JP4435652B2 - コンクリートカッターと、その使用方法 - Google Patents

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本発明は、コンクリートの床や壁等(以下、単に「被削材」という)を切断したり、被削材に配管工事や耐震補強工事等のため、溝やスリットを形成するのに用いられるコンクリートカッター(以下、単に「カッター」ということもある)と、その使用方法に関する。
図1は、被削材15に固定されるレール2上に走行可能に装着されるコンクリートカッター1について示すもので、レール2上に走行可能に装着されるベース3と、レール2の長手方向に一定の間隔を存してベース3より縦設される一対の支柱4a及び支柱上端を連結する梁状の取付部4bよりなる門形の支持枠4と、該支持枠4の取付部4bより垂下し、ハンドル5の回動操作により回転するネジ棒6と、支持枠4の支柱4aに昇降可能に支持され、ネジ棒6に螺着のナット(図示しない)を有して、ネジ棒6の回転によって昇降する台7と、該台7に取着される減速機付きモータ(図示しない)と、該モータによって回転駆動されるブレード8と、コンクリートカッターをレール2に沿って走行させる送り装置9よりなり、ベース3には図2に示すように、レール2両側の菱形部分2aのコーナ部に嵌合するV形溝を備え、菱形部分2aを転動するローラ11を有し、また送り装置9はベースの一側に固定され、レール2に添設されるラック10と噛合するピニオン12と、該ピニオン12を回転駆動する送りモータ13を有している。
コンクリートカッター1は以上のように構成され、モータを起動してブレード8を回転させ、かつハンドル5操作によりブレード8を押下げて被削材15に押付け、更に送りモータ13によりカッター1をレール2に沿い走行させることにより回転するブレード8で被削材15をレール2に沿って切断するようになっている。
こうしたコンクリートカッターの関連技術が下記特許文献1及び2に開示されている。
特開平9−300340号 特開2004−148692号
図2に示すローラ11は、使用に伴う回転軸の磨耗等によりローラ11間の間隔が拡がると、レール2の菱形部分2aとローラ11間には、図3に示すように横方向に間隔δが形成されるとともに、上下に隙間δがそれぞれ形成されるようになる。V形溝の角度が90°の場合、δ=δで、δは菱形部分2aのコーナの上下に形成されるため、図4及び図5に示すように、上下の隙間2δは横方向の隙間δの2倍となる。この結果、カッター1が図4及び図5に示す隙間2δの範囲内で傾きうるようになり、カッター1が傾くと、ブレード8が被削材に斜めに切り込まれ、ブレードが被削材の切断面と擦れ合う、いわゆるセリが発生し、スムースで安定した切断ができなくなる。
また図6に示すA点とB点では、ローラ11の回転中心からの距離が異なり、周速も異なるため、ローラ11がレール2の菱形部分2aを転動する場合、ローラ11と菱形部分2aが最も強く接している部分を除いてはスリップしている状態となる。つまり理想的な転がり摩擦ではなく、滑り摩擦の抵抗が含まれた転がりとなり、これにより走行力にロスを生ずるばかりでなく、滑り摩擦によって磨耗を生じ、その結果、ローラ11とレール2の菱形部分2aとの間のクリアランスが増加し、カッター1がガタ付いて切断精度の維持が困難となる。
カッター1はまた、図1に示すように、レール端まで移動させようとする場合、送り装置9はレール端まで移動できてもカッター1は送り装置9分レール端より離れ、走行ストロークのロスlを生ずる。
送り装置9はまた、ピニオン12の回転を止めることによりカッター1をレール2上に固定することができるが、図7に示すようにレール2を壁などの被削材に垂直に取付けた場合、送り装置9が下側にある場合には、ピニオン12がラック10より外れたとき、カッター1がレール上に残っていても、ピニオン12を固定できないため、カッター1がレール2端より外れて落下するようになる。
なお、図8に示すローラは入口が広く、溝底に向かって漸次狭くなる、例えば断面台形の環状溝21を有し、該溝21にレール22と一体をなし、レール22より側方に突出するプレート状のレール部23を側方より嵌合し、環状溝21の溝底は、レール部23の厚みと同じか、これより僅かに幅狭となっている。したがってローラ24は、環状溝21の溝側面でレール部23のエッジと点接触して転動し(溝底がレール部23の厚みと同じ幅である場合、溝底もレール部側面に線接触して転動する)、レール22に沿い走行する。このためローラ24は、レール部23と転がり摩擦して滑り摩擦することはなく、そのために走行力にロスが生じないばかりでなく、滑り摩擦による磨耗もなく、磨耗によるカッターのガタ付きがなく、切断精度が長期にわたって維持される。
またローラの回転軸の磨耗等によってローラ24間の間隔が拡がり、図9に示すように環状溝21の溝底がレール部側面よりcだけ離れるようなことがあっても、溝側面と水平線のなす角θは数度、例えば1〜5度程度と小さいため、図の上下方向の間隔dもcに比べて小さくなり(d≪c)、したがってコンクリートカッターが傾きうる範囲も小さくなってセリが発生しにくく、スムースで安定した切断が行える。
更にまた、図10に示すように、環状溝25の溝幅が一定であると、レール部23が反っている場合、環状溝25の溝縁のエッジがレール部23に干渉して食い込み、スムースな走行が困難となったり、環状溝25の溝縁のエッジやレール部23が損傷し、或いはまたレール部23が溝25から出ようとしてローラ24がレール部23に乗り上がろうとし、ローラ24に余分な荷重が掛かってスムースな走行をより一層困難にするなどの問題があるのに対し、図11に示すように環状溝21が例えば断面台形で、溝入口に向かってテーパ状に広くなっていると、レール部23が反っていても環状溝21の溝縁のエッジがレール部23に干渉して食い込むことはなく、したがって環状溝21の溝縁のエッジやレール部23が損傷したり、スムースな走行が損なわれることもない。
本発明の目的は、走行ストロークのロスを少なくし、壁などの垂直な被削材を切断するような場合でも、カッターがレール端より外れて落下する危険性を少なくしたコンクリートカッターと、その使用方法を提供しようとするものである。
請求項に係わる発明は、コンクリート等の被削材に固定されるレールに走行可能に装着されるベースと、上記レールに添設されるラックと噛合するピニオン及び該ピニオンを回転駆動する送りモータを有する送り装置と、ブレード用モータによって回転駆動されるブレードを有し、ベースをレールに沿って走行させながらブレードを回転駆動して被削材をレールに沿って切断するコンクリートカッターにおいて、上記送り装置を取付けるための取付部をレールの長手方向に沿ってベースの両側に設けると共に、上記送り装置を両取付部のいずれかの取付部に取外し可能に取付ける取付手段を有することを特徴とするものである。
本発明における取付手段としては、送り装置をベース両側の取付部に取外し可能に取付けることのできるものであればよく、その種類は問わないが、あえて例示すれば、ボルトやナットなどの止具が挙げられる。
請求項に係わる発明は、請求項に係わるコンクリートカッターの使用方法に関するもので、現場の状況に応じて両取付部への送り装置の付け替えを行うことを特徴とする。
請求項に係わる発明によると、送り装置は、現場の状況に応じてベース両側のいずれかの取付部に取付けられるようになっているもので、したがって図1に示すように、送り装置9がレール端に達したとき走行ストロークのロスlを生ずる場合には、図12又は図13に示すように送り装置9をベース3を挟んだ反対側の取付部に付け換えることによりカッター1をレール端まで移動させることができ、上述するロスlを解消することができる。
またカッターを壁などの被削材に取付ける際、送り装置のピニオンがラックより外れてカッターが落下する危険性がある場合には、図14に示すように送り装置9を上側に付け換える。ピニオンラックに最後まで噛み合い、噛み合っている限りピニオンの固定によりカッターを固定して落下の危険性を少なくすることができる。
請求項に係わる発明の方法によると、請求項に係わる発明と同様の効果を奏することができる。
図15は、本発明に係わるコンクリートカッター31の正面図であり、図16は同側面図で、図1に示すコンクリートカッター1と異なる点の第1は、ベース3の送り装置9を取付ける取付部32がベース3の左右両側に設けられ、送り装置9が左右いずれかの取付部32に取着手段としてのボルト33によって取外し可能に取付けられるようになっていることで、これにより図12〜図14に示し、前述したように、現場の状況に応じて送り装置9の付け換えが行われるようになっていることである。
第2は、図8に示すようにレール22上面の左右両端にプレート状のレール部23を固定して側方に突出させ、該突出部に図8に示す構造のローラ24を嵌合させてなるものである。図中、35はブレード8を回転駆動する減速機付きモータである。
本発明のコンクリートカッターは、コンクリート構造物の壁、床、天井等に溝や孔を開けるのに使用することができる。
従来のコンクリートカッターの正面図。 レールに走行可能に装着されるベースに取付けられるローラとレールとの従来例を示す図。 図2に示すローラの間隔が拡がったときのレールとの関係を示す説明図。 図3に示すローラが上がったときの状態を示す図。 図3に示すローラが下がった時の状態を示す図。 図3に示すローラがレール部を走行するときの状態を示す図。 カッターを壁に取付けたときの状態を示す図。 本発明に係わるカッターのベースに設けられるローラの正面図。 図8に示すローラの間隔が拡がったときのレールとの関係を示す図。 環状溝の溝幅が一定であるローラを反ったレール部に装着したときの状態を示す図。 図8に示すローラを反ったレール部に装着したときの状態を示す図。 送り装置をベース部の右側に取付けたカッターの正面図。 送り装置をベース部の左側に取付けたカッターの正面図。 壁に取付けたカッターの正面図。 本発明に係わるカッターの正面図。 同側面図。
1、31・・コンクリートカッター
2、22・・レール
3・・ベース
4・・支持枠
5・・ハンドル
6・・ネジ棒
7・・台
8・・ブレード
9・・送り装置
10・・ラック
11、24・・ローラ
12・・ピニオン
13・・送りモータ
15・・被削材
21、25・・環状溝
23・・レール部
32・・取付部
33・・ボルト
35・・減速機付きモータ

Claims (2)

  1. コンクリート等の被削材に固定されるレールに走行可能に装着されるベースと、該レールに添設されるラックと噛合するピニオン及び該ピニオンを回転駆動する送りモータを有する送り装置と、ブレード用モータによって回転駆動されるブレードを有し、ベースをレールに沿って走行させながらブレードを回転駆動して被削材をレールに沿って切断するコンクリートカッターにおいて、上記送り装置を取付けるための取付部をレールの長手方向に沿ってベースの両側に設けると共に、上記送り装置を両取付部のいずれかの取付部に取外し可能に取付ける取付手段を有することを特徴とするコンクリートカッター。
  2. 現場の状況に応じて両取付部への送り装置の付け替えを行うことを特徴とする請求項記載のコンクリートカッターの使用方法。
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