JP5092864B2 - 音処理装置およびプログラム - Google Patents

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本発明は、複数の収音機器(マイクロホン)が生成した入力信号からステレオの出力信号を生成する技術に関する。
複数の収音機器からの入力信号に基づいてステレオの複数の出力信号を生成する技術が従来から提案されている。例えば特許文献1には、無指向性の4個の収音機器を利用して右チャネルおよび左チャネルの2系統の出力信号を生成する技術が開示されている。また、特許文献2には、単一指向性の収音機器(Mマイク)と双指向性の収音機器(Sマイク)とを利用したMS方式で2系統の出力信号を生成する技術が開示されている。
特開平7−75195号公報 特開平7−298387号公報
しかし、特許文献1の技術においては2系統の出力信号の生成のために4個もの収音機器が必要であるから、装置の大型化やコストの増大が問題となる。また、特許文献2の技術においては指向性(単一指向性および双指向性)の収音機器が必須であるという制約がある。以上の事情を背景として、本発明は、少数の無指向性の収音機器を使用してステレオの出力信号を生成することをひとつの目的としている。
以上の課題を解決するために、本発明のひとつの形態に係る音処理装置は、無指向性の第1収音機器が生成した第1入力信号と第1収音機器から離間した無指向性の第2収音機器が生成した第2入力信号とからステレオの第1出力信号と第2出力信号とを生成する装置であって、第1入力信号と第2入力信号との加算に応じた第1中間信号(例えば中間信号a2)を生成する第1処理手段と、第1入力信号と第2入力信号との差分に応じた第2中間信号(例えば中間信号b2)を生成する第2処理手段と、第1中間信号と第2中間信号とを加算して第1出力信号を生成する加算手段と、第1中間信号から第2中間信号を減算して第2出力信号を生成する減算手段と、第1入力信号および第2入力信号の加算後の信号(例えば加算信号a1や中間信号a2や中間信号c)と第1入力信号および第2入力信号の減算後の信号(例えば差分信号b1や中間信号b2)とを対比することで有音/無音を判定する判定手段と、判定手段が無音と判定した場合に第1出力信号および第2出力信号の強度を低下させる制御手段とを具備する。
以上の構成においては、第1入力信号および第2入力信号の加算に応じた第1中間信号と第1入力信号および第2入力信号の差分に応じた第2中間信号とからステレオの第1出力信号および第2出力信号とが生成される。したがって、第1出力信号および第2出力信号の生成に原理的に必要な収音機器の個数が特許文献1と比較して削減されるとともに、特許文献2の技術で必要となる指向性の収音機器が原理的に不要であるという利点がある。また、判定手段が無音と判定した区間にて第1出力信号および第2出力信号の強度(再生音の音量)が抑制されるから、受聴者にとって受聴し易い再生音を生成することが可能である。さらに、第1出力信号および第2出力信号の生成に使用される信号(第1入力信号および第2入力信号の加算後の信号や第1入力信号および第2入力信号の減算後の信号)が音声の有無の判定に流用されるから、音声の有無を判定する基準を第1出力信号や第2出力信号の生成とは独立して用意する場合と比較して、音処理装置の構成や処理が簡素化されるという利点がある。
なお、本発明における「無指向性」とは、指向性が完全に排除された性質に限定されない。すなわち、音波が到来する方向に応じて受音の感度に若干の相違がある場合でも、実質的に無指向と同視できる性質は本発明における「無指向性」の概念に包含される。また、以上の構成においては第1収音機器および第2収音機器のみが明示的に規定されているが、第1収音機器および第2収音機器以外の収音機器からの入力信号を第1出力信号や第2出力信号の生成に利用する構成を本発明の範囲から除外する趣旨ではない。
判定部が無音と判定した場合に第1出力信号および第2出力信号の強度を低下させる方法は本発明において任意であるが、例えば、第1出力信号の強度を調整する第1強度調整手段(例えば強度調整部34)と、第2出力信号の強度を調整する第2強度調整手段(例えば強度調整部44)とを具備し、制御手段が、判定手段が無音と判定した場合に、第1出力信号および第2出力信号の強度を低下させるように第1強度調整手段および第2強度調整手段を制御する構成が好適に採用される。また、第2中間信号の強度を調整する強度調整手段(例えば図9の強度調整部66)を設置し、制御手段が、判定手段が無音と判定した場合に、第2中間信号の強度を低下させるように強度調整手段を制御する構成によれば、第1強度調整手段と第2強度調整手段とを設置した構成と比較して音処理装置の構成が簡素化されるという利点がある。
本発明の好適な態様において、第1処理手段は、第1入力信号と第2入力信号とを加算した信号の強度を低減する第1補正手段(例えば補正部14)を具備する。以上の態様においては、第1入力信号と第2入力信号とを加算した信号の強度が低減されるから、左右の方向感に富んだ音声を生成することが可能となる。もっとも、第1補正手段の有無は本発明において任意である。
第1入力信号から第2入力信号を減算した信号においては、所定の波長(さらに具体的には第1収音機器と第2収音機器との間隔の2倍に相当する波長)に対応した周波数の成分の強度が最大となり、当該周波数に対して低周波側の成分ほど低強度となる傾向がある。そこで、本発明の好適な態様において、第2処理手段は、第1入力信号から第2入力信号を減算した信号のうち低周波側の成分の強度を高周波側の成分の強度に対して相対的に増加させる(すなわち、高周波側の成分の強度を低周波側の成分の強度に対して相対的に減少させる)第2補正手段(例えば補正部24)を具備する。以上の態様においては、第1入力信号から第2入力信号を減算した信号のうち低周波側の成分の強度が高周波側の成分の強度に対して相対的に増加するから、広帯域にわたって強度が均等な音声(特に低音域の音量が充分に確保された音声)を生成することができる。もっとも、第2補正手段の有無は本発明において任意である。
第2補正手段を具備する構成の具体例において、制御手段は、判定手段が無音と判定した場合に、第2補正手段における低周波側の成分に対するゲインを低下させる。以上の構成によれば、無音区間にて第1出力信号や第2出力信号の強度を低下させる手段を第1処理手段や第2処理手段と独立して設置する必要がないから、音処理装置の構成が簡素化されるという利点がある。
本発明の好適な態様に係る音処理装置は、第1中間信号と第2中間信号とが同位相または逆位相となるように調整する位相調整手段を具備する。以上の構成によれば、第1中間信号と第2中間信号とについて相対応する時点での強度が比較されるから、第1中間信号と第2中間信号との位相を調整せずに比較する構成と比較して判定手段が音声の有無を正確に判定できるという利点がある。また、位相調整手段による位相の調整で、ステレオ感が良好かつ充分な第1出力信号および第2出力信号を生成することも可能となる。なお、位相調整手段による調整の対象は本発明において任意である。例えば、第1中間信号および第2中間信号の少なくとも一方の位相を調整する構成が採用される。また、位相調整手段による調整の位置(時点)は本発明において任意である。例えば、第1補正手段を具備する態様において、位相調整手段による位相の調整は、第1補正手段による補正前および補正後の何れにおいても実行される。また、第2補正手段を具備する態様において、位相調整手段による位相の調整は、第2補正手段による補正前および補正後の何れにおいても実行される。
本発明の好適な態様に係る音処理装置は、第1入力信号と第2入力信号との加算後の信号における高周波側の成分を抑制する第1平滑手段と、第1入力信号と第2入力信号との減算後の信号における高周波側の成分を抑制する第2平滑手段とを具備し、判定手段は、第1平滑手段による処理後の信号と第2平滑手段による処理後の信号とを比較する。以上の態様においては、判定手段が比較する各信号の強度の変動が抑制されるから、両信号の位相差が判定の結果に与える影響が低減される。したがって、正確に音声の有無を判定できるという利点がある。
本発明の好適な態様に係る音処理装置において、判定手段は、第1収音機器および第2収音機器から離間した第3収音機器(例えば図7の収音機器73)が生成した第3入力信号と第1入力信号と第2入力信号との加算後の信号と、第1入力信号および第2入力信号の減算後の信号とを対比することで有音/無音を判定する。以上の態様においては、第1入力信号と第2入力信号と第3入力信号との加算後の信号の強度が有音区間において強調されるから、判定手段が有音と無音とを高精度に区別できるという利点がある。
本発明の別の態様に係る音処理装置は、無指向性の第1収音機器が生成した第1入力信号と第1収音機器から離間した無指向性の第2収音機器が生成した第2入力信号とからステレオの第1出力信号と第2出力信号とを生成する装置であって、第1入力信号と第2入力信号との差分に応じた第2中間信号を生成する第2処理手段と、第1入力信号および第2入力信号の一方である第1中間信号と第2中間信号とを加算して第1出力信号を生成する加算手段と、第1中間信号から第2中間信号を減算して第2出力信号を生成する減算手段と、第1中間信号と第1入力信号および第2入力信号の減算後の信号とを対比することで有音/無音を判定する判定手段と、判定手段が無音と判定した場合に第1出力信号および第2出力信号の強度を低下させる制御手段とを具備する。以上の構成においては、第1入力信号と第2入力信号とを加算する要素(例えば第1処理手段)が不要となるから、音処理装置の構成が簡素化されるという利点がある。なお、以上の態様の具体例は第5実施形態として後述される。
本発明に係る音処理装置は、各処理に専用されるDSP(Digital Signal Processor)などのハードウェア(電子回路)によって実現されるほか、CPU(Central Processing Unit)などの汎用の演算処理装置とプログラムとの協働によっても実現される。本発明に係るプログラムは、無指向性の第1収音機器が生成した第1入力信号と第1収音機器から離間した無指向性の第2収音機器が生成した第2入力信号とからステレオの第1出力信号と第2出力信号とを生成するためのプログラムであって、第1入力信号と第2入力信号との加算に応じた第1中間信号を生成する第1処理処理と、第1入力信号と第2入力信号との差分に応じた第2中間信号を生成する第2処理処理と、第1中間信号と第2中間信号とを加算して第1出力信号を生成する加算処理と、第1中間信号から第2中間信号を減算して第2出力信号を生成する減算処理と、第1入力信号および第2入力信号の加算後の信号と第1入力信号および第2入力信号の減算後の信号とを対比することで有音/無音を判定する判定処理と、判定処理で無音と判定した場合に第1出力信号および第2出力信号の強度を低下させる制御処理とをコンピュータに実行させる。以上のプログラムによっても本発明の音処理装置と同様の作用および効果が実現される。なお、本発明のプログラムは、CD−ROMなど可搬型の記録媒体に格納された形態で利用者に提供されてコンピュータにインストールされるほか、通信網を介した配信の形態で提供されてコンピュータにインストールされる。
<A:第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る音処理装置100Aのブロック図である。図1に示すように、音処理装置100Aには、収音機器71および収音機器72と放音機器81および放音機器82とが接続される。収音機器71および収音機器72は、所定の方向(左右の方向)D1に沿って間隔dをあけて配置される。
収音機器71および収音機器72の各々は、受音の感度が全方向にわたって略均等な無指向性のマイクロホンである。収音機器71は周囲の音響に応じた入力信号SIN1を生成し、収音機器72は周囲の音響に応じた入力信号SIN2を生成する。なお、入力信号SIN1および入力信号SIN2の各々は、実際にはデジタル信号に変換されたうえで音処理装置100Aに供給されるが、図1ではA/D変換器の図示を便宜的に省略した。ただし、入力信号SIN1および入力信号SIN2の各々がアナログ信号として音処理装置100Aに供給されて処理される構成(音処理装置100Aをアナログ回路とした構成)も採用される。
音処理装置100Aは、入力信号SIN1および入力信号SIN2からステレオの出力信号SOUT1(右チャネル)と出力信号SOUT2(左チャネル)とを生成する。放音機器81は出力信号SOUT1に応じた音波を放射し、放音機器82は出力信号SOUT2に応じた音波を放射する。例えばスピーカやヘッドホンが放音機器81および放音機器82として採用される。なお、出力信号SOUT1および出力信号SOUT2をアナログ信号に変換するD/A変換器の図示は便宜的に省略されている。
音処理装置100Aは、第1処理部10と第2処理部20と第1出力部30と第2出力部40とを具備する。記録媒体(図示略)に格納されたプログラムを演算処理装置が実行することで音処理装置100Aの各要素が実現される。ただし、音処理に専用されるDSPなどの電子回路によっても音処理装置100Aは実現できる。また、音処理装置100Aの各要素を複数の装置(集積回路)に分散的に搭載した構成も採用される。
第1処理部10は、入力信号SIN1と入力信号SIN2との加算に応じた中間信号a2を生成する。第1処理部10は、加算部12と補正部14とを具備する。加算部12は、入力信号SIN1と入力信号SIN2とを加算した加算信号a1(a1=SIN1+SIN2)を生成する。
図2は、所定の強度の音波が到来したときに観測される加算信号a1の強度の分布図である。軸線D0と軸線D1との交点を中心とした半径の方向が加算信号a1の強度に相当する。図2においては、入力信号SIN(SIN1またはSIN2)の強度と音波の到来の方向との関係が破線で図示されている。収音機器71および収音機器72は無指向性であるから、所定の強度の音波が到来した場合の入力信号SINの強度は、音波の到来の方向に拘わらず略同等となる。したがって、入力信号SINの強度の分布は略円形となる。
方向D1に垂直な方向(前後の方向)D0から到来する音波は略同位相で収音機器71および収音機器72に到達するから、方向D0から音波が到来したときに加算部12から出力される加算信号a1の強度(振幅)は、図2に示すように入力信号SIN1(または入力信号SIN2)の約2倍の強度となる。一方、方向D1から到達する音波は間隔dに応じた位相差(時間差)をもって収音機器71および収音機器72の各々に到達する。したがって、音波の強度が同等であるとしても、方向D1から音波が到来した場合に加算部12から出力される加算信号a1の強度は、図2に示すように方向D0から音波が到来した場合の加算信号a1の強度と比較して低下する。以上のように加算信号a1の強度は音波の到来の方向に応じて相違する。さらに詳述すると、加算信号a1(さらには中間信号a2)の強度の分布は、図2に示すように、方向D0に並ぶ2個の円形を連結したパターンとなる。
図2に示すように、方向D0から音波が到来した場合の加算信号a1の強度は入力信号SIN1や入力信号SIN2の約2倍となる。図1の補正部14は、加算信号a1の強度を低減することで中間信号a2を生成する。さらに詳述すると、補正部14は、方向D0から音波が到来した場合の加算信号a1の強度が入力信号SIN1(または入力信号SIN2)と同等の強度となるように加算信号a1を補正する。加算信号a1に係数「1/2」を乗算する乗算器(増幅器)が補正部14として好適に採用される。
図1の第2処理部20は、入力信号SIN1と入力信号SIN2との差分に応じた中間信号b2を生成する。第2処理部20は、減算部22と補正部24を具備する。減算部22は、入力信号SIN1から入力信号SIN2を減算することで差分信号b1(b1=SIN1−SIN2)を生成する。
図3は、所定の強度の音波が到来したときに観測される差分信号b1の強度を図2と同様の方法で図示した分布図である。方向D0から到来する音波は略同位相で収音機器71および収音機器72の各々に到達するから、入力信号SIN1および入力信号SIN2の各々に個別に重畳される雑音を便宜的に無視すると、方向D0から音波が到来した場合に減算部22から出力される差分信号b1(b1=SIN1−SIN2)の強度はゼロとなる。一方、方向D1から到来する音波は間隔dに応じた位相差をもって収音機器71および収音機器72の各々に到達する。したがって、方向D1から音波が到来した場合、音波の波長と間隔dとの関係に応じた強度の差分信号b1が生成される。以上のように差分信号b1の強度は音波の到来の方向に応じて相違する。さらに詳述すると、図3に示すように、差分信号b1(さらには中間信号b2)の強度の分布は、方向D1に2個の円形を配置したパターンとなる。
ところで、収音機器71と収音機器72との間隔dの2倍に相当する波長λ0(λ0=2d)の音波が方向D1から到来した場合には入力信号SIN1と入力信号SIN2とは逆位相となる。したがって、入力信号SIN1と入力信号SIN2との差分である差分信号b1は、波長λ0に対応した周波数f0(f0=v/λ0(v:音速))の成分の強度が最大となり、周波数f0と比較して周波数が低い成分ほど低強度となる。
図1の補正部24は、以上のような差分信号b1の周波数特性(高周波成側の成分ほど高強度となる不均衡)を補正することで中間信号b2を生成する。さらに詳述すると、補正部24は、差分信号b1のうち低周波側の成分の強度を高周波側の成分の強度に対して相対的に増加させる(高周波側の成分の強度を低周波側の成分の強度に対して相対的に低減する)。ローパスフィルタなど各種のフィルタが補正部24として好適に採用される。さらに具体的には、図4に実線の特性F0として図示したように、周波数fTH(fTH<f0)を下回る成分の強度を所定のゲインGH(GH≧1)で増幅するとともに周波数fTHを上回る成分の強度を高周波側(周波数f0に近い周波数)ほど抑制する特性のローパスフィルタが補正部24として採用される。
図2を参照して説明したように、音波の到来の方向に対する中間信号a2の強度の特性は、方向D0に指向する双指向性の収音機器(MS方式におけるMマイク)が生成した信号の特性に概略的には類似する。一方、音波の到来の方向に対する差分信号b1の強度の特性は、図3を参照して説明したように、方向D0を死角として方向D1に指向する双指向性の収音機器(MS方式におけるSマイク)が生成した信号の特性に概略的には類似する。そこで、第1出力部30および第2出力部40は、以下に説明するように、MS方式におけるMマイクの出力に相当する信号として中間信号a2を利用するとともにSマイクの出力に相当する信号として中間信号b2を利用することでステレオの出力信号SOUT1および出力信号SOUT2を生成する。
図1の第1出力部30は、第1処理部10が生成した中間信号a2と第2処理部20が生成した中間信号b2とから出力信号SOUT1を生成する。出力信号SOUT1は、方向D0の右斜め方向を指向軸とする指向性の収音機器の出力信号に相当する右チャネル(Rch)の音響信号である。
第1出力部30は、加算部32と強度調整部34とを具備する。加算部32は、中間信号a2と中間信号b2とを加算することで出力信号SOUT1(SOUT1=a2+b2)を生成する。強度調整部34は、加算部32が生成した出力信号SOUT1の強度(音量)を調整する。さらに詳述すると、出力信号SOUT1を可変のゲインG1で増幅する増幅器が強度調整部34として採用される。強度調整部34による調整後の出力信号SOUT1が放音機器81に供給される。
第2出力部40は、第1処理部10が生成した中間信号a2と第2処理部20が生成した中間信号b2とから出力信号SOUT2を生成する。出力信号SOUT2は、方向D0の左斜め方向を指向軸とする指向性の収音機器の出力信号に相当する左チャネル(Lch)の音響信号である。
第2出力部40は、減算部42と強度調整部44とを具備する。減算部42は、中間信号a2から中間信号b2を減算することで出力信号SOUT2(SOUT2=a2−b2)を生成する。強度調整部44は、減算部42が生成した出力信号SOUT2の強度を調整する。さらに詳述すると、出力信号SOUT2を可変のゲインG2で増幅する増幅器が強度調整部44として採用される。強度調整部44による調整後の出力信号SOUT2が放音機器82に供給される。
以上の形態においては、無指向性の2個の収音機器(71,72)を利用してステレオの出力信号SOUT1および出力信号SOUT2が生成される。したがって、4個の収音機器が必要な特許文献1の技術と比較して装置の小型化やコストの削減が実現される。また、収音機器71や収音機器72は無指向性であるから、指向性の収音機器が必要な特許文献2の技術と比較して各収音機器の位置や方向の制約が少なくて利便性が高いという利点もある。
なお、加算信号a1においては方向D0から到来した音波が強調されるから、補正部14を配置しない構成においては、正面(方向D0)からの音波の影響が過大となる。したがって、受聴者が知覚するステレオ感(左右の方向感)が不足する可能性がある。本形態においては補正部14が加算信号a1の強度を低減するから、補正部14を配置しない構成と比較してステレオ感に富んだ再生音を生成することができる。なお、再生音におけるステレオ感の不足が特段の問題とならないのであれば補正部14は省略される。
また、差分信号b1の低周波側の成分は高周波側の成分と比較して低強度であるから、補正部24を省略した構成においては、再生音の低音域の音量が不足する可能性がある。本形態においては広帯域にわたって強度が均等化されるように補正部24が差分信号b1を補正するから、再生音において低音域の音量を充分に確保することが可能である。もっとも、低音域の音量の不足が特段の問題とならないのであれば補正部24は省略される。
ところで、入力信号SIN1および入力信号SIN2の各々は時間軸上で有音区間と無音区間とに区別される。有音区間は、収音および放音の本来的な目標となる音声(例えば発話音や楽音)の成分(以下「音声成分」という)が存在する区間であり、無音区間は音声成分が存在しない区間である。入力信号SIN1および入力信号SIN2には雑音成分が重畳されるから、無音区間は雑音成分のみが存在する区間と換言される。雑音成分は、例えば、収音機器71または収音機器72に到達した環境音(例えば周囲の暗騒音や空調設備の動作音)の成分や、収音機器71または収音機器72での収音時や伝送時に電気的に重畳される雑音の成分である。無音区間の雑音成分が顕著な再生音は受聴者が受聴し難い。そこで、音処理装置100Aは、無音区間の雑音成分を抑圧するための雑音抑圧部50を具備する。
図1の雑音抑圧部50は、判定部52と制御部54とを具備する。判定部52は、第1処理部10が生成した中間信号a2の強度pAと第2処理部20が生成した中間信号b2の強度pBとに基づいて入力信号SIN1や入力信号SIN2における音声の有無を判定する(すなわち有音区間と無音区間とを区別する)。中間信号a2と中間信号b2とに応じた判定の詳細について以下に詳述する。
入力信号SIN1および入力信号SIN2の各々には個別に雑音成分(N1,N2)が重畳される。いま、収音機器71および収音機器72とが共通の音声成分Sを収音した場合を想定すると、入力信号SIN1は音声成分Sと雑音成分N1との加算(SIN1=S+N1)に相当し、入力信号SIN2は音声成分Sと雑音成分N2との加算(SIN2=S+N2)に相当する。
したがって、入力信号SIN1と入力信号SIN2との加算信号a1(さらには補正後の中間信号a2)においては音声成分Sが強調される(a1=2S+N1+N2)。一方、入力信号SIN1から入力信号SIN2を減算した差分信号b1(さらには補正後の中間信号b2)においては、音声成分Sが相殺されて雑音成分のみが残存する(b1=N1−N2)。音声成分Sは雑音成分(N1,N2)と比較して一般的に高強度であるから、有音区間における中間信号a2の強度pAは中間信号b2の強度pBと比較して高い(pA>pB)。
一方、音声成分Sが存在しない無音区間においては、入力信号SIN1は雑音成分N1に相当し(SIN1=N1)、入力信号SIN2は雑音成分N2に相当する(SIN2=N2)。したがって、入力信号SIN1および入力信号SIN2の加算(a1=N1+N2)に応じた中間信号a2の強度pAと、入力信号SIN1および入力信号SIN2の差分(b1=N1−N2)に応じた中間信号b2の強度pBとは略同等となる(pA≦pB)。すなわち、無音区間における強度pAと強度pBとの差異は有音区間における両者の差異と比較して小さい。
以上の傾向を考慮して、判定部52は、中間信号a2の強度pAと中間信号b2の強度pBとを順次に特定したうえで、強度pAが強度pBを上回る区間を有音区間と判定し、強度pAが強度pB以下となる区間を無音区間と判定する。なお、実際には強度pAと強度pBとは加重後に比較される。強度pAおよび強度pBの各々の加重値は、補正部14や補正部24における補正の内容や程度に応じて実験的または統計的に選定される。
制御部54は、判定部52による判定の結果に応じて再生音の音量を制御する。さらに詳述すると、制御部54は、判定部52が無音と判定した場合に、出力信号SOUT1や出力信号SOUT2の強度が低下するように音処理装置100Aの各要素を制御する。本形態の制御部54は、強度調整部34のゲインG1および強度調整部44のゲインG2を調整することで出力信号SOUT1や出力信号SOUT2の強度を制御する。すなわち、制御部54は、無音区間でのゲインG1およびゲインG2を有音区間でのゲインG1およびゲインG2と比較して低下させる。
以上の形態においては、無音区間における再生音(雑音成分)の音量が抑制されるから、受聴者にとって受聴し易い再生音を生成することが可能である。また、出力信号SOUT1および出力信号SOUT2を生成するための中間信号a2および中間信号b2が音声の有無(有音区間/無音区間)の判定に流用されるから、音声の有無を判定する基準を中間信号a2や中間信号b2とは別個に用意する場合と比較して音処理装置100Aの構成や処理が簡素化されるという利点がある。
なお、無音区間における差分信号b1は雑音成分N1および雑音成分N2のみを反映する。補正部24は差分信号b1の低周波側の成分を強調するから、再生音の音量を無音区間にて低減しない構成においては、無音区間における差分信号b1のうち補正部24にて強調された低周波側の雑音成分が再生音にて顕著となる。以上の事情を考慮すると、無音区間の雑音成分を雑音抑圧部50が抑圧する本形態の構成は、差分信号b1の低周波側の成分を強調する補正部24を具備する構成において格別に有効である。
<B:第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下の各形態において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、以上と同じ符号を付して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図5は、第2実施形態に係る音処理装置100Bのブロック図である。図5に示すように、音処理装置100Bは、第1実施形態の音処理装置100Aに位相調整部62を追加した構成である。位相調整部62は、以下に詳述するように中間信号a2および中間信号b2の位相を調整する。
入力信号SIN1と入力信号SIN2との位相差(すなわち収音機器71および収音機器72の各々に音波が到達する時間差)に起因して、加算部12が生成する加算信号a1と減算部22が生成する差分信号b1との間には、音波の到来の方向に応じて±90度の位相差が発生する。位相調整部62は、中間信号a2と中間信号b2との位相角を0度(同位相)または180度(逆位相)に調整する。
図2の軸線D0を挟んで右側の空間から収音機器71および収音機器72に音波が到来する場合には加算信号a1が差分信号b1に対して90度だけ遅延する。出力信号SOUT1および出力信号SOUT2は加算信号a1および差分信号b1の加算および減算で生成されるから、再生音のステレオ感を強調するためには中間信号a2と中間信号b2とが同位相であることが望ましい。したがって、位相調整部62は、補正部24による補正後の中間信号b2を90度だけ遅延させる。
一方、図2の軸線D0を挟んで左側の空間から収音機器71および収音機器72に音波が到来する場合には中間信号a2が中間信号b2に対して90度だけ先行する。再生音のステレオ感を強調するためには中間信号a2と中間信号b2とが逆位相であることが望ましいから、位相調整部62は、中間信号b2を90度だけ遅延させる。
以上の形態によれば、中間信号a2と中間信号b2との位相差が0度(同位相)または180度(逆位相)に補正されるから、ステレオ感に富んだ再生音を再生できる出力信号SOUT1および出力信号SOUT2を生成することが可能となる。
一方、図5の判定部52は、位相調整部62による調整後の中間信号a2と中間信号b2との強度(pA,pB)を比較することで音声の有無(有音区間/無音区間)を判定する。以上の構成によれば、中間信号a2と中間信号b2とについて、相対応する時点での強度pAと強度pBとが比較されるから、中間信号a2と中間信号b2との位相角を調整せずに強度pAと強度pBとを比較する構成と比較して音声の有無を正確に判定することが可能である。しかも、再生音のステレオ感の強調と判定部52による判定の精度の向上との双方が位相調整部62による位相の調整で実現されるから、両社を別個の処理で実現する場合と比較して音処理装置100Bの構成や処理が簡素化されるという利点もある。
なお、以上の例示では位相調整部62が中間信号b2を遅延させたが、位相調整部62が中間信号a2の位相を中間信号b2に対して90度だけ進ませる構成や、位相調整部62が中間信号a2および中間信号b2の双方の位相を調整する構成によっても同様の効果が実現される。また、位相を調整する位置(位相調整部62の位置)は任意である。例えば、補正部14または補正部24の前段に位相調整部62を配置した構成も採用される。
<C:第3実施形態>
図6は、第3実施形態に係る音処理装置100Cのブロック図である。図6に示すように、音処理装置100Cは、第1実施形態の音処理装置100Aに平滑部56Aと平滑部56Bとを追加した構成である。平滑部56Aは、中間信号a2の強度pAの時間的な変動を平滑化する。同様に、平滑部56Bは、中間信号b2の強度pBの時間的な変動を平滑化する。例えば、強度pAまたは強度pBの時系列の移動平均を算定する演算回路や、強度pAや強度pBの時間的な変動のうち高域側の成分を抑制するフィルタ回路(例えばIIRフィルタ)が平滑部56Aや平滑部56Bとして好適である。また、強度pAまたは強度pBの各サンプルを、当該サンプルを含む所定の範囲内での最小値に置換するといった特性の非線形フィルタも平滑部56Aや平滑部56Bとして採用される。
以上の形態においては、強度pAおよび強度pBの各々の時間的な変動が平滑化されるから、中間信号a2と中間信号b2との位相差が判定部52による強度pAと強度pBとの比較に与える影響は低減される。したがって、中間信号a2と中間信号b2とに多少の位相差がある場合であっても音声の有無が正確に判定されるという利点がある。なお、図6においては第1実施形態を基礎とした構成を例示したが、第2実施形態の雑音抑圧部50にも同様に平滑部56Aおよび平滑部56Bが配置され得る。
<D:第4実施形態>
図7は、第4実施形態に係る音処理装置100Dのブロック図である。図7に示すように、音処理装置100Dは、第1実施形態の音処理装置100Aに加算部64を追加するとともに収音機器73を接続した構成である。収音機器73は、収音機器71や収音機器72から離間した位置に配置されて周囲の音響に応じた入力信号SIN3を生成する。有音区間(音声成分Sが存在する区間)内における入力信号SIN3は、入力信号SIN1や入力信号SIN2と略共通の音声成分Sと入力信号SIN3に固有の雑音成分N3との加算に相当する。
加算部64は、第1処理部10の加算部12が算定した加算信号a1に入力信号SIN3を加算することで中間信号cを生成する。したがって、中間信号cは、入力信号SIN1と入力信号SIN2と入力信号SIN3との加算に応じた信号(c=SIN1+SIN2+SIN3)である。補正部14が加算信号a1から中間信号a2を生成する構成は第1実施形態と同様である。
判定部52は、第2処理部20が生成した中間信号b2の強度pBと加算部64が生成した中間信号c(c=S+N3)の強度pCとを比較することで音声の有無を判定する。すなわち、判定部52は、第1実施形態における中間信号a2の強度pAに代えて中間信号cの強度pCを判定に使用する。例えば、判定部52は、中間信号cの強度pCが中間信号b2の強度pBを上回る場合に有音と判定し、強度pCが強度pB以下である場合に無音と判定する。
有音区間における中間信号cは音声成分Sの3倍の成分を包含する(c=3S+N1+N2+N3)から、有音区間における強度pCは第1実施形態や第2実施形態における強度pAを上回る。すなわち、中間信号cの強度pCと中間信号b2の強度pBとの差異が強調される。したがって、例えば音声成分Sの強度が比較的に低い場合(すなわち、中間信号a2の強度pAと中間信号b2の強度pBとの差異が小さい場合)であっても、判定部52が音声の有無を高精度に判定できるという利点がある。
なお、中間信号a2および中間信号b2の位相を調整する第2実施形態の位相調整部62や、中間信号b2と中間信号cとの位相を調整する位相調整部が図7の音処理装置100Dに追加され得る。また、中間信号b2の強度pBの変動を平滑化する第3実施形態の平滑部56Bを追加した構成や、中間信号cの強度pCの変動を平滑化する平滑部を追加した構成も好適である。
<E:第5実施形態>
以上の各形態においては収音機器71からの入力信号SIN1と収音機器72からの入力信号SIN2との加算に応じた中間信号a2を出力信号SOUT(SOUT1,SOUT2)の生成や音声の有無の判定に使用したが、図8に示すように、入力信号SIN1および入力信号SIN2の一方を中間信号a2として利用した構成も採用される。
図8の音処理装置100Eは、第1実施形態の音処理装置100Aから第1処理部10を省略した構成である。収音機器71が生成した入力信号SIN1は、第2処理部20の減算部22に供給されて差分信号b1の生成に利用されるとともに、中間信号a2として加算部32および減算部42に供給されて出力信号SOUT1および出力信号SOUT2の生成に利用される。以上のように第1処理部10が省略されるから、第1実施形態と比較して音処理装置100Eの構成や処理が簡素化されるという利点がある。
図3を参照して説明したように第2処理部20が生成する中間信号b2には方向D1(左右方向)の指向性が付与されるから、無指向性の収音機器71が生成した入力信号SIN1を中間信号a2として使用した場合であっても、出力信号SOUT1および出力信号SOUT2に応じて放射される再生音には方向感が付与される。したがって、第1実施形態と同様の効果が実現される。もっとも、入力信号SIN1と入力信号SIN2との加算で生成された中間信号a2には方向D0の指向性(図2)が付与されるから、第1処理部10を具備する図1の構成によれば、図8の構成と比較して再生音の方向感が強調されるという利点がある。
図8に示すように、入力信号SIN1は中間信号a2として判定部52に供給される。判定部52は、第1実施形態と同様に、中間信号a2の強度pAと中間信号b2の強度pBとを比較することで音声の有無を判定する。さらに詳述すると、判定部52は、強度pAが強度pBを上回る場合には有音と判定し、強度pAが強度pB以下である場合には無音と判定する。以上の構成によっても第1実施形態と同様の効果が実現される。
なお、図8においては第1実施形態を基礎とした構成を例示したが、入力信号SIN1を中間信号a2として利用する本形態の構成(第1処理部10を省略した構成)は、第2実施形態から第4実施形態においても同様に採用される。また、収音機器72が生成した入力信号SIN2を中間信号a2として利用した構成でも同様の効果が実現される。
<F:変形例>
以上の各形態には様々な変形を加えることができる。具体的な変形の態様を例示すれば以下の通りである。なお、以下に例示する各態様を任意に組み合わせてもよい。
(1)変形例1
第1実施形態から第3実施形態においては第1処理部10が生成した中間信号a2と第2処理部20が生成した中間信号b2とを音声の有無の判定に利用したが、判定部52による判定に使用される中間信号の段階は適宜に変更される。例えば、加算部12が算定した直後(補正部14による補正前)の加算信号a1や減算部22が算定した直後(補正部24による補正前)の差分信号b1が音声の有無の判定に利用される。すなわち、判定部52は、加算信号a1の強度(例えば加重後の強度)が差分信号b1の強度(例えば加重後の強度)を上回る場合には有音と判定し、加算信号a1の強度が差分信号b1の強度を下回る場合には無音と判定する。また、第2実施形態において、補正部14による補正の直後(位相調整部62による処理前)の中間信号a2や補正部24による補正の直後(位相調整部62による処理前)の中間信号b2も音声の有無の判定に使用され得る。
以上の例示から理解されるように、判定部52は、入力信号SIN1と入力信号SIN2との加算後の信号(例えば加算信号a1や中間信号a2や中間信号c)と入力信号SIN1と入力信号SIN2との減算後の信号(例えば差分信号b1や中間信号b2)とを比較することで有音/無音を判定する手段として把握される。
(2)変形例2
無音区間について再生音の音量(出力信号SOUT1や出力信号SOUT2の強度)を低減する方法は任意である。例えば、出力信号SOUT1や出力信号SOUT2のうち特定の周波数帯域の成分を抑制する(出力信号SOUT1や出力信号SOUT2の周波数特性を変化させる)イコライザを強度調整部34や強度調整部44として利用することで無音区間での再生音の音量を低減する構成も好適である。また、放音機器81に対する出力信号SOUT1の出力や放音機器82に対する出力信号SOUT2の出力を無音区間にて遮断するとともに有音区間にて許可するスイッチを強度調整部34や強度調整部44として利用すれば、無音区間にて再生音が消音される。
また、入力信号SIN1から出力信号SOUT1を生成する経路と入力信号SIN2から出力信号SOUT2を生成する経路との一方のみにおいて信号の強度を調整する構成も好適である。例えば、図9の音処理装置100Fは、第2処理部20(補正部24)と第2出力部40(減算部42)との間に配置された強度調整部66を具備する。強度調整部66は、中間信号b2の強度を可変のゲインG3で調整する。第1出力部30の強度調整部34や第2出力部40の強度調整部44は省略される。雑音抑圧部50の制御部54は、判定部52が無音と判定した場合に、強度調整部66のゲインG3を有音の場合と比較して低下させる。中間信号a2に加減算される中間信号b2の強度(すなわち雑音の強度)が無音区間にて抑制されるから、結果的には第1実施形態と同様に無音区間における再生音の音量(出力信号SOUT1や出力信号SOUT2の強度)が低減される。
図9の構成によれば、強度調整部66のみが制御部54による制御の対象となるから、強度調整部34および強度調整部44の双方を音声の有無に応じて制御する構成と比較して音処理装置100Eの構成や処理が簡素化されるという利点がある。ただし、強度調整部66にて中間信号b2の強度を調整する構成に加えて、出力信号SOUT1を調整する強度調整部34と出力信号SOUT2を調整する強度調整部44とを配置してもよい。なお、図9の強度調整部66の位置は適宜に変更される。例えば、強度調整部66は、減算部22と補正部24との間に配置されて、差分信号b1の強度をゲインG3で調整したうえで補正部24に出力する。また、図9においては第1実施形態を基礎とした構成を例示したが、第2実施形態から第5実施形態についても同様の変形(強度調整部66)が採用される。
また、補正部24による補正の特性を制御することで無音区間での再生音の音量を抑制する構成も好適である。例えば、制御部54は、判定部52が有音と判定した場合には図4の特性F0の補正を補正部24に実行させ、判定部52が無音と判定した場合には図4の特性F1(破線)の補正を補正部24に実行させる。すなわち、判定部52が無音と判定した場合、補正部24が差分信号b1の低周波側の成分に適用するゲインは、有音区間での数値GHと比較して低い数値GLに設定される。したがって、無音区間にて差分信号b1の低周波側の成分の強度を増加させる度合は有音区間と比較して低下する。以上の構成によれば、差分信号b1の周波数特性(高周波成側の成分ほど高強度となる不均衡)の補正と無音区間における再生音の低減とに補正部24が兼用されるから、差分信号b1や中間信号b2の強度を無音区間にて低減する要素(強度調整部66)を単独で設置する必要がないという利点がある。
(3)変形例3
第4実施形態における入力信号SIN3は中間信号の生成にも使用される。例えば、入力信号SIN1から入力信号SIN2を減算した中間信号bAと、入力信号SIN2から入力信号SIN3を減算した中間信号bBと、入力信号SIN3から入力信号SIN1を減算した中間信号bCとを減算部22が算定し、判定部52は、中間信号bAと中間信号bBと中間信号bCとの強度の平均値を算定したうえで中間信号cの強度pC(または中間信号a2の強度pA)と比較する。以上の構成によれば、何れかの入力信号SIN(SIN1,SIN2,SIN3)に瞬間的な雑音が発生した場合であっても、中間信号bAと中間信号bBと中間信号bCとを平均した強度においては当該雑音の影響が低減されるから、音声の有無を安定的に判定することが可能となる。
(4)変形例4
第1処理部10での信号の遅延量と第2処理部20での信号の遅延量とが相違する場合には、遅延量の相違が低減される(理想的には解消する)ように信号を遅延させる手段が第1処理部10および第2処理部20の少なくとも一方に配置される。
(5)変形例5
音処理装置100(100A,100B,100C,100D,100E,100F)が生成した出力信号SOUT(SOUT1,SOUT2)の出力先は放音機器(81,82)に限定されない。例えば、出力信号SOUTが記録装置に記録される構成や、出力信号SOUTが通信網から他の通信端末に送信される構成も採用される。
本発明の第1実施形態に係る音処理装置のブロック図である。 加算信号の特性を説明するための概念図である。 差分信号の特性を説明するための概念図である。 差分信号の補正を説明するための概念図である。 第2実施形態に係る音処理装置のブロック図である。 第3実施形態に係る音処理装置のブロック図である。 第4実施形態に係る音処理装置のブロック図である。 第5実施形態に係る音処理装置のブロック図である。 変形例に係る音処理装置のブロック図である。
符号の説明
100A,100B,100C,100D,100E,100F……音処理装置、10……第1処理部、20……第2処理部、30……第1出力部、40……第2出力部、12,32,64……加算部、14,24……補正部、34,44,66……強度調整部、50……雑音抑圧部、52……判定部、54……制御部、54、56A,56B……平滑部、62……位相調整部、71,72,73……収音機器、81,82……放音機器。

Claims (10)

  1. 無指向性の第1収音機器が生成した第1入力信号と前記第1収音機器から離間した無指向性の第2収音機器が生成した第2入力信号とからステレオの第1出力信号と第2出力信号とを生成する装置であって、
    前記第1入力信号と前記第2入力信号との加算に応じた第1中間信号を生成する第1処理手段と、
    前記第1入力信号と前記第2入力信号との差分に応じた第2中間信号を生成する第2処理手段と、
    前記第1中間信号と前記第2中間信号とを加算して前記第1出力信号を生成する加算手段と、
    前記第1中間信号から前記第2中間信号を減算して前記第2出力信号を生成する減算手段と、
    前記第1入力信号および前記第2入力信号の加算後の信号と前記第1入力信号および前記第2入力信号の減算後の信号とを対比することで有音/無音を判定する判定手段と、
    前記判定手段が無音と判定した場合に前記第1出力信号および前記第2出力信号の強度を低下させる制御手段と
    を具備する音処理装置。
  2. 前記第1出力信号の強度を調整する第1強度調整手段と、
    前記第2出力信号の強度を調整する第2強度調整手段とを具備し、
    前記制御手段は、前記判定手段が無音と判定した場合に、前記第1出力信号および前記第2出力信号の強度を低下させるように前記第1強度調整手段および前記第2強度調整手段を制御する
    請求項1の音処理装置。
  3. 前記第2中間信号の強度を調整する強度調整手段を具備し、
    前記制御手段は、前記判定手段が無音と判定した場合に、前記第2中間信号の強度を低下させるように前記強度調整手段を制御する
    請求項1の音処理装置。
  4. 前記第1処理手段は、前記第1入力信号と前記第2入力信号とを加算した信号の強度を低減する第1補正手段を具備する
    請求項1から請求項3の何れかの音処理装置。
  5. 前記第2処理手段は、前記第1入力信号から前記第2入力信号を減算した信号のうち低周波側の成分の強度を高周波側の成分の強度に対して相対的に増加させる第2補正手段を具備する
    請求項1から請求項4の何れかの音処理装置。
  6. 前記判定手段が無音と判定した場合に、前記制御手段は、前記第2補正手段における前記低周波側の成分に対するゲインを低下させる
    請求項5の音処理装置。
  7. 前記第1中間信号と前記第2中間信号とが同位相または逆位相となるように調整する位相調整手段
    を具備する請求項1から請求項6の何れかの音処理装置。
  8. 前記第1入力信号と前記第2入力信号との加算後の信号における高周波側の成分を抑制する第1平滑手段と、
    前記第1入力信号と前記第2入力信号との減算後の信号における高周波側の成分を抑制する第2平滑手段とを具備し、
    前記判定手段は、前記第1平滑手段による処理後の信号と前記第2平滑手段による処理後の信号とを比較する
    請求項1から請求項7の何れかの音処理装置。
  9. 前記判定手段は、前記第1収音機器および前記第2収音機器から離間した第3収音機器が生成した第3入力信号と前記第1入力信号と前記第2入力信号との加算後の信号と、前記第1入力信号および前記第2入力信号の減算後の信号とを対比することで有音/無音を判定する
    請求項1から請求項8の何れかの音処理装置。
  10. 無指向性の第1収音機器が生成した第1入力信号と前記第1収音機器から離間した無指向性の第2収音機器が生成した第2入力信号とからステレオの第1出力信号と第2出力信号とを生成するためのプログラムであって、
    前記第1入力信号と前記第2入力信号との加算に応じた第1中間信号を生成する第1処理処理と、
    前記第1入力信号と前記第2入力信号との差分に応じた第2中間信号を生成する第2処理処理と、
    前記第1中間信号と前記第2中間信号とを加算して前記第1出力信号を生成する加算処理と、
    前記第1中間信号から前記第2中間信号を減算して前記第2出力信号を生成する減算処理と、
    前記第1入力信号および前記第2入力信号の加算後の信号と前記第1入力信号および前記第2入力信号の減算後の信号とを対比することで有音/無音を判定する判定処理と、
    前記判定処理で無音と判定した場合に前記第1出力信号および前記第2出力信号の強度を低下させる制御処理と
    をコンピュータに実行させるプログラム。
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