JP4442064B2 - ナビゲーション装置およびナビゲーション方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車などの移動体に搭載されるナビゲーション装置、および、こうしたナビゲーション装置等における移動体のナビゲーション方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、この種のナビゲーション装置として、GPS(Global Positioning Systems)に加えて加速度センサを利用して移動体の速度や位置を計算するものが知られている。このようなナビゲーション装置は、加速度センサの出力のみから移動体の速度・位置等の演算が可能となっており、移動体側から速度情報を提供する必要が無い。したがって、このナビゲーション装置を移動体に対して取り付ける場合に、移動体に対して信号線等を接続する必要が無く、取り付けの手間やコストを低減することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようなナビゲーション装置は、通常、加速度センサが、移動体の進行方向の加速度のみを検出するようになっている。ここで、坂道等において、移動体の進行方向が水平でない場合、上り坂では、重力加速度による成分が加わった状態で移動体の進行方向加速度が検出され、下り坂では、重力加速度による成分が減じられた状態で移動体の進行方向加速度が検出される。したがって、加速度センサの出力結果のみを用いて移動距離等を計算すると、坂道においては誤差が過大となってしまう。
【0004】
図14は、X方向に移動する移動体の一定時間ごとの位置を、加速度センサの検出結果に基づき算出した位置と比較した図である。図中に三角形で表すのは、X軸に沿って走行する移動体の位置であり、図中(a)は、等速でX方向に移動する移動体の一定時間ごとの位置を、(b)は、水平に走行する移動体において加速度センサの検出値から算出した移動体の一定時間ごとの位置を表している。また、(c)、(d)は、上り坂および下り坂を走行する移動体において加速度センサの検出値から算出した移動体の一定時間ごとの位置を示している。
図14(a)および(b)を比較して解るように、移動体が水平に走行している間は、移動体の実際の位置と算出された移動体の位置とに誤差はない。しかしながら、(a)と(c)を比較して解るように、上り坂の場合には、加速度が実際よりも大きく検出されることから、移動体の移動距離が実際よりもX方向に長く算出されることとなる。一方、(a)と(d)を比較して解るように、下り坂の場合には、加速度が実際よりも小さく検出されるために、移動体の移動距離が実際よりもX方向に短くなるように算出され、さらに顕著な場合には移動体が停止、逆送するような算出結果が得られることも考えられる。
【0005】
このような誤差をなくす目的で、移動体の進行方向に加えて、上下方向の加速度を検出可能な二軸の加速度センサを用い、この加速度センサによって、重力加速度の移動体の進行方向に対する傾きを求め、検出された移動体の進行方向加速度のうち、重力加速度による成分を差し引くようにすることが考えられている。図13は、二軸の加速度センサ1を用いた場合における移動体2の走行方向と加速度センサ1により検出される加速度の向きとの関係を模式的に示す図である。図中に示すように、移動体2の進行方向をX方向、X方向に直交する移動体2の上下方向をZ方向とすると、加速度センサ1は、X方向の加速度αX_senと、Z方向の加速度αZ_senとを検出することが可能であり、重力加速度mgとZ方向の加速度αZ_senとを比較することにより、移動体2の進行方向の傾斜角θを求めることが可能となると考えられる。
【0006】
ところが、このように二軸の加速度センサ1を用いた場合、図15のように移動体2が水平に走行していれば、加速度センサ1により1G(G:重力加速度)の加速度がZ方向の加速度αZ_senとして検出されるが、加速度センサ1の構造上、図16のように移動体2が上り坂にあるとき、あるいは図17のように移動体2が下り坂にあるときのいずれにおいても、Z方向の加速度αZ_senとして1Gを下回る値が検出されることになる。つまり、単純に二軸の加速度センサ1をナビゲーション装置に搭載したとしても、移動体2が上り坂にあるか、あるいは下り坂にあるかを判別することができず、移動体2の進行方向加速度に対して、重力加速度による加速度成分が加えられているのか、あるいは、減じられているのかを判断することができない。
【0007】
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、加速度センサの検出結果により速度・位置等を算出する場合であっても、移動体の坂道走行時の速度・位置の正確な算出が可能であるようなナビゲーション装置およびナビゲーション方法を提供することを主たる目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる目的のもと、本発明は、移動体に設けられるナビゲーション装置であって、互いに交差する少なくとも二方向の加速度を検出可能な多軸加速度センサと、移動体が進行する方向の勾配の正負を表す勾配方向情報を取得可能な勾配方向取得部と、多軸加速度センサおよび勾配方向取得部からの出力結果に基づき、前記移動体が進行する方向の実際の加速度を算出する加速度算出部とを備えたことを特徴としている。
このような構成においては、勾配の正負が勾配方向取得部によって取得されるため、二軸の加速度センサによって検出された上下方向加速度の重力加速度からの差が、上り坂を走行することにより生じるものなのか、あるいは下り坂を走行することにより生じるものなのかが、即時に判別される。
【0009】
この場合、ナビゲーション装置が、勾配方向情報を道路勾配として地図情報に関連づけて記憶する記憶部を有するとともに、勾配方向取得部が、記憶部から勾配方向情報を取得するようにすることが望ましい。これにより、走行地点での勾配を容易に取得することができる。
【0010】
さらに、多軸加速度センサが、互いに交差する二方向の加速度検出軸に沿った加速度を検出可能な二軸加速度センサからなり、この二軸加速度センサが、双方の前記加速度検出軸が移動体の進行方向軸線を含む仮想鉛直平面内に位置するように配置されていれば、最も簡易な構成で、移動体の進行方向加速度および進行方向と交差する上下方向の加速度を検出することができる。
【0011】
この場合、加速度検出軸のうち一方が移動体の進行方向に平行に取り付けられ、同他方が移動体の進行方向に垂直に取り付けられていてもよいし、あるいは、双方の加速度検出軸がともに、仮想鉛直平面内における移動体の進行方向と垂直な垂直軸から所定角度以上傾斜した状態で配置されていてもよい。
【0012】
また、ナビゲーション装置が地磁気の方向を検出する地磁気センサを備えている場合には、勾配方向取得部が、地磁気センサの出力に基づいて勾配方向情報を取得することができる。
【0013】
また、他の観点から捉えると、本発明は、所定方向の加速度を検出可能な加速度センサと、加速度センサからの出力に基づき、移動体の進行方向加速度を算出する加速度算出部とを備え、加速度センサが、互いに交差するとともに、移動体の進行方向軸線を含む仮想鉛直面内に位置し、かつ移動体が水平面上にある場合に鉛直方向から所定角をもって傾斜して延在する第一および第二の軸と同方向の加速度を検出可能に配置されたナビゲーション装置としても考えることができる。
【0014】
一般に、加速度センサを重力加速度を検出することができるような向きに配置する場合、重力加速度の向きと平行に加速度センサの検出軸を配置したときが、最も角度感度が小さい(検出軸が1度傾斜した場合の加速度センサの出力変化が最も小さい)。したがって、このように第一および第二の軸を鉛直方向から所定角をもって傾斜するように配置することで、鉛直方向に配置した場合に比較して、移動体の傾斜状態を感度よく検知することができる。
【0015】
この場合、加速度算出部は、検出された第一および第二の軸方向の加速度と、第一および第二の軸方向の所定方向軸線からの偏角と、移動体の進行方向の勾配の正負に関する勾配方向情報とに基づいて、移動体の進行方向の勾配を算出し、算出された勾配と、第一および第二の軸方向の加速度とから、移動体の進行方向の加速度を算出する。
【0016】
また、この場合、加速度算出部が、移動体の進行方向の勾配を算出する際に、勾配に所定のオフセット角度を付加した仮想勾配を計算し、仮想勾配から、オフセット角度に対応した所定角度を差し引くことにより勾配を求めるようにしてもよい。これにより、第一または第二の軸が上下方向に配置されている場合に、移動体の振動等によって、これらの軸方向の加速度の検出値に誤差が含まれることとなっても、速度や位置等の計算が不能となることを避けることができる。
【0017】
また、本発明は、ナビゲーション方法の発明としても捉えることができる。すなわち、本発明が適用されたナビゲーション方法は、移動体において検出された所定の二方向の加速度に基づいて、移動体の進行方向の勾配の絶対値を求める第一のステップと、移動体の進行方向の勾配の正負に関する情報を取得する第二のステップと、所定の二方向の加速度のうちのいずれか一方または双方から求められる移動体の進行方向加速度から、勾配による重力の影響を考慮して、移動体の実際の加速度を求める第三のステップとを備えたことを特徴とする。
【0018】
この際、第三のステップでは、第一のステップで求められた勾配の絶対値が所定値以上である場合に、勾配による重力の影響を差し引くようにすることが好適である。この場合、所定値を誤差範囲に設定することによって、勾配の絶対値が誤差範囲内の場合には、演算を行わないようにすることができる。
【0019】
また、このナビゲーション方法において、二方向のうち一方向が移動体の進行方向と直交する上下方向であり、この方向の加速度が所定値以上である際に、二方向の加速度のうちのいずれか一方または双方から求められる移動体の進行方向加速度を移動体の実際の加速度とする第四のステップを更に備えることもできる。
【0020】
さらに、第一のステップにおいて、移動体の進行方向の勾配に所定のオフセット角度を付加した仮想勾配を設定し、所定の二方向の加速度に基づいて仮想勾配を求め、この仮想勾配からオフセット角度に対応した所定角度を差し引くことにより移動体の実際の進行方向勾配を求めることも可能である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
[第一の実施の形態]
図1は、本発明の第一の実施の形態におけるナビゲーションシステム(ナビゲーション装置)10の全体構成を示すブロック図である。このナビゲーションシステム10は、自動車(移動体)に搭載されるものであり、図1に示すように、装置全体の制御や演算を行うCPU11(傾斜角算出部、加速度算出部)、CD−ROM(記憶部)12が装着可能なCD−ROMドライブ13、CD−ROMドライブ13を制御する記憶制御装置(勾配方向取得部)14、スピーカ15等による音声の制御を行うための音声制御装置16、リモコン(図示略)およびコントロールパネル(図示略)等からの入力信号を制御する入力制御装置17、液晶ディスプレイ等からなる表示部18におけるデータの表示を制御する表示制御装置19、内部記憶装置であるRAM20、ROM21を備えている。
【0022】
さらに、このナビゲーションシステム10は、センサーデータ取得部23を備えている。このセンサーデータ取得部23は、GPSアンテナ24において受信されたGPS衛星からの発信信号に基づいて測位計算を行うGPS受信機25と、ジャイロセンサ26と、ナビゲーションシステム10に内蔵された二軸加速度センサ27とから出力されたセンサーデータを取得するものであり、さらに図2に示すように、取得したセンサーデータをCPU11に対して出力するようになっている。
また、CD−ROMドライブ13に装着されるCD−ROM12には、地図情報が記憶されるとともに、地図情報に関連づけて各道路の勾配が記憶されている。ここでは、記憶制御装置14が、自動車が走行している道路の勾配を読み取り、その道路勾配が正であるか負であるか(上り坂であるか下り坂であるか)を判断するとともに、図2に示すように、道路勾配の正負に関する情報である勾配方向データをCPU11に対して出力するようになっている。
【0023】
なお、図13に示すように、このナビゲーションシステム10において、二軸加速度センサ27は、その加速度検出軸31,32が、自動車2の進行方向軸線33を含む仮想平面(紙面と同一面)内において、自動車2の進行方向と平行なX方向(第一の軸a1方向)、および、このX方向に直交する上下方向であるZ方向(第二の軸a2方向)に延在するように配置されている。したがって、二軸加速度センサ27は、X方向およびZ方向の加速度を検出することが可能となっている。
【0024】
次に、このナビゲーションシステム10におけるCPU11の処理手順を図3を参照して説明する。
まず、自動車2のエンジンを作動させること等により、ナビゲーションシステム10の電源がONとされ、CPU11が処理を開始する(START)。ここで、CPU11は、センサーデータ取得部23によって取得された二軸加速度センサ27の検出値のうちのZ方向の加速度αZ_senが、所定値より小さいかどうかを判断する(ステップS1)。この所定値としては、重力加速度G以下でなおかつ重力加速度Gに近い値(例えば、0.8G)が設定される。
ステップS1でZ方向の加速度αZ_senが所定値以上であると判断された場合には、Z方向の加速度αZ_senが重力加速度Gに近い値であり、二軸加速度センサ27のZ軸は、ほぼ鉛直となっていると考えられるから、自動車2は水平な道路を走行していると判断することができる。したがって、この場合、自動車2の進行方向加速度αXとして、二軸加速度センサ27によって検出されたX方向の加速度αX_senをそのまま設定する(ステップS2)。一方、Z方向の加速度αZ_senが所定値よりも小さい場合には、自動車2は、坂道を走行していると判断されるから、次に、CPU11は、記憶制御装置14から出力された勾配方向データを参照して、自動車2が走行している道路が上り坂であるかあるいは下り坂であるか(勾配が正か負か)を判断する(ステップS3)。この場合、自動車2が走行している道路が上り坂であれば、二軸加速度センサ27によって検出されたX方向の加速度αX_senから、重力加速度Gによる成分を減ずる必要があり、また、自動車2が走行している道路が下り坂であれば、二軸加速度センサ27によって検出されたX方向の加速度αX_senに対して重力加速度Gによる成分を加える必要がある。
【0025】
ここで、道路の傾斜角θと、二軸加速度センサ27の加速度検出軸31,32と平行なX軸およびZ軸との関係は、図13のようになっているため、道路の傾斜角θの余弦cosθは、
【数1】
Figure 0004442064
のように表すことができ、また、自動車2の実際の進行方向加速度αXは、
【数2】
Figure 0004442064
のように表すことができる(g:重力加速度)。ここで[数2]の右辺第2項の正負は、傾斜角θ(道路勾配)の正負によって異なり、傾斜角θが負のときには「−」と、正のときには「+」となる。
【0026】
さらに、この場合、道路の傾斜角の正弦sinθは、
【数3】
Figure 0004442064
のように表すことができるために、これを[数2]に代入することにより、自動車2の進行方向加速度αXは、
【数4】
Figure 0004442064
と表すことができる。したがって、上述のステップS3において、上り坂でないとの判断がなされた場合には、自動車2の進行方向加速度αXとして、
【数5】
Figure 0004442064
を設定し(ステップS4)、また、ステップS3において、上り坂であるとの判断がなされた場合には、進行方向加速度αXとして、
【数6】
Figure 0004442064
を設定して(ステップS5)、自動車2の進行方向加速度αXの算出処理を終了する(END)。そして、このように算出した自動車2の進行方向加速度αXに基づいて、自動車2の速度あるいは位置の計算を行う。
【0027】
上述のナビゲーションシステム10およびその加速度算出方法(ナビゲーション方法)は、自動車2の進行方向であるX方向およびこれに直交する上下方向であるZ方向の加速度αX_senおよびαZ_senを検出する二軸加速度センサ27からの出力を、自動車2の加速度の算出に用いるとともに、このような二軸加速度センサ27からの出力に加えて、CD−ROM12から取得した勾配方向データを利用して、坂道走行の場合の重力の影響を除いた自動車2の実際の進行方向加速度αXを算出するようになっている。これにより、検出されたZ方向の加速度αZ_senの重力加速度Gからの差が、上り坂を走行することにより生じるものなのか、あるいは下り坂を走行することにより生じるものなのかを即時に判別することができ、したがって、検出された自動車2の進行方向加速度αX_senから重力の影響を正確に除去することができる。これによって、従来と異なり、精度の高い速度・位置の演算が可能となる。
【0028】
図4は、一軸加速度センサを搭載したナビゲーションシステムと、本実施の形態における二軸加速度センサ27を搭載したナビゲーションシステム10とで、演算された自動車2の進行方向速度の実際の速度からのずれを比較したグラフである。図4において、Vpは、自動車2側から取得される車速パルスの値、すなわち、実際の自動車2の走行速度を表し、Vx(上段)は、1軸加速度センサを搭載したナビゲーションシステムが計算した自動車2の車速を、Vxz(下段)は、本実施の形態のナビゲーションシステム10が計算した自動車2の車速を表す。図4の上段と下段のグラフを比較して解るように、Vxzは、Vxに比較して、大幅にVpに近づいている。つまり、本実施の形態のナビゲーションシステム10によれば、従来の1軸加速度センサを搭載したナビゲーションシステムに比較して、算出速度の大幅な精度向上が図られていることが理解される。
【0029】
また、本第一の実施の形態では、ナビゲーションシステム10に、勾配方向情報を道路勾配情報として地図情報に関連づけて記憶するCD−ROM12が組み込まれ、記憶制御装置14が、このCD−ROM12から勾配方向データを取得するようになっているので、走行地点での勾配を容易に取得することができる。さらに、加速度検出軸31,32が自動車2の進行方向軸線33を含む仮想鉛直平面内に位置するように二軸加速度センサ27が配置されているため、最も簡易な構成で、自動車2の進行方向加速度αXおよび進行方向と交差する上下方向の加速度を検出することができる。
また、本第一の実施の形態では、検出されたZ方向の加速度αZ_senが所定値以上である際に、検出されたX方向の加速度αX_senをそのまま自動車2の進行方向加速度αXとして設定したため、Z方向の加速度の検出値αZ_senに基づいて、容易に自動車2が水平な道路を走行しているか否かを判断することができ、なおかつ、水平走行時の演算負荷を軽減することが可能となる。
【0030】
このように、本第一の実施の形態においては、勾配のある場所でも、自動車2の加速度、速度、移動距離を精度良く求めることができ、現在位置を精度良く計算することが可能となる。特に、外部との接続なしに、自動車2の移動距離等を求めることができるために、取り付けの容易なナビゲーションシステム10を実現することが可能となる。しかも、外部との接続用のインターフェース回路、ソフトウェアが不要となることから、小型化、低コスト化、および低消費電力化を図ることが可能となる。
【0031】
以上において、本発明の第一の実施の形態を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、必要に応じて他の構成を採用することもできる。例えば、上記第一の実施の形態においては、ナビゲーションシステム10が自動車2に搭載されていたが、これに限定されず、他の移動体にナビゲーションシステム10を搭載することができる。
また、上記第一の実施の形態において、地図情報に関連づけられた勾配情報が記憶される媒体は、CD−ROM12に限らず、これに代えて、DVD(Digital Versatile Disc)、メモリ、ハードディスク等の記憶媒体を用いてもよい。また、勾配方向データ、または、地図情報に関連づけられた勾配情報を、無線通信等を用いて自動車2の外部から取得し、これを、実際の加速度の計算に用いるようにしてもよい。
【0032】
また、図12に示すように、ナビゲーションシステム10に地磁気センサ35を設け、この地磁気センサ35の出力に基づいて、勾配方向データを取得するようにしてもよい。すなわち、地磁気センサ35からセンサーデータ取得部(勾配方向取得部)23が地磁気の垂直方向成分を取得し、これをCPU11に出力することによって、CPU11は、地磁気の垂直方向成分に変化があれば勾配のある場所であるとの判断を行うことができ、また、地磁気の方向を調べることにより、自動車2の進行方向の勾配を取得することが可能となる。
また、これ以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【0033】
[第二の実施の形態]
次に、本発明の第二の実施の形態を説明する。
第二の実施の形態におけるナビゲーションシステム10は、その主要部の構成が、上記第一の実施の形態のナビゲーションシステム10と同様であるため、ここでは、上記第一の実施の形態と共通する構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。
この第二の実施の形態のナビゲーションシステム10が、上記第一の実施の形態と異なる点は、二軸加速度センサ27の配置方向である。すなわち、本第二の実施の形態における二軸加速度センサ27は、図5に示すように、上記第一の実施の形態の二軸加速度センサ27(図13参照)と同様、双方の加速度検出軸31,32が、自動車の進行方向軸線33を含む仮想鉛直面(紙面と同一面)に配置されている。しかしながら、本第二の実施の形態における二軸加速度センサ27は、一方の加速度検出軸31が自動車2の進行方向軸線33(X軸)から角度γXをもって傾斜し、もう一方の加速度検出軸32がX軸に直交するZ軸(自動車2が水平面上にある場合の鉛直軸)から角度γZをもって傾斜して配置されている点において、上記第一の実施の形態の二軸加速度センサ27と異なっている。このように配置された二軸加速度センサ27は、X軸から角度γXだけ傾斜した方向の第一の軸a1に沿った方向の加速度と、Z軸から角度γZだけ傾斜した方向の第二の軸a2に沿った方向の加速度とを検出することとなる。なお、角度γXおよびγZとしては、例えば、ともに45゜が設定される。
【0034】
このように、二軸加速度センサ27の加速度検出軸31,32を自動車2の進行方向およびその垂直方向から所定角傾けて配置したのは、以下のような理由による。図6は、二軸加速度センサ27における加速度検出軸32の傾斜角度(横軸:90゜が鉛直方向、0゜および180゜が水平方向)と、当該傾斜角度とされた加速度検出軸32における二軸加速度センサ27の出力値(縦軸、単位:ディジット(dig))との関係を表すグラフである。図中に示すように、二軸加速度センサ27からの出力値Doutは、重力の影響によって、加速度検出軸32が鉛直方向に配置された場合に最大となり、加速度検出軸32が水平に配置された場合に最小となる。このような出力値Doutの変化は正弦関数的であり、加速度検出軸32の傾斜角が1度変化した場合における二軸加速度センサ27の出力値の変化Δ/degを考えると、図6中に併せて示すように、Δ/degは、傾斜角度が0゜または180゜の場合に、その絶対値が最大となり、傾斜角度が90゜の場合にその値が0となる。つまり、加速度検出軸32を鉛直に配置するよりも、鉛直方向から所定角度傾けて配置した方が、その加速度検出軸32の角度変化、すなわち、自動車2の進行方向(X方向)の勾配の変化をより鋭敏に検知することができることが理解される。
【0035】
したがって、この第二の実施の形態では、二軸加速度センサ27の一方の加速度検出軸32を自動車2の進行方向(X方向)に直交する方向(Z方向)から所定角度傾けて配置されることにしたのである。なお、一般に、二軸加速度センサは、二つの加速度検出軸が互いに直交するように配置されるように製作されているのが通常であるため、ここでは、もう一方の加速度検出軸32についても自動車2の進行方向(X方向)から所定角度傾斜配置することとしている。
【0036】
次に、このように二軸加速度センサ27を用いたナビゲーションシステム10におけるCPU11の処理手順を図7を参照して説明する。
まず、自動車2のエンジンを作動させること等により、ナビゲーションシステム10の電源がONとされ、CPU11が処理を開始する(START)。ここで、CPU11は、二軸加速度センサ27の出力αX_senとαZ_senとに基づいて以下の[数9]によりcosθの値を計算するとともに、計算されたcosθが、所定値よりも小さいかどうかを判断する(ステップS11)。
ここで、自動車2の運動方程式は、二軸加速度センサ27の出力αX_senとαZ_senとを用いて、次の[数7][数8]のように表すことができる。
【数7】
Figure 0004442064
【数8】
Figure 0004442064
したがって、[数7][数8]をcosθについて解くことにより、
【数9】
Figure 0004442064
を得ることができる。
またここで、cosθと比較される所定値としては、「1」より小さく、かつ「1」に近い値(例えば、「0.99」)が選ばれる。すなわち、ここではθの絶対値が「0」以上の値であるか否かが判断されることとなる。
【0037】
ところで、二軸加速度センサ27の出力αX_senおよびαZ_senを用いた場合の自動車2の進行方向加速度αXは、次の式で表すことができる。
【数10】
Figure 0004442064
ステップS11でcosθの値が所定値以上であると判断された場合には、傾斜角θの絶対値が「0」に近く、自動車2は水平な道路を走行していると判断することができる。したがって、この場合、自動車2の進行方向加速度αXを、重力の影響を除外した値、すなわち、次の式によって計算される値に設定する(ステップS12)。
【数11】
Figure 0004442064
【0038】
一方、cosθが所定値よりも小さい場合には、自動車2は、坂道を走行していると判断されるから、次に、CPU11は、記憶制御装置14から出力された勾配方向データを参照して、自動車2が走行している道路が上り坂であるかあるいは下り坂であるか(勾配が正か負か)を判断する(ステップS13)。この場合、自動車2が走行している道路が上り坂であれば、[数11]によって計算されるX方向の加速度から、重力加速度による成分を減ずる必要があり、また、自動車2が走行している道路が下り坂であれば、[数11]によって計算されるX方向の加速度に対して重力加速度による成分を加える必要がある。
【0039】
すなわち、ステップS13において、上り坂であるとの判断がなされた場合には、自動車2の進行方向加速度αXとして、
【数12】
Figure 0004442064
を設定し(ステップS14)、また、ステップS13において、上り坂でないとの判断がなされた場合には、進行方向加速度αXとして、
【数13】
Figure 0004442064
を設定して(ステップS15)、自動車2の進行方向加速度αXの算出処理を終了する(END)。そして、このように算出した自動車2の進行方向加速度αXに基づいて、自動車2の速度あるいは位置の計算を行う。
【0040】
上述の第二の実施の形態のナビゲーションシステム10およびその加速度算出方法(ナビゲーション方法)においては、二軸加速度センサ27からの出力に加えて、CD−ROM12から取得した勾配方向データに基づき、自動車2の実際の進行方向加速度αXを算出するので、上記第一の実施の形態と同様の効果を得ることができるだけでなく、加速度検出軸32が自動車2の進行方向軸線33と垂直な垂直軸から所定角度傾斜するように二軸加速度センサ27が取り付けられているために、二軸加速度センサ27によって、自動車2の進行方向の勾配の変化を感度よく検出することができ、これにより、より一層精度の高い速度・位置の演算が可能となる。
【0041】
図8は、ナビゲーションシステム10により演算された自動車2の進行方向速度の実際の速度からのずれを、二軸加速度センサ27の加速度検出軸32を自動車2の進行方向(X方向)およびその垂直方向(Z方向)に向けて配置したナビゲーションシステム10(上段)と、二軸加速度センサ27の加速度検出軸31,32を自動車2の進行方向(X方向)およびその垂直方向(Z方向)から傾けて配置した本実施の形態のナビゲーションシステム10(下段)とで比較したグラフである。図8において、Vpは、自動車2側から取得される車速パルスの値、すなわち、実際の自動車2の走行速度であり、Vxzは、ナビゲーションシステム10が計算した自動車の車速を表す。図8の上段と下段のグラフを比較して解るように、下段の本実施の形態のVxzは、上段のVxzに比較してより一層Vpに近づいている。つまり、本実施の形態のナビゲーションシステム10では、より一層の算出速度の精度向上が図られていることが理解される。
【0042】
また、この第二の実施の形態のナビゲーションシステム10においては、二軸加速度センサ27を必ずしも水平に配置する必要がないため、取り付けが簡単であり、設置場所の制約も少なくなる。
また、本第二の実施の形態では、cosθが所定値以下である場合、すなわち、勾配θが所定値以上である場合に、検出された加速度αX_sen、αZ_senに基づいて演算された自動車2の進行方向加速度αXから重力の影響を除くようにしているために、容易に、自動車2が水平走行しているか否か判断することが可能であるとともに、水平走行時の演算負荷を軽減することができる。
【0043】
以上において、本発明の第二の実施の形態を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、必要に応じて他の構成を採用することもできる。
例えば、上記第二の実施の形態においては、ナビゲーションシステム10が自動車2に搭載されていたが、これに限定されず、他の移動体にナビゲーションシステム10を搭載することができる。
また、上記第二の実施の形態において、地図情報に関連づけられた勾配情報が記憶される媒体は、CD−ROM12に限らず、これに代えて、DVD(Digital Versatile Disc)、メモリ、ハードディスク等の記憶媒体を用いてもよい。
また、勾配方向データが、地図情報に無いような地域においては、勾配方向データ、または、地図情報に関連づけられた勾配情報を、無線通信等を用いて自動車2の外部から取得し、これを、実際の加速度の計算に用いるようにしてもよい。
【0044】
また、図12に示すように、ナビゲーションシステム10に地磁気センサ35を設け、この地磁気センサ35の出力に基づいて、勾配方向データを取得するようにしてもよい。すなわち、地磁気センサ35からセンサーデータ取得部(勾配方向取得部)23が地磁気の垂直方向成分を取得することによって、この垂直方向成分に変化があれば勾配のある場所であるとの判断を行うことができ、また、この地磁気の方向を、所定地域における地磁気の方向と比較することにより、自動車2の進行方向の勾配を取得することが可能となる。
これ以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【0045】
[第三の実施の形態]
次に、本発明の第三の実施の形態を説明する。
この第三の実施の形態におけるナビゲーションシステム10は、その主要部の構成が、上記第二の実施の形態のナビゲーションシステム10と同様であるため、ここでは、上記第二の実施の形態と共通する構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。
この第三の実施の形態が、上記第二の実施の形態と異なる点は、自動車2の進行方向加速度αXの計算方法に関する点である。
上記第二の実施の形態では、自動車2の進行方向の傾斜角θの余弦cosθを、次の[数14]のような式において計算し、これに基づいて傾斜角θと、自動車2の進行方向の加速度とを求めるようにしている。
【数14】
Figure 0004442064
【0046】
ここで、[数14]の右辺を見ると、分子にcosγX・αz_senとの項が含まれている。αZ_senは、自動車2において検出された上下方向の加速度であり、自動車2の走行中に上下振動等の衝撃が加わると、αZ_senの値が過大となって、[数14]の右辺の値が「1」以上となる場合がある。このような場合、[数14]からcosθを計算することが不可能となり、これにより、自動車2の進行方向加速度αXが計算不能となってしまう。これは、速度等の算出に利用可能なデータ数が減ることを意味し、速度等の算出精度の低下が懸念される。
そこで、この第三の実施の形態では、このような不都合を解消すべく、次のような計算方法を採用している。すなわち、第三の実施の形態では、図9に示すように、自動車2が、実際の道路の傾斜角θにオフセット角θ0を付加した仮想の傾斜角θ+θ0の道路を走行していると仮定し、この際に、二軸加速度センサ27において検出されることが想定される仮想の加速度αX_sen_tとαZ_sen_tとから、オフセット角θ0の余弦cosθ0を含んだ形でcosθを表し、θをcosθの逆関数として表す際に、θからオフセット角θ0に対応する所定角度θcを差し引くことによって、近似的にθを求めるようにしている。
【0047】
具体的な計算式は、以下のようになる。
まず、自動車2の二軸加速度センサ27から出力された加速度αX_senとαZ_senとから、CPU11が、自動車2が傾斜角θ+θ0の斜面を走行しているとした場合に検出されることが想定される加速度αX_sen_tとαZ_sen_tとを求める。
加速度αX_sen_tとαZ_sen_tを用いて、自動車2の実際の進行方向(X方向)加速度αXを以下の式により表すことができる。
【数15】
Figure 0004442064
【数16】
Figure 0004442064
【0048】
[数15]および[数16]をcosθについて解くと、以下のような関係が得られる。
【数17】
Figure 0004442064
これにより、傾斜角θを近似的に以下のように求めることができる。
【数18】
Figure 0004442064
ここに、θcは、[数17]から[数18]を近似的に求めた際に生じるオフセット角θ0に対応した所定の角度である。
ところで、[数18]を変形すると次のような式となる。
【数19】
Figure 0004442064
[数19]の右辺の括弧内の式形は、[数14]に加速度αX_sen_tおよびαZ_sen_tを代入した場合と同一である。すなわち、[数19]は、加速度αX_sen_tとαZ_sen_tとから勾配を算出すると、仮想勾配(θ+θc)が求められることを表している。
したがって、[数18]は、加速度αX_sen_tとαZ_sen_tから求められる仮想勾配(θ+θc)から、オフセット角度θ0に対応した所定角度θcを差し引くことにより、実際の傾斜角θを求めるための式として解釈することができる。
ここで、加速度αZ_sen_tは、オフセット角度θ0を与えたことにより、αZ_senに比較して傾いているために、αZ_sen_tの値は、αZ_senに比較して小さくなる。これにより、[数18]の右辺第一項の括弧内の値が小さくなって「1」から離れるために、[数18]は、[数14]の逆関数に比較して計算不能となる可能性が小さくなる。これにより、速度等の算出に利用可能なデータ数が減ることを防止し、速度等の算出精度の低下を防ぐこと可能となるのである。
【0049】
また、[数18]より、傾斜角θが求められることにより、自動車2の進行方向加速度αXを次の式により表すことが可能となる。
【数20】
Figure 0004442064
【0050】
次に、CPU11における処理手順を図10を参照して説明する。
まず、自動車2のエンジンを作動させること等により、ナビゲーションシステム10の電源がONとされ、CPU11が処理を開始する(START)。まず、CPU11は、[数17]を用いて、cosθを演算する。そして演算されたcosθが「1」以下の所定値よりも小さいかどうかを判断する(ステップS31)。なお、cosθと比較される所定値としては、「1」より小さく、かつ「1」に近い値(例えば、「0.99」)が選ばれる。すなわち、ここではθの絶対値が「0」以上の値であるか否かが判断されることとなる。
【0051】
ステップS31でcosθの値が所定値以上であると判断された場合には、傾斜角θの絶対値が「0」に近く、自動車2は水平な道路を走行していると判断することができる。したがって、この場合、自動車2の進行方向加速度αXを、重力の影響を除外した値、すなわち、次の式によって計算される値に設定する(ステップS32)。
【数21】
Figure 0004442064
【0052】
一方、cosθが所定値よりも小さい場合には、自動車2は、坂道を走行していると判断されるから、次に、CPU11は、記憶制御装置14から出力された勾配方向データを参照して、自動車2が走行している道路が上り坂であるかあるいは下り坂であるか(勾配が正か負か)を判断する(ステップS33)。この場合、自動車2が走行している道路が上り坂であれば、[数20]によって計算されるX方向の加速度から、重力加速度による成分を減ずる必要があり、また、自動車2が走行している道路が下り坂であれば、[数20]によって計算されるX方向の加速度に対して重力加速度による成分を加える必要がある。
【0053】
すなわち、ステップS33において、上り坂でないとの判断がなされた場合には、[数18]により求めたθを用いて、自動車2の進行方向加速度αXを、
【数22】
Figure 0004442064
によって演算し(ステップS34)、また、ステップS33において、上り坂であるとの判断がなされた場合には、θを用いて進行方向加速度αXを、
【数23】
Figure 0004442064
により演算し(ステップS35)、自動車2の進行方向加速度αXの算出処理を終了する(END)。そして、このように算出した自動車2の進行方向加速度αXに基づいて、自動車2の速度あるいは位置の計算を行う。
【0054】
上述のナビゲーションシステム10およびその加速度算出方法(ナビゲーション方法)においては、上記第二の実施の形態と同様の効果を得ることができるだけでなく、傾斜角θにオフセット角度θ0を与えた場合に二軸加速度センサ27によって検出されることが想定される加速度αX_sen_tとαZ_sen_tを用いて仮想勾配(θ+θc)を表し、この仮想勾配(θ+θc)から、オフセット角度θ0に対応する所定角度θcを差し引くことにより、傾斜角θを計算するようにしている。したがって、cosθから直接傾斜角θを求める必要が無く、cosθが計算不能とされる「1」の値に近いデータを増やすことができるため、より一層精度の高い速度・位置の演算が可能となる。
【0055】
図11は、ナビゲーションシステム10により演算された自動車2の進行方向速度の実際の速度からのずれを、上記第二の実施の形態における計算方法を用いて演算するナビゲーションシステム10(上段)と、本実施の形態における計算方法を用いて演算するナビゲーションシステム10(下段)とで比較したグラフである。図11において、Vpは、自動車2側から取得される車速パルスの値、すなわち、実際の自動車2の走行速度であり、Vxzは、ナビゲーションシステム10が計算した自動車2の車速を表す。図11の上段と下段のグラフを比較して解るように、下段の本実施の形態のVxzは、上段のVxzに比較してより一層Vpに近づいている。つまり、本実施の形態のナビゲーションシステム10では、より一層算出速度の精度向上が図られていることが理解される。
【0056】
以上において、本発明の第三の実施の形態を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、必要に応じて他の構成を採用することもできる。
例えば、上記第三の実施の形態においては、ナビゲーションシステム10が自動車2に搭載されていたが、これに限定されず、他の移動体にナビゲーションシステム10を搭載することができる。
また、上記第三の実施の形態において、地図情報に関連づけられた勾配情報が記憶される媒体は、CD−ROM12に限らず、これに代えて、DVD(Digital Versatile Disc)、メモリ、ハードディスク等の記憶媒体を用いてもよい。
また、勾配方向データ、または、地図情報に関連づけられた勾配情報を、無線通信等を用いて自動車2の外部から取得し、これを、実際の加速度の計算に用いるようにしてもよい。
【0057】
また、図12に示すように、ナビゲーションシステム10に地磁気センサ35を設け、この地磁気センサ35の出力に基づいて、勾配方向データを取得するようにしてもよい。すなわち、地磁気センサ35からセンサーデータ取得部(勾配方向取得部)23が地磁気の垂直方向成分を取得することによって、垂直方向成分に変化があれば勾配のある場所であるとの判断を行うことができ、また、この地磁気の方向を、所定地域における地磁気の方向と比較することにより、自動車2の進行方向の勾配を取得することが可能となる。
これ以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、加速度センサの検出結果により速度・位置等を算出した場合においても、坂道走行時の速度・位置の正確な算出が可能となる。したがって、外部との接続が必要なく取り付けが容易であり、なおかつ、計算精度の高いナビゲーション装置等を、小型にかつ低コストで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のナビゲーションシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】 同、ナビゲーションシステムの要部を示すブロック図である。
【図3】 本発明の第一の実施の形態におけるナビゲーションシステムのCPUにおける処理手順を示すフローチャートである。
【図4】 本発明の第一の実施の形態のナビゲーションシステムの効果を示す図であって、上段は、従来のナビゲーションシステムにおいて計算される自動車の速度と、実際の自動車の速度との時間的変化を比較したグラフであり、下段は、第一の実施の形態のナビゲーションシステムにおいて計算される自動車の速度と、実際の自動車の速度との時間的変化を比較したグラフである。
【図5】 本発明の第二の実施の形態における二軸加速度センサの取り付け方向と自動車の進行方向との関係を示す模式図である。
【図6】 二軸加速度センサの加速度検出軸の取付角度(横軸)と、センサ出力値(縦軸)および取付角度が一度変化した場合におけるセンサの出力変化(縦軸)との関係を示すグラフである。
【図7】 本発明の第二の実施の形態におけるナビゲーションシステムのCPUにおける処理手順を示すフローチャートである。
【図8】 本発明の第二の実施の形態のナビゲーションシステムの効果を示す図であって、上段は、本発明の第一の実施の形態のナビゲーションシステムにおいて計算される自動車の速度と、実際の自動車の速度との時間的変化を比較したグラフであり、下段は、第二の実施の形態のナビゲーションシステムにおいて計算される自動車の速度と、実際の自動車の速度との時間的変化を比較したグラフである。
【図9】 本発明の第三の実施の形態において、自動車の進行方向加速度を計算する際に、実際の勾配に対して仮想的に付加されるオフセット角と、オフセット角が付加された場合に二軸加速度センサが検出することが想定される加速度の方向との関係を示す模式図である。
【図10】 本発明の第三の実施の形態におけるナビゲーションシステムのCPUにおける処理手順を示すフローチャートである。
【図11】 本発明の第三の実施の形態のナビゲーションシステムの効果を示す図であって、上段は、本発明の第二の実施の形態のナビゲーションシステムにおいて計算される自動車の速度と、実際の自動車の速度との時間的変化を比較したグラフであり、下段は、第三の実施の形態のナビゲーションシステムにおいて計算される自動車の速度と、実際の自動車の速度との時間的変化を比較したグラフである。
【図12】 本発明のナビゲーションシステムの変形例を示すナビゲーションシステムの全体構成図である。
【図13】 本発明の第一の実施の形態のナビゲーションシステムにおける二軸加速度センサの加速度検出軸と、自動車の進行方向との関係を示す模式図である。
【図14】 従来のナビゲーションシステムを用いた場合の移動体の実際位置および演算された位置との関係を示す図であって、(a)は、移動体のX軸に沿った実際の位置、(b)は、移動体が水平方向に走行している場合に、ナビゲーションシステムによって計算される移動体のX軸に沿った位置、(c)は、上り坂の場合にナビゲーションシステムによって計算される移動体のX軸に沿った位置、(d)は、下り坂の場合にナビゲーションシステムによって計算される移動体のX軸に沿った位置をそれぞれ表す模式図である。
【図15】 移動体が水平方向に走行している場合の模式図、および、この場合に加速度センサによって検出されるZ軸加速度の時間的変化を表すグラフである。
【図16】 移動体が上り坂を走行している場合の模式図、および、この場合に加速度センサによって検出されるZ軸加速度の時間的変化を表すグラフである。
【図17】 移動体が下り坂を走行している場合の模式図、および、この場合に加速度センサによって検出されるZ軸加速度の時間的変化を表すグラフである。
【符号の説明】
2…自動車(移動体)、10…ナビゲーションシステム(ナビゲーション装置)、11…CPU(傾斜角算出部、加速度算出部)、12…CD−ROM(記憶部)、14…記憶制御装置(勾配方向取得部)、23…センサーデータ取得部(勾配方向取得部)、27…二軸加速度センサ、31,32…加速度検出軸、33…進行方向軸線、35…地磁気センサ、a1…第一の軸、a2…第二の軸

Claims (4)

  1. 移動体に設けられるともに、所定方向の加速度を検出可能な加速度センサと、
    前記加速度センサからの出力に基づき、前記移動体の進行方向加速度を算出する加速度算出部とを備え、
    前記加速度センサは、互いに交差するとともに、前記移動体の進行方向軸線を含む仮想鉛直面内に位置し、かつ当該移動体が水平面上にある場合に鉛直方向から所定角をもって傾斜して延在する第一および第二の軸と同方向の加速度を検出可能に配置されており、
    前記加速度算出部は、検出された前記第一および第二の軸方向の加速度と、当該第一および第二の軸方向の所定方向軸線からの偏角と、前記移動体の進行方向の勾配の正負に関する勾配方向情報とに基づいて、当該勾配に所定のオフセット角度を付加した仮想勾配を計算し、当該仮想勾配から、当該オフセット角度に対応した所定角度を差し引くことにより、当該移動体の進行方向の勾配を算出し、当該勾配と、当該第一および第二の軸方向の加速度とから、当該移動体の進行方向の加速度を算出することを特徴とするナビゲーション装置。
  2. 移動体において検出された所定の二方向の加速度に基づいて、前記移動体の進行方向の勾配の絶対値を求める第一のステップと、前記移動体の進行方向の勾配の正負に関する情報を取得する第二のステップと、前記二方向の加速度のうちのいずれか一方または双方から求められる前記移動体の進行方向加速度から、前記勾配による重力の影響を考慮して、前記移動体の実際の加速度を求める第三のステップとを備え
    前記第一のステップは、前記移動体の進行方向の勾配に所定のオフセット角度を付加した仮想勾配を設定し、前記二方向の加速度に基づいて当該仮想勾配を求め、当該仮想勾配から当該オフセット角度に対応した所定角度を差し引くことにより当該移動体の実際の進行方向勾配を求めることを特徴とするナビゲーション方法
  3. 前記第三のステップは、前記第一のステップで求められた前記勾配の絶対値が所定値以上である場合に、当該勾配による重力の影響を差し引くことを特徴とする請求項記載のナビゲーション方法。
  4. 前記二方向のうち一方向が前記移動体の進行方向と直交する上下方向であり、当該方向の加速度が所定値以上である際に、前記二方向の加速度のうちのいずれか一方または双方から求められる当該移動体の進行方向加速度を当該移動体の実際の加速度とする第四のステップとを更に備えたことを特徴とする請求項記載のナビゲーション方法。
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