JP4439605B2 - 溶媒含有ポリオルガノシロキサンエマルジョン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳化重合によって得られる溶媒含有ポリオルガノシロキサンエマルジョンに関する。さらに詳しくは、本発明は、比較的に低い分子量の分子鎖末端がシラノール基で封鎖されたポリジオルガノシロキサンと溶媒とをイオン性界面活性剤で水中に乳化させた上で、該ポリジオルガノシロキサンを乳化重合させて得られる、安定な溶媒含有ポリオルガノシロキサンエマルジョンに関する。
【0002】
【従来の技術】
低分子量シロキサン、特に環状シロキサンオリゴマーを、界面活性剤、重合触媒および水とともに乳化状態に分散させて開環重合させて、シリコーンオイルからシリコーン生ゴムに至る広い粘度範囲の高分子量ポリオルガノシロキサンを含有するエマルジョンを製造することができる。たとえば、低分子量シロキサンを乳化させた後、強酸または強アルカリ触媒を添加して乳化重合させる方法(特公昭34−2041号公報)、低分子量シロキサンを、触媒活性を有する界面活性剤を用いて乳化させるとともに重合させる方法(特公昭43−18800号公報)などが提案されている。
【0003】
また、特公昭54−19440号公報には、塩型のアニオン性界面活性剤の水溶液中にオルガノシロキサン類を加えて乳化し、得られたエマルジョンを酢酸型カチオン交換樹脂と接触させて、界面活性剤を酸型に変換することにより、該ポリオルガノシロキサン類を重合させる方法が開示されている。
さらに、特公昭41−1399号公報および特公昭44−20116号公報には、脂肪族炭化水素基で置換されたベンゼンスルホン酸およびナフタレンスルホン酸、脂肪族炭化水素スルホン酸ならびにシリルアルキルスルホン酸から選ばれる、界面活性を有するスルホン酸触媒の存在下に、オルガノシロキサン類とシラノール基含有ジシルカルバンとを、水性触媒中で乳化重合させる方法が開示されている。また、分子鎖末端がシラノール基で封鎖されたポリジオルガノシロキサンを、これらの界面活性を有する触媒とともに高圧ホモジナイザーで乳化した後、室温に放置して重合させることが開示されている。
【0004】
一方、このような乳化重合に供される低分子量シロキサンとして、容易に入手できて、乳化と開環重合が容易なことから、オクタメチルシクロテトラシロキサンのような環状シロキサンオリゴマーが用いられている。
また、特開昭63−265924号公報および特開平4−178429号公報には、出発原料として分子鎖末端がシラノール基で封鎖されたポリジオルガノシロキサンを用い、乳化重合によって高分子量ポリオルガノシロキサンを含有するエマルジョンを製造することが開示されている。
【0005】
ところで、ポリオルガノシロキサンをより均一に基材に適用するために、溶媒を併用することは従来から行われてきたことである。
溶媒併用に関しては、従来は、溶媒とポリオルガノシロキサンとを機械的乳化していたが、この方法は、乳化重合で得られるエマルジョンと比較して、ポリオルガノシロキサンのエマルジョンの安定性が劣るという欠点があり、この問題は、溶媒を併用した場合にも引き続いて生じていた。
一方、ポリオルガノシロキサンは乳化重合法によっても得られていたが、この乳化重合ポリオルガノシロキサンには上記の問題は無いけれども、溶媒を併用してこれを乳化混合しても、基材の処理の均一性の改善は依然として不十分であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
[発明の概要]
本発明の目的は、上記の従来技術が包含する問題を解決することであり、具体的には、イオン性界面活性剤を用いた系において、エマルジョンの安定性を高め、かつエマルジョン中に存在するポリオルガノシロキサンおよび溶媒含有する安定なエマルジョンを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
<要旨>
本発明は、分子鎖末端がシラノール基で閉塞されたポリジオルガノシロキサンを、イオン性界面活性剤系を用いて重縮合反応させること、ならびにこの重縮合反応系に溶媒を共存させること、によって、その目的を達成しうることを見出したことに基づくものである。
【0008】
すなわち、本発明による溶媒含有ポリオルガノシロキサンエマルジョンは、下記の成分(A)〜(E)を含んでなるエマルジョンについて、成分(A)の重合を行わせることによって得られるものであること、を特徴とするものである。
(A)一般式
HO[(R1)2SiO]mH (I)
(式中、R1はたがいに同一でも異なっていてもよい、置換または非置換の1価の炭化水素基を表し、mは成分(A)の25℃における粘度を10〜3,000cSt にする値である)で示される、シラノール基末端ポリジオルガノシロキサン、
(B)溶媒、
(C)イオン性界面活性剤、
(D)成分(A)に対する重合用触媒
(但し、成分(C)に触媒作用を有するイオン性界面活性剤を使用する場合は、成分(D)はその少なくとも一部を省略することができる)、および
(E)水。
【0009】
<効果>
ポリオルガノシロキサンを特定のモノマー、すなわちシラノール基末端ポリオルガノシロキサン、の特定の重合、すなわちイオン性界面活性剤を使用する水性乳化重合、によって製造し、その際に溶媒を共存させてそれをも同時に乳化して生成ポリオルガノシロキサンエマルジョン中に存在するに至らせることによって、前記した従来技術の問題点、特にエマルジョンの安定性およびポリオルガノシロキサンの分子量に関するもの、が改善される。
【0010】
【発明の実施の形態】
[発明の具体的説明]
本発明は特定の方法によって製造したポリオルガノシロキサンに係り、この特定の製造法とは、成分(A)〜(D)から出発するものである。
【0011】
<原料>
《成分(A)/ポリジオルガノシロキサン》
本発明でポリオルガノシロキサンを与えるモノマーとして使用する成分(A)は、分子鎖末端がシラノール基で封鎖されたポリジオルガノシロキサンであって、式(I)で示されるものである。このポリジオルガノシロキサンは、以下において、α,ω−ジヒドロキシポリジオルガノシロキサンと呼ぶことがある。また、このポリジオルガノシロキサンは、最終重縮合反応産物であるポリオルガノシロキサンに対してモノマーの関係に立つから、その重合度は最終重縮合産物のそれよりも低く、オリゴジオルガノシロキサンということもできる。
【0012】
成分(A)である、分子鎖末端がシラノール基で封鎖されたポリジオルガノシロキサンは、乳化重合の主原料である。その分子構造は、一般式(I)で示されるように直鎖状であるが、分子鎖末端がシラノール基で封鎖されたものでさえあれば、一部に分岐構造が含まれていてもよい。mは、25℃における該ポリジオルガノシロキサンの粘度が10〜3,000cSt 、好ましくは15〜1,000cSt 、特に好ましくは20〜300cSt 、の範囲になるようにする値である。すなわち、シラノール末端ポリジオルガノシロキサンの粘度が10cSt 未満のものは、安定に合成し、精製することが困難であり、3,000cSt を越えると乳化が困難になる。なお、mはケイ素原子に結合したR1の種類やその相互の比率によっても異なる。たとえば、後述のように最も好ましいポリジメチルシロキサンの場合、mは8〜500の範囲である。
【0013】
式(I)において、ケイ素原子に結合するR1としては、(1)炭素数1〜30、好ましくは1〜10、のアルキル基、たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシルなど、(2)炭素数4〜7、好ましくは6、のシクロアルキル基、たとえばシクロヘキシルなど、(3)炭素数2〜8、好ましくは2〜3、のアルケニル基、たとえばビニル、アリルなど、(4)アラルキル基、特にアリール部分がフェニルまたは低級アルキル(C4程度まで)置換フェニルで、アルキル部分がC4程度までのもの、たとえば2−フェニルエチル、2−フェニルプロピルなど、(5)アリール基、特にフェニルまたは置換フェニル(置換基は、たとえばC4程度までのアルキル基)、たとえばフェニル基、トリル基など、および(6)置換炭化水素基、特に置換基がハロゲンであるもの、たとえば3,3,3−トリフルオロプロピルなど、が例示される。乳化重合によって得られる高分子量ポリオルガノシロキサンが、表面張力が低くて塗布したときに広がりがよく、伸び、撥水性、つやなどが優れ、また生理活性がないことから、分子中のR1の85%以上がメチル基であることが好ましく、実質的にすべてがメチル基であることが特に好ましい。従って、成分(A)として好ましいものは、α,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)、およびそのジメチルシロキサン単位の一部がメチルエチルシロキサン単位、メチルヘキシルシロキサン単位、メチルフェニルシロキサン単位、ジフェニルシロキサン単位などで置換された共重合ポリシロキサンである。これらのうちでも、α,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)が特に好ましい。
【0014】
このようなシラノール基末端ポリジオルガノシロキサンは、たとえば、ジメチルジクロロシランを加水分解して重縮合させることによって合成されたものが好ましい。希望するならば、たとえば、水を末端停止体として、硫酸のような酸性触媒、または水酸化カリウム、カリウムシラノラートのようなアルカリ性触媒の存在下に、対応する環状シロキサンオリゴマーを開環重合させて合成したものであっても良い。
【0015】
《成分(B)/溶媒》
本発明に用いられる成分(B)は溶媒である。ここで「溶媒」は、成分(A)に対して可溶化能を持つものが好ましいが、成分(A)に対する可溶化能を事実上持たないものであってもよい。いずれにしても、成分(B)は、成分(A)を分散させる媒体である。
成分(B)としては、n−ヘキサン、ガソリン、ゴム揮発油、ミネラルスピリット、灯油、イソパラフィン系炭化水素のような脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素、および、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなどの環状シロキサン、が例示される。
これらは、1種単独で用いても良いし、上記各群内および(または)各群間で2種以上を組み合わせても良い。
成分(B)の使用量は、成分(A)100重量部に対して、通常1〜1,000重量部であり、好ましくは10〜500重量部である。
【0016】
《成分(C)/イオン性界面活性剤》
成分(C)であるイオン性界面活性剤は、成分(A)および成分(B)を水中に乳化するために必要であって、これには、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤および両性界面活性剤、がある。
【0017】
アニオン系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ないしその塩、アルキル硫酸ないしその塩、不飽和脂肪族スルホン酸ないしその塩、水酸化脂肪族スルホン酸ないしその塩、およびポリオキシエチレンモノアルキルエーテルの硫酸エステルないしその塩、が代表的なものとして例示される。具体的には、アニオン系界面活性剤として下記のものを例示することができる。
すなわち、(1)アルキル(アルキル基は一般に長鎖のものである)ベンゼンスルホン酸、たとえば、ヘキシルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸など、ならびに、(2)アルキル硫酸、たとえば、オクチル硫酸、ドデシル硫酸、テトラデシル硫酸、ヘキサデシル硫酸、オクタデシル硫酸など、である。
【0018】
本発明で使用することができるアニオン系界面活性剤としては、これらの他にも、不飽和および(または)水酸化脂肪族スルホン酸、ならびにこれらの水溶性塩がある。これらのスルホン酸の代表的なものは、下記の式[1]および[2]で示される。
【0019】
(3) R2CH=CH(CH2)mSO3H [1]
(4) R2CH2CH(OH)(CH2)mSO3H [2]
(式中、R2は水素原子または1価の脂肪族炭化水素基を表し、mは分子中の炭素原子数が6〜32となる整数である)。詳しくは、R2としては、炭素原子数6〜30の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アルケニル基および脂肪族ジエニル基が好ましく、炭素原子数6〜18のものがさらに好ましい。具体的には、このようなR2としては、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルおよびメリシルのようなアルキル基、オクテニル、ノネニル、オレイルおよびフィチルのようなアルケニル基、ならびにペンタデカジエニルのような脂肪族ジエニル基、が例示される。
従って、式[1]で示される不飽和脂肪族スルホン酸としては、ドデセンスルホン酸、テトラデセンスルホン酸およびヘキサデセンスルホン酸など、が例示され、また式[2]で示される水酸化脂肪族スルホン酸としては、ヒドロキシドデカンスルホン酸、ヒドロキシテトラデカンスルホン酸およびヒドロキシヘキサデカンスルホン酸など、が例示される。
【0020】
上記のような典型的なスルホン酸および(または)硫酸エステル((1)および(2))、ならびに不飽和および(または)水酸化脂肪族スルホン酸(特に(3)および(4))は、これらの酸の形としてアニオン系界面活性剤として代表的なものであって、本発明でも成分(C)として有用なものである。これらの酸の形としてのアニオン系界面活性剤は、またα,ω−ジヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)に対する重合用触媒としても有用なものである(詳細後記)。
上記のような酸としてのアニオン系界面活性剤は、特にその触媒作用を利用しないのであれば、水溶性の塩、ないしは、中和塩の形でもよい。塩の場合は所与の親油性部分、たとえばアルキルベンゼンスルホン酸でいえばアルキルベンゼンの部分、に対する親水性の部分の寄与が大きくなって、乳化作用が酸の場合よりも大きくなることが多い。
塩の種類としては、乳化効果から、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩およびトリエタノールアミンなどのアミン塩、が好ましい。
【0021】
本発明で成分(C)として使用するイオン性界面活性剤の他の一群は、カチオン系界面活性剤である。
前記のアニオン系界面活性剤と同様に、カチオン系界面活性剤もまた周知であって、その具体例は各種の教科書に詳述されていることは、アニオン系界面活性剤と同様である。
【0022】
本発明で使用するカチオン系界面活性剤は、4級アンモニウム塩またはヒドロキシ4級アンモニウム、就中アミノ基を4級化する脂肪族基の少なくとも一つが長鎖のもの、たとえばC6〜C20、好ましくはC8〜C18、程度のもの、が適当である。このような、カチオン系界面活性剤としては、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、デシルジメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、ジドデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、牛脂トリメチルアンモニウムヒドロキシドおよびヤシ油トリメチルアンモニウムヒドロキシドのような第4級アンモニウムヒドロキシドならびにこれらの塩が例示される。
【0023】
本発明で使用するイオン性界面活性剤は、両性ないし双性界面活性剤であってもよい。このような界面活性剤の具体例は、界面活性剤に関する教科書ないし総説あるいは化学辞典に見出すことができる。
上記のような各種のイオン性界面活性剤は、各群内および(または)各群間で併用することができる。その場合は、アニオン系界面活性剤とカチオン系界面活性剤のようなイオン性の異なるものの併用は必ずしも好ましくない。
【0024】
成分(C)としてのイオン性界面活性剤の使用量は、それを重合触媒として使用する場合をも考慮して、合目的的な任意のものでありうる。
使用量の代表的な具体例を挙げれば、下記の通りである。すなわち、成分(C)は、成分(A)+(B)100重量部に対して換算して0.5〜100重量部となる量が好ましく、1〜50重量部がより好ましく、2〜10重量部が特に好ましい。0.5重量部末端ではエマルジョンの安定性が悪くて分離することがあり、100重量部を超えるとエマルジョンが増粘して流動性が悪くなる場合がある。イオン性界面活性剤を併用する場合は、合計量について、この使用量を考えるものとする。
【0025】
《成分(D)/重合触媒》
成分(D)は、成分(A)を重合させるための触媒である。成分(A)の重合は、末端水酸基の脱水を伴う重合、すなわち重縮合の範疇に属するものである。
アニオン系触媒としては、鉱酸ないし無機酸、および有機酸がある。鉱酸ないし無機酸としては、塩酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸、その他がある。有機酸としては、カルボン酸(ギ酸を包含する)、スルホン酸、スルファミン酸、硫酸モノエステル、その他がある。有機酸のうち、スルホン酸および硫酸モノエステルは、その有機基の寄与の大きいもの、従って界面活性を有するもの、をも包含する。スルホン酸および硫酸モノエステルであって界面活性を有するもの、すなわちアニオン系界面活性剤、の具体例は、成分(C)として前記した具体例(造塩していないもの)中に適当なものを見出すことができる。アニオン系界面活性剤でアニオン系触媒として好ましい具体例としては、アルキルベンゼンスルホン酸、不飽和脂肪族スルホン酸および水酸化脂肪族スルホン酸、アルキルナフチルスルホン酸、ならびにポリオキシエチレンモノアルキルエーテルの硫酸モノエステルその他、が例示される。
【0026】
一方、カチオン系触媒としては、水溶性の無機塩基および有機塩基化合物がある。無機塩基としては、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物(ないし本発明の水性反応系において触媒として必要な水溶性を有するもの)、アルカリ金属炭酸塩、その他がある。水溶性有機塩基としては、水酸化第4級アンモニウム化合物、その他がある。有機塩基のうち、第4級アンモニウム化合物は、その有機基の寄与が大きいものはカチオン系界面活性剤としての機能を持つ化合物であって、その具体例は、成分(C)として前記したものの例示中に見出すことができて、第4級アンモニウムヒドロキシおよびその塩を代表的なものとして挙げることができる。なお、第4級アンモニウム塩は、触媒作用が低いので、アルカリ金属水酸化物と併用して、活性化させて使用するとよい。
その他にも、弱酸と強塩基の塩で水中で塩基性を示すもの、たとえば前記したアルカリ金属炭酸塩の他に、有機酸のアルカリ金属塩(石炭酸/フェノールのアルカリ金属塩を包含する)、を例示することができる。
【0027】
一般に塩基として作用の弱いものは触媒作用が弱いことが多いので、第4級アンモニウム塩について前記したように、事前にあるいは触媒としての使用時に、アルカリ金属水酸化物を併用して活性させることが好ましい。
これらのイオン性触媒は、各群内および(または)各群間で併用することができる。
前記したように、また前記したところから明らかなように、これらのイオン性重合触媒のあるものは、イオン性界面活性剤の範疇に属する。従って、本発明では、使用するイオン性界面活性剤が触媒活性を有するものである場合は、その触媒活性を利用して、別途触媒を使用することを減量ないし省略することができる。
界面活性剤と触媒のイオン性の関係から、アニオン系界面活性剤を使用する場合には、触媒はアニオン系を使用し、カチオン系界面活性剤を使用する場合の触媒はカチオン系を使用するのがふつうである。
【0028】
イオン性界面活性剤は、その親水性部分が塩であるものが乳化性が一般に良好であって、この点に着目して塩の形のイオン性界面活性剤を使用することは、その意味で有利であるといえる。そのような塩は重合活性を示さないことが多いが、このような塩を、エマルジョン形成後、場合により重合中に、少なくとも部分的に酸ないし塩基の形に変換することによって触媒として使用する遊離の酸または塩基とすることも可能である。
【0029】
成分(D)は、成分(A)に対する所期の重合活性が得られる限り、その使用量は任意である。しかし、典型的な例についていえば、成分(D)は、成分(A)+(B)100重量部に対して0.05〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部が特に好ましい。なお、この量は触媒としての有効量であって、イオン性界面活性剤が塩の形、たとえばスルホン酸塩、であるときは、触媒、たとえば鉱酸、は、界面活性剤塩に作用してこれを遊離の酸にするのにも消費されるから、その消費量(化学量論的量)を考慮して触媒使用量を定めるべきである。
【0030】
《成分(E)/水》
成分(E)である水は、成分(A)および(B)を分散・乳化させる媒体である。成分(E)の使用量は、成分(A)+(B)100重量部に対して、通常、30〜1,000重量部であり、エマルジョン中の成分(A)+(B)の濃度が10〜70重量%となるような量が好ましい。本発明のエマルジョンは、高濃度のものが良好な安定性を有するので、その特徴を生かすことから、成分(E)の使用量は、エマルジョン中の成分(A)+(B)の濃度が40〜70重量%となるような量が特に好ましい。
【0031】
《成分(F)/補助的成分》
本発明による溶媒含有ポリオルガノシロキサンエマルジョンは、上記の成分(A)〜(E)を含有するエマルジョンについて成分(A)の重合を行わせることによって得られるものであるが、このエマルジョンは成分(A)〜(E)を必須成分として含有するものであれば、本発明の趣旨を損わない限り、各種の補助的成分を溶存ないし分散させて含有するものであってもよい。なお、そのような補助的成分は、この項において記載するように、重合前のまたは重合中のエマルジョンに添加してもよいし、重合後のエマルジョンに添加してもよい。成分(A)の重合を阻害しないものである限り、これらの補助的成分は、重合前または重合中に添加する方が、その分散性が良好となるのでふつうである。
そのような補助的成分については、後記の<改変>の項を参照されたい。
【0032】
<重合>
《エマルジョンの形成》
本発明によるポリオルガノシロキサンエマルジョンは、次のようにして製造することができる。
すなわち、α,ω−ジヒドロキシポリジオルガノシロキサン(成分(A))、溶媒(成分(B))、イオン性界面活性剤(成分(C))および使用する場合の重合触媒(成分(D))、ならびに水(成分(E))を混合する。混合順序は任意であるが、たとえば撹拌槽中で成分(E)に成分(C)を混合して溶解させ、撹拌しながら、これに成分(A)および成分(B)を添加する。ついで、ホモジナイザー、コロイドミル、ラインミキサー、ソノレーターなどの乳化機を通す。ホモミキサー、コロイドミルまたはラインミキサーなどの乳化機を用いて粗乳化し、さらに加圧ホモジナイザーや超音波ホモジナイザーなどの乳化機を通して乳化することが好ましい。必要であればさらに水を加えて均一に乳化分散させる。乳化に成分(C)のイオン性界面活性剤として塩を使用したときは、酸または塩基(通常は鉱酸またはアルカリ金属水酸化物)を重合完了前に添加して界面活性剤塩の少なくとも一部を遊離の酸(たとえばスルホン酸)または塩基(たとえば第4級アンモニウムヒドロキシド)に変換させて、重合触媒(成分(D))の少なくとも一部を「現場(in situ)」形成することもできることは前記したところである。
【0033】
《重合》
撹拌を継続すると、成分(A)の分子末端のシラノール基の重縮合反応によって、高分子量ポリオルガノシロキサンが合成されるのに対し、成分(B)は、反応に関与せず残り、それらを含有するエマルジョンが形成される。より高い重合度のポリオルガノシロキサンが得られるためには、重縮合反応の温度は低いほど好ましい。一方、過度に冷却するとエマルジョンの安定性が損なわれるので、これらを総合して、好ましい縮合条件は0〜80℃、より好ましくは0〜50℃で2〜48時間であるが、必要に応じてさらに長時間をかけても差し支えない。
なお、成分(B)の溶媒として環状シロキサンを使用する場合は、環状シロキサンが開環反応をすることなく、溶媒として良好な特性を発現することから、温度は、好ましくは0〜50℃、より好ましくは0〜30℃、で重合反応を行う。
【0034】
所望の重合度に達したら重合反応を停止する。重合反応を停止するには、アニオン系界面活性剤を使用したエマルジョンでは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、酢酸カリウム、トリエタノールアミン、その他のアミン、アンモニア水等の塩基性物質で中和すればよい。カチオン系界面活性剤を使用したエマルジョンでは酢酸、ギ酸、リン酸、硫酸、塩酸等の酸性物質で中和する。
【0035】
<改変>
このような製造法によって得られる溶媒含有ポリオルガノシロキサンエマルジョンは、必要に応じて各種の改変を施すことができる。
改変は、重合前および(または)重合中のエマルジョンに対して行うことができるが、重合後の生成エマルジョンについて実施することもできる。そのような改変のいくつかを例示すれば、下記の通りである。
【0036】
すなわち、本発明に用いられる成分(C)のほかに、本発明のポリオルガノシロキサンエマルジョンの安定性を向上させるために、本発明の目的を損わない範囲で、ノニオン性の界面活性剤の1種または2種以上を、最初の乳化の際に、または成分(A)の重縮合反応の後、その他、任意の段階で配合することができる。ノニオン性界面活性剤としては、HLBが6〜19、好ましくは8〜18のもの、または2種以上の相対的HLBが6〜19、好ましくは8〜18になる組合せ、が好ましい。このようなものとしては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルなどが例示される。これらは例示であって、本発明で併用しうるノニオン性界面活性剤は、これらに限定されるものではない。
【0037】
また、乳化重合によって得られる高分子量ポリオルガノシロキサンの分子末端のシラノール基を安定なトリオルガノシリル基で封鎖するために、または該ポリオルガノシロキサンの平均重合度を所望の値に制御する末端停止剤として、乳化の際に、該トリオルガノシリル基を有するシロキサンオリゴマーを微量、すなわち、α、ω−ジヒドロキシポリジオルガノシロキサン(成分(A))に対して20重量%までの量、添加することができる。トリオルガノシリル基がトリメチルシリル基の場合、添加されるシロキサンオリゴマーとしては、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサンなどが例示される。また、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンのような、ビニル基を有するシロキサンオリゴマーを添加して、分子末端にトリオルガノシリル基としてビニルジメチルシリル基を導入し、ビニル基の反応性を利用して、架橋性の高分子量ベースポリマーのエマルジョンとすることもできる。
【0038】
さらにまた、乳化重合によって得られるポリオルガノシロキサンエマルジョンを、各種基材の表面に用いて、強固な被膜を形成するために、メチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、および3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのような反応性シランを、また基材の表面に良好な滑り性、柔軟性を付与するために、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、および3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランのような反応性シランを、乳化重合の際、または乳化重合後に少量添加することもできる。
その他、このようにして得られたポリオルガノシロキサンエマルジョンを安定化するために、グリセリン、水溶性アルキレングリコールまたは水溶性ポリアルキレングリコールなどを添加してもよい。さらに、エマルジョンを保存するための防腐剤、防カビ剤、金属の腐食を防止するための防錆剤などを添加してもよい。
【0039】
本発明によるポリオルガノシロキサンは溶媒を含有していることを本質的な特徴とするものであるが、この溶媒に各種の油溶性ないし油分散性の有機物質の少なくとも一種を溶存ないし分散させることができる。このような有機物質としては、たとえば、ワックス、高級アルコール、高級アミン、油脂類、その他がある。
たとえば、ワックスとしては、カルナバワックス(ロウ)、木ロウ、オウリキュリーロウおよびエスパルロウ等の動物ロウ、蜜ロウ、昆虫ロウ、セラミックロウおよび鯨ロウ等の動物ロウ、パラフィンワックス、マイクロクリスタルワックス、ポリエチレンワックス、エステルワックスおよび酸化ワックス等の石油ロウ、モンタンロウ、オゾケライトおよびセレシン等の鉱物ロウ等のワックス類、ならびに、変性ワックス、グリセライド、合成ケトンアミンアマイド、水素ワックスを挙げることができる。
【0040】
これらのワックス類などの他に、パルミチン酸、ステアリン酸、マルガリン酸およびベヘン酸等の高級脂肪酸、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、マルガニルアルコール、ミリシルアルコールおよびエイコサノール等の高級アルコール、オクタン酸セリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸ミリシル、ステアリン酸セチルおよびステアリン酸ミリシル等の高級脂肪酸エステル、アセトアミド、プロピオン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミドおよびアミドワックス等のアミド類、ならびに、ステアリルアミン、ベヘニルアミンおよびパルミチルアミン等の高級アミン類、などを挙げることができる。
【0041】
これらの他にも、オリーブ油、ヤシ油、サフラワー油、ヒマシ油、綿実油などの油脂類、ラノリン、ホホバ油、カルナバロウなどのロウ油、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、その他がある。
これらはその1種を単独で、あるいは2種以上を組合わせて用いることができる。
【0042】
<生成溶媒含有ポリオルガノシロキサン>
本発明による乳化重合エマルジョンは、高重合度のものが得られる上、溶媒を含有していることから、オルガノポリシロキサンにぬれ性やひろがり性を付与することができる。
オルガノポリシロキサンをそのまま機械的にエマルジョン化したものと比較して、非常に安定性がよいという利点もある。
したがって、本発明のポリオルガノシロキサンエマルジョンは、化粧料などに用いて、シリコーン特有ののび、触感、つやなどを与えることができる。そのほか、家具、雑貨、自動車の内・外装などの保護材、これらの外観をよくするためのつや出し剤、および織物、室内装飾材、掛け布類などの繊維処理剤としても有用である。
【0043】
【発明の効果】
本発明による溶媒含有ポリオルガノシロキサンエマルジョンが、従来技術の問題点、特に、ポリオルガノシロキサンの高分子量化およびエマルジョンの安定性についてのそれ、を解決したものであることは[発明の概要]の項において前記したところである。
【0044】
【実施例】
以下の実施例および比較例は、本発明をさらに詳細に説明するものである。実施例中の部および%は、特に断らない限り、重量部および重量%であり、粘度は25℃における値である。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
乳化重合によって得られたエマルジョンに含まれる高分子量ポリオルガノシロキサンの粘度、分子鎖末端および保存安定性試験は次のようにして測定ないし実施したものである。
【0045】
(1)ポリオルガノシロキサンの粘度
エマルジョン10部にイソプロピルアルコールを20部加えて、十分に撹拌し、静置して2層に分離させた後、オイル層をGPC測定に付して、既知の動粘度のジメチルポリシロキサンにて検量線を引いたグラフより、ポリオルガノシロキサンの粘度を換算し算出した。
【0046】
(2)ポリオルガノシロキサンの分子鎖末端
上記により取り出したポリオルガノシロキサンを容器に入れ、少量のテトラエトキシシランおよびジブチルスズジラウラートを添加して密栓し、24時間放置して、該ポリオルガノシロキサンの状態を観察した。添加直後と放置後の粘度を測定して、変化がなければテトラエトキシシランと縮合反応をしないと、すなわち、このポリオルガノシロキサンはトリメチルシリル基で分子鎖末端が封鎖されていると、一方、増粘したり、ゴム状を呈すればこのポリオルガノシロキサンはテトラエトキシシランと縮合反応をするシラノール基で分子鎖末端が封鎖されていると、判明した。
【0047】
(3)保存安定性
エマルジョンを50℃の乾燥器に入れて30日間保存した場合の外観の変化から、以上のようにエマルジョンの保存安定性を評価した。
○: 外観の変化なし。
△: オイルがわずかに浮きがある。
×: オイル層が見られる。
【0048】
(4)表面摩擦性
エマルジョンを水で希釈し、シリコーン分を3%に調製した。この液にて毛髪をディッピング処理し、室温で1日放置した。カトーテック(株)製、摩擦感テスターKES−SE−STPにて、荷重25gfの条件下で、処理した毛髪のMIU(平均摩擦係数)とMMD(平均摩擦係数の変動)を測定した。
【0049】
[実施例1]
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部およびドデシル硫酸ナトリウム5部(以上、成分(C))を、脱イオン水(成分(E))100部中に均一に分散させた。この分散液に、粘度83cSt のα,ω−ジヒドロキシ(ポリジメチルシロキサン)(成分(A))50部とイソパラフィン系炭化水素油(沸点166〜202℃)(成分(B))50部を添加し、撹拌により予備混合した後、加圧ホモジナイザーに圧力1000kgf/cm2 で1回通すことにより、α,ω−ジヒドロキシ(ポリジメチルシロキサン)およびイソパラフィン系炭化水素油(沸点166〜202℃)を含むエマルジョンを得た。
このエマルジョンに、硫酸(成分(D))0.2部を添加し、撹拌しながら1℃にて24時間保持した。ついで、撹拌を続けながら10%炭酸ナトリウム水溶液をpHが7になるまで滴下することにより、重合反応を停止させて、高分子量のポリジメチルシロキサンおよびイソパラフィン系炭化水素油(沸点166〜202℃)を含むエマルジョンE−1を製造した。
【0050】
[実施例2]
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部およびドデシル硫酸ナトリウム5部を、脱イオン水100部中に均一に分散させた。この分散液に、粘度83cSt のα,ω−ジヒドロキシ(ポリジメチルシロキサン)75部、ヘキサメチルジシロキサン(末端停止剤)0.2部およびデカメチルシクロペンタシロキサン(成分(B))25部を添加し、撹拌により予備混合した後、加圧ホモジナイザーに圧力1000kgf/cm2 で1回通すことにより、α,ω−ジヒドロキシ(ポリジメチルシロキサン)、ヘキサメチルジシロキサンおよびデカメチルシクロペンタシロキサンを含むエマルジョンを得た。
このエマルジョンに、硫酸0.2部を添加し、撹拌しながら25℃にて10時間保持した。ついで、撹拌を続けながら10%炭酸ナトリウム水溶液をpHが7になるまで滴下することにより、重合反応を停止させて、高分子量のポリジメチルシロキサンおよびデカメチルシクロペンタシロキサンを含むエマルジョンE−2を製造した。
【0051】
[実施例3]
テトラデセンスルホン酸ナトリウム75%とヒドロキシテトラデカンスルホン酸ナトリウム25%の混合物であるアニオン性界面活性剤8部を、脱イオン水100部中に均一に分散させた。この分散液に、粘度155cSt のα,ω−ジヒドロキシ(ポリジメチルシロキサン)30部、イソパラフィン系炭化水素油(沸点166〜202℃)30部および流動パラフィン30部を添加し、撹拌により予備混合した後、加圧ホモジナイザーに圧力500kgf/cm2 で2回通すことにより、α,ω−ジヒドロキシ(ポリジメチルシロキサン)、イソパラフィン系炭化水素油(沸点166〜202℃)および流動パラフィンを含むエマルジョンを得た。
このエマルジョンに、リン酸0.5部を添加し、撹拌しながら1℃にて48時間保持した。ついで、撹拌を続けながら10%炭酸ナトリウム水溶液をpHが7になるまで滴下することにより、重合反応を停止させて、高分子量のポリジメチルシロキサン、イソパラフィン系炭化水素油(沸点166〜202℃)と流動パラフィンを含むエマルジョンを製造した。これに、さらにポリオキシエチレン(7)第2級ドデシルエーテル3部を添加して混合し、エマルジョンE−3を得た。
【0052】
[実施例4]
ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン3部およびドデシル硫酸トリエタノールアミン2部を、脱イオン水100部中に均一に分散させた。この分散液に、粘度15cSt のα,ω−ジヒドロキシ(ポリジメチルシロキサン)50部、パラフィンワックス20部およびトルエン30部を添加し、撹拌により予備混合した後、加圧ホモジナイザーに圧力800kgf/cm2 で2回通すことにより、α,ω−ジヒドロキシ(ポリジメチルシロキサン)、パラフィンワックス、およびトルエンを含むエマルジョンを得た。
このエマルジョンに、硫酸0.5部を添加し、撹拌しながら80℃にて5時間保持しさらに10℃にて10時間保持した。ついで、撹拌を続けながらトリエタノールアミンをpHが7になるまで滴下することにより、重合反応を停止させて、高分子量のポリジメチルシロキサン、パラフィンワックス、およびトルエンを含むエマルジョンE−4を製造した。
【0053】
[実施例5]
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部およびドデシル硫酸ナトリウム5部を、脱イオン水100部中に均一に分散させた。この分散液に、粘度83cSt のα,ω−ジヒドロキシ(ポリジメチルシロキサン)50部とイソパラフィン系炭化水素油(沸点166〜202℃)50部を添加し、撹拌により予備混合した後、加圧ホモジナイザーに圧力1000kgf/cm2 で1回通すことにより、α,ω−ジヒドロキシ(ポリジメチルシロキサン)およびイソパラフィン系炭化水素油(沸点166〜202℃)を含むエマルジョンを得た。
このエマルジョンに、硫酸0.2部を添加し、撹拌しながら25℃にて5時間保持した。ついで、撹拌しながらメチルトリメトキシシラン5部とポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル5部を添加し1時間保持した。10%炭酸ナトリウム水溶液をpHが7になるまで滴下することにより、重合反応を停止させて、架橋したポリメチルシロキサンおよびイソパラフィン系炭化水素油(沸点166〜202℃)を含むエマルジョンE−5を製造した。
【0054】
[実施例6]
セチルトリメチルアンモニウムクロライド10部およびポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル5部を、脱イオン水100部中に均一に分散させた。この分散液に、粘度83cSt のα,ω−ジヒドロキシ(ポリジメチルシロキサン)20部とイソパラフィン系炭化水素油(沸点166〜202℃)80部を添加し、撹拌により予備混合した後、加圧ホモジナイザーに圧力1000kgf/cm2 で1回通すことにより、α,ω−ジヒドロキシ(ポリジメチルシロキサン)とイソパラフィン系炭化水素油(沸点166〜202℃)、を含むエマルジョンを得た。
このエマルジョンに、20%水酸化カリウム1部を添加し、撹拌しながら85℃にて5時間保持し、さらに15℃にて5時間保持した。ついで、撹拌を続けながら酢酸をpHが7になるまで滴下することにより、重合反応を停止させて、ポリジメチルシロキサンとイソパラフィン系炭化水素油(沸点166〜202℃)を含むエマルジョンE−6を製造した。
【0055】
[比較例1]
これは、成分(A)のα,ω−ジヒドロキシポリジオルガノシロキサンの代りに、非シラノール末端ジオルガノシロキサンを使用した例である。
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部およびドデシル硫酸ナトリウム5部を、脱イオン水100部中に均一に分散させた。この分散液に、オクタメチルシクロテトラシロキサン50部とイソパラフィン系炭化水素油(沸点166〜202℃)50部を添加し、撹拌により予備混合した後、加圧ホモジナイザーに圧力1000kgf/cm2で1回通すことにより、シロキサンおよびイソパラフィン系炭化水素油(沸点166〜202℃)を含むエマルジョンを得た。
このエマルジョンに、硫酸0.2部を添加し、撹拌しながら75℃で3時間、1℃にて24時間保持した。ついで、撹拌を続けながら10%炭酸ナトリウム水溶液をpHが7になるまで滴下することにより、重合反応を停止させて、シロキサンおよびイソパラフィン系炭化水素油(沸点166〜202℃)を含むエマルジョンE−C1を製造した。
【0056】
[比較例2]
これは、乳化重合を行わずにポリオルガノシロキサンと溶媒を機械的に乳化した場合の例である。
ポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテル5部、ポリオキシエチレン(15)ノニルフェニルエーテル5部、1000cSt ジメチルシロキサン50部、トルエン50部、および脱イオン水200部を添加し、充分に撹拌し、加圧ホモジナイザーに500kgf/cm2で2回通すことによりエマルジョンE−C2を得た。
【0057】
[比較例3]
これは、溶媒を使用しない場合の例である。
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部およびドデシル硫酸ナトリウム5部を、脱イオン水100部中に均一に分散させた。この分散液に、粘度83cSt のα,ω−ジヒドロキシ(ジメチルシロキサン)100部を添加し、撹拌により予備混合した後、加圧ホモジナイザーに圧力1000kgf/cm2で1回通すことにより、α,ω−ジヒドロキシ(ジメチルシロキサン)を含むエマルジョンを得た。
このエマルジョンに硫酸0.2部を添加し、撹拌しながら1℃にて24時間保持した。ついで、撹拌を続けながら10%炭酸ナトリウム水溶液をpHが7になるまで滴下することにより、重合反応を停止させて、ポリジメチルシロキサンを含むエマルジョンE−C3を製造した。
【0058】
[評価例]
実施例および比較例で得られたポリメチルシロキサンエマルジョンE−1〜E−6およびE−C1〜E−C3の油相の平均粒子径を測定した。また、これらのエマルジョンに含まれるポリジメチルシロキサンについて、粘度を測定した。さらに、それぞれのエマルジョンの保存安定性および表面摩擦性を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0059】
【0060】
この表に示した重合結果から、本発明による溶媒含有ポリオルガノシロキサンエマルジョンは、安定性に優れ、ベースポリマーであるポリオルガノシロキサンの粘度を任意にコントロールすることが可能であり、基材を処理した場合に均一に良好な滑り性を付与できるもの、であることがわかる。
Claims (1)
- 下記の成分(A)〜(E)を含んでなるエマルジョンについて、成分(A)の重合を0〜80℃の条件(但し、成分(B)の溶媒として環状シロキサンを使用する場合には、0〜50℃の条件)にて2〜48時間行わせることによって得られるものであることを特徴とする、溶媒含有ポリオルガノシロキサンエマルジョン。
(A)一般式
HO[(R1)2SiO]mH (I)
(式中、R1は互いに同一でも異なっていても良い、置換または非置換の1価の炭化水素基を表し、mは成分(A)の25℃における粘度を10〜3,000cSt にする値である)で示される、シラノール基末端ポリジオルガノシロキサン、
(B)n−ヘキサン、ガソリン、ゴム揮発油、ミネラルスピリット、灯油、およびイソパラフィン系炭化水素から選択される脂肪族炭化水素と、ベンゼン、トルエン、およびキシレンから選択される芳香族炭化水素と、デカメチルシクロペンタシロキサン、およびオクタメチルシクロテトラシロキサンから選択される環状シロキサンとからなる群より選択される、溶媒、
(C)イオン性界面活性剤、
(D)成分(A)に対する重合用触媒
(但し、成分(C)に触媒作用を有するイオン性界面活性剤を使用する場合は、成分(D)はその少なくとも一部を省略することができる)、および
(E)水。
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