JP4443147B2 - 広告配信システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、定期的な路線やルート(以下、系統という)を運行するバス、例えば路線バスに表示される広告のインターネット等の通信手段を用いた配信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、路線バスは、車内において中吊り等の紙面や車内放送等の音声、電光掲示板による映像といった、複数種類の手法により広告が表示されている。路線バスは、所定の系統に従い様々な地域を走行する性質上、該バスで表示される広告は、地域性に富んだものや時間帯によって異なる乗客層に対応したものであることが望ましい。なお、本明細書において、広告とは顧客を誘致するために商品や役務について多くの人に知られるようにすることのみならず、ニュースや告知、案内等も含む。
【0003】
ここで、紙面による広告は、広告主が現れたり、広告内容に変更があったりするたびに新たな紙面の印刷や張り替え作業が要求される。また広告掲示期間が過ぎたものに対する定期的な張り替え作業も必要となる。つまり紙面による広告は、非常に人的負担や時間的負担が大きかった。また、広告内容によっては、特定の地域や時間帯といったある条件下でより実効性があるにもかかわらず、一度車内に掲示すると張り替え作業を行わない限り、同一の広告を常時表示することしかできない。音声や映像による広告は、車載器に接続自在な記録媒体に予め保存された広告データを用いる。このため、音声や映像による広告は、例えばバス運転手の操作によって、車載器に接続された記録媒体から適切な広告データを抽出し、任意のタイミングで電光掲示板等に表示させることができる。従って、音声や映像による広告は、紙面広告に比べ表示タイミングや表示期間等に柔軟性があるといえる。
【0004】
しかし、従来の音声や映像による広告も、更新する際には、車載器に接続される記録媒体を、更新後の広告データが記録された記録媒体に差し替える必要があった。つまり、広告データの更新はデータベース全体に対して行われるのが通常であり、広告ごとに更新することはきわめて困難であった。また、運行中に、運行地点または運行時刻といった運行条件に応じて優先的に表示したい広告や、乗客に対して緊急で情報を表示したいという要求に対応することができないという問題があった。
【0005】
近年、路線バスの運行業務に関して経費節減や人員削減を実現するために一層の効率化を図るとともに、利用者への利便性を図るための様々な運行管理サービスや運行管理システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−63692号公報
【0007】
上記特許文献1に例示される従来のサービスやシステムは、各バスと事業所もしくはサーバ間をネットワーク接続することにより、バスの現在の運行状況をリアルタイムで把握し、運行管理を行うことを特徴としている。しかしながら、そのサービスやシステムも該ネットワークを利用して車内における広告の表示に関する利便性を向上する試みは十分になされていないのが現状であった。
【0008】
【解決しようとする課題】
そこで上記事情に鑑み、本発明は、バス車内で表示される広告の更新を柔軟にかつ簡易に行うことができ、さらには優先度や緊急度の高い突発的な広告も任意のタイミングで表示可能な広告配信システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に記載の広告配信システムは、バスに搭載した表示装置に広告を表示させる広告システムにおいて、広告データと該広告データを表示するための条件を規定する広告表示条件データとを含むデータベースを記憶する記憶手段と、現在の運行条件がデータベースにおけるいずれかの広告表示条件データに合致するかどうかを判定する判定手段と、判定手段により合致した広告表示条件に対応する広告データを所定の方法により表示させる表示制御手段と、を有する車載器および、該車載器と無線ネットワークで接続され、データベースの少なくとも一部を更新するサーバとを有することを特徴とする。
【0010】
上記のように請求項1に記載の広告配信システムによれば、運行途中のバスの車載器がもつデータベースの少なくとも一部をサーバが更新することができる。これにより、バスごとに異なる広告データを与えることが可能となり、その書き換えも非常に簡易なものとなる。しかも、データの更新はサーバを介していつでも可能となるため、バス事業所の人的、時間的負担を軽減することができる。
【0011】
請求項2に記載の広告配信システムによれば、上記の広告表示条件に、広告データの表示の緊急度を示す緊急度データを含ませて、表示制御手段が、緊急度データと関連づけられた広告データを検出すると直ちに表示させるように構成することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、バス車内において、広告表示が緊急度に配慮したタイミングで実行されることになる。つまり、バスの乗客は、急に発生した地域情報やニュースといった広告を即座に確実に入手することができる。また、広告主等の広告提供者は、バスの運行条件の如何を問わず、緊急度あると判断した広告を瞬時に表示させることが可能となり、より高い広告効果を期待できる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、データベースは、広告データの表示の緊急度を示す緊急度データを含み、表示制御手段は、緊急度データと関連づけられた広告データについては、他の条件を無視して表示させる。
【0014】
また、データベースに、前記広告データの表示の優先度を示す優先度データを含ませてもよい。この場合、表示制御手段は、優先度を高く設定された広告データから順番に表示させることが好ましい(請求項4)。これにより、同一の広告表示条件下に複数の広告を表示させるような設定が可能となり、より柔軟な広告表示に関する計画を立てることができる。
【0015】
ここで、サーバは、該サーバの外部からの指示に応じて上記のデータベースの少なくとも一部を更新することができる(請求項5)。サーバの外部とは、例えば、サーバに対する管理者権限を有する者、具体的には広告代理店やバス事業所などが想定される。これにより、各バスは常に最新の広告データを備えることができる。
【0016】
ここで、広告表示条件には、時刻と位置の少なくとも一方が含まれる(請求項6)。このほかにも、乗客数、天候、曜日等を広告表示条件とすることもできる。
【0017】
また、請求項7に記載の広告配信システムによれば、運行条件に合致する広告表示条件がないと判定手段が判定すると、表示制御手段がサーバに接続して、運行条件に合致する広告表示条件と関連づけられた広告データを要求するような構成にしてもよい。これにより、より漏れのない広告表示が行われる。
【0018】
さらに請求項8に記載の広告配信システムによれば、広告データとして、前記サーバに接続することを要求する指示データを登録しておき、判定手段により合致した広告表示条件データに対応する広告データが指示データであるとき、表示制御手段がサーバに接続して、広告表示条件と関連づけられた広告データを要求する構成にしてもよい。これにより、まもなくバスが通過するであろう地点での最新情報を乗客に報知することができる。例えば、停留所のそばに観覧車がある場合、観覧車乗車までの待ち時間を車内に表示することができる。
【0019】
なお、広告の表示方法としては、音声または映像の少なくとも一方が考えられる(請求項9)。
【0020】
別の観点から請求項10に記載の広告配信システムは、互いに無線ネットワークで接続された車載器とサーバシステムを有し、車載器は、現在の運行条件を定期的に検出する検出手段と、検出手段により検出された運行条件をサーバシステムに送信し、該サーバシステムから送信される広告データを所定の方法により表示させる表示制御手段と、を有し、サーバシステムは、広告データと該広告データを表示するための条件を規定する広告表示条件データとを含むデータベースを保管するDBサーバと、車載器から送信される運行条件とデータベースにおけるいずれかの広告表示条件データに合致するかどうかを判定し、合致する広告表示条件があると該広告表示条件データに対応する広告データを車載器に送信する処理サーバと、を有することを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載の発明によれば、車載器側にデータベース、あるいは該テーブルを記憶する記憶手段がない場合であっても、常に最新、かつ運行条件に対応した広告を表示することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施形態の広告配信システムが組み込まれたバス運行管理システム100の概略構成を表すブロック図である。図1に示すように、バス運行管理システム100は、サーバシステム10、バス事業所20、広告代理店30、アプリケーション作成センタ40、バス利用者等の一般ユーザ50、バスB1、B2、…、Bnとから構成される。サーバシステム10は、バス運行管理に関する種々のデータを保管するデータベースサーバ(以下、単にDBサーバという)11と、外部から送信されるデータやアプリケーションおよびDBサーバ11に保管されるデータを用いて各バスB1〜Bnに様々な処理を実行するOSGiサーバ12とを有する。各バスB1〜Bnは、それぞれ運行を制御する車載器M1〜Mnを有する。
【0023】
バスB1〜Bnは、位置情報や乗客数といったバス運行状況に関するデータ(以下、運行状況データという)を定期的にサーバシステム10にアップロードしている。OSGiサーバ12は、アップロードされた運行状況データをDBサーバ11に保管する。また、バス事業所20は、すべてのバスの運行を掌握しており、定期的または任意のタイミングでバス運行に関する様々なデータや指示をサーバシステム10に送信する。バス事業所20および広告代理店30は、運行中のバス車内において表示される広告に関するデータ(広告データ)をサーバシステム10に送信する。つまり、本実施形態においてバス事業所20および広告代理店30は、広告提供者として位置づけられる。アプリケーション作成センタ40は、車載器M1〜Mnに関するアプリケーションもしくは該アプリケーションの更新プログラム等をサーバシステム10に送信する。
【0024】
サーバシステム10のOSGiサーバ12は、バス事業所20、広告代理店30、アプリケーション作成センタ40から送信されるデータやアプリケーションをDBサーバ11に保管する。またOSGiサーバ12は、データやアプリケーションを定期的もしくは任意のタイミングで各バスB1〜Bnに配信して、各バスB1〜Bnの車載器M1〜Mnにおけるデータやアプリケーションを更新する。
【0025】
また、一般ユーザ50が、自らの携帯電話やパーソナルコンピュータ等を用いてサーバシステム10に接続すると、OSGiサーバ12は、該ユーザ50が必要とする現在のバスの運行状況や時刻表、所定の停留所への到着予定時刻をリアルタイムで提供する。
【0026】
以下、本実施形態の広告配信システム60について詳説する。図2は、本実施形態の広告配信システム60を示すブロック図である。なお、図2に示すブロック図は、便宜上、バスB1、サーバシステム10、バス事業所20、広告代理店30との関係についてのみ示している。実際のサーバシステム10は、図1に示すようにバスB1を含む複数のバスと無線通信(例えばセルラー網)によってネットワーク接続されている。つまり、以下の説明は他のバスB2〜Bnにも該当する。
【0027】
バスB1は車載器M1、電光掲示板7、スピーカ8等を有する。車載器M1は、CPU1、GPS2、メモリ3、通信装置4、アンテナ5、操作部6を有する。サーバシステム10は、各サーバ11、12の他、通信装置13、アンテナ14、を有する。サーバシステム10は、インターネットNを介してバス事業所20や広告代理店30と常時接続されている。
【0028】
バス事業所20や広告代理店30は、広告主からの依頼を受けてバス車内で表示する広告内容に関するデータ(広告データ)と、該広告データを表示するための条件に関するデータ(表示条件データ)とを互いに関連づけたデータベースを作成する。該データベースは、各バスB1〜Bnに共通であってもよいし、運行系統ごともしくは一台ごとに異なるものであってもよい。
【0029】
図3は、車載器M1に格納されるデータベースを示している。図3に示すように、データベースは、1または複数の広告リストから形成される。各広告リストは、リスト番号、表示条件、緊急、広告の各項目を有する。リスト番号は、データ作成順もしくはデータのアップロード順に便宜上付されるものであって、該番号の順に広告表示されることを意味するものではない。本実施形態における表示条件の項目は、運行場所、運行時間の二種類が想定される。運行場所は、バス停留所近辺のみならず、広告主が希望する任意の場所を設定可能である。従って、例えば店舗正面の通りを通過するタイミングで広告を表示することも可能である。運行時間は、午前、午後、終日といった特定の時間帯を指定したり、ある特定の時刻を指定したりできる。従って、例えば時報に合わせて所定の広告を出すことも可能である。緊急項目は、広告表示の緊急度を規定する項目である。
【0030】
バス事業所20や広告代理店30によって作成されたデータベースは、インターネットNを介してサーバシステム10にアップロードされる。OSGiサーバ12は、アップロードされたデータベースをDBサーバ11に保管する。なお、OSGiサーバ12は、アップロードされた各種データやアプリケーションをDBサーバ11に保管する処理を行うだけでなく、保管した各種データ等を用いて各バスB1〜Bnに様々な処理を施す機能をもつ処理サーバである。
【0031】
バスの車載器M1は、一日の業務の開始時に、その日運行中に表示する広告についてのデータベースをサーバシステム10から取得する。具体的には、CPU1は、バス運転手が行う所定の動作を契機として、通信装置4、アンテナ5を介してサーバシステム10にアクセスし、データベースのダウンロードを要求する。ここで所定の動作としては、例えば、運転手がキーを挿入する、もしくは操作部6を操作するなどが考えられる。また、ダウンロードを要求する信号には、バスB1を識別するための情報も含まれる。
【0032】
サーバシステム10において、CPU1からのダウンロード要求は、アンテナ14、通信装置13を介してOSGiサーバ12により受信される。OSGiサーバ12は、該要求を受信すると、バスB1に対応するデータベースをDBサーバ11から取り出し、車載器M1に配信する。車載器M1のCPU1は、データベースを受信するとメモリ3に格納する。
【0033】
運行中、GPS2は常時または定期的に現在の運行位置情報および現在時刻情報を取得する。そしてCPU1は、取得した現在の運行条件(位置情報、時刻情報)がメモリ3に格納される各広告リストの広告表示条件と合致するかどうか判断する。CPU1は、判断の結果、位置情報と時刻情報のいずれも広告表示条件と合致する広告リストがある場合には、該リストの広告データを読み出し、音声信号もしくは映像信号の少なくとも一方に変換する。ビデオドライバ7Aは、CPU1により生成された映像信号に従って電光掲示板7に広告内容を映像表示させる。オーディオドライバ8Aは、上記の音声信号に従ってスピーカ8から広告内容を音声表示する。
【0034】
図3を参照しつつ、広告表示の具体例を説明する。GPS2から取得した現在の位置情報がAバス停近傍、現在時刻が午前10時であるとする。すると、現在の運行条件は、広告リスト(番号1)の広告表示条件と合致する。従って、車内には「お買い物はJデパートへ」という音声アナウンスや映像表示が行われる。
【0035】
また、バスがC交差点にさしかかった場合、現在時刻が何時であっても、バスB1の運行条件は、広告リスト(番号3)の広告表示条件に合致する。そこで、上記と同様、広告リスト(番号3)の広告の項目を参照すると、広告内容ではなく"Check the server"という指示データが書き込まれている。従って、CPU1は、該指示データに従いサーバシステム10にアクセスする。
【0036】
OSGiサーバ12は、広告リスト(番号3)に対応する最新情報を常にインターネット等の通信網を用いて入手している。そして、上記のようなCPU1からのアクセスがあった場合には、該最新情報を車載器M1に送信する。CPU1は、電光掲示板7やスピーカ8を介して、該最新情報を車内で広告表示する。このように、予め与えられた広告データだけでなく、必要に応じてサーバシステム10が保有する最新情報に基づく広告を行うことにより、よりユーザのニーズに対応した効果の高い広告表示が可能になる。なお、最新情報に基づく広告としては、電車の到着時刻や映画の上映開始時刻までの残り時間、観覧車等のアトラクションの待ち時間、といった時々刻々と変化する広告がある。
【0037】
また、本実施形態の広告配信システム60では、予めメモリ3に記憶されたデータベースに対してサーバシステム10側から更新処理を施すことができる。更新処理としては、広告リストの追加、削除だけでなく、既存の広告リストにおける広告表示条件の変更や広告内容の訂正等も含まれる。
【0038】
具体的には、広告主からの依頼を受けてバス事業所20や広告代理店30は、更新したい広告リストを作成し、サーバシステム10に随時アップロードする。OSGiサーバ12は、バス事業所20等から更新された広告リストが送信されると現在DBサーバ11内にあるデータベースを参照する。そして、該更新された広告リストに対応する広告リストがある場合には、更新された広告リストで現在存在する広告リストを上書き更新し、対応する広告リストがない場合には、更新された広告リストを新規の広告リストとして追加する。
【0039】
そして、バス事業所20等からの配信指示を受信する、もしくはDBサーバ11での更新処理が終了すると、OSGiサーバ12は、広告更新要求とともに、DBサーバ11での更新内容に関する更新データをCPU1に送信する。CPU1は、広告更新要求があると、メモリ3に記憶されているデータベースを更新データに基づいて更新する。このような更新処理によって追加されたデータを図3中、リスト番号n−1、nに示す。
【0040】
また本実施形態の広告配信システム60では、広告表示の緊急度を設定している。緊急度あり(図3中緊急項目「1」)と設定された広告リストは、他の広告リストよりも優先的に処理されて、広告表示の対象となる。具体的には、図3において広告リスト(番号n)の緊急項目は「1」に設定されている。従って、データベースが更新されて広告リスト(番号n)がデータベースに追加されると、CPU1は、他の広告リストにおける広告表示を無視して、優先的に「15時10分頃、W小学校近くで事故発生」という広告を表示する。CPU1は、緊急度ある広告を所定期間もしくは所定回数表示した後、自動的にデータベースから削除したり、緊急項目を緊急度なしを意味する「0」に変更したりする。
【0041】
なお、図3には示していないが、緊急度の設定に代えて、または緊急度の設定と共に広告表示の優先度について設定することも可能である。広告表示の優先度を設定することにより、広告表示条件が共通の広告データが複数あった場合でも、CPU1は優先度に関するデータに従って、表示順位を決定する。従ってCPU1に係る処理負担を軽減することができる。また、バス事業者20等の広告提供者は、より柔軟な広告表示計画を立てることができる。
【0042】
さらに本実施形態の広告配信システム60では、現在の運行条件に合致する広告リストが存在しない場合、CPU1がサーバシステム10にアクセスして、OSGiサーバ12に対して現在の運行条件に合致する広告リストがある場合には送信するように要求する。OSGiサーバ12は、DBサーバ11上のデータベースを参照し、バスB1の現在の運行条件に合致する新たな広告リストがある場合には、該新たな広告リストを車載器M1に配信する。DBサーバ11上のデータベースを参照し、バスB1の現在の運行条件に合致する新たな広告リストがない場合、OSGiサーバは、該当リストがないことを通知する制御信号をCPU1に送信する。あるいはバスB1の現在の運行条件に合致する新たな広告リストがない場合、運行条件に関係なく表示可能な広告データ、例えばバス事業所からの告知、案内等を車載器M1に配信してもよい。CPU1は、OSGiサーバ12から上記いずれかの広告データを受信した場合には、該広告データに対応する広告を表示する。
【0043】
本実施形態の広告配信システム60における、CPU1の動作を示すフローチャートは図4に、サーバシステム10の動作を示すフローチャートは図5にそれぞれ示される。
【0044】
車載器M1のCPU1は以下のように動作する。図4に示すように、例えば運転手がキーを挿入するといった所定の動作を契機として、CPU1はサーバシステム10から送信されるスタフデータ(運行計画表)に対応した広告のデータベースがメモリ3に保存されているかどうか判断する(S1)。通常、運行業務開始時は、スタフデータに対応するデータベースは保存されていないため、サーバシステム10にデータベースの送信を要求する(S1:NO、S11)。
【0045】
S1でYESと判断した場合、もしくはS11でデータベースを取得した場合、CPU1は続いて緊急表示要求があるかどうか、すなわちデータベース上に緊急度あり(緊急度項目「1」)に設定されているかどうか判断する(S3)。なお、S1でYESと判断される場合としては、既に一度配信されたデータベースを再度使用することができるとき、例えば一日のうちに同一系統を複数回運行するとき等が考えられる。
【0046】
メモリ3に格納されるデータベースを参照した結果、緊急度項目が「1」に設定されている広告リストを検出した場合(S3:YES)、CPU1は、現在の運行条件と合致する広告リストが他にある場合でも、緊急度ありに設定された該広告リストに対応する広告を車内で表示する(S7)。なお、広告を車内で表示するにあたり、CPU1は該広告リストの緊急度項目を緊急度なしを意味する「0」に設定する(S13)。これにより、常に緊急度の高い広告だけが表示され続ける不具合を回避している。
【0047】
S3において、緊急度ありに設定された広告リストがない場合(S3:NO)、CPU1は次いで現在の運行条件が各広告リストの広告表示条件と一致するか否かを判断する(S5)。CPU1は、現在の運行条件と一致する広告表示条件が設定された広告リストを検出すると(S5:YES)、該広告リストに対応する広告を車内で表示する(S7)。なお、図3中広告リスト(番号3)のように広告データの内容がサーバへのアクセス指示になっている場合は、サーバシステム10にアクセスして最新情報をダウンロードした後、S7の広告表示処理を行う。CPU1は、現在の運行条件と一致する広告表示条件が設定された広告リストがないと判断すると(S5:NO)、S7を飛ばして、S9以降の処理を行う。S5でNOと判断した場合、CPU1がサーバシステム10に現在の運行条件に合致する広告リストを要求する処理を加えてもよい。
【0048】
次いでCPU1は、S9の処理を行う。S9では、OSGiサーバ12から、広告更新要求とともに、DBサーバ11での更新内容に関する更新データが送信されているかどうかの判断を行う。CPU1は、広告更新要求があると、メモリ3に記憶されているデータベースを更新データに基づいて更新する(S15)。広告更新要求がない場合には、S1からの処理を繰り返す。
【0049】
上記CPU1の動作に対応しつつ、OSGiサーバ12は以下のように動作する。図5に示すように、OSGiサーバ12は、予め、バス事業所20等から送信されるデータベースを受信し、DBサーバ11に保管する(S51)。
【0050】
次いで、OSGiサーバ12は、バス事業所20等から特定の広告リストに対して緊急広告要求があるかどうか判断する(S53)。該判断の結果、緊急広告要求がされていないと判断すると(S53:NO)、OSGiサーバ12は、車載器M1側からダウンロード要求があるかどうかを判断する(S55)。そして、ダウンロード要求があるまで、S53からの処理を繰り返す(S55:NO)。つまり、バス事業所20等からの緊急広告要求は常時受け付けるような待機状態に入る。なお、ここでいうダウンロード要求としては、運行開始時に行われるデータベースそのものに対するダウンロード要求だけでなく、運行途中において適宜行われる要求、例えば、最新情報をダウンロードする要求なども含む。
【0051】
S53において、緊急広告要求がされていると判断すると、緊急広告要求がされている広告リストについては該リスト中の緊急度項目を「1」に設定する(S61)。なお、バス事業所20等で予め緊急性ありとわかっている広告については、S51で送信されるデータベースを作成する段階で予め緊急度項目を「1」に設定しておくことも可能である。
【0052】
車載器M1からダウンロード要求があると判断する(S55:YES)、またはS61の処理を終えると、OSGiサーバ12は、広告更新要求と共にデータベースの変化部分(更新データ)を車載器M1に送信する(S57)。つまり、OSGiサーバ12は、原則としては車載器M1からの要求に応じて更新データを送信するが、緊急広告要求がある場合には、車載器M1からの要求の有無を問わず、更新データを送信する。なお、S55において受信したダウンロード要求がデータベースそのものに対するものである場合には、更新データではなく車載器M1に対応するデータベースそのものを送信する。
【0053】
S57の処理が終了すると、OSGiサーバ12は、該広告リストにあった緊急度項目を緊急度なしを意味する「0」に設定する(S59)。これにより、常に緊急度の高い広告だけが表示され続ける不具合を回避している。
【0054】
以上が本発明の実施形態である。なお、本発明に係る広告配信システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、以下に説明するような構成の変更が可能である。
【0055】
上記実施形態では広告表示条件との比較対象である現在の運行条件として位置と時刻を列挙したが、あくまでも例示である。他にも、運行条件としては、天候状態、乗客数、乗客層などを例示することができる。
【0056】
また、上記実施形態では、広告リストに緊急度を設定することにより、広告を表示するタイミングに柔軟性を持たせ、より効果の高い広告表示を実現している。ここで、表示タイミングにより一層の柔軟性を持たせるために、緊急度の代わりもしくは緊急度に併せて広告表示の優先度の設定を行うことができる。つまり、同一運行条件下に複数の広告を設定して、CPU1が優先度の高い広告から順に表示するような制御を行ってもよい。
【0057】
また、上記実施形態において、車載器のCPU1は、通常はメモリ3に記憶されたデータベースに基づいて広告表示を行っており、特定の条件(例えば、広告データがサーバへのアクセス指示である場合)を満たすとサーバシステム10から最新情報を入手する構成であると説明した。ここで、車載器M1はデータベースを保存するためのメモリ3を持たず、広告データはサーバシステム10側に一括して保管するシステムにする変形も可能である。この変形の場合、CPU1が定期的にまたは任意のタイミングでサーバシステム10にアクセスする。そして現在の運行条件に合致する広告表示条件に関連づけられた広告をダウンロードして車内で表示する。該変形によれば、通信費用は若干高くなる反面、一部情報が最新である上記実施形態に比べて、略全ての広告内容が最新の状態で表示されるという利点がある。
【0058】
【発明の効果】
このように本発明は、バス、サーバ、バス事業所をネットワークで接続し、広告データを自動的に配信しかつ更新する構成にすることにより、バス事業所等の広告提供者は、非常に簡易な方法で最新の情報を運行途中のバス車内で表示させることが可能となる。従って、従来行っていた紙面広告の掲示や広告データの入った記録媒体の受け渡しといった作業にかかる人的負担や経費を軽減することができる。しかも、表示すべき広告自体に緊急度や優先度を設けることにより、より柔軟かつ好適なタイミングで広告の表示が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の広告配信システムが組み込まれたバス運行管理システムの概略構成を表すブロック図である。
【図2】本実施形態の広告配信システムを示すブロック図である。
【図3】本実施形態のバスの車載器内に保存される広告に関するデータベースを示す表である。
【図4】本発明の実施形態の車載器のCPUの動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態のサーバシステムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 CPU
2 GPS
3 メモリ
10 サーバシステム
11 DBサーバ
12 OSGiサーバ
20 バス事業所
30 広告代理店
B1〜Bn バス
M1〜Mn 車載器
60 広告配信システム
100 バス運行管理システム
Claims (7)
- バスに搭載した表示装置に広告を表示させる広告配信システムにおいて、
広告データと該広告データを表示するための条件を規定する広告表示条件データとを関連付けた構成のデータベースを記憶する記憶手段と、現在の運行条件が前記データベースにおけるいずれかの広告表示条件データに合致するかどうかを判定する判定手段と、前記判定手段により合致した広告表示条件データに対応する広告データを所定の方法により表示させる表示制御手段と、を有する車載器と、
前記車載器と無線ネットワークで接続され、前記データベースの少なくとも一部を更新するサーバと、
を有し、
前記データベースは、前記サーバへの接続を指示する指示データが前記広告データのフィールドに入力されたレコードを有し、
前記表示制御手段は、前記判定手段により合致した広告表示条件データに関連付けられたデータが前記指示データであるとき、前記サーバに接続して前記広告表示条件と関連付けられた広告データを要求することを特徴とする広告配信システム。 - 前記広告表示条件データは、前記広告データの表示の緊急度を示す緊急度データを含み、
前記表示制御手段は、前記緊急度データと関連づけられた広告データを直ちに表示させることを特徴とする請求項1に記載の広告配信システム。 - 前記データベースは、前記広告データの表示の優先度を示す優先度データを含み、
前記表示制御手段は、優先度の高い広告データを優先度の低い他の広告データよりも優先的に表示させることを特徴とする請求項1に記載の広告配信システム。 - 前記サーバは、該サーバの外部からの指示に応じて前記データベースの少なくとも一部を更新することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の広告配信システム。
- 前記広告表示条件には、時刻と位置の少なくとも一方が含まれることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の広告配信システム。
- 請求項1から請求項5のいずれかに記載の広告配信システムにおいて、
前記表示制御手段は、前記運行条件に合致する広告表示条件がないと前記判定手段が判定すると、前記サーバに接続し、前記運行条件に合致する広告表示条件と関連づけられた広告データを要求することを特徴とする広告配信システム。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の広告配信システムにおいて、
前記所定の方法は、音声または映像の少なくとも一方であることを特徴とする広告配信システム。
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