JP4437858B2 - ガス抜き機構を有する粘性体封入容器 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、ガス抜き機構を有する粘性体封入容器に係り、特に粘性体が封入せしめられた状態下での容器内のガスの残存量を可及的に皆無ならしめ得るようなガス抜き機構を有する粘性体封入容器改良に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、各種の粘性体のうち、例えば、シーリング材やコーキング材等の建築用接着剤の如き塗材等は、一般に、例えば、実開平1−139879号公報に示されるように、厚手の紙材料や樹脂材料等からなる比較的に剛性の高い筒状の塗材容器内に封入されて、収容されている。そして、よく知られているように、このような塗材容器内に収容された塗材等の粘性体は、該塗材容器内から粘性体を吐出させるための装置たるガンが用いられる等して、該塗材容器の長さ方向の一方側の端部に嵌め込まれた端部閉塞キャップが、その他方側の端部側に向かって移動せしめられることにより、該他方側の端部に形成された開口部を通じて、外部に吐出せしめられるようになっているのである。
【0003】
ところが、このような従来の塗材容器等の如き粘性体封入容器は、上述の如く、厚肉で、比較的に剛性が高いものであるところから、容易に変形され得ず、そのために、容器内の粘性体を使い切った後、ゴミとして廃棄された際に、そのゴミが嵩高くなる等の問題が内在していた。
【0004】
かかる状況下、登録実用新案第3061424号明細書には、アルミニウム箔をその両側において樹脂フィルム等にて挟んで積層形成された薄手のラミネートフィルム等にて、柔軟で、容易に圧縮変形可能な袋体を形成し、この袋体を、前述の如き粘性体が封入される容器として使用することが、提案されている。このような粘性体封入容器にあっては、容器内が空となり、ゴミとして廃棄される際に容易に変形せしめられ得、それによって、ゴミの嵩を有利に小さく為し得るといった利点が得られることとなるのである。
【0005】
しかしながら、そのような柔軟性を有する袋体からなる粘性体封入容器においては、内部に粘性体を充填せしめて封入した際に、容器内に空気が残存してしまい、それによって様々な問題が惹起されていたのである。即ち、容器内に封入される粘性体が、例えば、湿気硬化型接着剤や、ある種のシーリング材、コーキング材等であると、それらの粘性体が、容器内の残存空気との接触によって、容器内で硬化したり、変質したりしてしまういった問題が生じ、また、かかる粘性体が、空気との接触により何等の影響も受けないものであっても、時間の経過により、容器内の残存空気が気泡となって粘性体中に分散せしめられることとなるため、容器に開口部を設け、その開口部を通じて粘性体を吐出乃至は押し出して使用する際に、容器内の残留ガスが粘性体と一緒に抜け出し、その時に、粘性体のスムーズな吐出乃至は押出し状態が途切れてしまうといった問題や、或いは残留ガスが粘性体のクッションとなって、長く糸を引く原因になったりする、所謂液切れ不良の問題等が惹起されることがあったのである。
【0006】
尤も、容器内の粘性体の残存空気との接触により生ずる問題は、粘性体の充填に先立って、容器内の空気を窒素ガス等に完全に置換することによって解消され得ることとなるが、そうすると、容器内への粘性体の充填作業に要される時間と費用とが増大するといった新たな問題が生ぜしめられることとなるのであり、また、そのような作業を行っても、容器内には、空気の代わりに窒素ガス等が残存するため、容器内への粘性体の充填後に、面倒なガス抜き作業を更に行わない限り、前述の如き粘性体の使用時に発生せしめられる問題は、何等解決され得ないのである。
【0007】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、粘性体が封入せしめられた状態下での容器内のガスの残存量を可及的に皆無ならしめることが出来、以て、容器内への粘性体の充填作業の煩雑化や作業コストの増大を招くことなく、容器内のガスの残存に起因して生ぜしめられる粘性体への悪影響や使用時における不具合の発生を有利に解消し得るようにしたガス抜き機構を有する粘性体封入容器を提供することにある。
【0008】
【解決手段】
そして、本発明にあっては、かかる課題の解決のために、柔軟性を有する袋体からなり、少なくとも内面が熱可塑性樹脂材料にて構成されて、所定の粘性体が充填せしめられた状態下で、加熱によりシールされることにより、内部に該粘性体が封入されるようにした粘性体封入容器において、前記粘性体の充填状態下において残存するガスが集中するガス集中部を設けると共に、かかるガス集中部に集中せしめられたガスを外部に排出せしめるための微細なガス抜き孔を設け、更に、該ガス抜き孔を加熱によりシールされ得るように構成したことを特徴とするガス抜き機構を有する粘性体封入容器を、その要旨とするものである。
【0009】
すなわち、このような本発明に従うガス抜き機構を有する粘性体封入容器にあっては、容器内に所定の粘性体を充填せしめた際に、容器内に残存せしめられた空気が、ガス集中部に集中せしめられ、そして、このガス集中部に集中せしめられた残存空気が、ガス抜き孔を通じて、ガス集中部から容器外に排出せしめられ得るようになっており、また、かくして空気を排出せしめた状態下で、ガス抜き孔を加熱によりシールして、粘性体を容器内に完全に封入すれば、該ガス抜き孔を通じて、空気が、外部から新たに侵入するようなことも確実に回避され得るようになっているのである。しかも、ガス抜き孔が微細な大きさをもって形成されているため、容器内に充填される粘性体が、ガス抜き孔から外部に漏出せしめられるようなことが、可及的に防止され得るようになっている。
【0010】
それ故、かかる粘性体封入容器においては、容器内に粘性体を充填せしめて封入した際における容器内の空気の残存量を、極めて有利に0若しくは極く微量と為すことが出来、それによって、容器内に封入された粘性体が、例えば、湿気硬化型接着剤や、ある種のシーリング材、コーキング材等である場合に、容器内の残存空気との接触により、それらの粘性体が、容器内で硬化したり、変質したりするようなことが効果的に解消乃至は大幅に抑えられ得るのであり、また、かかる粘性体が、空気との接触により何等の影響も受けないものであっても、容器内から粘性体を吐出乃至は押し出して使用する際に、粘性体のスムーズな吐出乃至は押出し状態が途切れたり、或いは液切れ不良が生ぜしめられるようなことも、有利に回避乃至抑制され得るのである。
【0011】
その上、本発明に係る粘性体封入容器においては、上述の如く、容器内への粘性体の封入状態下における空気の残存量を可及的に皆無ならしめ得るようになっているために、封入される粘性体が空気との接触により悪影響を及ぼされる種類のものであっても、容器内への粘性体の充填に先立って、容器内の空気を窒素ガス等に置換する作業を行う必要がなく、また、例え、そのような作業を行うにしても、容器内の空気の一部を窒素ガス等に置換するだけで済ますことが出来、その結果として、容器内に封入される粘性体の種類によって、容器内への粘性体の充填作業に要される時間と費用とが増大するといった問題の発生も、有利に解消乃至は抑制され得るのである。
【0012】
従って、このような本発明に従うガス抜き機構を有する粘性体封入容器にあっては、容器内への粘性体の充填作業の煩雑化や作業コストの増大を招くことなく、容器内のガスの残存に起因して生ぜしめられる粘性体への悪影響や使用時における不具合の発生が、極めて効果的に解消乃至は大幅に抑制され得ることとなるのである。
【0013】
なお、このような本発明に従うガス抜き機構を有する粘性体封入容器の有利な態様の一つによれば、前記微細なガス抜き孔が、それが形成される部位の一部を除去することによって、または該ガス抜き孔に外部から達するように設けられた小孔によって、外部に開口せしめられ得るように構成される。このような構成を採用することによって、例えば、粘性体封入容器の未使用状態下で、微細なガス抜き孔内に、外部への開口部を通じてゴミや異物が侵入して、ガス抜き孔が目詰まりしたり、狭窄化し、その結果、容器内に粘性体を充填した際に、容器内の残存ガスの排出が不十分となってしまうようなことが、未然に防止され得るのである。
【0014】
また、本発明に従うガス抜き機構を有する粘性体封入容器の別の好ましい態様の一つによれば、前記ガス集中部に接するように、前記袋体の対向面の固着された平坦部が形成されており、且つ該平坦部に前記ガス抜き孔が形成されることとなり、それによって、ガス抜き孔が容易に形成され得るのである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係るガス抜き機構を有する粘性体封入容器の具体的な構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0016】
先ず、図1には、本発明に従うガス抜き機構を有する粘性体封入容器の一例として、建築用シーリング材が充填されて封入される軟包装袋が、その縦断面形態において、概略的に示されている。かかる図1からも明らかなように、軟包装袋10は、全体として、略長手矩形形状を呈し、長さ方向一方側において外部に開口する開口部12を備えた、薄手の樹脂フィルムからなる袋体にて構成されている。つまり、ここでは、ポリアミドフィルムとポリエチレンフィルムの間にアルミニウム箔を挟んで一体的に積層形成した、略長手矩形形状を呈する薄手のラミネートフィルムの2枚を互いに重ね合わせ、それぞれのフィルムの長さ方向一方側に位置する辺部を除く全ての辺部を加熱溶融せしめて、互いに固着することにより形成された、内面が熱可塑性樹脂材料からなる袋体にて、軟包装袋10が与えられているのである。
【0017】
これによって、本実施形態の軟包装袋10にあっては、腰がなく、容易に変形せしめられ得る柔軟性が具備せしめられ、以て全体形状が細長い略円筒形状となるまで、シーリング材が、前記開口部12を通じて、内部に十分に充填せしめられ得るようになっており、また、そのようなシーリング材の充填状態下で、軟包装袋10を与える前記2枚のラミネートフィルムの未固着部分であるそれぞれの長さ方向一方側に位置する辺部同士を加熱溶融せしめて、互いに固着することにより、開口部12がシールされて、シーリング材が、内部に封入され得るようになっているのである。
【0018】
そして、このような軟包装袋10においては、開口部12の形成側とは反対側に、ノズル部14が突出形成されており、また、このノズル部14を除いた部位が収容部16とされている。このノズル部14は、軟包装袋10の内部にシーリング材が充填せしめられた際に、その一部が収容せしめられ、その状態下で、先端に向かうに従って次第に小径化するテーパ筒形状となるように形成されている。
【0019】
一方、収容部16は、軟包装袋10の内部へのシーリング材の充填状態下で、該シーリング材の殆どが収容せしめられて、円筒形状を呈するように形成されている。また、このような収容部16のノズル部14側における二つのコーナー部分には、軟包装袋10を与える前記長手矩形状の2枚のラミネートフィルムの角部同士が三角形状に互いに固着せしめられてなる三角固着部18,18がそれぞれ設けられており、以て、かかる収容部16の二つのコーナー部分の内面が、軟包装袋10の開口部12側からノズル部14側に向かう方向において、ノズル部14の先端中心部位に向かって傾斜する傾斜面20,20とされている。
【0020】
かくして、軟包装袋10にあっては、開口部12を通じてシーリング材が内部に充填せしめられた際に、収容部16内において、前記2枚のラミネートフィルムのそれぞれの長さ方向に延びる辺部の互いの固着部分の内面に沿って流動せしめられるシーリング材が、収容部16の二つのコーナー部分で流れが堰き止められることなく、前記傾斜面20,20に案内されつつ、ノズル部14内に向かって流動せしめられて、収容部16内に導入される全てのシーリング材が、ノズル部14側に向かってスムーズに流動せしめられ得るようになっており、それによって、収容部16内に残存する空気も、全て、それら二つのコーナー部分に滞留せしめられることなく、ノズル部14内の先端部分に集められるようになっているのである。即ち、このことから明らかなように、本実施形態では、ノズル部14にて、ガス集中部が構成されているのである。
【0021】
なお、このような軟包装袋10の大きさは、特に限定されるものではなく、内部に充填されるシーリング材の種類や用途、或いは後述する如く、シーリング材を軟包装袋10内から吐出させる際に用いられる公知のガンの大きさ等によって適宜に変更され得るものであるが、ここでは、シーリング材が充填されていない状態で、収容部16の長さが310mm程度で、その幅が115mm程度とされ、ノズル部14の収容部16からの突出長さが50mm程度で、その最大幅が55mm程度とされている。
【0022】
また、上述の如く、シーリング材の充填状態下での軟包装袋10内の残存空気が集中するように構成されたノズル部14の先端には、該ノズル部14の収容部16側とは反対側をシールする平坦部22が設けられている。この平坦部22は、前記2枚のラミネートフィルムのノズル部14を与える、それぞれのノズル部14形成部分のうち、その先端に所定面積をもって位置する矩形状部分同士が、全面において加熱溶融されて、互いに固着せしめられることにより形成されている。なお、ここでは、この平坦部22の長さと幅が、それぞれ20mm程度とされている。
【0023】
そして、本実施形態では、特に、そのような平坦部22に対して、微細なガス抜き孔24が設けられているのである。このガス抜き孔24は、図2に示される如く、平坦部22の幅方向中心部において、軟包装袋10の中心軸に沿って、平坦部22のノズル部14側から先端側に向かって連続して延びる、円形横断面を有する細長い管形状を呈しており、その長さ方向の一端部が、ノズル部14内に向かって開口せしめられている一方、その他方側端部が、平坦部22の先端部位にて閉塞せしめられて、成っている。また、かかるガス抜き孔24は、その内径が1.0〜1.4mm程度とされて、ノズル部14内の空気は、ガス抜き孔24内を容易に流通せしめられるものの、ノズル部14内に収容されるシーリング材は、それの有する粘性や表面張力等によって、ガス抜き孔24内を容易に流通され得ないようになっている。更に、このガス抜き孔24は、その内面が、平坦部22を与える前記2枚のラミネートフィルムの表面にて構成されていることによって、平坦部22に対する加熱により、内面が互いに固着せしめられて、シールされ得るようになっているのである。
【0024】
従って、このようなガス抜き孔24にあっては、軟包装袋10内にシーリング材を充填せしめる前に、ガス抜き孔24のノズル部14側とは反対側の端部を閉塞する平坦部22の先端部位が切り取られる等して除去されることにより、或いはかかる先端部位に、ガス抜き孔24内に向かって針等を突き刺す等して、ガス抜き孔24に達する小孔が外部から設けられることにより、外部に開口せしめられて、ノズル部14内を外部に連通し得るようになっており、そして、そのような外部への開口状態下で、軟包装袋10内にシーリング材が充填せしめられた際に、前述せるようにして、ノズル部14内の先端部位に集中せしめられた軟包装袋10内の残存空気を、外部に排出せしめ得るように構成されているのである。
【0025】
なお、かくの如きガス抜き孔24は、例えば、互いの型合わせ面に、ガス抜き孔24の半割形状に対応する溝がそれぞれ設けられた二つの型を用い、そのような二つの型の間で、前記2枚のラミネートフィルムの平坦部22を与える部位同士を加熱して固着せしめることによって、容易に形成されるのであり、また、それら2枚のラミネートフィルムを固着せしめるのに先立って、該2枚のラミネートフィルムの平坦部22を与える部位同士の間に、形成されるべきガス抜き孔24の内径と同一の外径を有する細長い適当な棒材を位置させ、その状態で、2枚のラミネートフィルムを加熱して固着せしめて、平坦部22を形成し、その後、かかる平坦部22から棒材を引き抜くことによっても形成されることとなる。
【0026】
而して、このような構造とされた軟包装袋10を使用する際には、例えば、先ず、平坦部22を、図2において二点差線:アにて示される切断線にて切断したり、或いは平坦部22の先端部位に針等を外部から突き刺して、ガス抜き孔24に達する小孔を設けたりして、ガス抜き孔24を外部に開口せしめた後、収容部16の開口部12を通じて、シーリング材を収容部16内とノズル部14内とに充填する。その際、それら収容部16とノズル部14の内部に残存せしめられた空気が、平坦部22が設けられたノズル部14の先端部位に集中せしめられ、更に、そこに集中せしめられた残存空気が、平坦部22に形成された、外部に開口するガス抜き孔24を通じて、全部乃至はその殆どが、外部に排出せしめられることとなる。
【0027】
その後、直ちに、開口部12を与える収容部16の内面同士、及びガス抜き孔24の内面同士をそれぞれ加熱して固着せしめることにより、それら開口部12とガス抜き孔24とをシールして、シーリング材を軟包装袋10内に封入せしめるのである。これによって、外部からの新たな空気の侵入も阻止されて、軟包装袋10内の空気の残存量が0乃至は極く微量とされるのである。
【0028】
また、かくして軟包装袋10内に封入されたシーリング材を使用する際には、例えば、軟包装袋10を登録実用新案第3061424号明細書に示される如き構造を有する従来より公知のガン(図示せず)にセットする一方、図2において二点差線:イにて示される切断線にてノズル部14を切断することにより、該ノズル部14をシールする平坦部22を除去して、該ノズル部14を外部に開口せしめる。そして、軟包装袋10のセットされたガンを操作することにより、シーリング材を軟包装袋10内から吐出せしめて、所望の部位に塗り付ける等して、使用するのである。
【0029】
このように、本実施形態に係る軟包装袋10においては、シーリング材を内部に充填せしめた際に、内部に残存する空気がノズル部14の先端部位に集められて、ガス抜き孔24を通じて外部に排出され、また、その後、かかるガス抜き孔24をシールすることにより、外部からの新たな空気の侵入が阻止されて、内部の空気の残存量が0若しくは極く微量とされ得るようになっているところから、軟包装袋10内のシーリング材が残存空気との接触により、軟包装袋10内で硬化したり、変質したりするようなことが可及的に解消され得るのであり、また、そのような残存空気が、軟包装袋10内のシーリング材中に気泡として分散せしめられ、それによって、軟包装袋10内から吐出される際に、シーリング材のスムーズな吐出状態が途切れたり、或いは液切れ不良が生ぜしめられるようなことも、有利に回避乃至抑制され得るのである。
【0030】
そして、そのように、軟包装袋10内のシーリング材に対する残存空気の悪影響が可及的に解消され得るようになっているところから、軟包装袋10内へのシーリング材の充填に先立って、わざわざ、軟包装袋10内の空気を窒素ガス等に置換する必要が皆無ならしめられ得るのであり、それによって、軟包装袋10内へのシーリング材の充填作業に、軟包装袋10内のガスの置換作業の実施に伴う手間や時間、或いは費用等における余分な負担が課せられることが有利に回避され得るのである。
【0031】
従って、このような本実施形態に係る軟包装袋10にあっては、内部へのシーリング材の充填作業における作業上及び経済上の負担が増大せしめられることなく、内部の残存空気によるシーリング材への悪影響や使用性の低下等の不具合の発生が、大幅に抑制乃至は効果的に解消され得ることとなるのである。
【0032】
また、かかる軟包装袋10においては、ガス抜き孔24が、ノズル部14内の空気は容易に流通せしめられるものの、ノズル部14内に収容されるシーリング材は容易に流通され得ない大きさにおいて形成されているところから、内部へのシーリング材の充填時に、シーリング材が、ガス抜き孔24を通じて、残存空気と共に外部に排出されるようなことが可及的に防止され得、以て、シーリング材が無駄に廃棄されるようなことが有利に回避され得るのである。
【0033】
さらに、本実施形態の軟包装袋10にあっては、シーリング材が内部に充填される前の状態では、ガス抜き孔24のノズル部14側とは反対側の端部が、平坦部22の先端部位にて閉塞されており、シーリング材を内部に充填せしめる際に、かかる平坦部22の先端部位を除去したり、そこに小孔を設けたりすることによって、初めて、ガス抜き孔24のノズル部14側とは反対側の端部が外部に開口せしめられるようになっているところから、シーリング材が充填されていない未使用状態で、微細なガス抜き孔24内にゴミや異物が侵入して、ガス抜き孔24が目詰まりし、或いは狭窄化され、それによって、軟包装袋10内にシーリング材を充填した際に、残存ガスの排出が不十分となってしまうようなことが、効果的に防止され得るのである。
【0034】
更にまた、かかる軟包装袋10においては、ノズル部14の先端に所定面積をもって位置する矩形状部分同士が固着せしめられて形成された平坦部22にガス抜き孔24が設けられているところから、細長い管形状を呈するガス抜き孔24が比較的に容易に形成され得るのである。
【0035】
また、本実施形態に係る軟包装袋10にあっては、収容部16のノズル部14側における二つのコーナー部分に、三角固着部18,18がそれぞれ設けられて、それら二つのコーナー部分の内面が、軟包装袋10の開口部12側からノズル部14側に向かう方向において、ノズル部14の先端中心部位に向かって傾斜する傾斜面20,20とされていることによって、収容部16内の残存空気が、シーリング材と共に、ノズル部14内に向かって良好に流動せしめられて、収容部16の二つのコーナー部分に滞留せしめられることなく、スムーズに且つ確実にノズル部14内に集中せしめられ得るようになっているところから、内部の残存空気の量が、より確実に0乃至は極く微量とされ得ることとなるのである。
【0036】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0037】
例えば、前記実施形態では、粘性体封入容器としての軟包装袋10が、ポリアミドフィルムとポリエチレンフィルムの間にアルミニウム箔を挟んで一体的に積層形成されてなるラミネートフィルムにて構成されていたが、かかる軟包装袋10の材質は、軟包装袋10に対して柔軟性を付与し得るもので、且つその少なくとも内面を熱可塑性樹脂材料にて構成し得るものあれば良いのである。従って、かかる軟包装袋10を、ポリアミドやポリエチレン等の柔軟性を有する公知の熱可塑性樹脂材料の一層からなる樹脂フィルムにて構成することも可能である。また、複数の層が一体的に積層形成されてなるラミネートフィルムにて軟包装袋10を構成する場合にあっても、上述の条件を満たすものであれば、かかるラミネートフィルムとして、前記実施形態に示されるものとは別の積層構造を有するものを用いても、何等差し支えないのである。
【0038】
また、前記実施形態では、軟包装袋10の先端に設けられたノズル部14にて、軟包装袋10内に残存するガスが集中するガス集中部が構成されていたが、一般に、柔軟性を有する袋体からなる粘性体封入容器においては、その先端部の他、内部に充填せしめられる粘性体が堰き止められ易いコーナー部分等に残存ガスが集まり易いところから、軟包装袋10にあっては、ノズル部14に代えて、或いはそれに加えて、収容部16のコーナー部分をガス集中部と為し、そこにも、ガス抜き孔24を設けるようにしても良い。なお、そうする場合には、前記実施形態に示される三角固着部18,18は省略されることとなる。
【0039】
さらに、そのようなガス抜き孔24の配設個数も、前記実施形態に示される如きものに決して限定されるものではなく、一つのガス集中部に対して、1個若しくは複数個設けることも可能である。
【0040】
更にまた、ガス抜き孔24の内径の大きさも、前記実施形態に示されるものに、特に限定されるものではないが、空気等のガスは容易に流通せしめられるものの、軟包装袋10内に充填されるシーリング材等の粘性体は容易に流通され得ない大きさとされていることが好ましく、その点からして、0.05〜5mm程度の内径とされていることが、望ましいのである。また、そのようなガス抜き孔24は、横断面円形形状を呈するものに、何等限定されるものでないことは言うまでもないところである。
【0041】
加えて、前記実施形態では、本発明を、建築用シーリング材が充填されて封入される軟包装袋に対して適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、各種用途に用いられる接着剤等を始めとした様々な粘性体が充填されて封入される粘性体封入容器の何れに対しても、有利に適用され得るものであることは、勿論である。
【0042】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明に従うガス抜き機構を有する粘性体封入容器にあっては、容器内への粘性体の充填作業の煩雑化や作業コストの増大を招くことなく、容器内のガスの残存に起因して生ぜしめられる粘性体への悪影響や使用時における不具合の発生が、極めて効果的に解消乃至は大幅に抑制され得ることとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う粘性体封入容器の一例を示す縦断面説明図である。
【図2】図1における部分拡大説明図である。
【符号の説明】
10 軟包装袋 12 開口部
14 ノズル部 16 収容部
18 三角固着部 20 傾斜面
22 平坦部 24 ガス抜き孔
Claims (3)
- 柔軟性を有する袋体からなり、少なくとも内面が熱可塑性樹脂材料にて構成されて、所定の粘性体が充填せしめられた状態下で、加熱によりシールされることにより、内部に該粘性体が封入されるようにした粘性体封入容器にして、
前記粘性体の充填状態下において残存するガスが集中するガス集中部を設けると共に、かかるガス集中部に集中せしめられたガスを外部に排出せしめるための微細なガス抜き孔を設け、更に、該ガス抜き孔を加熱によりシールされ得るように構成したことを特徴とするガス抜き機構を有する粘性体封入容器。 - 前記微細なガス抜き孔が、それが形成される部位の一部を除去することによって、または該ガス抜き孔に外部から達するように設けられた小孔によって、外部に開口せしめられ得るようになっている請求項1に記載のガス抜き機構を有する粘性体封入容器。
- 前記ガス集中部に接するように、前記袋体の対向面の固着された平坦部が形成されており、且つ該平坦部に前記ガス抜き孔が形成されている請求項1又は請求項2に記載のガス抜き機構を有する粘性体封入容器。
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