JP4443629B2 - 脂肪酸アルキルエステル用曇り点降下剤 - Google Patents

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Description

本発明は、脂肪酸アルキルエステル用曇り点降下剤に関する。より詳しくは、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを含む脂肪酸アルキルエステル用曇り点降下剤、脂肪酸アルキルエステル用曇り点降下剤組成物、ならびに該曇り点降下剤又は該曇り点降下剤組成物を含有する脂肪酸アルキルエステル組成物に関する。
近年、脂肪酸アルキルエステルは、油脂(トリグリセリド)とアルコールとのエステル交換反応により得られ、バイオマス由来のディーゼル燃料となり得ることから、石油代替の新エネルギーとして注目されている。なかでも、植物油から得られる脂肪酸メチルエステルは、粘度、比重等の物性や、燃焼性が軽油に類似しており、また、リサイクル可能なことから、特に脚光を浴びている。
脂肪酸メチルエステルは、常温では液体であるが、寒冷地等の低温下で保存すると、一部の微量の含有成分、例えば、飽和脂肪酸メチルエステルや反応中間体であるパルミチン酸、ステアリン酸等が結晶化する。その結果、脂肪酸メチルエステルの流動性が失われたり、白濁や固化が生じたりする等、商品価値が低下するという問題がある。
これらの問題を解決する為に、脂肪酸メチルエステルは、原料油脂に溶剤等を加えて製造されるか、あるいは原料油脂をそのまま冷却して結晶化の原因となる飽和脂肪酸メチルエステルを析出させた後、これを滴下式、遠心式、ろ過式等の手段によって分離するいわゆるウインタリング処理等を行って分別して製造される。
またさらに、より多くの飽和脂肪酸メチルエステル等を除去して耐寒性に優れる脂肪酸メチルエステルを得るためには、ウインタリング処理の条件を過酷にしたり、原料油脂を予めエステル交換して結晶性を低下させたものをウインタリング処理に供したりすればよい。
しかしながら、ウインタリング処理を繰り返し、飽和脂肪酸メチルエステルを完全に取り除くことは難しく、また、ウインタリング処理能力によっては生産性の低下や脂肪酸メチルエステルの歩留まりの低下につながりやすく、生産コストの上昇を招きやすい。
これに対して、特許文献1では、バイオ燃料のCFPP値(Cold Filter Plugging Point、低温フィルター目詰まり点)を低下させるために、長鎖アルコールのポリ(メタ)アクリル酸エステルを用いる技術が、特許文献2では、流動性向上剤として特定のエチレン−ビニルエステル共重合体を用いて燃料油等の低温性能を向上させる技術が報告されている。また、非特許文献1では、極性基にオゾニド(1,2,4-trioxolane)を導入した新たな櫛型低温流動性改善剤を試作しその検討結果が記載され、非特許文献2では、バイオディーゼルについての概要、製法、利用技術が紹介されている。
特許第4056699号公報 特開2005−15798号公報
N.S. Soriano, V.P. Migo, K. Sato and M. Matsumura, "Crystallization behavior of neat biodiesel and biodiesel treated with ozonated vegetable oil", Eur. J. Lipid Sci. Technol., 107, 689-696(2005) 松村正利、「図解 バイオディーゼル最前線」、工業調査会、2006年
従来技術に拠って、脂肪酸アルキルエステルの耐寒性を向上させることは可能であるが、その効果は未だ十分なものではない。
本発明の課題は、曇り点が低く、低温における曇り又は固化の発生を抑制する効果に優れる脂肪酸アルキルエステル用曇り点降下剤、脂肪酸アルキルエステル用曇り点降下剤組成物、ならびに該曇り点降下剤又は該曇り点降下剤組成物を含有する脂肪酸アルキルエステル組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、水酸基価が850mgKOH/g以下であり、かつ、構成水酸基に占める1級水酸基の割合が50%以上であるポリグリセリンを用いて得られるポリグリセリン脂肪酸エステルであって、さらに、特定の水酸基価を有するものである場合に、該ポリグリセリン脂肪酸エステルを脂肪酸アルキルエステルに添加することにより、低温下の脂肪酸アルキルエステルにおける曇り又は固化の発生を抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
〔1〕 水酸基価が850mgKOH/g以下であり、かつ、ポリグリセリンの全ての水酸基のうち1級水酸基含有率が50%以上であるポリグリセリンと、脂肪酸とのエステル化物であるポリグリセリン脂肪酸エステルであって、水酸基価が100mgKOH/g以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有してなる、脂肪酸アルキルエステル用曇り点降下剤、
〔2〕 水酸基価が850mgKOH/g以下であり、かつ、ポリグリセリンの全ての水酸基のうち1級水酸基含有率が50%以上であるポリグリセリンと、脂肪酸とのエステル化物であるポリグリセリン脂肪酸エステルであって、水酸基価が100mgKOH/g以下であるポリグリセリン脂肪酸エステル、及び流動性向上剤を含有してなる、脂肪酸アルキルエステル用曇り点降下剤組成物、ならびに
〔3〕 脂肪酸アルキルエステルと、前記〔1〕記載の曇り点降下剤、又は前記〔2〕記載の曇り点降下剤組成物、を含有してなる脂肪酸アルキルエステル組成物であって、ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が0.005〜5重量%である、脂肪酸アルキルエステル組成物
に関する。
本発明の脂肪酸アルキルエステル用曇り点降下剤及び脂肪酸アルキルエステル用曇り点降下剤組成物は、脂肪酸アルキルエステルの曇り点を低下させ、低温下での曇り又は固化の発生を抑制することができるという優れた効果を奏する。また、該曇り点降下剤及び該曇り点降下剤組成物は前記効果を発揮することから、該降下剤又は該降下剤組成物を含有する脂肪酸アルキルエステル組成物の耐寒性を向上し、ひいては、商品価値の向上、及びハンドリングの改善に寄与することができる。
本発明の脂肪酸アルキルエステル用曇り点降下剤の実質的な有効成分であるポリグリセリン脂肪酸エステルは、水酸基価が850mgKOH/g以下であり、かつ、ポリグリセリンの全ての水酸基のうち1級水酸基含有率が50%以上である特定のポリグリセリンと、脂肪酸をエステル化することにより得られる。
ポリグリセリンはグリセリンの重合物であり、グリセリンを脱水縮合する等して得られる分子内に水酸基とエーテル結合を有している物質をいう。通常、ポリグリセリンはグリセリンをアルカリ触媒下において常圧あるいは減圧下で加熱することにより得られる。また、使用目的によって窒素、水蒸気等の気体を通じて低沸点成分等を除去したり、イオン交換樹脂、イオン交換膜等によって使用した触媒等イオン成分を除去したり、活性炭等吸着剤を用いて色成分、臭成分を除去したり、水素添加等により還元処理を行ったり、あるいはまた、分子蒸留、精留によって分画する等して精製することができる。
なお、グリセリンを原料としてポリグリセリンを製造した場合、脱水縮合に際して分子内縮合が生じ、6員環や8員環等好ましくない副生成物が生じる。本発明においては、これらの副生成物が発生しないように、グリシドール、エピクロルヒドリン、モノクロロヒドリン等を原料として使用して、該副生成物を殆ど含有しないポリグリセリンを調製することができる。
ポリグリセリンの水酸基価は、油脂結晶成長抑制効果の観点から、850mgKOH/g以下であり、840mgKOH/g以下が好ましく、800mgKOH/g以下がより好ましい。作業性及び脂肪酸とのエステル化反応の観点から、750mgKOH/g以上が好ましい。また、ポリグリセリンを2種以上用いる場合は、加重平均することにより求められた水酸基価が上記範囲内であることが好ましく、各ポリグリセリンの水酸基価が上記範囲内であることがより好ましい。なお、本明細書において、「水酸基価」とは基準油脂試験分析法(ピリジン無水酢酸法、2.3.6.2−1996)により測定した値をいう。
ポリグリセリンの水酸基価を調整する方法としては、特に限定するものではない。例えば、グリセリン重合法、グリシドール重合法等に従ってポリグリセリンを調製する場合、重合反応時間の経過と共に水酸基価が低下するため、反応中のポリグリセリンの水酸基価低下過程を確認することにより、水酸基価を調整することができる。
また、ポリグリセリンの全ての水酸基のうち1級水酸基が占める割合(以降、1級水酸基含有率という)は、油脂結晶成長抑制効果の観点から、50%以上であり、55%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。上限値は、特に限定するものではないが、その効果を最大限に発揮させるためには100%以下であることが好ましい。また、ポリグリセリンを2種以上用いる場合は、加重平均することにより求められた1級水酸基含有率が上記範囲内であることが好ましく、用いられる各ポリグリセリンの1級水酸基含有率が上記範囲内であることがより好ましい。なお、本明細書において、「1級水酸基含有率」は、炭素原子及び水素原子の核磁気共鳴スペクトル(NMR)を測定する方法を用いて算出される。
ポリグリセリンの全ての水酸基のうち2級水酸基が占める割合(以降、2級水酸基含有率という)は、油脂結晶成長抑制効果の観点から、50%以下であり、45%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下がさらに好ましく、0%であることがさらに好ましい。なお、ここでいう2級水酸基含有率は、下記式:
2級水酸基含有率(%)=100(%)−1級水酸基含有率(%)
により算出した値のことをいう。
1級水酸基含有率を調整する方法としては、特に限定するものではない。例えば、上記により得られたポリグリセリンに1級水酸基に選択的に反応する試薬、即ち、1級水酸基の保護基となる試薬を反応させて、ポリグリセリンの極性を変化させる。その後、1級水酸基を多く有するポリグリセリンほど極性が低くなることを利用して、1級水酸基を有するポリグリセリンを適宜選択することにより、1級水酸基含有率を調整することができる。なお、選択したポリグリセリンは、当業者に公知の方法に従って、保護基の脱離処理を行うとよい。
1級水酸基に選択的に反応する試薬としては、例えば、t -ブチルジフェニルシリルクロライド、イソブテン、1−トリメチルピリジニウムテトラフルオロボレート、t -ブチルジメチルシリルクロライド、クロロトリフェニルメチル等が挙げられる。
ポリグリセリンと前記試薬との反応比は、所望されるポリグリセリン中の1級水酸基の数にあわせて適宜調整されるが、確実に反応を進行させるため前記試薬を過剰量使用することが好ましい。例えば、前記試薬は、ポリグリセリン1モルに対して、好ましくは2〜10モル、より好ましくは3〜7モル使用される。
ポリグリセリンと前記試薬との反応は、反応の進行及び保護の確実性の観点から、好ましくは−78〜150℃、より好ましくは0〜100℃で行われる。
得られた反応物から目的のポリグリセリンを分別する方法は、保護基が導入されたポリグリセリンの化学的及び物理的差を利用して達成することができる。例えば、沸点の差を利用して蒸留、減圧蒸留、分子蒸留等の方法で目的のポリグリセリンを分別することができ、又は水もしくは有機溶剤への溶解度の差を利用して目的のポリグリセリンを分画することもできる。例えば、反応物を水に分散させ、水と混和しない有機溶剤(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、石油エーテル、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、エーテル、酢酸エチル等)で抽出することにより目的のポリグリセリンを分画することができる。この分画方法を使用する場合、水の代わりに水含有エタノール、食塩水、硫酸ナトリウム水溶液等の無機塩の溶液を使用することもできる。水と酢酸エチルを用いて目的のポリグリセリンを分画することが好ましい。
分別されたポリグリセリンの保護基の脱離は、一般の有機合成で行われている方法で行うことができる。例えば、メタノール中でp−トルエンスルホン酸を作用させる方法、酢酸水溶液中で加熱攪拌する方法等により保護基の脱離が達成される。1例として、トリフェニルメチル基をポリグリセリンに導入した場合、得られた反応物に対して約2〜3倍量の酢酸水溶液を加えて、50〜70℃で24時間攪拌することにより、保護基を脱離することができる。
なお、本発明に用いられるポリグリセリンとしては、水酸基価と1級水酸基含有率が所望の値を有するものであれば、合成品を用いても市販品を用いてもよく、合成品又は市販品の水酸基価、及び/又は1級水酸基含有率を前記に従って調整して用いてもよい。
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルのもう一つの構成成分である脂肪酸としては、天然の動植物より抽出した油脂を加水分解し、分離してあるいは分離せずに精製して得られるカルボン酸を官能基として含む物質であれば特に限定するものではない。又は石油等を原料にして化学的に合成して得られる脂肪酸であってもよい。もしくはこれら脂肪酸を水素添加等して還元したものや、水酸基を含む脂肪酸を縮重合して得られる縮合脂肪酸や、不飽和結合を有する脂肪酸を加熱重合して得られる重合脂肪酸であってもよい。これら脂肪酸の選択に当たっては所望の効果を勘案して適宜決めればよい。具体例としては、炭素数2〜22の飽和又は不飽和の脂肪酸、即ち、カプロン酸、カプリル酸、オクチル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘニン酸、エライジン酸、エルカ酸の他、分子中に水酸基を有するリシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸及びこれらの縮合物、クエン酸、コハク酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて利用できる。なかでも、作業性の観点から、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、エルカ酸、及びオレイン酸が好ましい。また、上記脂肪酸は1種又は2種以上を組み合わせて利用することができるが、脂肪酸が以下の群(1)〜(3)で示される脂肪酸で構成され、かつ群(1)〜(3)で示される脂肪酸の脂肪酸全体における各使用量が下記に示す範囲内であり、群(1)〜(3)の合計重量が100重量%となる、ように混合した混合脂肪酸として使用することが好ましい。
群(1):炭素数8〜14の飽和脂肪酸で構成される群(使用量が0〜70重量%)
群(2):炭素数16〜22の飽和脂肪酸で構成される群(使用量が20〜60重量%)
群(3):炭素数14〜22の不飽和脂肪酸で構成される群(使用量が0〜50重量%)
ポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化は、当該分野で公知の方法に従って行われる。例えば、アルカリ触媒下、酸触媒下、又は無触媒下にて、常圧又は減圧下でエステル化することができ、具体的には、ポリグリセリン、脂肪酸、触媒を仕込み、窒素ガス気流下で160〜260℃の温度で遊離脂肪酸がなくなるまで反応させて得ることができる。
なお、得られたポリグリセリン脂肪酸エステルは使用される製品の使用上の要求によってさらに精製してもよい。精製の方法は公知のいかなる方法でもよく特に限定するものではない。例えば、活性炭や活性白土等にて吸着処理したり、水蒸気、窒素等をキャリアーガスとして用いて減圧下脱臭処理を行ったり、又は酸やアルカリを用いて洗浄を行ったり、分子蒸留を行ったりして精製してもよい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化率は、添加するポリグリセリンと脂肪酸の仕込み比率、反応温度、反応時間、触媒の種類及び添加量等を変化させることにより調整することができる。ポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化率は、80%以上が好ましい。エステル化率が80%未満であると、解凍時に油脂の乳化が不安定になり、冷凍耐性の効果が得られにくい場合がある。
また、ポリグリセリン脂肪酸エステルの水酸基価は、ポリグリセリンと脂肪酸の仕込み比率(重量%)を変えることにより調整することができる。水酸基価が100mgKOH/gより大きくなると、油脂に対して不溶となったり、油脂結晶抑制効果が十分に発揮できなかったりする。従って、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルの水酸基価は、100mgKOH/g以下であり、80mgKOH/g以下が好ましく、60mgKOH/g以下がより好ましく、30mgKOH/g以下がさらに好ましい。また、ポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化における反応の確実性の観点から、5mgKOH/g以上が好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値は、脂肪酸アルキルへの溶解性及び結晶成長抑制効果の観点から、1〜7が好ましく、1〜6がより好ましい。なお、ここでいうHLB値は、下記式:
HLB=20×(1−S/A)
(式中、S:エステルのけん化価、A:構成脂肪酸の酸価である)
により算出した値のことをいう。
かくして本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステルが得られる。本発明の脂肪酸アルキルエステル用曇り点降下剤は、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを実質的な有効成分として含有するが、本発明の効果を損なわない範囲で、当該分野で公知のその他の添加剤を含有してもよい。ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、曇り点降下剤中、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは実質的に100重量%である。
また、本発明は、前記ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び流動性向上剤を含有する、脂肪酸アルキルエステル用曇り点降下剤組成物を提供する。
曇り点降下剤組成物における、ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。
流動性向上剤としては、特に限定はないが、軽油用流動性向上剤が好ましい。具体例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリアルキルメタクリレート(PMA)、ポリアルキレンオキシド脂肪酸エステル、アルケニルコハク酸アミド等が挙げられる。
流動性向上剤の曇り点降下剤組成物中の含有量は、特に限定はないが、流動性の向上、及び曇り点降下の観点から、10重量%以上が好ましい。また、曇り発生抑制の観点から、50重量%以下が好ましい。
なお、本発明の脂肪酸アルキルエステル用曇り点降下剤組成物は、前記ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び流動性向上剤以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、ソルベントナフサ、トルエン、1,2,4−トリメチルベンゼン、ケロセン等の添加剤を含有することができる。
本発明は、またさらに、脂肪酸アルキルエステル、及び前記曇り点降下剤又は曇り点降下剤組成物を含有する脂肪酸アルキルエステル組成物を提供する。
脂肪酸アルキルエステル、即ち、ポリグリセリン脂肪酸エステルによって曇り又は固化の発生が抑制される脂肪酸アルキルエステルとしては、パーム油、大豆油、菜種油、ひまわり油、トウモロコシ油、ジャトロファ油(ヤトロファ油)、牛脂、豚脂、鶏脂等の動植物由来の油脂を原料としたディーゼル用燃料(以下、BDFと略す)が挙げられる。具体的には、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、リノール酸メチル、リノレン酸メチル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を含む脂肪酸アルキルエステルであれば特に限定されるものではない。場合によっては脂肪酸アルキルエステルと軽油とを混ぜ合わせたBDF混合燃料であっても構わない。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの組成物中の含有量は、結晶成長抑制効果の観点から、0.005〜5重量%が好ましく、0.010〜3重量%がより好ましい。0.005重量%以上であれば十分な曇り又は固化の抑制効果が得られ、また5重量%以下であれば原料油脂の結晶化を促進することもないことから適応可能な脂肪酸アルキルエステルが限定されない。なお、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、水酸基価が100mgKOH/g以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルを2種以上組み合わせて用いてもよい。その場合の総含有量は、上記範囲内であることが好ましい。
また、本発明の脂肪酸アルキルエステル組成物は、前記脂肪酸アルキルエステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するものであれば、添加剤を含有することができる。
添加剤としては、特に限定はないが、流動性向上剤が好ましく、軽油用流動性向上剤がより好ましい。具体例としては、前述と同様のものが挙げられる。流動性向上剤の組成物中の含有量は、曇り発生抑制、及び曇り点降下の観点から、0.005〜5重量%が好ましい。
本明細書において、「曇り点」は、基準油脂分析試験法(曇り点2.2.7−1996)に従って測定した値をいう。
以下、本発明を実施例、及び比較例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。
〔1級水酸基含有率の測定〕
ポリグリセリン中の1級水酸基と2級水酸基の割合は、核磁気共鳴装置(13C−NMR)におけるスペクトル分析にて決定する。
ポリグリセリン500mgを重水2.8mLに溶解し、ろ過後、ゲートつきデカップリングにより13C−NMR(125MHz)スペクトルを取得する。ゲートデカップルド測定手法では、ピーク強度は炭素数に比例する。1級水酸基と2級水酸基の存在を示す13C化学シフトはそれぞれメチレン炭素(CHOH)が63ppm付近、メチン炭素(CHOH)が71ppm付近であり、2種それぞれのシグナル強度の分析により、1級水酸基と2級水酸基の存在比を算出する。但し、2級水酸基を示すメチン炭素(CHOH)は、1級水酸基を示すメチレン炭素に結合するメチン炭素にさらに隣接するメチレン炭素ピークと重なり、それ自体の積分値を得られないため、メチン炭素(CHOH)と隣り合うメチレン炭素(CH)の74ppm付近のシグナル強度により積分値を算出する。
実施例1(合成例1)
温度計、ジムロート及び攪拌装置を付けた3つ口フラスコに、太陽化学社製のポリグリセリン(グレートオイルKT−1)200g及びピリジン600mLを加えた。ここへ1級水酸基に選択的に反応する試薬であるクロロトリフェニルメチル(和光純薬社製)370gを加えて100℃で1時間攪拌し、室温(25℃)まで冷却後さらに24時間攪拌した。その後、反応液を減圧下で蒸留してピリジンの大部分を除去した。得られた反応物は水800mLを加えて分液ロートに移し、酢酸エチル400mLで抽出した(抽出回数:3回)。酢酸エチル層を合わせて濃縮し、得られた残渣156g及び酢酸300gを温度計、ジムロート及び攪拌装置を付けた3つ口フラスコに加えて、120℃で8時間加熱還流してトリフェニルメチル基を脱離後、精製して、ポリグリセリンAを得た。得られたポリグリセリンAの水酸基価は840mgKOH/g、1級水酸基含有率は52.5%、2級水酸基含有率は47.5%であった。
上記で得られたポリグリセリンA55.2g、表1に示す脂肪酸の混合物(以下、混合脂肪酸と記載)184.8g及び触媒として水酸化ナトリウム0.1gを300mL容の四ツ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら250℃で反応させ、水酸基価25mgKOH/gのポリグリセリン脂肪酸エステルAを得た。なお、混合脂肪酸には、群(1)の脂肪酸として、炭素数8〜14の飽和脂肪酸、即ち、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、及びミリスチン酸からなる群より選択される1種類以上を含有する脂肪酸(太陽化学社製)を、群(2)の脂肪酸として、炭素数16〜22の飽和脂肪酸、即ち、パルミチン酸、ステアリン酸、及びイソステアリン酸からなる群より選択される1種類以上を含有する脂肪酸(太陽化学社製)を、群(3)の脂肪酸として、炭素数18〜22の不飽和脂肪酸、即ち、オレイン酸、エルカ酸、及びリシノール酸からなる群より選択される1種類以上を含有する脂肪酸(太陽化学社製)を使用した。
実施例2(合成例2)
ポリグリセリン(グレートオイルKT−1)の代わりに、太陽化学社製のポリグリセリン(グレートオイルKT−2)を用いる以外は、合成例1と同様にして、水酸基価803mgKOH/g、1級水酸基含有率62.1%、2級水酸基含有率37.9%の精製したポリグリセリンBを得た。その後、得られたポリグリセリンB55.0g、表1に示す混合脂肪酸185.0g、水酸化ナトリウム0.1gを300mL容の四ツ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら250℃で反応させ、水酸基価18mgKOH/gのポリグリセリン脂肪酸エステルBを得た。
実施例3(合成例3)
ポリグリセリン(グレートオイルKT−1)の代わりに、太陽化学社製のポリグリセリン(グレートオイルKT−3)を用いる以外は、合成例1と同様にして、水酸基価790mgKOH/g、1級水酸基含有率63.0%、2級水酸基含有率37.0%の精製したポリグリセリンCを得た。その後、得られたポリグリセリンC70.0g、表1に示す混合脂肪酸170.0g、水酸化ナトリウム0.1gを300mL容の四ツ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら250℃で反応させ、水酸基価87mgKOH/gのポリグリセリン脂肪酸エステルCを得た。
実施例4(合成例4)
合成例3と同様にして、ポリグリセリンCを得た。その後、得られたポリグリセリンC62.4g、表1に示す混合脂肪酸177.6g、水酸化ナトリウム0.1gを300mL容の四ツ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら250℃で反応させ、水酸基価65mgKOH/gのポリグリセリン脂肪酸エステルDを得た。
実施例5(合成例5)
合成例3と同様にして、ポリグリセリンCを得た。その後、得られたポリグリセリンC60g、表1に示す混合脂肪酸180g、水酸化ナトリウム0.1gを300mL容の四ツ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら250℃で反応させ、水酸基価13mgKOH/gのポリグリセリン脂肪酸エステルEを得た。
実施例6(合成例6)
合成例3と同様にして、ポリグリセリンCを得た。その後、得られたポリグリセリンC57.6g、表1に示す混合脂肪酸182.4g、水酸化ナトリウム0.1gを300mL容の四ツ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら250℃で反応させ、水酸基価20mgKOH/gのポリグリセリン脂肪酸エステルFを得た。
実施例7(合成例7)
合成例3と同様にして、ポリグリセリンCを得た。その後、得られたポリグリセリンC57.1g、表1に示す混合脂肪酸182.9g、水酸化ナトリウム0.1gを300mL容の四ツ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら250℃で反応させ、水酸基価24mgKOH/gのポリグリセリン脂肪酸エステルGを得た。
実施例8(合成例8)
ポリグリセリン(グレートオイルKT−1)の代わりに、太陽化学社製のポリグリセリン(グレートオイルKT−X)を用いる以外は、合成例1と同様にして、水酸基価766mgKOH/g、1級水酸基含有率71.9%、2級水酸基含有率28.1%の精製したポリグリセリンDを得た。その後、得られたポリグリセリンD62.4g、表1に示す混合脂肪酸177.6g、水酸化ナトリウム0.1gを300mL容の四ツ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら250℃で反応させ、水酸基価13mgKOH/gのポリグリセリン脂肪酸エステルHを得た。
比較例1(合成例9)
ポリグリセリン(グレートオイルKT−1)の代わりに、太陽化学社製のポリグリセリン(グレートオイルKT−4)を用いる以外は、合成例1と同様にして、水酸基価1077mgKOH/g、1級水酸基含有率45.8%、2級水酸基含有率54.2%の精製したポリグリセリンEを得た。その後、得られたポリグリセリンE43.2g、表1に示す混合脂肪酸196.8g、水酸化ナトリウム0.1gを300mL容の四ツ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら250℃で反応させ、水酸基価22mgKOH/gのポリグリセリン脂肪酸エステルIを得た。
比較例2(合成例10)
ポリグリセリン(グレートオイルKT−1)の代わりに、太陽化学社製のポリグリセリン(グレートオイルKT−5)を用いる以外は、合成例1と同様にして、水酸基価988mgKOH/g、1級水酸基含有率46.3%、2級水酸基含有率53.7%の精製したポリグリセリンFを得た。その後、得られたポリグリセリンF48.0g、表1に示す混合脂肪酸192.0g、水酸化ナトリウム0.1gを300mL容の四ツ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら250℃で反応させ、水酸基価23mgKOH/gのポリグリセリン脂肪酸エステルJを得た。
比較例3(合成例11)
ポリグリセリン(グレートオイルKT−1)の代わりに、太陽化学社製のポリグリセリン(グレートオイルDE−1)を用いる以外は、合成例1と同様にして、水酸基価886mgKOH/g、1級水酸基含有率61.3%、2級水酸基含有率38.7%の精製したポリグリセリンGを得た。その後、得られたポリグリセリンG52.8g、表1に示す混合脂肪酸187.2g、水酸化ナトリウム0.1gを300mL容の四ツ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら250℃で反応させ、水酸基価30mgKOH/gのポリグリセリン脂肪酸エステルKを得た。
比較例4(合成例12)
合成例11と同様にして、ポリグリセリンGを得た。その後、得られたポリグリセリンG168.0g、ステアリン酸72.0g、水酸化ナトリウム0.1gを300mL容の四ツ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら250℃で反応させ、水酸基価571mgKOH/gのポリグリセリン脂肪酸エステルLを得た。
比較例5(合成例13)
合成例3と同様にして、ポリグリセリンCを得た。その後、得られたポリグリセリンC74.4g、表1に示す混合脂肪酸165.6g、水酸化ナトリウム0.1gを300mL容の四ツ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら250℃で反応させ、水酸基価110mgKOH/gのポリグリセリン脂肪酸エステルMを得た。
Figure 0004443629

実施例9
実施例8で得られたポリグリセリン脂肪酸エステルH、及び市販の軽油用流動性向上剤であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA、三洋化成工業社製)を重量比(ポリグリセリン脂肪酸エステル/EVA)で1/1となるよう混合して、曇り点降下剤組成物Aを得た。
試験例1(曇り発生抑制効果)
脂肪酸メチルエステル(大豆油由来品)に、得られたポリグリセリン脂肪酸エステル(曇り点降下剤)又は曇り点降下剤組成物を、ポリグリセリン脂肪酸エステル濃度が0.2重量%となるよう添加して、攪拌溶解して脂肪酸アルキルエステル組成物(実施例10〜18及び比較例6〜10)を調製した。得られた組成物は目盛り付き試験管に充填して密閉後、0℃の恒温槽中に保存して、3日間、2週間、1ヶ月、及び2ヶ月保存後の結晶析出状態を目視で観察し、以下の評価基準に従って、曇りの発生抑制効果を評価した。結果を表2に示す。なお、析出した結晶は、試験管底部に沈殿するため、結晶析出量は、例えば、保存後の試験管を静置して、充填物の上端と析出結晶の上端が示す目盛りをそれぞれ読み取り、充填物全体が占める目盛り長さを100%とした場合の、析出結晶が占める目盛り長さの割合(%)を算出して求めることができる。また、参考例として、ポリグリセリン脂肪酸エステルを添加しない組成物、即ち、脂肪酸メチルエステルを参考例1、脂肪酸メチルエステル、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)の混合物を参考例2として準備し、同様の評価を行った。
〔曇り発生抑制効果の評価基準〕
5:結晶析出が認められず、組成物は透明
4:結晶析出が認められる(析出量は系全体量に対して10%未満)
3:結晶析出が認められる(析出量は系全体量に対して10%以上、30%未満)
2:結晶析出が認められる(析出量は系全体量に対して30%以上、50%未満)
1:結晶析出が認められる(析出量は系全体量に対して50%以上)
試験例2(曇り点測定)
試験例1と同様にして調製した脂肪酸アルキルエステル組成物について、調製直後の曇り点を基準油脂分析試験法(曇り点2.2.7−1996)に従って測定した。結果を表2に示す。なお、参考例1及び2についても同様の測定を行った。
Figure 0004443629

表2より、特定のポリグリセリンを用いたポリグリセリン脂肪酸エステルを脂肪酸アルキルエステルに添加することにより、ポリグリセリン脂肪酸エステルを添加しない参考例1やポリグリセリンの水酸基価が850mgKOH/gを超えたり、かつ、1級水酸基含有率が50%未満であったりするポリグリセリンを用いた比較例の組成物に比べて曇り点が低く、曇りの発生が抑制され、さらにその効果が持続されていることも分かる。実施例10〜18の結果より、ポリグリセリンの水酸基価、1級水酸基含有率及びポリグリセリン脂肪酸エステルの水酸基価が前記範囲内であれば、ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸が異なるものであっても、曇りの発生抑制効果が発揮されることが判明した。
本発明の脂肪酸アルキルエステル用曇り点降下剤は、低温下における脂肪酸アルキルエステルの曇りや固化の発生を抑制することができることから、寒冷地等での脂肪酸アルキルエステルの流動性及び保存性を向上させることができ、脂肪酸アルキルエステルを主成分とするバイオディーゼル燃料に好適に用いられる。

Claims (3)

  1. 水酸基価が850mgKOH/g以下であり、かつ、ポリグリセリンの全ての水酸基のうち1級水酸基含有率が50%以上であるポリグリセリンと、脂肪酸とのエステル化物であるポリグリセリン脂肪酸エステルであって、水酸基価が100mgKOH/g以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有してなる、脂肪酸アルキルエステル用曇り点降下剤。
  2. 水酸基価が850mgKOH/g以下であり、かつ、ポリグリセリンの全ての水酸基のうち1級水酸基含有率が50%以上であるポリグリセリンと、脂肪酸とのエステル化物であるポリグリセリン脂肪酸エステルであって、水酸基価が100mgKOH/g以下であるポリグリセリン脂肪酸エステル、及び流動性向上剤を含有してなる、脂肪酸アルキルエステル用曇り点降下剤組成物。
  3. 脂肪酸アルキルエステルと、請求項1記載の曇り点降下剤、又は請求項2記載の曇り点降下剤組成物、を含有してなる脂肪酸アルキルエステル組成物であって、ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が0.005〜5重量%である、脂肪酸アルキルエステル組成物。
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