JP4437721B2 - 真偽判定用媒体、真偽判定可能な基材、真偽判定用媒体ラベル、および真偽判定用媒体転写シート - Google Patents

真偽判定用媒体、真偽判定可能な基材、真偽判定用媒体ラベル、および真偽判定用媒体転写シート Download PDF

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Description

本発明は、不正な意図に基づく偽造や改ざん等により得られたものとの区別を可能にした真偽判定用媒体に関する。また、本発明は、真偽判定用媒体を適用した真偽判定可能な基材にも関する。さらに本発明は、そのような真偽判定用媒体を物品に適用するのに適するラベルの形態や転写シートの形態に加工したものにも関する。
例えば、クレジットカード、預貯金用カード、各種金券、もしくは身分証明書等は、偽造されたり改ざんされて不正に使用されるといろいろな支障を招くので、偽造や改ざんによる損害を防止するために、そのものの真正性を識別できる機能を自身が有することが望まれる。また、例えば、腕時計、皮革製品、貴金属製品もしくは宝飾品等の高級品、とりわけ、高級ブランド品と言われるもの、オーディオ製品、電化製品、または媒体に記録された音楽ソフト、映像ソフト、ゲームソフト、もしくはコンピュータソフトも、やはり偽造の対象となるので、同様に、真正性を識別できる機能を有することが望まれる。
従来、上記の物品も含めた種々の物品の真正性の識別を可能にする目的で、ホログラムが多用されている。ホログラムは、その構造の精密さから、製造上の困難性を有するからである。しかし、ホログラムの製造方法は専門家には知られており、また、精密なものであるだけに、真正なホログラムと偽造されたホログラムとの区別はなかなかに困難である。
そこで、ホログラムに代るものとして、基材と、基材の一方の面に形成され、入射した光のうち、左回り偏光又は右回り偏光のいずれか一方の光のみを反射する光選択反射層と光選択反射層の少なくとも一部に形成され、新製品を判定する判定情報を備える判定部とを有する真偽判定体が提案された(例えば、特許文献1参照。)。
特開2000−25373号公報(第3〜5頁、図1)。
特許文献1記載の真偽判定体においては、判定部は依然としてエンボスホログラムで形成されており、判定部として精密なパターンの形成が可能であるものの、エンボス型に刻まれたホログラムの凹凸を充分に再現する意味で、エンボス型とエンボスされる材料との接触時間を充分に長くする必要があり、製造時間の短縮が困難である上、エンボス型自体の製造プロセスも工程数が多いため、判定部のパターンの変更が困難となる不利も有している。
本発明の課題は、判定部の形成をエンボスホログラムで形成する際に、製造時間の短縮が困難である点、エンボス型の製造時の工程数が多く、判定部のパターンの変更が困難な点を解消可能な真偽判定用媒体を提供することである。
上記の本発明の課題は、加熱により溶融もしくは蒸発してパターンを形成し得る金属の薄膜等と、コレステリック液晶層のような、入射光のうち左円偏光もしくは右円偏光のいずれか一方を反射する光選択反射性層もしくはその他の色変化層を積層したものにより、解決し得ることが判明し、これに基づいて本発明に到達することができた。
第1の発明は、加熱により光の透過率もしくは反射率が変化する薄膜層、および見る角度により異なる色を与える色変化層の少なくとも二つの層が積層していることを特徴とする真偽判定用媒体に関するものである。
第2の発明は、第1の発明において、前記色変化層が、入射光のうち左円偏光もしくは右円偏光のいずれか一方を反射する光選択反射性層であることを特徴とする真偽判定用媒体に関するものである。
第3の発明は、第2の発明において、前記光選択反射性層がコレステリック液晶層からなることを特徴とする真偽判定用媒体に関するものである。
第4の発明は、第1〜第3いずれかの発明において、前記色変化層が二層以上からなることを特徴とする真偽判定用媒体に関するものである。
第5の発明は、第1〜第3いずれかの発明において、前記色変化層が二層からなり、前記二層の間に位相差層が介在することを特徴とする真偽判定用媒体に関するものである。
第6の発明は、第1〜第5いずれかの発明の真偽判定用媒体を、基材の一部に可視可能に有することを特徴とする真偽判定可能な基材に関するものである。
第7の発明は、第1〜第5いずれかの発明の真偽判定用媒体にさらに接着剤層が積層されていることを特徴とする真偽判定用媒体ラベルに関するものである。
第8の発明は、第1〜第5いずれかの発明の真偽判定用媒体が剥離性基材の剥離性面に積層されていることを特徴とする真偽判定用媒体転写シートに関するものである。
第1の発明によれば、薄膜層に光の透過率の差もしくは反射率の差に基づくパターンを形成した箇所において、色変化層の存在に基づき、見る角度によって色相が異なって見えることを確認することにより、真偽判定を行うことが可能な真偽判定用媒体を提供することができる。
第2の発明によれば、第1の発明の効果に加えて、薄膜層に光の透過率の差もしくは反射率の差に基づくパターンを形成した箇所において、光選択反射性層の存在に基づき、見る角度によって色相が異なって見えること、および左円偏光板もしくは右円偏光板のいずれかを介して観察し、反射光の有無や反射光の色相を確認することにより、真偽判定を行うことが可能な真偽判定用媒体を提供することができる。
第3の発明によれば、第2の発明の効果に加えて、光選択反射層としてコレステリック液晶層を用いることにより、見る角度によって色相が異なって見えること、および左円偏光板もしくは右円偏光板のいずれかを介して観察し、反射光の有無を確認することにより、真偽判定を行うことをより確実に実行可能な真偽判定用媒体を提供することができる。
第4の発明によれば、第1〜第3いずれかの発明の効果に加えて、色変化層を二層以上とすることにより、見る角度によってより複雑な色相の変化をもたらすことが可能な真偽判定用媒体を提供することができる。
第5の発明によれば、第1〜第3いずれかの発明の効果に加えて、色変化層が二層と、これら二層の間に介在する位相差層とを有するものであるため、より複雑な反射をもたらすので、真偽判定をより一層確実に行うことが可能な真偽判定用媒体を提供することができる。
第6の発明によれば、第1〜第5いずれかの発明の真偽判定用媒体が適用されているので、付加される情報の真偽判定を可能とする、真偽判定可能な基材を提供することができる。
第7の発明によれば、第1〜第5いずれかの発明の効果を発揮し得る真偽判定用媒体に接着剤層を積層したことにより、容易に物品に適用可能な真偽判定用媒体ラベルを提供することができる。
第8の発明によれば、第1〜第5いずれかの発明の効果を発揮し得る真偽判定用媒体を剥離性基材に積層したことにより、容易に物品に適用可能な真偽判定用転写シートを提供することができる。
図1および図2は本発明の真偽判定用媒体の積層構造を例示する図である。図3および図4は本発明の真偽判定用媒体が適用された例を示す図である。図5は本発明の真偽判定用媒体を適用した製品による真偽判定の様子を示す図である。図6は本発明の真偽判定用媒体を対象物に適用するのに適したラベルの形態を示す図である。図7は本発明の真偽判定用媒体を対象物に適用するのに適した転写シートの形態を示す図である。
図1(a)に示すように、本発明の真偽判定用媒体1は、最も基本的には、見る角度により異なる色を与える色変化層3上に、加熱により光の透過率もしくは反射率が変化する薄膜層2が積層された積層構造からなるものである。図面の上側を観察側とすれば、真偽判定用媒体1は、図1(b)に示すように、薄膜層3上に色変化層3が積層された積層構造からなるものであってもよい。
色変化層3は、種々の素材を用いて構成することができ、例えば、見る角度によって色が変化する顔料を用いる、蒸着薄膜を用いる、もしくは二色性色素を用いることにより構成することができる。見る角度によって色が変化する顔料としては、高屈折率の酸化ケイ素、酸化チタン、酸化鉄などの層と、低屈折率のマイカ等の層を積層したパール顔料を例示することができ、具体的には、(株)資生堂製の商品名;インフィニットカラーや、メルク社(独国)製の商品名;イリオジン等が入手可能である。蒸着薄膜はアルミニウム等の金属やそのほかの素材を気相法により薄膜として形成したもので、ごく薄いものは透明性を有し、あたかも水面に浮かんだ油の薄膜のように、見る角度によって色が変化する、いわゆる干渉色を示すものである。二色性色素は、分子軸の方向によって光の吸収性を相違する長鎖色素分子からなり、例えば、色素分子の分子軸の方向に対して法線方向の光成分は吸収性がほぼなく光を透過するのに対して、分子軸の方向に対して平行方向の光成分は吸収性を有し、光を透過しない性質を有するもので、アントラキノン系、アゾ系、もしくはビスアゾ系の色素を例示することができる。上記のうち、見る角度によって色が変化する顔料もしくは二色性色素は適宜なバインダ樹脂中に分散し、溶剤で希釈して塗布用組成物としたものをシルクスクリーン印刷、グラビア印刷、もしくは公知のコーティング法によって対象表面に適用すればよい。
真偽判定用媒体1を構成する色変化層3は、入射光のうち左円偏光もしくは右円偏光のいずれか一方を反射する光選択反射性層であってもよく、その場合、真偽判定用媒体1は、図1(c)に例示するように、薄膜層2との間に配向膜4が介在した積層構造からなるものであってもよく、図示はしないが、下側から光選択反射性層3、配向膜4、および薄膜層2が順に積層された積層構造からなるものであってもよい。
真偽判定用媒体1は、薄膜層2と色変化層3とが1層ずつ積層された積層構造にとどまらず、色変化層3が二層からなるものであってもよい。図1(d)に示すように、図の下面側から二層の色変化層3B、3A、および薄膜層2が順に積層された積層構造からなるものであってもよいし、図1(e)に示すように、図の下面側から薄膜層2、二層の色変化層3A、および3Bが順に積層された積層構造からなるものであってもよい。
真偽判定用媒体1は、図2(a)中に示すように、下側から色変化層、例えば光選択反射性層3B、位相差層5、および色変化層、例えば3Aが順に積層した積層構造を有していてもよい。光選択反射性層3Bおよび3Aは、コレステリック液晶層からなるものであることが好ましく、互いに同じ方向の円偏光を反射するものどうしであることがより好ましい。図2(a)に示す例では、光選択反射性層A(符号3A)側に、さらに薄膜層2が積層されて真偽判定用媒体1が構成されているが、もとろん、光選択反射性層B(符号3B)側に、さらに薄膜層2が積層されて真偽判定用媒体1が構成されていてもよい。
ここで、位相差層5は、入射した光を複屈折して、偏光方向によって異なる位相を生じさせ、位相差を付与する層である。複屈折は、媒質の屈折率が、偏光方向によって均質でないため生じる現象であり、このような媒質を透過した光の位相差σは、σ=2π(ne−no)d/λで、与えられることが知られている。ここで、neは異常光線屈折率、noは常光線屈折率、dは媒質の厚さ、λは光の波長である。すなわち、ある一定の厚さdの媒質に対して、位相差σは、光の波長λに依存する。位相差層5に、波長λ=2(ne−no)dなる右円偏光を入射すると、その右円偏光を透過しながら、位相差σ=π(すなわち、1/2波長)を与える。そのため、入射した右円偏光は、左円偏光に変換されて出射し、また、入射した左円偏光は右円偏光に変換されて出射する。このような位相差層5は、透明基材フィルムをプラスチックの延伸フィルムで構成するほか、後述するようにネマチック液晶層、もしくはネマチック液晶層と透明基材フィルムで構成することができる。
2層の色変化層BおよびA(符号3Bおよび3A)が位相差層5を介して積層された積層構造からなる色変化層3は、色変化層3Bおよび3Aが十分薄いときは、全体として透明であるので、この積層体を介して反対側にあるものを透視することができる。
仮に2層の色変化層が光選択反性射層BおよびA(符号3Bおよび3A)からなり、いずれも右円偏光を反射するものであるとする。図2(b)に示すように、上記の基本的な要素に対して自然光を光選択反射性層A(符号3A)側から入射すると、自然光は、右円偏光および左円偏光を含んでいるので、光選択反射性層A(符号3A)の作用により、右円偏光のみが選択的に反射され、この反射光(右円偏光)を右円偏光板を介して観察することができる。
また、光選択反射性層A(符号3A)側から入射した自然光のうちの左円偏光は、光選択反射性層A(符号3A)を透過する。透過した左円偏光は、位相差層5を経て右円偏光に変換される(図中の「左→右」は、左円偏光から右円偏光への変換を示す。)。変換された右円偏光は光選択反射性層B(符号3B)で反射される。この反射光(右円偏光)は、再び位相差層2を透過して左円偏光に変換される(図中の「右→左」は、右円偏光から左円偏光への変換を示す。)。変換された左円偏光は、光選択反射性層A(符号3A)を経て出射し、この出射光(左円偏光)を左円偏光板を介して観察することができる。このとき、2層の光選択反射性層AおよびB(符号3Aおよび3B)を、各々の反射光の中心波長が相違するものどうしとすることにより、右円偏光板を用いて観察したときと、左円偏光板を用いて観測したときとでは光の色が異なるから、二重の確認が可能であり、真偽をより確実に判定できる。
本発明の真偽判定用媒体1は、適宜な基材と積層して、真偽判定可能な基材として使用することが好ましい。
図3(a)に示すように、適宜な基材12上に、基材12側より色変化層、例えば光選択反射性層3および薄膜層2が順に積層したもの、図3(b)に示すように、適宜な基材12上に、基材12側より薄膜層2および色変化層、例えば光選択反射性層3が順に積層したもの、もしくは図3(c)に示すように、適宜な基材12上に、基材12側より薄膜層2、配向膜4、および色変化層、例えば光選択反射性層3が順に積層したもの等のいずれもが、真偽判定可能な基材11である。これらの真偽判定可能な基材11は、図1(a)〜図1(c)を引用して説明した真偽判定用媒体1を基材12上に積層したものである。なお、図示はしないが、適宜な基材12上に、基材12側より色変化層、例えば光選択反射性層3、配向膜4、および薄膜層2が順に積層したものも真偽判定可能な基材11である。上記の他、図1(d)、および図1(e)を引用して説明した真偽判定用媒体1を基材12上に積層したもの等もまた、真偽判定可能な基材11である。
図4(a)に示す例の真偽判定可能な基材11は、図2(a)を引用して説明した真偽判定用媒体1を適宜な基材12上に積層した積層構造を有するもので、基材12上に基材12側より色変化層、例えば光選択反射性層3および薄膜層2が順に積層されており、光選択反射性層3は、基材12側より、光選択反射性層B(符号3B)、位相差層5、および光選択反射性層A(符号3A)が順に積層した積層構造からなるものである。図示はしないが、基材12上に基材12側より、薄膜層2、光選択反射性層A(符号3A)、位相差層5、および光選択反射性層B(符号3B)が順に積層したものも、本発明の真偽判定可能な基材11である。
図4(b)に示すように、真偽判定可能な基材11は、基材12上に基材12側より色変化層、例えば光選択反射性層B(符号3B)、パターン状の色変化層、例えば光選択反射性層A(符号3A)、および薄膜層2が順に積層した積層構造からなるものであってもよい。基材12上に、図1(d)を引用して説明した真偽判定用媒体1が積層したもののバリエーションでもある。このように色変化層3が二層以上からなるときは、少なくとも1層はパターン状であってもよい。なお、図示はしないが、真偽判定可能な基材11は基材12側より、薄膜層2、パターン状の色変化層、例えば光選択反射性層A(符号3A)、および光選択反射性層B(符号3B)が順に積層した積層構造からなるものであってもよい。なお、いずれの場合にも、パターン状の光選択反射性層A(符号3A)、および光選択反射性層B(符号3B)は積層順序が入れ替わってもよい。
本発明の真偽判定用媒体1における薄膜層2としては、加熱により光の透過率もしくは反射率が変化するものであることが好ましく、このための素材としては、加熱により溶融もしくは蒸発、又は相変化を起こして、加熱部と非加熱部とにおいて、光の透過率もしくは反射率の相違に基づくパターンを生じ得るものであれば、どのようなものでもよいが、例えば、Te、Sn、In、Al、Bi、Pb、もしくはZn等の比較的低融点の金属、これら金属の合金、もしくはこれら金属の化合物、例えば、Te−カーバイド等を挙げることができる。薄膜層2の形成方法は、素材にもよるが、真空蒸着法、スパッタ法、もしくはめっき法等によって行うことができる。また薄膜層2の厚みとしては、10μm〜1000μm程度である。
本発明の真偽判定用媒体1における光選択反射性層3は、入射光のうち左円偏光もしくは右円偏光のいずれか一方を反射する光選択反射性を有する素材からなる層であり、例えばコレステリック液晶層からなるものである。光選択反射性層3は、コレステリック液晶の溶剤溶液を各種の印刷法によって適用し、乾燥させることにより形成することができ、あるいは、このとき、重合性のコレステリック液晶を用いて紫外線重合性組成物を調製し、得られた紫外線重合性組成物を各種の印刷法によって適用し、乾燥後に、紫外線を照射して重合させて形成することもできる。
光選択反射性層3を二層以上形成する際には、各層の反射光の中心波長が相違したものとすることが好ましく、このためには、各層の厚みが異なるよう構成するか、もしくは各層を構成する素材として螺旋ピッチが異なるものを用いて構成することが好ましい。上記のように重合性のコレステリック液晶を用いて紫外線重合性組成物を調製して用い、光選択反射層を形成する場合には、重合性のネマチック液晶とカイラル剤を組み合わせて用い、このとき、重合性のネマチック液晶とカイラル剤との配合比を異ならせた紫外線重合性組成物を調製して用いることにより、互いに螺旋ピッチの異なるコレステリック液晶層を形成することができる。
重合性のコレステリック液晶材料としては、下記の一般式(1)で表される化合物や、式(2)〜式(10)で示す化合物を例示することができる。これら例示したものはモノマーであるが、オリゴマーやポリマーであってもよい。一般式(1)で表される化合物を2種類以上併用することや、一般式(1)で表される化合物および式(2)〜式(10)で示す化合物の中から選択して2種類以上併用してもよい。
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上記の一般式(1)において、R1およびR2は、それぞれ水素もしくはメチル基を示し、Xは塩素もしくはメチル基であることが好ましい。また一般式(1)で表される化合物のスペーサーであるアルキレン基の鎖長を示すaおよびbは、2〜9の範囲であることが液晶性を発現させる上で好ましい。
上記の液晶性化合物には、下記式(11)〜式(13)で表されるカイラル剤を配合してもよい。
Figure 0004437721
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上記の式(11)において、R3は、水素もしくはメチル基を示す。上記式(11)および式(12)において、Yは、下記式(14)および(15)で示す式(i)〜式(xxiv)のうちのいずれかである。また、上記式(11)〜式(13)において、アルキレン基の鎖長を示すc、dおよびeは、2〜9の範囲であることが液晶性を発現させる上で好ましい。
Figure 0004437721
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上記のコレステリック液晶材料およびカイラル剤は、必要に応じて紫外線重合開始剤、さらに溶剤や希釈剤と共に、一例として、コレステリック液晶材料:カイラル剤:紫外線重合開始剤=100:5:5(質量基準)の配合比で混合し、混合して得られた粉体をトルエン等の溶剤を用いて溶解し、30質量%程度の濃度の塗布用溶液を調製するとよい。なお、配合比は、使用するコレステリック液晶材料、カイラル剤、もしくは紫外線重合開始剤等の種類、塗布方式もしくは塗布機、または得たい塗布量によって適宜に定めることができる。
光選択反射性層3が積層され得る配向膜4は、ポリビニルアルコール樹脂(PVA)、ポリイミド樹脂等の一般に配向膜として使用し得るものであれば、いずれのもので構成してもよい。配向膜4は、これらの樹脂の溶剤溶液を、通常は、フィルム上もしくは適宜な層上に適宜な塗布法により塗布し、乾燥させた後に、布、ブラシ等を用いて摩擦するラビングを行なって形成する。なお、フィルム等が延伸したプラスチックシートで構成されているときは、もともと表面が配向性を有しているので、配向膜4の積層を省いてもよい。
位相差層5は、例えば、ネマチック液晶を用いて構成することができ、ネマチック液晶を含むインキ組成物、好ましくはネマチック液晶の溶剤溶液からなるインキ組成物を用いた各種印刷法により形成することができ、単独で用いるほか、自身が配向性を有する透明フィルムの表面に積層形成するか、もしくはフィルムの表面に配向膜を介して積層形成する。なお、延伸されたプラスチックフィルム自体も位相差層5となり得るし、そのようなプラスチックフィルムに位相差層を積層したもの、もしくはプラスチックフィルムに配向膜6を介して位相差層を積層したもの等も、全体として位相差層5として機能し得る。
本発明の真偽判定用媒体1が積層される対象としての基材12は、紙、プラスチック、もしくは金属箔等、又はこれらの複合体等を素材とすることができる。基材12は、ごく実際的には、偽造されたり改ざんされることにより種々の支障を招くことがあり得るクレジットカードもしくは預貯金用カード等のいわゆるカード類、各種の金券、交通機関の定期券、もしくは身分証明書等の形態に加工されたものであってもよい。上記の素材には、印刷、ラミネート、もしくはエンボス等の加工が行われていたり、磁気記録層の積層もしくはICチップの埋設等が行われていることがある。ほとんどの場合、基材12には、印刷が施され、磁気記録層の積層が行われていることが多い。
本発明の真偽判定用媒体1に対する記録は、加熱により光の透過率もしくは反射率が変化する薄膜層2に対し、サーマルヘッドやレーザー光等の、好ましくは入力情報に応じて点状(=ドット状)に加熱が可能な手段を用いて、必要な文字もしくはパターン等を形成することにより行われる。図5(a)は、真偽判定用媒体1が基材の表面の全面に積層されて施された、真偽判定可能な基材11に対して記録部13を形成した状態を示し、図示の例では、記録部13として英文字「DD」が形成されている。真偽判定可能な基材11は、図3もしくは図4を引用して説明したもので、仮に、図3(a)を引用して説明した積層構造のものを想定するが、もちろん、これ以外の積層構造のものであってもよい。図3(a)を引用して説明した積層構造のものの場合、薄膜層2が英文字「DD」を構成する幅の狭い帯状に揮散して除去されたとすると、除去部分から下層の光選択反射性層3が見え、光選択反射性層3がコレステリック液晶層からなるときは、見る角度によって色相が異なって見える。従って、英文字「DD」は、見る角度によって異なる色相を有している。
本発明の真偽判定用媒体1には、インクジェットプリンターもしくは熱転写プリンター等を用いた非感熱記録手法によって記録を施すこともでき、このような非感熱記録手法によって施された記録は、加熱により光の透過率もしくは反射率が変化する薄膜層または/および見る角度により異なる色を与える色変化層を背景とすることにより、偽造防止性を有するものとなる。また、上記の非感熱記録手法による記録に加えて、サーマルヘッドやレーザー光等を用いた感熱記録手法による記録を併用することにより、より高度な防止性を真偽判定用媒体1に与えることができる。
図5(a)の状態の真偽判定可能な基材11の上に、図5(b)に示すように左円偏光板14Lを重ねると、仮に光選択反射性層3が、入射光のうち左円偏光を反射するものである場合、反射光が観測され、また、光選択反射性層3の厚みやらせんピッチに基づいて、反射光が着色されて見える。この場合、図5(c)に示すように右円偏光板14Rを重ねると、反射光が観測されない。
図5(a)に示す真偽判定可能な基材11が、図4(a)を引用して説明したものであり、光選択性反射性層A(符号3A)および光選択性反射性層B(符号3B)が右円偏光を反射するものである場合には、図5(b)に示すように左円偏光板14Lを重ねると、下層側の光選択反射性層B(符号3B)で反射した反射光が見え、図5(c)に示すように右円偏光板14Rを重ねると、上層側の光選択反射性層A(符号3A)で反射した反射光が見え、いずれの場合にも、光選択反射性層A(符号3A)もしくはB(符号3B)の厚みやらせんピッチに基づいて、反射光が着色されて見える。この場合には既に述べたように、左円偏光板14Lを用いて観察したときと、右円偏光板14Rを用いて観測したときの光の色が異なるため、二重の確認が可能であり、真偽をより確実に判定できる。
以上の例では、本発明の真偽判定用媒体1を基材12の表面、それも観察側に積層した場合を念頭に説明したが、基材12が透明であれば、基材12の非観察側に真偽判定用媒体1を積層することもできる。また、本発明の真偽判定用媒体1を一例として0.5mm〜5mm程度のごく狭い幅の図中縦長のスレッド状に裁断したものを、基材12の凹部に積層したり、紙等の基材内部に透視可能に埋め込む等して用いることができる。例えば、金券類の用紙を基材12とし、スレッド状の真偽判定用媒体1を適用しておけば、見た目には目立たないか、あるいは単なる装飾のように見えるが、上記と同様にして用紙の真偽判定を可能にすることができる。
図1および図2を引用して説明した本発明の真偽判定用媒体1は、図6もしくは図7を引用して次に説明するように、ラベルや転写シートの形態に加工することにより、真偽判定用媒体1を適用すべき種々の物品に対する適用を容易とすることができる。
図6は、ラベルの形態に関するもので、図示の例では、基材フィルム22の図中の上面側に、基材フィルム22側より、色変化層、例えば光選択反射性層B(符号3B)、位相差層5、色変化層、例えば光選択反射性層A(符号3A)、薄膜層2、および保護層24が順に積層され、基材フィルム2の下面側に、接着剤層23が積層されて真偽判定用媒体ラベル21が構成されている。必要に応じて、接着剤層23の露出面には離型性シートが積層される。図6に示す例は、図2(a)を引用して説明した例の真偽判定用媒体1が基材22上に積層され、最上層に保護層24が積層され、基材22の下面側に接着剤層23が積層されたものであるが、真偽判定用媒体1としては、図2(a)を引用して説明した例以外のものが積層されていてもよい。また、保護層24は省くこともできる。なお、基材フィルム22の下面側に真偽判定用媒体1を積層し、さらに下面側に接着剤層23が積層されていてもよいし、また、このように、基材フィルム22の下面側に真偽判定用媒体1、および接着剤層23を積層した場合、保護層24を基材フィルム22の上面側に積層してもよい。
図7は、転写シートの形態に関するもので、図示の例では、基材フィルム22の下面側に、基材フィルム22側より、保護層24、薄膜層2、色変化層、例えば光選択反射性層3、および接着剤層23が順に積層され、基材フィルム22と保護層24との間で剥離可能に積層されて構成されたもので、光選択反射性層3は薄膜層2側より光選択反射性層A(符号3A)、位相差層5、および光選択反射性層B(符号3B)が順に積層された積層構造を有して真偽判定用媒体転写シート31が構成されている。この真偽判定用媒体転写シート31の例において、図2(a)を引用して説明した例の真偽判定用媒体1が積層されているが、真偽判定用媒体1としては、図2(a)を引用して説明した例以外のものが積層されていてもよい。また、保護層24は省くこともできる。なお、最下層の接着剤層23は、被転写体表面に接着剤が適用される場合には、省くこともできる。
上記のような真偽判定用媒体ラベル21の形態のもの、もしくは真偽判定用媒体転写シート31の形態において、真偽判定用媒体1の種々の積層構造に替えて、真偽判定可能な基材11を用いてもよい。この場合、真偽判定可能な基材11自体は基材12を伴っているので、真偽判定用媒体ラベル21および真偽判定用媒体転写シート31は、基材フィルム22と基材12の両方を有するものとなる。
本発明の真偽判定用媒体1もしくは真偽判定可能な基材11は、適宜な恒久的基材もしくは一時的な仮の基材に対して各層を順次積層することによっても製造することができるが、上記のような真偽判定用媒体ラベル21の形態のもの、もしくは真偽判定用媒体転写シート31の形態のものを用いて製造することもできる。真偽判定用媒体ラベル21の形態のものは、離型性シートが積層されているときは離型性シートを剥がし、接着剤層23を被着体となる物品側に向けて貼り付けることにより適用し、また、真偽判定用媒体転写シート31の形態のものは、接着剤層23側を被着体となる物品側に向けて接着させた後、基材フィルム22を剥離することにより適用する。
上記の真偽判定用媒体ラベル21および真偽判定用媒体転写シート31を構成するための基材フィルム22としては、機械的強度や、ラベル21および転写シート31を製造する際の加工に耐える耐溶剤性および耐熱性を有するものが好ましい。使用目的にもよるので、限定されるものではないが、フィルム状もしくはシート状のプラスチックが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール等の各種のプラスチックフィルムを例示することができる。
また、上記の真偽判定用媒体ラベル21および真偽判定用媒体転写シート31を構成するための接着剤層23としては、感熱接着剤もしくは感圧接着剤を用いることができ、いずれでもよい。
さらに、上記の真偽判定用媒体ラベル21および真偽判定用媒体転写シート31を構成するための保護層24は、一般的なインクもしくは塗料中のバインダー樹脂として使用される熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂のほか、紫外線硬化性樹脂もしくは電子線硬化性樹脂等の電離放射線硬化性樹脂を用いて構成することができる。
厚みが50μmのPETフィルムの表面に、重合性コレステリック液晶溶液を用いてグラビア印刷を行ない、乾燥させた後、紫外線を照射することにより、厚みが2.2μmのコレステリック液晶層を全面に形成した。ここで用いた重合性コレステリック液晶溶液は、重合性のネマチック液晶(BASF(株)製、商品名;「パリオカラーLC242」)、カイラル剤(BASF(株)製、商品名;「パリオカラーLC756」)および紫外線重合開始剤を配合したものの20%溶液(溶剤はトルエンである。)であり、重合性のネマチック液晶/カイラル剤の配合比は95.5/4.5であり、紫外線重合開始剤は重合性のネマチック液晶に対して5%を配合したものである。
形成されたコレステリック液晶層上に、グラビア印刷によりポリエステル樹脂系のアンカーコート層を形成し、アンカーコート層上にSn薄膜層を厚みが250nmになるよう蒸着によって形成し、さらにSn薄膜層上にグラビア印刷によりウレタン樹脂系の保護層を形成して、感熱記録用フィルムを得た。
得られた感熱記録用フィルムの保護層側からサーマルヘッドを用いて印字を行なったところ、印字後の感熱記録用フィルムは、見る角度により印字部のコレステリック液晶層の色相が変化して見えるものであった。また、右円偏光板を重ねて眺めると印字部が緑色に着色して見え、左円偏光板に取り替えると、色が消えて見えた。
実施例1で得られた感熱記録用フィルムのPETフィルムの何も形成しなかった側の面に、離型紙に粘着剤を塗布したものを重ねて、保護層、Sn薄膜層、アンカーコート層、コレステリック液晶層、PETフィルム、粘着剤層、および離型紙が順に積層した積層構造とした後、所定の形状に打ち抜いて、ラベル状の感熱記録用フィルムを得た。
実施例1で得られた感熱記録用フィルムの表裏両面に感熱接着剤層を積層したものを幅2mmのスレッド状に加工し、紙層間に漉きこんで、スレッドを有するスレッド用紙とした。
実施例1で得られた感熱記録用フィルムのPETフィルムの何も形成しなかった側の面に、注意書き等の文字を印刷し、プリペイドカードとした。
厚みが12μmのPETフィルムの表面にSn薄膜層を厚みが250nmになるよう蒸着によって形成した。形成されたSn薄膜層上に、PVA溶液((株)クラレ製のPVA樹脂、品番;「110」、5%水溶液(透明)として使用。)を塗布し乾燥させた後に、ラビング処理を行なって配向膜を形成した。この配向膜上に、実施例1において用いたのと同じ重合性コレステリック液晶溶液を用いてグラビア印刷を行ない、乾燥させた後、紫外線を照射することにより、厚みが2.2μmのコレステリック液晶層を全面に形成して、感熱記録用フィルムを得た。
得られた感熱記録用フィルムのPETフィルム側からサーマルヘッドを用いて印字を行なったところ、印字後の感熱記録用フィルムは、見る角度により印字部のコレステリック液晶層の色相が変化して見えるものであった。また、右円偏光板を重ねて眺めると印字部が緑色に着色して見え、左円偏光板に取り替えると、色が消えて見えた。
なお、上記と同様にして、ただし、PETフィルムとしては厚みの厚い50μmのものに替えて、感熱記録用フィルムを得た後、印字をコレステリック液晶層側から行なっても上記と同様の効果を得ることができた。
厚みが50μmのPETフィルムの一方の表面に、実施例1において用いたのと同じ重合性コレステリック液晶溶液を用いてグラビア印刷を行ない、乾燥させた後、紫外線を照射することにより、厚みが2.2μmのコレステリック液晶層(A)を全面に形成した。続いて、上記のPETフィルムのコレステリック液晶層(A)を形成しなかった側の表面に、コレステリック液晶層(A)を形成したときとは異なる重合性コレステリック液晶溶液を用いて、コレステリック液晶層(B)を形成した。その後、コレステリック液晶層(B)上に、Sn薄膜層を厚みが250nmになるよう蒸着によって形成して、感熱記録用フィルムを得た。なお、コレステリック液晶層(B)を形成するのに用いた重合性コレステリック液晶溶液は、重合性のネマチック液晶/カイラル剤の配合比が95.5/4.5である以外、コレステリック液晶層(A)を形成するのに用いた重合性コレステリック液晶溶液と同様である。
得られた感熱記録用フィルムにサーマルヘッドを用いて印字を行なったところ、印字後の感熱記録用フィルムは、見る角度により印字部のコレステリック液晶層の色相が変化して見えるものであった。また、右円偏光板を重ねて眺めると印字部が緑色に着色して見え、左円偏光板に取り替えると、赤色に着色して見えた。
本発明の真偽判定用媒体の基本的な積層構造を示す図である。 本発明の真偽判定用媒体の別の積層構造を示す図である。 本発明の真偽判定用媒体の適用例を示す図である。 本発明の真偽判定用媒体の別の適用例を示す図である。 本発明の真偽判定用媒体を用いた真偽判定の方法を示す図である。 本発明の真偽判定用媒体をラベル状としたものを示す図である。 本発明の真偽判定用媒体を転写シート状としたものを示す図である。
符号の説明
1……真偽判定用媒体
2……薄膜層
3……色変化層(光選択反射性層)
4……配向膜
5……位相差層
11……真偽判定用媒体
12……基材
13……記録部
14……円偏光板(14L;左円偏光板、14R;右円偏光板)
21……真偽判定用媒体ラベル
22……基材フィルム
23……接着剤層
24……保護層
31……真偽判定用媒体転写シート

Claims (5)

  1. 加熱により溶融もしくは蒸発又は相変化を起こして加熱部と非加熱部とにおいて光の透過率もしくは反射率の相違に基づくパターンを生じる薄膜層、および見る角度により異なる色を与える色変化層が積層しており、前記色変化層が二層からなり、前記二層の間に位相差層が介在しており、前記色変化層各々が、入射光のうち左円偏光もしくは右円偏光のいずれか一方のともに同じ円偏光を反射する光選択反射性層であり、前記光選択反射性層各々の反射光の中心波長が相互に相違するものであることを特徴とする真偽判定用媒体。
  2. 前記光選択反射性層がコレステリック液晶層からなることを特徴とする請求項1記載の真偽判定用媒体。
  3. 請求項1又は請求項2記載の真偽判定用媒体を、基材の一部に可視可能に有することを特徴とする真偽判定可能な基材。
  4. 請求項1又は請求項2記載の真偽判定用媒体にさらに接着剤層が積層されていることを特徴とする真偽判定用媒体ラベル。
  5. 請求項1又は請求項2記載の真偽判定用媒体が剥離性基材の剥離性面に積層されていることを特徴とする真偽判定用媒体転写シート。
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