JP4447145B2 - 投射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏光ビームスプリッタ(以下、PBSという)およびダイクロックプリズム(以下、DPという)を使用して光の利用効率を向上させる液晶プロジェクタの投射装置および投射方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、PBSおよびDPを備えた投射装置により照明するのに適した表示装置であるライトバルブを使用した液晶プロジェクタが利用されている。
ところで、特開昭63−39294号公報には、PBS(偏光ビームスプリッタ)とDP(ダイックロイックプリズム)とを用い、入射光をPBSの偏光分離膜で反射させS偏光のみをDPを通してライトバルブに導き、そのS偏光を画像信号に従いP偏光に変調し、未変調S偏光と共に再びDPを通してPBSに戻し、S偏光は反射させ、変調されたP偏光のみを透過させて投射レンズに導き、スクリーンへ像を形成するビデオプロジェクション装置が記載されている。
また、特開平11−249076号公報には、PBSとDPとを用い、入射光をPBSの偏光分離膜を透過させP偏光のみをDPを通してライトバルブに導き、そのP偏光を画像信号に従いS偏光に変調し、未変調P偏光と共に再びDPを通してPBSに戻し、P偏光は透過させ、変調されたS偏光のみを反射させ投射レンズに導き、スクリーンへ像を形成する投射型表示装置が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術では、PBSとDPの間にエアギャップを必要とするので、それぞれを単独で表示装置の筐体に固定しなければならず、その位置合わせのための加工精度と組み付け精度の向上も必要であった。また、PBSとDPの間にエアギャップがあると、装置に組み付け後に複数のライトバルブ上にある各対応画素の位置ずれが生じやすく、使用中に色調が変化してしまうことがあった。
そこで、本発明の第1の目的は、PBSとDPを固着することにより、複数のLCD(液晶ディスプレイ)と光学系の関係を精度よく配置できる投射装置および投射方法を提供することである。
本発明の第2の目的は、PBSとDPを固着することにより、組み付け後の各色に対応する複数のライトバルブ上にある各対応画素の位置ずれをなくし、高純度の色調を得ることができる投射装置および投射方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、入射光を入射光と振動方向が同じ偏光(P偏光)と、このP偏光とは振動方向が90度異なる偏光(S偏光)とに分離して出力する偏光ビームスプリッタ(PBS)と、この分離された前記P偏光または前記S偏光をダイクロイック膜においてさらに二つの波長帯域の光に分離するダイクロイックプリズム(DP)と、電気信号に基づいて、前記DPのダイクロイック膜によって分離された光、または、分離された光の偏光方向を約90度回転させて反射したりする複数の液晶ディスプレイ(LCD)と、を備えた投射装置において、前記S偏光側の液晶ディスプレイ(LCD)の前にブルーカットフィルタ、前記P偏光側の液晶ディスプレイ(LCD)の前にレッドカットフィルタを設け、前記PBSと前記DPとの間の面を接着面として前記PBSおよび前記DPが設置され、前記S偏光の光方向でダイクロイック膜での波長分離を約600nmとし、前記P偏光の光方向でダイクロイック膜での波長分離を約500nmとし、前記ブルーカットフィルタは、約500nm以下の短波長を吸収し、前記レッドカットフィルタは約600nm以上の長波長を吸収することにより、前記第1および第2の目的を達成する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について図1ないし図7を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る投射表示装置のPBSプリズムとDPの構成を示した図である。図1(a)は、第1の実施の形態の投射表示装置を、図1(b)は、従来の投射表示装置を示した図である。
図1(b)に示すように従来の投射表示装置のPBSプリズムとDPとの境界面には、エアギャップ4が設けられている。
X方向から入射した光はPBSプリズム1において、入射した偏光(以下、P偏光という)と、P偏光とは振動方向が90度異なる偏光(S偏光)に分離される。そして、S偏光のみ偏光分離膜面5で反射され、DP2の方へ導かれる。ここで、入射した光にP偏光も混ざっていれば透過して取り除かれる。本実施の形態のPBSプリズム1とDP2との境界面は、硝材とほぼ同等の比重と持ち、図1(a)に示されるように透過率が約100%の接着剤で固着されているので(接着面3を参照)、S偏光の光はそのまま直進する。
【0008】
ダイクロイック膜面Aでは、約500nm付近の波長を境にして長い波長は透過し、短い波長は反射するようになっている。この反射された光(すなわち青(B)領域の光)は、DP2より出射され、その先に設置してある反射型LCDで変調される。すなわち、反射型LCDは、電気信号がオンの場合には到着したS偏光をP偏光に変換して反射させ、オフの場合にはS偏光をそのまま反射させる。このS偏光およびP偏光の双方の光は、通過してきた経路を逆取りして偏光分離膜面5まで到達する。そして、P偏光に変換された光は透過され、Y方向へ出射される。変換されずにS偏光のままできた光は、反射されて最初に入射したX方向へ戻る。
【0009】
ダイクロイック膜面Aで透過した長波長のS偏光の光をダイクロイック膜面Bで約600nm付近の波長を境にして、長い波長は透過し、短い波長を反射するようになっている。この反射された光(すなわち赤(R)領域の光)は、DP2より出射され、その先に設置してある反射型LCDで変調される。すなわち、電気信号がオンの場合には到着したS偏光をP偏光に変換して反射させ、オフの場合にはS偏光をそのまま反射させる。このS偏光およびP偏光の双方の光は、通過してきた経路を逆取りして偏光分離膜面5まで到達する。そして、P偏光に変換された光は透過され、Y方向へ出射される。変換されずにS偏光のままできた光は、反射されて最初に入射したX方向へ戻る。
【0010】
ダイクロイック膜面Aおよびダイクロイック膜面Bで透過した波長のS偏光の光(すなわち緑(G)領域の光)は、DP2より出射され、その先に設置してある反射型LCDで変調される。すなわち、電気信号がオンの場合には到着したS偏光をP偏光に変換して反射させ、オフの場合にはS偏光をそのまま反射させる。このS偏光およびP偏光の双方の光は、通過してきた経路を逆取りして偏光分離膜面5まで到達する。そして、P偏光に変換された光は透過され、Y方向へ出射される。変換されずにS偏光のままできた光は、反射されて最初に入射したX方向へ戻る。
なお、Y方向には図示しない投射レンズが設置してあり、各々の反射型LCDで変調された各RGB(レッド・グリーン・ブルー)のP偏光の光が合成され、その先に設置してあるスクリーン上に画像を形成することができるようになっている。
【0011】
次に、Y方向から照明光を入射した場合について説明する。
Y方向から入射した光は、P偏光のみ偏光分離膜面5で透過されてDP2の方へ導かれる。ここで、S偏光が混ざっていれば反射して取り除かれる。本実施の形態のPBSプリズム1とDP2との境界面は、硝材とほぼ同等の比重と持ち、図1(a)に示されるように透過率が約100%の接着剤で固着されているので(接着面3を参照)、P偏光の光はそのまま直進する。
ダイクロイック膜面Aでは、約500nm付近の波長を境にして長い波長は透過し、短い波長は反射するようになっている。この反射された光(すなわち青(B)領域の光)は、DP2より出射され、その先に設置してある反射型LCDで変調される。すなわち、反射型LCDは、電気信号がオンの場合には到着したP偏光をS偏光に変換して反射させ、オフの場合にはP偏光をそのまま反射させる。このP偏光およびS偏光の双方の光は、通過してきた経路を逆取りして偏光分離膜面5まで到達する。そして、S偏光に変換された光は反射してX方向へ出射される。変換されずにP偏光のままできた光は、透過されて最初に入射したY方向へ戻る。
【0012】
ダイクロイック膜面Aで透過した長波長のS偏光の光をダイクロイック膜面Bで約600nm付近の波長を境にして、長い波長は透過し、短い波長を反射するようになっている。この反射された光(すなわち赤(R)領域の光)は、DP2より出射され、その先に設置してある反射型LCDで変調される。すなわち、電気信号がオンの場合には到着したP偏光をS偏光に変換して反射させ、オフの場合にはP偏光をそのまま反射させる。このP偏光およびS偏光の双方の光は、通過してきた経路を逆取りして偏光分離膜面5まで到達する。そして、S偏光に変換された光は、反射してX方向へ出射される。変換されずにP偏光のままできた光は、透過されて最初に入射したY方向へ戻る。
【0013】
ダイクロイック膜面Aおよびダイクロイック膜面Bで透過した波長のP偏光の光(すなわち緑(G)領域の光)は、DP2より出射され、その先に設置してある反射型LCDで変調される。すなわち、電気信号がオンの場合には到着したP偏光をS偏光に変換して反射させ、オフの場合にはP偏光をそのまま反射させる。このP偏光およびS偏光の双方の光は、通過してきた経路を逆取りして偏光分離膜面5まで到達する。そして、S偏光に変換された光は反射してX方向へ出射される。変換されずにP偏光のままできた光は、透過されて最初に入射したY方向へ戻る。
なお、X方向には図示しない投射レンズが設置してあり、各々の反射型LCDで変調された各RGBのS偏光の光が合成され、その先に設置してあるスクリーン上に画像を形成することができるようになっている。
以上のように、本実施の形態ではPBSプリズム1とDP2が精度よく接着されることにより一体的に機能することができるので、RGB各色が画素単位で一致させることができ、色の再現性を維持することができる。
【0014】
図2は、入射光が2色または3色である場合の本実施の形態に係る投射表示装置のPBSプリズムとDPの構成を示した図である。
図2(a)は、入射光が2色である場合を示した図である。入射光が2色または3色のどちらの場合でも本実施の形態に係る投射表示装置の機能は同じである。なお、データ表示用として使用する場合には、2色で十分なことが多い。その場合のダイクロイック膜面の波長分離は、約500〜600nmの間であれば良いとする。
【0015】
図2(b)は、入射光が3色である場合を示した図である。Y方向からランダムな照射光を入射すると、偏光分離膜面5でS偏光およびP偏光に分離される。ここで、例えばS偏光の光方向でダイクロイック膜面6での波長分離を約600nmとし、P偏光の光方向でのダイクロイック膜での波長分離を約500nmとする。S偏光側を使うG1−LCDの前には約500nm以下の短波長を吸収するブルーカットフィルタを設け、P偏光側を使うG2−LCDの前には約600nm以上の長波長を吸収するレッドカットフィルタを設けるようにする。そして、X方向には図示しない投射レンズと、投射レンズの先にスクリーンを設けて所望の画像を結像することができるようになっている。
なお、X方向からランダムな照射光を入射して用いる場合には、Y方向からランダムな照射光が入射された場合と対照的な関係となる。
図2に示すように、偏光分離膜の特性、特に、P偏光の透過特性としてリップルが多く角度依存性も高いという点を補強することができ、良質な画像を得ることができる。
【0016】
図3は、プロジェクタとして使用した場合を示した図である。ここでは、一例として、P偏光の入射光をLCDでオン信号によりS偏光に変更し、スクリーン面に投射する実施例を示している。
図4は、プロジェクタとして使用した場合の変形例を示した図である。ここでは、一例としてS偏光の入射光をLCDでオン信号によりP偏光に変更し、スクリーン面に投射する実施例を示している。偏光変換機能の詳細は後述する。
【0017】
次に、ランプ10、11から本実施の形態の投射表示装置の間に挿入される偏光変換機能について説明する。
図5は、偏光変換機能を説明するための照明系の概念を示した図である。図5は、ランプで発生するランダムな光をS偏光のみ、またはP偏光のみに変換してLCDに照射する実施例である。
LL1とLL2は直角に入っており、リフレクタには回転楕円面鏡を、第2フライアイに直交レンチキュラーを使用している。また、偏光変換機能は、偏光整列プリズムアレイで行うようにし、S偏光とP偏光に分けるPBSとプリズムをアレイ状にした方式を使用している。これにより、偏光変換効率を向上することができる。このような照明系を利用することにより、ランプから発生する光を有効利用することができる。
【0018】
図6は、PBSとDPの膜面の位置関係を90度回転させた実施形態を示した図である。図6に示すように90度回転させた方が色むらの発生を減少させることができる。
図7は、DP膜面を主光軸に対して45度に設定した場合の実施形態を示した図である。これにより、複数のLCDと光学系の関係を精度よく配置できるので、各対応画素の位置ずれを少なくし、色むらの発生を減少させることができる。また、DP膜面を主光軸に対して30度に設定した場合も同様に色むらの発生を減少させることができる。
【0019】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、偏光分離膜の特性、特に、P偏光の透過特性としてリップルが多く角度依存性も高いという点を補強することができ、良質な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る投射表示装置のPBSプリズムとDPの構成を示した図である。
【図2】入射光が2色または3色の場合の本実施の形態に係る投射表示装置のPBSプリズムとDPの構成を示した図である。
【図3】プロジェクタとして使用した場合を示した図である。
【図4】プロジェクタとして使用した場合の変形例を示した図である。
【図5】偏光変換機能を説明するための照明系の概念を示した図である。
【図6】PBSとDPの膜面の位置関係を90度回転させた実施形態を示した図である。
【図7】DP膜面を主光軸に対して45度に設定した場合の実施形態を示した図である。
【符号の説明】
1 PBS(偏光ビームスプリッタ)プリズム
2 DP(ダイクロイックプリズム)
3 接着面
4 エアギャップ
5 偏光分離膜面

Claims (1)

  1. 入射光を入射光と振動方向が同じ偏光(P偏光)と、このP偏光とは振動方向が90度異なる偏光(S偏光)とに分離して出力する偏光ビームスプリッタ(PBS)と、この分離された前記P偏光または前記S偏光をダイクロイック膜においてさらに二つの波長帯域の光に分離するダイクロイックプリズム(DP)と、電気信号に基づいて、前記DPのダイクロイック膜によって分離された光、または、分離された光の偏光方向を約90度回転させて反射したりする複数の液晶ディスプレイ(LCD)と、を備えた投射装置において、
    前記S偏光側の液晶ディスプレイ(LCD)の前にブルーカットフィルタ、前記P偏光側の液晶ディスプレイ(LCD)の前にレッドカットフィルタを設け、
    前記PBSと前記DPとの間の面を接着面として前記PBSおよび前記DPが設置され、
    前記S偏光の光方向でダイクロイック膜での波長分離を約600nmとし、前記P偏光の光方向でダイクロイック膜での波長分離を約500nmとし、
    前記ブルーカットフィルタは、約500nm以下の短波長を吸収し、前記レッドカットフィルタは約600nm以上の長波長を吸収することを特徴とする投射装置。
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