを用いることを特徴とするスチールワイヤの巻き取り方法。

    d/2r×100≦0.13 …(B)
  3. 製造後のスチールコードを巻取リールに巻き取るに先立ち、該スチールコードを大径の仮巻リールに一旦巻き取り、仮巻リールに巻き付けたスチールコードに、下記式(A)を満足する温度T(℃)および時間t(秒)の下に加熱処理を施し、その後巻取リールに巻き取ることを特徴とするスチールコードの巻き取り方法。

    (D ×exp(−Q/(R×(T+273)))×t) 0.5 ×10 9 ≧16.3 …(A)
    ここで、Cの振動数項D =1.24×10 −0.5 m 2 /s
    活性化エネルギーQ=99.5×(1−30.9/(T+273))KJ/mol
    気体定数R=8.314472J/mol・K
  4. 請求項において、仮巻リールとして、スチールコードを構成するワイヤの径dに関して下記式(B)を満足する曲率半径rにて該ワイヤの巻付けが可能であるリールを用いることを特徴とするスチールコードの巻き取り方法。

    d/2r×100≦0.13 …(B)
  5. 製造後のスチールワイヤを大径の仮巻リールに一旦巻き取り、仮巻リールに巻き付けたスチールワイヤに加熱処理を施してから、該スチールワイヤを巻取った巻取リールを、複数用意し、各巻取リールから巻出した複数本のスチールワイヤを撚り合わせてスチールコードとし、その後スチールコードを大径の仮巻リールに一旦巻き取り、仮巻リールに巻き付けたスチールコードに加熱処理を施してから、スチールコードを巻取リールに巻き取ることを特徴とするスチールコードの製造方法。
  6. 請求項において、下記式(A)を満足する温度T(℃)および時間t(秒)の下に加熱処理を施すことを特徴とするスチールコードの製造方法。

    (D×exp(−Q/(R×(T+273)))×t)0.5×109≧16.3 …(A)
    ここで、Cの振動数項D=1.24×10−0.5m2/s
    活性化エネルギーQ=99.5×(1−30.9/(T+273))KJ/mol
    気体定数R=8.314472J/mol・K
  7. 請求項またはにおいて、仮巻リールとして、スチールワイヤの径dに関して下記式(B)を満足する曲率半径rにて該スチールワイヤの巻付けが可能であるリールを用いることを特徴とするスチールコードの製造方法。

    d/2r×100≦0.13 …(B)
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