JP4439980B2 - ブロックポリマー、該ブロックポリマーを含有するインク組成物、該インク組成物を用いたインク付与方法及び装置 - Google Patents

ブロックポリマー、該ブロックポリマーを含有するインク組成物、該インク組成物を用いたインク付与方法及び装置 Download PDF

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本発明は、新規なブロックポリマー、該ブロックポリマーを含有するインク組成物、該インク組成物を用いたインク付与方法及び装置に関する。
粒状固体を含有する組成物には従来から機能性材料として、除草剤、殺虫剤等の農薬、抗がん剤、抗アレルギー剤、消炎剤等の医薬、また機能性材料を色材として使うトナーやインク等が知られている。近年、デジタル印刷技術は非常な勢いで進歩している。このデジタル印刷技術は、電子写真技術、インクジェット技術と言われるものがその代表例であるが、近年オフィス、家庭等における画像形成技術としてその存在感をますます高めてきている。
インクジェット技術はその中でも直接記録方法として、コンパクト、低消費電力という大きな特徴がある。また、ノズルの微細化等により急速に高画質化が進んでいる。インクジェット技術の一例は、インクタンクから供給されたインクをノズル中のヒーターで加熱することで蒸発発泡し、インクを吐き出させて記録媒体に画像を形成させるという方法である。他の例はピエゾ素子を振動させることでノズルからインクを吐き出させる方法である。これらの技術の発展により、デジタルカラープリントの画質向上は目覚しく、銀塩写真と比べても見劣りしないレベルまで達している。デジタルカラープリントは、従来の銀塩写真や印刷の代替品となると高画質以外にも耐候性が求められる。これらを改善する目的で顔料分散インクを使用すること(特許文献1参照)や、ラミネート加工などが検討されている。しかしながら未だなお多くの改善が望まれている状況である。ABCトリブロックポリマー分散剤を含む水性分散物によるインク組成物も報告されているが、インク組成物の定着が紙への浸透によるものであり、印刷速度向上のためには更なる定着の高速化が望まれている(特許文献2参照)。
米国特許第5085698号明細書(第2〜3項) 特開平07−53841
本発明は、この様な背景技術を鑑みてなされたものであり、機能性物質を溶媒に良好に分散するブロックポリマー化合物を提供するものである。
また、本発明は、機能性物質が色材で、溶媒が水であることが好ましく、色材の分散性が良好なインク組成物を提供するものである。
また、本発明は、溶媒中における色材の分散性安定性が高く、さらには定着性が改善されたインク組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記のインク組成物を用いたインク付与方法およびそれに使用するインク付与装置を提供するものである。
上記課題は、以下の本発明により解決される。
本発明は、AセグメントとしてイソブチルアルケニルエーテルとCH =CHOCH CH OPhPhからなるランダム共重合体(Phはフェニル骨格を示す)と、Bセグメントとして4−(2−ビニルオキシ)エトキシ安息香酸からなる重合体と、Cセグメントとしてメトキシエチルアルケニルエーテルからなる重合体とからなるABCトリブロックポリマーに関する。
また、本発明は、本発明のブロックポリマー、溶媒または分散媒、及び機能性物質とを含有することを特徴とするポリマー含有組成物に関する。
また、本発明は、本発明のブロックポリマー、溶媒または分散媒、及び色材とを含有することを特徴とするインク組成物に関する。
また、本発明は、前記トリブロックポリマーと、機能性物質と、溶媒を含有することを特徴とする機能性物質組成物を用いた液体付与方法に関する。
また、本発明は、本発明のインク組成物を用意する工程と、前記インク組成物を媒体に付与する工程とを有することを特徴とするインク付与方法に関する。
また、本発明は、本発明のインク組成物にエネルギーを作用させて媒体にインクを付与するためのインク付与手段と、前記インク付与手段を駆動するための駆動手段とを備えていることを特徴とするインク付与装置に関する。
以上説明した様に、本発明によれば、AセグメントとしてイソブチルアルケニルエーテルとCH =CHOCH CH OPhPhからなるランダム共重合体(Phはフェニル骨格を示す)と、Bセグメントとして4−(2−ビニルオキシ)エトキシ安息香酸からなる重合体と、Cセグメントとしてメトキシエチルアルケニルエーテルからなる重合体とからなるABCトリブロックポリマーを提供することができる。
また、該トリブロックポリマーを含有するインク組成物、それを用いたインク付与方法、インク付与装置を提供することができる。
本発明者らは鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
本発明は、AセグメントとしてイソブチルアルケニルエーテルとCH =CHOCH CH OPhPhからなるランダム共重合体(Phはフェニル骨格を示す)と、Bセグメントとして4−(2−ビニルオキシ)エトキシ安息香酸からなる重合体と、Cセグメントとしてメトキシエチルアルケニルエーテルからなる重合体とからなるABCトリブロックポリマーである。
り好ましくは該ABCトリブロックポリマー化合物において、少なくとも1つのセグメントに刺激応答性を有するトリブロックポリマー化合物である。さらに好ましくは該ABCトリブロックポリマーの数平均分子量が、8000から1,000,000であり、該ABCトリブロックポリマーの分子量分布が、1.8以下である。さらに好ましくは該ABCトリブロックポリマーのガラス転移温度が、20℃以下である。
リアルケニルエーテル構造を含むポリマーの合成法が報告されているが(特開平11−080221号公報)、青島らによるカチオンリビング重合による方法(特開平11−322942号公報、特開平11−322866号公報)が代表的である。カチオンリビング重合でポリマー合成を行うことにより、ホモポリマーや2成分以上のモノマーからなる共重合体、さらにはブロックポリマー、グラフトポリマー、グラジュエーションポリマー等の様々なポリマーを、長さ(分子量)を正確に揃えて合成することができる。また、ポリアルケニルエーテルは、その側鎖に様々な官能基を導入することができる。カチオン重合法は、他にHI/I系、HCl/SnCl系等で行うこともできる。
本発明において、直鎖または分岐アルキル基とは、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、n−ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、オクタデシル等である。また環状アルキル基とは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル等である。炭素原子上の水素が置換される場合、置換は1カ所であっても複数箇所であってもよい。
好ましくは、インク中の前記記載の刺激応答性を有するポリアルケニルエーテル構造を含むポリマーの繰り返し単位分子構造として、下記一般式(2)で表されるビニルエーテルポリマーが好ましい。
−(CH−CH(OR))− (2)
ただしRは炭素数1から18までの直鎖、分岐または環状のアルキル基、−Ph、−Pyr、−Ph−Ph、−Ph−Pyr、または−(CH−CH−O)−Rもしくは−(CH−(O)−Rから選ばれ、芳香環中の水素は炭素数1から4の直鎖または分岐のアルキル基と、また芳香環中の炭素は窒素とそれぞれ置換することができる。lは1から18の整数から選ばれ、mは1から36の整数から選ばれ、nは0または1である。またRはH、炭素数1から18までの直鎖、分岐または環状のアルキル基、−Ph、−Pyr、−Ph−−Ph、−Ph−Pyr、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH、−CHCOOR、−PhCOORからからなり、Rが水素以外である場合、炭素原子上の水素は、炭素数1から4の直鎖または分岐のアルキル基またはF、Cl、Brと、また芳香環中の炭素は窒素と、水素はF、Cl、Brとそれぞれ置換することができる。RはH、または炭素数1から5のアルキル基である。
好ましくは、Rは炭素数1から18までの直鎖、分岐または環状のアルキル基、−Ph、−Ph−Ph、または−(CH−CH−O)l−Rもしくは−(CH−(O)−Rから選ばれ、芳香環中の水素は炭素数1から4の直鎖または分岐のアルキル基と、また芳香環中の炭素は窒素とそれぞれ置換することができる。lは1から18の整数から選ばれ、mは1から36の整数から選ばれ、は0または1である。RはH、炭素数1から18までの直鎖、分岐または環状のアルキル基、−Ph、−Ph−Ph、−CHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH、−CHCOOR、−PhCOORからからなり、Rが水素以外である場合、炭素原子上の水素は、炭素数1から4の直鎖または分岐のアルキル基またはF、Cl、Brと、また芳香環中の炭素は窒素と、水素はF、Cl、Brとそれぞれ置換することができる。RはH、または炭素数1から5のアルキル基である。
さらに好ましくは、上述のポリアルケニルエーテル構造を含むポリマーの繰り返し単位分子構造として、下記にそのアルケニルエーテルモノマーの構造を明記するが、本発明に用いられるポリアルケニルエーテル構造は、これらに限定されない。
Figure 0004439980
上記の一般式(1)で表される繰り返し単位を構成するためのモノマー(I−a〜I−p)において、親水性セグメントを構成するモノマーはI−a、I−f、及び疎水性セグメントを構成するモノマーはI−d、I−e、I−i、I−l、I−m、I−n、I−oである。また、刺激応答性セグメントを構成するモノマーで、熱を刺激とするものは、I−b、I−c、I−g、I−h、I−jであり、pHおよびイオンを刺激とするものはI−k、I−pである。また、I−a、I−k、I−p等、水酸基やカルボン酸構造、スルホン酸構造のモノマーは、重合の際、保護基を有し、アルキルシリル基(例えばt−ブチルジメチルシリル基)、アルキル基(例えばエチルエステル)等で保護されたものを用いる。
また、各ブロックともアルケニルエーテル系モノマーとそれ以外のモノマーとの共重合体も含まれる。
本発明におけるポリアルケニルエーテル構造を有するブロック共重合体に含まれるAセグメントおよびBセグメントおよびCセグメントの割合は、Aセグメントは5〜95mol%で、Bセグメントは5〜95mol%、Cセグメントは2〜95mol%であることが好ましく、各セグメントの合計は100mol%である。また、刺激応答性セグメントを利用することも適宜である
これらのアルケニルエーテルモノマーからなる、ポリアルケニルエーテル構造を含むブロックポリマーを本発明では好適に使用できる。本発明で使用できる該ポリマーは、上記のアルケニルエーテルモノマーからなる刺激応答性を有するポリアルケニルエーテル構造を含むポリマーであるがこれらに限定されない。これらの例として、以下に明記するものを挙げることができるが、本発明に用いられるポリマーは、これらに限定されない。
Figure 0004439980
Figure 0004439980
Figure 0004439980
ここで構造式中におけるb、g、rは共重合体における結合様式をあらわし、それぞれブロック、グラジェント、ランダムを意味する。
さらには、ポリアルケニルエーテルの繰り返し単位数(上記(II−a)から(II−b)において、x、y、m、n)がそれぞれ独立に、1以上10,000以下であることが好ましく、またその合計が(上記(II−a)から(II−e)において(x+y+m+n)が、30以上40,000以下であることがより好ましい。またポリアルケニルエーテル構造を含むブロックポリマー中のB,Cセグメントがそれぞれ独立に2種類以上のモノマーからなる場合に関しては、各セグメントはランダムポリマー又はグラジェントポリマーであっても良い。
さらに、該トリブロックポリマーの数平均分子量が5000から1,000,000であり、より好ましくは8000以上500,000以下である。これより分子量が低くなると、該トリブロックポリマーの刺激に対する応答性や所望の機能が損なわれ、また分子量が大きすぎると、該トリブロックポリマーの溶媒に対する溶解性が損なわれてしまうため、実特性上宜しくない。この点は特許文献2の6項で記される典型的な分子量、1000〜7500とは異なる点である。
トリブロックポリマーの分子量分布は、該トリブロックポリマーの持つ刺激応答性を発現させるためには小さいほうが有利であり、好ましくは1.8以下であり、さらに好ましくは1.6以下であり、さらに好ましくは1.3以下である。さらに好ましくは1.2以下である。さらに好ましくは1.2以下である。
ガラス転移温度を低くすることで分子構造がフレキシブルとなり、色材との親和性が向上するため、該トリブロックポリマーの少なくとも1つのセグメントのガラス転移温度は20℃以下であることが好ましく、さらには0℃以下であることが好ましく、より好ましくは−20℃以下であることが好ましい。この点からもアルケニルエーテル構造を有するポリマーを用いることは好ましい形態である。
また、上記インク組成物は刺激に対する応答性を有することができる。その刺激応答性によって、画像を形成する過程で刺激を与えることにより、インク特性を増粘したりすることで良好な定着性を付与する。与える刺激種としては、カチオン、温度変化、電磁波への暴露、pHの変化、濃度の変化等のなかから画像を形成する上で適当なものが選択される。
本発明の機能性物質分散組成物は、種々の刺激に応答してその状態(特性)を変化させることができる。本発明では、「刺激」カチオンの付与、温度の変化、電場の印加、紫外線、可視光線または赤外線のような光(電磁波)への暴露、組成物のpHの変化、化学物質の添加、および組成物の濃度変化などを挙げることができる。
一例を挙げると、カチオンが付与された場合、本発明のトリブロックポリマーの構造に、ノニオン性、またはアニオン性繰り返し単位構造をもたせることで、電気的引力が働く。よってインクが増粘し、良好な定着性を実現することができる。
本発明において、上記で述べたカチオンの付与のほかに好ましい刺激は以下に挙げるものがある。その第1は温度変化であり、温度変化の範囲が、組成物の相転移温度の前後に渡る範囲である。第2に電磁波への暴露であり、電磁波の波長範囲が100から800nmであることが好ましい。第3に組成物のpH変化であり、pH変化の範囲がpH3からpH12の範囲であることが好ましい。第4に組成物の濃度の変化であり、たとえば、組成物の溶媒が蒸発または吸収されることにより、または組成物中の溶解されたポリマーの濃度を変化することにより、組成物の濃度が変化するような場合を挙げることができる。前記濃度の変化は、前記組成物が相転移を起こす濃度の前後に渡る範囲であることが好ましい。本発明においては、2種以上の刺激を組合わせて付与してもよい。
本発明における刺激に応答した状態の変化としては、ゾル状態からゲル状態への相変化、溶液状態から固体状態への相変化、化学構造の変化などを挙げることができる。また、本発明における「刺激応答性」とは、上記のような刺激に対して本発明の組成物がその性質を変化することを意味する。すなわち、刺激応答性とは、温度変化、電場印加、電磁波への暴露、pH変化、化学物質の添加、組成物の濃度変化などの刺激を組成物に対して付与することにより、この刺激(環境変化)に応じて組成物の形状や物性が著しく変化することを意味する。
この特性は、該ABCトリブロックポリマーを例えばインク組成物として用いた際、定着速度の向上へ利用可能である。すなわち記録媒体として紙へ記録乃至印字後に刺激を付与することにより、インク組成物が増粘し、にじみの防止、両面印刷、高速速度の改善が可能となる。この点も、定着をインクの紙への浸透性のみを利用した特許文献2、12−13項とは異なる本件の特徴である。
本発明の第二の発明は、前記トリブロックポリマーと、機能性物質と、溶媒を含有することを特徴とする機能性物質組成物に関する。より好ましくは、トリブロックポリマーと、色材と、水溶性溶媒を含有することを特徴とするインク組成物であり、インクジェット用インク組成物として用いるのが好ましい一形態である。
本発明の第三の発明は、前記トリブロックポリマーと、機能性物質と、溶媒を含有することを特徴とする機能性物質組成物を用いた液体付与方法に関する。より好ましくは、トリブロックポリマーと、色材と、水溶性溶媒を含有することを特徴とするインク組成物を用いた記録方法であり、該組成物をインクジェット用インク組成物として用いた記録方法が好ましい一形態である。
本発明の第四の発明は、前記トリブロックポリマーと、機能性物質と、溶媒を含有することを特徴とする機能性物質組成物を用いた液体付与装置に関する。より好ましくは、トリブロックポリマーと、色材と、水溶性溶媒を含有することを特徴とするインク組成物を用いた記録装置であり、該組成物をインクジェット用インク組成物として用いた記録装置が好ましい一形態である。
本発明のインク組成物中に含有される前記ブロックポリマーの含有量は、0.1〜50wt%、好ましくは0.5〜30wt%が望ましい。ブロックポリマーの量が0.1wt%未満となると、本発明のインク組成物中に含まれる色材を十分に分散させることができない場合があり、50wt%を超えると粘性が大きくなりすぎる場合がある。
また、本発明の好ましい一形態は、前記機能性物質とブロックポリマーが粒子となって溶媒に分散されたポリマー含有組成物であるが、これに限定されるものではない。
[水]
本発明のインクジェット用インクに含まれる水としては、金属イオン等を除去したイオン交換水、純水、超純水が好ましい。
[水性溶媒]
水性溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロビレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン、置換ピロリドン、トリエタノールアミン等の含窒素溶媒、等を用いることができる。また、インクジェット用インクの記録媒体上での乾燥を速めることを目的として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の一価アルコール類を用いることもできる。
本発明では、上記水および水性溶媒の含有量は、インクジェット用インクの全重量に対して、20〜95重量%の範囲で用いるのが好ましい。さらに好ましくは30〜95重量%の範囲である。
[色材]
本発明における有用な色材は、本発明のインクジェット用インクの用途に応じて、色材自身が液状のものでも固体状の物でも良く、また溶剤に固形染料を溶解させたものであっても良い。
顔料は、有機顔料および無機顔料のいずれでもよく、インクに用いられる顔料は、好ましく黒色顔料と、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルーの原色顔料を用いることが出来る。なお、上記に記した以外の色顔料や、無色または淡色の顔料、金属光沢顔料等を使用してもよい。また、本発明のために、新規に合成した顔料を用いてもよい。また使用される顔料は平均一次粒子径が50nmのものが好ましく、市販されているものを使用することも可能であるが、顔料を微細化(例えばミリングによる機械的破砕)したものを分級して使用することも可能である。
以下に、黒、シアン、マゼンタ、イエローにおいて、市販されている顔料を例示する。
黒色の顔料としては、Raven1060、(コロンビアン・カーボン社製)、MOGUL−L、(キャボット社製)、Color Black FW1(デグッサ社製)、MA100(三菱化学社製)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
シアン色の顔料としては、C.I.Pigment Blue−15:3、C.I.Pigment Blue−15:4、C.I.Pigment Blue−16、等が挙げられるが、これらに限定されない。
マゼンタ色の顔料としては、C.I.Pigment Red−122、C.I.Pigment Red−123、C.I.Pigment Red−146、等が挙げられるが、これらに限定されない。
イエローの顔料としては、C.I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−128、C.I.Pigment Yellow−129、等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のインクに用いられる顔料は、インクの重量に対して、0.1〜50重量%が好ましい。顔料の量が、0.1重量%未満となると、十分な画像濃度が得られなくなり、50重量%を超えると画像の定着性が悪化する場合がある。さらに好ましい範囲としては0.5重量%から30重量%の範囲である。
また、溶剤に溶かして用いる染料の場合は、水溶性染料、脂溶性染料を適宜用いることができる。本発明のインク分散物に用いられる色材は、水性組成物の重量に対して、0.1〜50重量%が好ましい。また、本発明のインクジェット用インクで使用しうる染料は、公知のものでよく、以下に述べるような直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食品用色素の水溶性染料、脂溶性染料を用いることができる。
以下に本発明のインクジェット用インクを使用する場合の染料の具体例を示す。
例えば、水溶性染料としては、C.I.ダイレクトブラック,−17,−62,−154;C.I.ダイレクトイエロー,−12,−87,−142;C.I.ダイレクトレッド,−1,−62,−243;C.I.ダイレクトブルー,−6,−78,−199;C.I.ダイレクトオレンジ,−34,−60;C.I.ダイレクトバイオレット,−47,−48;C.I.ダイレクトブラウン,−109;C.I.ダイレクトグリーン,−59等の直接染料、
C.I.アシッドブラック,−2,−52,−208;C.I.アシッドイエロー,−11,−29,−71;C.I.アシッドレッド,−1,−52,−317;C.I.アシッドブルー,−9,−93,−254;C.I.アシッドオレンジ,−7,−19;C.I.アシッドバイオレット,−49等の酸性染料、
C.I.リアクティブブラック,−1,−23,−39;C.I.リアクティブイエロー,−2,−77,−163;C.I.リアクティブレッド,−3,−111,−221;C.I.リアクティブブルー,−2,−101,−217;C.I.リアクティブオレンジ,−5,−74,−99;C.I.リアクティブバイオレット,−1,−24,−38;C.I.リアクティブグリーン,−5,−15,−23;C.I.リアクティブブラウン,−2,−18,−33等の反応染料;
C.I.ベーシックブラック,−2;C.I.ベーシックレッド,−1,−12,−27;C.I.ベーシックブルー,−1,−24,;C.I.ベーシックバイオレット,−7,−14,−27;C.I.フードブラック,−1,−2等が挙げられる。
また、油溶性染料として、以下に、各色の市販品を例示する。
黒色の油溶性染料としては、C.I.Solvent Black−3,−22:1,−50等が挙げられるが、これらに限定されない。
イエローの油溶性染料としては、C.I.Solvent Yellow−1,−25:1,−172等が挙げられるが、これらに限定されない。
オレンジの油溶性染料としては、C.I.Solvent Orange−1,−40:1,−99等が挙げられるが、これらに限定されない。
レッドの油溶性染料としては、C.I.Solvent Red−1,−111,−229等が挙げられるが、これらに限定されない。
バイオレットの油溶性染料としては、C.I.Solvent Violet−2,−11,−47等が挙げられるが、これらに限定されない。
ブルーの油溶性染料としては、C.I.Solvent Blue−2,−43,−134等が挙げられるが、これらに限定されない。
グリーンの油溶性染料としては、C.I.Solvent Green−1,−20,−33等が挙げられるが、これらに限定されない。
ブラウンの油溶性染料としては、C.I.Solvent Brown−1,−12,−58等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のインクジェット用インクに用いられる液状色材は、インクの重量に対して、0.1〜50重量%が好ましい。染料の量が、0.1重量%未満となると、十分な画像濃度が得られなくなり、50重量%を超えると画像の定着性が悪化する場合がある。さらに好ましい範囲としては0.5重量%から30重量%の範囲である。
[添加剤]
本発明のインクジェット用インクには、必要に応じて、種々の添加剤、助剤等を添加することができる。
インクジェット用インクの添加剤の一つとして、高分子ミセルを溶媒中で安定に分散させる分散安定剤がある。本発明のインクジェット用インクは、ポリアルケニルエーテル構造を含むポリマーにより、分散安定させる機能を有しているが、分散が不十分である場合には、他の分散安定剤を添加してもよい。
他の分散安定剤として、親水性疎水性両部を持つ樹脂あるいは界面活性剤を使用することが可能である。
親水性疎水性両部を持つ樹脂としては、例えば、親水性モノマーと疎水性モノマーの共重合体が挙げられる。親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、または前記カルボン酸モノエステル類、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート等、疎水性モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類等が挙げられる。共重合体は、ランダム、ブロック、およびグラフト共重合体等の様々な構成のものが使用できる。もちろん、親水性、疎水性モノマーとも、前記に示したものに限定されない。
界面活性剤としては、アニオン性、非イオン性、カチオン性、両イオン性活性剤を用いることができる。
アニオン性活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ナフタレンスルホン酸フォルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステル等が挙げられる。
非イオン性活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、フッ素系、シリコン系等が挙げられる。
カチオン性活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリウム塩等が挙げられる。
両イオン性活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド、ホスファジルコリン等が挙げられる。なお、界面活性剤についても同様、前記に限定されるものではない。
さらに、本発明のインクには、必要に応じて水性溶剤を添加することができる。特にインクジェット用インクに用いる場合、水性溶剤は、インクのノズル部分での乾燥、インクの固化を防止するために用いられ、単独または混合して用いることができる。水性溶剤は、上述のものがそのまま当てはまる。その含有量としては、インクの場合、インクの全重量の0.1〜60重量%、好ましくは1〜25重量%の範囲である。
その他の添加剤としては、インクジェット用インクの安定化と記録装置中のインクジェット用インクの配管との安定性を得るためのpH調整剤、記録媒体へのインクの浸透を早め、見掛けの乾燥を早くする浸透剤、インク内での黴の発生を防止する防黴剤、インク中の金属イオンを封鎖し、ノズル部での金属の析出やインク中で不溶解性物の析出等を防止するキレート化剤、記録液の循環、移動、あるいは記録液製造時の泡の発生を防止する消泡剤、酸化防止剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、および、水溶性染料、分散染料、油溶性染料等も添加することができる。
以下に本発明のインクの好ましい実施形態であるインクジェット用インク(水性分散インク)の具体的内容について記載する。
[インクの作成方法]
インクの製造方法に関しては、色材及び該トリブロックポリマーにおける好ましい一態様として、インクは、先ず色材を溶媒で分散乃至溶解させ、この溶液を該トリブロックポリマーが分散乃至溶解した水性溶液中に添加し、次いで有機溶媒を除去することで、分散させる製造工程があげられるが、本発明における製造工程はこれに限定されるものではない。
該トリブロックポリマーを分散させる一例としては分散機を用いての分散であり、例えば、超音波ホモジナイザー、ラボラトリーホモジナイザー、コロイドミル、ジェットミル、ボールミル等があり、これらを単独もしくは組み合せて用いてもよい。
さらに該トリブロックポリマーは色材を内包してインク組成物に用いることも適宜である。本ポリマーは、色材等の機能性物質を含有せずとも溶媒中で疎媒性セグメントが凝集し、その周りを新媒性セグメントが溶媒和して覆い、集合体を形成する。
両親媒性ブロックポリマーは、溶液中において様々な自己集合形態が知られており、両親媒性高分子の親水性セグメントと、疎水性セグメントの割合、溶液の濃度などによりミセル、シリンダー、ラメラなど様々な形態を持つ。本発明で記載する内包とは、両親媒性ブロックポリマーのミセル形成によるものである。溶媒に水を用いた一例を述べると、その水溶液は疎水性セグメント同士が集合し、その周りを親水性セグメントが覆い、水中で分散する。この際、非水溶性の色材、疎水性のポリマーが溶液中にあればそれらの疎水性物質は、両親媒性ブロックポリマーの疎水性セグメント部位に取り込まれ、ミセルに内包される事となる。ミセル形成の確認は、このインク組成物をクライオトランスファーによるEF−TEM観察を行い、球状ミセルを観察することができる。またこのサンプルをEELSで元素分析することで、内包されている事が確認できる。またインク組成物の刺激応答性を利用し、内包状態を確認することも可能である。一例として例示した両親媒性ブロックポリマーであるABCトリブロックブロックポリマー(II−d)、色材に顔料を用いて説明する。ABCトリブロックブロックポリマー(II−d)はpHがアルカリ性でCセグメントがイオン化する。また20℃以下ではAセグメントが刺激応答し親水化する。すなわち、酸性で20℃以上の環境においては、ABCトリブロックポリマー(II−d)は各セグメントそれぞれが全て疎水性となり、ミセル形成能を持たなくなり、水系溶媒中で析出する。その結果顔料と疎水性ポリマーは、内包されることなく溶媒と直接接する事となり、それら自身では分散乃至溶解できないため相分離し沈殿の確認でき、水相は完全に脱色する。このことからも両親媒性ブロックポリマーミセル中に包接されていたことがわかる。
後述する実施例において、溶媒が水系溶媒で、機能性物質に顔料を用いた時のインク組成物に関しては、色材を内包して該トリブロックポリマーがミセルを形成するものであり、この点も特許文献2とは異なる本件の特徴である。
[画像形成方法および画像形成装置]
本発明におけるインクは、各種印刷法、インクジェット法、電子写真法等の様々な画像形成装置に使用でき、この装置を用いた画像形成方法により描画することができる。
本発明では、例えば、インクジェット用インクを用いるインクジェットプリンタとしては、圧電素子を用いたピエゾインクジェット方式や、熱エネルギーを作用させてインクを発泡し、記録を行うバブルジェット(登録商標)方式等、様々なインクジェット記録装置がある。
本発明の装置では、例えばインクジェット用インクの場合、吐出ヘッドの吐出口から吐出されるインクの量は、画像解像度を向上するために、0.1ピコリットルから100ピコリットルの範囲であることが好ましい。
特に、インクジェット記録装置の場合、その一態様として、本発明の記録装置は、該インクジェット用インクと、溶媒環境を変化させるための刺激を与える組成物として該ブロックポリマーと架橋する添加剤(架橋剤)を含有する組成物とを接触させる手段を有する。この態様では、この接触により被記録媒体上で該インクジェット用インクが定着されて優れた画像が形成される。
また、本発明のインクジェット用インクは、中間転写体にインクを印字した後、紙等の記録媒体に転写する記録方式等を用いた間接記録装置にも用いることができる。また、直接記録方式による中間転写体を利用した装置にも適用することができる。
特に、本発明のインクジェット用インクは、電子写真記録方式の画像形成方法および画像形成装置に使用することができる。例えば、この画像形成装置としては、潜像を形成する感光体ドラムを有し、これに潜像を形成させるための(露光器など)手段、インク付与手段、転写機構、並びに被記録媒体を備えるものを挙げることができる。この装置による画像の形成は、まず感光体ドラム上に潜像を形成し、本発明のインクジェット用インクを潜像または潜像以外の部分に付与し、得られた像を転写機構により被記録媒体上へ転写させ、定着させる。
以下にインクジェット記録装置について図1を参照して概略を説明する。但し、図1はあくまでも構成の一例であり、本願発明を限定するものではない。
図1は、インクジェット記録装置の構成を示すブロック図である。
図1は、ヘッドを移動させて被記録媒体に記録をする場合を示した。図1において、製造装置の全体動作を制御するCPU50には、ヘッド70をXY方向に駆動するためのX方向駆動モータ56およびY方向駆動モータ58がXモータ駆動回路52およびYモータ駆動回路54を介して接続されている。CPUの指示に従い、Xモータ駆動回路52およびYモータ駆動回路54を経て、このX方向駆動モータ56およびY方向駆動モータ58が駆動され、ヘッド70の被記録媒体に対する位置が決定される。
図1に示されるように、ヘッド70には、X方向駆動モータ56およびY方向駆動モータ58にヘッド70に加え、ヘッド駆動回路60が接続されており、CPU50がヘッド駆動回路60を制御し、ヘッド70の駆動、即ちインクジェット用インクの吐出等を行う。さらに、CPU50には、ヘッドの位置を検出するためのXエンコーダ62およびYエンコーダ64が接続されており、ヘッド70の位置情報が入力される。また、プログラムメモリ66内に制御プログラムも入力される。CPU50は、この制御プログラムとXエンコーダ62およびYエンコーダ64の位置情報に基づいて、ヘッド70を移動させ、被記録媒体上の所望の位置にヘッドを配置してインクジェット用インクを吐出する。このようにして被記録媒体上に所望の描画を行なうことができる。また、複数のインクジェット用インクを装填可能な画像記録装置の場合、各インクジェット用インクに対して上記のような操作を所定回数行なうことにより、被記録媒体上に所望の描画を行なうことができる。
また、インクジェット用インクを吐出した後、必要に応じて、ヘッド70を、ヘッドに付着した余剰のインクを除去するための除去手段(図示せず)の配置された位置に移動し、ヘッド70をワイピング等して清浄化することも可能である。清浄化の具体的方法は、従来の方法をそのまま使用することができる。
描画が終了したら、図示しない被記録媒体の搬送機構により、描画済みの被記録媒体を新たな被記録媒体に置き換える。
なお、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態を修正または変形することが可能である。例えば、上記説明ではヘッド70をXY軸方向に移動させる例を示したが、ヘッド70は、X軸方向(またはY軸方向)のみに移動するようにし、被記録媒体をY軸方向(またはX軸方向)に移動させ、これらを連動させながら描画を行うものであってもよい。
本発明は、インクジェット用インクの吐出を行わせるために利用されるエネルギー源として熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、上記熱エネルギーによりインクジェット用インクを吐出させるヘッドが優れた効果をもたらす。かかる方式によれば描画の高精細化が達成できる。本発明のインクジェット用インクを使用することにより、更に優れた描画を行うことができる。
上記の熱エネルギーを発生する手段を備えた装置の代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書,同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体が保持され、流路に対応して配置されている電気熱変換体に、吐出情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長および収縮により吐出用開口を介して液体を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書,同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた吐出を行うことができる。
ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書,米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基いた構成としても本発明の効果は有効である。すなわち、ヘッドの形態がどのようなものであっても、本発明によればインクジェット用インクの吐出を確実に効率よく行うことができる。
さらに、本発明の画像形成装置で被記録媒体の最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプのヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのようなヘッドとしては、複数のヘッドの組合せによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個のヘッドとしての構成のいずれでもよい。
加えて、シリアルタイプのものでも、装置本体に固定されたヘッド、または、装置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプのヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
さらに、本発明の装置は、液滴除去手段を更に有していてもよい。このような手段を付与した場合、更に優れた吐出効果を実現できる。
また、本発明の装置の構成として、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定化できるので、好ましい。これらを具体的に挙げれば、ヘッドに対してのキャッピング手段、加圧または吸引手段、電気熱変換体またはこれとは別の加熱素子、または、これらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手段、インクの吐出とは別の、吐出を行なうための予備吐出手段などを挙げることができる。
本発明に対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。以下の実施例では、本発明のトリブロックポリマーを合成する方法、インクジェット用インクの例として分散染料インクジェット用インクを取り上げて説明する。なお、これらポリマー合成および分散染料インクでの実施例では、実施したうちのいくつかの具体例を記すのみであるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
<ABCトリブロックポリマーの合成:AセグメントとしてイソブチルアルケニルエーテルとCH=CHOCHCHOPhPhからなるランダム共重合体(IBVE−r−BPhOVE)、Bセグメントとして4−(2−ビニルオキシ)エトキシ安息香酸(HBVE)からなる重合体と、Cセグメントとしてメトキシエチルアルケニルエーテル(MOVE)からなる重合体とからなるABCトリブロックポリマー、ポリ[(IBVE−r−BPhOVE)−b−HBVE−b−MOVE](II−a)の合成>(ここで、bはブロックポリマー、rはランダムポリマーであることをそれぞれ示す記号である)
三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下250℃に加熱し吸着水を除去した。系を室温に戻した後、BPhOVE5mmolとIBVEを各5mmol、酢酸エチル16mmol、1−イソブトキシエチルアセテート0.1mmol、及びトルエン11mlを加え、反応系を冷却した。系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロリド(ジエチルアルミニウムクロリドとエチルアルミニウムジクロリドとの等モル混合物)を0.2mmol加え、重合を開始した。分子量を時分割に分子ふるいカラムクロマトグラフィー(GPC)とNMRを用いてモニタリングし、Aブロックの重合の完了を確認した。
次いで、Bブロック成分として4−(2−ビニルオキシ)エトキシ安息香酸エチル9mmolのトルエン溶液を添加し、重合を続行した。分子量を時分割に分子ふるいカラムクロマトグラフィー(GPC)とNMRを用いてモニタリングし、Bブロックの重合の完了、ABジブロックポリマーの形成を確認した。
次いでMOVE20mmol(ミリモル)を添加し、重合を続行した。24時間後、重合反応を停止した。重合反応の停止は、系内に0.3質量%のアンモニア/メタノール水溶液を加えて行った。反応混合物溶液をジクロロメタンにて希釈し、0.6mol/L塩酸で3回、次いで蒸留水で3回洗浄し、得られた有機相をエバポレーターで濃縮・乾固したものを真空乾燥させたものを、セルロースの半透膜を用いてメタノール溶媒中透析を繰り返し行い、モノマー性化合物を除去し、目的物であるトリブロックポリマーを得た。化合物の同定は、NMRおよびGPCを用いて行った。Mn=24500、Mw/Mn=1.29であった。重合比はA:B:C=190:100:30であった。ブロック内の2種のモノマーの重合比は1:1であった。
さらにここで得られたトリロックポリマーをジメチルフォルムアミドと水酸化ナトリウム水混合溶液中で加水分解することで、ブロック成分中の4−(2−ビニルオキシ)エトキシ安息香酸エチルが加水分解され、ナトリウム塩化されたトリブロックポリマー、すなわちセグメントが親水性ブロックセグメントでアニオン性を示す繰り返し単位構造のトリブロックポリマーを得た。化合物の同定は、NMRおよびGPCを用いて行った。
さらに水分散液中で0.1Nの塩酸で中和して成分中の4−(2−ビニルオキシ)エトキシ安息香酸がフリーのカルボン酸になったトリブロックポリマー、ポリ[MOVE−b−(IBVE−r−BPhOVE)−b−HBVE]を得た。化合物の同定は、NMRおよびGPCを用いて行った。
(実施例2)
上記トリロックポリマー13質量部と脂溶性染料オイルブルーN(商品名と同じ、アルドリッチ社製)5質量部をジメチルフォルムアミドに共溶解し、蒸留水400質量部を用いて水相へ変換しインク組成物を得た。これに0.1N水酸化ナトリウム水溶液を0.1ml加えさらに超音波ホモジナイザーに10分間かけて、1時間放置した。pH試験紙ではpHが12であった。この分散液は非常に透明で青い色を呈していた。10日間放置したが、脂溶性染料は分離沈殿しなかった。
また、色材と疎水性ポリマーの内包を、前述したように、クライオトランスファーによるEF−TEM観察、EELSによる元素分析、及び色材分散物におけるABCブロックポリマーの刺激応答性を利用して確認した。
上記で得られたインク組成物をインクジェットプリンタ(BJF800、キヤノン社製)の印刷ヘッドに充填し、被記録媒体に吐出することによって画像を得た。被記録媒体としては、塩酸を噴霧した普通紙を用い、刺激を与えることができる被記録媒体を作成した。以下に示す(1)〜(2)の方法を用いて被記録媒体および分散組成物についての評価を行った。
(1)上記プリンターにて50mm×50mmの正方形をベタで印字し、印字30秒後に指で被記録部を強く押したところインクが指に付着しなかった。これは、印字後に、インク組成物中のトリブロックポリマーが増粘し、定着速度が速まったこと、加えて該トリブロックポリマーが色材を内包した事により耐擦過性が改善されたためと考えられる。
(2)上記プリンターにて50mm×50mmの正方形をベタで印字し、印字30秒後に画像をラインマーカーで強く5回こすったところ青色の尾引きは観察されなかった。これは、印字後に、インク組成物中のトリブロックポリマーが増粘し、定着速度が速まったこと、加えて該トリブロックポリマーが色材を内包した事により耐擦過性が改善されたためと考えられる。
(比較例1)
水溶性染料C.I.ダイレクトブルー−199を4質量部およびジエチレングリコール17質量部を蒸留水79質量部中にて攪拌することにより非常に透明で青い色を呈している水溶性染料インクを得た。被記録媒体としては実施例2で作成した塩酸を噴霧した普通紙および噴霧していない普通紙を用いた。評価は実施例2と同様に行った。
(1)上記プリンターにて50mm×50mmの正方形をベタで印字し、印字30秒後に指で被記録部を強く押した。被記録媒体として上記塩酸を噴霧した普通紙および噴霧していない普通紙を用いた場合いずれも、インクが指に付着した。
(2)上記プリンターにて50mm×50mmの正方形をベタで印字し、印字30秒後に画像をラインマーカーで強く1回こすった。被記録媒体として上記塩酸を噴霧した普通紙および噴霧していない普通紙を用いた場合いずれも、青色の尾引きが観察された。
(比較例2)
スチレンとエチレンオキサイドジブロック共重合体(数平均分子量10600、数平均分子量比36:70)、脂溶性染料としてオイルブルーNを用い、実施例1と同様の操作方法で、インク組成物を作成した。青い色を呈しているものの強い白濁状態が観察された。また、10日間放置したところ、脂溶性染料が一部分離沈殿した。
(1)上記プリンターにて50mm×50mmの正方形をベタで印字し、印字30秒後に指で被記録部を強く押した。被記録媒体として上記塩酸を噴霧した普通紙および噴霧していない普通紙を用いた場合いずれも、インクが指に付着した。
(2)上記プリンターにて50mm×50mmの正方形をベタで印字し、印字30秒後に画像をラインマーカーで強く1回こすった。被記録媒体として上記塩酸を噴霧した普通紙および噴霧していない普通紙を用いた場合いずれも、青色の尾引きが観察された。
本ポリマーと、脂溶性染料としてオイルブルーNを用い、実施例1と同様の操作方法で、インク組成物を作成した。青い色を呈しているものの強い白濁状態が観察された。また、10日間放置したところ、脂溶性染料が一部分離沈殿した。
(1)上記プリンターにて50mm×50mmの正方形をベタで印字し、印字30秒後に指で被記録部を強く押した。被記録媒体として上記塩酸を噴霧した普通紙および噴霧していない普通紙を用いた場合いずれも、インクが指に付着した。
(2)上記プリンターにて50mm×50mmの正方形をベタで印字し、印字30秒後に画像をラインマーカーで強く1回こすった。被記録媒体として上記塩酸を噴霧した普通紙および噴霧していない普通紙を用いた場合いずれも、青色の尾引きが観察された。
本発明の画像記録装置の概略の機構を示す図である。
符号の説明
50 CPU
52 Xモータ駆動回路
54 Yモータ駆動回路
56 X方向駆動モータ
58 Y方向駆動モータ
60 ヘッド駆動回路
62 Xエンコーダ
64 Yエンコーダ
66 プログラムメモリ
70 ヘッド

Claims (4)

  1. AセグメントとしてイソブチルアルケニルエーテルとCH =CHOCH CH OPhPhからなるランダム共重合体(Phはフェニル骨格を示す)と、Bセグメントとして4−(2−ビニルオキシ)エトキシ安息香酸からなる重合体と、Cセグメントとしてメトキシエチルアルケニルエーテルからなる重合体とからなるABCトリブロックポリマー。
  2. 請求項1記載のブロックポリマーと、溶媒または分散媒と、色材とを含有することを特徴とするインク組成物。
  3. 請求項記載のインク組成物を用意する工程と、
    前記インク組成物を媒体に付与する工程とを有することを特徴とするインク付与方法。
  4. 請求項記載のインク組成物にエネルギーを作用させて媒体にインクを付与するためのインク付与手段と、
    前記インク付与手段を駆動するための駆動手段とを備えていることを特徴とするインク付与装置。
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