JP4447348B2 - 計測基準装置 - Google Patents

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この発明は、例えば研削盤において、ベッド上で往復移動される加工テーブル上のワーク支持面等の真直度を計測する場合に用いられる計測基準装置に関するものである。
一般に、研削盤においては、図8に示すように、ベッド31上に加工テーブル32がレール33を介して往復移動可能に支持され、その加工テーブル32上のワーク支持面32aにはワークWが着脱可能にセットされる。ベッド31上のコラム34には加工ヘッド35が昇降可能に支持され、その加工ヘッド35の加工軸36には回転砥石37が着脱可能に装着されている。そして、回転砥石37が回転されながらワークWの上面に接触されるとともに、加工テーブル32が往復移動されることにより、ワークWが研削加工されるようになっている。
ところで、この種の研削盤においては、加工テーブル32が水平面内で正確に往復移動されないと、所要の研削加工精度を得ることができない。このために、従来ではワークWの研削加工に先立って、加工テーブル32の移動状態でワーク支持面32aの真直度を計測し、その計測結果に基づいてワークWに対する回転砥石37の昇降位置等を調整制御しながら、研削加工を行うようにしている。
従来、このように真直度を計測する場合には、図8に示すように、加工テーブル32のワーク支持面32a上にワークWが搭載されない状態にして、そのワーク支持面32a上に計測基準装置38を載置している。また、加工軸36から回転砥石37を取り外して、加工ヘッド35の下面に計測器39を磁石にて吸着支持している。そして、計測基準装置38の上面をワーク支持面32aに対して平行となるように調整し、計測器39の下端の接触子39aを計測基準装置38の上面に接触させた状態で、加工テーブル32を移動させながら、計測器39により計測基準装置38を介してワーク支持面32aの真直度を計測している。
図9及び図10に示すように、この従来の計測基準装置38においては、加工テーブル32のワーク支持面32a上に設置される一対の支持脚41,42間に被計測部材43が橋架支持され、その被計測部材43の上面が被計測平面43aとなっている。各支持脚41,42には、支持台44と、その支持台44上に傾動可能に支持された傾動台45とが装備されている。一方の支持脚41側において、傾動台45の両端には一対の調整ネジ46,47が螺合され、これらの調整ネジ46,47の回動調整により、ワーク支持面32aに対する被計測平面43aの2方向の水平度あるいは傾斜角度が調整されるようになっている。
すなわち、両調整ネジ46,47を同一量回動調整した場合には、被計測部材43が一方の支持脚42の部分を中心にして図9の矢印D1方向に傾動されて、ワーク支持面32aに対する被計測平面43aの長手方向の傾斜角度が調整される。これに対して、いずれか一方の調整ネジ46,47を回動調整したり、両調整ネジ46,47を異なった回動量で回動調整したりした場合には、被計測部材43が軸線Lあるいは軸線Lと平行な軸線を中心にして図9の矢印D2方向に傾動され、ワーク支持面32aに対する被計測平面43aの幅方向の水平度あるいは傾斜角度が調整される。これにより、前記ワーク支持面32aの真直度の計測に際して、被計測平面43aが長手方向及び幅方向の2方向でワーク支持面32aに対して平行となるように調整される。
しかしながら、前述した従来の計測基準装置38においては、被計測平面43aの長手方向の水平度あるいは傾斜角度を調整する場合、両調整ネジ46,47を正確に同一量回動調整しなければ、幅方向の水平度あるいは傾斜角度も変化してしまう。このため、調整作業が困難であるとともに、長手方向の傾斜角度の調整を正確に行うことができないという問題があった。
また、被計測平面43aの幅方向の水平度あるいは傾斜角度を調整する場合には、調整ネジ46,47が一方の支持脚41側にのみ設けられている。このため、他方の支持脚42側との間で被計測部材43に捻り方向への力あるいは応力が発生し、他方の支持脚42の下面が浮き上がったりして、被計測平面43aの長手方向の水平度あるいは傾斜角度を一定に維持することは難しい場合もある。このため、従来の計測基準装置38では、一方の調整ネジ46または47を回動調整したり、両調整ネジ46,47を異なった回動量で回動調整したりして、被計測平面43aの幅方向の水平度あるいは傾斜角度を調整する場合、その調整ネジ46,47の調整量に対応する厚さまたは枚数のスペーサを、他方の支持脚42の下側に介装していた。よって、厚さの異なった複数種のスペーサ等を用意する必要があって、構造が複雑で部品管理が繁雑になるとともに、それでもなお支持脚の浮き上がりを完全に解消することができず、幅方向の水平度あるいは傾斜角度の調整を正確に行うことができないという問題があった。
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、装置の構成が簡単であるとともに、加工計測面に対する被計測部材の被計測平面の2方向の水平度あるいは傾斜角度を容易かつ正確に調整することができて、加工計測面の真直度を高精度に計測することができる計測基準装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、所定の加工計測面上に設置される第1及び第2支持脚と、その両支持脚間に橋架支持され、上面を被計測平面とした被計測部材とを備え、前記加工計測面に対する被計測平面の2方向の傾斜角度を調整できるように、被計測部材を傾動可能とした計測基準装置において、前記第1及び第2支持脚が、支持台と、その支持台に対して傾動可能に支持され、前記被計測部材を載置する傾動台と、その傾動台の傾斜角度を変更するための変更手段とをそれぞれ備え、いずれか一方の支持脚が前記加工計測面に対して1点で設置されるとともに、他方の支持脚が加工計測面に対して2点で設置されるように構成したことを特徴とするものである。
(作用)
請求項1に記載の発明においては、一方の支持脚側で被計測部材を傾動調整することにより、被計測平面の2方向中の一方向の傾斜角度を調整することができ、他方の支持脚側で被計測部材を傾動調整することにより、被計測平面の他方向の傾斜角度を調整することができる。よって、装置の構成が簡単であるとともに、加工計測面に対する被計測部材の被計測平面の2方向の傾斜角度を容易かつ正確に調整することができる。その結果、被計測平面を加工計測面に対して平行となるように正確に調整配置することができて、加工計測面の真直度を高精度に計測することができる。
また、第1支持脚と第2支持脚とをほぼ共通の部品から構成することができて、装置の構成をより簡略化することができるとともに、被計測平面の傾斜角度の調整を一層を容易かつ正確に行うことができる。
以上のように、この発明によれば、装置の構成が簡単であるとともに、加工計測面に対する被計測部材の被計測平面の2方向の水平度あるいは傾斜角度を容易かつ正確に調整することができて、加工計測面の真直度を高精度に計測することができる。
以下に、この発明の一実施形態を、図1〜図6に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、この実施形態の計測基準装置11は、例えば研削盤における加工テーブルのワーク支持面等の加工計測面12上に設置される第1及び第2支持脚13,14と、その両支持脚13,14間に橋架支持された被計測部材15とから構成されている。被計測部材15は横長四角柱状に形成され、その上面には平坦状の被計測平面15aが設けられている。そして、被計測部材15を第1支持脚13側と第2支持脚14側とに分担して傾動調整することにより、加工計測面12に対する前記被計測平面15aの長手方向及び幅方向の2方向の水平度あるいは傾斜角度が調整されるようになっている。
図1〜図4に示すように、前記第1及び第2支持脚13,14は、支持台16と、その支持台16上に一側端部の支軸17を介して傾動可能に支持された傾動台18とを備えている。傾動台18の上面には被計測部材15を載置するための載置凹部19が設けられ、その載置凹部19の底部内面及び一側内面には規制面19aが形成されるとともに、他側内面には傾斜面19bが形成されている。
前記傾動台18の載置凹部19の規制面19a側に被計測部材15を載置した状態で、載置凹部19の傾斜面19bと被計測部材15との間には楔部材20が挿入配置されている。そして、この楔部材20がネジ21にて傾動台18側に引き寄せられることにより、楔部材20の傾斜面20aと載置凹部19の傾斜面19bとの係合作用で、被計測部材15が載置凹部19の規制面19a側に押圧されて、所定の載置位置に固定保持されるようになっている。
前記第1及び第2支持脚13,14において、支持台16の支軸17と反対側の端部上面にはネジ棒22が螺着され、傾動台18上の貫通孔18aを介して上方に突出されている。ネジ棒22の頭部と傾動台18との間に位置するように、ネジ棒22にはバネ23が嵌挿され、このバネ23の付勢力により、傾動台18が支軸17を中心にして支持台16と接近する方向に回動付勢されている。
前記両支持脚13,14において、傾動台18の自由端部には変更手段としてのマイクロメータヘッドよりなる傾動調整体24が貫設され、その下端のスピンドル24aが支持台16の上面に当接されている。そして、この傾動調整体24の上端の操作つまみ24bを回転操作することにより、ネジの作用によりスピンドル24aが出没されて、支持台16に対する傾動台18の水平度あるいは傾斜角度が変更されるようになっている。
図2〜図4に示すように、前記第1支持脚13側の支持台16の下面両側には、球状頭部を有する一対の設置用ネジ25が螺合されている。また、第2支持脚14側の支持台16の下面中央には、球状頭部を有する1つの設置用ネジ26が螺合されている。そして、第1支持脚13側の支持台16は、被計測部材15の幅方向の両側下部付近において、一対の設置用ネジ25の頭部により、加工計測面12に対して2点で設置されるようになっている。一方、第2支持脚14側の支持台16は、被計測部材15の幅方向の中央下部付近において、1つの設置用ネジ26の頭部により、加工計測面12に対して1点で設置されるようになっている。
次に、前記のように構成された計測基準装置11の作用を説明する。
さて、この計測基準装置11を使用して、例えば図8に示すような研削盤における加工テーブル上のワーク支持面の真直度を計測する場合には、従来の計測時と同様に、加工計測面12としてのワーク支持面上に計測基準装置11を載置するとともに、加工ヘッドの下面に計測器を装着する。この状態で、加工テーブルを移動させるとともに、加工ヘッドを下降させて、計測器の下端の接触子を図1に示す被計測部材15の被計測平面15aの左端位置P1に接触させ、その左端位置P1の高さを計測器により計測する。続いて、加工テーブルを移動させて、計測器の接触子を被計測平面15aの右端位置P2に接触させ、その右端位置P2の高さを計測器により計測する。
そして、この被計測平面15aの左端位置P1と右端位置P2との計測値を比較し、両計測値間に差がなくなるように、第2支持脚14側の傾動調整体24を操作して、被計測部材15の被計測平面15aの長手方向の傾斜角度を調整する。すなわち、第2支持脚14側の傾動調整体24の操作つまみ24bを回転操作すると、そのスピンドル24aが出没される。この場合、図2及び図3に示すように、第1支持脚13側においては、支持台16が加工計測面12に対し、一対の設置用ネジ25を介して2点で傾動不能に設置された状態にある。
このため、第2支持脚14側の傾動調整体24のスピンドル24aが出没されると、その傾動台18が支持台16上で後側端の支軸17を中心に傾動されるが、その傾動は1点支持の設置用ネジ26を中心とした支持台16の傾動で吸収される。そして、結果として図5に矢印D1で示すように、被計測部材15が第1支持脚13の設置用ネジ25を中心に回動して、被計測部材15の被計測平面15aの右端側がほぼ垂直方向に傾動される。これにより、被計測平面15aの左右両端位置P1,P2が同一高さ状態、すなわち加工計測面12と平行な水平状態となるように調整される。
次いで、加工テーブルを移動させて、計測器の接触子を図1に示す被計測平面15aの前端位置P3に接触させ、その前端位置P3の高さを計測器により計測する。同様に、計測器の接触子を被計測平面15aの後端位置P4に接触させ、その後端位置P4の高さを計測器により計測する。そして、この被計測平面15aの前端位置P3と後端位置P4との計測値間に差がなくなるように、第1支持脚13側の傾動調整体24を操作して、被計測部材15の被計測平面15aの幅方向の傾斜角度を調整する。
すなわち、第1支持脚13側の傾動調整体24の操作つまみ24bを回転操作すると、そのスピンドル24aが出没される。この場合、図2及び図4に示すように、第2支持脚14側においては、支持台16が加工計測面12に対し、1つの設置用ネジ26を介して1点で傾動可能に設置された状態にある。また、第2支持脚14側の傾動台18は、被計測部材15を介して、2点で設置されている第1支持脚13側の傾動台18と連結されて、その傾動が規制された状態にある。
このため、第1支持脚13側の傾動調整体24のスピンドル24aが出没されて、その第1支持脚13の傾動台18の傾斜角度が変更されると、それに追随して、第2支持脚14全体が加工計測面12に対する設置用ネジ26の設置点を中心に傾動される。これにより、図6に矢印D2で示すように、被計測部材15の被計測平面15aが前後方向に傾動されて、その被計測平面15aの前後両端位置P3,P4が同一高さ状態、すなわち加工計測面12と平行な水平状態となるように調整される。
このように、被計測部材15の被計測平面15aが長手方向及び幅方向の2方向において、加工計測面12すなわちワーク支持面と平行な水平状態に調整された後、計測器の接触子を被計測平面15aに接触させるとともに、加工テーブルを移動させて、計測器によりワーク支持面の真直度を計測する。これにより、加工テーブルの移動位置に応じて発生するワーク支持面の高さ位置の変動を、計測器にて計測することができる。
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) この計測基準装置においては、被計測部材15の被計測平面15aの長手方向及び幅方向の2方向の水平度あるいは傾斜角度を、第1支持脚13側と第2支持脚14側とに分担して調整するようになっている。このため、加工計測面12に対する被計測部材15の被計測平面15aの2方向の水平度あるいは傾斜角度を容易かつ正確に調整することができる。その結果、被計測平面15aを加工計測面12に対して平行となるように正確に調整配置することができて、加工計測面12の真直度を高精度に計測することができる。
(2) この計測基準装置においては、両支持脚13,14が、支持台16と、傾動台18と、傾動調整体24とから構成されている。そして、第1支持脚13の支持台16が加工計測面12に対して2点で設置されるとともに、第2支持脚14の支持台16が加工計測面12に対して1点で設置されている。つまり、第1,第2支持脚13,14は、設置用ネジ25,26の数が相違するのみである。このため、第1支持脚13と第2支持脚14とをほぼ共通の部品から構成することができて、装置の構成をより簡略化することができる。しかも、前後左右の2方向の調整を無段階に行うことが可能であるため、前述した支持脚の下面に介在させるスペーサが不要になって、構成が簡単であるとともに、取り扱いが容易になる。
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・図7に示すように、楔部材20の側面にゴム等の弾性押圧材29を固定し、この弾性押圧材29を介して楔部材20が被計測部材15の側面に滑りを生じることなく圧接されるように構成すること。従って、被計測部材15に傷がつくのを防止できる。
・前記実施形態とは逆に、第1支持脚13側の支持台16を加工計測面12に対して1点で設置するとともに、第2支持脚14側の支持台16を加工計測面12に対して2点で設置するように構成すること。
(他の技術的思想)
(1) 第1支持脚13が加工計測面12に対して2点支持、第2支持脚14が加工計測面12に対して1点支持される請求項1または2に記載の計測基準装置。
(2) 両支持脚13,14は、ネジの頭部を加工計測面12に対する支持点とした請求項1,請求項2及び前記(1)項のうちのいずれか一項に記載の計測基準装置。
(3) 加工計測面12に対して、全体として3点支持である請求項1,請求項2及び前記(1),(2)項のうちのいずれか一項に記載の計測基準装置。
一実施形態の計測基準装置を示す斜視図。 図1の計測基準装置の平面図。 図1の3−3線における拡大断面図。 図1の4−4線における拡大断面図。 被計測部材の幅方向の傾き調整状態を示す説明図。 被計測部材の長手方向の傾き調整状態を示す説明図。 計測基準装置の変更例を示す部分側面図。 従来の研削盤における加工テーブルのワーク支持面の計測状態を示す正面図。 図8の計測に使用する計測基準装置を拡大して示す斜視図。 同計測基準装置の平面図。
符号の説明
11…計測基準装置、12…加工計測面、13…第1支持脚、14…第2支持脚、15…被計測部材、15a…被計測平面、16…支持台、17…支軸、18…傾動台、23…バネ、24…変更手段としての傾動調整体、25,26…設置用ネジ。

Claims (1)

  1. 所定の加工計測面上に設置される第1及び第2支持脚と、その両支持脚間に橋架支持され、上面を被計測平面とした被計測部材とを備え、前記加工計測面に対する被計測平面の2方向の傾斜角度を調整できるように、被計測部材を傾動可能とした計測基準装置において、前記第1及び第2支持脚が、支持台と、その支持台に対して傾動可能に支持され、前記被計測部材を載置する傾動台と、その傾動台の傾斜角度を変更するための変更手段とをそれぞれ備え、いずれか一方の支持脚が前記加工計測面に対して1点で設置されるとともに、他方の支持脚が加工計測面に対して2点で設置されるように構成した計測基準装置
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