JP4436283B2 - オーディオシステム用セットアップ装置、オーディオシステム用セットアップ方法及びプログラム - Google Patents

オーディオシステム用セットアップ装置、オーディオシステム用セットアップ方法及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、オーディオシステム用セットアップ装置、オーディオシステム用セットアップ方法及びプログラムに関する。
特許文献1は、オーディオシステム用セットアップ装置を開示する。該オーディオシステム用セットアップ装置によれば、オーディオシステムにおいてリスナー位置にマイクロホンを配置し、各スピーカへテスト音響信号を順番に供給し、各スピーカからテスト音響を出力させる一方、リスナー位置のマイクロホンの出力を検出し、各スピーカについてのマイクロホン出力が所定レベルとなるように、各スピーカに係るチャンネルのレベル調整を行っている(図11)。該オーディオシステム用セットアップ装置では、さらに、各スピーカに対し、テスト音響信号及びマイクロホンのレベル値の微分又は差分に基づき、各スピーカからリスナー位置までの音響信号の到達時間を検出し、各スピーカに係る到達時間が基準時間内になるように、各スピーカに係るチャンネルの遅延処理を行っている(図12)。
特許文献1のオーディオシステム用セットアップ装置は、セットアップ時の周辺ノイズ音を考慮していない。オーディオシステムのセットアップの際には、周辺ノイズ音がマイクロホンに拾われることがあり、これを考慮しないと、まちまちのセットアップが行われてしまう危険がある。
スピーカからのテスト音響をいたずらに大きくすることは、テスト音響が、周辺環境や他の人に対して迷惑なノイズ音となり、好ましくない。
本発明の目的は、周辺ノイズ音が存在していても、的確なセットアップを実施できるオーディオシステム用セットアップ装置、オーディオシステム用セットアップ方法及びプログラムを提供することである。
本発明のオーディオシステム用セットアップ装置は次のものを有している。
セットアップ対象の複数個のスピーカ、
所定の音響検出点に配置され該音響検出点における音響をその音量に関係する電気信号へ変換して該電気信号を出力する音響検出器、
各スピーカから個別にテスト音響を所定音量Vで出力させる出力制御手段、
音響検出器の出力に基づきスピーカ別S/N比を検出するスピーカ別S/N比検出手段、
すべてのスピーカ別S/N比の中で最小のスピーカ別S/N比が基準値以上であるか否かを判定する判定手段、
判定手段の判定が否である場合は、音量Vを変更してスピーカ別S/N比の再検出を実施するスピーカ別S/N比検出手段、
判定手段の判定が正である場合は、その時の音量Vをセットアップ音量に設定するセットアップ音量設定手段、及び
セットアップ音量のテスト音響を使って、複数個のスピーカのセットアップを実行するセットアップ手段。
本発明のオーディオシステム用セットアップ方法が適用されるオーディオシステムは次のものを有している。
セットアップ対象の複数個のスピーカ、及び
所定の音響検出点に配置され該音響検出点における音響をその音量に関係する電気信号へ変換して該電気信号を出力する音響検出器。
本発明のオーディオシステム用セットアップ方法は次のステップを有している。
各スピーカから個別にテスト音響を所定音量Vで出力させて、音響検出器の出力に基づきスピーカ別S/N比を検出するスピーカ別S/N比検出ステップ、
すべてのスピーカ別S/N比の中で最小のスピーカ別S/N比が基準値以上であるか否かを判定する判定ステップ、
判定ステップにおける判定が否である場合は、音量Vを変更してスピーカ別S/N比検出ステップへ戻る戻りステップ、
判定ステップにおける判定が正である場合は、その時の音量Vをセットアップ音量に設定するセットアップ音量設定ステップ、及び
セットアップ音量のテスト音響を使って、複数個のスピーカのセットアップを実行するセットアップステップ。
本発明のプログラムは、コンピュータを本発明のオーディオシステム用セットアップ装置の各手段として機能させる。
本発明によれば、全部のスピーカ別S/N比が基準値以上となるようなセットアップ音量が設定され、該セットアップ音量によりセットアップが実施されるので、周辺ノイズ音のために、セットアップがまちまちになる事態を回避できる。
図1はオーディオシステム10の主要部構成図である。オーディオシステム10は、AVレシーバ11、複数個(図1の例では6個)のスピーカ12a,12b,・・・,12f、及び1個のマイクロホン13を装備する。該オーディオシステム10は、ドルビー(登録商標)デジタル5.1チャンネルに対応しており、サブウーハースピーカとしてのスピーカ12fを除く他のスピーカ12a,12b,・・・,12eは、所定の部屋内に、それぞれに対応付けられているチャンネルに対応する場所、すなわち、聴取者予定位置に対して前方左、前方右、後方左、後方右、及び前方中央の各位置に配置される。
AVレシーバ11において、制御マイコン21は、スイッチ24、セレクタ25、ADC(アナログ/デジタル変換器)26、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)30、DAC(デジタル/アナログ変換器)31a,31b,31c、音量調整器32a,32b,・・・,32fを制御する。なお、図1において、オーディオ信号の線は、実線で示しているのに対し、制御信号の線は破線で示している。各スピーカ12a,12b,・・・,12fは、AVレシーバ11の対応のスピーカ用出力端子へ各ケーブルを介して接続される。マイクロホン13は、オーディオシステム10の聴取者が予定している聴取位置に置かれ、ケーブルを介してAVレシーバ11のマイク入力端子35へ接続される。
AVレシーバ11は、複数個の外部音声入力端子36a,36b,・・・を有している。複数個の外部音声入力端子36a,36b,・・・の内、外部音声入力端子36aのみは、マイク入力端子35とセレクタ25の入力端子を共有している。マイク入力端子35に入力されたオーディオ信号は、増幅器37を介してスイッチ24へ接続され、外部音声入力端子36aに入力されたオーディオ信号はスイッチ24へ直接、送られる。スイッチ24は、マイク入力端子35及び外部音声入力端子36aの一方を選択して、セレクタ25の入力端子へ接続する。
セレクタ25は、スイッチ24からの入力信号を含む複数個の入力信号を受け、その中から1個の入力信号を選択して、ADC26へ出力する。ADC26は、セレクタ25からのアナログ信号をデジタル信号へ変換して、DSP30のテスト信号分析器41へ出力する。DSP30は、テスト信号分析器41の他に、テスト信号生成器42を備え、テスト信号生成器42は、デジタル形式のテスト信号(後述のテスト音響信号に対応する。)を生成して、3個のDAC31a,31b,31cの全部又は一部へ出力する。DAC31aは、前側の左右の2チャンネルに共通に設けられ、DAC31bは、後ろ側の左右の2チャンネルに共通に設けられ、DAC31cは、前側中央のチャンネルとサブウーハーのチャンネルとに共通に設けられている。
DAC31a,31b,31cは、デジタル信号をアナログ信号へ変換する。DAC31aの出力は音量調整器32a,32bへ送られ、DAC31bの出力は音量調整器32c,32dへ送られ、DAC31cの出力は音量調整器32e,32fへ送られる。音量調整器32a,32b,・・・,32fの出力は、それぞれ増幅器45a,45b,・・・,45fへ送られる。増幅器45a,45b,・・・,45fの出力側は、ケーブルを介して対応のスピーカ12a,12b,・・・,12fへ接続されている。制御マイコン21は、各音量調整器32a,32b,・・・,32fの増幅率を個々に切替自在になっており、また、各音量調整器32a,32b,・・・,32fの出力レベルを個々に0、すなわち各チャンネルを個々にミュート状態にすることができる。
オーディオシステム10におけるセットアップ処理について説明する。
制御マイコン21は、スピーカ12a,12b,・・・,12fから順番にテスト音響が所定音量Vで出力されるように、テスト信号生成器42、DAC31a,31b,31c及び音量調整器32a,32b,・・・,32fを制御する。すなわち、テスト信号生成器42において、テスト音響信号が生成され、該テスト音響信号は、テスト音響出力を実施するスピーカに対応するDAC31a,31b又は31cへ送られ、さらに、テスト音響出力を実施するスピーカに対応する音量調整器32a,32b,・・・32e又は32fへ送られる。
一方、マイクロホン13は、その位置における音響を拾い(ピックアップし)、該音響を各瞬時の音量に関係する振幅の電気信号へ変換する。該電気信号は、マイク入力端子35、増幅器37、スイッチ24、セレクタ25及びADC26を介してテスト信号分析器41へ送られ、こうして、テスト信号分析器41は各サンプル時刻のマイクロホン13の出力レベルを検出する。
制御マイコン21は、各スピーカ12a,12b,・・・,12fに対応して期間Ta,Tb,・・・,Tfを設け、各期間Ta,Tb,・・・,Tfには、それぞれ対応のスピーカ12a,12b,・・・,12fのみからテスト音響を所定音量Vで出力するとともに、各期間Ta,Tb,・・・,Tfのマイクロホン13の出力の対応値の平均レベルLa,Lb,・・・,Lfをテスト信号分析器41において検出する。制御マイコン21は、さらに、全部のスピーカ12a,12b,・・・,12fからの音響出力を一斉に中止する期間Tzを設け、該期間Tzでは、テスト信号生成器42におけるテスト音響信号の生成を中止する。テスト信号分析器41は、期間Tzにおいて、マイクロホン13の出力の対応値の平均レベルLzを検出する。
図2は全部のスピーカ12a,12b,・・・,12fからの音響出力を中止した期間t1と所定のスピーカのみから音量Vで音響を出力した期間t2とにおけるマイクロホン13の出力電気信号を例示している。t1は前述のTzであり、t2は、前述のTa,Tb,・・・,Tfのいずれかである。マイクロホン13がt1において出力する電気信号レベルの平均値はLzに対応し、マイクロホン13がt2において出力する電気信号レベルの平均値はLa,Lb,・・・,Lfのいずれかに対応する。期間t2おける電気信号は、該期間に対応するスピーカ12a,12b,・・・,12fからマイクロホン13へ到達した音響と周辺ノイズ音とを合計した音の音量に対応した電気信号となる。
t1,t2の時間差は少ないので、t2における周辺ノイズ音の平均レベルは、t1における周辺ノイズ音の平均レベルとほぼ等しいと考えることができる。したがって、t2において観測されたマイクロホン13の出力電気信号の平均レベルの内、ノイズ音の寄与分は、t1において観測されたマイクロホン13の出力電気信号の平均レベルにほぼ等しいと考えて、差し支えない。t1,t2の長さは、例えばそれぞれ約5秒及び約1〜2秒である。
テスト信号分析器41は、t1,t2におけるマイクロホン13の出力電気信号レベルを所定のサンプル時間間隔で検出し、その平均値をそれぞれL1,L2とする。期間t2にテスト音響を出力しているスピーカについては、そのS/N比は、(L2−L1)/L1である。なお、L1は前述のLzに相当し、L2は、前述のLa,Lb,・・・,Lfのいずれかに相当する。テスト信号分析器41は、各スピーカ別にS/N比、すなわち(La−Lz)/Lz,(Lb−Lz)/Lz,・・・,(Lf−Lz)/Lzを算出する。すなわち、マイクロホン13の出力電気信号において、それぞれテスト音響及び周辺ノイズ音に相当する分をそれぞれS(シグナル)及びN(ノイズ)としている。
図3はオーディオシステム10のオーディオシステム用セットアップ方法50のフローチャートである。
S51では、全部のスピーカ12a,12b,・・・,12fからのテスト音響の出力を中止した前述の期間Tzを生成し、該期間Tzにおけるマイクロホン13の出力電気信号の平均レベルLzを検出する。
S52では、各スピーカ12a,12b,・・・,12fからテスト音響を音量Vで順番に出力して、前述のTa,Tb,・・・,Tfを生成するとともに、各Ta,Tb,・・・,Tfにおけるマイクロホン13の出力電気信号の平均レベルLa,Lb,・・・,Lfを検出する。
S53では、La,Lb,・・・,Lfと、Lzとに基づきスピーカ別S/N比(La−Lz)/Lz,(Lb−Lz)/Lz,・・・,(Lf−Lz)/Lzを算出する。
S54では、スピーカ別S/N比(La−Lz)/Lz,(Lb−Lz)/Lz,・・・,(Lf−Lz)/Lzの中から最小値を選択し、該最小値≧基準値であるか否かを判定する。そして、該判定が否であれば、S55へ進み、正であれば、S56へ進む。
S55では、テスト音響の音量Vを所定量ΔVだけ増加させて(V←V+ΔV)、S52へ戻る。
S56では、テスト音響のその時の音量Vに基づきスピーカ12a,12b,・・・,12fのセットアップを実施する。セットアップでは、セットアップ音量で各スピーカ12a,12b,・・・,12fから別々に出力させたテスト音響に対するマイクロホン13の出力のインパルス応答のレベル及び時間を検出する。そして、この検出に基づき、例えば、(a)各スピーカ12a,12b,・・・,12fからマイクロホン13までの距離の検出、(b)マイクロホン13の位置が各スピーカ12a,12b,・・・,12fからの音響が理想的な時間及び音量で届くように、スピーカ12a,12b,・・・,12f間の出力音響レベル補正の実施、及び(c)f特性補正を実施する。
図4はオーディオシステム用セットアップ装置60の構成図である。オーディオシステム用セットアップ装置60は、単独で存在するオーディオシステムに装備されるものに限定されず、AV(Audio Visual)システムような他のシステムに組み込まれたオーディオシステムに装備されるものであってもよい。
オーディオシステム用セットアップ装置60は、複数個のスピーカ61、音響検出器62、出力制御手段63、スピーカ別S/N比検出手段64、判定手段65、セットアップ音量設定手段66及びセットアップ手段67を有している。前述のオーディオシステム10(図1)はオーディオシステム用セットアップ装置60の一例である。スピーカ61の一例はスピーカ12a,12b,・・・,12fであり、音響検出器62の一例はマイクロホン13である。出力制御手段63の一例は、制御マイコン21、テスト信号生成器42及び音量調整器32a,32b,・・・,32fであり、スピーカ別S/N比検出手段64の一例は制御マイコン21及びテスト信号分析器41である。判定手段65、セットアップ音量設定手段66及びセットアップ手段67の一例は、制御マイコン21とテスト信号生成器42と音量調整器32a,32b,・・・,32fとテスト信号分析器41との共働装置に相当する。
各スピーカ61は、別々の場所に配置される。音響検出器62は、所定の音響検出点に配置され該音響検出点における音響をその音量に関係する電気信号へ変換して該電気信号を出力する。
出力制御手段63は、各スピーカ61から個別にテスト音響を所定音量Vで出力させる。スピーカ別S/N比検出手段64は、音響検出器の出力に基づきスピーカ別S/N比を検出する。判定手段65は、すべてのスピーカ別S/N比の中で最小のスピーカ別S/N比が基準値以上であるか否かを判定する。スピーカ別S/N比検出手段64は、判定手段65の判定が否である場合は、音量Vを変更してスピーカ別S/N比の再検出を実施する。
セットアップ音量設定手段66は、判定手段65の判定が正である場合は、その時の音量Vをセットアップ音量に設定する。セットアップ手段67は、セットアップ音量のテスト音響を使って、複数個のスピーカ61のセットアップを実行する。
オーディオシステム用セットアップ装置60は、セットアップ対象とならないスピーカ61を含んでいてもよいとする。この場合、セットアップ対象とならないスピーカ61については、そのスピーカ別S/N比の検出は省略する。
所定の音響検出点とは、典型的には、聴取者が、オーディオシステム用セットアップ装置60からの音楽等を鑑賞する際に、予定される聴取者位置である。オーディオシステム用セットアップ装置60におけるスピーカ別S/N比の一例は、前述のオーディオシステム10における(La−Lz)/Lz,(Lb−Lz)/Lz,・・・,(Lf−Lz)/Lzである。
判定手段65の判定が否である場合のスピーカ別S/N比検出手段64における音量Vの変更は、例えば、Vの初期値を適当に低い値に設定して、判定手段65の判定が否であるたびに、Vを所定量ずつ段階的に増大させるようにする。
セットアップ時の音響検出器62は、各スピーカ61からのテスト音響だけでなく、周辺のノイズ音を含む音響を検出することになり、また、周辺のノイズ音は、時間帯や、曜日によりばらつくことがある。オーディオシステム用セットアップ装置60によれば、セットアップ手段67におけるスピーカ61のセットアップに使用するテスト音響は、セットアップ対象の全部のスピーカ61に対して基準値以上のS/N比を保証する音量に設定されることになるので、周辺のノイズ音のばらつきに関係なく、的確なセットアップを実施できる。
以下は、オーディオシステム用セットアップ装置60の好ましい構成態様についての説明である。これら好ましい構成態様は、任意の組み合わせでオーディオシステム用セットアップ装置60に付加することができる。
好ましくは、出力制御手段63は、スピーカ別音響出力期間と音響出力中止期間とを設け、各スピーカ別音響出力期間では各期間に対応するスピーカ61からのみ所定のテスト音響を所定音量Vで出力させ、また、音響出力中止期間では全部のスピーカ61からの音響出力を中止させるものである。
現在がスピーカ別音響出力期間であるか音響出力中止期間であるかは、直接的にはスピーカ61からテスト音響を出力させる出力制御手段63により検知可能になっている。また、各スピーカ別音響出力期間が、どのスピーカ61に係るものであるかも、出力制御手段63により検知可能になっている。スピーカ別S/N比検出手段64が、これらを検知して音響検出器62の出力からスピーカ別S/N比を検出することを保証するために、例えば、(a)スピーカ別S/N比検出手段64が、テスト音響を出力するスピーカ61を出力制御手段63に指示するようになっていたり、(b)出力制御手段63が、現在は、どのスピーカ61からテスト音響を出力しているかをスピーカ別S/N比検出手段64へ通知したり、(c)出力制御手段63及びスピーカ別S/N比検出手段64とは別個に、スピーカ別音響出力期間及び音響出力中止期間や、どのスピーカ61についてのスピーカ別音響出力期間とするかを出力制御手段63及びスピーカ別S/N比検出手段64に指示又は通知する指示手段を設けたりすることができる。
セットアップ手段67における典型的なセットアップは、セットアップ音量で各スピーカ61から別々に出力させたテスト音響に対する音響検出器62の出力のインパルス応答に基づき、各スピーカ61から音響検出器62までの距離測定、スピーカ61間の出力レベル補正、又は各スピーカ61のf特性の補正を含む。
好ましくは、スピーカ別S/N比検出手段64は、スピーカ別S/N比の再検出においては、音響出力中止期間における音響検出器62の出力レベルの検出は省略し、各スピーカ別音響出力期間における音響検出器62の出力レベルの検出のみ行う。この一例としてのオーディオシステム用セットアップ方法50(図3)では、S51は、S52,S53,S54,S55のループに先立ち1回、実施され、かつ、該ループの外に存在している。
好ましくは、スピーカ別S/N比検出手段64は、各スピーカ別音響出力期間の少なくとも部分期間における音響検出器62の平均出力レベルと、音響出力中止期間の少なくとも部分期間における音響検出器62の平均出力レベルとに基づいて各スピーカ別S/N比を検出する。前述の図2に関連した説明では、t1,t2の全期間のマイクロホン13の出力レベルの平均値に基づき、Lz,La,Lb,・・・,Lfを検出することになっていたが、所定の部分期間のマイクロホン13の出力レベルの平均値に基づき、Lz,La,Lb,・・・,Lfを検出できる。特にLzの検出の基とする部分期間は、突発的なノイズ音の発生時を除外できる部分期間に設定されることが好ましい。
さらに、スピーカ別S/N比検出手段64は、音響検出器62の平均出力レベルを検出する時間長さに関して、各スピーカ別音響出力期間における検出期間より音響出力中止期間における検出期間の方を長くするのが好ましい。理由は、周辺ノイズ音には、突発的なものがあり、また、周辺ノイズ音の平均レベルは比較的低いので、音響出力中止期間があまり短いと、音響出力中止期間における音響検出器62の平均出力レベルが突発的な周辺ノイズ音から大きな影響を受けて、現実のものから遊離するからである。
図5はオーディオシステム用セットアップ方法80のフローチャートである。オーディオシステム用セットアップ方法80の一例は図3のオーディオシステム用セットアップ方法50である。オーディオシステム用セットアップ方法80の各ステップとオーディオシステム用セットアップ方法50の各ステップとの対応関係を述べると、S81はS51,S52,S53に対応する。S82,S83はそれぞれS54,S55に対応している。S84,S85はS56に対応している。
オーディオシステム用セットアップ方法80の前提としているオーディオシステムは、複数個のスピーカ61(図4)及び音響検出器62(図4)を装備している。複数個のスピーカ61は、別々の場所に配置されている。音響検出器62は、所定の音響検出点に配置され、該音響検出点における音響をその音量に関係する電気信号へ変換して該電気信号を出力する。
S81では、各スピーカ61から個別にテスト音響を所定音量Vで出力させて、音響検出器62の出力に基づきスピーカ別S/N比を検出する。S82では、すべてのスピーカ別S/N比の中で最小のスピーカ別S/N比が基準値以上であるか否かを判定し、判定が正であれば、S84へ進み、否であれば、S83へ進む。S83では、音量Vを変更し、その後、S81へ戻る。
S84では、その時の音量Vをセットアップ音量に設定する。S85では、セットアップ音量のテスト音響を使って、複数個のスピーカ61のセットアップを実行する。
オーディオシステム用セットアップ方法80の好ましい態様について述べる。
好ましくは、S81では、スピーカ別音響出力期間と音響出力中止期間とを設け、各スピーカ別音響出力期間では各期間に対応するスピーカからのみ所定のテスト音響を所定音量Vで出力させ、また、音響出力中止期間では全部のスピーカからの音響出力を中止させ、各スピーカ別音響出力期間における音響検出器62の出力レベルと、音響出力中止期間における音響検出器62の出力レベルとに基づいて各スピーカ別S/N比を検出する。
S85における典型的なセットアップは、セットアップ音量で各スピーカ61から別々に出力させたテスト音響に対する音響検出器62の出力のインパルス応答に基づき、各スピーカ61から音響検出器62までの距離測定、スピーカ61間の出力レベル補正、又は各スピーカ61のf特性の補正を含む。
好ましくは、S81では、スピーカ別S/N比の再検出においては、すなわち、S81がS83からの戻りにより再実行される場合には、音響出力中止期間における音響検出器62の出力レベルの検出は省略し、各スピーカ別音響出力期間における音響検出器62の出力レベルの検出のみ行う。
好ましくは、S81では、各スピーカ別音響出力期間の少なくとも部分期間における音響検出器62の平均出力レベルと、音響出力中止期間の少なくとも部分期間における音響検出器62の平均出力レベルとに基づいて各スピーカ別S/N比を検出する。
好ましくは、S81では、音響検出器62の平均出力レベルを検出する時間長さに関して、各スピーカ別音響出力期間における検出期間より音響出力中止期間における検出期間の方を長くする。
本発明を適用したプログラムは、コンピュータを、オーディオシステム用セットアップ装置60の各手段として機能させる。本発明を適用した別のプログラムは、オーディオシステム用セットアップ方法80の各ステップをコンピュータに実行させる。
本発明を最良の形態について説明したが、本発明は、これに限定されず、要旨の範囲内で種々の形態により実施可能であることは言うまでもない。
オーディオシステムの主要部構成図である。 全部のスピーカからの音響出力を中止した期間と所定のスピーカのみから音量Vで音響を出力した期間とにおけるマイクロホンの出力電気信号を例示す図である。 オーディオシステムのオーディオシステム用セットアップ方法のフローチャートである。 オーディオシステム用セットアップ装置の構成図である。 オーディオシステム用セットアップ方法のフローチャートである。
符号の説明
60:オーディオシステム用セットアップ装置、61:スピーカ、62:音響検出器、63:出力制御手段、64:スピーカ別S/N比検出手段、65:判定手段、66:セットアップ音量設定手段、67:セットアップ手段、80:オーディオシステム用セットアップ方法。

Claims (5)

  1. セットアップ対象の複数個のスピーカ、
    所定の音響検出点に配置され該音響検出点における音響をその音量に関係する電気信号へ変換して該電気信号を出力する音響検出器、
    1つの音響出力中止期間と各スピーカに対応付けて所定の順番で連続するスピーカ別音響出力期間とを設け、音響出力中止期間では全部のスピーカからの音響出力を中止させ、各スピーカ別音響出力期間では該期間に対応付けられているスピーカからのみ所定のテスト音響を所定音量Vで出力させ、また、音響出力中止期間では全部のスピーカからの音響出力を中止させる出力制御手段、
    各スピーカ別音響出力期間における前記音響検出器の出力レベルと、音響出力中止期間における前記音響検出器の出力レベルとに基づいて各スピーカ別S/N比を検出するスピーカ別S/N比検出手段、
    すべてのスピーカ別S/N比の中で最小のスピーカ別S/N比が基準値以上であるか否かを判定する判定手段、
    前記判定手段の判定が否である場合は、音量Vを所定量ΔVだけ増大させて前記出力制御手段に各スピーカ別音響出力期間のテスト音響を再出力させるとともに、各スピーカ別S/N比を再検出し、この再出力及び再検出を、前記判定手段の判定が正になるまで、繰り返す前記スピーカ別S/N比検出手段、
    前記判定手段の判定が正である場合は、その時の音量Vをセットアップ音量に設定するセットアップ音量設定手段、及び
    セットアップ音量のテスト音響を使って、前記複数個のスピーカのセットアップを実行するセットアップ手段、
    を有し、
    前記スピーカ別S/N比検出手段は、各スピーカ別音響出力期間の少なくとも部分期間における前記音響検出器の平均出力レベルと、音響出力中止期間の少なくとも部分期間における前記音響検出器の平均出力レベルとに基づいて各スピーカ別S/N比を検出するとともに、記音響検出器の平均出力レベルを検出する時間長さに関して、各スピーカ別音響出力期間における検出期間より音響出力中止期間における検出期間の方を長くすることを特徴とするオーディオシステム用セットアップ装置。
  2. 前記スピーカ別S/N比検出手段は、スピーカ別S/N比の再検出においては、音響出力中止期間における前記音響検出器の出力レベルの検出は省略し、各スピーカ別音響出力期間における前記音響検出器の出力レベルの検出のみ行うことを特徴とする請求項1記載のオーディオシステム用セットアップ装置。
  3. 前記セットアップ手段におけるセットアップは、前記セットアップ音量で各スピーカから別々に出力させた前記テスト音響に対する前記音響検出器の出力のインパルス応答に基づき、各スピーカから前記テスト音響までの距離測定、スピーカ間の出力レベル補正、又は各スピーカのf特性の補正を含むものであることを特徴とする請求項1又は2記載のオーディオシステム用セットアップ装置。
  4. セットアップ対象の複数個のスピーカ、及び
    所定の音響検出点に配置され該音響検出点における音響をその音量に関係する電気信号へ変換して該電気信号を出力する音響検出器、
    を有しているオーディオシステムのセットアップ方法において、
    1つの音響出力中止期間と各スピーカに対応付けて所定の順番で連続するスピーカ別音響出力期間とを設け、音響出力中止期間では全部のスピーカからの音響出力を中止させ、各スピーカ別音響出力期間では該期間に対応付けられているスピーカからのみ所定のテスト音響を所定音量Vで出力させ、また、音響出力中止期間では全部のスピーカからの音響出力を中止させる出力制御ステップ、
    各スピーカ別音響出力期間における前記音響検出器の出力レベルと、音響出力中止期間における前記音響検出器の出力レベルとに基づいて各スピーカ別S/N比を検出するスピーカ別S/N比検出ステップ、
    すべてのスピーカ別S/N比の中で最小のスピーカ別S/N比が基準値以上であるか否かを判定する判定ステップ、
    前記判定ステップにおける判定が否である場合は、音量Vを所定量ΔVだけ増大させた前記出力制御ステップの実行により各スピーカ別音響出力期間のテスト音響を再出力させるとともに、各スピーカ別S/N比を再検出し、この再出力及び再検出を、前記判定ステップにおける判定が正になるまで、繰り返す前記スピーカ別S/N比検出ステップ、
    前記判定ステップにおける判定が正である場合は、その時の音量Vをセットアップ音量に設定するセットアップ音量設定ステップ、及び
    セットアップ音量のテスト音響を使って、前記複数個のスピーカのセットアップを実行するセットアップステップ、
    を有し、
    前記スピーカ別S/N比検出ステップでは、各スピーカ別音響出力期間の少なくとも部分期間における前記音響検出器の平均出力レベルと、音響出力中止期間の少なくとも部分期間における前記音響検出器の平均出力レベルとに基づいて各スピーカ別S/N比を検出するとともに、記音響検出器の平均出力レベルを検出する時間長さに関して、各スピーカ別音響出力期間における検出期間より音響出力中止期間における検出期間の方を長くすることを特徴とするオーディオシステム用セットアップ方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のオーディオシステムの各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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