JP4443007B2 - 木粉充填発泡成形体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木粉充填発泡樹脂成形体に関するものであり、より詳細にはABS樹脂で形成され、表面に木質感を持たせた木粉充填発泡樹脂成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
木粉を高充填した樹脂組成物は古くから種々提案されている。
例えば、特公昭62−41612号公報には、低酢酸ビニル含有量の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、液状可塑剤、高酢酸ビニル含有量の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、木粉及び安定剤よりなる混合物を押出法によってシート状に成形し、扁平状に延伸された気泡を内蔵せしめてなる木粉を高充填した塩化ビニル樹脂系組成物が記載されている。
【0003】
特開平9−20834号公報には、塩化ビニル成分を主体とし、エチレン成分を2〜20重量%含む塩化ビニル系共重合体100重量部と木質粉末10〜175重量部を含み、該木質粉末が、上記塩化ビニル系共重合体用安定剤及び/または熱分解型発泡剤と予め予備混合されたものであることを特徴とする発泡用樹脂組成物が記載されている。
【0004】
特開平10−182991号公報には、(A)塩化ビニル系樹脂100重量部、(B)メチルメタクリレート単位を60重量%以上含有し、共重合体のガラス転移点が50〜90℃で、かつ比粘度が1.5〜4.0であるメチルメタクリレート系共重合体7〜30重量部、(C)熱分解型発泡剤0.1〜3.0重量部、及び(D)平均粒径50〜500μmの木粉5〜150重量部を配合して成る塩化ビニル系樹脂組成物が記載されている。
【0005】
特開平11−34148号公報には、塩化ビニル系樹脂100重量部にセルロースパウダー1〜100重量部と発泡剤0.1〜1.5重量部を含有させた組成物を成形原料として用い、ヘッド部にブレーカープレートと加熱ダイスを備えた押出機と冷却サイジング台を配置した成形ラインにおいて、加熱ダイスと冷却サイジング台間の距離であるエアーギャップを0〜5mmとして、サイジング部で成形品表面を冷却することを特徴とする寸法精度に優れた木質様塩化ビニル系発泡成形品の製造方法が記載されている。
【0006】
また、塩化ビニル系樹脂以外の熱可塑性樹脂に木粉を配合した例としては、特開平9−40878号公報に記載された熱可塑性樹脂組成物が知られており、スチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂20〜95重量%及び木粉5〜80重量%の合計100重量部に対して、少なくとも1種の官能基を有する平均分子量300〜10000の化合物または重合体1〜40重量部を配合したものが用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
塩化ビニル系樹脂を用いた成形体では、その廃棄処理に際して環境への影響が懸念されており、この問題を解消すべく非塩素系樹脂の使用が検討されている。しかしながら、塩化ビニル系樹脂の代替えとして、ABS樹脂を用いた場合には、樹脂組成物の粘度が低く、金型内での圧力がかかりにくく、成形体の表面がざらついたり、凹凸が大きくなり、よい木質感が得られないという欠点が認められる。
【0008】
そこで、押し出される成形体の表面を、ガイド或いはサイジングダイと擦り合わせることにより、表面のざらつきを抑えることが考えられるが、この場合にもまた、ABS樹脂の粘度が低すぎるために、ガイド或いはサイジングダイとの接触により、表面に光沢がでて木質感が得られないという欠点が生じやすい。
【0009】
従って、本発明の目的は、ABS樹脂、木粉及び発泡剤を含有する樹脂組成物から形成されてなり、表面にざらつきや光沢がなく、表面が優れた木質感を有する樹脂成形体を提供するにある。
本発明の他の目的は、樹脂成形体の表面のざらつきや光沢が解消されていると共に、ABS樹脂・木粉組成物の発泡体の表面層の破泡が行われ、その結果として木質感が増強された木粉充填発泡樹脂成形体を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、無発泡或いは低発泡のABS樹脂から成る基体と、木粉充填表面層との押出成形体において、少なくとも化粧面となる表面層がABS樹脂90〜20重量%と、木粉10〜80重量%と、上記2成分の合計100重量部を基準として、発泡剤0.1〜1重量部と、平均分子量が50万〜500万の高分子加工助剤1〜20重量部とからなり、且つ該表面層の表面が破泡していることを特徴とする木粉充填発泡樹脂成形体が提供される。
本発明の木粉充填発泡樹脂成形体は、異形押出成形体であることが好ましく、このような異形押出成形体でありながら、優れた木質感が得られる。
また、本発明の木粉充填発泡樹脂成形体は、少なくとも化粧面となる表面層が0.2乃至2mmの厚みを有するものであることが、成形体の外観特性や成形性及びコストの点で好ましい。
この樹脂成形体の製造に用いる高分子加工助剤としては、それ自体公知の任意の高分子加工助剤が使用されるが、木質感の向上の点では、アクリル系高分子加工助剤であることが特に好ましい。
本発明の木粉充填発泡樹脂成形体は、非発泡性或いは低発泡性のABS樹脂を基体として、ABS樹脂90〜20重量%と、木粉10〜80重量%と、上記2成分の合計100重量部を基準として、発泡剤0.1〜1重量部と、平均分子量が50万〜500万の高分子加工助剤1〜20重量部とからなとから成る樹脂組成物を少なくとも化粧面となる表面層として、多層多重ダイを通して共押出し、押し出された成形体を表面層の表面が破泡した状態でガイド或いはサイジングダイと接触させることにより得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、無発泡或いは低発泡のABS樹脂から成る基体と、木粉充填発泡ABS樹脂表面層とで押出成形体を製造する。
この際、(1)少なくとも化粧面となる表面層を、ABS樹脂90〜20重量%と、木粉10〜80重量%と、上記2成分の合計100重量部を基準として、発泡剤0.1〜1重量部と、平均分子量が50万〜500万の高分子加工助剤1〜20重量部とからなる樹脂組成物で形成させること、及び(2)該表面層の表面が破泡するように成形を行うことが特徴である。
【0012】
本発明に用いるABS樹脂は、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系共重合体(ABS)であり、このABS樹脂は、それ自体成形性、耐衝撃性、剛性、引張強度、光沢等の諸特性に優れた汎用樹脂であると共に、木粉充填発泡樹脂成形体の用途に特に適している。
即ち、結晶性熱可塑性重合体では、温度上昇に伴い急激な溶融粘度の低下が生じるため、発泡適性粘度範囲が狭いという傾向が見られるが、上記ABS樹脂は典型的な非晶質ポリマーであって、温度上昇に伴う粘度低下が比較的緩やかであり、発泡適性粘度範囲が広いという利点を有しており、従って、本発明の木粉充填発泡樹脂成形体の製造に有利に使用しうる。
【0013】
本発明で用いる木粉は、少なくとも化粧面となる表面層に木質感、即ち木材に似た外観、風合い、触感等を付与するためのものであるが、木粉充填ABS樹脂組成物から得られる樹脂成形体表面のざらつき(凹凸の発生)を抑制し、光沢を解消するために、木粉充填ABS樹脂組成物に、特定の量比で発泡剤及び高分子加工助剤を配合するものである。
【0014】
本発明では、発泡剤及び高分子加工助剤の組合せ配合により、成形体の押出加工時に、形成される表面層の内部を発泡させると同時に表面層の表面を破泡させることができ、これにより、成形体の外形を規制するためのガイド或いはサイジングダイとの間に適度な加圧状態を付与することが可能となり、表面の光沢の発生を防止しつつ、表面の凹凸の発生を抑制することが可能となり、更に優れた木質感を発現させることが可能となる。
表面層の発泡は、押出に際してダイ内で、或いは更にダイから押し出された際に生じるが、表面層の表面における破泡は、この押出成形体の表面層がガイド或いはサイジングダイと接触するに先立って生じていればよい。
【0015】
一般に、樹脂の溶融発泡成形では、樹脂中への気体の分散過程及び樹脂中での気泡の成長過程を経て発泡成形が行われるが、本発明に用いる樹脂組成物では、発泡剤及び高分子加工助剤を限定された量比で含有するため、表面層の内部では、樹脂中への気体の分散及び樹脂中での気泡の成長が円滑に進行して、発泡が有効に行われると共に、表面層のごく表面では破泡、即ち気泡の破れが生じるように発泡状態が調節されているのである。
即ち、この点について、詳しく説明すると、樹脂成形体表面の凹凸を抑制するためには、成形体表面とガイド或いはサイジングダイとを適切な加圧状態で密接させることが必要であるが、表面層内部の発泡及び表面の破泡は、この加圧状態での密接に役立っている。また、表面での破泡は表面光沢の発生防止にも役立っている。
【0016】
[ABS樹脂]
本発明の成形体の基体及び表面層に用いるABS樹脂は、ポリスチレン(PS)の改質の目的で、PSをアクリロニトリル(AN)及びポリブタジエン(B)で共重合変性したもので、AN含有量が一般に20乃至40重量%、特に25乃至35重量%、及びポリブタジエンの含有量は、一般に5乃至70重量%、特に10乃至30重量%の範囲にあるのものが入手容易である。
AS樹脂では、AN含有量の増大に伴って、耐薬品性が向上し、他に剛性、引張強度、荷重撓み温度、表面硬度、バリアー性、耐光性が向上し、逆に流動性、熱安定性が低下する。したがって、要求される特性に応じて、所定のAN含有量のものを選択し、用いることができる。
また、ABS樹脂は、上記AS樹脂に、ポリブタジエンをゴム成分として分散させ補強させたものであり、一層向上した耐衝撃性、剛性、引張強度、光沢を有している。
このABS樹脂においては、AS樹脂の連続相中にポリブタジエンの粒子が分散層として分散した構造を有し、粒子径は微細であって、一般に0.1乃至0.9μmの範囲にある。
ABS樹脂のグレードには、光沢グレード、良流動グレード、押出グレード、超耐熱グレード、ブローグレードなどの各種のものが知られており、目的に応じてこれらのグレードのものを選択使用することができる。
一般に、メルトフローレート(JIS K7210)は1〜70g/10分の範囲にあるものが使用される。
【0017】
[表面層形成用樹脂組成物]
本発明に用いる表面層形成用樹脂組成物は次の成分を含有する。
(1)ABS樹脂
表面層形成用の樹脂としては、前に挙げたものが使用される。
【0018】
(2)木粉
木粉としては、粒径が100メッシュサイズ以下(150μm以下)のものが使用され、例えば針葉樹、広葉樹、ラワン材等の任意の木材の粉末が使用され、製材の際副生する鋸屑、鉋屑等或いはMDF、パーチクルボードや合板等の廃材もボールミル粉砕等で粉末化して使用できる。
【0019】
(3)発泡剤
配合できる発泡剤としては、従来この種の発泡樹脂成形体の製造に用いられている発泡剤は全て用いることができる。代表的なものとして、例えば重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムなどの無機発泡剤;N,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロソ・テレフタルアミド、N,N'−ジニトロソ・ペンタメチレン・テトラミンなどのニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾジカルボキサミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウム・アゾジカルボキシレートなどのアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、P,P'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4'−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホニルアジドなどのアジド化合物などをあげることができる。なかでもニトロソ化合物、アゾ化合物およびアジド化合物が好ましく使用される。
また必要に応じて発泡剤と併用して発泡助剤を使用してもよい。発泡助剤とは、発泡剤の分解温度の低下、分解促進、気泡の均一化などの働きをする添加剤である。発泡助剤としては、サルチル酸、フタル酸、ステアリン酸などの有機酸;尿素およびその誘導体などをあげることができる。
【0020】
(3)高分子加工助剤
本発明において、高分子加工助剤としては、平均分子量(Mw)が50万〜500万、特に200万〜400万の高分子加工助剤、特にアクリル樹脂系の高分子加工助剤が使用される。このアクリル樹脂はポリメチルメタクリレート(PMMA)からなることが、発泡体の耐熱性や物性の点で好適であるが、メチルメタクリレートを主体とし、他の単量体成分の少量を共単量体として含有する共重合体であってもよい。
【0021】
このようなメチルメタクリレート以外の単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル等のエステル系単量体を挙げることができる。ただし上記の(メタ)アクリル酸とはアクリル酸もしくはメタクリル酸を示す。
また、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル等のアクリル系以外の単量体を含有していてもよい。
更に、この高分子アクリル系加工助剤は、官能基含有単量体成分の少量を含有していてもよく、官能基含有単量体成分としては、カルボキシル基、その塩の基、アミド基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、メチロール基、及びエーテル化メチロール基を有するものであり、具体的には次のものが挙げられる。
エチレン系不飽和カルボン酸またはその無水物;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等。
アミド基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド等。
水酸基含有モノマー;ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、アクリル酸プロピレングリコールモノエステル等。
アミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル、ビニルピリジン、2−ビニル−5−エチルピリジン、(メタ)アクリル酸オキサゾリルエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルアミノエチル等。
エポキシ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブタンモノオキシド等。
メチロール基及びエーテル化メチロール基を有するモノマー;(メタ)アクリルアミドのジメチロール化物や、そのエーテル化物、例えばエチルエーテル化物或いはブチルエーテル化物等。
これらの官能基含有モノマーはアクリル系樹脂中に、ランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体の形で存在することができる。
【0022】
本発明に用いる高分子アクリル系加工助剤は、溶融発泡成形や形成される発泡体の物性の点から、前述した範囲の分子量を有するのがよく、前述した範囲の分子量を有していれば、前述した発泡構造の表面層の形成を行うことができる。
【0023】
(4)樹脂組成物
本発明において表面層の形成に用いる発泡性樹脂組成物は、二成分基準で、ABS樹脂90〜20重量%と、木粉10〜80重量%とを含有する。
ABS樹脂の含有量が上記範囲を下回ると、上記範囲内にある場合に比して、成形体表面層の発泡が有効に行われなく、また表面層の機械的強度、耐磨耗性、耐衝撃性等が低下する傾向があり、一方木粉の含有量が上記範囲を下回ると、上記範囲内にある場合に比して、木質感が低下する傾向がある。
【0024】
また、表面層形成用の樹脂組成物においては、上記二成分の合計量100重量部基準で、発泡剤0.1〜1重量部、特に0.2〜0.5重量部と、高分子加工助剤1〜20重量部、特に2〜10重量部とを含有する。
【0025】
発泡剤は、上記二成分に対して上記量比で用いるべきであり、上記量比を下回ると成形体表面のざらつき(凹凸)を解消することができず、また木質感も上記範囲内にある場合に比して低下する傾向があり、一方上記量比を上回ると成形体表面層の諸物性が低下し、木質感も損なわれる傾向があり、好ましくない。
【0026】
本発明の成形体の表面層の形成に、高分子加工助剤を上記の重量比で用いることも重要であり、この加工助剤の量比が上記範囲を下回ると、表面層の円滑且つ有効な溶融発泡成形とその表面の破泡とが困難となって、ざらつきが発生する傾向があり、一方この量比が上記範囲を上回ると、表面層の光沢が出過ぎたり、表面層の諸物性も低下する傾向が認められる。
【0027】
本発明の発泡性樹脂組成物には、充填剤、着色剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金属セッケンやワックス等の滑剤、改質用樹脂乃至ゴム、等の公知の樹脂配合剤を、それ自体公知の処方に従って配合できる。
【0028】
気泡調節の目的で、無機微粉末、例えばタルク、各種クレイ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等を配合することができ、これらの気泡調節剤は、前記2成分基準で5〜30重量%の量で配合することができる。
また、加工性や成形性の向上を目的として、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属石鹸、脂肪酸アミド、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の滑剤を配合することができ、これらの滑剤は前記2成分基準で1〜10重量%の量で配合することができる。
更に、木粉粒子表面の樹脂への濡れ性を向上させ、樹脂中への分散性を高めるために、アクリル変性されたフッ素樹脂、例えばアクリル変性ポリテトラフルオロエチレン樹脂を相溶化剤として用いることができる。これらの相溶化剤は、前記2成分を基準にして0.1〜20重量%の量で用いることができる。
【0029】
また、成形体表面層の色目を調節するために種々の着色料を配合することができる。着色料としては、例えば二酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ、オーカー等の無機顔料や、有機顔料を配合することができ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム等の充填剤を配合することもできる。
【0030】
[木粉充填発泡樹脂成形体及びその製造]
本発明によれば、上記木粉充填発泡樹脂成形体は、非発泡性或いは低発泡性のABS樹脂を基体として、ABS樹脂90〜20重量%と、木粉10〜80重量%と、上記2成分の合計100重量部を基準として、発泡剤0.1〜1重量部と、平均分子量が50万〜500万の高分子加工助剤1〜20重量部とから成る樹脂組成物を少なくとも化粧面となる表面層として、多層多重ダイを通して共押出し、押し出された成形体の表面層を、表面層の表面が破泡した状態でガイド或いはサイジングダイと接触させることにより得られる。
【0031】
表面層形成用の発泡性樹脂組成物の調製は、それ自体公知の手段、例えばドライブレンドやメルトブレンド方式で行うことができる。
例えば、各成分の混合を、ブレンダー、ヘンシェルミキサー等を用いてドライブレンドで行うこともできるし、一軸或いは二軸の押出機やバンバリーミキサー、ニーダー等を用いてメルトブレンドで行うことができる。
【0032】
配合の順序にも特に制限はなく、全成分を同時にブレンドしてもよく、また成分を多段階にブレンドすることもできる。例えば、予め発泡剤を除く成分を予備混合し、この予備混合物に発泡剤を添加してブレンドを続行することもできるし、また木粉と発泡剤或いは更に他の助剤を予備混合し、この予備混合物に熱可塑性樹脂及び加工助剤を添加してブレンドを続行することもできる。
【0033】
同時押出成形では、基体に対応する第一の押出機と、表面層に対応する第二の押出機とを使用し、非発泡性或いは低発泡性のABS樹脂を第一の押出機中で溶融混練し、木粉充填発泡性ABS樹脂組成物を第二の押出機中で溶融混練する。
押出成形に当たっては、各成分をドライブレンドし、押出機のホッパーにこれを供給する。押出機としては、単軸或いは二軸のスクリューを備えたそれ自体公知の押出機が使用される。
第一の押出機からの基体形成用樹脂流及び第二の押出機からの表面層形成用樹脂流は、多層多重ダイ中で合流し、この積層状態で空気中に押し出される。
押し出された成形体は、寸法及び形状を安定化させるためのガイド或いはサイジングダイと接触する。
本発明の成形体では、表面層中における樹脂組成物の発泡と表面での破泡とにより、成形体表面とガイド或いはサイジングダイとの表面との接触が、樹脂の膨張によって生じる適切な圧力によって有効に行われて、成形体表面のざらつきが抑制され、また表面層のごく表面の破泡により、光沢の発生が抑制され、優れた木質感が現出されるものである。
【0034】
本発明の同時押出発泡成形法によれば、各成分の混練、押出及び発泡が共通のダイスを通して一挙に行われ、操作が簡単であると共に生産性も高く、また、木粉充填発泡樹脂組成物の層も断面積の大きい基体に積層された状態で成形に付されるため、異形断面成形体のような複雑な断面形状の成形体に対しても容易に適用できるという利点を有する。
【0035】
本発明による木粉充填発泡樹脂成形体の一例を示す図1において、この成形体は異形断面成形体1であって、非発泡或いは低発泡のABS樹脂から成る基体2と、基体2を被覆し且つこれに密着する表面層(化粧面)3とからなっており、この表面層3は木粉充填ABS樹脂の発泡体からなっている。
この表面層3は内部に発泡による気泡を有していると共に、その表面は破泡しており、これらの存在はその断面を拡大鏡或いは顕微鏡で観察することにより容易に確認することができる。
【0036】
本発明の木粉充填発泡樹脂成形体は、少なくとも化粧面となる表面層3が0.2乃至2mmの厚みを有するものであることが、成形体の外観特性や成形性及びコストの点で好ましい。
表面層の厚みが上記範囲を下回ると、表面層の耐久性や木質感の上で、上記範囲内にある場合に比して劣る傾向があり、一方表面層の厚みが上記範囲を上回っても格別の利点がなく、経済性や成形性の点では不利になる。
【0037】
本発明の溶融発泡押出成形では、溶融混練時の樹脂の温度(シリンダー温度)は、樹脂の種類や配合比によっても相違するが、一般的にいって130乃至220℃の範囲にあるのがよい。
【0038】
成形用ダイとしては、成形すべき成形品の形状に合わせて任意の成形用ダイを用いることができ、異形断面成形品の場合には、対応する断面形状の異形断面ダイが使用される。勿論、リングダイを用いてチューブ状の発泡成形品、Tダイを用いてフラットな成形品を製造することもできる。
成形用ダイの温度は、一般的にいって170乃至180℃の範囲にあるのがよい。
【0039】
本発明による発泡樹脂成形体及び積層体は、上記特性を利用して、種々の建材、例えば床材乃至床仕上げ材、壁材乃至壁仕上げ材、天井材乃至天井仕上げ材、閾い、窓枠、サッシュ等、家具などの構造材乃至パネル材、車両用内装材、OA機器や家電製品の外装材乃至ハウジングなどの分野に有用である。
【0040】
【実施例】
本発明を次の実施例で更に説明する。次の実施例は、説明のためのものであり、いかなる意味においても本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
実施例における測定及び評価は次の通り行った。
表面状態:
得られた成形体の表面層を観察し、表面状態を次の基準で評価した。
○ 表面のざらつきがなく、樹脂の発泡が有効に行われ、木質感がある。
△ 成形体の表面に光沢があり、木質感が不十分である。
× 成形体の表面にざらつきがあり、発泡も不十分である。
【0042】
[実施例1]
次の樹脂を用いて発泡性樹脂組成物を作成した。
ABS樹脂 80重量部
(日本エイアンドエル社製)
木粉(粒径150μm以下) 20重量部
アクリル系加工助剤 5重量部
(鐘淵化学工業(株)製)
有機系発泡剤(アゾジカーボンアミド、ADCA) 0.2重量部
【0043】
上記ABS樹脂単独を第一の押出機に供給し溶融混練した。
前に示した発泡性樹脂組成物を、常温にてドライブレンド(10分)し、第二の押出機に供給して溶融混練し、多層多重ダイから第一の押出機からの樹脂流と合流させ、積層状態で共押出し、押し出された成形体をガイドに通して、表面層が発泡した異形断面発泡成形体に成形した。
発泡樹脂表面層の厚みは0.5mmであり、この表面層の内部は発泡しており、表面層の表面は破泡していることが認められた。この成形体の表面にはざらつきや光沢がなく、木質感に優れているものであった。
得られた結果を表1に示す。
【0044】
[実施例2]
以下の発泡性樹脂組成物を使用する以外は実施例1と同様にして、共押出成形体を製造した。
ABS樹脂 40重量部
(日本エイアンドエル社製)
木粉(粒径150μm以下) 60重量部
アクリル系加工助剤 10重量部
(鐘淵化学工業(株)製)
有機系発泡剤(アゾジカーボンアミド、ADCA) 0.3重量部
発泡樹脂表面層の厚みは0.8mmであり、この表面層の内部は発泡しており、表面層の表面は破泡していることが認められた。この成形体の表面にはざらつきや光沢がなく、木質感に優れているものであった。
得られた結果を表1に示す。
【0045】
[比較例1]
実施例1の樹脂組成物において、加工助剤及び有機系発泡剤を省略する以外は実施例1と同様にして押出成形体を製造した。
樹脂表面層の厚みは0.5mmであり、この表面層の内部は発泡していず、この成形体の表面には著しいざらつきが認められ、木質感に乏しいものであった。
得られた結果を表1に示す。
【0046】
[比較例2]
実施例1の樹脂組成物において、加工助剤を省略し、発泡剤の配合量を0.3重量部とする以外は実施例1と同様にして押出成形体を製造した。
樹脂表面層の厚みは0.5mmであり、この表面層の内部は発泡していず、この成形体の表面には著しいざらつきが認められ、木質感に乏しいものであった。
得られた結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
Figure 0004443007
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、成形体の表面層となるABS樹脂及び木粉組成物に、発泡剤及び高分子加工助剤の組合せ配合により、成形体の押出加工時に、形成される表面層の内部を発泡させると同時に表面層の表面を破泡させることができ、これにより、成形体の外形を規制するためのガイド或いはサイジングダイとの間に適度な加圧状態を付与することが可能となり、表面の光沢の発生を防止しつつ、表面の凹凸の発生を抑制することが可能となり、更に優れた木質感を発現させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の木粉充填発泡樹脂層を備えた共押出成形体の断面図である。

Claims (5)

  1. 無発泡或いは低発泡のABS樹脂から成る基体と、木粉充填表面層との押出成形体において、少なくとも化粧面となる表面層がABS樹脂90〜20重量%と、木粉10〜80重量%と、上記2成分の合計100重量部を基準として、発泡剤0.1〜1重量部と、平均分子量が50万〜500万の高分子加工助剤1〜20重量部とからなり、且つ該表面層の表面が破泡していることを特徴とする木粉充填発泡樹脂成形体。
  2. 木粉充填発泡樹脂成形体が異形押出成形体であることを特徴とする請求項1に記載の成形体。
  3. 少なくとも化粧面となる表面層が0.2乃至2mmの厚みを有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の成形体。
  4. 高分子加工助剤がアクリル系高分子加工助剤であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の成形体。
  5. 非発泡性或いは低発泡性のABS樹脂を基体として、ABS樹脂90〜20重量%と、木粉10〜80重量%と、上記2成分の合計100重量部を基準として、発泡剤0.1〜1重量部と、平均分子量が50万〜500万の高分子加工助剤1〜20重量部とから成る樹脂組成物を少なくとも化粧面となる表面層として、多層多重ダイを通して共押出し、押し出された成形体を表面層の表面が破泡した状態でガイド或いはサイジングダイと接触させることにより得られたものであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の成形体。
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