JP4444591B2 - カーボネート結合を有するカチオン性界面活性剤 - Google Patents
カーボネート結合を有するカチオン性界面活性剤 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の構造を有する界面活性剤及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルエチルアンモニム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルキノリニウム塩等の第4級アンモニウム塩は、柔軟剤やリンス剤として衣料用や毛髪洗浄剤或いはトリートメント剤、更には帯電防止剤、殺菌剤等として使用されている。しかしながら、これらの第4級アンモニウム塩は、皮膚や粘膜に対して刺激性が高く、生分解性が低い等の欠点があった。また、これら従来の第4級アンモニウム塩は難生分解性であることから、河川等の自然界に放出された場合、ほとんど生分解されずに残存し、環境に対する負荷が大きいことが問題となっている。
【0003】
これに対して、人体への刺激性や生分解性を改良した第4級アンモニウム塩として、エステル基やアミド基を含有する第4級アンモニウム塩(例えば、特許文献1〜3を参照)等が知られている。しかしながら、エステル基を含有する第4級アンモニウム塩は水存在下で加水分解を起こし易く、アミド基を含有する第4級アンモニウム塩は皮膚や粘膜への刺激性がまだ高い等の欠点がある。
【0004】
一方、カーボネート基を有する界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤(例えば、特許文献4、5を参照)やアニオン性界面活性剤(例えば、特許文献6を参照)が知られているが、カチオン性界面活性剤は知られていなかった。尚、カーボネート結合を有する第4級アンモニウム塩としては、2−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチル−4−スルホフェニルカーボネートの前駆体であるN,N−(ジメチルアミノ)エチルフェニルカーボネートが知られている(例えば、特許文献7を参照)が、このような第4級アンモニウム塩は、界面活性が不充分であり、カチオン性界面活性剤として使用することはできなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−268776号公報
【特許文献2】
特開平9−31844号公報
【特許文献3】
特開2002−302406号公報
【特許文献4】
特開2002−128744号公報
【特許文献5】
特開2003−96028号公報
【特許文献6】
特開平2−73052号公報
【特許文献7】
特開平6−16602号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明が解決しようとする課題は、生分解性が高く、皮膚や粘膜への刺激性が低く、且つ加水分解安定性に優れたカチオン性界面活性剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討し、カチオン性界面活性剤にカーボネート結合を導入することにより、生分解性が高く、皮膚や粘膜への刺激性が低く、且つ加水分解安定性に優れたカチオン性界面活性剤が得られることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は、下記の一般式(1)
(式中、R1は炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル基又は−(A−O)n−Yで表わされる基を表わし、R2は炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基又は−(A−O)n−Yで表わされる基を表わし、R3は−(A−O)n−CO2−R5で表わされる基を表わし、R4は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はベンジル基を表わし、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表わし、Yは水素原子又は−CO2−R5で表わされる基を表わし、Xはアニオン性原子又はアニオン性基を表わし、R5は炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基を表わし、nは1〜5の数を表わす。)
で表わされることを特徴とするカチオン性界面活性剤及びその製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
一般式(1)において、R1は炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル基又は−(A−O)n−Yで表わされる基を表わし、R2は炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基又は−(A−O)n−Yで表わされる基を表わし、R3は−(A−O)n−CO2−R5で表わされる基を表わす。
【0009】
R1又はR2において、炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、ドコシル等の直鎖1級アルキル基;イソプロピル、2級ブチル、2級ペンチル、2級ヘキシル、2級ヘプチル、2級オクチル、2級ノニル、2級デシル、2級ウンデシル、2級ドデシル、2級トリデシル、2級テトラデシル、2級ヘキサデシル、2級オクタデシル、2級エイコシル、2級ドコシル等の直鎖2級アルキル基;イソブチル、ターシャリブチル、イソペンチル、ネオペンチル、ターシャリペンチル、2−エチルヘキシル、イソトリデシル、2−ブチルオクチル、2−ブチルデシル、2−ヘキシルオクチル、2−ヘキシルデシル、2−オクチルデシル、2−ヘキシルドデシル、2−オクチルドデシル、2−デシルテトラデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−ヘキサデシルオクタデシル、2−テトラデシルオクタデシル、モノメチル分枝−イソステアリル等の分枝アルキル基;ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、オレイル等のアルケニル基等が挙げられる。
これらの脂肪族炭化水素基の中でも、直鎖1級アルキル基が好ましく、炭素数1〜4の直鎖1級アルキル基が更に好ましく、メチル及びエチルが最も好ましい。
【0010】
−(A−O)n−Yで表わされる基又は−(A−O)n−CO2−R5で表わされる基において、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表わし、Yは水素原子又は−CO2−R5で表わされる基を表わし、R5は炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基を表わし、nは1〜5の数を表わす。
【0011】
炭素数2〜4のアルキレン基としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等が挙げられ、中でも、エチレンの場合に、本発明の界面活性剤の生分解性が良くなることから、Aはエチレンが特に好ましい。
【0012】
nは(A−O)の繰り返し数を表わす1〜5の数であり、生分解性の点からは、nは1〜3が好ましく、1〜2が更に好ましいが、皮膚刺激性の点からは、nは2〜5が好ましい。R1又はR2が、−(A−O)n−Yで表わされる基である場合には、一般式(1)中に(A−O)nで表わされる基が、2つ又は3つあるが、それらは、同一の基でもよいし、それぞれ異なる基でもよい。
R5の炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基としては、R1又はR2で挙げた脂肪族炭化水素基が挙げられる。
【0013】
本発明のカチオン性界面活性剤を抗菌剤として使用する場合において、R1又はR2のどちらか一方が炭素数8〜22の脂肪族炭化水素基である場合、R5は炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基が更に好ましく;R1及びR2の何れも炭素数8〜22の脂肪族炭化水素基でない場合には、R5は炭素数4〜18の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数6〜14の脂肪族炭化水素基が更に好ましく、炭素数8〜12の脂肪族炭化水素基が最も好ましい。また、R1及びR2としては、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜2の脂肪族炭化水素基が更に好ましく、メチルが最も好ましい。
【0014】
本発明のカチオン性界面活性剤を毛髪処理剤若しくは柔軟剤の基材として用いる場合には、R5は炭素数8〜22の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数12〜20の脂肪族炭化水素基が更に好ましく、炭素数14〜18の脂肪族炭化水素基が最も好ましい。
【0015】
本発明のカチオン性界面活性剤を洗浄剤の基材として使用する場合において、R1が炭素数10〜22の脂肪族炭化水素基である場合には、R2は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基、又は−(A−O)n−Yで表わされる基であり、R5は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。また、R1が炭素数10〜22の脂肪族炭化水素基でない場合(即ち、R1は炭素数1〜9の脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル基又は−(A−O)n−Yで表わされる基である場合)には、R2は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基、又は−(A−O)n−Hで表わされる基であり、R5は炭素数10〜22の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
【0016】
一般式(1)において、R4は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はベンジル基を表わす。R4の炭素数1〜4のアルキル基としては、一般式(1)のR1又はR2で挙げたアルキル基が挙げられる。R4としては、直鎖のアルキル基及びベンジル基が好ましく、メチル及びエチルが更に好ましく、メチルが最も好ましい。
【0017】
また、Xはアニオン性原子又はアニオン性基を表わす。アニオン性原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、よう素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。アニオン性基としては、例えば、メチル硫酸基、エチル硫酸基等の炭素数1〜4のモノアルキル硫酸基;モノメチルリン酸基、ジメチルリン酸基、ジエチルリン酸基等の炭素数1〜4のモノ若しくはジアルキルリン酸基;硝酸基、硫酸基、リン酸基、過塩素酸基等の無機酸基;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、酒石酸、グルコン酸、クエン酸、サリチル酸、ケイ皮酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸等のカルボン酸のアニオン性基;水酸基等が挙げられる。Xとしては、炭素数1〜4のモノアルキル硫酸基及びハロゲン原子が好ましく、メチル硫酸基、塩素原子及び臭素原子が更に好ましく、塩素原子が最も好ましい。
【0018】
一般式(1)で表わされるカチオン性界面活性剤は、下記の一般式(2)
(式中、R6は炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル基又は−(A−O)n−Hで表わされる基を表わし、R7は炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基又は−(A−O)n−Hで表わされる基を表わし、R8は−(A−O)n−Hで表わされる基を表わし、A及びnは一般式(1)と同義である。)で表わされる第3アミン化合物にカーボネートを導入した後、X−Hで表わされる酸で中和(一般式(1)において、R4が水素原子の場合)するか、第4級アミン化(一般式(1)において、R4が炭素数1〜4のアルキル基又はベンジル基の場合)することにより得られる。
【0019】
まず、一般式(2)で表わされる第3アミン化合物の製造方法について説明する。一般式(2)で表わされる化合物のうち、R6及びR7が、−(A−O)n−Hで表わされる化合物としては、例えば、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブタノールアミン、トリス(2−ヒドロキシブチル)アミン等のトリアルカノールアミン並びにそのアルキレンオキシド付加物が挙げられる。
【0020】
また、一般式(2)で表わされる化合物のうち、R6又はR7が炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基又はシクロヘキシル基である化合物は、炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基又はシクロヘキシル基を有する第1アミン若しくは第2アミンにアルキレンオキシドを付加することにより得ることができる。このような第1アミン又は第2アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、エイコシルアミン、ドコシルアミン、テトラコシルアミン、トリアコンチルアミン、ビニルアミン、アリルアミン、プロペニルアミン、ブテニルアミン、ペンテニルアミン、ヘキセニルアミン、ヘプテニルアミン、オクテニルアミン、ノネニルアミン、デセニルアミン、ウンデセニルアミン、ドデセニルアミン、テトラデセニルアミン、オレイルアミン等の第1アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン、ジトリデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ジステアリルアミン、ジエイコシルアミン、ジドコシルアミン、ジテトラコシルアミン、ジトリアコンチルアミン、ジビニルアミン、ジアリルアミン、ジプロペニルアミン、ジブテニルアミン、ジペンテニルアミン、ジヘキセニルアミン、ジヘプテニルアミン、ジオクテニルアミン、ジノネニルアミン、ジデセニルアミン、ジウンデセニルアミン、ジドデセニルアミン、ジテトラデセニルアミン、ジオレイルアミン等の第2アミンが挙げられる。尚、これらの第1アミン又は第2アミンは、分枝の脂肪族炭化水素基でもよい。
【0021】
アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。アルキレンオキシドを反応させる条件は特に限定されないが、反応温度は、通常60〜150℃、好ましくは80〜120℃であり、必要に応じて、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性化合物を触媒として使用してもよい。
【0022】
次に、カーボネート結合を導入する方法としては、例えば、トリアルカノールアミン又は上記のアルキレンオキシド付加物に、(a)Cl−CO2−R5で表わされるクロルギ酸エステルを反応させる方法、(b)CH3O−CO2−R5又はR5O−CO2−R5で表わされるカーボネート化合物とのエステル交換反応による方法、(c)R5OHで表わされるアルコールをジメチルカーボネートで縮合させる方法等の公知の方法を挙げることができる。中でも、(b)の方法は、第3級アミン化合物が純度良く得られることから好ましい。
【0023】
尚、CH3O−CO2−R5で表わされるカーボネート化合物は、R5OHで表わされるアルコールと、塩化メトキシカルボニルとの反応により得ることができる。R5O−CO2−R5で表わされるカーボネート化合物は、R5OHで表わされるアルコールとホスゲンとの反応により得ることができる。また、CH3O−CO2−R5とR5O−CO2−R5との混合物は、R5OHで表わされるアルコールとジメチルカーボネートとの交換反応により得ることができる。
【0024】
上記(b)の方法において、一般式(2)で表わされる化合物とCH3O−CO2−R5又はR5O−CO2−R5で表わされるカーボネート化合物との反応比は、一般式(2)で表わされる化合物の水酸基に対して、CH3O−CO2−R5又はR5O−CO2−R5で表わされるカーボネート化合物のモル比が、1.0〜2.0倍であることが好ましく、1.02〜1.5倍であることが更に好ましく、1.03〜1.2倍であることが最も好ましい。反応温度は60〜160℃が好ましく、80〜140℃が更に好ましく、100〜130℃が最も好ましい。
【0025】
また、触媒として、塩基性化合物を使用することが好ましく、中でも、塩基性アルカリ金属化合物が好ましい。塩基性アルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ナトリウムメチラート、カリウムメチラート、ナトリウムエチラート等が挙げられ、ナトリウムメチラート、カリウムメチラートまたはナトリウムエチラートが好ましく、炭酸水素カリウム又は炭酸水素ナトウムが更に好ましく、炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムが最も好ましい。触媒の添加量は特に限定されないが、一般式(2)で表わされる化合物100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜5質量部である。
【0026】
(b)の方法で製造する場合、無溶媒で行なってもよいが、必要に応じて溶媒中で行なってもよい。溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が使用される。
【0027】
以上のようにして一般式(2)で表わされる化合物にカーボネート基を導入した後に、X−Hで表わされる酸で中和すれば、一般式(1)において、R4が水素原子であるカチオン性界面活性剤が得られ;4級化剤によりアミノ基を4級化することにより、一般式(1)において、R4が炭素数1〜4のアルキル基若しくはベンジル基であるカチオン性界面活性剤が得られる。
【0028】
X−Hで表わされる酸としては、例えば、塩酸、臭素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸;メチルスルホン酸、エチルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、イセチオン酸等のスルホン酸;リン酸エチル、リン酸ジエチル等の低級アルコールの酸性リン酸エステル;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコ−ル酸、乳酸、酒石酸、グルコン酸、クエン酸、サリチル酸、ケイ皮酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸等のカルボン酸等が挙げられる。
【0029】
尚、一般式(1)において、R4が水素原子であるカチオン性界面活性剤を洗浄剤組成物や抗菌剤組成物に配合する場合は、一般式(2)で表わされる化合物のカーボネート化物とX−Hで表わされる酸とをそれぞれ別に組成物中に添加してもよい。
【0030】
また、4級化剤としては、例えば、塩化メチル、塩化ベンジル、臭化メチル、臭化ベンジル等の有機ハロゲン化物;硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等のジアルキル硫酸;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等の炭酸ジアルキル;リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等のリン酸トリアルキル等が挙げられる。一般式(1)のXは、製造に用いられる4級化剤により決定されるが、公知の方法により塩交換して、製造時とは異なるアニオン性原子若しくはアニオン性基にすることもできる。
【0031】
例えば、4級化剤として塩化メチルを用いて4級化する場合には、一般式(2)で表わされる化合物のカーボネート化物に対して、1.1〜3倍モル程度の塩化メチルを使用し、反応温度0〜150℃、好ましくは10〜100℃で反応させることにより4級化することができる。この場合には無溶媒で反応させてもよいが、エタノール、メタノール、イソプロパノール等の低級アルコール溶媒の存在下で反応することが好ましい。
【0032】
本発明のカチオン性界面活性剤は、通常のカチオン性界面活性剤と併用することが公知である成分と、併用することができる。このような成分としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の他の界面活性剤、無機電解質、アミン類、溶剤又は可溶化剤、キレート剤、油分、カチオン性高分子化合物、増粘剤、シリコーン誘導体、キトサン誘導体、染料、顔料、増量剤、酵素、研磨剤、防腐剤、紫外線吸収剤、バインダー、各種調合香料等が挙げられる。
【0033】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(エチレンオキシドとプロピレンオキシドはランダム、ブロック何れでもよい)、ポリエチレングリコールプロピレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物、グリセリン脂肪酸エステル又はそのエチレンオキシド付加物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸モノエタノールアミド又はそのエチレンオキシド付加物、脂肪酸−N−メチルモノエタノールアミド又はそのエチレンオキシド付加物、脂肪酸ジエタノールアミド又はそのエチレンオキシド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキル(ポリ)グリセリンエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸メチルエステルエトキシレート、N−長鎖アルキルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
【0034】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、硫化オレフィン塩、高級アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、硫酸化脂肪酸塩、スルホン化脂肪酸塩、リン酸エステル塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、グリセライド硫酸エステル塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキシド付加物の硫酸エステル塩、スルホコハク酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸塩、N−アシル−N−メチルタウリンの塩、N−アシルグルタミン酸又はその塩、アシルオキシエタンスルホン酸塩、アルコキシエタンスルホン酸塩、N−アシル−β−アラニン又はその塩、N−アシル−N−カルボキシエチルタウリン又はその塩、N−アシル−N−カルボキシメチルグリシン又はその塩、アシル乳酸塩、N−アシルサルコシン塩、及びアルキル又はアルケニルアミノカルボキシメチル硫酸塩等が挙げられる。
【0035】
両性界面活性剤としては、例えば、N−アルキルアミノ酸、アルキルジメチルアミノ脂肪酸ベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン等が挙げられる。
【0036】
無機電解質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化リチウム等の無機水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機炭酸塩;塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等の無機塩化物;珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム等の無機珪酸塩;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の無機硫酸塩、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素三ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素三カリウム等の無機リン酸塩等が挙げられる。
【0037】
アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジモノイソプロパノールアミン、トリモノイソプロパノールアミン等が挙げられる。溶剤又は可溶化剤としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール等が挙げられる。
【0038】
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸、ニトリロトリ酢酸、イミノジ酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノジ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミントリ酢酸、グリコールエーテルジアミンテトラ酢酸、及びこれらの塩類等のアミノポリカルボン酸系キレート剤;イミノジメチルホスホン酸、アルキルジホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸及びこれらの塩類等のホスホン酸系キレート剤;リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、グルコン酸、ヘプトン酸、酒石酸、乳酸及びこれらの塩類等のヒドロキシカルボン酸系キレート剤等が挙げられる。
【0039】
油分としては、例えば、スクワラン、ホホバ油、オリーブ油、ラノリン、レシチン、オクタデカノール、エイコサノール、流動パラフィン等が挙げられる。カチオン性高分子化合物としては、例えば、カチオン性変性セルロースエーテル誘導体、ポリビニルピロリドン誘導体第4アンモニウム塩、ポリアクリル酸誘導体第4アンモニウム塩、ポリアミド誘導体第4アンモニウム塩、塩化ジアリルジメチルアンモニウムポリマー、塩化ジアリルジメチルアンモニウムとアクリルアミドの共重合体、塩化ポリオキシプロピレンジエチルメチルアンモニウム、アルキルポリエチレンイミン等が挙げられる。
【0040】
増粘剤としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、β−1,3−グルカン、キサンタンガム、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール等が挙げられる。シリコーン誘導体としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
【0041】
本発明のカチオン性界面活性剤は、易生分解性であり、通常の界面活性剤が使用されている分野、例えば保湿剤、乳化剤、分散剤、可溶化剤、湿潤剤、浸透剤、展着剤、起泡剤、消泡剤、平滑剤、柔軟性付与剤、防錆剤、抗菌剤、帯電防止剤、摩擦調整剤等、洗浄剤、布帛用柔軟剤、紙用柔軟剤、毛髪化粧料(ヘアリンス、コンディショナー等の毛髪処理剤、シャンプー等)、フィルムの結露防止剤、農薬乳化剤、繊維油剤、染色助剤、塗料添加剤、合成樹脂用添加剤、潤滑油添加剤等に好適に使用でき、殺菌剤、布帛用柔軟剤及び毛髪化粧料に特に好適に使用できる。
【0042】
例えば、殺菌剤として使用する場合には、本発明のカチオン性界面活性剤を、そのまま用いてもよいが、通常は、水や水−水溶性有機溶剤で、組成物全量に対して、好ましくは0.001〜0.5質量%、より好ましくは0.01〜0.1質量%程度に希釈し、この希釈液を殺菌する対象物に対して、スプレー、塗布、浸漬等の方法により接触させて使用される。また、この場合、水溶性アルコール、キレート剤、他の界面活性剤等を配合してもよい。また、本発明のカチオン性界面活性剤を、台所用洗剤、住居用洗剤、身体用洗浄剤等に配合することにより、これらに抗菌性を付与することができる。
【0043】
本発明のカチオン性界面活性剤を、ヘアリンス、ヘアコンディショナー等の毛髪化粧料に用いる場合には、組成物全量に対して、0.1〜20質量%配合することが好ましく、0.5〜10質量%配合することが更に好ましい。また、他の成分として、油分又はシリコーン誘導体を0.01〜30質量%、好ましくは0.05〜20質量%配合し、他の界面活性剤を0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%配合することが更に好ましい。
【0044】
本発明のカチオン性界面活性剤を、布帛用柔軟剤に用いる場合には、組成物全量に対して、5〜30質量%配合することが好ましい。また、他の成分として、塩化カルシウム等の無機電解質、水溶性溶剤等を配合することが好ましい。
【0045】
本発明のカチオン性界面活性剤を、洗浄剤の洗浄成分として用いる場合には、組成物全量に対して、1〜30質量%配合することが好ましい。また、他の成分として、ノニオン性界面活性剤、溶剤、カチオン性高分子化合物等を配合することが好ましい。
【0046】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。尚、以下の実施例中、部及び%は特に記載が無い限り質量基準である。
【0047】
(製造例1)
攪拌機、窒素導入管、温度計及び還流管を備えた2Lのガラス製フラスコに、N−メチルジエタノールアミン119g(1モル)、オクチルメチルカーボネート352g(1.1モル)、触媒として炭酸ナトリウム10.6g(0.1モル)及び溶媒としてトルエン800gを仕込み、反応温度110℃で、5時間攪拌して反応させた。この後、未反応のオクチルメチルカーボネート及び生成したメタノールを110℃で減圧留去し、冷却して濾過することにより370gの淡黄色油状の生成物Aを得た。尚、この生成物の機器分析結果は以下のとおりである。
[1H−NMRスペクトル]
0.90ppm(6H:−CH3)
1.2〜1.4ppm(20H:−CH2−)
1.67ppm(4H:−CH2−)
4.13ppm(4H:O−CH2−)
2.36ppm(3H:N−CH3)
2.75ppm(4H:N−CH2−)
4.23ppm(4H:−CO2−CH2−)
[IRスペクトル]
1748cm-1(カルボニル基)
[マススペクトル]
(アプライド・バイオシステムズ社製、MALDI−TOFMS、マトリックス:ジトラノール)
431.7
以上の結果より、生成物Aの構造は以下のとおりであることが確認できた。
【0048】
(製造例2:本発明品1)
生成物Aを、0.1%水溶液のpHが6になるまで塩酸で中和して、本発明品1を得た。
【0049】
(製造例3:本発明品2)
攪拌機、窒素導入管及び温度計を備えたオートクレーブに生成物Aを171.5g(0.5モル)及び溶媒としてイソプロパノールを300g仕込んだ。50℃で攪拌しながら、塩化メチル71g(2モル)を1時間かけてフィードし、フェード終了後、50℃で3時間攪拌して熟成した。この後、減圧して、過剰の塩化メチル及び溶媒のイソプロパノールを留去し、淡褐色油状の本発明品2を得た。マススペクトル分析(製造例1と同条件)により求めた本発明品2の分子量は446.7である。この分子量はC24H48NO6 +のカチオンによるものであり、本発明品2の構造が以下のとおりであることが確認できた(X=Cl)。
【0050】
(製造例4)
N−メチルジエタノールアミンの代わりにN−ヤシ油脂肪酸アルキルジエタノールアミン、オクチルメチルカーボネートの代わりにブチルメチルカーボネートを用いた他は、製造例1と同様の操作を行ない、淡黄色油状の生成物Bを得た。なお、機器分析結果、この生成物Bの構造は、以下のとおりであることが確認できた。
【0051】
(製造例5)
生成物Aの代わりに生成物Bを用いた以外は、製造例2と同様の操作を行ない、本発明品3を得た。
(製造例6)
生成物Aの代わりに生成物Bを用いた以外は、製造例3と同様の操作を行ない、本発明品4を得た。
(製造例7)
製造例1においてオクチルメチルカーボネートの代わりにヘキサデシルメチルカーボネートを用いた他は、製造例1及び製造例2と同様の操作を行ない本発明品5を得た。
(製造例8)
製造例1においてオクチルメチルカーボネートの代わりにテトラデシルメチルカーボネートを用いた他は、製造例1及び製造例3と同様の操作を行ない、本発明品6を得た。
(製造例9)
製造例1においてN−メチルジエタノールアミンの代わりにN、N−ジメチルモノエタノールアミンを用い、オクチルメチルカーボネートの代わりにヘキサデシルメチルカーボネートを用いた他は、製造例1及び製造例2と同様の操作を行ない、本発明品7を得た。
(製造例10)
製造例1においてN−メチルジエタノールアミンの代わりにN、N−ジメチルモノエタノールアミンを用い、オクチルメチルカーボネートの代わりにテトラデシルメチルカーボネートを用いた他は、製造例1及び製造例3と同様の操作を行ない、本発明品8を得た。
【0052】
【0053】
(実施例1)
<表面張力>
本発明品1〜8のカチオン性界面活性剤について、0.1%水溶液の25℃の表面張力をウイルヘルミ法によって測定した。結果を表2に示す。
<分散性能試験>
本発明品1〜8のカチオン性界面活性剤について、下記の方法により分散性能試験を行なった。結果を表2に示す。すなわち、容量100mLの共栓付メスシリンダーに、界面活性剤1g、カーボンブラック10gを入れ、水にて溶解分散させ100mLに調整した。次に、そのメスシリンダーを1分間に100回振盪した後、25℃にて1時間静置した。その後、液上面から30mLを抜き取り、グラスフィルターにて濾過した後、105℃にて、グラスフィルターを乾燥させ、グラスフィルター上の残査の質量を測定し、次式により分散性を算出した。
分散性能(%)={グラスフィルターの残査重量(g)/3(g)}×100
【0054】
【0055】
(実施例2)
本発明品1〜8及び比較品1〜5のカチオン性界面活性剤について、生分解性、加水分解性及びタンパク変性率を測定した。これらの結果を表3に示す。
<生分解性評価試験>
河川水1Lをガラス瓶にとり、本発明品又は比較品のカチオン性界面活性剤をそれぞれ10mg/Lとなるように溶解させた後、25℃で2週間攪拌した。溶解直後及び14日間攪拌後の抗菌剤の濃度を下記条件による液体クロマトグラフィーで測定し、その減少率より生分解率を求めた。
生分解率(%)=100×(A−B)/A
A:溶解直後のカチオン性界面活性剤の量
B:2週間攪拌後のカチオン性界面活性剤の量
<<液体クロマトグラフィー測定条件>>
カラム:旭化成製、商品名Asahipac GS−220
検出器:UV検出器、検出波長220nm
溶離液:アセトニトリル40%水溶液
【0056】
<加水分解性評価試験>
本発明品又は比較品のカチオン性界面活性剤を、脱イオン水にそれぞれ10mg/Lとなるように溶解した。この水溶液を50mを100mLの栓付ガラス瓶に入れ、60℃の恒温槽に14日間保存し、溶解直後及び14日間保存後のカチオン性界面活性剤の濃度を前記条件による液体クロマトグラフィーで測定し、以下の方法により加水分解率を求めた。
加水分解率(%)=100×(A−B)/A
A:溶解直後のカチオン性界面活性剤の量
B:2週間保存後のカチオン性界面活性剤の量
【0057】
<タンパク変性試験>
皮膚に対する刺激性を評価するために、宮澤らの方法(日本化粧品技術者会誌18(2),96-105(1984))に準じ、以下の方法にてタンパク変性試験を行った。すなわち、硫酸ナトリウム0.15mol/L及びpH7緩衝液としてリン酸ナトリウム0.05mol/Lを含む水溶液に、更に卵白アルブミン(和光純薬社製)を0.025%溶解させた溶液10mLに、本発明品又は比較品1mgを混合した。この溶液の調製直後及び25℃で48時間放置後について、下記条件による液体クロマトグラフィーを用いて卵白アルブミン量を定量することによりタンパク変性率を求めた。
<条件>
カラム:東ソー社製、商品名G−3000
検出器:UV検出器、検出波長220nm
溶離液:硫酸ナトリウム0.15mol/L及びリン酸ナトリウム0.05mol/Lを含む水溶液
タンパク変性率(%)=100×(A−B)/A
A;調製直後の卵白アルブミン量
B;48時間放置後の卵白アルブミン量
【0058】
【0059】
(実施例3)
本発明品1〜4及び比較品1〜5のカチオン性界面活性剤について、以下に示す方法にて、抗菌性を測定した。これらの結果を表4に示す。
<抗菌性試験>
希釈時に所定濃度(128−0.25μg/mL)となるように2倍希釈系列を調製したカチオン性界面活性剤水溶液0.03mLを、マイクロプレートに分注し、供試菌を約107cfu/mL含むよう調製した感受性測定培地(Mueller-Hinton Broth,DIFCO)を0.27mL添加し、37℃で18時間静置培養して菌の発育を確認した。菌の発育が肉眼的に認められないウェルの最小の薬剤濃度をもって最小育成阻止濃度(MIC)とした。尚、供試菌として、以下の菌を用いた。
菌1:Escherichia coli ATCC 14948(大腸菌)
菌2:Staphylococcus aureus IFO13276(黄色ブドウ球菌)
菌3:Pseudomonas aeruginosa IFO13736(緑膿菌)
菌4:Bacillus subtilis IFO3134(枯草菌)
【0060】
【0061】
(実施例4)
<布柔軟性試験>
本発明品5〜8及び比較品1〜5のカチオン性界面活性剤について下記の処方にて、繊維用柔軟剤を調整し、下記の方法にて柔軟性を評価した。これらの結果を表5に示す。
<<繊維用柔軟剤処方>>
本発明品又は比較品 17.00%
無水塩化カルシウム 0.25%
水 82.75%
【0062】
[柔軟処理した試験布の調整方法]
市販木綿製バスタオルを試験布として、自動洗濯機を用いて、2回洗濯を行なった。尚、洗濯水は40℃の水30Lに市販の衣料用洗剤を1回あたり15g溶解したものを用いた。上記処方の繊維用柔軟剤組成物6.6gを30Lの水に添加し、洗濯処理した試験布を洗濯機で5分間柔軟処理した後、脱水を行ない、風乾させた。
【0063】
[柔軟性評価方法]
風乾後の試験布についてパネラー10人により手触りで評価した。評価は、未処理の試験布を水に浸漬した後、脱水風乾したしたものを基準として、以下の4段階で表わした。
◎:基準より柔軟性が優れていた。
○:基準と同程度の柔軟性であった。
△:基準より柔軟性がやや劣った。
×:基準より柔軟性が明らかに劣った。
【0064】
(実施例5)
<毛髪コンデショニング性試験>
本発明品5〜8及び比較品1〜5のカチオン性界面活性剤について下記の処方にて、ヘアリンスを調整し、下記の方法にてコンデショニング性を評価した。これらの結果を表5に示す。
[ヘアリンス処方]
本発明品又は比較品 2.0%
ヘキサデカノール 3.0%
プロピレングリコール 2.5%
精製水 92.5%
【0065】
[柔軟処理した毛髪の調整方法]
同一人からの毛髪を20cmに切りそろえて10gずつ束ねたものを、市販のシャンプーにより洗浄した後、40℃の流水で1分間すすいだ後、上記ヘアリンス組成物1gを洗浄後の毛髪束に塗布した。1分後、40℃の流水で30秒間すすぎタオルで水分を拭取った後、ドライヤーで乾燥した。
【0066】
[コンデショニング性評価方法]
乾燥後の毛髪束について、パネラー10人により以下の評価項目と評価基
準で評価した。
[柔軟性]
◎:未処理の毛髪束に比べて非常に柔らかかった。
○:未処理の毛髪束に比べてやや柔らかかった。
△:未処理の毛髪束と同定度の柔らかさだった。
×:未処理の毛髪束に比べて硬かった。
[しっとり感]
◎:未処理の毛髪束に比べて非常にしっとりしていた。
○:未処理の毛髪束に比べてややしっとりしていた。
△:未処理の毛髪束と同定度だった。
×:未処理の毛髪束に比べてしっとりしていなかった。
【0067】
【0068】
(実施例6)
<洗浄性試験>
本発明品5〜8及び比較品1〜5のカチオン性界面活性剤について下記方法にて洗浄性を評価した。これらの結果を表6に示す。
[洗浄性評価方法]
JIS−G−3141(冷間圧延鋼板及び鋼帯)で規格された冷間圧延板を、JIS−K−5400(塗料一般試験法)に規定する方法でメタリック塗装した市販テストピース(50ラ150mm)を、オレイン酸5%、流動パラフィン5%、石油エーテル90%で調製されたモデル汚染液に30秒間浸漬させ、24時間風乾して人工汚染金属板を作製した。次に、本発明品又は比較品のカチオン性界面活性剤を1%含む水溶液に浸漬した食器洗い用スポンジで、上記の人工汚染金属板を2回拭き取り、表面の汚れを観察して以下の基準で評価した。
5:油汚れの残り面積が5%未満であり洗浄性に非常に優れていた。
4:油汚れの残り面積が5%以上、20%未満であり洗浄性に優れていた。
3:油汚れの残り面積が20%以上、40%未満であり洗浄性にやや優れていた。
2:油汚れの残り面積が40%以上、70%未満であり洗浄性にやや劣った。
1:油汚れの残り面積が70%以上であり洗浄性に劣った。
【0069】
【0070】
【発明の効果】
本発明の効果は、生分解性が高く、皮膚や粘膜への刺激性が低く、且つ加水分解安定性に優れたカチオン性界面活性剤を提供したことにある。
Claims (6)
- 下記の一般式(1)
(式中、R1は炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル基又は−(A−O)n−Yで表わされる基を表わし、R2は炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基又は−(A−O)n−Yで表わされる基を表わし、R3は−(A−O)n−CO2−R5で表わされる基を表わし、R4は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はベンジル基を表わし、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表わし、Yは水素原子又は−CO2−R5で表わされる基を表わし、Xはアニオン性原子又はアニオン性基を表わし、R5は炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基を表わし、nは1〜5の数を表わす。)
で表わされることを特徴とするカチオン性界面活性剤。 - 前記一般式(1)で表わされるカチオン性界面活性剤からなることを特徴とする抗菌剤。
- 前記一般式(1)で表わされるカチオン性界面活性剤を含有することを特徴とする毛髪処理剤組成物。
- 前記一般式(1)で表わされるカチオン性界面活性剤を含有することを特徴とする柔軟剤組成物。
- 前記一般式(1)で表わされるカチオン性界面活性剤を含有することを特徴とする洗浄剤組成物。
- 下記の一般式(2)
(式中、R6は炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル基又は−(A−O)n−Hで表わされる基を表わし、R7は炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基又は−(A−O)n−Hで表わされる基を表わし、R8は−(A−O)n−Hで表わされる基を表わし、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表わし、nは1〜5の数を表わす。)
で表わされる第3アミン化合物にカーボネート基を導入した後、X−Hで表わされる酸で中和するか、第4級アミン化することを特徴とする下記の一般式(1)
(式中、R1は炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル基又は−(A−O)n−Yで表わされる基を表わし、R2は炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基又は−(A−O)n−Yで表わされる基を表わし、R3は−(A−O)n−CO2−R5で表わされる基を表わし、R4は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はベンジル基を表わし、Yは水素原子又は−CO2−R5で表わされる基を表わし、Xはアニオン性原子又はアニオン性基を表わし、R5は炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基を表わし、A及びnは一般式(2)と同義である。)
で表わされるカチオン性界面活性剤の製造方法。
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