JP2010263600A - ハウリング防止装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ループゲインを推定してハウリングを的確に防止するハウリング防止装置を提供する。
【解決手段】疑似ノイズ重畳部7は、マイク11が収音した音声に疑似ノイズ(M系列)を重畳し、増幅系統に出力する。演算部5は、マイク11が収音した音声と上記疑似ノイズの相関計算を行い、求めた相関値に基づいてループゲインを推定する。ゲイン制御部23は、ハウリング検出部9でハウリングの発生を検出したとき、そのときの相関値(推定値)を記憶部に記憶しておく。ゲイン制御部23は、可変イコライザ13にゲイン抑制を指示し、ハウリングが抑制されたときのゲイン値を記憶部24に記憶しておく。その後、ゲイン制御部23は、記憶部24から推定値およびゲイン値を読み出し、演算部5から入力される推定値に応じたゲイン値で音声信号を抑制する。
【選択図】図1

Description

この発明は、ハウリングを防止するハウリング防止装置に関する。
従来、講演やコンサート等の拡声システムにおいて、ハウリングを防止するための技術が種々提案されている。一般的なハウリング抑制手法は、ハウリングの発生を検出したときに、ハウリングの原因となる周波数帯域をフィルタで減衰するものである。減衰させる周波数、およびゲインは、PAエンジニアが手動で設定することが多い。
また、特許文献1には、入力信号の周波数特性からハウリング発生の有無を検出し、ハウリング抑制のためのフィルタ特性を算出する手法が記載されている。
特開平6−327088号公報
しかし、特許文献1の装置のような従来のハウリング抑制手法は、ハウリングが発生した周波数帯域を抑制する手法に過ぎず、ループゲインを推定するものではなく、ハウリング発生を未然に防ぐことができるものではない。最もハウリングが起きやすい環境においてフィルタ特性を決定しておくことも考えられるが、本来ハウリングが発生しない環境においても信号を抑制してしまい、音質的劣化が大きくなるという問題がある。
一方で、環境変化に応じてPAエンジニアがフィルタ特性を手動で設定することも考えられるが、その都度、抑制する周波数およびゲインを選定する等の熟練した技能が必要であり、手間がかかるという問題がある。
そこで、この発明は、音響空間の環境に応じてハウリングを的確に防止するハウリング防止装置を提供することを目的とする。
この発明のハウリング防止装置は、音声信号を入力する入力部、疑似ノイズを生成するノイズ生成部、音声信号に疑似ノイズを重畳する重畳部、相関計算部、ループゲイン推定部、ループゲイン推定部が推定したゲインの値である推定値に応じた抑制度合いで音声信号を抑制する抑制部、ハウリング発生の有無を検出するハウリング検出部、および抑制部を制御する制御部を備えている。相関計算部は、入力された音声信号とノイズ生成部が生成する疑似ノイズの相関を求める。ループゲイン推定部は、相関計算部が算出した相関のピークから、閉ループのゲインを推定する。例えば、各ピーク成分の相関値の和をループゲインと推定する。
ここで、制御部は、ハウリング検出部がハウリング発生を検出したとき、推定値に応じた抑制度合いの特性を強く設定する。例えば、例えば3dBだけ低い値に設定する。以後は、新たに設定された特性で、推定値に応じた音声信号の抑制が行われるため、的確にハウリングを防止することができる。
また、ハウリング防止装置は、スピーカとマイク間の距離を測定する距離測定手段と、上記特性を初期設定する指示を受け付ける操作部と、を備えている。制御部は、操作部で初期設定の指示を受け付けると、限界の抑制度合い(限界ゲイン)を測定し、そのときの推定値と距離を入力する測定処理を行う。制御部は、複数の点(例えば3点)で測定処理を行う。測定を行う複数の点は、角度方向が異なる位置が少なくとも1点含まれているものとする。そして、制御部は、各点の測定処理において測定された限界ゲイン、推定値、および距離に基づいて特性を算出する。これにより、角度方向の変化も考慮した特性を設定することができる。
なお、制御部は、通常使用時に、距離測定手段の距離に応じて初期設定処理において設定された特性を変更するようにしてもよい。例えば、距離が近くなるほど限界ゲインが低くなるように変更する。
また、制御部は、ハウリング検出部でハウリングの発生を検出したとき、そのときの推定値を記憶しておく。この推定値を最大推定値とする。そして、制御部は、抑制部にハウリングを抑制するよう指示し、ハウリングが抑制されたときの抑制度合いを記憶しておく。ハウリング検出部がハウリング発生の周波数を検出し、抑制部がイコライザを有するものであるときは、抑制度合いとして、抑制する周波数とゲインを記憶する。制御部は、以上のような記憶処理を行う。
また、制御部は、記憶処理において記憶しておいた推定値および抑制度合いを読み出し、ループゲイン推定部で算出される推定値に応じて抑制部の抑制度合いを制御する抑制処理を実行する。例えば、推定値に比例してイコライザのかかり具合(ゲインを下げる量)を強くする場合、最大推定値の時にゲインを最小とし、比例係数から最大ゲイン(ゲイン=1)の時の推定値(抑制開始推定値とする。)を求める。そして、抑制開始推定値から推定値が上昇するにつれてイコライザのかかり具合を強く設定する。
なお、制御部は、既に記憶している周波数と異なる周波数においてハウリング発生を検出すると、当該周波数を抑制する周波数特性を新たに記憶しておき、抑制処理において複数の周波数帯域で抑制を行うように設定する。
このように、本発明のハウリング防止装置は、ハウリングが発生した時の推定ループゲインと、その抑制度合いを記憶しておき、推定ループゲインに応じて抑制する周波数やゲインを自動設定するため、熟練した技能を必要とせず、音響空間の環境変化に応じてハウリングの発生を的確に防止することができる。
この発明によれば、推定したループゲインに応じて抑制する周波数やゲインを自動設定するため、熟練した技能を必要とせず、音響空間の環境変化に応じてハウリングの発生を的確に防止することができる。
ハウリング防止装置の構成を示したブロック図である。 疑似ノイズ重畳部の構成および処理内容を示したブロック図である。 演算部の構成および処理内容を示したブロック図である。 相関の時間軸特性を示した図である。 相関の時間軸特性を示した図である。 相関の時間軸特性を示した図である。 可変イコライザについて説明する図である。 しきい値の変更態様を示した図である。 初期設定の手法を示す図である。 初期設定の手法を示す図である。 設定したゲイン特性を更新する例を示した図である。 しきい値およびイコライザカーブの設定態様を示した図である。 通常使用時におけるゲイン特性変更動作を示すフローチャートである。 記憶処理の動作を示したフローチャートである。
図1は、本発明のハウリング防止装置の構成を示すブロック図である。なお、本実施形態の説明において、特に記載がない限り音声信号は全てデジタル信号とし、A/D変換、D/A変換の構成は省略する。
ハウリング防止装置1は、マイク11(収音部)が収音した音声信号を入力する演算部5、疑似ノイズ重畳部7、操作部8、およびハウリング検出部9を備えている。疑似ノイズ重畳部7は、マイク11が収音した音声信号に疑似ノイズを重畳する。
疑似ノイズ重畳部7で疑似ノイズが重畳された音声信号は、後段の増幅系統(アンプ)で増幅され、スピーカ3から放音される。スピーカ3から放音された音声は、マイク11に帰還し、閉ループが形成される。このように、ハウリング防止装置1は、拡声系のシステム内に内蔵されるものであり、例えばミキサやマイクに内蔵されるものである。
ハウリング防止装置1は、上記演算部5において、閉ループのゲインを推定する。ハウリング防止装置1は、推定したループゲインに応じたイコライザ特性で音声信号を抑制する。
図1に示すように、ハウリング防止装置1は、LPF12、可変イコライザ13、重畳部14、M系列発生器15、N倍オーバーサンプリング部16、HPF17、疑似ノイズ用ボリューム18、HPF19、相関計算部20、タイマ21、ループゲイン推定部22、ゲイン制御部23、および記憶部24を備えている。
演算部5は、M系列発生器15、HPF19、相関計算部20、タイマ21、およびループゲイン推定部22により構成される。疑似ノイズ重畳部7は、可変イコライザ13、重畳部14、M系列発生器15、N倍オーバーサンプリング部16、HPF17、疑似ノイズ用ボリューム18、ゲイン制御部23、および記憶部24により構成される。
マイク11が収音した音声信号は、疑似ノイズ重畳部7のLPF12および演算部5のHPF19に入力される。図2を参照して、疑似ノイズ重畳部7の構成、機能について説明する。各構成部の下欄には、各構成部が出力する信号の波形を示している。
疑似ノイズ重畳部7のLPF12には、マイク11が収音した音声信号が入力される。なお、マイク11の下欄に示す信号の波形は一例であり、実際には種々の波形を有した信号がLPF12に入力される。
LPF12は、この収音した音声信号から高域をカットし、可変イコライザ13に出力する(同図LPF12の下欄波形を参照)。
可変イコライザ13は、本発明の抑制部に相当し、ゲイン制御部23により設定された周波数特性でマイク11のLPF12の出力信号を抑制し、重畳部14に出力する。可変イコライザ13の抑制度合いは、ハウリング検出部9の検出結果によって設定される。詳細は後述する。
M系列発生器15は、本発明のノイズ生成部に相当し、疑似ノイズとしてPN符号(M系列)のような自己相関性の高い信号を定期的に生成し、N倍オーバーサンプリング部16に出力する(同図M系列発生器15の下欄波形を参照、ただし、最下欄の波形は時間軸を表す)。なお、M系列に限らず、Gold系列など、他の乱数を用いてもよい。
なお、疑似ノイズの出力周期は、後述のループゲイン推定部22においてループゲイン推定処理ができるように、反射波(間接波)の成分が所定レベル以上に低下するまでの時間(音響伝達系におけるインパルス応答の収束時間)よりも長く設定されている。
N倍オーバーサンプリング部16は、疑似ノイズをオーバーサンプリングする。例えば、16倍オーバーサンプリングを行い、PN符号の各ビットの符号周期を拡大し、疑似ノイズ長を16倍とする(同図N倍オーバーサンプリング部16の下欄波形を参照、ただし、最下欄の波形は時間軸を表す)。N倍オーバーサンプリング部16は、このオーバーサンプリングした信号をHPF17に出力する。
HPF17は、N倍オーバーサンプリング部16から入力された信号の低域をカットする(同図HPF17の下欄波形を参照、ただし、最下欄の波形は時間軸を表す)。カットオフ周波数は、例えば10kHzに設定される。
なお、LPF12およびHPF17は、本発明において必須ではない。ただし、HPF17により、疑似ノイズの高域以外の音がカットされるため、スピーカ3から放音されたとしても聴感上違和感がなくなる(ノイズが聞えにくくなる)。また、LPF12により、一度マイクに入力された高域の疑似ノイズが再び増幅系統に出力されることがなくなり、疑似ノイズのループ現象を抑えることもできる。なお、LPF12およびHPF17を省く場合、マイク11が収音した音声信号から、疑似ノイズ成分を減算して増幅系統に出力することで、疑似ノイズのループ現象を抑えるようにしてもよい。
なお、N倍オーバーサンプリング部16によるオーバーサンプリングも本発明において必須ではない。ただし、オーバーサンプリングを行うことで疑似ノイズの時間的冗長性が増し、相関算出の精度を向上させることができる。実際には、必要となる精度と疑似ノイズの符号長に応じてオーバーサンプリングの有無を設定すればよい。
HPF17から出力された信号は、疑似ノイズ用ボリューム18に入力される。疑似ノイズ用ボリューム18は、ゲイン制御部23により設定されたゲインで、HPF17の出力信号を重畳部14に出力する。疑似ノイズのレベルは、聴感上違和感のない微弱なレベルとすればよいが、疑似ノイズ相関のピーク値を検出できる程度のレベルを確保する。
重畳部14は、可変イコライザ13から出力された音声信号にHPF17から出力された信号(疑似ノイズ)を重畳し、増幅系統に出力する。
次に、図3を参照して、演算部5の構成、機能について説明する。各構成部の下欄には、各構成部が出力する信号の波形を示している。M系列発生器15は、N倍オーバーサンプリング部16に出力したものと同じ疑似ノイズを相関計算部20に出力する(同図M系列発生器15の下欄波形を参照、ただし、当該波形は時間軸を表す)。また、M系列発生器15は、この疑似ノイズを出力した後、出力タイミングを示す信号(タイミング信号)をタイマ21に送信する。タイマ21は、タイミング信号を受信すると、タイムカウントを開始し、ループゲイン推定部22に、カウント時間を示すタイマ信号を送信する。なお、タイマ21は、本発明において必須ではない。
マイク11には、疑似ノイズが含まれた音声が収音される。演算部5のHPF19には、マイク11が収音した音声信号が入力される。HPF19は、マイク11が収音した音声信号から低域をカットし、相関計算部20に出力する(同図HPF19の下欄波形を参照、ただし、当該波形は周波数軸を表す)。カットオフ周波数は、上記HPF17に対応して決定される(例えば10kHz)。
相関計算部20は、M系列発生器15から入力された疑似ノイズと、HPF19の出力信号の相関を求める。M系列の符号は非常に高い自己相関性を有しているため、HPF19の出力信号に同じM系列の疑似ノイズが含まれていると、同図の波形に示すように、相関値のレベルが高くなる。相関計算部20は、高レベルの相関値を算出したタイミング(受信タイミング)およびそのときの相関値をループゲイン推定部22に出力する。
ループゲイン推定部22は、受信タイミングを入力すると、タイマ21からのタイマ信号を参照し、疑似ノイズを出力したタイミングから受信タイミングまでの時間差を求める。この時間差が、閉ループの遅延時間に相当する。なお、閉ループの遅延時間を測定しない(タイマ21がない場合)、相関計算部20の受信タイミングの出力は必須ではない。
ループゲイン推定部22は、ループゲインを推定する処理を行う。ループゲインの推定手法は、種々の態様が考えられるが、例えば以下のような態様で行われる。
まず、第1の推定手法について、図4を用いて説明する。図4は、相関の時間軸特性を模式的に表した図である。
ループゲイン推定部22は、疑似ノイズを出力したタイミングから最初に所定レベル以上の相関値を算出した場合、当該最初に算出した時間帯における相関値を直接波とみなし、直接波のピーク成分を求める。すなわち、ループゲイン推定部22は、所定レベル以上の相関値を算出した場合、その後所定時間帯t1の相関値をメモリ(不図示)に一時記憶し、所定時間帯t1の中で最も高レベルの相関値を抽出し、ピーク値a0とする。なお、所定レベルは、定常ノイズのレベルに応じて設定する。ピーク値を抽出する所定時間帯t1は、相関値算出の精度(疑似ノイズの符号長等)やHPF19の有無、およびカットオフ周波数等に応じて設定する。
そして、ループゲイン推定部22は、最初に所定レベル以上の相関値を算出してから上記所定時間帯t1が経過した後に再び所定レベル以上の相関値を算出した場合、当該相関値を反射波とみなし、反射波のピーク成分を求める。上記と同様、ループゲイン推定部22は、所定レベル以上の相関値を算出した場合、その後所定時間帯t1の相関値をメモリに一時記憶し、最も高レベルの相関値を抽出し、ピーク値a1とする。以下、同様にして反射波のピーク値(a1,a2,・・・)を所定時間長t2だけ抽出する。なお、ここで言う所定時間長t2は、疑似ノイズの出力周期に相当する。なお、室内の残響時間がある程度判明している場合、時間t2は予め設定しておいてもよいし、ユーザが手動で入力するようにしてもよい。
そして、ループゲイン推定部22は、抽出した直接波および反射波のピーク値の絶対値(|a1|,|a2|,・・・)を求め、各絶対値の総和からループゲインを推定する。このように、ループゲイン推定部22は、ハウリングに影響する直接波の帰還成分および反射波の帰還成分からループゲインを推定する処理を行うため、高精度にループゲインを推定することができる。第1の推定手法は、ハウリング発生に影響するのはピーク成分である場合が多いとみなし、直接波および反射波の各ピーク成分の相関値の和に基づいてループゲイン推定を行うものである。
次に、第2の手法について図5を用いて説明する。図5は、相関の時間軸特性を模式的に表した図である。
ループゲイン推定部22は、疑似ノイズを出力したタイミングから所定時間長t2が経過するまで、所定レベル以上の相関値を全て抽出し、これらの絶対値の総和を求める(積分値を求める)。なお、この場合の所定レベルも、定常ノイズのレベルに応じて設定する。所定時間長t2についても、疑似ノイズの出力周期に相当する。
このように、第2の手法は、直接波および間接波の全ての成分を総和することで高精度にループゲイン推定を行うものである。
次に、第3の手法について図6を用いて説明する。図6(A)は、相関の時間軸特性(絶対値)を示した図であり、同図(B)は、当該時間軸特性を模式化したものである。
ループゲイン推定部22は、まず上記第1の手法で示したように、直接波のピーク値を抽出し、その絶対値|a0|を取得する。そして、ループゲイン推定部22は、当該ピークからさらに時間t3が経過したときの相関の絶対値|b0|を取得する。時間t3は、疑似ノイズを出力したタイミングから最初に相関のピークを算出するタイミングまでの時間(閉ループの遅延時間)で求められる。(この手法においては、タイマ21は必須である。)なお、絶対値|b0|は、最初のピークから時間t3が経過したタイミングの値に限らず、時間t3経過後で、かつその付近(例えば数十μsec前後)で最も相関の絶対値が大きいときの値としてもよい。そして、ループゲイン推定部22は、絶対値|a0|と絶対値|b0|の比(|b0|/|a0|)をループゲインと推定する。
第3の手法は、最初に直接波のピーク成分を抽出してから、さらに時間t3が経過したタイミング周辺の波形を、スピーカ3から出力された疑似ノイズが再度ループした直接波と判断し、ループゲインを推定するものである。
なお、第3の手法の変形例として、単に最初に抽出した直接波のピーク成分をループゲインとして推定してもよい。ハウリング発生に影響するのは直接波の成分が大きいため、簡易的にループゲインを推定することができる。
なお、上記第1の手法、第2の手法、第3の手法ともに、疑似ノイズの出力周期が音響伝達系におけるインパルス応答の収束時間よりも長く設定されているため、疑似ノイズを出力した後、次に疑似ノイズを出力するまで、ダミーノイズを出力し、無音区間を無くすようにしてもよい。常にノイズ音を出力することで、疑似ノイズが目立たなくなり、聴感上の違和感がなくなる。
以上のようにしてループゲイン推定部22が推定したループゲインは、ゲイン制御部23に出力される。ゲイン制御部23は、推定したループゲイン(以下、推定値と言う。)に応じて可変イコライザ13の抑制度合いを設定し、抑制処理を行う。以下、抑制度合いの設定の一例として、可変イコライザ13の周波数特性を設定する例について説明する。図7(A)は、可変イコライザ13の詳細な構成を示すブロック図である。
同図(A)に示すように、可変イコライザ13は、ゲイン調整器51、加算器52、イコライザ(EQ)53、加算器54、およびゲイン調整器55を備えている。ゲイン調整器51は、ゲイン制御部23により設定されたゲインGaで入力信号を出力する。加算器52は、入力信号からゲイン調整器51の出力信号を減算し、EQ53に出力する。EQ53は、例えばノッチフィルタであり、イコライザカーブ(ノッチフィルタの中心周波数)は、ハウリング検出部9で検出したハウリング発生周波数で決定される。
加算器54は、ゲイン調整器51の出力信号とEQ53の出力信号を加算してゲイン調整器55に出力する。ゲイン調整器55は、ゲイン制御部23により設定され、全周波数帯域のゲインを調整するものであり、通常使用時は固定されており、主に後述の初期設定時におけるゲイン調整に使用される。加算器54の出力信号のゲインGoutは、EQ53のゲインをGeqとすると、
Gout=Ga+(1−Ga)×Geq=Geq+(1−Geq)×Ga
で表される。ゲイン制御部23は、ゲインGaを設定することにより、EQ53のかかり具合、すなわちイコライザの周波数特性を設定することになる。ここで、ゲイン制御部23は、ループゲイン推定部22から入力される推定値に応じてゲインGaを設定する。ゲインGaの特性は、記憶部24に記憶されており、ゲイン制御部23は、記憶部24からゲインGaの特性を読み出して設定する。
例えば、同図(B)に示すように、推定値が所定のしきい値th1より大きくなった場合、推定値の上昇に比例してゲインGaが低下するような特性や、図8A)に示すように、推定値が所定のしきい値th2(th2>th1)を超えた場合、さらにゲインGaのゲイン低下度合いが大きくなるような特性や、図8(B)に示すように、推定値がしきい値th2を超えた場合、ゲインGaを固定とするような特性が記憶部24に予め記憶されている。なお、推定値の上昇とゲインGaの低下は、比例関係である必要はない。例えば、推定値の上昇に応じてゲインGaの低下度合いを緩やかに低減する態様であってもよい。
上記ゲイン特性(しきい値th1、th2、および傾き(比例係数))は、記憶部24に記憶されているデフォルト値をそのまま設定してもよいが、設置環境に応じて初期設定を行うようにしてもよい。
初期設定を行う場合、ユーザは、操作部8を操作して、各値を初期設定する旨を指示する。すると、ゲイン制御部23は、ゲインGaを最大(Ga=1.0)としたままゲイン調整器55のゲインを最小値から徐々に上昇させてループゲインを増大させ、ハウリングを発生させる。あるいは、ゲイン調整器55のゲインは固定で、ユーザがマイク11をスピーカ3に近づけてハウリングを発生させる。
ハウリング検出部9は、ハウリング発生を検出したとき、ハウリング発生を示す情報(ハウリング発生情報とする。)をゲイン制御部23に出力する。ゲイン制御部23は、ハウリング検出部9からハウリング発生情報を入力したとき、そのときの推定値を記憶部24に記憶しておく。この推定値を最大推定値とし、しきい値th2とする。その後、ゲイン制御部23は、ゲインGaを低下していき、ハウリング検出部9でハウリングを抑制したことを検出すると、そのときのゲインGaの値を限界ゲインとして、最大推定値と対応付けて記憶部24に記憶しておく。そして、推定値とゲインGaの関係が比例関係であるとすれば、抑制開始推定値(しきい値th1)は、ゲインGaが1となるときの推定値であるから、推定値とゲインGaの対応関係により演算で求められる。比例係数は、任意の値であってもよいが、ユーザがマイク11を移動させ、スピーカとの距離が異なる位置でもう1点の限界ゲインを測定することでも求められる。例えば、ユーザがマイク11を移動させ、操作部8を操作して2点目の測定を行う旨を指示すると、ゲイン制御部23は、ゲインGaを徐々に上昇させ、再びハウリングを発生させる。ゲイン制御部23は、ハウリングが発生する直前のゲインGaの値を2点目の限界ゲインとする。あるいは、マイク11をスピーカ3に近づけてハウリングを発生させ、ゲイン制御部23がゲインGaを低下させ、ハウリングを抑制したときのゲインGaの値を限界ゲインとする。そして、測定した2点の限界ゲインおよび推定値から比例係数が求められる。なお、しきい値th1は、実際にはある程度のマージンを見て、演算で求める値よりも若干低い値であることが望ましい。すなわち、演算により求められるしきい値をth1’とし、ある係数α(0<α≦1)を用いてth1=α×th1’とする。以上のようにして、図7(B)、図8(A)、図8(B)に示したゲイン特性が初期設定される。
以上の様な初期設定手法は、スピーカとマイク間の距離が変化した場合に推定値が変化し、限界ゲインが推定値の変化に応じて比例変化すると仮定した場合の設定手法である。つまり、スピーカとマイクの相対角度が変化せずにスピーカとマイク間の距離が離れ、実際のループゲインが低下して限界ゲインが上昇するものと仮定した場合の手法である。
一方、図9(A)に示すように、実際には、スピーカとマイク間の距離が一定であっても、スピーカとマイク間の相対角度が変化した場合(マイクが角度方向に移動した場合)も、推定値が変化して限界ゲインが比例変化すると考えられる。すなわち、スピーカから放音される音声には指向性があるため、マイクがスピーカの放音軸から離れる場合もループゲインが低下して限界ゲインが上昇すると考えられる。ただし、音声の指向性は、高域(例えば10kHz以上)は鋭く、中低域は鈍い。したがって、角度方向にマイクが移動した場合、中低域は高域ほどループゲインが低下せず、高域と中低域ではループゲインの変化に差が生じる。よって、高域だけの疑似ノイズを用いて推定値を算出すると、角度方向における推定値の変化に対する限界ゲインの変化は、距離方向の変化よりも小さくなると考えられる。そこで、以下の様にゲイン特性を初期設定する手法が考えられる。
この例におけるゲイン特性の初期設定手法では、図9(A)に示すように、マイクの位置が異なる3点で測定処理を行うものである。なお、同図(A)の例では、説明を容易にするために、スピーカの放音軸上の2点(A点とB点)、距離が一定である2点(A点とC点)で測定する例を示すが、C点については、スピーカの放音軸上以外の位置であればどの位置であってもよい。
まず、ユーザが操作部8を用いて初期設定指示を行い、1点目(A点とする。)の測定開始を指示すると、ゲイン制御部23は、ゲインGaを最大(Ga=1.0)としたままゲイン調整器55のゲインを最小値から徐々に上昇させてループゲインを増大させ、ハウリングを発生させる。または、ゲインGaを固定として、ユーザがマイク11をスピーカ3に近づけ、ハウリングを発生させる。
ゲイン制御部23は、ハウリング検出部9からハウリング発生情報を入力したとき、ゲインGaを低下していき、ハウリング検出部9でハウリングを抑制したことを検出すると、そのときのゲインGaを限界ゲインGとして記憶部24に記憶しておく。また、そのときの推定値X、およびスピーカ3とマイク11間の距離rを求め、記憶部24に記憶しておく。スピーカ3とマイク11間の距離は、タイマ21を用いて閉ループの遅延時間と音速から求められる。なお、距離を求める前に、予めスピーカ3とマイク11を密接(距離ゼロと)させて遅延時間を求め、距離ゼロにおける遅延時間を音響空間による遅延以外の遅延時間(装置内遅延時間)とし、測定した遅延時間と装置内遅延時間との差分を閉ループの遅延時間としてもよい。
この例における初期設定では、以上の様な測定処理を残るB点およびC点でも行う。すなわち、A点での測定後、ユーザは操作部8を用いて2点目(B点とする。)の測定開始を指示する。ゲイン制御部23は、上記と同様に、B点における限界ゲインG、そのときの推定値X、スピーカ3とマイク11間の距離rを求め、記憶部24に記憶しておく。その後、ユーザは操作部8を用いて3点目(C点とする。)の測定開始を指示し、ゲイン制御部23はC点における限界ゲインG、そのときの推定値X、スピーカ3とマイク11間の距離r(rの値をそのまま用いてもよい。)を求め、記憶部24に記憶しておく。
以上の様にして測定したそれぞれの位置における限界ゲイン、推定値、距離の関係は、図9(B)および図9(C)に示すグラフのようになる。
A点とB点は、スピーカ3の放音軸上であるため、距離の変化による推定値の変化は、高域と中低域とで同様の特性を有し、推定値と限界ゲインの関係は最も急峻な傾き(この傾きをaとする。)を有すると考えられる。一方、A点とC点は、スピーカ3との距離が同じであり、角度方向に移動しただけであるため、高域の推定値の変化ほど中低域のループゲインが変化しないため、推定値と限界ゲインの関係は最も緩やかな傾き(この傾きをbとする。)を有すると考えられる。
したがって、同図(C)に示すA点およびB点を結ぶ直線(Ga=aX+a0)上、およびA点とC点を結ぶ直線(Ga=bX+b0)上の各点におけるゲインの値以下ではハウリングが発生せず、各直線上のゲインの値を超えるとハウリングが発生すると考えられる。よって、同図(D)に示すように、各推定値において、最小の限界ゲインの値をゲイン特性として設定すれば、距離方向の変化および角度方向の変化の両方に対応したゲイン特性を設定することができる。なお、上限ゲインGmaxは、最大値(Ga=1)であってもよいし、ユーザが操作部8を用いて手動設定してもよい。
ただし、A点とC点を結ぶ直線の切片b0の値は、同図(E)に示すように、通常使用時に測定される推定値と距離に応じて変化させるものとする。すなわち、切片b0は、同図(B)に示した距離と推定値との関係(X=(XB−XA/rB−rA)r+X0)、およびb0=Ga−bXの関係から、推定値Xと距離rの関数として表すことができる。したがって、通常使用時に測定される推定値Xと距離rによって、切片b0を変更する。その結果、距離が近くなるほど切片b0が小さくなり、限界ゲインが小さくなるようにゲイン特性を設定するものである。
なお、上述の設定手法は、全てスピーカが1つである場合の例を示したが、スピーカが複数ある場合、それぞれのスピーカについて同じ測定を行う。ゲイン制御部23は、測定した結果、推定値が最も大きいスピーカで求められたゲイン特性を設定する、または距離が最も近いスピーカで求められたゲイン特性を設定する。
なお、図10(A)に示すように、スピーカの放音軸上の2点以外(C点)をA点およびB点と距離の異なる位置に設定した場合、図10(B)に示すように、距離と推定値の関係におけるA点およびB点を結ぶ直線上にC点で測定した距離の値をプロットしたC’点を求め、そのときの推定値XC’を求める。そして、図10(C)に示すように、推定値距離とゲインの関係におけるA点およびB点を結ぶ直線上に推定値XC’を代入し、限界ゲインGC’を求める。これにより、距離が同一で角度方向に移動した2点(C点およびC’点)を定めることができ、ゲイン特性を設定することができる。
ゲイン制御部23は、以上のようにして設定したゲインGaの特性に応じて、通常使用時には、ループゲイン推定部22から入力される推定値(および距離)に応じてゲインGaを変化させる。
ゲインGaを変化させると、可変イコライザ13の周波数特性は、図7(C)に示すような特性を示す。同図(C)に示すように、ゲインGaが最大(=1.0)であれば、Gout=Gaとなり、EQ53はまったく寄与せず、全周波数においてゲイン1(フラットな特性)となる。ゲインGaを最小(例えば0)とすると、Gout=Geqとなり、EQ53の周波数特性がそのまま可変イコライザ13の周波数特性となる。ゲインGaを0〜1の間で変化させると、EQ53の周波数特性からフラットな特性まで変化することになる。すなわち、ゲイン制御部23が推定値に応じてゲインGaを変化させることで、可変イコライザ13のイコライザ特性を変化させることになる。
なお、図11(A)や図11(B)に示すように、一旦設定したゲインGaの特性において再びハウリングが発生した時は、全体の特性を所定値(例えば3dB)だけ低い値に設定する、またはハウリングが抑制されるまでゲインGaを低下させ、設定したゲイン特性を更新するようにしてもよいし、ゲイン調整器55のゲインを低くし、全周波数帯域において一律にゲインを低下させるようにしてもよい。
次に、EQ53のイコライザカーブ(フィルタ係数)の設定手法について説明する。EQ53の特性も、ハウリング検出部9の検出結果によって設定される。ここでは、EQ53が所定周波数のゲインを低下させるノッチフィルタとして機能する場合の例について説明する。上述したようにハウリング検出部9は、ハウリングが発生したことを検出すると、ハウリングが発生している周波数を検出し、ハウリング発生情報に周波数の情報を含めて出力する。ゲイン制御部23は、ハウリング発生情報をハウリング検出部9から入力し、ハウリングが発生している周波数に応じてEQ53の中心周波数F1を設定する。複数の周波数においてハウリングが発生している場合は、複数の中心周波数を設定する(図12(C)を参照。)。複数の周波数を抑制する場合、可変イコライザ13を複数段設け、それぞれのゲインGaおよび中心周波数を設定する。設定したEQ53の中心周波数は、記憶部24に記憶しておく。なお、バンド幅(Q値)については、任意である。ゲイン制御部23は、以上のようにして決定したEQ53の中心周波数を記憶部24から読み出し、推定値の上昇に応じてゲインGaを低下させ、イコライザのかかり具合を制御する。
なお、ハウリング検出部9の検出手法はどの様なものであってもよいが、例えば以下の様にして行う。すなわち、ハウリング検出部9は、マイク11から入力した信号を周波数領域の信号に変換(FFT)し、FFT後の信号を複数フレーム分保持する。そして、各周波数成分の信号が所定レベル以上で、かつ所定時間以上継続した状態となった場合に、その周波数においてハウリングが発生していると判断する。なお、ハウリング検出部9は、楽器や声の定常的な音声(バイオリンの音等)とハウリングとを区別すべく、所定レベル以上で、かつ所定時間以上継続する周波数成分を検出した場合、その周波数に対して倍音成分の有無を判断し、倍音成分が無い場合にのみハウリングが発生していると判断する。
図12を参照して、上述のしきい値およびイコライザカーブの設定(記憶処理)、および推定値の入力に応じてゲインを制御する抑制処理についてのまとめを説明する。
図12(A)に示すように、ハウリングが1度も発生していないとき、EQ53の特性は、全周波数においてゲイン1(フラットな特性)となる。ここで、ハウリング発生情報が入力されると、同図(B)に示すように、ハウリング発生周波数にEQ53の中心周波数F1が設定される。この場合、同図(B)の1点破線に示すイコライザカーブがEQ53に設定される。この時の推定値が最大推定値(図8(A)のゲイン特性を設定する場合、しきい値th2となる。)として設定される。ゲイン制御部23は、最大推定値と中心周波数F1を記憶部24に記憶する。
そして、ゲイン制御部23は、記憶部24に記憶されている所定のゲイン特性(例えば図8(A)や図9(D)で示した特性)を読み出す。または、ゲイン制御部23は、ハウリングが抑制されるまでゲインGaを低下させ、ハウリングが抑制されたときのゲイン値を記憶部24に記憶しておいてもよい。結果、図12(B)の実線に示す周波数特性が、可変イコライザ13の全体の周波数特性として設定される。以後、ゲイン制御部23は、ループゲイン推定部22から入力されるその時々の推定値に応じてゲイン調整器51のゲインを変更し、イコライザのかかり具合を制御する。
このような抑制処理を行っていても、再びハウリングの発生を検出する場合がある。この場合、ゲイン制御部23は、以下の様な処理を行う。まず、過去に検出した周波数と異なる周波数においてハウリングが発生していることを示すハウリング発生情報が入力されると、同図(C)に示すように、新たなハウリング発生周波数に別のEQの中心周波数F2を設定する。このとき、既に記憶部24に記憶済のEQ53の中心周波数F1、およびゲイン値は固定とする。この場合、イコライザ全体の周波数特性としては、同図(C)の1点破線に示す特性が設定される。そして、ゲイン制御部23は、上述と同様のゲイン特性、またはハウリングが抑制されるまで、中心周波数F2が設定された可変イコライザのゲインを低下させ、ハウリングが抑制されたときのゲイン値を記憶部24に記憶しておく。
なお、新たにハウリングが発生したときの推定値は、上述の最大推定値と異なる場合もあるし、同一である場合もある。また、抑制開始推定値(しきい値th1)も、各段の可変イコライザ13において共通であっても異なっていてもよい。異なる場合は、それぞれの最大推定値および抑制開始推定値を記憶部24に記憶しておく。
以後、ゲイン制御部23は、ループゲイン推定部22から入力される推定値に応じて、複数の帯域においてイコライザのかかり具合を制御する。
また、同図(D)に示すように、既に設定されている周波数と同じ周波数(例えば周波数F1)においてハウリングが発生した場合、その周波数F1におけるゲインをさらに低下させる。すなわち、図11(A)または図11(B)で示したように、ゲインGaを所定値(例えば3dB)だけ低い値に設定する。あるいは、ハウリングが抑制されるまでゲインGaをより低い値に変更する。
なお、図11(A)または図11(B)に示すように、ゲインGaを低い値に変更すると、抑制開始推定値であるしきい値th1も、より低い値に変更される。また、図11(B)において、しきい値th2はそのままでゲインGa全体を下げる(破線の特性)ようにしてもよいし、変更前のしきい値th2の時のゲインGaを維持するように、しきい値th2を小さくしてもよい。
なお、しきい値th2より大きい推定値においてハウリングが発生した場合は、ゲイン調整器55で全周波数帯域においてゲインを抑制する設定を行うか、図11(C)のように推定値がしきい値th2を超えた場合にゲインGaを固定とする特性を設定している場合、しきい値th2を大きい値に変更する設定を行う。
次に、図13は、通常使用時におけるゲイン特性変更動作を示すフローチャートである。ゲイン制御部23は、ハウリング検出部からハウリング発生情報を入力するとこの動作を開始する。まず、ゲイン制御部は、ハウリング発生情報に含まれる周波数を検出する(s51)。
ゲイン制御部23は、過去に検出した周波数と異なる周波数においてハウリング発生を検出した場合、または最初にハウリング発生を検出した場合(s52→Yes)、EQ53の中心周波数を設定する(s53)。そして、ゲイン制御部23は、ゲインGaの特性を設定する(s54)。例えば、図8(A)や図9(D)に示したようなゲイン特性を設定する。設定したゲインGaの特性は、記憶部24に記憶しておく。なお、このときのゲイン特性は、後述の図14に示す記憶処理で決定してもよい。
一方、s52の処理において、過去に検出した周波数と同じ周波数であればs53およびs54の処理は通過し、ゲイン特性の変更を行う(s55)。例えば、ゲインGaを全体として3dBだけ低下させる特性に変更する(図11(A)または図11(B)を参照)。以後、ゲイン制御部23は、記憶処理において記憶部24に記憶したゲインGaの特性を記憶部24から読み出し、ループゲイン推定部22から入力される推定値に応じて可変イコライザ13のゲイン調整器51のゲインを調整する。
次に、図14は、ゲインGaの特性の設定手法の他の態様を示す記憶処理の動作を示すフローチャートである。ゲイン制御部23は、ハウリング検出部からハウリング発生情報を入力するとこの動作を開始する。まず、ゲイン制御部23は、現在入力されている推定値を最大推定値として記憶する(s11)。なお、既に最大推定値が記憶部24に記憶されている場合はこの処理を無視する。ただし、現在入力されている推定値が既に記憶されている最大推定値よりも大きい場合、現在入力されている推定値に更新する。その後、ゲイン制御部23は、ハウリング発生情報に含まれる周波数を検出する(s12)。
ここで、ゲイン制御部23は、過去に検出した周波数と異なる周波数においてハウリング発生を検出した場合、または最初にハウリング発生を検出した場合(s13→Yes)、EQ53の中心周波数を設定する(s14)。過去に検出した周波数と同じ周波数であればs14の処理は通過する。
そして、ゲイン制御部23は、可変イコライザ13のゲイン調整器51のゲインを低下させる(s15)。1ステップにおけるゲイン低下量はどの様な値であってもよいが、例えば−3dBとする。その後、ゲイン制御部23は、ハウリングが抑制されたか否か(ハウリング検出部9からハウリング発生情報が入力されなくなったか)を判断する(s16)。ハウリングが抑制されていなければ、再びゲイン調整器51のゲインを低下させる(s16→s15)。ゲイン制御部23は、ハウリングが抑制された場合、そのときのゲイン値を記憶部24に記憶しておく(s17)。そして、s11において記憶した最大推定値およびs17において記憶したゲイン値から抑制開始推定値を算出し、記憶部24に記憶する(s18)。なお、既にゲイン値やしきい値th1が記憶部24に記憶されている場合は、これらの値を更新する。
以後、ゲイン制御部23は、記憶処理において記憶部24に記憶したしきい値th1、最大推定値、およびゲイン値を記憶部24から読み出し、ループゲイン推定部22から入力される推定値に応じて可変イコライザ13のゲイン調整器51のゲインを調整する。すなわち、ゲイン制御部は、そのときの推定値に応じて、イコライザのかかり具合を制御する抑制処理を行う。抑制処理においてハウリング発生情報が入力された場合は、再び記憶処理の動作を行う。
以上のようにして、ハウリング防止装置は、閉ループのゲインを推定し、推定したループゲインに応じたイコライザ特性で音声信号を抑制することにより、ハウリング発生を未然に防止することができる。また、ハウリング防止装置1は、推定したループゲインに基づいてイコライザ特性が自動設定されるため、熟練した技能を必要とせず、音響空間の環境変化に応じてハウリングの発生を的確に防止することができる。
なお、図1において、ゲイン制御部23は、疑似ノイズ用ボリューム18のゲインも抑制するように指示する。ただし、必ず疑似ノイズ相関の最初のピークを検出できるように、所定値以上のゲインを保持するものとする。この所定値については、予め実験室等で測定した値を用いてもよいし、設置環境において実際の使用時より前にテストを行い、相関のピークを算出できる限界のゲインを求め、ある程度のマージンを見た値を設定してもよい。
なお、M系列発生器15が生成する疑似ノイズのパターンを複数用意しておき、これらのパターンを切り替えるようにしてもよい。例えば、マイク毎(入力チャンネル毎)に疑似ノイズのパターンを切り替えることで、複数のマイクを同時に使用する場合であっても、互いの疑似ノイズが干渉することなく、高精度に相関を算出することができる。マイク毎に個別に閉ループのループゲインを推定することができるため、複数のマイクを同時に使用した場合であっても好適にハウリングを防止することができる。
特に、疑似ノイズとしてGold系列を用いる場合、符号生成回路(シフトレジスタ)のタップ位置を切り替えることにより、多種類の符号系列を生成することが可能であるため、大規模なPAシステムにも対応することができる。
なお、上述の実施形態では、可変イコライザ13がイコライザを有し、ゲイン制御部23が推定したループゲインに応じてイコライザ特性を設定する例を示したが、単にゲイン調整だけの構成を備え、抑制度合いとして全周波数帯域におけるゲインを制御する態様であってもよい。
1−ミキサ
3−スピーカ
5−演算部
7−疑似ノイズ重畳部
8−操作部
9−ハウリング検出部
11−マイク

Claims (6)

  1. 音声信号を入力する入力部と、
    疑似ノイズを生成するノイズ生成部と、
    前記入力部が入力した音声信号に前記疑似ノイズを重畳して増幅系統に出力する重畳部と、
    前記入力部が入力した音声信号と前記ノイズ生成部が生成する疑似ノイズの相関を求める相関計算器と、
    前記相関計算器が算出した相関値から、閉ループのゲインを推定するループゲイン推定部と、
    前記ループゲイン推定部が推定したゲインの値である推定値に応じた抑制度合いで前記入力部が入力した音声信号を抑制する抑制部と、
    ハウリング発生の有無を検出するハウリング検出部と、
    前記ハウリング検出部がハウリング発生を検出したとき、前記推定値に応じた抑制度合いを強く設定する制御部と、
    を備えたハウリング防止装置。
  2. スピーカとマイク間の距離を測定する距離測定手段と、
    前記推定値に対する前記抑制度合いの特性を初期設定する指示を受け付ける操作部と、を備え、
    前記制御部は、前記操作部で前記初期設定の指示を受け付けると、
    前記抑制部の抑制度合いを変更してハウリングを抑制することができる限界の抑制度合いを測定するとともに、そのときの前記推定値、および前記距離を入力する測定処理を、複数の点において実行し、
    複数の測定処理において測定された前記限界の抑制度合い、推定値、および距離に基づいて前記特性を算出する初期設定処理を行う請求項1に記載のハウリング防止装置。
  3. 前記制御部は、前記距離測定手段の距離に応じて前記初期設定処理において設定された前記特性を変更する請求項2に記載のハウリング防止装置。
  4. 前記制御部は、前記ハウリング検出部がハウリング発生を検出したとき、そのときの推定値を記憶するとともに、前記抑制部に前記音声信号を抑制してハウリングを抑制するよう設定し、前記ハウリング検出部でハウリングを抑制したことを検出すると、ハウリングを抑制したときの前記抑制部の抑制度合いを記憶する記憶処理を実行し、
    前記記憶処理において記憶した推定値と抑制度合いを読み出し、前記ループゲイン推定部から入力されている推定値に応じて、前記抑制部に設定する抑制度合いを制御する請求項1〜3のいずれかに記載のハウリング防止装置。
  5. 前記ハウリング検出部は、ハウリングが発生している周波数を検出し、
    前記抑制部は、前記音声信号を抑制するイコライザを有し、
    前記抑制度合いは、前記イコライザの周波数特性を示す情報であり、
    前記制御部は、前記ハウリング検出部が検出した周波数を抑制するように、前記抑制部に設定し、前記抑制部のイコライザの周波数特性を制御する請求項1〜4のいずれかに記載のハウリング防止装置。
  6. 前記制御部は、過去に発生したハウリングと異なる周波数においてハウリング発生を検出したとき、当該周波数をさらに抑制するように、前記抑制部に設定する請求項5に記載のハウリング防止装置。
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