JP4437350B2 - 反応容器及びそれを備えるプラズマ処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子基板,液晶ディスプレイ(LCD)用ガラス基板などにエッチング,アッシング,CVD(Chemical Vapor Deposition )などのプラズマ処理を施すための反応容器及びそれを備えるプラズマ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマ処理は、真空近くまで減圧された容器内にプラズマ生成ガスとマイクロ波とを導入し、放電により生成したプラズマを基板表面に導いてエッチング,レジスト除去(アッシング),CVD等の処理を施す。このようなプラズマ処理を行なう装置として高周波を用いてプラズマを発生させる装置、マイクロ波を用いてプラズマを発生させ、印加した高周波でそのプラズマを制御する装置などがある。プラズマ処理装置に用いられる反応容器は、特公平5−53870 公報に示されるような内面に膜厚0.5 μm〜20μmの陽極酸化被膜を形成したアルミニウム製のものが多く用いられている。陽極酸化被膜を反応容器の内面に被着せしめることにより、反応容器から発生するFe, Cr, Ni等の不純物による試料の汚染を防止できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、プラズマを発生せしめるために反応容器内に CHF3 ,CF4 ,SF6 等のF系又はCl2 ,BCl3 等のCl系のハロゲンガスが導入される。このハロゲンガスにより、一般にAlOOH の化学式で表示される陽極酸化被膜の表面はエッチングされ、Al,O, Hがプラズマ中に放出されてプラズマ成分が変動する。その結果、高精度なプラズマ処理を試料に施すことができないという問題があった。また、Alを含むパーティクルは半導体デバイスの特性に悪影響を及ぼすという問題があった。さらに、陽極酸化被膜が硫酸中で形成されたものである場合はSがプラズマ中に放出され、陽極酸化被膜が蓚酸中で形成されたものである場合はCがプラズマ中に放出されていずれもプラズマ処理に悪影響を及ぼすという問題があった。
【0004】
また、近年の半導体デバイスの微細化によりECR (電子サイクロトロン共鳴)プラズマ,表面波プラズマ(SWP )等の高密度プラズマが多く用いられ、これに伴い反応容器内面の陽極酸化被膜がプラズマによりエッチングされ易くなっている。また陽極酸化被膜が高速でエッチングされることにより、反応容器の短命化という問題が生じている。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、プラズマ生成ガスに曝されてもAl,O, Hのような元素不純物が発生せず、高密度プラズマのエッチングに起因する内面の損傷を抑制できる反応容器、及び該反応容器を備えるプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る反応容器は、プラズマを用いて試料に反応処理を施す反応容器において、内面の一部又は全部にアルミナ保護膜を500μm〜1000μmの厚みで形成してあることを特徴とする。
【0007】
出願人は、反応容器の内面に各種材料を被覆してプラズマ及びプラズマ生成ガスに対する耐久性を調べた。その結果、アルミナ(Al2 O3 )の溶射膜を被覆した場合に耐久性が向上すること、また膜厚が厚くなるに従いアルミナのプラズマに対する耐性が向上することが判明した。第1発明にあっては、反応容器の内面に500μm〜1000μmの厚みのアルミナ保護膜が被着しているので、プラズマ生成ガスによる不純物の発生を防止でき、且つプラズマによるエッチングを抑制して反応容器の長寿命化を図る。このエッチングの抑制は、アルミナ保護膜が通常よりも厚いのでエッチングに寄与するプラズマ中のイオンのエネルギが、保護膜表面で低下するためであると考えられる。
【0008】
反応容器は完全に絶縁されていても良く、アルミナ保護膜が500μmよりも厚い膜であっても差し支えない。アルミナ保護膜が500μmよりも薄い場合はエッチング損傷の抑制効果が小さく、1000μmを超えた場合はアルミナ保護膜の剥離が生じ易くなる。
【0009】
第2発明に係る反応容器は、プラズマを用いて試料に反応処理を施す反応容器において、内面の一部又は全部に緩衝膜を介してアルミナ保護膜を500μm〜1000μmの厚みで形成してあり、前記緩衝膜はその線膨張係数が前記内面及び前記アルミナ保護膜の線膨張係数の略中間値を有することを特徴とする。
【0010】
第2発明にあっては、アルミナ保護膜は緩衝膜を介して500μm〜1000μmの厚みで形成されている。緩衝膜はその線膨張係数が反応容器の内面の線膨張係数とアルミナ保護膜の線膨張係数との略中間値を有しており、この緩衝膜によりアルミナ保護膜の剥離を防止できる。アルミナ保護膜をある程度厚く被覆した場合に内面とアルミナ保護膜との線膨張率の違いにより、溶射形成中、溶射後の冷却時、又はプラズマ処理中にアルミナ保護膜が反応容器から剥離することがあるが、線膨張係数が両者の略中間値である緩衝膜を介することによりアルミナ保護膜の剥離を防止できる。
【0011】
第3発明に係る反応容器は、第2発明において、前記内面はアルミニウムで形成されており、前記緩衝膜はNiを含む膜であることを特徴とする。
【0012】
第3発明にあっては、反応容器がアルミニウム製である場合に、緩衝膜としてアルミニウムとアルミナ保護膜との略中間の線膨張係数を有するNiが主成分である膜を溶射形成することにより、アルミナ保護膜の剥離を防止できる。
【0013】
第4発明に係る反応容器は、プラズマを用いて試料に反応処理を施す反応容器において、内面がアルミニウムで形成されており、該内面の一部又は全部にアルミニウムとアルミナとの中間組成を有する緩衝膜を介してアルミナ保護膜を500μm〜1000μmの厚みで形成してあることを特徴とする。
【0014】
第4発明にあっては、反応容器はアルミニウム製であり、緩衝膜はAlとO との組成比をアルミニウムに相当する1:0 からアルミナに相当する1:1.5 までの中間の組成を有する。これにより、反応容器の内面とこれを覆うアルミナ保護膜との線膨張係数の変化が小さくなるので、アルミナ保護膜の剥離を防止できる。
【0015】
第5発明に係るプラズマ処理装置は、第1乃至第4発明のいずれかの反応容器と、該反応容器の開口を封止し、マイクロ波を透過させて前記反応容器内に導入する封止部材と、導入されたマイクロ波により生成したプラズマを用いてプラズマ処理を施すべき試料を載置する試料台とを備えることを特徴とする。
【0016】
第5発明にあっては、上述した如きアルミナ保護膜を内面に形成した反応容器を用いる。この反応容器の開口部に封止部材が配され、マイクロ波を反応容器内に導入してプラズマを発生せしめ、試料をプラズマ処理する。反応容器の内面にアルミナ保護膜が形成してあるので、プラズマ生成ガスによる不純物の発生が防止され、プラズマ成分を一定にし、試料汚染も防止される。また、反応容器内面がプラズマによるエッチングから保護されるので容器の長寿命化が図れる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は本発明に係るマイクロ波プラズマ処理装置の構造を示す側断面図である。図中1は本発明の特徴となる反応容器であり、矩形箱状でその全体がアルミニウムで形成されている。反応容器1の上部の開口は封止板4で気密状態に封止されている。封止板4は耐熱性及びマイクロ波透過性を有すると主に誘電損失が小さい石英ガラス(SiO2 )又はアルミナ(Al2 O3 )等の誘電体で形成されている。
【0018】
反応容器1の内部は処理室2になっており、処理室2の側壁にはガス導入管5が取付けられて処理室2内に所要のガスが導入されるようになっている。反応容器1の内側壁にはガス導入管5の開口部分を除いてアルミナ保護膜21が100 μm〜1000μmの厚みで形成されている。アルミナ保護膜21はプラズマ溶射により内側壁を覆うようにアルミナを被着させて形成されている。処理室2の底部中央には、封止板4に対面して試料Wを載置する試料台3が設けてあり、試料台3にはマッチングボックス6を介して数百kHz〜十数MHzの高周波電源7が接続されている。試料台3はその基台部分を図示しない焼結体アルミナで覆っており、プラズマから遮蔽されるようになっている。また、反応容器1の底部壁には試料台3の周囲に排気口8が開設してあり、排気口8から処理室2の内気を排出するようになっている。
【0019】
封止板4の下部周縁には、対向電極9が反応容器1の周囲壁から内部に張り出す態様で設けられている。対向電極9は高周波電圧が印加される試料台3に対する接地電極の役割を果たす。このような形状の対向電極9は試料Wに安定したバイアス電位を発生させることができる。
【0020】
反応容器1には、その上部を覆う長方形箱形状の金属製のカバー部材40が連結してあり、カバー部材40の一側には導波路31を介してマイクロ波発振器30が連結されている。カバー部材40内の天井部分には誘電体線路41が封止板4から所定間隔を隔てて対向配置されている。誘電体線路41はテフロン(登録商標)のようなフッ素樹脂,ポリエチレン樹脂又はポリスチレン樹脂等の誘電体を、平面視で矩形と三角形とを組み合わせた略五角形の板形状に成形してなり、前記五角形の頂点は延設せしめてある。この延設部分は導波路31に内嵌されている。
【0021】
このようなマイクロ波プラズマ処理装置を用いて試料Wの表面に例えばエッチング処理を施す際には、まず排気口8から排気して処理室2内を所望の圧力まで減圧した後、ガス導入管5から処理室2内にプラズマ生成ガスを供給する。次いで、マイクロ波発振器30からマイクロ波を発振させ、これを導波路31を介して誘電体線路41に導入する。ほぼ同時に高周波電源7から試料台3に例えば400 kHz又は13.56 MHzの高周波電圧を印加し、試料Wの表面にバイアス電圧を発生させる。
【0022】
マイクロ波は例えば2.45GHzの周波数のものが用いられる。誘電体線路41に導入されたマイクロ波はカバー部材40の端面で反射し、入射波と反射波とは重ね合わされ、誘電体線路41内に定在波を形成する。この定在波によって、誘電体線路41の下側に漏れ電界が形成され、封止板4を透過して処理室2内へ導入される。処理室2内に導入されたマイクロ波とプラズマ生成ガスとによりプラズマが生成される。試料W表面に発生したバイアス電圧によりプラズマ中のイオンのエネルギーが制御され、プラズマにより試料Wの表面にエッチングが施される。
【0023】
なお、このような反応性イオンエッチング処理後に処理室2の内面に堆積した反応生成物を除去するためにクリーニングを行なうことがある。クリーニングは試料Wを入れ替えた後にガス導入管5から所定流量のO2 ガスを処理室2内に導入し、上述したエッチング処理と同様の手順にてプラズマを発生せしめて行なわれる。クリーニングにより、反応容器内面に付着した反応生成物が除去される。また、試料WにSiO2 膜を成膜した場合には、クリーニングの際にフッ素系ガスを処理室2内に導入して内壁表面に堆積したSiO2 を除去する。
【0024】
このように、試料Wのプラズマ処理中及び反応容器1のクリーニング中に、処理室2内にF系又はCl系のプラズマ生成ガスを導入する。上述した如く、本実施の形態の反応容器1の内面にはアルミナ保護膜21が被覆されているので、プラズマ生成ガスとの反応による不純物の発生を防止できる。またアルミナ保護膜21は比較的厚い100 μm〜1000μmの厚みに形成されているので、反応容器1の内面のプラズマによるエッチングが抑制され長寿命化が図られる。
【0025】
以上の如きプラズマ処理装置の反応容器1についてプラズマによる損傷程度を試験した。アルミナ保護膜21の厚みが100 μm,500 μm,1000μmの反応容器1を用いて試料Wにプラズマ処理を施し、そのときの処理室2内面の損傷量を調べた。また比較例としてアルミナ保護膜が20μm,50μm,1300μm,1500μmの厚さの反応容器について同様に試験し、さらに従来例として硫酸中で形成された20μmの厚さの陽極酸化被膜を有する反応容器について同様に試験した。アルミナ保護膜は大気中のプラズマ溶射により形成されており、アルミナの原料粉の純度は99%及び99.99 %のそれぞれを用いた。
【0026】
試料Wとして1μmの厚みのシリコン酸化膜が形成された6インチのシリコンウエハを用い、これにプラズマエッチングを行なった。エッチング条件は、プラズマ生成ガスに CHF3 を用い、マイクロ波の周波数は2.45GHz、その電力が1300W、高周波の周波数は4000kHz、その電力が600 Wである。このエッチングプロセスをウエハ1枚当たりに1分間行い、これを5000枚のウエハについて5000分間連続して行なった。但し、500 分毎に所定流量のO2 を処理室2内に導入し、上述したクリーニングをウエハを入れ替えた後に行った。そのときのプラズマ発生条件はエッチング条件と同様である。そして1000分間のエッチングプロセスが終了した後にウエハ上のAl等を成分とするパーティクルの大きさ及び個数,Al等の元素による汚染量(コンタミネーション,以下コンタミという)を測定した。結果を表1及び表2に示す。表1は1000分後,2000分後及び3000分後のパーティクル及びコンタミの結果を示し、表2は4000分後及び5000分後のパーティクル及びコンタミの結果を示している。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
パーティクルの大きさ及び個数はパーティクルカウンタにより測定した。パーティクルカウンタはウエハ表面にS偏光レーザを照射し、異物からの散乱光を検出することにより、パーティクルの大きさ及び個数を調べることができる装置である。表中、ウエハ上に0.01μm以上のパーティクルが10個以上存在するものは‘×’で示し、10個以上存在しないものは‘○’で示した。
【0030】
また、Alによる汚染量はウエハの表面をフッ酸で洗浄し、その洗浄液中に含まれるAl量をICP(誘導結合高周波プラズマ)分光分析法によって測定した。ウエハ上のその他の元素による汚染量は全反射蛍光X線分析法により測定した。これらの測定の結果は1cm2 当たりの元素量(Atoms )で表され、ウエハ上に元素が1×1010Atoms/cm2 以上存在するものは‘×’で示し、1×1010Atoms/cm2 以上存在しないものは‘○’で示した。
【0031】
表1及び表2から判るように、本実施の形態の反応容器は比較例及び従来例とは異なり、ウエハ上に0.01μm以上のパーティクルが10個より少なく、Al等の元素による汚染量が1×1010Atoms/cm2 より少ない。これにより、本実施の形態の反応容器はプラズマ生成ガスに曝されても元素不純物を発生せず、試料汚染を防止できると言える。なお、アルミナ保護膜の厚みが1300μm及び1500μmの比較例については、パーティクル及びコンタミでは‘○’を示しているが、アルミナ保護膜が剥離し易いことが判っている。
【0032】
さらに、5000分間のエッチングプロセスが終了した後に、反応容器をプラズマ処理装置から取り外し、反応容器の内面の損傷量を調べた。損傷量はエッチングプロセス以前に反応容器の内面にポリイミド系のテープを固定し、プロセス後にこのテープを取り除いて生じた段差を測定することにより求めた。結果を表3に示す。損傷量は硫酸中で20μmの厚みの陽極酸化被膜を形成した反応容器の損傷量を1として各反応容器の内面の損傷量を示している。
【0033】
【表3】
【0034】
表3から判るように、本実施の形態の反応容器は損傷量が1よりも小さく、硫酸陽極酸化被膜を被着した反応容器よりも損傷が少ないことが判る。また、アルミナ保護膜は膜厚が厚いほど損傷量が小さくなっている。なお、アルミナ保護膜の厚みが1300μm及び1500μmの比較例については損傷量は零であり、全く損傷を受けていないが、アルミナ保護膜が剥離し易いことが判っている。
【0035】
以上のごとく、本発明の反応容器は内面の一部又は全部に100 μm〜1000μmの厚みのアルミナ保護膜が形成してあり、アルミナ保護膜が100 μmよりも薄い場合はエッチング損傷の抑制効果が小さく、1000μmを超えた場合はアルミナ保護膜の剥離が生じ易くなる。
【0036】
実施の形態2.
図2は本発明のプラズマ処理装置に係る実施の形態2の反応容器の構造を示す部分拡大断面図である。実施の形態2の反応容器を備えるプラズマ処理装置の全体構成は、図1に示す実施の形態1のものと同様であり、その説明を省略する。図2は図1のA部分に対応する部分を拡大図示している。図2に示すように、アルミニウム製の反応容器1の内側壁には緩衝膜21aを介してアルミナ保護膜21が被覆されている。緩衝膜21aは純Niの溶射膜であり、大気プラズマにより反応容器1の内面に形成されている。アルミナ保護膜21は緩衝膜21aの形成後にプラズマ溶射により緩衝膜21aを覆うようにアルミナを被着させて形成してある。緩衝膜21aの膜厚は50μmであり、アルミナ保護膜21は100 μm〜1000μmである。反応容器1,緩衝膜21a及びアルミナ保護膜21のおおよその線膨張係数は、夫々、2.3 ×10-5,1.5 ×10-5及び8.8 ×10-6である。反応容器1のその他の構成は実施の形態1と同様であり、説明を省略する。
【0037】
このような構造の反応容器1を備えたプラズマ処理装置を用いて試料Wの表面にエッチング処理を施した。その結果、実施の形態1と同様にプラズマ生成ガスによる元素不純物の発生が防止され、プラズマによる反応容器1の内面のエッチング損傷が抑制されることが判った。さらに、アルミナ保護膜21と反応容器1の内面との間に線膨張係数がそれらの略中間値である緩衝膜21aを形成してあるので、溶射形成中,溶射後の冷却時又はプラズマ処理中のアルミナ保護膜21の剥離を防止できる。
【0038】
実施の形態3.
図3は本発明のプラズマ処理装置に係る実施の形態3の反応容器の構造を示す部分拡大断面図である。実施の形態3の反応容器を備えるプラズマ処理装置の全体構成は、図1に示す実施の形態1のものと同様であり、その説明を省略する。図3は図1のA部分に対応する部分を拡大図示している。図3に示すように、アルミニウム製の反応容器1の内側壁には緩衝膜21bを介してアルミナ保護膜21が被覆されている。
【0039】
緩衝膜21bは、AlとO との組成比をアルミニウムに相当する1:0 からアルミナに相当する1:1.5 まで厚み方向に連続的に変化させた膜である。この緩衝膜21bは、アルミニウム及びアルミナの溶射原料粉末の混合割合を変えて溶射を繰り返すことにより形成されている。アルミナ保護膜21は緩衝膜21bの形成後にプラズマ溶射により緩衝膜21bを覆うようにアルミナを被着させて形成してある。緩衝膜21aの膜厚は50μmであり、アルミナ保護膜21は100 μm〜1000μmである。反応容器1,緩衝膜21b及びアルミナ保護膜21のおおよその線膨張係数は、夫々、2.3 ×10-5,2.2 ×10-5〜8.9 ×10-6 及び8.8 ×10-6である。反応容器1のその他の構成は実施の形態1と同様であり、説明を省略する。
【0040】
このような構造の反応容器1を備えたプラズマ処理装置を用いて試料Wの表面にエッチング処理を施した。その結果、実施の形態1と同様にプラズマ生成ガスによる元素不純物の発生が防止され、プラズマによる反応容器1の内面のエッチング損傷が抑制されることが判った。さらに、アルミナ保護膜21と反応容器1との間に線膨張係数がそれらの間で厚み方向に変化する緩衝膜21bを形成してあるので、アルミナ保護膜21の剥離を防止できる。
【0041】
なお、実施の形態3では緩衝膜21bは組成比を厚み方向に連続的に変化するように形成してあるが、これに限るものではなく、反応容器の内面と保護膜との中間の組成に一定させてあっても良い。
【0042】
また、実施の形態1〜実施の形態3では、アルミナ保護膜を反応容器の内側壁のみに形成した場合を説明しているが、これに限るものではなく、反応容器の内底面に同様に被着してあっても良いし、内面全面に被着してあっても良い。
【0043】
実施の形態4.
図4は本発明に係る実施の形態4のマイクロ波プラズマ処理装置の構造を示す側断面図である。図中10は本発明の特徴となる反応容器であり、有底円筒形状を有し、その全体がアルミニウムで形成されている。反応容器10の上部の開口は封止板4で気密状態に封止されている。封止板4は耐熱性及びマイクロ波透過性を有すると主に誘電損失が小さい石英ガラス(SiO2 )又はアルミナ(Al2 O3 )等の誘電体で形成されており、封止板4上には後述する環状導波管型アンテナ部11aが固定されている。
【0044】
反応容器10の内部は処理室2になっており、処理室2の側壁にはガス導入管5が取付けられて処理室2内に所要のガスが導入されるようになっている。またガス導入管5の対向側壁には試料搬送口12が開設されており、試料Wを試料搬送口12から搬入出するようになっている。処理室2の底部中央には、試料Wを載置する試料台3が設けてあり、試料台3にはマッチングボックス6を介して数百kHz〜十数MHzの高周波電源7が接続されている。反応容器10の底部壁には試料台3の周囲に排気口8が開設してあり、排気口8から処理室2の内気を排出するようになっている。
【0045】
このような構造の反応容器10の内側面には、膜厚0.5 μm〜20μmの陽極酸化被膜が形成されている(図示せず)。また、本発明の特徴となるアルミナ保護膜21,21,21が、反応容器10内面の試料搬送口12及び排気口8の夫々のエッジ部分に100 μm〜1000μmの厚みで形成されている。アルミナ保護膜21はプラズマ溶射によりエッジ部分を覆うようにアルミナを被着させて形成されている。
【0046】
図4に示すように、封止板4には導電性金属を円形蓋上に成形してなるカバー部材4aが外嵌してあり、該カバー部材4aは反応容器10上に固定してある。カバー部材4aの上面には反応容器10内へマイクロ波を導入するためのアンテナ11が固定してある。断面がコ字状の部材が無終端環状に成形された環状導波管型アンテナ部11aが、コ字状の開口がカバー部材4aに対向する向きに反応容器10の中心軸と同心円状に配されており、カバー部材4aの環状導波管型アンテナ部11aに対向する部分に複数の開口15,15…が開設されている。即ち、環状導波管型のアンテナ11は、環状導波管型アンテナ部11aと、開口15,15…が開設されたカバー部材4aの環状導波管型アンテナ部11aに対向する部分とによって構成されている。
【0047】
環状導波管型アンテナ部11a内にはテフロン(登録商標)のようなフッ素樹脂,ポリエチレン樹脂又はポリスチレン樹脂等の誘電体14が内嵌されている。環状導波管型アンテナ部11aの外周にはその直径方向になるように導波管29が連結されており、導波管29にはマイクロ波発振器30が連結されている。
【0048】
このような構成のプラズマ処理装置を用いて試料Wの表面に例えばエッチング処理を施す際には、まず排気口8から排気して処理室2内を所望の圧力まで減圧した後、ガス導入管5から処理室2内にプラズマ生成ガスを供給する。次いで、マイクロ波発振器30からマイクロ波を発振させ、これを導波路29を介してアンテナ11に導入する。マイクロ波は環状導波管型アンテナ部11a内を互いに逆方向へ進行する進行波として、該環状導波管型アンテナ部11a内の誘電体14中を伝播し、両進行波は重ね合わされて環状導波管型アンテナ部11aの内面に定在波が生成される。この定在波によって環状導波管型アンテナ部11aの内面に、所定の間隔で極大値を示す壁面電流が通流する。環状導波管型アンテナ部11aの下面の開口15,15…から電界が放射され、封止板4を透過して処理室2内に導入され、処理室2内に導入されたプラズマ生成ガスによりプラズマが生成される。このプラズマにより試料台3上の試料Wの表面にエッチングが施される。
【0049】
処理室2内に導入するプラズマ生成ガス、及び実施の形態1で説明したようなクリーニング時の導入ガスにはF系又はCl系のものが用いられる。これらのガスは反応容器10の内面、特にエッジ部分を選択的に高速度でエッチングするが、上述した如く、本実施の形態の反応容器10の試料搬送口12及び排気口8のエッジ部分にはアルミナ保護膜21が被覆されているので、プラズマ生成ガスによる元素不純物の発生が抑制され、プラズマによる反応容器1の内面エッジ部分のエッチング損傷が低減する。またアルミナ保護膜21は比較的厚い100 μm〜1000μmの厚みに形成されているので、反応容器10のエッジ部分の損傷をさらに防止できる。
【0050】
なお、上述した実施の形態1〜実施の形態3のプラズマ処理装置が備える反応容器1は、実施の形態4の図4に示すように排気口8のエッジ部分を覆う態様でアルミナ保護膜21を形成してあっても実施の形態4と同様の効果を得る。また、実施の形態4のプラズマ処理装置が備える反応容器10は、実施の形態1〜3のように反応容器10の内側壁にアルミナ保護膜21を形成してあっても実施の形態1〜3と同様の効果を得る。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、本発明においては500μm〜1000μmの厚みのアルミナ保護膜を内面の一部又は全部に形成してあるので、プラズマ生成のためのガスに曝されても元素不純物が発生せず、また高密度プラズマのエッチングに起因する反応容器の損傷を抑制できる。また、アルミニウム製の反応容器の内面に緩衝膜を介してアルミナ保護膜を形成しており、この緩衝膜は線膨張係数がアルミニウムとアルミナ保護膜との略中間値を有するので熱膨張に起因するアルミナ保護膜の剥離を防止できる。
【0052】
また、この緩衝膜はアルミニウムとアルミナ保護膜との間の組成を有するので、熱膨張に起因するアルミナ保護膜の剥離を防止できる。さらに本発明においては、このような反応容器がプラズマ処理装置の処理室となるので、試料汚染を防止できるなど本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマイクロ波プラズマ処理装置の構造を示す側断面図である。
【図2】実施の形態2の反応容器の構造を示す部分拡大断面図である。
【図3】実施の形態3の反応容器の構造を示す部分拡大断面図である。
【図4】実施の形態4のマイクロ波プラズマ処理装置の構造を示す側断面図である。
【符号の説明】
1,10 反応容器
2 処理室
3 試料台
4 封止板
9 対向電極
12 試料搬送口
21 アルミナ保護膜
21a,21b 緩衝膜
Claims (5)
- プラズマを用いて試料に反応処理を施す反応容器において、
内面の一部又は全部にアルミナ保護膜を500μm〜1000μmの厚みで形成してあることを特徴とする反応容器。 - プラズマを用いて試料に反応処理を施す反応容器において、
内面の一部又は全部に緩衝膜を介してアルミナ保護膜を500μm〜1000μmの厚みで形成してあり、前記緩衝膜はその線膨張係数が前記内面及び前記アルミナ保護膜の線膨張係数の略中間値を有することを特徴とする反応容器。 - 前記内面はアルミニウムで形成されており、前記緩衝膜はNiを含む膜である請求項2記載の反応容器。
- プラズマを用いて試料に反応処理を施す反応容器において、
内面がアルミニウムで形成されており、該内面の一部又は全部にアルミニウムとアルミナとの中間組成を有する緩衝膜を介してアルミナ保護膜を500μm〜1000μmの厚みで形成してあることを特徴とする反応容器。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の反応容器と、該反応容器の開口を封止し、マイクロ波を透過させて前記反応容器内に導入する封止部材と、導入されたマイクロ波により生成したプラズマを用いてプラズマ処理を施すべき試料を載置する試料台とを備えることを特徴とするプラズマ処理装置。
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