JP4447418B2 - シンナミルアミン系化合物の製造方法 - Google Patents

シンナミルアミン系化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、シンナミルアミン系化合物の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、反応媒体として安全性および取り扱い性に優れる水を使用して、触媒等を使用しなくても、目的とするシンナミルアミン系化合物を安全に、簡単に、しかも低コストで、高い収率で製造する方法に関する。本発明の方法により製造されるシンナミルアミン系化合物は、アニオン重合用官能化開始剤の前駆体、医薬中間体、農薬原料などの用途に有効に使用することができる。
シンナミルアミン系化合物は医薬中間体、農薬原料などとして用いられている。シンナミルアミン系化合物の製造法としては、塩化シンナミルとアミンをクロロホルム中で反応させる方法が知られている(特許文献1参照)。この方法による場合は、シンナミルアミン系化合物を比較的高収率で得ることができるが、反応溶媒としてクロロホルムを大量に用いる必要があるため、安全上問題があり、しかも経済的に不利である。
また、シンナミルアミン類の別の製造法として、アジ化シンナミルをインジウムで還元してシンナミルアミンにする方法が知られている(非特許文献1参照)。この方法ではシンナミルアミンが高収率で得られるが、還元試薬であるインジウムは高価であり、経済的に不利である。しかも、原料として用いられるアジ化シンナミルは爆発などの危険があり、安全性の点で問題があり、大量生産には適していない。
さらに、別の製法として、アジ化シンナミルを塩化第二鉄と亜鉛よりなる還元試薬を用いて還元してシンナミルアミンにする方法が報告されている(非特許文献2参照)。この方法による場合は、還元試薬として用いられる塩化第二鉄と亜鉛はインジウムに比べ安価であり、経済的不利は解消されるが、原料としてアジ化シンナミルを用いるため、非特許文献1の方法と同様に、爆発などの危険があり、やはり安全性の点で問題があり、大量生産は困難である。
アジ化シンナミルや塩化シンナミルを使用しないでシンナミルアミン類を製造する方法としては、バイナミジニウム塩をフェニルマグネシウム塩化物と反応させた後、ボラン等の還元剤で還元してシンナミルアミン系化合物を製造する方法が知られている(非特許文献3参照)。この方法による場合は、反応に用いるフェニルマグネシウム塩化物およびボランが空気中の水分と反応するため取り扱い性に劣り、原料の管理や製造操作などが繁雑になるという問題がある。
特開昭50−84582公報 "Synthesis(2001)",No.1,p.81−84 "Chemistry Letters(2000)",No.7,p.816−817 "Synthetic Communications",1985年,15(14),p.1305−1314
本発明の目的は、環境汚染や安全性の点で問題のある大量の有機溶媒を使用せずに、また爆発などの恐れがあって取り扱いに注意を要する危険性の高い薬品を使用せずに、更には空気中の水分と反応し易くて取り扱い性に劣る試薬などを使用せずに、安全に、簡単に、しかも低コストで、シンナミルアミン系化合物を高い収率で生産性良く製造することのできるシンナミルアミン系化合物の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、ハロゲン化シンナミル系化合物と特定のアミン化合物を水中で反応させると、反応触媒などを何ら使用しなくても、温和な温度条件下でハロゲン化シンナミル系化合物とアミン化合物とが良好に反応して、目的とするシンナミルアミン系化合物が高収率で生産性よく得られることを見出した。
また、本発明者は、ハロゲン化シンナミル系化合物とアミン化合物を水中で反応させるに当たっては、アミン化合物を水に溶解して水溶液にし、その水溶液にハロゲン化シンナミル系化合物を添加し、均一に懸濁させながら反応させると、反応が円滑に進行することを見出した。
さらに、本発明者は、水中でハロゲン化シンナミル系化合物とアミン化合物を反応させた後、反応生成物を含む水性反応液を水と非混和性の有機溶媒で抽出処理すると、目的とするシンナミルアミン系化合物を未反応の原料化合物や副生物から容易に分離回収できることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1) 下記の一般式(I);
Figure 0004447418

(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基、Xはハロゲン原子、mは0〜3の整数を示す。)
で表されるハロゲン化シンナミル系化合物と、下記の一般式(IIa);
Figure 0004447418

(式中、R2は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す。)
で表されるアミン化合物または下記の一般式(IIb);
Figure 0004447418

(式中、R4およびR5はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基、R6は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、nは0〜2の整数を示し、nが0のときにR4およびR5が結合して炭素数2〜6のアルキレン基を形成している。)
で表されるアミン化合物を、水中で反応させて、下記の一般式(IIIa);
Figure 0004447418

(式中、R1、R2およびR3は上記したのと同じ基であり、mは上記したのと同じ数であり、pは1または2、qは0または1であり、pとqの合計が2である。)
で表されるシンナミルアミン系化合物、または下記の一般式(IIIb);
Figure 0004447418

[式中、R4およびR5は上記したのと同じ基であり、Aは水素原子または下記の式(IV)で表されるシンナミル基を示し、BはR6(但しR6は上記したとのと同じ基である)または下記の式(IV)で表されるシンナミル基を示し、nは上記したのと同じ数であり、nが0のときにAは下記の式(IV)で表されるシンナミル基であり、nが1のときにAおよびBの少なくとも一方が下記の式(IV)で表されるシンナミル基であり、nが2のときにAと2個のBのうちの少なくとも1つが下記の式(IV)で表されるシンナミル基である;
Figure 0004447418

(式中、R1は上記したのと同じ基であり、mは上記したのと同じ数である。)]
で表されるシンナミルアミン系化合物を製造することを特徴とするシンナミルアミン系化合物の製造方法である。
そして、本発明は、
(2) 前記一般式(IIa)または一般式(IIb)で表されるアミン化合物を溶解した水溶液中に、前記一般式(I)で表されるハロゲン化シンナミル系化合物を添加し、懸濁させながら反応させる前記(1)のシンナミルアミン系化合物の製造方法;および、
(3) 一般式(I)で表されるハロゲン化シンナミル系化合物が下記の化学式(I’);
Figure 0004447418

(式中、R1は上記したのと同じ基であり、mは上記したのと同じ数である。)
で表される塩化シンナミルである前記(1)または(2)のシンナミルアミン系化合物の製造方法;
である。
本発明の前記(1)〜(3)のいずれかのシンナミルアミン系化合物の製造方法では、前記一般式(I)で表されるハロゲン化シンナミル系化合物と、前記一般式(IIa)または一般式(IIb)で表されるアミン化合物との反応生成物を含む水性反応液に、水と非混和性の有機溶媒を添加して、反応により生成した前記一般式(IIIa)または一般式(IIIb)で表されるシンナミルアミン系化合物を有機溶媒中に抽出し、抽出液を水で洗浄して未反応の原料化合物および副生物を除去することが好ましい
本発明の方法による場合は、環境汚染や安全性の点で問題のある大量の有機溶媒を使用せずに、安全性、取り扱い性、経済性に優れる水を反応媒体として使用して、目的物である上記一般式(IIIa)または一般式(IIIb)で表されるシンナミルアミン系化合物を高収率で製造することができる。
本発明の方法による場合は、爆発などの恐れがあって取り扱いに注意を要する危険性の高いアジ化合物、高価な試薬、吸湿性で取り扱い性や保存性に劣る試薬などを使用せずに、上記の一般式(I)で表されるハロゲン化シンナミル系化合物と、上記の一般式(IIa)または一般式(IIb)で表されるアミン系化合物を、触媒を使用せずに、温和な温度条件下に水中で反応させるだけで、目的とするシンナミルアミン系化合物を高収率で大量に製造することができるので、かかる点においても安全性、経済性、操作性などに優れている。
更に、本発明の方法による場合は、目的物であるシンナミルアミン系化合物を簡単に且つ円滑に反応系から分離、回収することができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明では、下記の一般式(I);
Figure 0004447418

(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基、Xはハロゲン原子であり、mは0〜3の整数を示す。)
で表されるハロゲン化シンナミル系化合物[以下「ハロゲン化シンナミル系化合物(I)」という]と、下記の一般式(IIa);
Figure 0004447418


(式中、R2は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す。)
で表されるアミン化合物[以下「アミン化合物(IIa)」という]または下記の一般式(IIb);
Figure 0004447418

(式中、R4およびR5はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基、R6は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、nは0〜2の整数を示し、nが0のときにR4およびR5が結合して炭素数2〜6のアルキレン基を形成している。)
で表されるアミン化合物[以下「アミン化合物(IIb)」という]を、水中で反応させる。
原料化合物であるハロゲン化シンナミル系化合物(I)は、そのベンゼン核に1〜3個の置換基R1を有していてもよいし(n=1〜3)または有していなくても(n=0)いずれでもよい。ハロゲン化シンナミル系化合物(I)がそのベンゼン核に置換基R1を有している場合は、R1は炭素数1〜4のアルキル基であり、その場合のアルキル基は直鎖状または分岐状のいずれでもよく、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などを挙げることができる。置換基R1の個数(m)は0または1であることが、ハロゲン化シンナミル系化合物(I)の入手容易性、アミン化合物(IIa)またはアミン化合物(IIb)との反応性などの点から好ましい。
ハロゲン化シンナミル系化合物(I)におけるハロゲン原子Xは、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素である。
ハロゲン化シンナミル系化合物(I)の具体例としては、塩化シンナミル(3−クロロ−プロペニルベンゼン)、フッ化シンナミル(3−フルオロ−プロペニルベンゼン)、臭化シンナミル(3−ブロモ−プロペニルベンゼン)、沃化シンナミル(3−ヨード−プロペニルベンゼン)などを挙げることができる。これらのうちでも、入手の容易性の観点から塩化シンナミル、臭化シンナミルが好ましく、特に下記の化学式(I’);
Figure 0004447418

で表される塩化シンナミルがより好ましく用いられる。
アミン化合物(IIa)において、R2は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、R3は炭素数1〜10のアルキル基である。R2が炭素数1〜10のアルキル基である場合は直鎖状または分岐状のアルキル基のいずであってもよい。また、R3も炭素数1〜10のアルキル基である限りは、直鎖状または分岐状のアルキル基のいずれであってもよい。R2がアルキル基である場合の具体例およびR3の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、1−メチルヘプチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などを挙げることができる。
アミン化合物(IIa)としては、R2が水素原子でR3が炭素数1〜5の直鎖状または分岐状のアルキル基である1級アミン(アルキルアミン)、R2およびR3は共に炭素数1〜5の直鎖状または分岐状のアルキル基である2級アミン(ジアルキルアミン)が、水への溶解性が高く、水中でハロゲン化シンナミル系化合物(I)と良好に反応することから好ましく用いられる。R1およびR2が共にアルキル基である場合は、両者は同じであっても又は異なっていてもよい。
アミン化合物(IIa)の具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、ネオペンチルアミン、tert−ペンチルアミン、1−メチルブチルアミン、1−メチルヘプチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミンなどの1級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、ジプロピルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミンなどの2級アミンを挙げることができる。これらのうちで、アルキル基の炭素数が1〜5である1級アミンおよび2級アミンが好ましく用いられる。
また、アミン化合物(IIb)において、R4およびR5はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基であり、R4およびR5の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基を挙げることができる。また、アミン化合物(IIb)においてnは0〜2の整数であり、nが0のときにはR4およびR5は互いに結合して炭素数2〜6個のアルキレン基を形成している。
アミン化合物(IIb)におけるR6は水素原子または炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基である。R6が炭素数1〜10のアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、1−メチルヘプチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などを挙げることができる。そのうちでもR6は水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または分岐状アルキル基であることが、アミン化合物(IIb)の水への溶解性が高く、水中でハロゲン化シンナミル系化合物(I)と良好に反応することから好ましい。
本発明で用い得るアミン化合物(IIb)の具体例を挙げると以下のとおりである。
Figure 0004447418

(式中、R6は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示す。)
アミン化合物(IIb)において、nが0のときにはR4およびR5が結合して炭素数4または5個のアルキレン基(n−ブチレン基またはn−ペンチレン基)を形成していること[アミン化合物(IIb)がピロリジン系化合物またはピペリジン系化合物であること]が、アミン化合物(IIb)の安定性、入手容易性、水への親和性などの点から好ましい。また、nが1のときには、R4およびR5の一方がメチレン基でもう一方がエチレン基であるかまたはR4およびR5の両方がエチレン基であること[すなわちアミン化合物(IIb)がイミダゾリジン系化合物またはピペラジン系化合物であること]がアミン化合物(IIb)の安定性、入手容易性、水への親和性などの点から好ましい。nが2のときには、R4およびR5の両方がメチレン基であるかまたはR4およびR5の一方がメチレン基でもう一方がエチレン基であることが安定性、入手容易性、水への親和性などの点から好ましい。
上記したアミン化合物(IIb)のうちでも、特に、入手容易性、経済性の観点からピロリジン系化合物およびピペラジン系化合物が好ましく用いられる。
本発明では、ハロゲン化シンナミル系化合物(I)とアミン化合物(IIa)の水中での反応によって、下記の一般式(IIIa);
Figure 0004447418

(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基、R2は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、R3は炭素数1〜10のアルキル基、mは0〜3の整数、pは1または2、qは0または1であり、pとqの合計が2である。)
で表されるシンナミルアミン系化合物[以下これを「シンナミルアミン系化合物(IIIa)」という]が生成する。
一般的には、ハロゲン化シンナミル系化合物(I)1モルに対してアミン化合物(IIa)を1モル以上の割合で用いて反応させた場合には、シンナミル基が1個結合したシンナミルアミン系化合物(IIIa)[上記の一般式(IIIa)においてpが1である化合物]を含む懸濁状態の水性反応物が得られる。また、上記の一般式(IIIa)においてR2が水素原子であるときに、アミン化合物(IIa)1モルに対してハロゲン化シンナミル系化合物(I)を2モル以上の割合で反応させた場合には、シンナミル基が2個結合したシンナミルアミン系化合物(IIIa)である化合物[上記の一般式(IIIa)においてpが2でqが0の化合物]を含む懸濁状態の水性反応物が得られる。
具体的には、アミン化合物(IIa)において、R2が水素原子であるときに、ハロゲン化シンナミル系化合物(I)1モルに対してアミン化合物(IIa)を1モル以上、好ましくは2〜4モルの割合で用いて水中で反応させると、下記の一般式(IIIa−1)で表されるシンナミルアミン系化合物[以下これを「シンナミルアミン系化合物(IIIa−1)」ということがある]と未反応のアミン化合物(IIa)などを含む懸濁状態の水性反応物が得られる。一方、ハロゲン化シンナミル系化合物(I)1モルに対してアミン化合物(IIa)を0.5モル以下、好ましくは0.2〜0.5モルの割合で用いて水中で反応させると、下記の一般式(IIIa−2)で表されるシンナミルアミン系化合物[以下これを「シンナミルアミン系化合物(IIIa−2)」ということがある]を多く含み、場合により未反応のハロゲン化シンナミル系化合物(I)などを含む懸濁状態の水性反応物が得られる。
Figure 0004447418

(式中、R1、R2およびR3は前記したのと同じ基であり、mは前記したのと同じ数である。)
また、アミン化合物(IIa)において、R2が炭素数1〜10のアルキル基である場合には、ハロゲン化シンナミル系化合物(I)1モルに対してアミン化合物(IIa)を1モル以上、好ましくは2〜4モルの割合で用いて水中で反応させると、下記の一般式(IIIa−3)で表されるシンナミルアミン系化合物[以下これを「シンナミルアミン系化合物(IIIa−3)」ということがある]と未反応のアミン化合物(IIa)などを含む懸濁状態の水性反応物が得られる。
Figure 0004447418

(式中、R1およびR3は前記したのと同じ基、mは前記したのと同じ数であり、R2'は炭素数1〜10のアルキル基である。)
また本発明では、ハロゲン化シンナミル系化合物(I)とアミン化合物(IIb)の水中での反応によって、下記の一般式(IIIb);
Figure 0004447418

[式中、R4およびR5はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基、Aは水素原子または下記の式(IV)で表されるシンナミル基を示し、BはR6(但しR6は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示す)または下記の式(IV)で表されるシンナミル基を示し、nは0〜2の整数を示し、nが0のときにAは下記の式(IV)で表されるシンナミル基であり、nが1のときにAおよびBの少なくとも一方が下記の式(IV)で表されるシンナミル基であり、nが2のときにAと2個のBのうちの少なくとも1つが下記の式(IV)で表されるシンナミル基である;
Figure 0004447418

(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基、mは0〜3の整数を示す。)
で表されるシンナミルアミン系化合物[以下「シンナミルアミン系化合物(IIIb)」という]が生成する。
一般的には、ハロゲン化シンナミル系化合物(I)1モルに対してアミン化合物(IIb)を1モル以上の割合で用いて反応させた場合には、シンナミル基が1個結合したシンナミルアミン系化合物(IIIb)[上記の一般式(IIIb)においてpが1である化合物]を含む懸濁状態の水性反応物が得られる。また、アミン化合物(IIb)が窒素に結合した水素原子を2個または3個有しているときに、アミン化合物(IIb)1モルに対してハロゲン化シンナミル系化合物(I)を2モル以上または3モル以上の割合で反応させた場合には、シンナミル基が2個または3個結合したシンナミルアミン系化合物(IIIb)を含む懸濁状態の水性反応物が得られる。
具体的には、アミン化合物(IIb)におけるnが0の場合は、ハロゲン化シンナミル系化合物(I)1モルに対してアミン化合物(IIb)を1モル以上、好ましくは2〜4モルの割合で用いて水中で反応させると、下記の一般式(IIIb−1)で表されるシンナミルアミン系化合物[以下これを「シンナミルアミン系化合物(IIIb−1)」ということがある]と未反応のアミン化合物(IIb)などを含む懸濁状態の水性反応物が得られる。
Figure 0004447418

(式中、R1、R4およびR5は上記したのと同じ基であり、mは上記したのと同じ数である。)
また、アミン化合物(IIb)におけるnが1で、R6が水素原子の場合は、一般に、ハロゲン化シンナミル系化合物(I)1モルに対してアミン化合物(IIb)を1モル以上、好ましくは2〜4モルの割合で用いて水中で反応させると、下記の一般式(IIIb−2)で表されるシンナミルアミン系化合物[以下これを「シンナミルアミン系化合物(IIIb−2)」ということがある]と未反応のアミン化合物(IIb)などを含む懸濁状態の水性反応物が得られる。一方、ハロゲン化シンナミル系化合物(I)1モルに対してアミン化合物(IIb)を0.5モル以下、好ましくは0.2〜0.5モルの割合で用いて水中で反応させると、下記の一般式(IIIb−3)で表されるシンナミルアミン系化合物[以下これを「シンナミルアミン系化合物(IIIb−3)」ということがある]を多く含み、場合により未反応のハロゲン化シンナミル系化合物(I)などを含む懸濁状態の水性反応物が得られる。
Figure 0004447418

(式中、R1、R4およびR5は上記したのと同じ基であり、mは上記したのと同じ数である。)
また、アミン化合物(IIb)におけるnが1で、R6が炭素数1〜10のアルキル基である場合は、一般に、ハロゲン化シンナミル系化合物(I)1モルに対してアミン化合物(IIb)を1モル以上、好ましくは2〜4モルの割合で用いて水中で反応させると、下記の一般式(IIIb−4)で表されるシンナミルアミン系化合物[以下これを「シンナミルアミン系化合物(IIIb−4)」ということがある]と未反応のアミン化合物(IIb)などを含む懸濁状態の水性反応物が得られる。
Figure 0004447418

(式中、R1、R4、R5は上記したのと同じ基、mは上記したのと同じ数であり、R6'は炭素数1〜10のアルキル基である。)
また、アミン化合物(IIb)におけるnが2で、2個のR6が炭素数1〜10のアルキル基である場合は、一般に、ハロゲン化シンナミル系化合物(I)1モルに対してアミン化合物(IIb)を1モル以上、好ましくは2〜4モルの割合で用いて水中で反応させると、下記の一般式(IIIb−5)で表されるシンナミルアミン系化合物[以下これを「シンナミルアミン系化合物(IIIb−5)」ということがある]と未反応のアミン化合物(IIb)などを含む懸濁状態の水性反応物が得られる。
Figure 0004447418

(式中、R1、R4、R5は上記したのと同じ基、mは上記したのと同じ数であり、R6'は炭素数1〜10のアルキル基である。)
アミン化合物(IIb)におけるnが2で、2個のR6のうちの一方が水素原子でもう一方が炭素数1〜10のアルキル基である場合は、一般に、ハロゲン化シンナミル系化合物(I)1モルに対してアミン化合物(IIb)を1モル以上、好ましくは2〜4モルの割合で用いて水中で反応させると、窒素原子に結合した水素原子の反応性の大小などに応じて、下記の一般式(IIIb−6)〜(IIIb−9)のいずれかで表されるシンナミルアミン系化合物と未反応のアミン化合物(IIb)などを含む懸濁状態の水性反応物が得られる。また、ハロゲン化シンナミル系化合物(I)1モルに対してアミン化合物(IIb)を0.5モル以下、好ましくは0.2〜0.5モルの割合で用いて水中で反応させると、窒素原子に結合した水素原子の反応性の大小などに応じて、下記の一般式(IIIb−10)または(IIIb−11)で表されるシンナミルアミン系化合物と場合により未反応のハロゲン化シンナミル系化合物(I)などを含む懸濁状態の水性反応物が得られる。
Figure 0004447418

(式中、R1、R4、R5は上記したのと同じ基、mは上記したのと同じ数であり、R6'は炭素数1〜10のアルキル基である。)
アミン化合物(IIb)におけるnが2で、2個のR6の両方が水素原子である場合は、一般に、ハロゲン化シンナミル系化合物(I)1モルに対してアミン化合物(IIb)を1モル以上、好ましくは2〜4モルの割合で用いて水中で反応させると、窒素原子に結合した水素原子の反応性の大小などに応じて、下記の一般式(IIIb−12)〜(IIIb−14)のいずれかで表されるシンナミルアミン系化合物と未反応のアミン化合物(IIb)などを含む懸濁状態の水性反応物が得られる。また、ハロゲン化シンナミル系化合物(I)1モルに対してアミン化合物(IIb)を好ましくは0.4〜0.6モル程度、より好ましくは0.5モル程度の割合で用いて水中で反応させると、窒素原子に結合した水素原子の反応性の大小などに応じて、下記の一般式(IIIb−15)〜(IIIb−17)で表されるシンナミルアミン系化合物を多く含み、場合により未反応のハロゲン化シンナミル系化合物(I)などを含む懸濁状態の水性反応物が得られる。また、ハロゲン化シンナミル系化合物(I)1モルに対してアミン化合物(IIb)を約0.3モル以下、特に0.25モル以下の割合で用いて水中で反応させると、下記の一般式(IIIb−18)で表されるシンナミルアミン系化合物を多く含み、場合により未反応のハロゲン化シンナミル系化合物(I)などを含む懸濁状態の水性反応物が得られる。
Figure 0004447418

(式中、R1、R4、R5は上記したのと同じ基、mは上記したのと同じ数である。)
ハロゲン化シンナミル系化合物(I)と、アミン化合物(IIa)またはアミン化合物(IIb)を水中で反応させる際の水の量は、ハロゲン化シンナミル系化合物(I)の使用量、アミン化合物(IIa)またはアミン化合物(IIa)の種類や使用量、反応のさせ方などに応じて適当な量を選択できるが、一般的にはハロゲン化シンナミル系化合物(I)1モルに対して水を10〜500mlの割合、特に100〜300mlの割合で用いることが、反応の円滑な進行、生成物の回収の容易性、アミン、副生物の溶解などの点から好ましい。
ハロゲン化シンナミル系化合物(I)とアミン化合物(IIa)またはアミン化合物(IIb)を反応させる際の温度は、反応の所要時間を長引かせない点、副反応を抑制する点、エネルギーコストなどの点から、−20℃〜100℃の範囲内であることが好ましく、−5℃〜50℃の範囲内であることがより好ましく、0〜40℃であることが更に好ましい。
ハロゲン化シンナミル系化合物(I)とアミン化合物(IIa)またはアミン化合物(IIb)を水中で反応させるに当たっては、ハロゲン化シンナミル系化合物(I)とアミン化合物(IIa)またはアミン化合物(IIb)を水中で均一に混合・接触させて反応させ得る方法であればいずれの方法を採用してもよく、例えば、
(i)アミン化合物(IIa)またはアミン化合物(IIb)を水に溶解して水溶液を調製し、その水溶液にハロゲン化シンナミル系化合物(I)をゆっくりと滴下し添加して懸濁液にし、撹拌しながら反応させる方法;
(ii)ハロゲン化シンナミル系化合物(I)と、アミン化合物(IIa)またはアミン化合物(IIb)の水溶液を一度に混合した後に撹拌しながら反応させる方法;
(iii)ハロゲン化シンナミル系化合物(I)と、アミン化合物(IIa)またはアミン化合物(IIb)を同時に水中に滴下しながら水中で反応させる方法;
などを挙げることができる。
そのうちでも、上記(i)の方法が、反応を確実に行わせることができ、しかも反応により発生する酸を確実にトラップできることから好ましい。上記(i)の方法を採用する場合は、アミン化合物(IIa)またはアミン化合物(IIb)の水溶液へのハロゲン化シンナミル系化合物(I)の添加が終了した後も、懸濁液の攪拌を任意の時間継続し反応を十分に行わせることが好ましい。
ハロゲン化シンナミル系化合物(I)と、アミン化合物(IIa)またはアミン化合物(IIb)との反応の進行度は、ガスクロマトグラフィー(GC)、プロトン核磁気共鳴分光法(1H−NMR)などにより確認することができる。
反応は通常、0.1〜50時間の範囲内で行うことが好ましい。
反応液から目的物であるシンナミルアミン系化合物(IIIa)またはシンナミルアミン系化合物(IIIb)を回収する方法は特に制限されず、シンナミルアミン系化合物(IIIa)またはシンナミルアミン系化合物(IIIb)を円滑に回収できる方法であればいずれの方法により行ってもよい。そのうちでも、目的物であるシンナミルアミン系化合物(IIIa)またはシンナミルアミン系化合物(IIIb)を含む懸濁状態の水性反応液(水性反応生成物)に、水と非混和性の有機溶媒を添加して、反応により生成したシンナミルアミン系化合物(IIIa)またはシンナミルアミン系化合物(IIIb)を有機溶媒中に抽出し、その有機溶媒抽出液を更に水で洗浄して未反応の原料化合物および副生物などを除去する方法を採用することが好ましい。
ここで、本明細書でいう「水と非混和性の有機溶媒」とは、水に全く溶解しないか、または水への溶解性の低い有機溶媒をいう。
本発明の方法で好ましく用いられる水と非混和性の有機溶媒の好ましい具体例としては、ジエチルエーテル、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチルなどの極性有機溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの非極性有機溶媒を挙げることができ、これらは単独で用いてもよいしまたは2種以上を併用してもよい。
本発明の方法では、上述のように、ハロゲン化シンナミル系化合物(I)とアミン化合物(IIa)またはアミン化合物(IIb)の使用割合などを調整することによって、前記した一般式(IIIa−1)〜(IIIa−3)で表されるシンナミルアミン系化合物(IIIa)、または前記した一般式(IIIb−1)〜(IIIb−18)で表されるシンナミルアミン系化合物(IIIb)を製造することができる。
限定されるものではないが、本発明で製造し得るシンナミルアミン系化合物(IIIa)またはシンナミルアミン系化合物(IIIb)の具体例としては、シンナミルアミン(3−フェニル−2−プロペニルアミン)、N−メチルシンナミルアミン[N−メチル−(3−フェニル−2−プロペニル)−アミン]、N−エチルシンナミルアミン[N−エチル−(3−フェニル−2−プロペニル)−アミン]、N−プロピルシンナミルアミン[N−プロピル−(3−フェニル−2−プロペニル)−アミン]、N−ブチルシンナミルアミン[N−ブチル−(3−フェニル−2−プロペニル)−アミン]、N,N−ジメチルシンナミルアミン[N,N−ジメチル−(3−フェニル−2−プロペニル)−アミン]、N,N−ジエチルシンナミルアミン[N,N−ジエチル−(3−フェニル−2−プロペニル)−アミン]、N,N−ジプロピルシンナミルアミン[N,N−ジプロピル−(3−フェニル−2−プロペニル)−アミン]、N,N−ジブチルシンナミルアミン[N,N−ジブチル−(3−フェニル−2−プロペニル)−アミン]、シンナミルピロリジン[N−(3−フェニル−2−プロペニル)−ピロリジン]、シンナミルピペラジン[N−(3−フェニル−2−プロペニル)−ピペラジン]などを挙げることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
以下の実施例において、反応の進行度はプロトン核磁気共鳴分光装置(1H−NMR)(日本電子データム社製「JNM−LA400」)を用いて測定した。また、以下の実施例で生成した生成物(シンナミルアミン系化合物)は、重アセトンに溶解し、前記したプロトン核磁気共鳴分光装置を使用して、プロトン核(1H)を25℃で測定して、その構造の確認を行った。
また、水は、イオン交換水を蒸留して用いた。
以下の実施例では、アミン化合物、塩化シンナミル、ジエチルエーテルなどとしていずれも試薬(特級)として購入したものをそのまま用いた。
《実施例1》[N,N−ジエチルシンナミルアミンの製造]
(1) 容量1000mlのナス型フラスコに、表面がテフロン(登録商標)で被覆されているマグネチックスターラーを入れ、ここに水146.3mlとジエチルアミン146.3g(2.0モル)を加えて完全に溶解させた。この溶液の温度を室温に保ち、攪拌しながら塩化シンナミル100g(0.65モル)をゆっくりと滴下した。塩化シンナミルを滴下すると、透明で均一な溶液から白濁した懸濁液となった。この懸濁液の温度を室温に保ち、攪拌しながら12時間反応を行った。12時間反応を行った後、反応液の一部をサンプリングして、1H−NMR測定を行った結果、塩化シンナミルは残存していなかった。
(2) 上記(1)で得られた反応液にジエチルエーテル200mlを加え、有機層と水層に分離させて水層を除去した。有機層をさらに水100mlで2回洗浄した後、有機層に硫酸マグネシウム50gを加えて乾燥した。なお、水層の一部をサンプリングし、1H−NMR測定を行ったところ、残存したジエチルアミンと、ジエチルアミン塩酸塩が含まれていた。
(3) 上記(2)で得られた乾燥後の有機層からジエチルエーテルを減圧下に留去することにより、N,N−ジエチルシンナミルアミン118g(収率95%)を得た。
これにより得られたN,N−ジエチルシンナミルアミンの1H−NMRスペクトルにおける吸収ピークは次のとおりであった。
1H−NMR(CD3C(=O)CD3):δ 0.98(t,6H)、2.47(q,4H)、3.20(d,2H)、6.27(m,1H)、6.51(d,1H)、7.15−7.42(m,5H)
《実施例2》[N,N−ジメチルシンナミルアミンの製造]
(1) 容量500mlのナス型フラスコに、テフロン(登録商標)で表面を被覆したマグネチックスターラーを入れ、ここに質量濃度50%のジメチルアミン水溶液86g(ジメチルアミン0.95モル)を仕込んだ。この溶液の温度を室温に保ち、攪拌しながら塩化シンナミル45.8g(0.30モル)をゆっくりと滴下した。塩化シンナミルを滴下すると、透明で均一な溶液から白濁した懸濁液となった。この懸濁液の温度を0℃に保ち、攪拌しながら12時間反応を行った。12時間反応を行った後の反応液の一部をサンプリングして、1H−NMR測定を行った結果、塩化シンナミルは残存していなかった。
(2) 上記(1)で得られた反応液にジエチルエーテル100mlを加え、有機層と水層に分離させて水層を除去した。有機層をさらに水50mlで2回洗浄した後、有機層に硫酸マグネシウム30gを加えて乾燥した。なお、水層の一部をサンプリングして、1H−NMR測定を行ったところ、残存したジメチルアミンと、ジメチルアミン塩酸塩が含まれていた。
(3) 上記(2)で得られた乾燥後の有機層からジエチルエーテルを減圧下に留去することによりN,N−ジメチルシンナミルアミン47g(収率97%)を得た。
これにより得られたN,N−ジメチルシンナミルアミンの1H−NMRスペクトルにおける吸収ピークは次のとおりであった。
1H−NMR(CD3C(=O)CD3):δ 2.21(s,6H)、2.98(dd,2H)、6.26(m,1H)、6.52(d,1H)、7.16−7.41(m,5H)
《実施例3》[シンナミルピペラジンの製造]
(1) 実施例1において、ジエチルアミン146.3gの代わりにピペラジン172.3g(2.0モル)を水172.3gに溶解させて用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。
(2) 上記(1)で得られた反応液にジエチルエーテル250mlを加えて有機層と水層に分離させて水層を除去した。有機層をさらに水100mlで2回洗浄した後、有機層に硫酸マグネシウム50gを加えて乾燥した。なお、水層の一部をサンプリングして、1H−NMR測定を行ったところ、残存したピペラジンと、ピペラジン塩酸塩が含まれていた。
(3) 上記(2)で得られた乾燥後の有機層からジエチルエーテルを減圧下に留去することにより、シンナミルピペラジン107g(収率80%)を得た。
これにより得られたシンナミルピペラジンの1H−NMRスペクトルにおける吸収ピークは次のとおりであった。
1H−NMR(CD3C(=O)CD3):δ 1.68(s,1H,N−H)、2.48(t,4H)、2.63(t,4H)、3.11(dd,2H)、6.27(m,1H)、6.52(d,1H)、7.14−7.41(m,5H)
《実施例4》[シンナミルピロリジンの製造]
(1) 実施例1において、ジエチルアミン146.3gの代わりにピロリジン142.2g(2.0モル)を水142.2gに溶解させて用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。
(2) 上記(1)で得られた反応液にジエチルエーテル300mlを加えて有機層と水層に分離させて水層を除去した。有機層をさらに水100mlで2回洗浄した後、有機層に硫酸マグネシウム50gを加え乾燥した。なお、水層の一部をサンプリングして、1H−NMR測定を行ったところ、残存したピロリジンと、ピロリジン塩酸塩が含まれていた。
(3) 上記(2)で得られた乾燥後の有機層からジエチルエーテルを減圧下に留去することにより、シンナミルピロリジン116g(収率94%)を得た。
これにより得られたシンナミルピロリジンの1H−NMRスペクトルにおける吸収ピークは次のとおりであった。
1H−NMR(CD3C(=O)CD3):δ 1.59(t,4H)、2.50(t,4H)、3.15(dd,2H)、6.25(m,1H)、6.51(d,1H)、7.15−7.43(m,5H)
《実施例5》[N−n−ブチルシンナミルアミンの製造]
(1) 実施例1において、ジエチルアミン146.3gの代わりにn−ブチルアミン146.3g(2.0モル)を水146.3gに溶解させて用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。
(2) 上記(1)で得られた反応液にジエチルエーテル300mlを加えて有機層と水層に分離させて水層を除去した。有機層をさらに水100mlで2回洗浄した後、有機層に硫酸マグネシウム50gを加えて乾燥した。なお、水層の一部をサンプリングし、1H−NMR測定を行ったところ、残存したn−ブチルアミンと、n−ブチルアミン塩酸塩が含まれていた。
(3) 上記(2)で得られた乾燥後の有機層からジエチルエーテルを減圧下に留去して、N−n−ブチルシンナミルアミン120g(収率96%)を得た。
これにより得られたN−n−ブチルシンナミルアミンの1H−NMRスペクトルにおける吸収ピークは次のとおりであった。
1H−NMR(CD3C(=O)CD3):δ 0.88(t,3H)、1.26−1.51(m,4H)、2.54(t,2H)、3.22(dd,2H)、6.28(m,1H)、6.53(d,1H)、7.13−7.42(m,5H)
本発明により、シンナミルアミン系化合物を安全に、簡単に、低コストで、高い収率で大量に製造することのできる産業上有効なシンナミルアミン系化合物の製造方法が提供される。

Claims (3)

  1. 下記の一般式(I);
    Figure 0004447418
    (式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基、Xはハロゲン原子、mは0〜3の整数を示す。)
    で表されるハロゲン化シンナミル系化合物と、下記の一般式(IIa);
    Figure 0004447418
    (式中、R2は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す。)
    で表されるアミン化合物または下記の一般式(IIb);
    Figure 0004447418
    (式中、R4およびR5はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキレン基、R6は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、nは0〜2の整数を示し、nが0のときにR4およびR5が結合して炭素数2〜6のアルキレン基を形成している。)
    で表されるアミン化合物を、水中で反応させて、下記の一般式(IIIa);
    Figure 0004447418
    (式中、R1、R2およびR3は上記したのと同じ基であり、mは上記したのと同じ数であり、pは1または2、qは0または1であり、pとqの合計が2である。)
    で表されるシンナミルアミン系化合物、または下記の一般式(IIIb);
    Figure 0004447418
    [式中、R4およびR5は上記したのと同じ基であり、Aは水素原子または下記の式(IV)で表されるシンナミル基を示し、BはR6(但しR6は上記したとのと同じ基である)または下記の式(IV)で表されるシンナミル基を示し、nは上記したのと同じ数であり、nが0のときにAは下記の式(IV)で表されるシンナミル基であり、nが1のときにAおよびBの少なくとも一方が下記の式(IV)で表されるシンナミル基であり、nが2のときにAと2個のBのうちの少なくとも1つが下記の式(IV)で表されるシンナミル基である;
    Figure 0004447418
    (式中、R1は上記したのと同じ基であり、mは上記したのと同じ数である。)]
    で表されるシンナミルアミン系化合物を製造することを特徴とするシンナミルアミン系化合物の製造方法。
  2. 前記一般式(IIa)または一般式(IIb)で表されるアミン化合物を溶解した水溶液中に、前記一般式(I)で表されるハロゲン化シンナミル系化合物を添加し、懸濁させながら反応させる請求項1に記載のシンナミルアミン系化合物の製造方法。
  3. 一般式(I)で表されるハロゲン化シンナミル系化合物が、下記の化学式(I’);
    Figure 0004447418
    (式中、R1は上記したのと同じ基であり、mは上記したのと同じ数である。)
    で表される塩化シンナミルである請求項1または2に記載のシンナミルアミン系化合物の製造方法。
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