JP4437963B2 - モータリトラクタ - Google Patents

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Description

本発明は、ウエビング巻取装置に係り、特に、モータによって巻取軸を回転させることでウエビングを巻き取ることができるモータリトラクタに関する。
乗員拘束用シートベルト装置は、ウエビング巻取装置(リトラクタ)を備えている。このウエビング巻取装置には、ウエビング装着時の過度な圧迫感を軽減又は解消するための所謂テンションリデューサ機構や、車両急減速状態等に一定量ウエビングを巻取軸に巻き取らせることで「スラック」等と称される僅かな緩みを解消すると共にウエビングによる乗員の身体の拘束力を増加させ、より一層確実に乗員の身体を保持するプリテンショナー機構を設けたものがあり、さらに、前記各機能をモータによって行う構成の所謂モータリトラクタが知られている(一例として、特許文献1、特許文献2参照)。
この種のモータリトラクタでは、例えば、前述の如くテンションリデューサやプリテンショナーの機能を発揮できるのみならず、通常のウエビング装着時におけるウエビングの巻取りや引出しの補助等をも行うことが可能であり、極めて有益である。
またここで、特に近年では、前述の如きモータリトラクタにおいて、前方の他の車両や障害物までの距離を距離センサ等の前方監視装置で検出し、前方の車両や障害物までの距離が一定値未満になるとモータを作動させ、モータの回転力で巻取軸を巻取方向に回転させる構成のものが考えられている。このようなモータリトラクタでは、巻取軸側からの回転がモータに伝わることを防止するために、モータの出力軸と巻取軸との間にクラッチを介在させ、このクラッチによってモータ出力軸側からの回転のみを巻取軸に伝達する構成としている。
このようなモータリトラクタのクラッチでは、例えば、モータの回転が伝達されて回転する回転体を備えている。この回転体には、付勢部材によって常に巻取軸との係合方向へ付勢されたロックバー(パウル)が支持されており、このロックバーは、通常は回転体に設けられた保持部材によって巻取軸との係合解除位置に保持されている。そして、モータの駆動力により回転体が軸線周り一方へ回転すると、保持部材によるロックバーの保持が解除され、ロックバーは付勢部材の付勢力によって巻取軸に係合するようになっている。これにより、回転体の回転が巻取軸に伝達されて巻取軸が回転する。一方、回転体が軸線周り他方へ回転すると、保持部材はロックバーを付勢部材の付勢力に抗して巻取軸との係合解除位置に移動させて保持するようになっている。
ところで、上記構成のクラッチでは、上述の如く、巻取軸と係合するロックバーは、付勢部材によって常に巻取軸との係合方向へ付勢された構成である。このため、例えば、車両の激しい振動等により保持部材によるロックバーの保持が解除された場合には、ロックバーは付勢部材の付勢力によって巻取軸に係合し、クラッチが不要に結合することになる。
特開2001−130376号公報 特開2001−347923号公報
本発明は上記事実を考慮し、クラッチの誤結合を防止できるモータリトラクタを得ることが目的である。
請求項1に係る発明のモータリトラクタは、乗員拘束用のウエビングが巻取り引出し可能に巻き回された巻取軸と、モータと、機械的に前記モータと前記巻取軸との間に介在し、前記モータの回転を前記巻取軸に伝達して前記巻取軸を回転させると共に、前記巻取軸側で生じた回転の伝達を遮断して当該回転が前記モータに伝達されることを防止するクラッチと、を備えたモータリトラクタにおいて、前記クラッチは、前記巻取軸に対して同軸的に設けられ、前記モータの回転が伝達されて回転する回転体と、前記回転体に対して所定の範囲内で相対移動可能とされると共に、前記移動方向一方側へ向けて突出する押圧保持片を有するスライダと、前記回転体に設けられ、常に前記巻取軸との係合方向へ付勢されると共に、前記スライダの前記押圧保持片側へ突出する解除片を有し、通常は前記解除片が前記押圧保持片に係合することで前記巻取軸との係合解除位置に保持され、前記回転体が軸線周り一方へ回転した際には前記スライダから離間移動して前記保持を解除され前記付勢力によって前記巻取軸に係合し前記回転体の前記軸線周り一方への回転を前記巻取軸に伝達すると共に、前記回転体が軸線周り他方へ回転した際には前記スライダに接近移動して前記解除片が前記押圧保持片に係合することで前記係合解除位置に移動されて保持されるロックバーと、を備え、かつ、前記スライダの前記押圧保持片及び前記ロックバーの前記解除片のうち少なくとも一方は、前記回転体の停止時における前記スライダの前記ロックバーからの離間移動に対して所定の抗力を生じさせる保持部を有する、ことを特徴としている。
請求項1記載のモータリトラクタでは、モータの回転を巻取軸に伝達するクラッチを備えている。このクラッチは、モータの回転が伝達されて回転する回転体と、回転体に設けられ巻取軸に係合することで回転体の軸線周り一方への回転を巻取軸に伝達するロックバーとを有している。このロックバーは、解除片を有しており、通常はこの解除片がスライダの押圧保持片に係合することで、巻取軸との係合解除位置に保持されている。このため、通常は回転体と巻取軸とは互いに相対回転可能とされており、巻取軸側で生じた回転がモータに伝達されることが防止されている。
これにより、車両の座席に着席した乗員が、本モータリトラクタに格納されたウエビングを引っ張ると、巻取軸が回転しつつウエビングが引き出される。これにより、乗員は引き出されたウエビングを身体に掛けまわし、例えば、ウエビングに設けられたタングプレートをバックル装置に係合させることで、ウエビングを身体に装着することができる。
さらに、モータが回転すると、クラッチの回転体が軸線周り一方へ回転される。このとき、回転体はスライダに対して所定の範囲内で相対移動し、回転体に設けられたロックバーがスライダから離間移動する。このため、ロックバーは、スライダの押圧保持片による解除片の保持を解除され、付勢力によって巻取軸に係合する。これにより、回転体の軸線周り一方への回転がロックバーを介して巻取軸に伝達され、巻取軸が軸線周り一方へ回転される。
一方、モータが逆転すると、クラッチの回転体が軸線周り他方へ回転される。このとき、回転体はスライダに対して所定の範囲内で相対移動し、回転体に設けられたロックバーがスライダに接近移動する。このため、ロックバーは、解除片がスライダの押圧保持片に係合することで、再び巻取軸との係合解除位置に移動されて保持される。これにより、回転体と巻取軸とは再び相対回転可能とされ、巻取軸の自在な回転が可能となる。
ここで、このモータリトラクタのクラッチでは、スライダの押圧保持片及びロックバーの解除片のうち少なくとも一方は、回転体の停止時におけるスライダのロックバーからの離間移動に対して所定の抗力を生じさせる保持部を有している。したがって、例えば、走行中の車両の激しい振動等により、スライダがロックバーから離間移動しようとした場合でも、保持部による上記所定の抗力によって当該離間移動が阻止され、スライダの押圧保持片とロックバーの解除片との係合状態が維持される。これにより、スライダによるロックバーの保持が不要に解除されることが防止され、クラッチの誤結合が防止される。
請求項2に係る発明のモータリトラクタは、請求項1記載のモータリトラクタにおいて、前記保持部は、前記スライダと前記ロックバーとの離間移動の際に前記付勢力に抗して前記ロックバーを前記巻取軸との係合解除方向へ所定量移動させる傾斜面とされる、ことを特徴としている。
請求項2記載のモータリトラクタでは、スライダの押圧保持片及びロックバーの解除片のうち少なくとも一方には、傾斜面が設けられている。この傾斜面は、スライダとロックバーとの離間移動の際に、付勢力に抗してロックバーを巻取軸との係合解除方向へ所定量移動させる。これにより、スライダのロックバーからの離間移動に対して所定の抗力が生じ、クラッチの誤結合が防止される。
請求項3に係る発明のモータリトラクタは、乗員拘束用のウエビングが巻取り引出し可能に巻き回された巻取軸と、モータと、機械的に前記モータと前記巻取軸との間に介在し、前記モータの回転を前記巻取軸に伝達して前記巻取軸を回転させると共に、前記巻取軸側で生じた回転の伝達を遮断して当該回転が前記モータに伝達されることを防止するクラッチと、を備えたモータリトラクタにおいて、前記クラッチは、前記巻取軸に対して同軸的に設けられ、前記モータの回転が伝達されて回転する回転体と、前記回転体に対して所定の範囲内で相対移動可能とされたスライダと、前記回転体に設けられ、常に前記巻取軸との係合解除方向へ付勢され、前記回転体が軸線周り一方へ回転した際には前記スライダによって前記巻取軸側へ押圧されることで前記巻取軸に係合し前記回転体の前記軸線周り一方への回転を前記巻取軸に伝達すると共に、前記回転体が軸線周り他方へ回転した際には前記スライダによる前記押圧を解除されることで前記付勢力により前記係合解除位置に移動されて保持されるロックバーと、を備えたことを特徴としている。
請求項3記載のモータリトラクタでは、モータの回転を巻取軸に伝達するクラッチを備えている。このクラッチは、モータの回転が伝達されて回転する回転体と、回転体に設けられ巻取軸に係合することで回転体の軸線周り一方への回転を巻取軸に伝達するロックバーとを有している。このロックバーは、常に巻取軸との係合解除方向へ付勢されており、通常は巻取軸との係合解除位置に保持されている。このため、通常は回転体と巻取軸とは互いに相対回転可能とされており、巻取軸側で生じた回転がモータに伝達されることが防止されている。
これにより、車両の座席に着席した乗員が、本モータリトラクタに格納されたウエビングを引っ張ると、巻取軸が回転しつつウエビングが引き出される。これにより、乗員は引き出されたウエビングを身体に掛けまわし、例えば、ウエビングに設けられたタングプレートをバックル装置に係合させることで、ウエビングを身体に装着することができる。
さらに、モータが回転すると、クラッチの回転体が軸線周り一方へ回転される。このとき、回転体はスライダに対して所定の範囲内で相対移動し、回転体に設けられたロックバーは、スライダによって巻取軸側へ押圧されることで巻取軸に係合する。これにより、回転体の軸線周り一方への回転がロックバーを介して巻取軸に伝達され、巻取軸が軸線周り一方へ回転される。
一方、モータが逆転すると、クラッチの回転体が軸線周り他方へ回転される。このとき、回転体はスライダに対して所定の範囲内で相対移動し、回転体に設けられたロックバーは、スライダによる押圧を解除される。このため、ロックバーは、付勢力によって再び巻取軸との係合解除位置に移動されて保持される。これにより、回転体と巻取軸とは再び相対回転可能とされ、巻取軸の自在な回転が可能となる。
ここで、このモータリトラクタのクラッチでは、ロックバーは、常に巻取軸との係合解除方向へ付勢された構成である。したがって、例えば、走行中の車両に激しい振動が生じた場合でも、ロックバーは付勢力によって巻取軸との係合解除位置に保持される。これにより、ロックバーが不要に巻取軸に係合することが防止され、クラッチの誤結合が防止される。
請求項4に係る発明のモータリトラクタは、乗員拘束用のウエビングが巻取り引出し可能に巻き回された巻取軸と、モータと、機械的に前記モータと前記巻取軸との間に介在し、前記モータの回転を前記巻取軸に伝達して前記巻取軸を回転させると共に、前記巻取軸側で生じた回転の伝達を遮断して当該回転が前記モータに伝達されることを防止するクラッチと、を備えたモータリトラクタにおいて、前記クラッチは、前記巻取軸に対して同軸的に設けられ、前記モータの回転が伝達されて回転する回転体と、前記回転体に対してそれぞれ所定の範囲内で相対移動可能とされた一対のスライダと、前記一対のスライダを連結して同期させるスペーサと、前記回転体に設けられ、通常は前記各スライダによってそれぞれ前記巻取軸との係合解除位置に保持され、前記回転体が軸線周り一方へ回転した際にはそれぞれ前記保持を解除されて前記巻取軸に係合し前記回転体の前記軸線周り一方への回転を前記巻取軸に伝達すると共に、前記回転体が軸線周り他方へ回転した際にはそれぞれ前記各スライダによって前記係合解除位置に移動されて保持される一対のロックバーと、を備えたことを特徴としている。
請求項4記載のモータリトラクタでは、モータの回転を巻取軸に伝達するクラッチを備えている。このクラッチは、モータの回転が伝達されて回転する回転体と、回転体に設けられ巻取軸に係合することで回転体の軸線周り一方への回転を巻取軸に伝達する一対のロックバーとを有している。これらのロックバーは、通常は一対のスライダによって、それぞれ巻取軸との係合解除位置に保持されている。このため、通常は回転体と巻取軸とは互いに相対回転可能とされており、巻取軸側で生じた回転がモータに伝達されることが防止されている。
これにより、車両の座席に着席した乗員が、本モータリトラクタに格納されたウエビングを引っ張ると、巻取軸が回転しつつウエビングが引き出される。これにより、乗員は引き出されたウエビングを身体に掛けまわし、例えば、ウエビングに設けられたタングプレートをバックル装置に係合させることで、ウエビングを身体に装着することができる。
さらに、モータが回転すると、クラッチの回転体が軸線周り一方へ回転される。このとき、回転体は一対のスライダに対して所定の範囲内で相対移動し、回転体に設けられた一対のロックバーは、各スライダによる保持を解除され、付勢力によって巻取軸に係合する。これにより、回転体の軸線周り一方への回転が一対のロックバーを介して巻取軸に伝達され、巻取軸が軸線周り一方へ回転される。
一方、モータが逆転すると、クラッチの回転体が軸線周り他方へ回転される。このとき、回転体は一対のスライダに対して所定の範囲内で相対移動し、回転体に設けられた一対のロックバーは、各スライダによって再び巻取軸との係合解除位置に移動されて保持される。これにより、回転体と巻取軸とは再び相対回転可能とされ、巻取軸の自在な回転が可能となる。
ここで、このモータリトラクタのクラッチでは、一対のロックバーをそれぞれ巻取軸との係合解除位置に保持する一対のスライダは、スペーサにより連結されて同期するようになっている。したがって、例えば、車両の激しい振動等により一方のスライダが回転体(一方のロックバー)に対して相対移動しようとした場合でも、他方のスライダ及びスペーサが回転体に対して相対移動しない限りは、一方のスライダによる一方のロックバーの保持が解除されることはない。すなわち、このクラッチでは、各スライダ及びスペーサが各ロックバーに対して同時に相対移動しない限り、各スライダによる各ロックバーの保持が解除されることはない。これにより、回転体の停止時(すなわち、モータの停止時)において、一対のスライダが一対のロックバーに対して不要に相対移動することが防止され、クラッチの誤結合が防止される。
請求項5に係る発明のモータリトラクタは、請求項4記載のモータリトラクタにおいて、前記クラッチは、ケースを備え、かつ、前記スペーサは、前記ケースに摺接する、ことを特徴としている。
請求項5記載のモータリトラクタでは、クラッチはケースを備えており、一対のスライダを連結して同期させるスペーサは、このケースに摺接するようになっている。このため、スペーサには摩擦力が作用するので、一対のスライダ及びスペーサが回転体すなわち一対のロックバーに対して不要に相対移動することを一層確実に防止でき、クラッチの誤結合を一層確実に防止できる。
以上説明した如く、本発明のモータリトラクタでは、クラッチの誤結合を防止できる。
<第1の実施の形態>
図1には、本発明の第1の実施の形態に係るモータリトラクタ10の全体構成が斜視図にて示されている。また、図2には、モータリトラクタ10の主要部の構成が斜視図にて示されている。さらに、図3には、モータリトラクタ10の全体構成が分解斜視図にて示されている。
モータリトラクタ10は、フレーム12を備えている。フレーム12は略板状の背板14と、この背板14の幅方向両端から一体に延出する一対の脚板16及び脚板18とによって構成されており、背板14がボルト等の図示しない締結手段によって車体に固定されることで車体に取り付けられる構成となっている。
フレーム12の一対の脚板16と脚板18との間には、ダイカスト等によって製作された巻取軸20が回転可能に配置されている。巻取軸20は全体としては鼓形状をなしており、長尺帯状に形成されたウエビング(図示省略)の基端部が連結固定されている。巻取軸20をその軸線周り一方(以下、この方向を「巻取方向」と称する)へ回転させると、ウエビングがその基端側から巻取軸20の外周部に層状に巻き取られ、一方、ウエビングをその先端側から引っ張れば、これに伴い巻取軸20がその軸線周り他方へ回転しながらウエビングが引き出される(以下、ウエビングを引き出す際の巻取軸20の回転方向を「引出方向」と称する)。
巻取軸20の一端側は、脚板18を貫通してフレーム12の外部に突出している。脚板18の側方には、図示を省略したロック機構が配置されている。ロック機構は、加速度センサを含んで構成されており、脚板16と脚板18との間に掛け渡されたロックプレート22、及び巻取軸20の軸芯部分に設けられたトーションバー24に連係している。車両の急減速時等には、ロック機構の作動によりトーションバー24の一端がロックプレート22を介して拘束されてエネルギー吸収が行われつつ、巻取軸20の引出方向回転が阻止される構成となっている。
一方、巻取軸20の他端側は、脚板16を貫通してフレーム12の外方に僅かに突出している。この巻取軸20の他端側には、六角柱状に形成された連結スクリュー21が同軸的かつ一体的に連結されている。
また、脚板16の外側には、本第1の実施の形態に係るクラッチ100を構成するケースとしてのクラッチケース101が配置されている。このクラッチケース101は、金属材料等(例えば、アルミ合金等)により略矩形の箱状に形成されたものであり、脚片16とは反対側に向けて開口している。このクラッチケース101の開口側には金属材料等(例えば、鉄等)により略矩形の板状に形成されたケースとしてのカバークラッチ102が配置されている。
図4に示す如く、カバークラッチ102には、板厚方向に突出する2つの係止爪200が設けられている。これら2つの係止爪200は、カバークラッチ102の互いに直交する端面(図4では左側の端面と下側の端面)において略対角となる位置に設けられており、各中央部分にはそれぞれ矩形の貫通孔202が形成されている。また、クラッチケース101の側壁には、カバークラッチ102の2つの係止爪200に対応する位置にそれぞれ係止爪200が嵌合可能な溝状の案内部204が形成されており、これらの案内部204には、係止爪200の貫通孔202に対応する位置に係合部としての係合突起206が設けられている。
これにより、カバークラッチ102は、各係止爪200が、それぞれクラッチケース101の案内部204に案内されて位置決めされると共に、貫通孔202に係合突起206が嵌合係止することで、クラッチケース101の開口側に装着(仮固定)されている。
これらのクラッチケース101及びカバークラッチ102は、スクリュー104によって脚片16に一体的に固定されている。
一方、図3に示す如く、クラッチケース101の底壁中央部分には、円形の貫通孔106が巻取軸20と同軸的に形成されており、連結スクリュー21が貫通している。また、この貫通孔106の周辺の部位は、脚片16とは反対側へ向けて円形状に僅かに突出しておりリング状の摺動面108が形成されている。さらに、貫通孔106の孔縁部には、脚片16とは反対側へ向けて突出した円筒状のブッシング支持部110が形成されている。このブッシング支持部110には、樹脂材料等によりリング状に形成されたブッシング112(図5及び図6参照)が支持されている。
クラッチケース101の内部には、クラッチギヤ部28が配置されている。クラッチギヤ部28は、ウォームギヤ34を備えている。ウォームギヤ34は、巻取軸20と直交する状態で自身の軸が配置され、その端部がブッシュ36、37を介してクラッチケース101に支持されており、さらに、その一端側はクラッチケース101から外方へ突出して設けられている。また、ウォームギヤ34の先端部を支持するクラッチケース101の軸受け部分には、鋼球38が収容されてウォームギヤ34の先端部に接触しており、さらに、アジャストスクリュー40が螺入している。アジャストスクリュー40は、その先端部で鋼球38を押圧することで鋼球38をウォームギヤ34の先端に圧接させている。これにより、ウォームギヤ34の軸方向の変位が規制されている(スラスト調整されている)。なお、鋼球38をアジャストスクリュー40の先端部に一体に形成する構成(アジャストスクリュー40の先端部を球状に形成する構成)としてもよい。このウォームギヤ34の上側には、本第1の実施の形態に係るクラッチ100を構成するクラッチ本体部114が設けられている。
図5及び図6に示す如く、クラッチ本体部114は、回転体を構成するギヤホイール116を備えている。ギヤホイール116は樹脂材料等によりリング状に形成されて巻取軸20と同軸的に配置されており、その外周部には所謂ウォームホイール歯118が形成されている。このウォームホイール歯118は、上述したウォームギヤ34に噛み合っている。また、ギヤホイール116の内周部には、その径方向に沿って所定間隔毎に複数(本第1の実施の形態では12個)の周方向荷重受け部120が形成されている。これらの周方向荷重受け部120は、後述するリング176のスプリング爪182に対応している。さらに、ギヤホイール116の軸線方向一側(図5及び図6の矢印A方向側)の端面には、その周方向に沿って一定間隔毎に複数(本第1の実施の形態では6個)の回り止め凹部122が形成されている。これらの回り止め凹部122は、後述するリング176の回り止め爪180に対応している。
ギヤホイール116の内側には、金属材料等(例えば、亜鉛アルミ合金等)により円盤状に形成され、回転体を構成するロータ124がギヤホイール116と同軸的に配置されている。ロータ124は、有底円筒状の本体部126と、本体部126の軸線方向一側(図5及び図6の矢印B方向側)において径方向に突出したフランジ部128とを有している。
本体部126の外周部には、その周方向に沿って等間隔に複数の外歯130が形成されている。各外歯130は、本体部126の周方向に沿った一側(図5及び図6の矢印C方向側)の側壁が本体部126の周方向に対して傾斜して形成され、本体部126の周方向に沿った他側(図5及び図6の矢印D方向側)の側壁が本体部126の径方向に沿って平行に形成されている(換言すれば、断面形状が台形状とされている)。各外歯130は、後述するリング176のスプリング爪182に対応している。
本体部126の底壁中央部には、略円筒状の収容部132が同軸的に形成されている。収容部132の軸線方向一側(図5及び図6では矢印A方向側)には、リング状の支軸部133が同軸的に突設されている。この支軸部133は、カバークラッチ102に形成された円孔135に、後述するホルダ170の回転支持部175を介して回転自在に支持されている。また、収容部132の軸線方向他側(図5及び図6の矢印B方向側)には、前述したブッシング112が回転自在に嵌合しており、収容部132の軸線方向他側は、ブッシング112を介してクラッチケース101に回転自在に支持されている。これにより、本体部126(ロータ124)は、自らの軸線周りに回転可能とされている。
この本体部126の収容部132内には、鉄板等により略リング状に形成されたラチェット134が収容されている。ラチェット134の外周部には、所謂ラチェット歯である外歯136が形成されている。また、ラチェット134の軸芯部には、断面六角形状の連結孔138が形成されており、前述した連結スクリュー21が相対回転不能に貫通している。これにより、巻取軸20とラチェット134とは、連結スクリュー21を介して一体的に回転するようになっている。
また、ラチェット134の軸線方向一側(図5及び図6では矢印A方向側)には、樹脂材料等によりリング状に形成されたワッシャ209が一体的に装着されている。図7に示す如く、ワッシャ209のラチェット134側(図7では紙面に垂直な方向の奥側)には、一対の爪部208と一対の円柱状の回止部210とが設けられている。一対の爪部208は、ラチェット134の連結孔138の孔縁部に形成された一対の係止溝212に係止され、これにより、ワッシャ209はラチェット134に装着されている(ワッシャ209のラチェット134に対する軸線方向に沿った移動が規制されている)。また、回止部210は、ラチェット134の端面に形成された一対の回止凹部214に嵌り込んでおり、ワッシャ209のラチェット134に対する径方向に沿った移動が規制されている(ワッシャ209がラチェット134の所定位置に位置決めされている)。
ワッシャ209のラチェット134とは反対側(図7では紙面に垂直な方向の手前側)の中央部分には、六角形の筒状に形成された圧入部216が設けられている。この圧入部216の筒内には、径方向内側へ向けて突出する2つの潰しリブ218が設けられており、連結スクリュー21は、これらの潰しリブ218を潰した状態で圧入部216の筒内に圧入されている。これにより、ラチェット134の連結スクリュー21に対するガタ付きが防止され、当該ガタ付きに起因する当たり音(ガタ付き音)の発生が防止される構成である。
なお、ワッシャ209のラチェット134とは反対側(図5及び図6では矢印A方向側)の端面は、収容部132のリング状の底壁に摺動可能に当接しており、ラチェット134の軸線方向他側(図5及び図6では矢印B方向側)の端面は、前述したブッシング112に摺動可能に当接している。
一方、図8に示す如く、ロータ124の本体部126の底壁には、収容部132の径方向外側において、本体部126の周方向に沿って湾曲した一対のガイド孔142が形成されている。各ガイド孔142には、それぞれ樹脂材料等により本体部126の周方向に沿って湾曲した略ブロック状に形成されたスライダ144が摺動可能に取り付けられている。これら一対のスライダ144は、本体部126の内周面及び収容部132の外周面に案内されることで、ガイド孔142に沿った所定の範囲内で本体部126(ロータ124)に対して相対移動可能とされている(なお、図8においては、後述するロックバー154及び捩りコイルスプリング164の図示を省略してある)。
各スライダ144の一側(図5及び図6では矢印A方向側)には、摺動片146が突設されており、図9に示す如く、カバークラッチ102に当接している。また、各スライダ144の摺動片146とは反対側には、リテーナ148が設けられている。リテーナ148は、ばね性を有する細幅な金属片で略く字形に折れ曲がっている。このリテーナ148は、長手方向中央部に設けられた連結部150がスライダ144に形成された連結孔152に嵌め込まれてスライダ144に一体的に連結されると共に、長手方向両端部がそれぞれ前述したクラッチケース101の摺動面108に押し付けられて所定量弾性変形している。
このため、スライダ144の摺動片146は、リテーナ148の弾性力によってカバークラッチ102に押し付けられており、ガイド孔142に沿ったスライダ144の移動(ロータ124に対する相対移動)には、所定の摩擦力が付与されるようになっている。このため、ロータ124が回転すると、スライダ144は、摺動片146及びリテーナ148の長手方向両端部に作用する摩擦力によって一時的にケース(クラッチケース101及びカバークラッチ102)に保持され、ロータ124に対してガイド孔142に沿った所定の範囲内で相対移動するようになっている。
各スライダ144の湾曲方向一端部(図5及び図6では矢印D方向側の端部)には、脱落防止片147が設けられている。また、各スライダ144の湾曲方向他端部(図5及び図6では矢印C方向側の端部)には、押圧保持片145が形成されている。各スライダ144は、脱落防止片147と押圧保持片145とがガイド孔142の孔縁部に係合すると共に前述した摺動片146が収容部132に係合することでロータ124に保持されている(各スライダ144が各ガイド孔142を介してロータ124の軸線方向一側(図5及び図6では矢印B方向側)へ脱落することが防止されている)。
また、上述した押圧保持片145は、それぞれ一対のロックバー154に対応している。各ロックバー154は、鉄板等により略く字形に形成されて各スライダ144の湾曲方向一端側に配置されており、リング状の軸受部156を備えている。各軸受部156は、本体部126の底壁に突設された円柱状の支軸158によって回転自在に支持されている。各軸受部156のスライダ144とは反対側(図5及び図6の矢印C方向側)には、連結片160が突設されている。これらの連結片160は、軸受部156と共に支軸158周りに回動することで、その先端部がロータ124の収容部132に形成された孔部162を貫通して前述したラチェット134の外歯136に噛み合うようになっている。また、これらの連結片160は、捩りコイルスプリング164の付勢力によって常に外歯136(ラチェット134)との噛合方向へ付勢されている。なお、捩りコイルスプリング164は、ロータ124の本体部126の底壁に突設された円柱状の支軸166によって支持されている。
各軸受部156のスライダ144側(図5及び図6の矢印D方向側)には、前述したスライダ144の押圧保持片145に対応する解除片168が突設されている。各解除片168は、スライダ144と対向する端部がスライダ144の移動方向(図5及び図6の矢印C方向及び矢印D方向)に対して傾斜した傾斜面とされている。
ここで、図10(A)及び図10(B)に示す如く、ロータ124がスライダ144に対して相対移動することで、ロックバー154はスライダ144に対して所定の範囲内で接離移動するようになっており、ロックバー154がスライダ144に接近した状態(図10(A)図示状態)では、ロックバー154の解除片168は、スライダ144の押圧保持片145の内側(ラチェット134側)に入り込むことで、捩りコイルスプリング164の付勢力に抗して係合解除位置に保持されるようになっている。この状態では、ロックバー154の連結片160は、ラチェット134から離間するようになっている。
一方、ロックバー154がスライダ144から離間した状態(図10(B)図示状態)では、ロックバー154の解除片168は、スライダ144の押圧保持片145による保持を解除されるようになっている。この状態では、ロックバー154の連結片160は、捩りコイルスプリング164の付勢力によってラチェット134側(係合位置)へ移動され、その先端部が外歯136に噛み合うようになっている。
またここで、図11に示す如く、スライダ144の押圧保持片145には、スライダの移動方向(ロータ124の周方向)に対して所定角度(例えば10度)傾斜したアンダーカット部が形成されており、押圧保持片145の解除片168と対向する側の面は、スライダ144の移動方向に対して傾斜する傾斜面149とされている。また、ロックバー154の解除片168には、押圧保持片145の前述したアンダーカット部に対応してアンダーカット部が形成されており、解除片145の押圧保持片168と対向する側の面は、スライダ144の移動方向に対して傾斜する傾斜面169とされている。
すなわち、押圧保持片145と解除片168とは、ロータ124の径方向に対して所定量(所定寸法)dだけ噛み合って係合するようになっている。そして、ロックバー154がスライダ144から離間する際には、押圧保持片145の傾斜面149は、解除片168を所定量dだけラチェット134側へ移動させるようになっており、連結片160は、捩りコイルスプリング164の付勢力に抗してラチェット134とは反対側へ所定量移動される。これにより、ロックバー154とスライダとの離間移動には所定の抗力が生じる構成である。但し、この抗力は、前述したリテーナ148の弾性力によって該リテーナ148の長手方向両端部とクラッチケース101との間、及び、スライダ144の摺動片146とカバークラッチ102との間に作用する摩擦力に比べて充分に小さく設定されている。
なお、本第1の実施の形態に係るクラッチ本体部114では、スライダ144は、通常はロックバー154に接近して配置されている。したがって、ロックバー154は、通常は解除片168がスライダ144の押圧保持片145によって保持されることで、係合解除位置(図10(A)図示状態)に保持される構成である。
一方、ロックバー154を介してロータ124とは反対側(図5及び図6の矢印A方向側)には、樹脂材料等によりリング状に形成されたホルダ170が配置されている。ホルダ170は、リング状の本体部172と、本体部172の外周部に設けられた一対の保持爪174とを備えている。本体部172は、ロックバー154の支軸158(ロータ124)に対する軸線方向の変位を規制しており、一対の保持爪174は、捩りコイルスプリング164の支軸166(ロータ124)に対する軸線方向の変位を規制している。
また、本体部172の中央部に形成された円孔173には、ロータ124の支軸部133が貫通している。この円孔173の孔縁部には、ロータ124とは反対側(カバークラッチ102側)へ向けて円筒状に僅かに突出した回転支持部175が設けられており、ロータ124の支軸部133は、この回転支持部175を介してカバークラッチ102の円孔135に回転自在に支持されている。
一方、ホルダ170の径方向外側でかつロータ124の軸線方向一側(図5及び図6の矢印A方向側)には、ばね性を有する金属材料(例えば、SUS等)から成るリング176が配置されている。リング176は、リング状に形成されたカバー部178を備えている。カバー部178の外周部には、その径方向外側に突出した複数(本第1の実施の形態では6個)の回り止め爪180が一体に形成されている。これらの回り止め爪180は、前述したギヤホイール116の回り止め凹部122に嵌合している。これにより、リング176は、ギヤホイール116に対してその周方向には一体的に連結されている。
さらに、カバー部178の外周部には、弾性(ばね性)を有する細幅な板状とされた複数(本第1の実施の形態では12個)のスプリング爪182が、カバー部178の周方向に沿って所定間隔毎に設けられている。各スプリング爪182は、各基端部がカバー部178に一体的に接続され、各長手方向中間部がカバー部178の径方向内側へ向けて僅かに折り曲げられ、各先端部がカバー部178の径方向外側へ向けて折り曲げられており、全体としてカバー部178の周方向に沿って湾曲している。
これらのスプリング爪182は、図12(A)に示す如く、ロータ124の外歯130とギヤホイール116の内周面との間において、ロータ124及びギヤホイール116の周方向に沿って配置されており、自らの弾性力によってその内側部分をロータ124の外歯130に押し付けている。これにより、リング176はロータ124に一体的に保持されている。
また、各スプリング爪182の外側部分は、それぞれギヤホイール116の内周面に係合しており、ギヤホイール116は、各スプリング爪182を介してロータ124に支持されている。この状態では、ギヤホイール116は、リング176の回り止め爪180及びロータ124のフランジ部128によって軸線方向移動を規制されている。さらにこの状態では、リング176のカバー部178によって、スライダ144、ロックバー154、捩りコイルスプリング164及びホルダ170のロータ124からの脱落が防止されており、これらの構成部材は、所定の組付け位置に保持されている。
さらに、各スプリング爪182の各先端部は、それぞれ外歯130の谷の部分に入り込んで外歯130の一方の側壁(本体部126の径方向に沿って平行に形成された側の側壁)に当接しており、各基端部は、前述したギヤホイール116の周方向荷重受け部120に当接している。これにより、ギヤホイール116とロータ124とは、その周方向に対しては各スプリング爪182によって一体的に連結されており(相対回転を規制されており)、ギヤホイール116が回転した場合には、ギヤホイール116とロータ124とは、基本的に一体回転するようになっている。
この場合、ギヤホイール116の巻取方向への回転力は、周方向荷重受け部120を介してスプリング爪182の基端部に伝達され、スプリング爪182の先端部からロータ124の外歯130に伝達されるようになっており、ギヤホイール116は、周方向荷重受け部120を介して、スプリング爪182から作用する荷重を周方向に沿って受けるようになっている(ギヤホイール116は、スプリング爪182からの荷重受け方向がその回転方向に沿って設定されている)。
しかもこの場合、上述した如く、スプリング爪182がばね性を有する金属片であるため、ロータ124に対するギヤホイール116の相対回転で生じる回転力が、スプリング爪182のばね力(付勢力)に抗して各スプリング爪182の先端部を外歯130の谷の部分から抜け出させるのに充分な大きさであれば、スプリング爪182によるギヤホイール116とロータ124との軸線周りの連結が解除されるため、ギヤホイール116とロータ124との回転の伝達が切り離され、ギヤホイール116とロータ124とは相対回転が可能となる構成である(図12(B)参照)。
また、ギヤホイール116の引出方向への回転力は、回り止め凹部122を介してリング176の回り止め爪180に伝達され、リング176のスプリング爪182先端部からロータ124の外歯130に伝達されるようになっている。
なお、本第1の実施の形態では、リング176は、スプリング爪182を12個備える構成としたが、例えば、スプリング爪182の数を6個又は8個などに変更することで、ギヤホイール116とロータ124との回転伝達切り離し時の荷重を調節することができる。但し、その場合、スプリング爪182の数に対応してギヤホイール116の周方向荷重受け部120などの数も変更する構成となる。
また、スプリング爪182の幅寸法や厚さ寸法を変更したり、ロータ124の外歯130の谷部の深さ寸法などを変更することでも、ギヤホイール116とロータ124との回転伝達切り離し時の荷重を調節することができる。
一方、リング176のロータ124とは反対側(図5及び図6の矢印A方向側)には、樹脂材料等によってリング状に形成されたスペーサ184が配置されている。スペーサ184は、リング176のカバー部178とカバークラッチ102との間に挟まれている。スペーサ184の内周部には、前述した一対のスライダ144に対応して径方向内側へ突出する一対二組の連結爪224、226が設けられている。図13に示す如く、一対の連結爪224及び一対の連結爪226は、それぞれ各スライダ144の摺動片146をその湾曲方向両側で挟み込んでいる。これにより、一対のスライダ144は、スペーサ184によって連結されており、一対のスライダ144及びスペーサ184は、ロータ124及びロックバー154に対して同期して相対移動(相対回転)するようになっている。しかもこの場合、スペーサ184には、カバークラッチ102との摺接(摺動)によって摩擦力が作用するようになっている。
なお、本第1の実施の形態においては、一対のスライダ144とスペーサ184とを別体に構成したが、これに限らず、一対のスライダ144とスペーサ184を一体に構成してもよい。
以上構成のクラッチ100は、クラッチギヤ部28のウォームギヤ34が回転することで、クラッチ本体部114のギヤホイール116が回転する構成となっており、このクラッチ本体部114とクラッチギヤ部28とは、単一のケース(クラッチケース101及びカバークラッチ102)に一体的に組み付けられて、全体としてユニット化された構成となっている。
一方、図3に示す如く、カバークラッチ102の側方には、スプリング・コンプリート42が配置されている。スプリング・コンプリート42は、内部に渦巻きばね(図示省略)を収容している。この渦巻きばねは、渦巻き方向外側の端部がケース本体に係止されると共に、渦巻き方向内側の端部が、クラッチ本体部114を貫通した連結スクリュー21の先端に係止されており、巻取軸20を巻取方向へ付勢している。
また一方、巻取軸20の下方で脚板16と脚板18との間には、モータ44及びモータギヤ部46が配置されている。
図14に示す如く、モータ44及びモータギヤ部46は、ハウジング48を備えている。このハウジング48の一側にモータ44がスクリューによって取り付けられると共に、ハウジング48の他側にモータギヤ部46が設けられている。モータ44は、その回転軸50の先端側(出力側)がハウジング48に向く状態でハウジング48の一側に固定されており、回転軸50の先端(出力側)はハウジング48の他側(モータギヤ部46の側)に突出している。
一方、ハウジング48の他側(モータギヤ部46の側)に突出するモータ44の回転軸の先端には、外周に平歯を有するピニオン72が取り付けられている。また、モータギヤ部46には、各々が外歯の平歯とされたギヤ74及びギヤ76が互いに噛み合った状態で収容されている。これらのギヤ74、ギヤ76は、共に自身に軸がモータ44の回転軸と平行な状態で配置されており、ギヤ74はピニオン72に噛み合っており、最終平歯ギヤとされるギヤ76は、前述したクラッチケース101から外方へ突出するウォームギヤ34の一端部に、着脱可能に連結されている。このため、モータ44が駆動すると、ピニオン72、ギヤ74、及びギヤ76を介して駆動力が伝達されてウォームギヤ34が回転される構成である。
また、これらのピニオン72、ギヤ74、ギヤ76は、ハウジング48に取り付けられたカバーギヤ78によって被覆されている。カバーギヤ78には爪部80が設けられており、この爪部80がハウジング48に設けられた爪受け部82に嵌合係止することでカバーギヤ78がハウジング48に固定されている。
このように、モータ44とモータギヤ部46とは、何れも単一のハウジング48に一体的に組み付けられており、全体としてユニット化された構成となっている。
以上の構成のモータ44及びモータギヤ部46は、図15に示す如く、ハウジング48に一体に設けられた取付ステー84が、クラッチ本体部114及びクラッチギヤ部28を収容するクラッチケース101(すなわち、フレーム12)にスクリュウによって着脱可能に取り付けられている。このハウジング48のクラッチケース101(フレーム12)への取付装着状態においては、モータ44は、回転軸50が巻取軸20と直交しかつその出力側がフレーム12の背板14と反対側へ向く状態となっており、しかも、一対の脚板16と脚板18との間であって巻取軸20の直下に位置した構成となっている。
またさらに、上述したモータ44は、例えば、前方監視装置等の検出信号に基づいて作動される構成となっている。
次に本第1の実施の形態の作用を説明する。
上記構成のモータリトラクタ10では、クラッチ本体部114のスライダ144は、通常は、図10(A)に示す如く、ロックバー154に接近して配置されている。したがって、ロックバー154の解除片168は、通常はスライダ144の押圧保持片145によって保持されており、ロックバー154の連結片160は、ラチェット134の外歯136から離間している。このため、ラチェット134(巻取軸20)は、ロータ124に対して相対回転自在とされている。
したがって、乗員が車両の座席に着席して、本モータリトラクタ10に格納されたウエビングを引っ張ると、巻取軸20が引出方向へ回転しつつウエビングが引き出される。これにより、乗員はウエビングを身体に掛けまわし、例えば、ウエビングに設けられたタングプレートをバックル装置に係合させることで、ウエビングを身体に装着することができる。
一方、例えば、車両走行中に車両の前方に障害物が存在ししかも車両と障害物との間隔(車両から障害物までの距離)が所定範囲内に達すると、モータ44の駆動が開始され、回転軸50が急激に回転される。
このモータ44の回転軸50が回転されると、その回転力がモータギヤ部46のピニオン72、ギヤ74、及びギヤ76、並びに、クラッチギヤ部28のウォームギヤ34を介してクラッチ本体部114のギヤホイール116に伝達され、ギヤホイール116が急激に巻取方向へ回転される。ギヤホイール116の巻取方向への回転は、周方向荷重受け部120を介してリング176のスプリング爪182の基端部に伝達されると共に、スプリング爪182の先端部からロータ124の外歯130に伝達され、ロータ124が急激に巻取方向へ回転される。
このとき、スライダ144は、摺動片146及びリテーナ148に作用する摩擦力によってケース(クラッチケース101及びカバークラッチ102)に保持されるため、ロータ124がスライダ144に対して所定の範囲内で相対移動し、ロータ124に支持されたロックバー154がスライダ144から離間移動する。
このため、押圧保持片145による解除片168の保持が解除され、ロックバー154の連結片160は、捩りコイルスプリング164の付勢力によってラチェット134側へ移動し、連結片160の先端部がラチェット134の外歯136に噛み合う(図10(B)の矢印E参照)。これにより、ロータ124の巻取方向への回転がロックバー154を介してラチェット134に伝達され、ラチェット134が巻取方向へ急激に回転される。このラチェット134は、巻取軸20に一体的に連結されているため、巻取軸20がラチェット134と共に巻取方向へ急激に回転される。
これにより、ウエビングが巻取軸20に巻き取られ、ウエビングの僅かな緩み、所謂「スラック」が解消されて、ウエビングによる乗員身体に対する拘束力が向上し、仮に、その後に乗員が車両急制動(急ブレーキ)の操作を行ない、車両が急減速状態になったとしてもウエビングが確実に乗員の身体を保持する。
さらに、上述の如く「スラック」が解消された状態では、乗員の身体が障害となり基本的にはそれ以上巻取軸20にウエビングを巻き取ることはできなくなる。このため、巻取軸20には、ウエビングから所定値以上の荷重が作用し、その結果、ロータ124には、ラチェット134及びロックバー154を介して所定値以上の荷重(所謂「オーバーロード荷重」)が作用する。ロータ124に所定値以上の荷重が作用すると、図12(A)及び図12(B)に示す如く、スプリング爪182が弾性変形することで、スプリング爪182の各先端部がロータ124の外歯130の谷の部分から抜け出し、ギヤホイール116とロータ124との相対的な空転が可能となる(所謂「ロードリミッタ機構」、図12(B)の矢印F参照)。
これにより、ラチェット134及びロックバー154を介してロータ124に連結された巻取軸20が、モータ44の駆動力によって必要以上の力で巻取方向へ回転されることを防止でき、ウエビングが必要以上の力で乗員の身体を締め付けることを防止できる。
しかもこの状態では、ラチェット134の外歯136が所謂ラチェット歯とされているため、図16(A)及び図16(B)に示す如く、ラチェット134(巻取軸20)がロータ124に対して巻取方向へ相対回転しようとした場合(図16(B)の矢印H参照)には、ロックバー154は、ラチェット134の外歯136に跳ね上げられることで(図16(B)の矢印G参照)、ラチェット134(巻取軸20)のロータ124に対する巻取方向への相対回転を許容する。これにより、上述した如く「スラック」が解消された状態で、例えば、車両の衝突が避けられない状況になった場合は、さらに別のプリテンショナー装置等によって巻取軸20を巻取方向へ強制的に回転させることも可能である。この場合、ウエビングによる乗員の身体の拘束力を一層上昇させることができ、車両衝突時における乗員の被害を最小限に留めることができる。
一方、上述した如き車両衝突の危険が回避された場合には、モータ44の回転軸50が逆転される。この回転軸50の回転力は、モータギヤ部46のピニオン72、ギヤ74、及びギヤ76、並びに、クラッチギヤ部28のウォームギヤ34を介してクラッチ本体部114のギヤホイール116に伝達され、ギヤホイール116が急激に引出方向へ回転される(図17(A)の矢印D参照)。
ギヤホイール116の引出方向への回転は、ギヤホイール116の回り止め凹部122を介してリング176の回り止め爪180に伝達されると共に、リング176のスプリング爪182の先端部からロータ124の外歯130に伝達され、ロータ124が急激に引出方向へ回転される。
このとき、スライダ144は、摺動片146及びリテーナ148に作用する摩擦力によってケース(クラッチケース101及びカバークラッチ102)に保持されるため、ロータ124がスライダ144に対して所定の範囲内で相対移動し、ロータ124に支持されたロックバー154がスライダ144に接近移動する。
このため、スライダ144の押圧保持片145が、ロックバー154の解除片168の傾斜した端面を押圧することによって、解除片168が捩りコイルスプリング164の付勢力に抗してラチェット134側へ移動され(図17(B)の矢印J参照)、ロックバー154の連結片160がラチェット134の外歯136から離間する。更にロックバー154がスライダ144に接近すると、ロックバー154の解除片168は、スライダ144の押圧保持片145の内側(ラチェット134側)に入り込み、ロックバー154は、係合解除位置に保持される(図17(B)図示状態)。これにより、ロータ124とラチェット134とは再び相対回転可能とされ、巻取軸20の自在な回転が可能となる。
ここで、このモータリトラクタ10のクラッチ本体部114では、スライダ144の押圧保持片145及びロックバー154の解除片168は、傾斜面149及び傾斜面169を介して互いに噛合係合するようになっており、スライダ144がロックバー154から離間移動しようとした際には所定の抗力が生じる構成である。したがって、例えば、走行中の車両の激しい振動等により、スライダ114がロックバー154から離間移動しようとした場合でも、押圧保持片145と解除片168との噛合係合による上記所定の抗力によって当該離間移動が阻止され、スライダ144の押圧保持片145とロックバー154の解除片168との係合状態が維持される。これにより、スライダ144によるロックバー154の保持が不要に解除されることが防止され、クラッチ本体部114の誤結合が防止される。
さらに、このモータリトラクタ10のクラッチ本体部114では、一対のロックバー154をそれぞれラチェット134との係合解除位置に保持する一対のスライダ144は、スペーサ184により連結されて同期するようになっている。したがって、例えば、車両の激しい振動等により一方のスライダ144がロータ124(一方のロックバー154)に対して相対移動しようとした場合でも、他方のスライダ144及びスペーサ184がロータ124に対して相対移動しない限り、一方のスライダ144による一方のロックバー154の保持が解除されることはない。すなわち、このクラッチ本体部114では、各スライダ144及びスペーサ184が各ロックバー154に対して同時に相対移動しない限り、各スライダ144による各ロックバー154の保持が解除されることはない。
しかもこの場合、一対のスライダ144を連結して同期させるスペーサ184は、このカバークラッチ102に摺接するようになっている。このため、スペーサ184には摩擦力が作用するので、一対のスライダ144及びスペーサ184がロータ124すなわち一対のロックバー154に対して不要に相対移動することを一層確実に防止でき、クラッチ本体部114の誤結合を一層確実に防止できる。
また、このモータリトラクタ10のクラッチ本体部114では、リング176に12個設けられたスプリング爪182の数を、例えば、6個又は8個などに変更することで、ギヤホイール116とロータ124との回転伝達切り離し時の荷重(所謂「オーバーロード荷重」)を調節できる構成である。したがって、当該荷重の設定が容易である。
また、このモータリトラクタ10のクラッチ本体部114では、巻取軸20に同軸的かつ一体的に連結された連結スクリュー21は、ラチェット134の連結孔138を相対回転不能に貫通すると共に、ラチェット134に一体的に装着されたワッシャ209の圧入部216に圧入される構成である。したがって、ラチェット134の連結スクリュー21に対するガタ付きが防止され、当該ガタ付きに起因する当たり音(ガタ付き音)の発生が防止される。
しかも、ワッシャ209の圧入部216は、連結スクリュー21の圧入により潰される潰しリブ218を有している。したがって、この潰しリブ218の大きさや形状を変更することで、連結スクリュー21の圧入部216への圧入の際の荷重を容易に調節できる。
また、このモータリトラクタ10のクラッチ100では、クラッチ本体部114及びクラッチギヤ部28を収容するクラッチケース101及びカバークラッチ102において、カバークラッチ102は、その板厚方向に突出する2つの係止爪200の貫通孔202が、クラッチケース101の側壁に設けられた2つの係合突起206にそれぞれ嵌合係止することで、クラッチケース101の開口側に装着される構成である。したがって、カバークラッチ102をクラッチケース101に装着する際に、道具を使用する必要がなく、手作業によって容易かつ迅速に装着することができる。
しかもこの場合、クラッチケース101には、カバークラッチ102の係止爪200を案内して位置決めする案内部204が設けられている。これにより、カバークラッチ102のクラッチケース101への装着作業が一層容易になる。
またこの場合、案内部204が溝状とされており、この案内部204に係止爪200が嵌合する構成であるため、カバークラッチ102をクラッチケース101に装着する際に、各係止爪200がクラッチケース101の側壁に沿って位置ズレする(逃げる)ことを防止できる。したがって、2つの係止爪200の設定位置としては、これらの係止爪200によってクラッチケース101が挟み込まれるような位置(例えば、図4においてカバークラッチ102の右側の端面と左側の端面)に設定する必要がなく、本第1の実施の形態のように、係止爪200をカバークラッチ102の互いに直交する端面(図4において左側の端面と下側の端面)に設けることが可能となる。これにより、係止爪200の位置設定の自由度が向上する。
以上説明した如く、本第1の実施の形態に係るモータリトラクタ10では、クラッチ本体部114の誤結合を防止できる。また、ギヤホイール116とロータ124との間の回転伝達切り離し時の荷重(所謂「オーバーロード荷重」)を容易に設定できる。さらに、カバークラッチ102のクラッチケース101への装着が容易になる。またさらに、ラチェット134と連結スクリュー21とのガタ付きが防止され、ガタ付き音の発生が防止される。また、連結スクリュー21をワッシャ134に圧入する際の荷重を容易に調節できる。
なお、上記第1の実施の形態に係るクラッチ本体部114では、スライダ144の押圧保持片145に傾斜面149を設けると共に、ロックバー154の解除片168に上記傾斜面149に対応する傾斜面169を設けて押圧保持片145と解除片168とを噛合係合させることで、ロックバー154とスライダとの離間移動に所定の抗力を生じさせる構成としたが、これに限らず、スライダ144の押圧保持片145とロックバー154の解除片168とに共に突起を設け、これらの突起を噛合係合させることで、ロックバー154とスライダとの離間移動には所定の抗力が生じさせる構成としてもよい。また、押圧保持片145と解除片168との接触部分に摩擦力を高める処理を施して、ロックバー154とスライダとの離間移動に所定の抗力を生じさせる構成としてもよい。
また、上記第1の実施の形態に係るモータリトラクタ10では、クラッチ100によりモータ44の回転軸50の回転を巻取軸20に伝達して、巻取軸20をウエビング巻取方向へ回転させる構成としたが、これに限らず、クラッチによりモータ44の回転軸50の回転を巻取軸20に伝達して、巻取軸20をウエビング引出方向へ回転させる構成としてもよい。この点は、以下の実施の形態においも同様である。
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、前記第1の実施の形態と基本的に同一の構成・作用については、前記第1の実施の形態と同符号を付してその説明を省略する。
図18(A)及び図18(B)には、本発明の第2の実施の形態に係るモータリトラクタの構成部材であるクラッチ本体部230の部分的な構成が側面図にて示されている。
クラッチ本体部230は、前述した第1の実施の形態に係るクラッチ本体部114と基本的に同様の構成とされているが、以下の点で異なる。
クラッチ本体部230は、スライダ232を備えている。このスライダ232は、前記第1の実施の形態に係るスライダ144と基本的に同様の構成とされているが、前述した押圧保持片145の代わりに押圧部234を有している。この押圧部234には、スライダ232の移動方向(ロータ124の周方向)に対して傾斜する傾斜面236が形成されている。
また、スライダ232の押圧部234(傾斜面236)側には、ロックバー238が設けられている。このロックバー238は、前記第1の実施の形態に係るロックバー154と基本的に同様の構成とされているが、軸受部156のスライダ232とは反対側に突設された解除辺240が、捩りコイルスプリング164によって常にラチェット134側へ付勢されている。このため、軸受部156のスライダ232側に突設された連結片242は、常にラチェット134とは反対側(係合解除方向)へ付勢されており、通常はラチェット134から離間している(図18(A)図示状態)。
このクラッチ本体部230では、ロータ124が巻取方向(図18(B)の矢印C方向)へ回転すると、スライダ232は、摺動片146及びリテーナ148(図示省略)に作用する摩擦力によってクラッチケース101及びカバークラッチ102(共に図示省略)に保持されるため、ロータ124がスライダ232に対して所定の範囲内で相対移動し、ロータ124に支持されたロックバー238がスライダ232に接近移動する。ロックバー238がスライダ232に接近移動すると、ロックバー238の連結片242が押圧部234の傾斜面236によってラチェット134側へ押圧され、連結片242の先端部がラチェット134の外歯136に噛み合うようになっている(図18(B)の矢印K参照)。
一方、ロータ124が引出方向(図18(A)の矢印D方向)へ回転すると、スライダ232は、摺動片146及びリテーナ148(図示省略)に作用する摩擦力によってクラッチケース101及びカバークラッチ102(共に図示省略)に保持されるため、ロータ124がスライダ232に対して所定の範囲内で相対移動し、ロータ124に支持されたロックバー238がスライダ232から離間移動する。ロックバー238がスライダ232から離間移動すると、ロックバー238の連結片242は押圧部234の傾斜面236による押圧を解除され、捩りコイルスプリング164の付勢力によって再びラチェット134との係合解除位置に移動されて保持されるようになっている(図18(A)の矢印L参照)。
上記構成のクラッチ本体部230においても、前記第1の実施の形態に係るクラッチ本体部114と基本的に同様の作用効果を奏する。
特に、このクラッチ本体部230では、ロックバー238の連結片242は、捩りコイルスプリング164によって常にラチェット134との係合解除方向へ付勢された構成である。したがって、例えば、走行中の車両に激しい振動等が生じた場合でも、ロックバー238の連結片242は捩りコイルスプリング164の付勢力によってラチェット134との係合解除位置に保持される。これにより、ロックバー238の連結片242が不要にラチェット134に係合することが防止され、クラッチ本体部230の誤結合が防止される。
本発明の第1の実施の形態に係るモータリトラクタの全体構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータリトラクタの主要部の構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータリトラクタの全体構成を示す分解斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータリトラクタの構成部材であるクラッチケース及びカバークラッチの構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータリトラクタの構成部材であるクラッチの主要部の構成を示す分解斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータリトラクタの構成部材であるクラッチの主要部の構成を示す分解斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータリトラクタの構成部材である連結スクリュー、ラチェット、及びワッシャの構成を示す側面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータリトラクタの構成部材であるロータ及びスライダの構成を示す側面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータリトラクタの構成部材であるクラッチの部分的な構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータリトラクタの構成部材であるクラッチの構成を示し、(A)はロックバーがスライダに保持された状態を示す側面図であり、(B)はロックバーがラチェットに係合した状態を示す側面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータリトラクタの構成部材であるスライダ及びロックバーの構成を示す側面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータリトラクタの構成部材であるクラッチの構成を示し、(A)はスプリング爪によってギヤホイールとロータとが連結された状態を示す側面図であり、(B)はギヤホイールとロータとが相対的に空転した状態を示す側面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータリトラクタの構成部材であるスライダ及びスペーサの構成を示す側面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータリトラクタの構成部材であるモータ及びモータギヤ部の構成を示す分解斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータリトラクタの構成部材であるモータ及びモータギヤ部の組付け固定の構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータリトラクタの構成部材であるクラッチの構成を示し、(A)はロックバーがラチェットに係合した状態を示す側面図であり、(B)はロックバーがラチェットのロータに対するウエビング巻取方向への相対回転を許容した状態を示す側面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るモータリトラクタの構成部材であるクラッチの構成を示し、(A)はロックバーがラチェットに係合した状態を示す側面図であり、(B)はロックバーがスライダに保持された状態を示す側面図である。 本発明の第2の実施の形態に係るモータリトラクタの構成部材であるクラッチの構成を示し、(A)はロックバーがラチェットとの係合解除位置に保持された状態を示す側面図であり、(B)はロックバーがラチェットに係合した状態を示す側面図である。
符号の説明
10 モータリトラクタ
20 巻取軸
44 モータ
100 クラッチ
101 クラッチケース(ケース)
102 カバークラッチ(ケース)
116 ギヤホイール(回転体)
124 ロータ(回転体)
144 スライダ
145 押圧保持片
149 傾斜面(保持部)
154 ロックバー
168 解除片
169 傾斜面(保持部)
182 スプリング爪(回転体)
184 スペーサ

Claims (5)

  1. 乗員拘束用のウエビングが巻取り引出し可能に巻き回された巻取軸と、モータと、機械的に前記モータと前記巻取軸との間に介在し、前記モータの回転を前記巻取軸に伝達して前記巻取軸を回転させると共に、前記巻取軸側で生じた回転の伝達を遮断して当該回転が前記モータに伝達されることを防止するクラッチと、を備えたモータリトラクタにおいて、
    前記クラッチは、
    前記巻取軸に対して同軸的に設けられ、前記モータの回転が伝達されて回転する回転体と、
    前記回転体に対して所定の範囲内で相対移動可能とされると共に、前記移動方向一方側へ向けて突出する押圧保持片を有するスライダと、
    前記回転体に設けられ、常に前記巻取軸との係合方向へ付勢されると共に、前記スライダの前記押圧保持片側へ突出する解除片を有し、通常は前記解除片が前記押圧保持片に係合することで前記巻取軸との係合解除位置に保持され、前記回転体が軸線周り一方へ回転した際には前記スライダから離間移動して前記保持を解除され前記付勢力によって前記巻取軸に係合し前記回転体の前記軸線周り一方への回転を前記巻取軸に伝達すると共に、前記回転体が軸線周り他方へ回転した際には前記スライダに接近移動して前記解除片が前記押圧保持片に係合することで前記係合解除位置に移動されて保持されるロックバーと、
    を備え、
    かつ、前記スライダの前記押圧保持片及び前記ロックバーの前記解除片のうち少なくとも一方は、前記回転体の停止時における前記スライダの前記ロックバーからの離間移動に対して所定の抗力を生じさせる保持部を有する、
    ことを特徴とするモータリトラクタ。
  2. 前記保持部は、前記スライダと前記ロックバーとの離間移動の際に前記付勢力に抗して前記ロックバーを前記巻取軸との係合解除方向へ所定量移動させる傾斜面とされる、ことを特徴とする請求項1記載のモータリトラクタ。
  3. 乗員拘束用のウエビングが巻取り引出し可能に巻き回された巻取軸と、モータと、機械的に前記モータと前記巻取軸との間に介在し、前記モータの回転を前記巻取軸に伝達して前記巻取軸を回転させると共に、前記巻取軸側で生じた回転の伝達を遮断して当該回転が前記モータに伝達されることを防止するクラッチと、を備えたモータリトラクタにおいて、
    前記クラッチは、
    前記巻取軸に対して同軸的に設けられ、前記モータの回転が伝達されて回転する回転体と、
    前記回転体に対して所定の範囲内で相対移動可能とされたスライダと、
    前記回転体に設けられ、常に前記巻取軸との係合解除方向へ付勢され、前記回転体が軸線周り一方へ回転した際には前記スライダによって前記巻取軸側へ押圧されることで前記巻取軸に係合し前記回転体の前記軸線周り一方への回転を前記巻取軸に伝達すると共に、前記回転体が軸線周り他方へ回転した際には前記スライダによる前記押圧を解除されることで前記付勢力により前記係合解除位置に移動されて保持されるロックバーと、
    を備えたことを特徴とするモータリトラクタ。
  4. 乗員拘束用のウエビングが巻取り引出し可能に巻き回された巻取軸と、モータと、機械的に前記モータと前記巻取軸との間に介在し、前記モータの回転を前記巻取軸に伝達して前記巻取軸を回転させると共に、前記巻取軸側で生じた回転の伝達を遮断して当該回転が前記モータに伝達されることを防止するクラッチと、を備えたモータリトラクタにおいて、
    前記クラッチは、
    前記巻取軸に対して同軸的に設けられ、前記モータの回転が伝達されて回転する回転体と、
    前記回転体に対してそれぞれ所定の範囲内で相対移動可能とされた一対のスライダと、
    前記一対のスライダを連結して同期させるスペーサと、
    前記回転体に設けられ、通常は前記各スライダによってそれぞれ前記巻取軸との係合解除位置に保持され、前記回転体が軸線周り一方へ回転した際にはそれぞれ前記保持を解除されて前記巻取軸に係合し前記回転体の前記軸線周り一方への回転を前記巻取軸に伝達すると共に、前記回転体が軸線周り他方へ回転した際にはそれぞれ前記各スライダによって前記係合解除位置に移動されて保持される一対のロックバーと、
    を備えたことを特徴とするモータリトラクタ。
  5. 前記クラッチは、ケースを備え、かつ、前記スペーサは、前記ケースに摺接する、ことを特徴とする請求項4記載のモータリトラクタ。
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