JP4446147B2 - 組電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池を枠体で挟んだものを1組以上両側から挟持固定した組電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な組電池は、複数個の電池を1組の枠体内にまとめて収納したものが多い。しかしながら、このような組電池では、組み合わせる電池の個数ごとに大きさの異なる枠体を樹脂成形等により作製しなければならず、需要者の要望に応じて任意の個数の電池を組み合わせた組電池を供給することが容易ではない。
【0003】
そこで、本出願人は、図2に示すような非水電解質二次電池1を図3に示すような枠体2で前後から挟んだものを図4に示すように多数組前後に並べて両側から挟持固定した組電池を先に提案した(特願2002−157979、特願2002−157980、特願2002−157981)。
【0004】
この組電池に用いる非水電解質二次電池1は、図2に示すように、ステンレス鋼板製の筐体状の電池容器1aの上端開口部をステンレス鋼板製の矩形の蓋板1bで塞いだ角型の電池であり、この蓋板1bの左右方向の両端部に正極端子1cと負極端子1dが突設されている。
【0005】
枠体2は、図3に示すように、左右方向に伸びた上端部の上桟部2a及び下端部の下桟部2bと、左右両端部の側柱部2c,2cとからなる左右対称形の樹脂製の枠である。この枠体2は、同じ構成の部品であって、前後が逆になるように半回転させて前方側に配置した別の枠体2と対になり、これらの枠体2,2の間に上記非水電解質二次電池1を挟むようになっている。また、この際、後方の枠体2の左右の側柱部2c,2cの前方の端面2gと、前方の枠体2の左右の側柱部2c,2cの後方の端面2gとが互いに当接することにより、非水電解質二次電池1の周囲をこれら前後に対となる枠体2,2で覆うことになる。
【0006】
組電池は、図4に示すように、上記1個の非水電解質二次電池1を前後に対となる枠体2,2で挟んだものを前後方向に複数組(図4では7組)並べると共に、この前後方向の両端部にステンレス鋼板製の側板3,3を配置し、4本の貫通ボルト4を用いて複数組の全ての枠体2を前後方向の両側から挟持固定したものである。従って、この組電池は、貫通ボルト4の長さを変更するだけで、需要者の要望に応じて任意の個数の非水電解質二次電池1を組み合わせることができるようになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記前後に対となる枠体2,2は、これらの側柱部2cの端面2g同士を当接させて非水電解質二次電池1を挟み込まなければ、組電池全体の前後方向の長さ寸法が一定せず、しかも、枠体2,2による組電池全体の支持が不安定なものになるおそれがある。しかしながら、前後に対となる枠体2,2の間の収納スペースの幅を非水電解質二次電池1の前後方向の幅よりも十分に大きくして側柱部2cの端面2g同士を確実に当接させるようにすると、この非水電解質二次電池1と枠体2,2の収納スペースとの間に隙間があいてガタつきが生じるという問題があった。
【0008】
また、この問題を解消するために、従来は、枠体2の収納スペースの内側に樹脂テープ等からなる緩衝材を貼り付けていたが、この場合には、組電池の組み立てに緩衝材が必要となり、部品点数が増加すると共に組み立て作業の工数も増加するという問題が生じていた。
【0009】
本発明は、かかる事情に対処するためになされたものであり、電池を挟む枠体に挟持固定によって先端部が潰れる突起を形成しておくことにより、この電池を枠体の間にガタつきなく支持することができる組電池を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、1個の電池の側面を前後両側から枠体で挟み、これら前後に対となる枠体の向かい合う端面同士を当接させたものを前後方向に1組以上並べ、全ての枠体を前後方向の両側から挟持固定した組電池において、枠体における挟持した電池の前後の側面と向かい合う部分に、この電池の側面側に向けて突出する突起が形成され、挟持固定によって前記突起の先端部が塑性変形、又は弾性変形すると共に前記枠体の向かい合う端面同士が当接することを特徴とする。
【0011】
請求項1の発明によれば、前後に対となる枠体を前後方向から挟持すると、これらの枠体の向かい合う端面同士が当接するまで互いに接近する。従って、これらの枠体の向かい合う端面同士がまだ当接する前に、先端が電池の前後の側面に当接するように突起を突出させておけば、枠体の端面同士が当接するまで接近した際に、電池の側面に圧迫されてこの突起の先端部が塑性変形、又は弾性変形することになる。このため、対となる枠体とその間の電池との間に寸法的な誤差が生じていたとしても、この誤差を突起の先端部の変形によって吸収し隙間があくのを防止することができるようになる。この結果、全ての枠体を前後から挟持固定したときに、対となる枠体の向かい合う端面間に隙間が生じることなく、これらの枠体の間の電池にガタつきが生じることもなくなる。しかも、組電池の組み立ての際に緩衝材を挿入する必要もないので、部品点数や組み立て工数が増加することもない。
【0012】
なお、突起は、前後に対となる枠体の片方だけに設けてもよいが、この枠体を共通部品化するためには双方に設けることが好ましい。また、各電池ごとに対となる枠体を2個ずつ用いた場合には、これらを複数組並べたときに、前後に隣接する2個の電池の間に、前方の電池の後方の枠体と後方の電池の前方の枠体とが背中合わせに配置されることになる。しかしながら、ここでいう「対となる枠体」とは、特定の電池に対して前後に配置された枠体を意味するので、前方の電池の後方の枠体と後方の電池の前方の枠体が同じ枠体であって双方の電池で共用されるようにすることもできる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施形態を示すものであって、枠体の斜視図である。なお、図2〜図4に示した従来例と同様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記する。
【0015】
本実施形態は、図2に示した非水電解質二次電池1を図1に示す枠体2で前後から挟んだものを図4に示すように多数組前後に並べて両側から挟持固定した組電池について説明する。従って、非水電解質二次電池1の構成は従来例と同じである。なお、この非水電解質二次電池1は、実際には、2個の長円筒形巻回型の発電要素を横置きに並べて電池容器1aに収納したものであり、2個の発電要素は並列に接続されている。
【0016】
枠体2は、図1に示すように、左右方向に伸びた上端部の上桟部2a及び下端部の下桟部2bと、左右両端部の側柱部2c,2cとからなる左右対称形のポリブチレンテレフタレート(PBT)製の枠であり、上方の中央部の左右に並んだ位置と下方の左右端部との4箇所に、前後方向に貫通する貫通孔2dがそれぞれ形成されている。この枠体2は、上桟部2aと下桟部2bにおける左右両端部の前方を向く内側面2eと、左右の両側柱部2c,2cが上下部で向かい合う対向面2f等で囲まれる収納スペースに、図2に示した非水電解質二次電池1の電池容器1aの後方側半分が嵌まり込むようになっている。また、この非水電解質二次電池1の電池容器1aの前方側半分は、図3に示した枠体2と同じ部品を前後が逆になるように半回転させて配置したものの収納スペースに同様に嵌まり込む。そして、この電池容器1aの後方側半分が嵌まり込んだ枠体2の側柱部2c,2cの前方の端面2gと、前方側半分が嵌まり込んだ枠体2の側柱部2c,2cの後方の端面2gとが互いに当接することにより、非水電解質二次電池1の周囲全体をこれら前後に対となる枠体2,2で挟み覆うことになる。
【0017】
上記上桟部2aと下桟部2bの内側面2eには、枠体2,2が挟み込んだ非水電解質二次電池1の電池容器1aの前後の側面側に向けて突出するプロジェクション2hが形成されている。プロジェクション2hは、枠体2の樹脂成形時に一体形成されるピン状の突起である。ここで、内側面2eに、図3に示した従来例のように、プロジェクション2hが形成されていないとすると、前後に対となる枠体2,2が非水電解質二次電池1を挟んで端面2g,2g同士を当接させた際に、これらの内側面2eと電池容器1aの前後の側面との間にはわずかな隙間が生じるように、枠体2の大きさが設計されている。即ち、製造時に許容される寸法誤差が生じたとしても、枠体2の内側面2eから端面2gまでの前後方向の距離の2倍が非水電解質二次電池1の電池容器1aの前後方向の幅よりも常にわずかに大きくなるような寸法と公差で設計が行われている。また、プロジェクション2hの内側面2eからの突出量は、この内側面2eと電池容器1aの前後の側面との間の隙間が製造時に許容される寸法誤差により最大となる場合の半分の長さを確実に超えるような寸法と公差で設計が行われている。従って、このような枠体2,2で非水電解質二次電池1を挟むと、まず双方の内側面2eのプロジェクション2hの先端が電池容器1aの前後の側面に当接することになり、端面2g間にはわずかな隙間が生じるようになる。
【0018】
上記1個の非水電解質二次電池1を前後に対となる枠体2,2で挟んだものは、図4に示したように、前後方向に複数組並べると共に、この前後方向の両端にステンレス鋼板製の側板3,3を配置し、4本の貫通ボルト4を用いて複数組の全ての枠体2を前後方向の両側から挟持固定することにより組電池となる。なお、各枠体2の内側面2eの反対側の面には凹凸部が形成されているので、対となる枠体2,2を前後方向に並べた際に、これらの凹凸部が互いに係合し、一部の枠体2が上下方向や左右方向にずれるのを防ぐことができる。4本の貫通ボルト4は、側板3,3に形成された抜き孔と、各枠体2の貫通孔2dに通して、両端部にナットを螺着し締め付けることにより、複数組の全ての枠体2を前後方向の両側から挟持固定する。
【0019】
上記構成により、組電池の組み立て時に貫通ボルト4とナットによる締め付けが行われると、各組の対となる枠体2,2は、前後方向に圧迫されて端面2g間のわずかな隙間がなくなり当接するようになる。そして、この際に、プロジェクション2hの先端部が非水電解質二次電池1の電池容器1aの側面に押圧されて塑性変形(潰れたり曲がる)、又は弾性変形(曲がったり圧縮される)するので、この非水電解質二次電池1は、枠体2,2の間に隙間なく圧迫挟持された状態となる。この結果、本実施形態によれば、各組の対となる枠体2,2の端面2g間に隙間が生じることなく、これらの枠体2,2の間に挟んだ非水電解質二次電池1にガタ付きが生じないようにすることができる。
【0020】
なお、上記実施形態では、内側面2eからピン状に突出したプロジェクション2hを示したが、枠体2,2を圧迫することにより先端部が塑性変形、又は弾性変形する程度の大きさと形状の突起であればよいので、例えば半球状や円錐形、角錐形等の突起であってもよい。また、突起を形成する箇所数も任意であり、ブラシの毛状の細長い突起を多数形成したり、壁板状の突起を形成することもできる。さらに、この突起は、前後に対となる枠体2,2における少なくとも一方にのみ形成されていれば足りる。さらに、上記実施形態では、全ての枠体2を挟持固定する際に、突起の先端部を塑性変形、又は弾性変形させる場合を示したが、対となる枠体2,2ごとに前後から圧迫することにより突起の先端部を塑性変形、又は弾性変形させてから、これらを複数組並べて挟持固定するようにしてもよい。しかも、この突起は、内側面2eだけでなく、側柱部2cの対向面2f等に形成することもできる。この場合、非水電解質二次電池1を枠体2に嵌め込む際に、例えば押し込む等により突起の先端部を塑性変形、又は弾性変形させるようにすればよい。
【0021】
また、上記実施形態では、前後に対となる枠体2,2が同一面上の端面2gで当接する場合を示したが、複数の面上にある複雑な形状の端面同士が当接するようになっていてもよい。さらに、この端面は、上記実施形態のように上下方向と左右方向に沿った垂直面である必要はなく、傾斜面や曲面であってもよい。
【0022】
また、上記実施形態では、各非水電解質二次電池1ごとに対となる枠体2,2を2個ずつ用いる場合を示したが、隣接する非水電解質二次電池1の間の2個の枠体2,2を共用して1個の枠体2だけを配置することもできる。さらに、上記実施形態では、ポリブチレンテレフタレート製の枠体2を示したが、他の樹脂製やその他の例えば金属製の枠体を用いることもできる。ただし、非水電解質二次電池1の側面によって押圧することにより、突起の先端部を塑性変形させる場合には、この非水電解質二次電池1の側面の材質よりも硬度の低い材質を用い、弾性変形させる場合には、弾性の大きい材質を用いなければならない。
【0023】
また、上記実施形態では、1個の非水電解質二次電池1を対となる枠体2,2で挟んだものを複数組並べたものを示したが、1組だけであっても本発明を同様に実施することができる。さらに、上記実施形態では、組電池の前後方向の両端に側板3,3を配置する場合を示したが、枠体2だけを挟持固定したものであってもよい。さらに、上記実施形態では、貫通ボルト4によって全ての枠体2を挟持固定する場合を示したが、挟持固定を行うための固定部材の構成は任意であり、例えば金属板等で周囲全体を締め付けるようにすることもできる。しかも、このような固定部材を用いる代わりに、前後方向から圧迫した状態で、各枠体2を接着や熱融着等によって固着することにより挟持固定することもできる。
【0024】
また、上記実施形態では、角形の非水電解質二次電池1を用いる場合を示したが、長円筒形等のように前後方向の両側にほぼ平行な平面からなる側面を配置することができる電池形状のものであってもよく、楕円筒形や円筒形等のように、前後方向の両側の側面の接面が互いにほぼ平行になるような電池形状のものであってもよい。さらに、上記実施形態では、非水電解質二次電池1について示したが、この電池の種類も任意である。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の組電池によれば、対となる枠体の向かい合う端面間に隙間を生じることなく、これらの枠体の間の電池にガタつきが生じないようにすることができる。しかも、組電池の組み立ての際に緩衝材を挿入する必要がないので、部品点数や組み立て工数が増加することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示すものであって、枠体の斜視図である。
【図2】 前後に対となる枠体に挟まれる非水電解質二次電池の斜視図である。
【図3】 従来例を示すものであって、枠体の斜視図である。
【図4】 組電池の全体構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 非水電解質二次電池
1a 電池容器
2 枠体
2e 内側面
2g 端面
2h プロジェクション
4 貫通ボルト
Claims (1)
- 1個の電池の側面を前後両側から枠体で挟み、これら前後に対となる枠体の向かい合う端面同士を当接させたものを前後方向に1組以上並べ、全ての枠体を前後方向の両側から挟持固定した組電池において、
枠体における挟持した電池の前後の側面と向かい合う部分に、この電池の側面側に向けて突出する突起が形成され、挟持固定によって前記突起の先端部が塑性変形、又は弾性変形すると共に前記枠体の向かい合う端面同士が当接することを特徴とする組電池。
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