JP4442103B2 - 面発光レーザ素子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、面発光レーザ素子及びその製造方法に関し、更に詳細には、ポスト型メサ構造を有する面発光レーザ素子及びその製造方法であって、活性層に注入される電流の局所集中を抑制することにより、広い活性層の発光領域を有し、高い光出力を有する面発光レーザ素子及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
面発光レーザ素子は、半導体基板上に形成された、相互に屈折率が異なる化合物半導体のペア層からなる一対のDBR(Diffractive Bragg Reflector)と、その一対のDBRの間に設けられ、発光領域となる活性層とを有し、基板面に対して直交方向にレーザ光を出射する半導体レーザ素子である。
また、面発光レーザ素子では、一般に、DBRの一部をメサポストに形成したポスト型メサ構造が用いられている。ポスト型メサ構造を有する面発光レーザ素子では、メサポストが形成されたDBR中に、活性層に注入される電流経路の断面を規定する電流狭窄層を設け、活性層の一部に電流が集中して流れるようにして、面発光レーザ素子の発光効率を高めている。
【0003】
ここで、従来のポスト型メサ構造を有する面発光レーザ素子の一例として、図8を参照して特開2001−210908号公報に記載の面発光レーザ素子の構成を説明する。図8は前掲公報に開示されている面発光レーザ素子の構成を示す断面図である。
前掲公報によれば、面発光レーザ素子10は、図8に示すように、n型GaAs基板12上に、順次、形成されたn型半導体多層膜からなる下部反射鏡層構造(下部DBR)14、ノンドープAlGaAsからなる下部クラッド層16、発光層(活性層)18、ノンドープAlGaAsからなる上部クラッド層20、p型半導体多層膜からなる上部反射鏡層構造(上部DBR)22、及びp型GaAs層24からなる積層構造を備えている。
【0004】
下部DBR14は、n型Al0.2Ga0.8As層とn型Al0.9Ga0.1As層とを、ヘテロ界面に組成傾斜層を介在させ積層した30.5ペアの半導体多層膜として構成され、上部DBR22は、p型Al0.2Ga0.8As層とp型Al0.9Ga0.1As層とを、ヘテロ界面に組成傾斜層を介在させ積層した25ペアの半導体多層膜として構成されている。
【0005】
キャップ層24、上部DBR22、上部クラッド層20、活性層18、下部クラッド層16、及び下部DBR14の上部は、エッチングされて、円柱状の柱状構造(メサポスト)30に加工されている。
また、上部DBR22の活性層18に最も近い構成層は、p型Al0.9Ga0.1As層に代えて、p型AlAs層が形成され、中央の円形領域を除いて、その周囲のAlAs層はAlが選択的に酸化されてAl酸化層に転化した電流狭窄層26である。
Al酸化層は電気抵抗の高い酸化狭窄型の絶縁領域(電流狭窄領域)26Aとして機能する。一方、中央の円形領域は、元のp型AlAs層のままであって、電流注入経路(電流注入領域)26Bとして機能する。
【0006】
メサポスト28の上面、側面及び両脇の下部DBR14上には、SiNx膜30が成膜されている。
また、メサポスト28の上面のSiNx膜30は、円形に除去されてp型GaAs層24を露出させ、そこに円環状のp側電極(上部電極)32が形成されている。n型GaAs基板12の裏面には、n側電極(下部電極)34が形成されている。
【0007】
前掲公報に開示の面発光レーザ素子10の製造方法について、図9(a)、(b)を参照して説明する。図9(a)、(b)は、それぞれ、前掲公報に開示の面発光レーザ素子10の製造工程を示す断面図である。
前掲公報によれば、先ず、図9(a)に示すように、n型基板12上に、順次、下部DBR14、ノンドープAlGaAsからなる下部クラッド層16、活性層18、ノンドープAlGaAsからなる上部クラッド層20、上部DBR22、及びp型GaAs層24を積層して積層構造を形成する。
【0008】
下部DBR14を積層する際には、ヘテロ界面に組成傾斜層を介在させた30.5ペアのn型Al0.2Ga0.8As層とn型Al0.9Ga0.1As層とを積層し、上部DBR22を積層する際には、ヘテロ界面に組成傾斜層を介在させた25ペアのp型Al0.2Ga0.8As層とp型Al0.9Ga0.1As層とを積層する。
また、上部DBR22を積層する際には、活性層18に最も近い構成層は、p型Al0.9Ga0.1As層に代えて、p型AlAs層26aを積層する。
【0009】
次いで、図9(b)に示すように、SiNxマスク40を用いたエッチングにより、下部DBR14の上面近傍に到達するまで、上部DBR22、上部クラッド層20、活性層18、下部クラッド層16をエッチングして、メサポスト28を形成する。
【0010】
続いて、メサポスト28を有する積層構造を水蒸気雰囲気中で温度400℃で約25分間加熱し、メサポスト28の側面より中心に向かって、p型AlAs層26aのみを選択酸化する。
これにより、メサポスト28の側面に囲まれた、Al酸化層からなる円環状の電流狭窄領域26Aと、電流狭窄領域26Aに囲まれた、p型AlAs層26aが酸化されずに残った円形の電流注入領域26Bとを形成する。
【0011】
続いて、全面にSiNx膜30を成膜した後、メサポスト28の上面のSiNx膜30を円形に除去してp型GaAs層24を露出させ、そこに円環状のp側電極32を形成する。また、n型GaAs基板12の裏面に、n側電極34を形成する等の工程を経ることにより、特許文献1に開示の面発光レーザ素子を完成することができる。
【0012】
このようなポスト型メサ構造を有する面発光レーザ素子では、電流狭窄層により、活性層18に注入される電流経路の断面を規定できるので、電流注入領域26Bの下方の活性層18の領域に電流が集中して注入され、効率の良いレーザ発振を実現できる。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−210908号公報(図1)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のようなポスト型メサ構造を有する面発光レーザ素子では、レーザ光の高出力化を図るために、電流注入領域26B及び上部電極32の径を大きくして活性層18の発光領域を拡大させ、高出力化しようとする場合に、以下の問題が生じる。図10は、従来の面発光レーザ素子のメサポストの近傍の構成を簡潔に示した断面図である。
【0015】
即ち、従来の面発光レーザ素子では、図10に示すように、円環状の上部電極32から供給されるキャリア(電流)は、上部電極32に近い電流注入領域26Bのエッジ42の近傍に注入され易い。
従って、電流注入領域26Bの径を単純に拡大させていくと、同図中に矢印で示すように、活性層18のエッジ42に近い領域にキャリアが集中して注入され、この領域のみが発光に寄与し、一方、電流注入領域26のエッジ42から離れた活性層18の中央部は、注入されたキャリアの単なる損失源となる。
このように、従来のポスト型メサ構造を有する面発光レーザ素子では、電流注入領域26Bの径を単純に拡大させても、面発光レーザ素子としての光出力は全く改善されないという問題があった。
【0016】
上記問題を解決するために、レーザ光の出射窓を有する下部電極を基板の裏面に設け、基板の裏面からレーザ光を取り出す面発光レーザ素子についての報告もある(IEEE journal on selected topics in quantum electronics Vol7 No2 PP210-216(2001))。
上記報告によれば、面発光レーザ素子では、下部電極から供給されたキャリアが、大きな厚みを有する基板を通過するうちに横方向に十分に拡散し、活性層の比較的広い領域に均一に注入することにより、面発光レーザ素子の高出力化を図ることができる。
しかし、レーザ光が基板により吸収される波長、例えばGaAs基板を用いる場合には920nm以下では、レーザ光を基板の裏面から効率良く取り出し、レーザ光の高出力化を図ることは困難である。
【0017】
そこで、本発明の目的は、ポスト型メサ構造を有する面発光レーザ素子で、活性層に注入される電流の局所集中を抑制することにより、広い活性層の発光領域を有し、高い光出力を有する面発光レーザ素子及びその製造方法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題の解決に際し、以下のように考察した。
ポスト型メサ構造を有する面発光レーザ素子では、一般的に、メサポスト28の径が30μm程度で、電流注入領域26Bの径が15μm以下であれば、電流注入領域26Bの下方の活性層18の領域に電流が均一に注入され、効率の良いレーザ発振を実現できる。
一方で、電流注入領域26Bの径を大きくしていくと、キャリアが電流注入領域のエッジ42の近傍に集中するのは、上部DBR22上に設けられた上部電極32から電流狭窄層26に向かって電流が縦方向に流れる際に、電流が横方向に十分に拡がらないために生じるものである。このような現象は、キャリアの拡散と関係がある。
【0019】
ここで、上部DBR22中のキャリア密度を増やせば、ある拡散定数で規定されるキャリア拡散広がりが促進され、活性層18により均一にキャリアを注入できる。しかし、キャリア密度を大きくすると、フリーキャリアによる光の吸収が増加し、せっかく発振したレーザ光が吸収によって失われてしまうため、あまり大きくできない。
【0020】
本発明者は、上述の問題について考察した結果、キャリアを一度小領域に絞った状態にすることにより、そこから広がるメサ内のキャリア密度が均一化する事に着目し、従来の電流狭窄層の上方に、もう一つの電流狭窄層(上部電流狭窄層)を設け、かつ拡散が均一になる程度に、上部電流狭窄層の上部電流注入領域の径を小さくすることにより、上記問題を解決できるのではないかと考えた。
【0025】
上記目的を達成するために、本発明に係る面発光レーザ素子(以下、本発明の第1発明と呼ぶ)は、基板と、前記基板上に形成される半導体多層膜の下部反射鏡と、前記下部反射鏡上に形成される活性層と、前記活性層上にメサポストとして形成される半導体多層膜の上部反射鏡と、前記上部反射鏡内に設けられ、所定の径の電流注入領域を有する下段の電流狭窄層と、前記上部反射鏡内に、前記下段の電流狭窄層とは厚さ方向に離間して上部に配置され、前記下段の電流狭窄層の電流注入領域よりも径の小さい電流注入領域を有する上段の電流狭窄層と、前記上部反射鏡上に設けられ、前記上段の電流狭窄層の電流注入領域の径よりも大きい開口部を有する上部電極と、を備えることを特徴としている。
【0026】
本発明の第1発明に係る面発光レーザ素子は、上段の電流狭窄層に設けられた電流注入領域(上段の電流注入領域)は、下段の電流狭窄層に設けられた電流注入領域(下段の電流注入領域)より狭い。
つまり、上段の電流狭窄層はキャリア拡散用の電流狭窄層であり、上段の電流注入領域の径、上下段の電流注入領域の相対位置を適宜設定することにより、上段の電流注入領域を通過したキャリアを活性層の方向に向かってスプレー状にかつ均一に拡散させることができる。下段の電流狭窄層は従来と同様に、活性層に注入される電流の断面を規定するための電流狭窄層である。
【0027】
本発明の第1発明に係る面発光レーザ素子は、上記構成により活性層に注入されるキャリアを局所集中させることなく、活性層の領域に均一に注入させ、注入させた活性層の全領域に渡り均一な光強度でレーザ発振を起こさせることができる。従って、高い光出力を有する面発光レーザ素子を得ることができる。
【0028】
本発明の第1発明に係る好適な実施態様では、メサポストは、上段の電流狭窄層を有する柱状の上部メサポストと、下段の電流狭窄層を有し、上部メサポストより径の大きい柱状の下部メサポストとからなる2段構造のメサポストとして形成されている。
この場合、例えば、上部メサポストを形成した後に上段の電流狭窄層を形成し、下部メサポストを形成した後に下段の電流狭窄層を形成することにより、本発明の第1発明に係る面発光レーザ素子を容易に製造することができる。
【0029】
本発明の第1発明に係る好適な実施態様では、メサポストの中心軸、上段の電流注入領域の中心、及び下段の電流注入領域の中心が、基板に垂直な同一の直線上にある。
これにより、上段の電流狭窄層を通過してスプレー状に拡散された電流が活性層の広い領域に注入されるように、下段の電流注入領域の断面が形成されているので、良好な上記効果を得ることができる。尚、メサポストが上述の2段構造のメサポストとして形成されている場合には、更に上部メサポストの中心軸及び下部メサポストの中心軸が、同一な直線上にあることが望ましい。
【0030】
本発明の第1発明の好適な実施態様では、上段の電流狭窄層に設けられた電流注入領域の径が、1μm以上20μm以下である。
上段の電流注入領域の径が20μmより大きいと、電流注入領域を通過したキャリアがその領域内で十分均一にならず、その直下の電流狭窄層に均一に拡散させる効果を得難いからである。
逆に上段の電流注入領域の径が1μmより小さいと、電流注入領域の電気的抵抗が極端に大きく、高い密度での電流を通過させることが困難になるからである。
【0031】
本発明の第1発明の好適な実施態様では、下段の電流狭窄層に設けられた電流注入領域の径が、上段の電流狭窄層に設けられた電流注入領域の径より大きい。好ましくは、下段の電流狭窄層に設けられた電流注入領域の径が、上段の電流狭窄層に設けられた電流注入領域の径の1倍から10倍の範囲にある。
下段の電流注入領域の径が上段の電流注入領域の径の1倍以下だと、上段の電流狭窄層を設ける効果意味が小さく、下段の電流注入領域の径が上段の電流注入領域の径の10倍以上だと、逆に電流が下段の電流注入領域の中心に集中するため、活性層全体を発光に十分寄与させ難くなるためである(ここで、上下段の電流狭窄層の間隔は、3μm程度を想定している。これが長い場合は、拡散しやすくなる)。
【0032】
本発明の第1発明の好適な実施態様では、電流狭窄層の電流狭窄領域は、半導体多層膜の一層として設けられたAl含有層のAlを選択的に酸化したAl酸化層であり、電流狭窄層の電流注入領域は、酸化されずに残ったAl含有層である。
Al含有層からなる電流注入領域、及びAl酸化層からなる電流狭窄領域は、Al含有層の選択的な酸化により容易に形成することが可能で、かつ良好な上記効果を奏する電流狭窄層を得ることができる。
【0033】
本発明の第1発明では、上段の電流注入領域及び/又は下段の電流注入領域は円形に形成されているのが望ましい。
これにより、上段の電流注入領域を通過したキャリアを活性層のより広い領域に効率的に注入させることができるので、良好な上記効果を得ることができる。
尚、円形の電流注入領域を形成するには、メサポストを円柱状に形成することが好ましい。
【0034】
また、本発明の第1発明では、上段の電流狭窄層及び下段の電流狭窄層は、上部反射鏡中に代えて、下部反射鏡中に設けられていてもよい。この場合、下段の電流狭窄層を下部反射鏡の上部に設けられた上部メサポスト中に設け、上段の電流狭窄層を下部反射鏡中の下部に設けられた下部メサポスト中に設けることができる。
【0035】
本発明に係る別の面発光レーザ素子(以下、本発明の第2発明と呼ぶ)は、基板と、前記基板上に形成される半導体多層膜の下部反射鏡と、前記下部反射鏡上に形成される活性層と、前記活性層上に柱状の下部メサポストとして形成される半導体多層膜の上部反射鏡と、前記下部メサポストの上部反射鏡内に設けられ、所定の径の電流注入領域を有する下段の電流狭窄層と、前記下部メサポスト上に、相互に同じ層構造を有する複数の柱状の上部メサポストとして形成される半導体多層膜の上部反射鏡と、前記上部メサポストの上部反射鏡内に前記下段の電流狭窄層とは厚さ方向に離間して配置され、前記下段の電流狭窄層の電流注入領域よりも径の小さい電流注入領域を有する上段の電流狭窄層と、前記上部メサポストの上部反射鏡上に設けられ、前記上段の電流狭窄層の電流注入領域の径よりも大きい開口部を有する上部電極と、を備えることを特徴としている。
【0036】
本発明の第2発明に係る面発光レーザ素子は、上段の電流狭窄層の電流注入領域(上段の電流注入領域)より広い電流注入領域(下段の電流注入領域)を備える下段の電流狭窄層を備える。
つまり、下段の電流狭窄層の上方にキャリアをスプレー状にかつ均一に拡散させる複数の上段の電流注入領域を設けることによって、本発明の第1発明に係る面発光レーザ素子と比較して、活性層の広い領域に電流を均一に注入させることができる。従って、更に高い光出力を有する面発光レーザ素子を得ることができる。
また、複数の上段の電流注入領域を有することにより、活性層に注入する電流を複数の上段の電流注入領域に分散して通過させることができるので、上段の電流注入領域及びその近傍での発熱を抑えることができる。
【0037】
本発明の第2発明に係る好適な実施態様では、上段の電流狭窄層に設けられた電流注入領域の径が、1μm以上20μm以下である。
上段の電流注入領域の径が20μmより大きいと、電流注入領域を通過したキャリアがその領域内で十分均一にならず、その直下の電流狭窄層に均一に拡散させる効果を得難いからである。
逆に上段の電流注入領域の径が1μmより小さいと、電流注入領域の電気的抵抗が極端に大きく、高い密度での電流を通過させることが困難になるからである。
【0038】
本発明の第2発明に係る好適な実施態様では、下段の電流狭窄層に設けられた電流注入領域が、基板に対して垂直方向に見て、複数の上段の電流狭窄層に設けられた電流注入領域を全て含むように形成されている。
これにより、複数の上段の電流注入領域を通過してスプレー状に拡散された電流が活性層のより広い領域に注入されるように、下段の電流注入領域の断面が形成されているので、良好な上記効果を得ることができる。
本発明の第2発明に係る好適な実施態様では、電流狭窄層の電流狭窄領域は、半導体多層膜の一層として設けられたAl含有層のAlを選択的に酸化したAl酸化層であり、電流狭窄層の電流注入領域は、酸化されずに残ったAl含有層である。
【0039】
本発明に係る別の面発光レーザ素子(以下、本発明の第3発明と呼ぶ)は、基板と、前記基板上に形成される半導体多層膜の下部反射鏡と、前記下部反射鏡上に形成される活性層と、前記活性層上に、上部メサポストと下部メサポストの2段構造のメサポストとして形成される半導体多層膜の上部反射鏡と、前記下部メサポストの上部反射鏡内に設けられ、所定の径の電流注入領域を有する下段の電流狭窄層と、前記上部メサポストの上部反射鏡内に同じ層構成を有する複数個の小メサポストとして分離溝を介して相互に分離されて形成され、且つ、前記下段の電流狭窄層とは厚さ方向に離間する同じ層位置に配置され、前記下段の電流狭窄層の電流注入領域よりも径の小さい電流注入領域を有する上段の電流狭窄層と、前記上部メサポストの上部反射鏡上に設けられ、前記上段の電流狭窄層の電流注入領域の径よりも大きい開口部を有する上部電極と、を備えることを特徴としている。
【0040】
本発明の第3発明に係る面発光レーザ素子によれば、本発明の第2発明に係る面発光レーザ素子より上段の電流注入領域の数を増やすことができるので、更に高い光出力を有する面発光レーザ素子を得ることができる。
本発明の第3発明に係る好適な実施態様では、上段の電流狭窄層に設けられた電流注入領域が、上部メサポストの中央に設けられている。これにより、良好な上記効果を得ることができる。
【0041】
本発明の第3発明に係る好適な実施態様では、電流狭窄層の電流狭窄領域は、半導体多層膜の一層として設けられたAl含有層のAlを選択的に酸化したAl酸化層であり、電流狭窄層の電流注入領域は、酸化されずに残ったAl含有層である。
【0042】
本発明方法に係る面発光レーザ素子の製造方法(以下、本発明方法の第1発明と呼ぶ)は、基板上に、順次、半導体多層膜の下部反射鏡、活性層、及び相互に離隔した上下2段の高Al含有層(高Al含有層とは、後述するように、Alを85%以上含有するAl含有層であり、以下同様とする。)を有する半導体多層膜の上部反射鏡を形成する工程と、
上段の高Al含有層を含む上部反射鏡をエッチングして、上部メサポストを形成する工程と、
上部メサポストの高Al含有層を水蒸気酸化して、高Al含有層の中央領域を非酸化の高Al含有層からなる第1の電流注入領域として残すと共に、第1の電流注入領域を囲むAl酸化層からなる電流狭窄領域を形成する工程と、
上部メサポストの下の下段の高Al含有層を含む上部反射鏡をエッチングして下部メサポストを形成する工程と、
下部メサポストの高Al含有層を水蒸気酸化して、高Al含有層の中央領域を非酸化の高Al含有層からなる、第1の電流注入領域より広い第2の電流注入領域として残すと共に、第2の電流注入領域を囲むAl酸化層からなる電流狭窄領域を形成する工程と、
上部メサポスト上に、第1の電流注入領域より広い開口部を有する上部電極を形成する工程と、
を有することを特徴としている。
【0043】
本発明方法に係る面発光レーザ素子の別の製造方法(以下、本発明方法の第2発明と呼ぶ)は、基板上に、順次、半導体多層膜の下部反射鏡、活性層、及び相互に離隔した上下2段の85%以上のAlを含む高Al含有層を有する半導体多層膜の上部反射鏡を形成する工程と、
上段の高Al含有層を含む上部反射鏡をエッチングして、複数個の上部メサポストを形成する工程と、
上部メサポストの高Al含有層を水蒸気酸化して、高Al含有層の中央領域を非酸化の高Al含有層からなる第1の電流注入領域として残すと共に、第1の電流注入領域を囲むAl酸化層からなる電流狭窄領域を形成する工程と、
上部メサポストの下の下段の高Al含有層を含む上部反射鏡をエッチングして下部メサポストを形成する工程と、
下部メサポストの高Al含有層を水蒸気酸化して、高Al含有層の中央領域を非酸化の高Al含有層からなる、第1の電流注入領域より広い第2の電流注入領域として残すと共に、第2の電流注入領域を囲むAl酸化層からなる電流狭窄領域を形成する工程と、
前記上部メサポスト上に、前記第1の電流注入領域より広い開口部を有する上部電極を形成する工程と、
を有することを特徴としている。
【0044】
本発明方法に係る面発光レーザ素子の更に別の製造方法(以下、本発明方法の第3発明と呼ぶ)は、基板上に、順次、半導体多層膜の下部反射鏡、活性層、及び相互に離隔した上下2段の85%以上のAlを含む高Al含有層を有する半導体多層膜の上部反射鏡を形成する工程と、
上段の高Al含有層を含む上部反射鏡をエッチングして、上部メサポストを形成すると共に、分離溝を介して相互に分離された複数個の小メサポストを上部メサポスト内に形成する工程と、
上部メサポストの高Al含有層を水蒸気酸化し、かつ分離溝を介して小メサポストの高Al含有層を水蒸気酸化して、各高Al含有層の中央領域を非酸化の高Al含有層からなる第1の電流注入領域として残すと共に、第1の電流注入領域を囲むAl酸化層からなる電流狭窄領域を形成する工程と、
上部メサポストの下の下段の高Al含有層を含む上部反射鏡をエッチングして、下部メサポストを形成する工程と、
下部メサポストの高Al含有層を水蒸気酸化して、高Al含有層の中央領域を非酸化の高Al含有層からなる、前記第1の電流注入領域より広い第2の電流注入領域として残すと共に、第2の電流注入領域を囲むAl酸化層からなる電流狭窄領域を形成する工程と、
前記上部メサポスト上に、前記第1の電流注入領域より広い開口部を有する上部電極を形成する工程と、
を有することを特徴としている。
【0045】
本発明方法に係る面発光レーザ素子の更に別の製造方法(以下、本発明方法の第4発明と呼ぶ)は、基板上に、順次、半導体多層膜の下部反射鏡、活性層、及び相互に離隔し、下段の85%以上のAlを含む高Al含有層と下段の高Al含有層よりAl組成の高い上段の高Al含有層とを有する、半導体多層膜の上部反射鏡を形成する工程と、
上下2段の高Al含有層を含む上部反射鏡をエッチングしてメサポストを形成する工程と、
メサポストの上下2段の高Al含有層を水蒸気酸化して、上段の高Al含有層の中央領域を非酸化の高Al含有層からなる第1の電流注入領域として残すと共に、第1の電流注入領域を囲むAl酸化層からなる電流狭窄領域を形成すると共に、下段の高Al含有層の中央領域を非酸化の高Al含有層からなる、第1の電流注入領域より広い第2の電流注入領域として残すと共に、第2の電流注入領域を囲むAl酸化層からなる電流狭窄領域を形成する工程と
を有することを特徴としている。
【0046】
本発明方法の第1発明は、本発明の第1発明に係る面発光レーザ素子の製造方法を、本発明方法の第2発明は、本発明の第2発明に係る面発光レーザ素子の製造方法を、本発明方法の第3発明は、本発明の第3発明に係る面発光レーザ素子の製造方法を、本発明方法の第4発明は、本発明の第1発明に係る面発光レーザ素子の別の製造方法をそれぞれ実現している。
本発明で、径とは、360°方向の差渡し寸法を言い、径が特定値以下であるとは、360°方向の差渡し寸法のいずれもが特定値以下であることを言う。
本発明で、高Al含有層とは、85%以上のAlを含む層を言う。
本発明方法の第4発明では、形成する上段及び下段の電流狭窄層の電流注入領域の径の比率に対応させて、上段及び下段の高Al含有層のAl組成の比率を設定することにより、所望の電流狭窄領域の径を有する電流狭窄層を形成することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照し、実施形態例を挙げて本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に説明する。尚、以下の実施形態例で示した導電型、成膜方法、寸法等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、本発明はこれら例示に限定されるものではない。
上述したように、本発明者は、上述の問題について考察した結果、キャリアを一度小領域に絞った状態にすることにより、そこから広がるメサ内のキャリア密度が均一化する事に着目し、図11に示すように、従来の電流狭窄層26の上方に、もう一つの電流狭窄層(上部電流狭窄層)44を設け、かつ拡散が均一になる程度に、上部電流狭窄層44の上部電流注入領域44Bの径を小さくすることにより、上記問題を解決できるのではないかと考えた。
つまり、同図に示す面発光レーザ素子では、上部電極32から供給されたキャリアは、上部電流注入領域44Bを通過する際に経路が一旦絞られるので、上部電流注入領域44Bを通過した後は、キャリアはスプレーのように均一に拡がっていく。
そして、上部電流狭窄層44を通過し、均一に広がったキャリアは、従来の電流注入領域(下部電流狭窄領域)26Bを通過して、活性層18に均一に注入されるので、下部電流注入領域26Bの下方にある活性層18の領域の全てを発振状態にして、極めて高い光出力を有する面発光レーザ素子を得ることができる。
この場合、キャリア密度が大きくなるのは上部電流注入領域44Bの近傍に限られるので、フリーキャリアによる光吸収の影響は最小に抑えるように設計することができる。
また、上述の下部電流狭窄層と、狭窄径の上部電流注入領域を有する上部電流狭窄層とを備える面発光レーザ素子は、メサポスト及び電流狭窄層の形成を2つの段階に分けて行うことにより製造することができる。
つまり、面発光レーザ素子の製造段階で、従来設けられていたp型AlAs層26aの上方の上部DBR22中に、上部p型AlAs層44aを成膜する。
そして、メサポスト及び電流狭窄層の形成の際には、先ず、上部p型AlAs層44aの直下までエッチングし、上部DBR22の上部を上部メサポスト46に形成する。
次に、上部p型AlAs層44aを酸化し、狭径の電流注入領域44Bを有する上部電流狭窄層44を形成した後、従来と同じ深さまでエッチングして下部メサポスト48を形成し、従来のp型AlAs層(下部p型AlAs層)26aを酸化し、従来の電流狭窄層(下部電流狭窄層)26を形成することにより、図11に示す構成を備える面発光レーザ素子を製造することができる。
また、メサ形成を一度(1段のメサ)で行う場合も考えられ、この場合は、電流狭窄層のAl組成を上下でわずかに変化させる(具体的には、上の電流狭窄層のAl組成をより高くしておき、酸化が進みやすい層とする。たとえばAl組成比で上が98%、下が96%)。この場合、前記活性層まで及ぶ深さの1段のメサを形成しておき、それを酸化したときに上下の電流狭窄層が同時に酸化され、所望の構造(上下電流狭窄層の電流狭窄径の関係)が得られるようにAl組成比を設定しておけばよく、作製プロセスも通常の面発光レーザとなんら変わりない構成にできる。
本発明者は、このようにして、メサポスト及び電流狭窄層を2つの段階に分けて形成し、下部電流狭窄層26の上方に、キャリアをスプレー状に拡散させる狭径の上部電流狭窄層44を形成することにより、下部電流注入領域26B及び上部電極39の径を大きくしても、活性層18への均一な電流の注入を確保し、高い光出力を有する面発光レーザ素子を得ることに着想し、種々の実験を経て、本発明を発明するに到った。
【0048】
面発光レーザ素子の実施形態例1
本実施形態例は、本発明の第1発明に係る面発光レーザ素子の実施形態の一例であって、図1は本実施形態例の面発光レーザ素子の構成を示す断面図である。
本実施形態例の面発光レーザ素子50は、発振波長850nmの面発光レーザ素子であって、図1に示すように、n型GaAs基板52上に、順次、形成されたn型の半導体多層膜反射鏡(以下、下部DBRと呼ぶ)54、発光構造層56、p型の半導体多層膜反射鏡(以下、上部DBRと呼ぶ)58、及びp型GaAsコンタクト層60からなる積層構造を備えている。
【0049】
下部DBR54は、交互に積層された35ペアのn型GaAs層及びn型AlAs層であり、上部DBR58は、交互に積層された25ペアのp型Al0.1Ga0.9As層及びp型Al0.9Ga0.1As層である。
下部DBR54及び上部DBR58を構成する各構成層の膜厚は、それぞれ、発振波長λ(=850nm)に対する各層の屈折率をnλとして、λ/4nλに相当する厚さに設定されている。
【0050】
コンタクト層60、及び上部DBR58の上から15ペア目程度の構成層までは、エッチングされて、直径100μm程度の円形断面を有する、円柱状の第1メサポスト66に加工されている。
また、上部メサポスト66の下方の上部DBR58、及び発光構造層56は、エッチングされて、上部メサポスト66と中心軸が一致し、直径120μm程度の円形断面を有する、円柱状の下部メサポスト68に加工されている。
【0051】
上部メサポスト66が形成されている、上部DBR58の上から2ペア目の構成層は、酸化狭窄型の第1電流狭窄層62であり、p型Al0.9Ga0.1As層に代えてp型AlAs層が形成され、高い電気抵抗を有するAl酸化層に転化した電流狭窄領域と、p型AlAs層が酸化されずに残った電流注入領域とを有する。
第1電流狭窄層62は、上部メサポスト66の側面に囲まれた円環状の第1電流狭窄領域62A、及び第1電流狭窄領域62Aに囲まれた直径15μm程度の円形の第1電流注入領域62Bを有する。
【0052】
上部DBR58の発光構造層56に隣接する構成層は、酸化狭窄型の第2電流狭窄層64であり、p型Al0.9Ga0.1As層に代えてp型AlAs層が形成され、高い電気抵抗を有するAl酸化層に転化した電流狭窄領域と、p型AlAs層が酸化されずに残った電流注入領域とを有する。
第2電流狭窄層64は、上部メサポスト62の側面に囲まれた円環状の第2電流狭窄領域64A、及び第2電流狭窄領域64Aに囲まれた直径70μm程度の円形の第2電流注入領域64Bを有する。
【0053】
発光構造層56は、AlGaAsからなる下部クラッド層56Aと、GaAs/AlGaAs量子井戸からなる活性層56Bと、AlGaAsからなる上部クラッド層56Cとで構成されている。
【0054】
上部メサポスト66の側面及びその両脇の下部メサポスト68上、下部メサポスト68の側面及びその両脇の下部DBR54上には、SiNx膜等の誘電体膜70が成膜されている。
上部メサポスト66の上面には、内径70μm程度の円環状のp側電極72が形成されている。n型GaAs基板52の裏面には、n側電極74が形成されている。
【0055】
本実施形態例の面発光レーザ素子50によれば、第2電流狭窄層64の上方に設けられた第1電流狭窄層62が、直径15μm程度の狭径の第1電流注入領域62Bを有することにより、第1電流注入領域62を通過したキャリアをスプレー状に拡散させることができる。第2電流狭窄層64は発光構造層56に隣接して設けられ、活性層56Bに注入される電流経路の断面を規定する。
従って、p側電極72から活性層56Bに注入されるキャリアを局所集中させることなく、第2電流狭窄層64によって規定される活性層56Bの広い領域に均一に注入させ、注入させた活性層56Bの広い領域の全てでレーザ発振を起こさせることができる。
このように本実施形態例の面発光レーザ素子50は、広い活性層56Bの発光領域を有し、高い光出力を有する面発光レーザ素子を実現している。
【0056】
面発光レーザ素子の製造方法の実施形態例1
本実施形態例は、本発明方法の第2発明を上述の面発光レーザ素子50の製造に適用した実施形態の一例である。図2(a)、(b)、図3(c)、(d)、及び図4(e)、(f)は、それぞれ、本実施形態例の製造方法に従って面発光レーザ素子を製造する際の主要工程での断面図である。
本実施形態例では、先ず、図2(a)に示すように、MOCVD法等により、n型GaAs基板52上に、順次、所要の化合物半導体層をエピタキシャル成長させて、35ペアのn型GaAs層とn型AlAs層とからなる下部DBR54、AlGaAs下部クラッド層56A、GaAs/AlGaAs量子井戸活性層56B、AlGaAs上部クラッド層56Cからなる発光構造層56、25ペアのp型Al0.1Ga0.9As層とp型Al0.9Ga0.1As層とからなる上部DBR58、及びコンタクト層60の積層構造61を形成する。
上部DBR58を成長させる際には、上から2ペア目の構成層と発光構造層56に隣接する構成層は、それぞれ、p型Al0.9Ga0.1As層に代えて、第1のp型AlAs層62a及び第2のp型AlAs層64aを成長させる。
【0057】
次いで、図2(b)に示すように、ドライエッチング法により、上部DBR58の上から15ペア目程度の構成層に到達するまで、コンタクト層60及び上部DBR58をエッチングして、直径100μm程度の円柱状の上部メサポスト66を形成する。
続いて、図3(c)に示すように、上部メサポスト66を有する積層構造61を、水蒸気雰囲気中で温度400℃で約45分間加熱し、上部メサポスト66の側面より中心に向かって、p型AlAs層62aのみを選択酸化する。
これにより、上部メサポスト66の側面に囲まれた、Al酸化層からなる円環状の第1電流狭窄領域62Aと、第1電流狭窄領域62Aに囲まれた、p型AlAs層が酸化されずに残った円形の第1電流注入領域62Bとから構成される第1電流狭窄構造62を形成することができる。
【0058】
次いで、図3(d)に示すように、ドライエッチング法により、上部メサポスト66の両脇の上部DBR58より下部DBR54の上面近傍に到達するまで、上部DBR58、発光構造層56をエッチングして、上部メサポスト66の中心軸と中心軸を一致させて、直径120μm程度の円柱状の下部メサポスト68を形成する。
続いて、図4(e)に示すように、上部メサポスト66及び下部メサポスト68を有する積層構造61を、水蒸気雰囲気中で温度400℃で約25分間加熱し、下部メサポスト68の側面より中心に向かって、第2のp型AlAs層64aのみを選択酸化する。
【0059】
これにより、下部メサポスト68の側面に囲まれた、Al酸化層からなる円環状の第2電流狭窄領域64Aと、第2電流狭窄領域64Aに囲まれた、p型AlAs層が酸化されずに残った円形の第2電流注入領域64Bとから構成される第2電流狭窄層64を形成することができる。
この酸化の際には、既に酸化により形成されている第1電流狭窄構造62では、第1電流狭窄領域62AをなすAl酸化層が、第1電流狭窄領域62Aに囲まれた第1電流注入領域62Bをなすp型AlAs層の酸化を抑制するので、p型AlAs層の更なる酸化は進行しない。
【0060】
次いで、図4(f)に示すように、全面にSiNx膜等の誘電体膜70を成膜し、上部メサポスト66の上面の誘電体膜70を除去し、内径70μm程度の円環状のp側電極72を形成する。
続いて、n型GaAs基板52の裏面にn側電極74を形成する等の工程を経ることにより、面発光レーザ素子50を完成することができる。
【0061】
面発光レーザ素子の実施形態例2
本実施形態例は、本発明の第2発明に係る面発光レーザ素子の実施形態の一例であって、図5は本実施形態例の面発光レーザ素子の構成を示す平面図、図6は図5の矢視I−Iでの断面を示す断面図ある。図5及び図6中で、図1に示した面発光レーザ素子10と同様の構成を有する部分については、同じ符号を付した。
本実施形態例の面発光レーザ素子80は、発振波長850nmの面発光レーザ素子であって、図5及び図6に示すように、図1に示した面発光レーザ素子50と同様の積層構造を有し、メサポスト、及び電流狭窄層等の構成が異なることを除いては、前述の面発光レーザ素子50と同様の構成を備えている。
【0062】
即ち、本実施形態例の面発光レーザ素子80では、コンタクト層60、上部DBR58、及び発光構造層56は、エッチングされて、直径100μm程度の円形断面を有する、円柱状の大メサポスト82に加工されている。
また、円柱状の大メサポスト82の中心軸92から等距離の25μm程度の位置であって、大メサポスト82の中心軸92に関して4回の回転対称を有するそれぞれの位置を中心として、コンタクト層60、及び上部DBR58の上面から上部DBR58の上から15ペア目程度の構成層までが、エッチングされて、内径30μm程度で外径35μm程度の4個の円筒形の分離溝84が形成されている。
分離溝84の内側面84Aの内側は円柱状の内メサポスト86を、分離溝84の外側面84Bの外側は柱状の外メサポスト88をそれぞれ構成している。
【0063】
内メサポスト86が形成されている、上部DBR58の上から2ペア目の構成層は、酸化狭窄型の第1内電流狭窄層62であり、p型Al0.9Ga0.1As層に代えてp型AlAs層が形成され、高い電気抵抗を有するAl酸化層に転化した電流狭窄領域と、p型AlAs層が酸化されずに残った電流注入領域とを有する。
第1内電流狭窄層62は、それぞれの分離溝84の内側面84A(内メサポスト86の側面)に囲まれた幅R=10μm程度の円環状の内電流狭窄領域62A、及び内電流狭窄領域62Aに囲まれた径10μm程度の円形の内電流注入領域62Bから構成される。
【0064】
外メサポスト88で、第1内電流狭窄層62と同じ構成層は酸化狭窄型の第1外電流狭窄層90であり、p型Al0.9Ga0.1As層に代えてp型AlAs層が形成され、高い電気抵抗を有するAl酸化層に転化した電流狭窄領域と、p型AlAs層が酸化されずに残った電流注入領域とを有する。
第1外電流狭窄層90は、4つの分離溝84の外側面84BからR=10μm程度の距離で到達する領域からなる外電流狭窄領域90A、及び大メサポスト82の中央に形成され、外電流狭窄領域90Aに囲まれた外電流注入領域90Bから構成される。外電流注入領域90Bは、10μm程度の径を有する。
【0065】
上部DBR58の発光構造層56に隣接する構成層は、酸化狭窄型の第2電流狭窄層64を構成し、p型Al0.9Ga0.1As層に代えてp型AlAs層が形成され、p型AlAs層のAlが選択的に酸化され、高い電気抵抗を有するAl酸化層に転化した電流狭窄領域と、p型AlAs層が酸化されずに残った電流注入領域とを有する。
第2電流狭窄層64は、大メサポスト82の側面に囲まれた円環状の第2電流狭窄領域64A、及び第2電流注入領域64Bに囲まれた円形の第2電流注入領域64Bから構成される。
【0066】
分離溝84の内側面84A及び外側面84B、大メサポスト82の側面及び大メサポスト82の両脇の下部DBR54上には、SiNx膜等の誘電体膜(図示せず)が成膜されている。
また、大メサポスト82の上面の中央部には、内径70μm程度の円環状のp側電極(図示せず)が形成されている。
n型GaAs基板52の裏面には、n側電極74が形成されている。
【0067】
本実施形態例の面発光レーザ素子80によれば、4個の内メサポスト86にそれぞれ形成された内電流注入領域62Bを有する第1の内電流狭窄層62、外メサポスト88に形成された外電流注入領域90Bを有する第1の外電流狭窄層90と、及び第1の内電流狭窄層62及び第1の外電流狭窄層90の下方に設けられた第2の電流狭窄層64とを備える。
本実施形態例の面発光レーザ素子80によれば、第1の内電流狭窄層62及び第1の外電流狭窄層90は、上記複数の電流注入領域によって、第1の電流狭窄層62の下方の広い領域に電流を均一に注入させることができるので、高い光出力を有する面発光レーザ素子を得ることができる。
【0068】
また、第1の内電流狭窄層62及び第1の外電流狭窄層90が、複数の電流注入領域を有することにより、活性層56Bに注入する電流を複数の電流注入領域に分散して通過させることができるので、電流注入領域及びその近傍での発熱を抑えることができる。
尚、本実施形態例では、大メサポストの中心軸92から等距離の位置であって、大メサポストの中心軸92に関して4回の回転対称を有する位置を中心として、4個の分離溝が形成されているとしたが、分離溝84が形成される位置、及び個数は上記に限定されるものではない。
【0069】
面発光レーザ素子の製造方法の実施形態例2
本実施形態例は、本発明方法の第2発明を上述の面発光レーザ素子の実施形態例2の面発光レーザ素子80の製造に適用した実施形態の一例である。図7は、本実施形態例の製造方法に従って面発光レーザ素子を製造する際の断面図である。
本実施形態例の製造方法は、積層構造61を形成する工程までは、面発光レーザ素子の製造方法の実施形態例1で、図2(a)を参照して説明した製造方法と同様である。
【0070】
本実施形態例では、次いで、図7に示すように、後の工程で形成する円柱状の大メサポスト82の中心軸92から等距離の25μm程度の位置であって、中心軸92に関して4回の回転対称を有する位置を中心軸として、ドライエッチング法により、上部DBR58の上から15ペア目程度の構成層に到達するまで、コンタクト層60及び上部DBR58をエッチングして、それぞれ内径30μm程度で外径35μm程度の4個の円筒形の分離溝84を形成する。
これにより、分離溝の内側面84Aの内側に円柱状の内メサポスト86を、分離溝の外側面84Bの外側に柱状の外メサポスト88を形成する。
【0071】
続いて、分離溝84を有する積層構造61を、水蒸気雰囲気中で温度400℃で約15分間加熱し、分離溝84の内側面84Aより内側面84Aの内側に、及び分離溝84の外側面84Bより外側面84Bの外側に向かって、第1のp型AlAs層62aのみを選択酸化し、Al酸化層からなる電流狭窄領域と、第1のp型AlAs層が酸化されずに残った電流注入領域とを形成する。
つまり、それぞれの分離溝84の内側面84Aに囲まれた幅R=10μm程度の円環状の内電流狭窄領域62A、内電流狭窄領域62Aに囲まれた直径15μm程度の円形の内電流注入領域62B、4つの分離溝84の外側面84BからR=10μm程度の距離で到達する領域からなる外電流狭窄領域90A、及び大メサポスト82の中央に形成され、外電流狭窄領域90Aに囲まれた外電流注入領域90Bを形成することができる。
外電流注入領域90Bは、10μm程度の径を有するように形成される。
【0072】
次いで、ドライエッチング法により、下部DBR54の上面近傍に到達するまで、コンタクト層60、上部DBR58、及び発光構造層56をエッチングして、中心軸92を中心とする直径100μm程度の円柱状の大メサポスト82を形成する。
続いて、大メサポスト82を有する積層構造を、水蒸気雰囲気中で温度400℃で約15分間加熱し、大メサポスト82の側面より中心に向かって、第2のp型AlAs層64aのみを選択酸化する。
これにより、大メサポスト82の側面に囲まれた、Al酸化層からなる円環状の第2電流狭窄領域64Aと、第2電流狭窄領域64Aに囲まれた、p型AlAs層が酸化されずに残った円形の第2電流注入領域64Bとから構成される第2電流狭窄構造64を形成することができる。
この酸化の際には、既に酸化により形成されている第1電流狭窄構造62では、内電流狭窄領域62A及び外電流狭窄領域90AをなすAl酸化層が、内電流狭窄領域62A及び外電流狭窄領域90Aにそれぞれ囲まれた内電流注入領域62B及び外電流注入領域90Bをなすp型AlAs層の酸化を抑制するので、p型AlAs層の更なる酸化は進行しない。
【0073】
次いで、全面にSiNx膜等の誘電体膜(図示せず)を成膜し、大メサポスト82の上面の誘電体膜を除去する。
続いて、内メサポスト86の上面に、円環状のp側電極(図示せず)を、大メサポスト82の上面の中央部に、内径70μm程度の円環状のp側電極(図示せず)を形成する。
続いて、n型GaAs基板52の裏面にn側電極74を形成する等の工程を経ることにより、面発光レーザ素子80を完成することができる。
【0074】
尚、面発光レーザ素子の実施形態例2、及び面発光レーザ素子の製造方法の実施形態例2では、分離溝84を介して内メサポスト86及び外メサポスト88が形成されているが、外メサポスト88は必ずしも形成されている必要はない。この場合、例えば、面発光レーザ素子の実施形態例1に示した下部メサポスト上に複数の上部メサポストが形成されている構成としてもよい。
また、上記実施形態例では、面発光レーザ素子80の製造に当って、分離溝84、第1内電流狭窄層62、及び第1外電流狭窄層90を形成した後に、大メサポスト82及び第2電流狭窄層64を形成しているが、逆に、大メサポスト82及び第2電流狭窄層64を形成した後に、分離溝84、第1電流狭窄層62、及び第1外電流狭窄層90を形成しても構わない。
【0075】
面発光レーザ素子の実施形態例3
本実施形態例は、本発明の第1発明に係る面発光レーザ素子の実施形態の別の一例であって、図12は、本実施形態例の面発光レーザ素子の構成を示す断面図である。同図中で、図1に示した面発光レーザ素子10と同様の構成を有する部分については、同じ符号を付した。
本実施形態例の面発光レーザ素子100は、発振波長850nmの面発光レーザ素子であって、図12に示すように、図1に示した面発光レーザ素子50とは、メサポストの構成、電流狭窄層の組成及び構成が異なることを除いては、前述の面発光レーザ素子50と同様の構成を備えている。
【0076】
即ち、本実施形態例の面発光レーザ素子100では、図1に示した面発光レーザ素子50の第1メサポスト102及び第2メサポスト68に代えて、コンタクト層60、上部DBR58、及び発光構造層56は、エッチングされて、直径100μm程度の円形断面を有する、円柱状のメサポスト102に加工されている。
また、第1電流狭窄層62は、図1に示した面発光レーザ素子50のp型AlAs層に代えてp型Al0.98Ga0.02As層が形成され、高い電気抵抗を有するAl酸化層に転化した電流狭窄領域と、p型Al0.98Ga0.02As層が酸化されずに残った電流注入領域とを有する。
第1電流狭窄層62は、メサポスト102の側面に囲まれた円環状の第1電流狭窄領域62A、及び第1電流狭窄領域62Aに囲まれた直径10μm程度の円形の第1電流注入領域62Bとを有する。
更に、第2電流狭窄層64は、図1に示した面発光レーザ素子50のp型AlAs層に代えてp型Al0.96Ga0.04As層が形成され、高い電気抵抗を有するAl酸化層に転化した電流狭窄領域と、p型Al0.96Ga0.04As層が酸化されずに残った電流注入領域とを有する。
第2電流狭窄層64は、メサポスト102の側面に囲まれた円環状の第2電流狭窄領域64A、及び第2電流狭窄領域64Aに囲まれた直径50μm程度の円形の第2電流注入領域62Bとを有する。
【0077】
本実施形態例の面発光レーザ素子100は、上記以外の構成については、面発光レーザ素子の実施形態例1に係る面発光レーザ素子50と同様の構成を有している。
本実施形態例の面発光レーザ素子100によれば、面発光レーザ素子の実施形態例1に係る面発光レーザ素子50と同様の効果を得ることができる。
【0078】
面発光レーザ素子の製造方法の実施形態例3
本実施形態例は、本発明方法の第4発明を上述の面発光レーザ素子100の製造に適用した実施形態の一例である。図13(a)及び(b)は、それぞれ、本実施形態例の製造方法に従って面発光レーザ素子を製造する際の主要工程での断面図である。
本実施形態例の製造方法は、成長させる第1のp型AlAs層及び第2のp型AlAs層の組成、及び、メサポスト、電流狭窄層の形成方法が異なることを除いては、面発光レーザ素子の製造方法の実施形態例1に示した製造方法と同様である。
【0079】
即ち、本実施形態例の製造方法では、図2(a)に示した積層構造61を形成する際に、第1のp型AlAs層に代えてp型Al0.98Ga0.02As層62aを、第2のp型AlAs層に代えてp型Al0.96Ga0.04As層64aを成長させる。
【0080】
また、本実施形態例の製造方法では、メサポスト及び電流狭窄層を形成する際に、先ず、図13(a)に示すように、ドライエッチング法により、下部DBR54の上面近傍に到達するまで、コンタクト層60、上部DBR58、及び発光構造層56をエッチングして、メサポスト102を形成する。
次いで、図13(b)に示すように、メサポスト102を有する積層構造61を、水蒸気雰囲気中で温度400℃で約60分間加熱し、メサポスト102の側面より中心に向かって、p型Al0.98Ga0.02As層62a及びp型Al0.96Ga0.04As層64aを選択酸化する。
この際に、p型Al0.98Ga0.02As層62aは、p型Al0.96Ga0.04As層64aよりAl組成が大きく、酸化速度が速いので、よりメサポスト102の中心に近い位置まで酸化される。
【0081】
従って、これにより、メサポスト102の側面に囲まれた、Al酸化層からなる円環状の第1電流狭窄領域62Aと、第1電流狭窄領域62Aに囲まれた、p型Al0.98Ga0.02As層62aが酸化されずに残った直径10μm程度の円形の第1電流注入領域62Bとから構成される第1電流狭窄層62を形成することができる。
また、同時に、メサポスト102の側面に囲まれた、Al酸化層からなる円環状の第2電流狭窄領域64Aと、第2電流狭窄領域64Aに囲まれた、p型Al0.96Ga0.04As層64aが酸化されずに残った直径50μm程度の円形の第2電流注入領域64Bとから構成される第2電流狭窄層64を形成することができる。
【0082】
本実施形態例の製造方法は、上記以外については、面発光レーザ素子の製造方法の実施形態例1に示した製造方法と同様である。
本実施形態例の面発光レーザ素子100の製造方法によれば、一度の水蒸気酸化により第1電流注入領域62Bより狭い第2電流注入領域64Bを形成することができるので、従来の面発光レーザ素子と同様の製造工程により、面発光レーザ素子の実施形態例1に係る面発光レーザ素子50を製造することができる。
【0083】
面発光レーザ素子の製造方法の実施形態例1〜3で、メサポストや分離溝をエッチングする際には、塩素系ガスをエッチングガスとするドライエッチング法により、制御性の高いエッチングが可能となり、側面が急峻なメサポストを形成することができる。エッチングガスとして、塩素系ガス、例えばCl2、BCl3、SiCl4などを使用する。
【0084】
【発明の効果】
本発明の第1発明によれば、上段の電流狭窄層により活性層に注入されるキャリアを局所集中させることなく、活性層の領域に均一に注入させ、注入させた活性層の全領域に渡り均一な光強度でレーザ発振を起こさせる面発光レーザ素子を得ることができる。従って、高い光出力を有する面発光レーザ素子を実現している。
本発明の第2発明によれば、複数の上段の電流注入領域によって、上記本発明の第1発明に係る面発光レーザ素子と比較して、上段の電流狭窄層の下方の広い領域に電流を均一に注入させることができる。従って、更に高い光出力を有する面発光レーザ素子を得ることができる。
本発明の第3発明によれば、本発明の第2発明に係る面発光レーザ素子より上段の電流注入領域の数を増やすことができるので、更に高い光出力を有する面発光レーザ素子を得ることができる。
本発明方法の第1発明、第2発明、及び第3発明によれば、それぞれ、本発明の第1発明、第2発明、及び第3発明に係る面発光レーザ素子の製造方法を実現し、本発明方法の第4発明によれば、本発明の第1発明に係る面発光レーザ素子の別の製造方法を実現している。
【図面の簡単な説明】
【図1】面発光レーザ素子の実施形態例1に係る面発光レーザ素子の構成を示す断面図である。
【図2】(a)、(b)は、それぞれ、面発光レーザ素子の製造方法の実施形態例1に係る面発光レーザ素子の製造工程を示す断面図である。
【図3】(c)、(d)は、それぞれ、面発光レーザ素子の製造方法の実施形態例1に係る面発光レーザ素子の製造工程を示す断面図である。
【図4】(e)、(f)は、それぞれ、面発光レーザ素子の製造方法の実施形態例1に係る面発光レーザ素子の製造工程を示す断面図である。
【図5】面発光レーザ素子の実施形態例2に係る面発光レーザ素子の構成を示す平面図である。
【図6】図5の矢視I−Iでの断面を示す断面図である。
【図7】面発光レーザ素子の製造方法の実施形態例2に係る面発光レーザ素子の製造工程を示す断面図である。
【図8】特開2001−210908号公報に開示の面発光半導体レーザ素子の構成を示す断面図である。
【図9】(a)、(b)は、それぞれ、特開2001−210908号公報に開示の面発光半導体レーザ素子の製造工程を示す断面図である。
【図10】従来の面発光レーザ素子のメサポストの近傍を簡潔に示す断面図である。
【図11】本発明に係る面発光レーザ素子のメサポストの近傍を簡潔に示す断面図である。
【図12】面発光レーザ素子の実施形態例3に係る面発光レーザ素子の構成を示す断面図である。
【図13】(a)、(b)は、それぞれ、面発光レーザ素子の製造方法の実施形態例3に係る面発光レーザ素子の製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
10……特許文献1に開示の面発光レーザ素子、12……n型GaAs基板、14……下部反射鏡層構造(下部DBR)、16……下部クラッド層、18……発光層(活性層)、20……上部クラッド層、22……上部反射鏡層構造(上部DBR)、24……p型GaAs層、26……電流狭窄層、26a……p型AlAs層、26A……絶縁領域(電流狭窄領域)、26B……電流注入経路(電流注入領域)、28……柱状構造(メサポスト)、30……SiNx膜、32……p側電極(上部電極)、34……n側電極(下部電極)、36……金属膜、38……出射窓、40……SiNxマスク、42……(電流注入領域の)エッジ、44……上部電流狭窄層、44a……上部p型AlAs層、44A……上部電流狭窄領域、44B……上部電流注入領域、46……上部メサポスト、48……下部メサポスト、50……面発光レーザ素子の実施形態例1に係る面発光レーザ素子、52……n型GaAs基板、54……下部DBR、56……発光構造層、56A……下部クラッド層、56B……活性層、56C……上部クラッド層、58……上部DBR、60……コンタクト層、61……積層構造、62……第1電流狭窄層(第1内電流狭窄層)、62a……(第1の)p型AlAs層、62A……第1電流狭窄領域(内電流狭窄領域)、62B……第1電流注入領域(内電流注入領域)、64……第2電流狭窄層、64a……(第2の)p型AlAs層、64A……第2電流狭窄領域、64B……第2電流注入領域、66……第1メサポスト、68……第2メサポスト、70……誘電体膜、72……p側電極、74……n側電極、80……面発光レーザ素子の実施形態例2に係る面発光レーザ素子、82……大メサポスト、84……分離溝、84A……(分離溝の)内側面、84B……(分離溝の)外側面、86……内メサポスト、88……外メサポスト、90……第1外電流狭窄層、90A……外電流狭窄領域、90B……外電流注入領域、92……(メサポストの)中心軸、100……面発光レーザ素子の実施形態例3に係る面発光レーザ素子、102……メサポスト。
Claims (18)
- 基板と、
前記基板上に形成される半導体多層膜の下部反射鏡と、
前記下部反射鏡上に形成される活性層と、
前記活性層上にメサポストとして形成される半導体多層膜の上部反射鏡と、
前記上部反射鏡内に設けられ、所定の径の電流注入領域を有する下段の電流狭窄層と、
前記上部反射鏡内に、前記下段の電流狭窄層とは厚さ方向に離間して上部に配置され、前記下段の電流狭窄層の電流注入領域よりも径の小さい電流注入領域を有する上段の電流狭窄層と、
前記上部反射鏡上に設けられ、前記上段の電流狭窄層の電流注入領域の径よりも大きい開口部を有する上部電極と、を備える
面発光レーザ素子。 - 前記メサポストは、前記上段の電流狭窄層を有する柱状の上部メサポストと、前記下段の電流狭窄層を有し、前記上部メサポストより径の大きい柱状の下部メサポストとからなる2段構造のメサポストとして形成される請求項1に記載の面発光レーザ素子。
- 前記メサポストの中心軸、前記上段の電流狭窄層に設けられた電流注入領域の中心、及び前記下段の電流狭窄層に設けられた電流注入領域の中心が、前記基板に垂直な同一の直線上にある請求項1又は2に記載の面発光レーザ素子。
- 前記上段の電流狭窄層に設けられた電流注入領域の径が、1μm以上20μm以下である請求項1に記載の面発光レーザ素子。
- 前記下段の電流狭窄層の電流注入領域の径が、前記上段の電流狭窄層の電流注入領域の径の1倍を超え10倍未満とされる請求項1〜4のいずれかに記載の面発光レーザ素子。
- 前記下段の電流狭窄層と前記上段の電流狭窄層との厚さ方向の間隔が3μm以上とされる請求項1〜5のいずれかに記載の面発光レーザ素子。
- 前記上段及び下段の電流狭窄層の電流狭窄領域は、前記半導体多層膜の一層として設けられたAl含有層のAlを選択的に酸化したAl酸化層であり、前記上段及び下段の電流狭窄層の電流注入領域は、酸化されずに残ったAl含有層である請求項1〜6のいずれかに記載の面発光レーザ素子。
- 基板と、
前記基板上に形成される半導体多層膜の下部反射鏡と、
前記下部反射鏡上に形成される活性層と、
前記活性層上に柱状の下部メサポストとして形成される半導体多層膜の上部反射鏡と、
前記下部メサポストの上部反射鏡内に設けられ、所定の径の電流注入領域を有する下段の電流狭窄層と、
前記下部メサポスト上に、相互に同じ層構造を有する複数の柱状の上部メサポストとして形成される半導体多層膜の上部反射鏡と、
前記上部メサポストの上部反射鏡内に、前記下段の電流狭窄層とは厚さ方向に離間して配置され、前記下段の電流狭窄層の電流注入領域よりも径の小さい電流注入領域を有する上段の電流狭窄層と、
前記上部メサポストの上部反射鏡上に設けられ、前記上段の電流狭窄層の電流注入領域の径よりも大きい開口部を有する上部電極と、を備える
面発光レーザ素子。 - 前記上段の電流狭窄層に設けられた電流注入領域の径が、1μm以上20μm以下である請求項8に記載の面発光レーザ素子。
- 前記下段の電流狭窄層に設けられた電流注入領域が、前記基板に対して垂直方向に見て、前記複数の上段の電流狭窄層に設けられた電流注入領域を全て含むように形成されている請求項8又は9に記載の面発光レーザ素子。
- 前記上段及び下段の電流狭窄層の電流狭窄領域は、前記半導体多層膜の一層として設けられたAl含有層のAlを選択的に酸化したAl酸化層であり、前記上段及び下段の電流狭窄層の電流注入領域は、酸化されずに残った前記Al含有層である請求項8〜10のいずれかに記載の面発光レーザ素子。
- 基板と、
前記基板上に形成される半導体多層膜の下部反射鏡と、
前記下部反射鏡上に形成される活性層と、
前記活性層上に、上部メサポストと下部メサポストの2段構造のメサポストとして形成される半導体多層膜の上部反射鏡と、
前記下部メサポストの上部反射鏡内に設けられ、所定の径の電流注入領域を有する下段の電流狭窄層と、
前記上部メサポストの上部反射鏡内に同じ層構成を有する複数個の小メサポストとして分離溝を介して相互に分離されて形成され、且つ、前記下段の電流狭窄層とは厚さ方向に離間する同じ層位置に配置され、前記下段の電流狭窄層の電流注入領域よりも径の小さい電流注入領域を有する上段の電流狭窄層と、
前記上部メサポストの上部反射鏡上に設けられ、前記上段の電流狭窄層の電流注入領域の径よりも大きい開口部を有する上部電極と、を備える
面発光レーザ素子。 - 前記上段の電流狭窄層に設けられた電流注入領域が、前記上部メサポストの中央に設けられている請求項12に記載の面発光レーザ素子。
- 前記上段及び下段の電流狭窄層の電流狭窄領域は、前記半導体多層膜の一層として設けられたAl含有層のAlを選択的に酸化したAl酸化層であり、前記上段及び下段の電流狭窄層の電流注入領域は、酸化されずに残った前記Al含有層である請求項12又は13に記載の面発光レーザ素子。
- 基板上に、順次、半導体多層膜の下部反射鏡、活性層、及び相互に離隔した上下2段の85%以上のAlを含む高Al含有層を有する半導体多層膜の上部反射鏡を形成する工程と、
前記上段の高Al含有層を含む上部反射鏡をエッチングして、上部メサポストを形成する工程と、
前記上部メサポストの高Al含有層を水蒸気酸化して、前記高Al含有層の中央領域を非酸化の高Al含有層からなる第1の電流注入領域として残すと共に、前記第1の電流注入領域を囲むAl酸化層からなる電流狭窄領域を形成する工程と、
前記上部メサポストの下の前記下段の高Al含有層を含む上部反射鏡をエッチングして下部メサポストを形成する工程と、
前記下部メサポストの高Al含有層を水蒸気酸化して、前記高Al含有層の中央領域を非酸化の高Al含有層からなる、前記第1の電流注入領域より広い第2の電流注入領域として残すと共に、前記第2の電流注入領域を囲むAl酸化層からなる電流狭窄領域を形成する工程と、
前記上部メサポスト上に、前記第1の電流注入領域より広い開口部を有する上部電極を形成する工程と、
を有する面発光レーザ素子の製造方法。 - 基板上に、順次、半導体多層膜の下部反射鏡、活性層、及び相互に離隔した上下2段の85%以上のAlを含む高Al含有層を有する半導体多層膜の上部反射鏡を形成する工程と、
前記上段の高Al含有層を含む上部反射鏡をエッチングして、複数個の上部メサポストを形成する工程と、
前記上部メサポストの高Al含有層を水蒸気酸化して、前記高Al含有層の中央領域を非酸化の高Al含有層からなる第1の電流注入領域として残すと共に、前記第1の電流注入領域を囲むAl酸化層からなる電流狭窄領域を形成する工程と、
前記上部メサポストの下の前記下段の高Al含有層を含む上部反射鏡をエッチングして下部メサポストを形成する工程と、
前記下部メサポストの高Al含有層を水蒸気酸化して、前記高Al含有層の中央領域を非酸化の高Al含有層からなる、前記第1の電流注入領域より広い第2の電流注入領域として残すと共に、前記第2の電流注入領域を囲むAl酸化層からなる電流狭窄領域を形成する工程と、
前記上部メサポスト上に、前記第1の電流注入領域より広い開口部を有する上部電極を形成する工程と、
を有する面発光レーザ素子の製造方法。 - 基板上に、順次、半導体多層膜の下部反射鏡、活性層、及び相互に離隔した上下2段の85%以上のAlを含む高Al含有層を有する半導体多層膜の上部反射鏡を形成する工程と、
前記上段の高Al含有層を含む上部反射鏡をエッチングして、上部メサポストを形成すると共に、分離溝を介して相互に分離された複数個の小メサポストを上部メサポスト内に形成する工程と、
前記上部メサポストの高Al含有層を水蒸気酸化し、かつ前記分離溝を介して前記小メサポストの高Al含有層を水蒸気酸化して、各高Al含有層の中央領域を非酸化の高Al含有層からなる第1の電流注入領域として残すと共に、前記第1の電流注入領域を囲むAl酸化層からなる電流狭窄領域を形成する工程と、
前記上部メサポストの下の前記下段の高Al含有層を含む上部反射鏡をエッチングして、下部メサポストを形成する工程と、
前記下部メサポストの高Al含有層を水蒸気酸化して、前記高Al含有層の中央領域を非酸化の高Al含有層からなる、前記第1の電流注入領域より広い第2の電流注入領域として残すと共に、前記第2の電流注入領域を囲むAl酸化層からなる電流狭窄領域を形成する工程と、
前記上部メサポスト上に、前記第1の電流注入領域より広い開口部を有する上部電極を形成する工程と、
を有する面発光レーザ素子の製造方法。 - 基板上に、順次、半導体多層膜の下部反射鏡、活性層、及び相互に離隔し、下段の85%以上のAlを含む高Al含有層と前記下段の高Al含有層よりAl組成の高い上段の高Al含有層とを有する、半導体多層膜の上部反射鏡を形成する工程と、
前記上下2段の高Al含有層を含む上部反射鏡をエッチングしてメサポストを形成する工程と、
前記メサポストの上下2段の高Al含有層を水蒸気酸化して、前記上段の高Al含有層の中央領域を非酸化の高Al含有層からなる第1の電流注入領域として残すと共に、前記第1の電流注入領域を囲むAl酸化層からなる電流狭窄領域を形成すると共に、前記下段の高Al含有層の中央領域を非酸化の高Al含有層からなる、前記第1の電流注入領域より広い第2の電流注入領域として残すと共に、前記第2の電流注入領域を囲むAl酸化層からなる電流狭窄領域を形成する工程と
を有する面発光レーザ素子の製造方法。
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