JP4434421B2 - 撮像装置用ic素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮像装置用IC素子、詳しくは、撮像装置において撮像素子を駆動するための手段を内蔵した撮像装置用IC素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、CCD等の撮像素子により被写体像を撮像して映像信号を得るデジタルスチルカメラ(電子カメラ)が盛んに開発されている。このような撮像装置においては、銀塩カメラやビデオカメラが有する機能を等しく要求されることが多く、例えばAF、AE、AWB等の自動化撮影機能や、高速連写機能、電子モニタ機能(動画出力による電子ファインダ機能)を持つ機種が存在している。そしてこれらの特殊機能の多くは製造コストの低減のため、特別なセンサ等を用いることなく主撮像用の撮像素子の出力をそのまま利用して実現がされている。
【0003】
ところで、このような特殊機能を実現する際に、通常撮像と同じ撮像素子駆動方法を用いると、例えば1フレームの読み出し時間が長すぎるために使用に耐えない場合もあった。近年、この不具合に対処するため、様々な特殊な駆動方法が採用されることが多い。
【0004】
代表的な特殊駆動の一例としては、高速読み出し駆動である「n倍速垂直加算駆動(n加算駆動)」が知られている。すなわち、毎回のH(水平)ブランキング期間にV(垂直)転送路からH転送路に転送する画素数(転送クロック数)を通常の1ではなく2以上の整数値nとすることで1画面に対応する垂直ライン数を1/nと為し、結果的に1画面の読み出し時間が1/nとなり、また転送時の電荷加算によって感度がn倍に増大するものである。
【0005】
また、この駆動の発展形として、カラー撮像素子における色コーディングパターンを考慮したり、感度を適当に調節する目的で、V転送に先立つ画素(信号蓄積)領域からV転送路への電荷移送に際して、上記V→H転送時に加算されるnラインのうち特定のm(≦n)ラインだけを選択的に移送する「m/n加算駆動」(「n加算駆動」の特殊な場合、すなわちm=nの「n/n加算駆動」として含む)も用いられる。
【0006】
さて、任意のm/n加算を行なうには、前述の光電領域から転送路への電荷移送を全画素一斉にではなく、選択的に行なう必要がある。ところで一般の、例えば4相駆動方式のCCD撮像素子では、転送電極は4相(すなわち対応する駆動入力端子は4個)あるが、このうち特定の1相が光電領域から転送路への電荷移送に割り当てられており、その電極に通常の電荷転送時とは逆極性の高電圧(トランスファー・ゲート・パルス(TGP))を印加することによって電荷移送が行われる。
【0007】
換言すれば、1相が転送電極と電荷移送のためのトランスファー・ゲート電極とを兼用している。この特定の相(あるいは電極)をトランスファー・ゲート兼用相(あるいは電極)と呼べば、上述の選択的な電荷移送を行なうためにはこのトランスファー・ゲート兼用相に属する電極をnライン周期の電極群に分割し、その各電極群毎に独立にTGPを印加可能に構成しなければならない。従って通常の(ゲート非兼用の)相のために3端子、兼用相のn個の群に対応するn端子の合計n+3個の端子が必要となり、例えばn=8であれば11端子が必要である。
【0008】
これに対して実際は、m/n加算のうち特定のものだけが実現できれば良いという場合も多い。例えばn=8の場合、1/8加算でかつ周期的な8ラインのうち特定の1ラインだけに限定したものだけで良いならば、その1ライン群だけを他の7群と分割すれば良いから、これに関しては2群しか必要では無い。従って計3+2=5端子で良い。このように目的とする特殊駆動モードの仕様によって、独立に駆動しなければならない駆動単位(端子数)は異なる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような駆動を行なう駆動機能を内蔵したIC(タイミングジェネレータ(TG)などと呼称されることが多い)においては駆動に用いるバッファ回路を内蔵するに際して、必要数のみを内蔵することにすると、カメラシステム毎にICを作成する必要が生じ、コストが増大するため好ましくない。
【0010】
一方、この種の撮像素子駆動用のバッファ回路は、大出力・両極性・高速等の高度な要求を満たすべく、そのIC内部においては、通常の回路に比して極めて多くの領域を必要とする。したがって、通常の使用態様においては必要とされない駆動単位に対してまで応ずる設計を行うことは、ICチップの面積を無駄に増大させることとなり、コスト増大を招くものであった。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記不具合を生じることなく、汎用性が高く多様な要求仕様に必要に応じて対応でき、また単体のICチップの無駄なコスト増大を生じない撮像装置用IC素子を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の第1の撮像装置用IC素子は、撮像装置において撮像素子を駆動するための手段を内蔵したIC素子であって、上記撮像素子の垂直転送路を駆動するための垂直転送路駆動タイミング信号を生成するタイミング信号生成手段と、上記タイミング信号に基づいて上記撮像素子の垂直転送路駆動端子を駆動する駆動手段と、上記駆動手段の駆動出力を出力する駆動出力端子と、上記タイミング信号生成手段が生成した垂直転送路駆動タイミング信号を出力する駆動タイミング信号出力端子と、上記タイミング信号生成手段から上記駆動手段および上記駆動タイミング信号出力端子への垂直転送路駆動タイミング信号の供給を切り換える切換手段と、を具備したことを特徴とする。
【0014】
上記の目的を達成するために本発明の第2の撮像装置用IC素子は、上記第1の撮像装置用IC素子において、上記切換手段に対する設定指令を外部回路からシリアル通信で入力するためのシリアルインターフェースを有したことを特徴とする。
【0015】
上記の目的を達成するために本発明の第3の撮像装置用IC素子は、上記第1または第2の撮像装置用IC素子において、上記切換手段に対する設定を記憶する記憶手段を有したことを特徴とする。
【0016】
上記の目的を達成するために本発明の第4の撮像装置用IC素子は、上記第1ないし第3の撮像装置用IC素子において、上記切換手段に対する設定をリセットするリセット手段を有したことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態である撮像装置用IC素子が適用される撮像装置の概略構成を示したブロック図である。
【0019】
図1に示すように、この撮像装置は、基本的には静止画を撮像して記録することを主目的とするデジタルスチルカメラ(電子カメラ)を想定したもので、レンズ103およびシャッタ104(絞り機能等を含む)を介して入射した被写体像を電気信号に変換するCCD105と、デジタルプロセス回路107における信号処理に先立って、所謂、前処理を行うプリプロセス回路106(具体的には、相関二重サンプリング回路、クランプ回路、ゲインコントロールアンプ、A/D変換回路等を含んで構成される)、上記プリプロセス回路106からの画像信号に各種のデジタル的処理を施すデジタルプロセス回路107と、当該撮像装置に内蔵されているモニタである液晶表示装置(LCD)108と、静止画データ等を記録する外部記録媒体(メモリカード)110とのインターフェース部であるカードI/F109と、当該撮像装置における各種操作を行う操作SW111と、当該撮像装置における操作状況を表示する操作表示部112と、上記CCD105を駆動するための各種の駆動パルス(詳しくは後述する)の他、プリプロセス回路106でのサンプルホールド用のパルス、A/D変換を行うためのタイミングパルス信号等各種タイミングパルスを生成するタイミングジェネレータ(TG)ブロック回路102と、CCD105の読み出し制御を行うと共に、撮像装置全体についてタイミング等を含む各種の制御を行う、例えばマイクロコンピュータでなるシステムコントローラ101と、で主要部が構成されている。
【0020】
また、上記システムコントローラ101は、この種の撮像装置において通常備える、レンズおよびシャッタ(絞り機能を含む)によるオートフォーカスを制御するためのオートフォーカス回路、CCDに結像される被写体像の測光を行うための自動露出制御回路(AE)、ホワイトバランスを自動的に制御するためのオートホワイトバランス回路(AWB)等を含む。
【0021】
次に、このように構成される撮像装置において、上記TGブロック回路102について詳しく説明する。
【0022】
上記TGブロック回路102は、その内部構成として、撮像素子の駆動を主機能として行うIC素子であるタイミングジェネレータIC(TG・IC121)を含む。ここでIC「素子」とは、いわゆるIC(集積回路)部品であり、1つのパッケージ(1チップ)に収められた、従って部品としての最小単位を構成するものであることを意味している。1チップであるかマルチチップであるか、またモノリシックであるかハイブリッドであるか、等の具体的実現手段は任意であるが、本実施形態では一般的な1チップモノリシックICを用いている。
【0023】
なお、実際の撮像では様々な動作モードにおける様々なタイミングパルスを必要とするため、このような多種多様なタイミングパルスをシステムコントローラ112が指定する動作モードに合わせて供給するための、カウンタ群からなる別IC(SG−IC)を併用することが一般的である(TGと一体化することも可能だが、回路規模の問題や各種タイミングパルスを生成するカウンタがノイズ源となるためこれを分離する意味がある)。本実施形態でも特に図示していないがTGブロック回路102はそのように構成してあるものとする。
【0024】
図2は、上記タイミングジェネレータIC(以下TG・IC)121の内部構成を示したブロック図である。
【0025】
図に示すように、TG・IC121は、所定のクロックを生成するクロック生成部(CLK)201と、このクロック生成部201によるクロックに基づいて、上記CCD105の垂直転送路を駆動するための垂直転送路駆動タイミング信号の他、各種タイミング信号を生成する手段であるパルスジェネレータ(P・GEN)202と、このパルスジェネレータ(P・GEN)202によるタイミング信号に基づいてCCD105の垂直転送路駆動端子を駆動する駆動手段(複数の内蔵3値バッファ(B1〜B6)206と、上記3値バッファB1〜B6のそれぞれの駆動信号を出力する駆動出力端子(V1〜V6)210と、上記パルスジェネレータ202が生成した垂直転送路駆動タイミング信号を出力する駆動タイミング信号出力端子(V7〜V11)211と、上記パルスジェネレータ202から上記駆動手段(3値バッファB1〜B6)および上記駆動タイミング信号出力端子V7〜V11への垂直転送路駆動タイミング信号の供給を切り換えるマルチプレクサ(MLPX)203と、外部電源から、CCD105のトランスファー・ゲート・パルスTGPに対応した印加電圧VTGが印加されるVTG端子207と、同じく外部電源から垂直転送路の駆動電圧VSRが印加されるVSR端子208と、トランスファー・ゲート・パルスTGPの印加タイミングにアクティブとなるタイミングパルスを出力するTGA出力端子209(TGA)と、上記マルチプレクサ(MLPX)203に対する設定指令を外部回路からシリアル通信で入力するためのシリアルインターフェース204と、上記パルスジェネレータ202で生成した各種タイミング信号をその他の回路に供給するためのインターフェースとなるブロック205と、で主要部が構成されている。
【0026】
なお、上記その他の回路とは、例えばV(垂直)駆動以外のCCD駆動パルス(水平駆動パルスHD等)や、サンプルホールド回路、クランプ回路、ADコンバータ等の各種回路を想定する。
【0027】
また、当該TG・IC121における内蔵バッファ数(本実施形態では3値バッファB1〜B6)や駆動タイミング信号出力数(本実施形態においては、出力端子V7〜V11に相当)の設定は、言うまでも無く任意であるが、本実施形態の撮像装置用IC素子としては以下を考慮してその数を設定した。
【0028】
(1)4相駆動で追加1パターンの場合を考慮。この場合の内蔵3値バッファ(3値バッファB1〜B6)の必要数は、対応するCCDが、プログレッシブ型の場合は5端子、インターレース型の場合は6端子であることを考慮して、“6つ”とした。また、これに対応して駆動信号の出力端子もV1〜V6の6つとした。
【0029】
(2)n=8の場合の最大必要数をカバーできるように、全部で11の出力端子を用意した。上記内蔵3値バッファが6つであるので、タイミングパルス信号の出力端子は“5つ”となる。
【0030】
また、上記シリアルインターフェース204(シリアル通信手段)自体は公知の構成であり、ここでの詳しい説明は省略するが、電源投入時にシステムコントローラ101から設定指令がシリアル通信によって出されると、その設定が記憶手段であるシリアルインターフェース部の所定のレジスタに記憶され、それに対応した設定となる。
【0031】
次に、当該TG・IC121の各部の機能について説明する。
上記VTG端子207、VSR端子208には、それぞれCCD105のトランスファー・ゲート・パルスTGPに対応した印加電圧VTG(例示値+15[v])、垂直転送路の駆動電圧VSR(例示値~7[v])が、外部電源から与えられる。
【0032】
また、CCD105の駆動に関する出力端子は、端子V1〜V11と端子TGAであり、そのうち駆動出力端子V1〜V6は内蔵3値バッファB1〜B6の出力用端子であり、駆動タイミング信号出力端子V7〜V11はパルスジェネレータ(P・GEN)202で生成されるタイミングパルス(SP1〜SP4、SP4T、詳しくは後述するが図4参照)のいずれかをマルチプレクサ(MLPX)203で選択して出力する端子であり、端子TGAは後述の図5に示す如く、トランスファー・ゲート・パルスTGPの印加タイミングにアクティブとなるタイミングパルス(TGA)を出力する端子である。
【0033】
上記3値バッファB1〜B6は、図3に示すように、入力端子φi(i=1〜6)にマルチプレクサ203によって選択されたタイミングパルス(SP1〜SP4、SP4T)のいずれかが入力され、さらにパルスSP4Tが選択された場合については、入力端子VCi(i=1〜6)にタイミングパルスTGAが与えられるようになっている。
【0034】
ここで、各タイミングパルスを図5、図6に示す。
これらCCD105のV駆動に係わるタイミングパルスは、他の全てのタイミングパルスと共に、上記パルスジェネレータ(P・GEN)202で生成され、マルチプレクサ(MLPX)203に入力される。以下、当該各タイミングパルスについて分説する。
【0035】
(A)Vsyncは垂直同期信号(フレームタイミングパルス)であり、当該信号読み出しフレームの開始基準となる。なお、m/n加算駆動の場合は1フレーム期間、すなわちVsyncの間隔は通常(非加算)駆動の場合の1/nになる。
【0036】
駆動タイミングパルスSP1−SP4は転送のみを行なうパルスであり、図5中、転送期間(駆動期間)を「×」部で示している。
【0037】
TGAはTGP印加タイミングパルスであって、Vsyncの直後に出力される。
【0038】
SP4TはSP4と同じ信号に、TGP印加タイミングパルスが付け加わったものである。なお、図5に示すようにTGPの印加タイミング前後で駆動が停止している場合は、TGAはもう少し巾を広くしても良い。
【0039】
(B)駆動タイミングパルスSP1−SP4は、一般的な4相駆動パルスである。1段(1画素分相当)分の転送パルスを示しており、図5中、「×」部で示した駆動期間については、通常駆動の場合は1回の水平ブランキング期間に1段分、m/n加算を実行する場合はn段分の転送パルスが出力される。
【0040】
本実施形態において、CCD105のV駆動端子に印加される駆動出力はVD1、VD2、VD3、VD4、VD4Tの5種類である。このうち、VD1〜VD4は転送のみを行なうための4相駆動出力で、駆動タイミングはそれぞれSP1−SP4であり、印加電圧はVSR(例示値−7[v])である。また、VD4TはVD4と同相の転送に加えて光電変換部から転送路への電荷移送を行なうためのTGP(例示値+15[v])の印加を行なう。従って転送期間ではV4と同じであるが、この他にVsyncの立ち下がり直後にTGPを出力する。
【0041】
本実施形態においては、これらVD1〜VD4、VD4Tを具体的に得るために、マルチプレクサ(MLPX)203により表1、表2のような選択(および外部接続)が行われる。TG・IC121の出力により(すなわち、3値バッファB1〜B6により)CCD105を直接駆動する場合を表1に、また、TG・IC121のタイミング出力(すわなち、出力端子V7〜V11)に図示しない外付けバッファを追加して駆動する場合を表2にそれぞれ示す。
【0042】
なお、出力端子V7〜V11に図示しない外付けバッファを追加して駆動する場合においては、VD4Tを割り当てる場合は外付けバッファは3値バッファを使用し、その電圧切換端子(HがVTGに対応とする)にTG・IC121のTGA出力を接続する。これ以外の場合は外付けバッファは3値バッファであることを要しない。
【0043】
【表1】
【表2】
次に、カメラの仕様に合わせた、本実施形態の撮像装置用IC素子の具体的な使用例について説明する。
【0044】
いま、カメラの種類としてC1、C2、C3の3機種を想定する。なお、説明を容易にするため、これら3機種はいずれもプログレッシブ(順次)走査対応型のモノクロCCDを使用するものとする。それぞれ以下のような要求仕様を持つ。
【0045】
C1:特殊駆動は一切、行わない
C2:通常駆動の他に8/8加算駆動、1/8加算駆動が必要
C3:通常駆動の他に8/8加算駆動、7/8加算駆動、6/8加算駆動、5/8加算駆動、4/8加算駆動、3/8加算駆動、2/8加算駆動、1/8加算駆動が全て必要。
【0046】
これに対応して、TG・IC121の出力端子V1〜V11の駆動端子に対する駆動出力VD1〜VD4およびV4Tの割当ては3機種のカメラそれぞれ表3のようになっている。ただし、表3中、カメラC2およびC3の欄で、駆動モード「全」とは、通常駆動モードおよび8/8加算駆動モードを共通記載したもので、加算駆動を行なわない場合は通常駆動、8加算駆動(1水平ブランキング期間に8段分の転送パルス出力)を行なえば8/8加算駆動となる。その他の場合は、8加算駆動を用いる。なお、上述のとおり、加算駆動を行なう場合は、パルスジェネレータ(P・GEN)202において生成されるSP1−SP4がこれに対応したものとなる。
【0047】
【表3】
カメラC1では、CCDの駆動端子はφV1〜φV4(φV4がTG電極兼用とする)の4つであるから、TG・ICの出力端子V1〜V4をφV1〜φV4にそれぞれ接続し、表3のようにマルチプレクサ203をセットすれば良い。また、使用しないV5〜V11の端子は無接続(nc)とする。そして、加算駆動は行なわない。
【0048】
カメラC2では、CCDの駆動端子は、φV1〜φV3の3つの転送専用電極端子の他に、TG(トランスファーゲート)兼用電極のうち8加算駆動に対応した8電極群中の1群だけに接続されたφV4および他の7群に共通接続されたφV5の計5つがある。そこでTG・IC121の出力端子V1〜V5をφV1〜φV5にそれぞれ接続し、表3のようにマルチプレクサ203をセットすれば良い。すなわち、出力端子V5については使用するモードによってマルチプレクサ203が切換られる。なお、使用しないV6〜V11の端子は無接続(nc)とする。
【0049】
カメラC3ではCCDの駆動端子は、φV1〜φV3の3つの転送専用電極の他に、TG兼用電極のうち8加算駆動に対応した8電極群中の4群に共通接続されたφV8、および残りの4群の各1群ずつにそれぞれ個別に接続されたφV4〜φV7の計8つがある。そこで、TG・IC121の出力端子V1〜V4をφV4〜φV7に、V5をφV8に、V6をφV1にそれぞれ接続し、さらにV7、V8をそれぞれ2値バッファ(図示せず)を介してφV2、φV3に接続して、表3のようにマルチプレクサ203をセットすれば良い。すなわち、端子V2〜V5については使用するモードによってマルチプレクサ203が切り換えられる。なお、使用しないV9〜V11の端子は無接続(nc)とする。
【0050】
以上説明したように、本実施形態の撮像装置用IC素子を使用したカメラによると、
(1)カメラの仕様として一般的なカメラC1、C2には直接接続のみで対応可能となる
(2)カメラC3のような複雑な仕様を有するカメラには外付けバッファを必要最小限追加するだけで対応可能となる
(3)またその際、特に内蔵バッファとタイミングパルス出力端子への供給パルスが切換可能であることの効果として、駆動専用端子(φV1〜φV3)への出力(VD1〜VD3)を内蔵バッファと外付けバッファで選択可能となり、その結果、内蔵3値バッファを有効利用でき、外付けバッファに2値バッファを採用することができる。(なお、切換を行なわず、VD1〜VD3にV1〜V3を使用した場合は、外付けバッファは3値が必須となる)
等の効果を奏する。
【0051】
次に、シリアル転送も含めたTG・IC121における制御について言及する。
シリアル通信手段自体は公知の構成であり、ここでの説明は省略するが、本実施形態の撮像装置用IC素子を採用するカメラにおいては、電源投入時にシステムコントローラ101から設定指令がシリアル通信によって出されると、その設定が記憶手段であるシリアルインターフェース部の所定のレジスタに記憶され、対応した設定となる。具体的には上記表3に示すようなモード表のような設定(C2、C3では「全」モード)に設定され、非加算(通常)駆動モードになる。ここで、C2、C3の各カメラの場合は、電源投入時以外にも、各駆動モード使用時にはシリアル通信によって各モードが選択されるようになっている。
【0052】
なお、上記仕様や、その実現方法は一例に過ぎない。例えば、
(1)カメラC1でも、加算駆動を行えば、n/n加算モードは実現できる。
【0053】
(2)カメラC2やC3では、例えば8群に分割したライン群のうち特定のライン群しか選択できない。任意のライン群を選択できるようにするためには、例えば1/8加算駆動のみであっても8ラインに対応した8個の独立したTG(トランスファーゲート)兼用電極が必要となるので、端子V1〜V11を全て使用する必要が生じる。これを逆に見れば、上記TG・ICの仕様(バッファ6個+タイミングパルス出力5個)でも、カメラの要求仕様に適当な制限条件を付ければ、例えば、m/16加算駆動やm/32加算駆動にも充分利用することができる。
【0054】
また、上述した電源投入時の設定については、上記のようなシリアル通信のみを採用すると、カメラの制御にシリアル通信機能が必須となり、カメラC1のような単純なカメラには向かない場合がある。この場合は、記憶手段としてROM(望ましくはPROM特にEEPROM)を用いることが特に有効である。すなわちTG・IC121の出荷段階で、例えばシリアルインターフェースを介して所定の、例えばカメラC1を前提とした設定を記憶させておけば、カメラで使用する際に通信手段は不要となる。あるいは他の目的で通信を使用する場合にも、少なくとも初期設定のための通信は不要である。
【0055】
なお、本実施形態において、端子の割当てに関する初期設定については、電源投入時に状態が確定することが極めて重要であるから、いわゆる「記憶手段」を用いる以外にも、例えばリセット端子を設けた構成として、公知のイニシャルリセット回路を用いて動作開始時には所定の設定にできるようにしたり、特にカメラC1のような最も一般的なカメラに適用する場合にこのリセット端子を、例えばプルアップまたはプルダウンすることによって設定を「C1設定」に固定してしまうことができるようにすることも、極めて効果的な実施形態であるといえる。
【0056】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、転送駆動方式は4相に限らない。
【0057】
また、本実施形態のTG・ICは、デジタルスチルカメラに限らず、ムービーカメラを含む任意の撮像装置に適用可能である。
【0058】
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、汎用性が高く多様な要求仕様に必要に応じて対応でき、また単体のICチップの無駄なコスト増大を生じない撮像装置用IC素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である撮像装置用IC素子が適用される撮像装置の概略構成を示したブロック図である。
【図2】上記実施形態の撮像装置用IC素子におけるタイミングジェネレータICの内部構成を示したブロック図である。
【図3】上記実施形態の撮像装置用IC素子における内蔵3値バッファの各端子に係る信号を示した動作説明図である。
【図4】上記実施形態の撮像装置用IC素子におけるマルチプレクサの機能を説明する図である。
【図5】上記実施形態の撮像装置用IC素子における各タイミングパルスを示したタイミングチャートである。
【図6】上記実施形態の撮像装置用IC素子における各タイミングパルスを示したタイミングチャートである。
【符号の説明】
101…システムコントローラ
102…TGブロック回路
105…CCD
106…プリプロセス回路
107…デジタルプロセス回路
121…TG・IC
202…パルスジェネレータ(P・GEN)
203…マルチプレクサ(MLPX)
204…シリアルインターフェース
206…内蔵3値バッファ(B1〜B6)
207…VTG端子
208…VSR端子
209…TGA端子
210…駆動出力端子(V1〜V6)
211…駆動タイミング信号出力端子(V7〜V11)
Claims (4)
- 撮像装置において撮像素子を駆動するための手段を内蔵したIC素子であって、
上記撮像素子の垂直転送路を駆動するための垂直転送路駆動タイミング信号を生成するタイミング信号生成手段と、
上記タイミング信号に基づいて上記撮像素子の垂直転送路駆動端子を駆動する駆動手段と、
上記駆動手段の駆動出力を出力する駆動出力端子と、
上記タイミング信号生成手段が生成した垂直転送路駆動タイミング信号を出力する駆動タイミング信号出力端子と、
上記タイミング信号生成手段から上記駆動手段および上記駆動タイミング信号出力端子への垂直転送路駆動タイミング信号の供給を切り換える切換手段と、
を具備したことを特徴とする撮像装置用IC素子。 - 上記切換手段に対する設定指令を外部回路からシリアル通信で入力するためのシリアルインターフェースを有したことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置用IC素子。
- 上記切換手段に対する設定を記憶する記憶手段を有したことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置用IC素子。
- 上記切換手段に対する設定をリセットするリセット手段を有したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の撮像装置用IC素子。
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