JP4441178B2 - 車両ドアおよびこのドアを製造する方法 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、ウェスト・レールおよび側面衝撃ガードを含む支持用ドア・フレームを含み、さらに、アウターパネルおよびフレームに固定した内側トリム材料を含み、側面衝撃ガードが、アウターパネルの近くに設置されている車両ドアに関する。本発明は、また、車両ドアを製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
現代の車両ドアは、通常、支持用の、深絞りした、いわゆるインナーパネルを含み、このインナーパネルは、ドア全体の厚さを有する。アウターパネルが、インナーパネルのエッジまわりに折り曲げられ、接着剤で固定される。インナーパネルは、深絞りされるもので、したがって、高強度鋼から製造することはできない。ウィンドウ下方では、いわゆるウェスト・レールが、インナーパネルに溶接されており、これは、ウィンドウの内方または外方のいずれかに設置され得る。インナーパネルを作る鋼よりもかなり高い機械的強度を有する鋼で作られた側面衝撃ガード・ビームもインナーパネルに溶接されており、アウターパネルに最も接近して設置されている。比較的平らなトリムが、インナーパネルに固定されている。内側ドア構成要素(たとえば、ロック、ウィンドウ・ガイドおよびウィンドウ・エレベータ)は、深絞りインナーパネル内、すなわち、このパネルの外側に装着される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、安価に製造することができ、ドア構成要素(たとえば、ロック、ウィンドウ・ガイドおよびウィンドウ・エレベータ)を装着しやすくかつ容易にアクセスできる軽量で強い車両ドアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
原則として、この目的は、ウェスト・レールおよび側面衝撃ガードの両方を支持ドア・フレームと一体に製造する車両ドアによって達成される。ドア・フレームは、ウェスト・レールを有する支持用ドア・フレームおよびそれと一体の側面衝撃ガード・ビームを形成するように薄鋼板素材を熱間スタンプ加工し、次いで、成形ツール内に残しながら成形済みのドア・フレームを硬化させることによって適切に製造される。この形成工程は、ドア・フレームをドアの全厚さに比して薄く作ることができ、それによって、高強度鋼のドア・フレームを製造することができるという事実によって容易に行われる。深絞り形態を有する代表的な構造のドアの場合、より低い強度を有する鋼を使用する必要がある。
【0005】
ドアの製造は、フレーム内に設けた側面衝撃ガード・ビームがアウターパネルの近くに位置するように支持用ドア・フレームにアウターパネルを取り付けることによって完了する。
【0006】
このようにして、非常に高い機械的強度を有するドア・フレームを製造することができる。ドアの厚さの大部分は、支えとなる部分の外側にはなく、ドア・フレームの内部に位置させることができる。これにより、フレームと容易に取り外せるトリムとの間でのアクセスをなお容易に保ちながら、ドア成形を容易にすると共に、ロックおよびウィンドウ・エレベータに関するドア構成要素をフレームに装着することが可能となる。本発明は、添付の特許請求の範囲に定義されている。
【0007】
コンピュータ描画した図は、本発明の一実施例による車両ドアの支持部分を示している
。
【0008】
〔図示実施例の詳細な説明〕
図1には、車両の左側ドアのフレーム10が示してあり、このフレームは、車両内部から見たものである。図2は、同じフレームの外観図である。フレームは、クラウン12および幅の異なる側部フランジ17、18を含むリングの形をした帽子状のビーム13〜16を得るように平らな薄鋼板から熱間スタンプ加工される。帽子状のビームの横断面が、図5に示してある。このビームのクラウンまたはハンプは、車両内部に面している。帽子状のビームは、4つの真っすぐな部分13、14、15、16を含み、これらの部分は、湾曲部を介して相互に結合されている。リングの形をした帽子状のビームの中心には、穴20、21が形成されており、側面衝撃ガード・ビーム22が、ビーム部分13、15間を延び、穴20、21を橋かけしている。ビーム22は、また、図示のように、帽子のクラウンが内向きになっている帽子状輪郭を有し得るもので、そしてまた、スポット溶接カバー23を含み得る。別態様として、異なった断面形状、たとえば、二山の帽子状の輪郭の形状を持っていてもよく、その開放側が車両内部に向かって内向きとなるように設置してもよい。帽子状のビーム11は、また、別の横断面輪郭を持っていてもよいし、異なった部位において異なった輪郭を持っていてもよい。たとえば、所与の部位で二山の帽子状の形を持っていてもよい。ドア・フレーム10は、車両内部に向いた側面に、取り付けブラケット25を備えており、この取り付けブラケット25は、スポット溶接で固着できる。取り付けブラケット25も帽子状の輪郭を有すると都合がよく、それにより、ドア・フレームの強度が高まる。
【0009】
ドア・ロックを収容するボックス27が、ドア・フレームにスポット溶接されている。図3は、ヒンジ固定用穴28、29を示している。図2からわかるように、ウィンドウ・アーチ30が、ドア・フレーム10に取り付けられており、そこにおいては、ウィンドウ・ガイド(図示せず)が、ガード・ビーム22と取り付けブラケット23の間の隙間を下方に延びることができる。
【0010】
図5は、ドア・アウターパネル31と内部トリム32を示している。トリムは、硬質発泡プラスチックからなり、プラスチック、ファブリック、革または他の適切な材料の外側層を含む。トリムは、ドア・フレームの帽子状のビーム13、15、16および取り付けブラケット25に取り付けられている。その上方エッジは、窓ガラスに対してストリップでシールされている。図示のように、アウターパネル31は、帽子状のビームの外側フランジ17まわりに折り曲げられ、接着剤で固着され、窓ガラスに対してゴム・ストリップでシールされている。アウターパネル31は、フレーム10の近くに位置し、このフレームの側部衝撃ガード・ビーム22および全ての内部ドア構成要素が、フレーム10と内部トリムの間に設置され、フレームまたは前記取り付けブラケット25に固定されている。それによって、内部トリムを取り外した後、前記構成要素に容易に手を伸ばすことができる。フレーム10の上方ビーム14は、いわゆるウェスト・レール、すなわち、ウィンドウ下方に装着したビームを形成する。このビームは、普通の車両ドアの場合のように個別に溶接する代わりに、フレームと一体となっている。普通の車両の多くは、別個の下方補強ビームも含むが、図示の場合、この下方ビームの代わりに下方フレーム・ビーム16を使用している。
【0011】
フレーム10の別の実施態様では、上方ビーム14(ウェスト・レール)は、ウィンドウの内側においてビーム13、15に向かう湾曲部に延びている。車両のAピラーおよびBピラーは、ドアの外面内方に位置することが多い。その場合、内方設置のウェスト・レールは、少なくとも或る程度、前記ピラーと重なるように位置することができる。その結果、ビームまたはレールは、正面衝突のとき、Aピラー、Bピラー間で軸線方向に締め付けられることになり、それによって、力をAピラーからBピラーに伝えることになる。
【0012】
製造方法
ドア・フレーム10は、平らな金属素材から作られる。この金属素材は、そのオーステナイト温度まで加熱され、熱い間に熱間スタンプ加工プレスに送られ、プレスの1ストロークで、1/2のスペースにおいて要求される形状に成形される。成形された素材は、ツールまたはダイ間で出てから、硬化するまで冷却される。成形された素材(すなわち、ドア・フレーム10)は、このように固定治具内で硬化させることができるので、硬化プロセスで反ったり曲がったりすることがない。
【0013】
ホウ素鋼(すなわち、ホウ素を含有する単純な炭素マンガン鋼合金)を使用する場合、1100N/mm2の降伏強さおよび1500N/mm2以上の引張強さを達成することができ、それによって、補強ビームを含むドア・フレーム全体が同じ強さを有することになる。この製造方法によって得られる1つの重要な利点は、破断前7%を上回るひずみ能力を有する鋼を得ることができるということである。図示のドア・フレームの深さは、帽子状のビーム上のクラウンの高さより大きくなることはなく、そして、材料厚さは、たとえば、1.0〜1.5mmでよいので、フレーム全体が同じ材料厚さを有することができる。いわゆるテーラーブランク、すなわち、異なった厚さまたは分析値の薄鋼板を相互にレーザ溶接した素材も使用し得る。フレーム10における取り付け穴28、29は、素材を成形する前、すなわち、硬化の前に素材に作るとよい。あるいは、これらの穴は、レーザを用いて切断してもよいし、完成した硬化済みのフレームをポンチ加工して設けてもよい。しかしながら、ヒンジその他の構成要素を別の方法に従って所定位置に溶接することができるので、この別の実施例を使用するときには、これらの穴を省略してもよい。
【0014】
ドア・フレーム10は薄く作ることができるので、素材の成形をより容易に行うことができ、それによって、代案として、ドア・フレームを、高強度鋼板を冷間成形することによって製造することが可能になる。しかしながら、この代替方法では、少なくとも1000N/mm2の降伏強さを達成する前述の熱間スタンプ加工法で達成すると同じ高い降伏強さを有する薄鋼板を使用することはできない。しかしながら、少なくとも350N/mm2の降伏強さおよび少なくとも600N/mm2の引張強さを有する高強度薄鋼板を使用することはできる。500N/mm2の降伏点および800N/mm2の引張強さを有する超高強度鋼は、おそらく、使用できる。しかしながら、破断ひずみは、前述の熱間スタンプ加工法を適用したときよりも、冷間形成法では少なくなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】車両内部から見た車両ドアで支持フレームの斜視図である。
【図2】外部から見たフレームの側面図である。
【図3】図2の矢印3の方向に見た図である。
【図4】図2の矢印4の方向に見た図である。
【図5】図1の5−5線に沿った断面図である。
Claims (3)
- ウェスト・レール(14)および側面衝撃ガード・ビーム(22)を含み、かつこれらと一体成形されており、かつ変動する幅の側部フランジ(17、18)を有するリングの形をしたハット状のビーム(13、14、15、16)の形態を有し、かつリングの形をしたハット状のビームの内側側部フランジ(18)間に形成された穴(20、21)を橋かけするように側面衝撃ガード・ビーム(22)が形成された、鋼製支持ドア・フレーム(10)の形態に、ホウ素鋼よりなる鋼薄板素材を熱間スタンプ加工する段階と、形成した鋼製支持ドア・フレーム(10)を形成用ツール内に留まる間に硬化させて、引張強さを少なくとも1500N/mm 2 とする段階と、ドアを仕上げたときに、上記鋼製支持ドア・フレーム(10)の側面衝撃ガード・ビーム(22)がアウターパネル(31)の近くに位置するように鋼製支持ドア・フレーム(10)上にアウターパネル(31)を固定する段階とを含むことを特徴とする車両ドアを製造する方法。
- 最初に、異なった材料厚さの薄板をレーザ溶接して一体にすることによって素材を製造する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 素材を形成または成形する前にこれにヒンジ用取り付け穴およびロック用取り付け穴の両方またはいずれか一方を作る段階を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
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