JP4438308B2 - ステロイド化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、食品化学工業等において有用なステロイド化合物を合成する方法に関し、更に詳しくは、デスモステロールを原料として、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、グリコケノデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸等のステロイド化合物またはそれらの中間体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
リトコール酸、ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸は、通常、牛より得られる胆汁酸、主としてコール酸を原料として製造されている。例えば、ウルソデオキシコール酸の場合、コール酸の12位水酸基をケトンへと導くため、12α―ヒドロキシステロイドデヒドロゲネ−スを作用させた後、ウォルフ―キシュナー還元により、12位ケトンをメチレンへと導き、αの立体化学である7位水酸基に対し、7α―ヒドロキシステロイドデヒドロゲネ−スと7β―ヒドロキシステロイドデヒドロゲネ−スを同時に作用させ、7α水酸基を7β水酸基へと異性化するという製造方法が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。しかし、様々な薬用効果持つステロイド化合物は、需要拡大による原料価格の上昇の可能性もあることから、胆汁酸以外の化合物を原料とした、新規合成法の開発が求められている。
【0003】
【非特許文献1】
Prep. Biochem., 1982, 12(4), 307-321
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ステロールの一種であるデスモステロールを原料として用い、有機合成的手法で、3位酸素官能基、5位二重結合、7位酸素官能基を有し、24位がカルボン酸である化合物の合成を行い、各種ステロイド化合物合成中間体の合成方法の提供を行うと共に、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸、あるいは、グリコケノデオキシコール酸等のステロイド化合物の合成方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、先ず、デスモステロールの骨格部5位の二重結合はイソ型とすることで保護し、次に、24位の二重結合をオゾンで処理することでオゾニドを生成させた後、ジョーンズ試薬で酸化的に処理し、24位の二重結合をワンポットでカルボン酸へと導き、次に、3位水酸基ならびに5位二重結合はイソ型を脱保護することで再生することにより、リトコール酸等の合成中間体(5)を合成することができ、さらに、(5)をアリル酸化し、7位にカルボニル基を導入すること等により、ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸等各種ステロイド類の合成中間体(7)を合成することができることを見出した。
【0006】
本発明はこれらの知見により完成されたものである。
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
(A) デスモステロールを原料として下記式(5)
【0007】
【化18】
Figure 0004438308
【0008】
(式中、R3は水素原子またはメチル基を示す)で表される3−ヒドロキシ−5−コレン−24−オイック酸エステル誘導体を製造するにあたり、デスモステロールを式R11(式中、R1は保護基を示し、X1は脱離基を示す)で表される保護試薬と反応させ、得られる下記式(1)
【0009】
【化19】
Figure 0004438308
【0010】
(式中、R1は前記と同義である)で表される化合物を、式R2OH(式中、R2は置換されていてもよいアルキル基を示す)で表されるアルコール溶媒中、触媒の存在下加熱し、得られる下記式(2)
【0011】
【化20】
Figure 0004438308
【0012】
(式中、R2は前記と同義である)で表される化合物を、オゾンと反応させた後に酸化剤と反応させ、又は、式(2)で表される化合物の24位二重結合をエポキシドへ導いてジオールを得、若しくは直接酸化しジオールを得、該ジオールを開裂させてアルデヒド基とした後、酸化し得られる下記式(3)
【0013】
【化21】
Figure 0004438308
【0014】
(式中、R2は前記と同義である)をメチル化試薬と反応させて、得られる下記式(4)
【0015】
【化22】
Figure 0004438308
【0016】
(式中、Meはメチル基を示し、R2は前記と同義である)で表される化合物を、又は、上記式(3)で表される化合物を、酸性条件下で加熱し、脱保護反応させることを特徴とする前記式(5)の3−ヒドロキシ−5−コレン−24−オイック酸又はその誘導体の製造方法。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の化合物およびその製造法について、詳しく説明する。
本発明の製造法の原料となるデスモステロールは、和光純薬工業株式会社より市販されており容易に入手することができる。また、J. Org. Chem., 2000, 65, 1919-1923またはTetrahedron Lett., 1998, 39, 9351-9354に記載の方法に従ってデスモステロールを化学合成することもできる。
【0042】
さらに、チモステロールを経由してエルゴステロールを主ステロールとして生産する真菌類、例えば、サッカロミセス属、デバリオマイセス属、トルロプシス属、または、ピキア属に属する酵母を、ステロールC−22デサチュラーゼおよび/またはステロールC−24メチルトランスフェラーゼの活性を低減化するように代謝工学的に改変し作製した真菌類変異株を培養し、培養物から採取することにより製造することもできる。
【0043】
まず、デスモステロールから式(5)で表される化合物の製造方法について、スキームIに従って詳細に説明する。
<スキームI>
【0044】
【化35】
Figure 0004438308
【0045】
式(1)で表される化合物の製造法(工程1)
【0046】
【化36】
Figure 0004438308
【0047】
デスモステロールの5位二重結合をイソ型として保護するため、3位水酸基は、脱離能の高い官能基へと変換することが必要であり、R11(式中、R1は保護基を示し、X1は脱離基を示す)で表される保護試薬を作用させ、保護基へと置換する。
保護基(R1)としては、好ましくはp−トルエンスルホニル、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、フェニルメタンスルホニル、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホニルが用いられ、脱離基(X1)としては、好ましくはクロライド、フルオライドが用いられる。保護試薬(R11)としては、トシルクロライドまたはメシルクロライドが好ましく、これにより3位水酸基は、トシル基またはメシル基へと変換される。溶媒は、好ましくはピリジンを用いる。反応温度は、好ましくは0℃〜室温である。
【0048】
得られる化合物(1)は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の方法により精製しても良いし、精製を行わず次のイソ型化の工程に付しても良い。
【0049】
式(2)で表される化合物の製造法(工程2)
【0050】
【化37】
Figure 0004438308
【0051】
次に、工程1で得られた化合物の5位二重結合をイソ型として保護する反応を行う。
式R2OH(式中、R2は置換されていてもよいアルキル基を示す)で表されるアルコール溶媒中、触媒存在下、加熱還流を行う。ここで、R2の置換されていてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ベンジル基等が好ましく、さらに好ましくはメチル基、エチル基である。アルコール溶媒としてはメタノールまたはエタノールが好ましく用いられる。
【0052】
触媒としては、酸または塩基触媒が好ましく、例えば、酢酸カリウム、炭酸水素カリウム、酢酸が挙げられ、これらの中で酢酸カリウムが好適に用いられる。反応温度は、用いる溶媒に応じて設定し、メタノールを用いた場合、好ましくは75℃〜85℃である。
得られる化合物(2)は、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の手段で精製することができる。
【0053】
式(3)で表される化合物の製造法(工程3)
【0054】
【化38】
Figure 0004438308
【0055】
この工程3において、工程2で得られる化合物(2)を、オゾン分解させた後に酸化剤と反応させる、または、二重結合をエポキシドへ導いた後ジオールへと変換するか、直接酸化しジオールへ導き、更に酸化することで対応するカルボン酸化合物(3)へ変換する。
オゾン分解はそれ自体公知の方法、すなわち化合物(2)にオゾンを通気することによって行われる。このオゾン分解の工程は、炭化水素類(ペンタン、ヘキサン、ベンゼン)、ハロゲン系溶媒、酢酸エチル、アセトン等の有機溶媒中で行われる。酸化剤としてジョーンズ試薬、過蟻酸、過ヨウ素酸が好ましく使用でき、なかでもジョーンズ試薬が最も好ましい。オゾンの通気は、−78℃〜0℃で行うのが好ましく、−78℃で行うのが最も好ましい。酸化剤での処理は、0℃〜25℃で行うのが好ましいが、0℃で行うのが最も好ましい。
【0056】
またオゾン通気後の処理として、ナトリウムボロンヒドリド、亜鉛、ジメチルスルフィド等の還元剤による処理を施すことで、アルコールやアルデヒドに導いた後、ジョーンズ試薬や亜塩素酸等の酸化剤を作用させることでカルボン酸を得ることができる。
さらに、化合物(2)は、24位二重結合をエポキシドへと導き、酸性条件下でジオールを得るか、直接酸化しジオールへ導き、ジオールの開裂反応でアルデヒドを得、最後に酸化しカルボン酸(3)を合成するという方法でも得ることができる。例として、m−クロロパーベンゾイックアシッド、過蟻酸等を用いたエポキシ化の後、過塩素酸によるジオール化するか、あるいは、4酸化オスミウムや過マンガン酸カリウム等を用いてジオール化し、過ヨウ素酸ナトリウムによるジオールの開裂でアルデヒドとした後、酸化を行うことでカルボン酸を生成するという方法が挙げられる。
【0057】
得られる化合物(3)は、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の手段で精製することができる。
【0058】
式(4)で表される化合物の製造法(工程4)
【0059】
【化39】
Figure 0004438308
【0060】
この工程4において、工程3で得られる化合物(3)に、式R312(式中、R31は保護基を示し、X2は脱離基を示す)で表されるメチル化試薬を作用させ、カルボキシル基をメチルエステル化する。保護基(R31)としては、好ましくはトリメチルシリルメタン、メチルが用いられ、脱離基(X2)としては、好ましくはアゾ基が用いられる。メチル化試薬(R312)としてはジアゾメタン、トリメチルシリルジアゾメタンが好ましい。
【0061】
得られる式(3)の化合物のカルボキシル基をメチルエステルへと変換する反応には、例えば水酸化カリウムとN−メチル−N−ニトロソ−4−トルエンスルホン酸アミドより調整するジアゾメタン、または、トリメチルシリルジアゾメタンを用いる。溶媒はベンゼン、ハロゲン系等の溶媒とメタノールとの混合溶媒を用いる。反応は室温で行う。
【0062】
得られる化合物(4)は、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の方法により精製しても良いし、精製を行わず次の脱イソ型化の工程に付しても良い。
なお、本反応工程(カルボキシル基のメチルエステル化)は、必要性により省略することも可能であり、また、工程の順序を工程5以降に適宜変更することも可能である。
【0063】
式(5)で表される化合物の製造法(工程5)
【0064】
【化40】
Figure 0004438308
【0065】
工程4で得られる化合物(4)から化合物(5)の3−ヒドロキシ−5−コレン−24−オイック酸エステル誘導体への変換は、ジオキサンと水の混合溶媒中、p−トルエンスルホン酸を加え加熱還流することにより行うことができる。また、触媒に塩酸、トリフルオロ酢酸を用いても良い。反応温度は110℃〜120℃が好ましい。
工程3で得られる化合物(3)から化合物(5)の3−ヒドロキシ−5−コレン−24−オイック酸誘導体への変換も上記と同様に、ジオキサンと水の混合溶媒中、p−トルエンスルホン酸を加え加熱還流するにより行うことができる。
得られる化合物(5)は、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の方法により精製することができる。
【0066】
化合物(5)から化合物(10)の合成例をスキームIIに従い詳細に説明する。
<スキームII>
【0067】
【化41】
Figure 0004438308
【0068】
式(6)で表される化合物の製造法(工程6)
【0069】
【化42】
Figure 0004438308
【0070】
この工程6において、工程5で得られる化合物(5)に対し3位水酸基の保護を行う。すなわち、化合物(5)に式R43(式中、R4は保護基を示し、X3は脱離基を示す)で表される保護試薬を作用させ、保護基へと置換する。保護基(R4)としては、アセチルに代表されるエステル系の保護基、トシルのような硫酸エステル系の保護基、tert-ブチルジメチルシリルの様なシリルエーテル系の保護基が好適に用いられる。脱離基(X3)としては、クロライド、トリフラートが好適に用いられる。その他、使用できる保護基、脱離基としては、特に限定はないが、本発明の方法の反応条件に使用しうるものであって、公知の方法で導入できるいかなるものを含む。これらの反応条件等は、例えば、PROTECTIVE GROUPS in ORGANIC SYNTHESIS, Green Wuts, WILEY-INTERSCIENCE, Third editionにその詳細が記載されている。反応溶媒としては、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド等を使用することが好ましい。反応温度は、好ましくは0℃〜室温で行う。
【0071】
得られる化合物(6)は、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の方法により精製しても良いし、精製を行わず次のアリル酸化の工程に付しても良い。
【0072】
式(7)で表される化合物の製造法(工程7)
【0073】
【化43】
Figure 0004438308
【0074】
この工程7において、工程6で得られる化合物(6)がアリル酸化され、化合物(7)に変換される。このアリル酸化は、化合物(6)に対し、触媒として塩化ルテニウム、ヨウ化銅、酢酸コバルト、酸化クロム、クロム−カルボニル錯体等を用い、tert-ブチルヒドロパーオキサイドを添加することで反応を行う。また3酸化クロム、3酸化クロムとピリジンから調製するコリンズ試薬、過ヨウ素酸ナトリウム等を化学量論量用いて酸化を行っても良い。溶媒にはベンゼン、アセトニトリル、アセトン、メチレンクロライド等を用い、室温で反応を行う。
得られる化合物(7)は、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の方法により精製できる。
【0075】
ウルソデオキシコール酸は、3,7−ジヒドロキシコレン−24−オイックアシッド構造で、3位水酸基はα、5位がβ、7位水酸基がβの立体化学を有する。本発明により得られる化合物(7)から、3位水酸基の立体化学の反転、5位二重結合ならびに7位カルボニル基の立体選択的な還元を行うことで、ウルソデオキシコール酸を容易に合成できる。
【0076】
式(8)で表される化合物の製造法(工程8)
【0077】
【化44】
Figure 0004438308
【0078】
この工程8において、化合物(7)の3位水酸基の保護基が脱保護される。この脱保護は、保護基の種類に応じた反応条件(例えば、PROTECTIVE GROUPS in ORGANIC SYNTHESIS, Green Wuts, WILEY-INTERSCIENCE, Third editionに記載されているもの)で行う。例としてアセチル基等のエステル系の保護基は、アルカリ加水分解により脱保護を行う。そしてtert-ブチルジメチルシリル基等のシリルエーテル系の保護基は、テトラブチルアンモニウムフルオリドを作用させるか酸加水分解で脱保護を行う。
【0079】
また、化合物(7)の保護基がトシル基等の硫酸エステル系の保護基であった場合には、工程8、工程9は省略することができる。
得られる化合物(8)は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の方法により精製しても良いし、精製を行わず次の工程に付しても良い。
【0080】
一般式(9)で表される化合物の製造法(工程9)
【0081】
【化45】
Figure 0004438308
【0082】
この工程9において、化合物(8)に式R11(R1およびX1は、前記と同義である)で表される保護試薬を作用させ、保護基へと置換する。保護基(R1)としては、好ましくはp−トルエンスルホニル、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、フェニルメタンスルホニル、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホニルが用いられ、脱離基(X1)としては、好ましくはクロライド、フルオライドが用いられる。保護試薬としては、トシルクロライドまたはメシルクロライドが好ましく、これにより3位水酸基は、トシル基またはメシル基へと変換される。溶媒は、好ましくはピリジンを用いる。反応温度は、好ましくは0℃〜室温で行う。
【0083】
得られる化合物(9)は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の方法により精製しても良いし、精製を行わず次の工程に付しても良い。
【0084】
式(10)で表される化合物の製造法(工程10)
【0085】
【化46】
Figure 0004438308
【0086】
この工程10において、化合物(9)の3位酸素官能基の立体化学を反転させ、化合物(10)を得る(R5は、3位酸素官能基の立体化学を反転させた結果形成される保護基を示す)。
3位酸素官能基の立体化学の反転は、化合物(9)に対し、例えば飽和炭酸水素ナトリウム共存下、18−クラウンエーテル−6と酢酸セシウムを作用させ加熱還流することにより行われる。反応溶媒は例えばベンゼンと水の混合溶媒を用いる。反応温度は、好ましくは90℃〜100℃である。酢酸セシウムを作用させた場合のR5は、アセチル基となる。
【0087】
また、化合物(8)に対し、アゾジカルボン酸ジエチルとトリフェニルホスフィンを反応させた後に、安息香酸や蟻酸を作用させることにより立体化学を反転した化合物(10)を得ることもできる。反応溶媒は例えばベンゼン、テトラヒドロフラン、トルエンを用いる。反応温度は、好ましくは室温〜80℃である。R5は、安息香酸を反応させた場合はベンゾイル基に、蟻酸を反応させた場合はホルミル基になる。
得られる化合物(10)は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の方法により精製しても良いし、精製を行わず次の工程に付しても良い。
【0088】
化合物(10)からウルソデオキシコール酸の合成例をスキームIIIに従い詳細に説明する。
<スキームIII>
【0089】
【化47】
Figure 0004438308
【0090】
式(11)で表される化合物の製造法(工程11)
【0091】
【化48】
Figure 0004438308
【0092】
この工程11において、化合物(10)の7位カルボニル基を立体選択的に還元し化合物(11)を得る。立体選択的還元は、例えば塩化セリウム共存下、ナトリウムボロンヒドリドを作用させることにより行われる。反応溶媒は、例えばテトラヒドロフランを用いる。反応温度は通常0℃〜室温である。
得られる化合物(11)は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の方法により精製しても良いし、精製を行わず次の工程に付しても良い。
【0093】
式(12)で表される化合物の製造法(工程12)
【0094】
【化49】
Figure 0004438308
【0095】
この工程において、化合物(11)の5位二重結合を立体選択的に還元し、化合物(12)を得る。立体選択的還元は、例えばパラジウム−炭素触媒を用いて、接触水素添加することにより行われている。反応溶媒は、例えばメチレンクロライドを用いる。反応温度は通常室温である。
得られる化合物(12)は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の方法により精製しても良いし、精製を行わず次の工程に付しても良い。
【0096】
ウルソデオキシコール酸の製造法(工程13)
【0097】
【化50】
Figure 0004438308
【0098】
この工程13において、化合物(12)の加水分解を行い、ウルソデオキシコール酸を合成する。加水分解は、好ましくは塩基性触媒の存在下で行われる。塩基性触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを用いる。反応溶媒は、例えばテトラヒドロフランと水の混合溶媒を用いる。反応温度は、通常室温〜70℃である。
得られるウルソデオキシコール酸は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の方法により精製できる。
【0099】
ウルソデオキシコール酸と同じ骨格、官能基を有するケノデオキシコール酸は、7位水酸基がαの立体化学を有し、ウルソデオキシコール酸の合成の場合とは異なる立体選択性で7位カルボニル基を還元し、立体化学がαの水酸基を構築することで導くことができる。
【0100】
化合物(10)からケノデオキシコール酸の合成法をスキームIVに従い詳細に説明する。
<スキームIV>
【0101】
【化51】
Figure 0004438308
【0102】
式(13)で表される化合物の製造法(工程14)
【0103】
【化52】
Figure 0004438308
【0104】
この工程14において、化合物(10)の7位カルボニル基を立体選択的に還元することで、α水酸基を有する化合物(13)を得る。立体選択的還元は、化合物(10)に、例えばL−セレクトライドを作用させることにより行われる。溶媒は、例えばテトラヒドロフランを用いる。反応温度は、通常0℃〜室温である。
得られる化合物(13)は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の方法により精製しても良いし、精製を行わず次の工程に付しても良い。
【0105】
式(14)で表される化合物の製造法(工程15)
【0106】
【化53】
Figure 0004438308
【0107】
この工程15において、化合物(13)の5位二重結合を立体選択的に還元し、化合物(14)を得る。立体選択的還元は、例えばパラジウム−炭素触媒を用いて、接触水素添加することにより行われる。反応溶媒は、例えばメチレンクロライドを用いる。反応温度は、通常室温である。
得られる化合物(14)は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の方法により精製しても良いし、精製を行わず次の工程に付しても良い。
【0108】
ケノデオキシコール酸の製造法(工程16)
【0109】
【化54】
Figure 0004438308
【0110】
この工程16において、化合物(14)の加水分解を行い、ケノデオキシコール酸を合成する。加水分解は、好ましくは塩基性触媒の存在下で行われる。塩基性触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを用いる。反応溶媒は、例えばテトラヒドロフランと水の混合溶媒を用いる。反応温度は、通常室温〜70℃である。
得られるケノデオキシコール酸は、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の方法により精製できる。また、精製を行わず次の工程に付しても良い。
【0111】
グリコケノデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸は、ケノデオキシコール酸に縮合剤を作用させた後、グリシン、またはタウリンを反応させることで導くことができる。
【0112】
グリコケノデオキシコール酸の製造法(工程17)
【0113】
【化55】
Figure 0004438308
【0114】
この工程17において、ケノデオキシコール酸に対し、縮合剤を作用させた後、グリシンを加え、グリコケノデオキシコール酸を得る。縮合剤としては、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドを用いる。反応溶媒は、例えばN,N−ジメチルホルムアミドを用いる。反応温度は、通常室温である。
得られるグリコケノデオキシコール酸は、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の方法により精製できる。
【0115】
タウロケノデオキシコール酸の製造法(工程18)
【0116】
【化56】
Figure 0004438308
【0117】
この工程18において、ケノデオキシコール酸に対し、縮合剤を作用させた後、タウリンを加え、タウロケノデオキシコール酸を得る。縮合剤としては、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドを用いる。反応溶媒は、例えばN,N−ジメチルホルムアミドを用いる。反応温度は、通常室温である。
得られるタウロケノデオキシコール酸は、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の方法により精製できる。
【0118】
また本発明における化合物(5)は、3位水酸基の立体化学をβからαに異性化し、5位二重結合の還元を立体選択的に行うことで、液晶原料として期待されているリトコール酸の合成にも応用可能である。
【0119】
化合物(5)からリトコール酸の合成法をスキームIVに従い詳細に説明する。<スキームIV>
【0120】
【化57】
Figure 0004438308
【0121】
式(15)で表される化合物の製造法(工程19)
【0122】
【化58】
Figure 0004438308
【0123】
この工程19において、化合物(5)に式R11(R1およびX1は前記と同義である。)で表される保護試薬を作用させ、保護基へと置換する。保護基(R1)としては、好ましくはp−トルエンスルホニル、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、フェニルメタンスルホニル、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホニルが用いられ、脱離基(X1)としては、好ましくはクロライド、フルオライドが用いられる。保護試薬(R11)としては、トシルクロライドまたはメシルクロライドが好ましく、これにより3位水酸基は、トシル基またはメシル基へと変換される。溶媒は、好ましくはピリジンを用いる。反応温度は、好ましくは0℃〜室温である。
得られる化合物(15)は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の方法により精製しても良いし、精製を行わず次の工程に付しても良い。
【0124】
式(16)で表される化合物の製造法(工程20)
【0125】
【化59】
Figure 0004438308
【0126】
この工程20において、化合物(15)の3位酸素官能基の立体化学を反転させ、化合物(16)を得る(R5は前記と同義である)。
立体化学の反転は、化合物(15)に対し、例えば飽和炭酸水素ナトリウム共存下、18−クラウンエーテル−6と酢酸セシウムを作用させ加熱還流することにより行われる。反応溶媒は、例えばベンゼンと水の混合溶媒を用いる。反応温度は、好ましくは90℃〜100℃である。酢酸セシウムを作用させた場合のR5は、アセチル基となる。
【0127】
また、化合物(5)に対し、アゾジカルボン酸ジエチルとトリフェニルホスフィンを反応させた後に安息香酸や蟻酸を作用させることでも化合物(16)を得ることができる。反応溶媒は、例えばベンゼン、テトラヒドロフラン、トルエンを用いる。反応温度は、好ましくは室温〜80℃である。R5は、安息香酸を反応させた場合はベンゾイル基に、蟻酸を反応させた場合はホルミル基になる。
得られる化合物(16)は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の方法により精製しても良いし、精製を行わず次の工程に付しても良い。
【0128】
式(17)で表される化合物の製造法(工程21)
【0129】
【化60】
Figure 0004438308
【0130】
この工程21において、化合物(16)の5位二重結合を還元し、化合物(17)を得る。反応溶媒は、例えばメチレンクロライドを用いる。反応温度は、通常室温である。還元は、例えばパラジウム−炭素触媒を用いて、接触水素添加することにより行われる。
得られる化合物(16)は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の方法により精製しても良いし、精製を行わず次の工程に付しても良い。
【0131】
リトコール酸の製造法(工程22)
【0132】
【化61】
Figure 0004438308
【0133】
この工程22において、化合物(17)の加水分解を行い、リトコール酸を合成する。加水分解は、好ましくは塩基性触媒の存在下で行われる。出塩基性触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを用いる。反応溶媒はテトラヒドロフランと水の混合溶媒を用いる。反応温度は、通常室温〜70℃である。
得られるリトコール酸は、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の方法により精製できる。
【0134】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明は、下記の実施例により何ら限定されるものではない。尚、各実施例における生成物は、NMRスペクトルを解析し同定した。
下記実施例における各反応をスキームVに示す。
<スキームV>
【0135】
【化62】
Figure 0004438308
【0136】
実施例1:3β−トシロキシコレスタ−5,24−ジエン(化合物1’)の製造(工程1’)
デスモステロール (和光純薬工業株式会社製、70 mg, MW=384.65, 182 μmol)をピリジン (1.4 ml) に溶解し、室温で撹拌する。この溶液にトシルクロライド (82 mg, 437 μmol, 2.4 eq, MW=190.65) を加え室温で撹拌を続ける。30時間後、反応溶液に氷をいれ、5分間撹拌した後、酢酸エチルで抽出を行う。有機層は、1規定塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、酢酸エチルを減圧留去する。上記方法により、3−トシロキシコレスタ−5,24−ジエンが、98 mg (収率:100%, MW=538.83) 得られた。該化合物の物性は次のとおりである。
RF=0.74 (ヘキサン:酢酸エチル=4:1)
1H-NMR (400 MHz, TMS/CDCl3, δ ppm) δ: 0.66 (s, 3H, 18-H), 0.92 (d, 6.4 Hz, 3H, 21-H), 0.96 (s, 3H, 19-H), 1.60 (s, 3H, 26-H), 1.68 (s, 3H, 27-H), 2.45 (s, 3H, -Ph-Me), 4.32 (m, 1H, 3-H), 5.08 (tt, J=7.0, 1.4 Hz, 1H, 24-H), 5.30 (dd, J=3.0, 2.2 Hz, 1H, 6-H), 7.33 (d, J=8.0 Hz, 2H, m-Ph-H), 7.79 (d, J=8.4 Hz, 2H, o-Ph-H)
【0137】
実施例2:6−メトキシ−3,5−シクロコレスト−24−エン(化合物2’)の製造(工程2’)
3−トシロキシコレスタ−5,24−ジエン(98 mg, 182 μmol, MW=538.83) をメタノール(2.1 ml, bp=64.5℃) に溶解し、この溶液に酢酸カリウム (89 mg, 910 μmol, 5.0 eg., MW=98.14) を加え、90分、加熱還流を行う。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層は1規定塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、酢酸エチルを減圧留去し、得られる固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ヘキサン:ジエチルエーテル=60:1)で精製する。上記方法により、6−メトキシ−3,5−シクロコレスト−24−エンが53 mg (収率:73%, MW=398.65) 得られた。該化合物の物性は次のとおりである。
RF=0.74 (ヘキサン:酢酸エチル=10:1)
1H-NMR (400 MHz, TMS/CDCl3, δppm) δ: 0.43 (dd, J=8.0, 5.2 Hz, 1H, 4α-H), 0.65 (t, J=4.2 Hz, 1H, 4β-H), 0.72 (s, 3H, 18-H), 0.92 (d, 6.4 Hz, 3H, 21-H), 0.96 (s, 3H, 19-H), 1.60 (s, 3H, 26-H), 1.68 (s, 3H, 27-H), 2.45 (s, 3H, -Ph-Me), 4.32 (m, 1H, 3-H), 5.08 (tt, J=7.0, 1.4 Hz, 1H, 24-H), 5.30 (dd, J=3.0, 2.2 Hz, 1H, 6-H), 7.33 (d, J=8.0 Hz, 2H, m-Ph-H), 7.79 (d, J=8.4 Hz, 2H, o-Ph-H)
【0138】
実施例3:6−メトキシ−3,5−シクロコラン−24−オイックアシッド(化合物3’)の製造(工程3’)
6−メトキシ−3,5−シクロコレスト−24−エン5.0 mg (13 μmol, MW=398.65) を酢酸エチル(5.0 ml)に溶解し、ドライアイス−アセトン浴を用いて−78℃に冷却し、オゾンガスをこの溶液に通じる。尚、反応溶液通気後の気体は、5%ヨウ化カリウム水溶液と5%チオ硫酸ナトリウム水溶液の2種類の溶液に順次通気する。10分後、ヨウ化カリウム水溶液が呈色したことを確認した後、オゾンガスの導入を止め、窒素ガスを吹き込み、溶液内に残留しているオゾンガスを除去する。窒素ガスの吹き込みを止め、氷浴内0℃で撹拌し、ジョーンズ試薬 (2.76 M, 25 μl, 70 μmol, 5.5 eq.)を添加し反応終了確認後、イソプロパノール(0.2 ml)を加え、5分間撹拌した後、水で希釈し、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、あわせた有機層を5%チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、酢酸エチルを減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル=4:1) で精製する。上記方法により、6−メトキシ−3,5−シクロコラン−24−オイックアシッドが4.0 mg (収率:82%, MW=388.59) 得られた。該化合物の物性は次のとおりである。
RF=0.28 (ヘキサン:酢酸エチル=10:1)
1H-NMR (400 MHz, TMS/CDCl3, δppm) δ: 0.43 (dd, J=7.8, 5.0 Hz, 1H, 4α-H), 0.65 (t, J=4.4 Hz, 1H, 4β-H), 0.72 (s, 3H, 18-H), 0.93 (d, 6.4 Hz, 3H, 21-H), 1.02 (s, 3H, 19-H), 2.26 (ddd, J=6.2, 9.6, 15.8 Hz, 1H, 23-H1), 2.40 (ddd, J=5.2, 10.0, 15.6 Hz, 1H, 23-H2), 2.78 (t, J=2.8 Hz, 1H, 3-H), 3.33 (s, 3H, -OMe)
13C-NMR (100 MHz, TMS/CDCl3, δppm) δ:-1.03, 11.2, 12.1, 13.1, 17.3, 18.3, 20.5, 21.7, 23.1, 23.9, 27.2, 29.5, 29.7, 29.8, 32.3, 34.0, 34.3, 39.2, 41.8, 42.4, 47.0, 55.5, 81.4, 177.7
【0139】
実施例4:6−メトキシ−3,5−シクロコラン−24−オイックアシッド−メチルエステル(化合物4’)の製造(工程4’)
6−メトキシ−3,5−シクロコラン−24−オイックアシッド 5.0 mg(13μmol, MW=388.59) をメタノール (0.5 ml)に溶解し、トリメチルシリルジアゾメタン 100 μl (0.63 M (10%v/v) solution in hexane, 80 μmol, 5.0 eq) を加え、室温で40分撹拌する。水を加え反応を停止後、酢酸エチルで抽出を行い、有機層は1規定塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、酢酸エチルを減圧留去する。上記方法により、6−メトキシ−3,5−シクロコラン−24−オイックアシッド−メチルエステル体が5.0 mg (収率:98 %, MW=402.62) 得られた。該化合物の物性は次のとおりである。
RF=0.77 (ヘキサン:酢酸エチル=4:1)
1H-NMR (400 MHz, TMS/CDCl3, δ ppm) δ: 0.43 (dd, J=8.0, 5.2 Hz, 1H, 4α-H), 0.65 (t, J=4.4 Hz, 1H, 4β-H), 0.72 (s, 3H, 18-H), 0.92 (d, 6.4 Hz, 3H, 21-H), 1.02 (s, 3H, 19-H), 2.22 (ddd, J=6.4, 9.8, 15.8 Hz, 1H, 23-H1), 2.35 (ddd, J=5.2, 10.0, 15.2 Hz, 1H, 23-H2), 2.77 (t, J=2.8 Hz, 1H, 3-H), 3.32 (s, 3H, -OMe), 3.66 (s, 3H, -COOMe)
【0140】
実施例5:3−ヒドロキシー5−コレン−24−オイックアシッド−メチルエステル(化合物5’)の製造(工程5’)
6−メトキシ−3,5−シクロコラン−24−オイックアシッド−メチルエステル 26 mg (65 μmol, MW=402.62) をジオキサン (1.0 ml, b.p.=101℃) と水 (0.3 ml) に溶解し、この溶液にパラトルエンスルホン酸水溶液 4.7 ml (969 μmol, 15.0 eg., MW=98.14, 20 mg/ml) を加え、加熱還流を行う。3時間後、酢酸エチルで抽出を行い、有機層は飽和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、酢酸エチルを減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル=3:1) で精製する。上記方法により、3β−ヒドロキシ−5−コレン−24−オイックアシッド−メチルエステルが18 mg (収率:70%, MW=388.59) 得られた。該化合物の物性は次のとおりである。
RF=0.28 (ヘキサン:酢酸エチル=4:1)
1H-NMR (400 MHz, TMS/CDCl3, δppm) δ: 0.68 (s, 3H, 18-H), 0.93 (d, 6.8 Hz, 3H, 21-H), 1.01 (s, 3H, 19-H), 3.52 (m, 1H, 3-H), 3.66 (s, 3H, -COOMe), 5.35 (m, 1H, 6-H)
【0141】
実施例6:3β−アセトキシ−5−コレン−24−オイックアシッド−メチルエステル(化合物6’)の製造(工程6’)
3β−ヒドロキシ−5−コレン−24−オイックアシッド−メチルエステル18 mg (46 μmol,MW=388.59) をピリジン (0.5 ml) に溶解し、無水酢酸100 μl (1.1 mmol, d=1.082, 24 eg., MW=98.14) を加え、0℃で撹拌する。15時間後、氷を加え5分間撹拌し、反応混合物を酢酸エチルで抽出する。有機層は1規定塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、酢酸エチルを減圧留去、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:1)で精製する。上記方法により、3β−アセトキシ−5−コレン−24−オイックアシッド−メチルエステルが18 mg (収率:95%, MW=430.63)
得られる。該化合物の物性は次のとおりである。
RF=0.56 (ヘキサン:酢酸エチル=4:1)、mp= 152.0-152.2℃
1H-NMR (400 MHz, TMS/CDCl3, δppm) δ: 0.68 (s, 3H, 18-H), 0.93 (d, 6.4 Hz, 3H, 21-H), 1.02 (s, 3H, 19-H), 2.03 (s, 3H, -COCH 3 ), 3.66 (s, 3H, -COOMe), 4.60 (m, 1H, 3-H), 5.37 (d, 4.8 Hz, 1H, 6-H)
【0142】
実施例7:3β−アセトキシ−5−コレ−7−オン−24−オイックアシッド−メチルエステル(化合物7’)の製造(工程7’)
3β−アセトキシ−5−コレン−24−オイックアシッド−メチルエステル (8 mg, 18 μmol, MW=430.63)をシクロヘキサン (1.0 ml) に、50℃で溶解し、水 (0.1 ml)と塩化ルテニウム(4.0 mg, 1.0 eq)を加え、室温で撹拌する。この溶液に、70% ターシャリーブチルヒドロパーオキサイド水溶液 75 μl (FW=90.12, d=0.93, 552 μmol, 30 eq) をゆっくりと添加後、6時間撹拌する。酢酸エチルで希釈しシリカゲルで反応溶液を濾過して、金属固体を除き、有機層を5%チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧除去する。得られる固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル=4:1) を用いて精製する。上記方法により、3β−アセトキシ−5−コレ−7−オン−24−オイックアシッド−メチルエステルが4 mg(収率:48%, MW=444.62)得られた。該化合物の物性は次のとおりである。
RF=0.23 (ヘキサン:酢酸エチル=4:1)、mp= 166.8-168.1℃
1H-NMR (400 MHz, TMS/CDCl3, δppm) δ: 0.68 (s, 3H, 18-H), 0.93 (d, 6.4 Hz, 3H, 21-H), 1.21 (s, 3H, 19-H), 2.05 (s, 3H, -COCH 3 ), 3.67 (s, 3H, -COOMe), 4.71 (m, 1H, 3-H), 5.70 (d, 2.0 Hz, 1H, 6-H)
13C-NMR (100 MHz, TMS/CDCl3, δppm) δ:12.0, 17.3, 18.5, 21.2, 21.3, 26.3, 27.4, 28.4, 31.0, 31.1, 35.3, 36.0, 37.8, 38.3, 38.6, 43.2, 45.4, 49.8, 49.9, 51.5, 54.5, 72.2, 126.7, 163.9, 170.3, 174.7, 201.8
【0143】
【発明の効果】
本発明によれば、デスモステロールから、3位水酸基、5位二重結合、7位カルボニル基、24位カルボン酸を有する化合物等が効率よく得られる。これら化合物はウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸、グリコケノデオキシコール酸等の胆汁酸類の合成中間体として有用である。また、本発明において合成中間体となる3位水酸基、5位二重結合、24位カルボン酸を有する化合物は、リトコール酸の合成中間体として有用である。

Claims (1)

  1. デスモステロールを原料として下記式(5)
    Figure 0004438308
    (式中、R3は水素原子またはメチル基を示す)で表される3−ヒドロキシ−5−コレン−24−オイック酸エステル誘導体を製造するにあたり、デスモステロールを式R1X1(式中、R1は保護基を示し、X1は脱離基を示す)で表される保護試薬と反応させ、得られる下記式(1)
    Figure 0004438308
    (式中、R1は前記と同義である)で表される化合物を、式R2OH(式中、R2は置換されていてもよいアルキル基を示す)で表されるアルコール溶媒中、触媒の存在下加熱し、得られる下記式(2)
    Figure 0004438308
    (式中、R2は前記と同義である)で表される化合物を、オゾンと反応させた後に酸化剤と反応させ、又は、式(2)で表される化合物の24位二重結合をエポキシドへ導いてジオールを得、若しくは直接酸化しジオールを得、該ジオールを開裂させてアルデヒド基とした後、酸化し得られる下記式(3)
    Figure 0004438308
    (式中、R2は前記と同義である)をメチル化試薬と反応させて、得られる下記式(4)
    Figure 0004438308
    (式中、Meはメチル基を示し、R2は前記と同義である)で表される化合物を、又は、上記式(3)で表される化合物を、酸性条件下で加熱し、脱保護反応させることを特徴とする前記式(5)の3−ヒドロキシ−5−コレン−24−オイック酸又はその誘導体の製造方法。
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