JP4434404B2 - 包装体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属箔ラミネートフィルムを一構成部材とする容器内に、2−シアノアクリレート系組成物などの湿気に敏感な物質が収容された包装体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
2−シアノアクリレートを主剤とする瞬間接着剤は、速硬化性を有するので、工業用、家庭用の接着剤として広く普及している。
【0003】
2−シアノアクリレート系瞬間接着剤は、被着材に適用したときに、空気中の水分によりアニオン重合機構にてすみやかに硬化する。このことは、該接着剤を容器に充填して流通に供するときには、容器素材として、水分透過率が充分に小さく、かつ内容物が接触する内壁材がアニオン重合を促進するような添加物を含まないものを選択しなければならないことを意味する。
【0004】
ポリエチレンは種々の樹脂の中でも最も水分透過率が小さく、30μm 当りの水分透過率は、低密度ポリエチレンの場合でたとえば19g/m2・24hrs 程度、高密度ポリエチレンの場合でたとえば5g/m2・24hrs 程度である。膜厚を厚くすれば、それに比例して水分透過率は小さくなることになる。またポリエチレン製の成形容器は、滑剤などの成形助剤を添加することなく成形することも可能である。このような事情から、2−シアノアクリレート系瞬間接着剤の容器として、必要な厚みを有するポリエチレン製のブロー成形容器が汎用されている。
【0005】
アルミニウムは展延性がすぐれているので、素材のアルミニウムスラブ(メンコと呼ばれる)をダイの中に入れてパンチにより瞬間的に圧力を加えることにより、チューブ容器とすることができる。またアルミニウムの水分透過率は事実上ゼロに近く、上に述べたポリエチレンの水分透過率よりも格段に小さい。従って、アルミニウム製のチューブ容器も、2−シアノアクリレート系瞬間接着剤の容器として汎用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
2−シアノアクリレート系瞬間接着剤は、20gとか30gというような中容量、あるいは50gとか100gとかいうような大容量で容器に充填され市場に供されるほか、充填量が10g以下、殊に5g以下というような小容量で市場に供されることも多い。というのは、2−シアノアクリレート系瞬間接着剤は物品の修理や工作など1回の使用時にごく少量しか使わないことが多く、また一旦ノズル口を開口してから次の使用までの日数が長くなると、内容物がノズル口で硬化してしまうことがあるからである。
【0007】
内容物である2−シアノアクリレート系瞬間接着剤の量が10g以下、殊に5g以下、さらには2gとか3gというような小容量品のための容器としても、上述のポリエチレン製のブロー成形容器やアルミニウム製のチューブ容器が使われているが、小容量品の場合には瞬間接着剤のグラム当りの内表面積が大きいので、内容量が少量になればなるほど瞬間接着剤の経時安定性が低下する傾向があり、小容量品であるが故の解決課題を生ずる。
【0008】
すなわち、小容量品のためにポリエチレン製のブロー成形容器を用いるときは、ポリエチレンとして低密度ポリエチレンを用いれば、弾力性があるのでスクイズ性は確保できるものの、水分の透過があるため内容物の安定性が損なわれる。そこで小容量品のためのブロー成形容器にあっては、水分透過性の小さい高密度ポリエチレンを用いなければならないところ、高密度ポリエチレン製のブロー成形容器は硬いので、小容量品のための直径の小さい容器ではスクイズ性が損なわれ、容器の胴部を指で押しても内容物を吐出しにくくなってしまう。また高密度ポリエチレン製の容器は、アルミニウムチューブ容器との対比では水分透過防止性が大きく劣るので、水分透過性をより小さくすべく容器の壁厚を厚くしていくと、スクイズ性はさらに悪くなってしまう。高密度ポリエチレン製のブロー成形容器に、アルミニウム蒸着フィルム製の粘着剤層付きのラベルを貼着することもなされているが、これはあくまで表示のためのものであり、容器の水分透過性を小さくする作用は期待できない。
【0009】
これに対しアルミニウム製のチューブ容器は、水分を事実上透過しないため瞬間接着剤の保存安定性にすぐれているものの、その材質上、胴部を指で押さえたときに復元する性質を有しないため、内容物が低粘度のときには吐出時の液量のコントロールが難しいので過剰に吐出しやすく、一方内容物が高粘度のときには余圧により吐出後に液垂れを起こすというように、内容物の吐出時の使い勝手が悪いという本質的な問題点がある。アルミニウム製のチューブ容器内にポリエチレン製のチューブを内挿して該容器に復元性(反発性)を持たせる手法も考えられているが、コスト高になることを免れない。
【0010】
2−シアノアクリレート系瞬間接着剤の容器に関するものではないが、食品、その他の包装用として、ポリエチレン層/アルミニウム箔/基材フィルム層の層構成を有するラミネートフィルムから作製したアルミニウムラミネートチューブが知られている。しかしながら、このアルミニウムラミネートチューブを瞬間接着剤の容器に適用したときには、ポリエチレン層を通して浸出する瞬間接着剤によりポリエチレン層とアルミニウム箔との界面で剥離を生じてしまうことを免れない。
【0011】
本発明は、このような背景下において、容器内に2−シアノアクリレート系組成物のような湿気に敏感な物質が収容された包装体において、内容物の充填量の少ない小容量品にあっても、容器の水分透過率が小さいので実用的な保存安定性を有し、かつ容器がスクイズ性(変形性および復元性)を有するので内容物が液状であるときには吐出操作性が良く、光遮断性も有し、さらにはコスト的にも有利な包装体を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の包装体は、
容器(1) の内部に湿気に敏感な物質からなる内容物(L) が収容された包装体であって、その容器(1) の胴部(11)の外側から、少なくとも胴部(11)全体が覆われるように、金属箔ラミネートフィルム(B) が溶着設置されていること、
容器(1) がキャップ(14)を備えており、金属箔ラミネートフィルム(B) が、胴部(11)を越えてそのキャップ(14)の少なくとも一部をも覆うように溶着設置してあること、および、
溶着設置した金属箔ラミネートフィルム(B) の、容器(1) の胴部(11)とキャップ(14)との境目の個所に、易破断加工部(m) を設けてあること、
を特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明の包装体は、容器(1) の内部に湿気に敏感な物質からなる内容物(L) が収容されたものである。
【0015】
容器(1) としては、胴部(11)の一端側に内容物(L) の取出部(12)、他端側に底部(13)が位置しているもの、つまり、取出部(12)/胴部(11)/底部(13)の構成を有するものが用いられ、さらには、取出部(12)の上から胴部(11)の首部ないし肩部に向けてかぶせるキャップ(14)を備えているものが用いられる。以下、各部について順に説明する。
【0016】
取出部(12)としては、内容物(L) を取り出すことのできる吐出部や口部があげられる。特に内容物(L) が液状であるときは、取出部(12)はノズル部(12') であることが好ましい。
【0017】
このノズル部(12') は、ノズル部(12') 付きの胴部(11)として同時成形するようにしてもよく、また胴部(11)と別のピースを作ってから胴部(11)の一端側に溶着、螺合、嵌合などの手段により取り付けるようにしてもよい。ノズル部(12') の材質は任意であるが、内容物(L) が2−シアノアクリレート系組成物であるときは、密度 0.942以上の高密度または超高密度のポリエチレンの射出成形品(またはブロー成形品)からなることが好ましい。
【0018】
底部(13)は、キャップテールとして成形し、このキャップテールを胴部(11)(またはノズル部(12') 付きの胴部(11))の他端側に溶着、螺合、嵌合などの手段によりに事後的に取り付けてもよく、あるいは有底の胴部(11)を成形してその底の部分を底部(13)としてもよく、あるいはまた胴部(11)(またはノズル部(12') 付きの胴部(11))を作ってから、胴部(11)の他端側を押し潰すように熱圧して底部(13)に形成してもよい。
【0019】
いずれにせよ、取出部(12)(殊にノズル部(12') )を有する胴部(11)に内容物(L) を充填してから底部(13)を設けるか、底部(13)を有する胴部(11)に内容物(L) を充填してから取出部(12)(殊にノズル部(12') )を設けることにより、包装体を得る。
【0020】
キャップ(14)は、取出部(12)(殊にノズル部(12') )の上から胴部(11)の首部にかけてかぶせるものであり、嵌着による固定タイプでも、螺合による固定タイプでもよい。キャップ(14)の材質はポリオレフィンとすることが多いが、必ずしもそれにこだわらない。
【0021】
本発明においては、容器(1) のうち少なくとも胴部(11)の部分を、ポリオレフィン成形体からなる厚み100μm 以上の基体(A) で形成することが特に好ましい。そしてその容器(1) の胴部(11)の外側から、少なくとも胴部(11)全体が覆われるように、金属箔ラミネートフィルム(B) が溶着設置される。
【0022】
上記の基体(A) は、より具体的には、
・ポリオレフィン製のブロー、射出、または射出ブロー成形容器(a1)、
・ポリオレフィン製の押出または射出成形シート(a2)、
のいずれからなることが好ましい。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、エチレン共重合体、ポリプロピレンなどがあげられ、特にポリエチレンが重要である。
【0023】
基体(A) がポリオレフィン製のブロー、射出、または射出ブロー成形容器(a1)であるときは、筒状の容器(a1)を成形する。基体(A) がポリオレフィン製の押出または射出成形シート(a2)であるときは、そのシート(a2)を筒状に巻き、両端縁を合掌させてから折り込むか、巻いたときの始端と終端とが若干重合するようにし、ついでその折り込み部または重合部を圧着して溶着する方法などが採用される。
【0024】
基体(A) の厚みは一般に100μm 以上であることが必要であり、その厚みが100μm 未満であるときは、内容物(L) が液状の物質であるときにはそれが金属箔ラミネートフィルム(B) との界面にまで達し、層間剥離を起こすなどのトラブルを生ずるおそれがある。基体(A) の好ましい厚みは200μm 以上、特に300μm 以上である。ただし厚みが余りに厚くなるとスクイズ性を欠くようになるので、基体(A) の厚みの上限は通常は500μm 程度までとすべきである。
【0025】
基体(A) を構成するポリオレフィンがポリエチレンであるときは、そのポリエチレンの密度については、上記の容器(a1)またはシート(a2)のいずれにあっても、高密度、中密度、低密度のいずれを用いることもできる。この場合、一般的には水分透過率の小さい高密度ポリエチレンの方が有利であり、高密度ポリエチレンであっても上記の厚みであればスクイズ性を確保することができる。
【0026】
また基体(A) を構成するポリオレフィン(殊にポリエチレン)は、上記の容器(a1)またはシート(a2)のいずれにあっても、その内面が内容物(L) に接触するので、保存安定性を確保するために、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、紫外線吸収剤などの添加剤を実質的に含まない無添加成形グレードのポリオレフィン(殊にポリエチレン)であることが特に好ましい。
【0027】
金属箔ラミネートフィルム(B) としては、シーラント層/金属箔/基材フィルム層、シーラント層/金属箔/シーラント層、シーラント層/金属箔などの層構成を有するものが用いられる。いずれの場合も、シーラント層が内面側になる。
【0028】
金属箔ラミネートフィルム(B) として特に好ましい層構成は、金属箔(b1)の内面側にシーラント層(b2)が積層され、外面側に基材フィルム層(b3)が積層されたものである。このとき、金属箔(b1)の厚みは5〜50μm (殊に5〜25μm 、なかんずく5〜20μm )、シーラント層(b2)の厚みは5〜100μm (殊に20〜50μm )、基材フィルム層(b3)の厚みは5〜100μm (殊に5〜20μm )とすることが多い。各層の厚みが余りに厚くなると、スクイズ性の点でマイナスになる。
【0029】
金属箔(b1)−シーラント層(b2)間のラミネートは、ドライラミネートや、金属箔(b1)に対するポリエチレン等のヒートシール可能な樹脂のエクストルージョンコーティングにより行うことが多く、金属箔(b1)−基材フィルム層(b3)間のラミネートはドライラミネートにより行うことが多い。基材フィルム層(b3)の内面または/および外面には、ラミネートの前または後に印刷を施すのが通常である。
【0030】
上記において、金属箔(b1)としてはアルミニウム箔やスズ箔などがあげられ、通常はコスト的に有利なアルミニウム箔が用いられる。シーラント層(b2)としては、たとえば高密度、中密度、低密度(リニア低密度を含む)ポリエチレン、エチレン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン共重合体などの中から、基体(A) およびキャップ(14))との溶着性の良いものが選択される。基材フィルム層(b3)としては、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどがあげられ、通常はこれらの二軸延伸フィルムを用いる。
【0031】
金属箔ラミネートフィルム(B) の設置は、金属箔ラミネートフィルム(B) をまだ設けていない段階の容器(1) に内容物(L) を充填し、充填口を閉じてから行うのが通常である。
このときには、
・金属箔ラミネートフィルム(B) を加熱しておいてまたは加熱しながら、そこに内容物(L) 入りの容器(1) を転動させていくか、
・金属箔ラミネートフィルム(B) を加熱しておいてまたは加熱しながら、それを内容物(L) 入りの容器(1) に巻き付けていく方法
が好適に採用される。このとき、金属箔ラミネートフィルム(B) の始端と終端とは、ぴったりと突き合わせるようにしてもよく、若干重なるようにしてもよい。
【0032】
金属箔ラミネートフィルム(B) は、基体(A) の外側から胴部(11)全体を覆うように設置するが、胴部(11)のみならず、取出部(12)(殊にノズル部(12') )の基部まで、そしてたとえば底部(13)がテールキャップでできているときは、そのテールキャップの外周縁まで覆うようにすることが望ましい。
【0033】
基体(A) の外側から金属箔ラミネートフィルム(B) を溶着設置するにあたっては、金属箔ラミネートフィルム(B) を全面溶着することが好ましいが、場合によっては金属箔ラミネートフィルム(B) をその前部側、後部側および巻回端部の部分で溶着させるというように部分溶着させることもできる。
【0034】
容器(1) はキャップ(14)を備えているので、キャップ(14)の外径は胴部(11)の外径と同じになるようにし、そのキャップ(14)を装着した段階で、金属箔ラミネートフィルム(B) を容器(1) の胴部(11)を越えてそのキャップ(14)の少なくとも一部をも覆うように巻回して溶着設置する。
【0035】
このときには、使用時にキャップ(14)を外すときに、溶着設置してある金属箔ラミネートフィルム(B) が邪魔になる。この点を解決するため、溶着設置した金属箔ラミネートフィルム(B) の、容器(1) の胴部(11)とキャップ(14)との境目の個所に、易破断加工部(m) を設けておく。
【0036】
このときの易破断加工としては、金属箔ラミネートフィルム(B) の構成層である基材フィルム層(b3)の部分に線状に局部加熱を施しておく方法が好適に採用される。易破断加工としては、そのほか、その基材フィルム層(b3)にミシン目を設けておく方法も採用される。このように易破断加工を施しておくと、常態では水分の侵入が防止される上、使用時にはキャップ(14)をひねるだけで金属箔ラミネートフィルム(B) の容器(1) の胴部(11)とキャップ(14)との境目の個所が容易に破断する。なお金属箔ラミネートフィルム(B) に線状に局部加熱を施しておくと、その金属箔ラミネートフィルム(B) の溶着設置時に胴部(11)−キャップ(14)の境目の個所とずれを生ずることがあるので、複数の線状に局部加熱を施しておくが好ましい。ミシン目の場合も、1線または複数線に形成することができる。
【0037】
上記の容器(1) に充填される湿気に敏感な物質からなる内容物(L) の代表的なものとしては、2−シアノアクリレートを主剤とする2−シアノアクリレート系組成物があげられる。
【0038】
ここで2−シアノアクリレートとしては、アルキル 2−シアノアクリレート、シクロアルキル 2−シアノアクリレート、アルコキシアルキル 2−シアノアクリレート、アルケニル 2−シアノアクリレート、アルキニル 2−シアノアクリレートなどが用いられる。このうち、アルキル 2−シアノアクリレートの例は、メチル 2−シアノアクリレート、エチル 2−シアノアクリレート、各種プロピル 2−シアノアクリレート、各種ブチル 2−シアノアクリレート、各種ペンチル 2−シアノアクリレート、各種ヘキシル 2−シアノアクリレート、各種オクチル 2−シアノアクリレートなどであり、アルコキシアルキル 2−シアノアクリレートの例は、エトキシエチル 2−シアノアクリレート、メトキシエチル 2−シアノアクリレート、メトキシイソプロピル 2−シアノアクリレートなどである。
【0039】
2−シアノアクリレートには、安定剤ないし重合防止剤(SO2 、ハイドロキノン等)が配合される。また必要に応じ、増粘剤、耐熱性付与剤、可塑剤、柔軟化剤、着色剤、チクソトロピー性改善剤、アニオン重合促進剤、H+ イオン捕捉剤、pH調整剤、エチレンカーボネート、有機溶剤、フィラー、ポリマー類などを適当量含有させることができる。
【0040】
2−シアノアクリレートを主剤とする2−シアノアクリレート系組成物は、瞬間接着剤として特に有用であるが、そのほか、補修剤、補強剤、注入剤、パテ剤、被覆剤、絵付け剤、封止剤、シール剤などとしても用いることができる。
【0041】
湿気に敏感な物質からなる内容物(L) としては、そのほか、保存中に湿気を嫌う各種の液状物や、有機金属化合物のように加水分解しやすいものもあげられる。なお金属箔ラミネートフィルム(B) により光遮断性も発揮されるので、保存時に防湿性のほかに光遮断性が要求されるものも用いることができる。内容物(L) は、液状のみならず、粉粒状や固形状でもよい。
【0042】
上記の容器(1) に充填される内容物(L) (殊に2−シアノアクリレート系組成物)の充填量は任意であるが、充填量が多い場合には通常のポリエチレンブロー成形容器でも壁厚を厚くすることにより水分透過率を充分に小にすることができるので、充填量がたとえば10g以下( 0.5〜10g)、殊に5g以下( 0.5〜5g)、さらには3g以下( 0.5〜3g)というような小容量の場合に、本発明の包装体の特長が最大限に生かされる。
【0043】
本発明の包装体は、防湿性がすぐれているとは言っても完全な水分遮断性を有するものではないので、この包装体を防湿性を有する袋(たとえば、セラミック蒸着フィルムの片面にシーラント層を設けた積層フィルムから製袋した袋)に入れて流通に供することが望ましい。
【0044】
〈作用〉
本発明の包装体にあっては、容器(1) のうち少なくとも胴部(11)の部分は、好ましくはポリオレフィン製の成形体からなる厚み100μm 以上の基体(A) で形成されており、かつその基体(A) の外側からは、少なくとも胴部(11)全体を覆うように金属箔ラミネートフィルム(B) を溶着設置してある。
【0045】
そのため、湿気に敏感な物質からなる内容物(L) の充填量の少ない小容量品にあっても、容器(1) の水分透過率が小さいので実用的な保存安定性を有し、かつ容器(1) がスクイズ性(変形性および復元性)を有するので、内容物(L) が液状であるときは、その吐出のために胴部を指で押したときには内容物の粘度の如何にかかわらず液が出やすく、しかも指圧を止めたときには液がノズル内に戻りやすく、吐出操作性が良い。
【0046】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明する。
【0047】
実施例1(参考例1)
〈包装体〉
図1は本発明に関連のある包装体の一例を示した断面図である。図1中、(1) は容器、(11)は筒状の胴部、(12)は取出部(この実施例ではノズル部(12') )、(13)は底部である。(L) は内容物である。
【0048】
無添加成形グレードの密度0.96の高密度ポリエチレンをブロー成形(または射出成形)することにより、2g充填用のノズル部(12') 付きの壁厚400μm のポリエチレン製の円筒状のブロー成形容器(または射出成形容器)(a1)(基体(A) の一例)を得た。この容器(a1)が胴部(11)となる。
【0049】
このノズル部(12)付きの容器(a1)に、2−シアノアクリレート系組成物の一例としての市販のエチル 2−シアノアクリレート系瞬間接着剤(湿気に敏感な物質(L) の一例)を2g充填してから、無添加成形グレードの密度0.96の高密度ポリエチレンの射出成形品からなるテールキャップ(底部(13)の一例)を圧入嵌合し、包装体半完成品を得た。
【0050】
金属箔ラミネートフィルム(B) の一例として、厚み7μm のアルミニウム箔(b1)の内面側に厚み30μm の低融点のリニア低密度ポリエチレンからなるシーラント層(b2)、外面側に厚み12μm のポリエステルフィルム(内面に印刷層(pt)を施したもの)からなる基材フィルム層(b3)を設けた(b2)/(b1)/(b3)の層構成のものを準備した。
【0051】
ついで、上記の金属箔ラミネートフィルム(B) をそのシーラント層(b2)の側が上になるようにホットプレート上に載置し、シーラント層(b2)の軟化温度以上に加熱してから、そこに上記の包装体半完成品を置き、その包装体半完成品の胴部(11)全体、ノズル部(12') の基部および底部(13)の外周縁を覆うように、金属箔ラミネートフィルム(B) を手巻きにて1重に巻き付けて全面溶着した。このとき、金属箔ラミネートフィルム(B) の始端と終端とがぴったりと突き合わされるように留意した。これにより、目的とする包装体が得られた。
【0052】
〈保存安定性試験〉
この包装体につき、温度60℃、湿度95%RHの加湿条件下に35日間放置する促進試験を行い、粘度上昇率を測定した。内容物(L) である瞬間接着剤としては、粘度が 2.1cps/23℃の低粘度グレードのものを使用した。
【0053】
〈吐出性試験〉
この包装体につき吐出性を観察した。湿気に敏感な物質(L) であるエチル 2−シアノアクリレート系瞬間接着剤としては、次の2種を使用した。
・粘度が 2.1cps/23℃の低粘度グレードのもの
・粘度が150cps/23℃の中粘度グレードのもの
【0054】
〈吸湿試験〉
内容物(L) である瞬間接着剤2gに代えて、無水の塩化カルシウム2gを充填した包装体を用い、さらにその包装体をポリエチレン層/セラミック蒸着ポリエステルフィルムの層構成の積層フィルムで作られた袋に入れ、60℃、95%RHの加湿条件下に6日間放置する促進試験を行い、経時的な重量増(塩化カルシウムによる水分の吸収に伴う重量増)を測定した。
【0055】
比較例1
無添加成形グレードの密度0.96の高密度ポリエチレンをブロー成形することにより、2g充填用のノズル部付きの壁厚400μm のポリエチレン製の円筒状のブロー成形容器を得た。この容器に実施例1(参考例1)と同様にして2−シアノアクリレート系瞬間接着剤を2g充填してから、無添加成形グレードの密度0.96の高密度ポリエチレンの射出成形品からなるテールキャップを圧入嵌合し、包装体を得た。この包装体につき、実施例1(参考例1)の場合と同様の試験を行った。
【0056】
比較例2
比較例1の包装体の外周面全体に、アルミニウム蒸着フィルム製の粘着剤層付きのラベルを貼着した。このラベル貼着包装体につき、実施例1(参考例)の場合と同様の試験を行った。
【0057】
実施例2(参考例2)
図2は本発明に関連のある包装体の他の一例を示した説明図である。
【0058】
無添加成形グレードの密度0.96の低密度ポリエチレンを押出成形(または射出成形)することにより、壁厚400μm のポリエチレン製の押出成形シート(または射出成形シート)(a2)(基体(A) の一例)を得た。
【0059】
このシート(a2)を円筒状に巻き、巻いたときの始端と終端とが若干重合するようにし、ついでその重合部を圧着して溶着することにより筒状に形成した。
【0060】
この筒状に形成したシート(a2)からなる胴部(11)の一端側に、密度0.96の高密度ポリエチレンの射出成形品からなるノズル部(12') の基部側を溶着により取り付け、実施例1(参考例1)と同様にして2−シアノアクリレート系瞬間接着剤を2g充填してから、胴部(11)の他端側に無添加成形グレードの密度0.96の高密度ポリエチレンの射出成形品からなるテールキャップ(底部(13)の一例)を溶着し、半完成品包装体を得た。
【0061】
次に、実施例1(参考例1)と同様にして金属箔ラミネートフィルム(B) をそのシーラント層(b2)の側が上になるようにホットプレート上に載置し、シーラント層(b2)の軟化温度以上に加熱してから、そこに上記の包装体半完成品を置き、その包装体半完成品の胴部(11)全体、ノズル部(12') の基部および底部(13)の外周縁を覆うように、金属箔ラミネートフィルム(B) を1重に巻き付けて全面溶着した。このとき、金属箔ラミネートフィルム(B) の始端と終端とがぴったりと突き合わされるように留意した。これにより、目的とする包装体が得られた。この包装体につき、実施例1(参考例1)の場合と同様の試験を行った。
【0062】
〈結果〉
保存安定性試験および吸湿試験の結果を表1に示す。なお、実施例1(参考例1)および実施例2(参考例2)の吐出性については、低粘度品および中粘度品いずれの場合も、ポリエチレン容器を用いたときと同等で良好であり、またアルミニウムチューブ容器のように残圧による液の吐出は認められなかった。
【0063】
【表1】
実施例1 比較例1 比較例2 実施例2
(参考例1) (参考例2)
保存安定性
当初の粘度(23℃) 2.1 cps 2.1 cps 2.1 cps 2.1 cps
35日放置後 2.5 cps ゲル化 ゲル化 2.6 cps
吸湿性(重量増加量)
1日後 0.7 mg 2.7 mg 2.8 mg 0.9 mg
3日後 2.2 mg 5.4 mg 5.6 mg 2.6 mg
5日後 3.6 mg 8.7 mg 9.1 mg 4.2 mg
6日後 4.4 mg 11.9 mg 12.3 mg 4.9 mg
【0064】
実施例3
図3は本発明の包装体の一例を示した説明図であり、(ハ)と(ニ)が本発明に相当する。
【0065】
胴部(11)の外径と同じ外径のキャップ(14)を備えた図3(イ)の形状を有する2g用の容器(1) の胴部(11)および底部(13)の外周縁の全体に、図3(ロ)のように、実施例1(参考例1)と同じ金属箔ラミネートフィルム(B) を1重に巻き付けて全面溶着した。また図3(ハ)のように、胴部(11)および底部(13)の外周縁の全体と、キャップ(14)の一部とを覆うように、実施例1(参考例1)と同じ金属箔ラミネートフィルム(B) を1重に巻き付けて全面溶着した。さらにまた図3(ニ)のように、胴部(11)および底部(13)の外周縁の全体と、キャップ(14)の一部とを覆うように、実施例1(参考例1)と同じ金属箔ラミネートフィルム(B) を機械巻きにて1重に巻き付けて全面溶着した。ただし図3(ハ)および(ニ)にあっては、金属箔ラミネートフィルム(B) の基材フィルム層(b3)には、容器(1) の胴部(11)−キャップ(14)の境目となる個所に、加熱体の押し付けによる3条の線状の局部加熱(易切断加工部(m) の一例)を事前に形成しておき、使用時の開封が容易であるようにしておいた。
【0066】
図3(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)の容器(いずれの場合もスクイズ性は良好であった)につき、実施例1(参考例1)の場合と同様の吸湿試験を行ったところ、7日後の吸湿による重量増は、この順に11.0mg, 3.2mg, 2.7mg, 2.0mg であった。
【0067】
【発明の効果】
作用の項で述べたように、本発明の包装体は、湿気に敏感な物質からなる内容物(L) の充填量の少ない小容量品にあっても、容器(1) の水分透過率が小さいので実用的な保存安定性を有し、かつ容器(1) がスクイズ性(変形性および復元性)を有するので、内容物(L) が液状であるときは、内容物の吐出のために胴部を指で押したときには内容物の粘度の如何にかかわらず液が出やすく、かつ指圧を止めたときには液がノズル内に戻りやすく、吐出操作性が良い。
【0068】
そして、容器(1) がキャップ(14)を備えており、金属箔ラミネートフィルム(B) が、胴部(11)を越えてそのキャップ(14)の少なくとも一部をも覆うように溶着設置してあるので、一段と好ましい結果が得られる。しかもそのときに、溶着設置した金属箔ラミネートフィルム(B) の、容器(1) の胴部(11)とキャップ(14)との境目の個所に、易破断加工部(m) を設けてあるので、使用時にキャップ(14)を容易に外すことができる。
【0069】
また、金属箔ラミネートフィルム(B) の溶着設置は容易であり、その溶着設置により光遮断性も得られ、またその金属箔ラミネートフィルム(B) に印刷を施しておけば製品の表示の役割を果たさせることもできる。容器(1) 全体のコストも安価である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明に関連のある包装体の一例を示した断面図である。
【図2】 図2は本発明に関連のある包装体の他の一例を示した説明図である。
【図3】 図3は本発明の包装体の一例を示した説明図であり、(ハ)と(ニ)が本発明に相当する。
【符号の説明】
(1) …容器、
(11)…筒状の胴部、(12)…取出部、(12') …ノズル部、(13)…底部、
(A) …基体、
(a1)…ポリオレフィン製のブローまたは射出成形容器、
(a2)…ポリオレフィン製の押出または射出成形シート、
(B) …金属箔ラミネートフィルム、
(b1)…金属箔、
(b2)…シーラント層、
(b3)…基材フィルム層、
(pt)…印刷層、
(m) …易切断加工部、
(L) …内容物
Claims (7)
- 容器(1) の内部に湿気に敏感な物質からなる内容物(L) が収容された包装体であって、その容器(1) の胴部(11)の外側から、少なくとも胴部(11)全体が覆われるように、金属箔ラミネートフィルム(B) が溶着設置されていること、
容器(1) がキャップ(14)を備えており、金属箔ラミネートフィルム(B) が、胴部(11)を越えてそのキャップ(14)の少なくとも一部をも覆うように溶着設置してあること、および、
溶着設置した金属箔ラミネートフィルム(B) の、容器(1) の胴部(11)とキャップ(14)との境目の個所に、易破断加工部(m) を設けてあること、
を特徴とする包装体。 - 容器(1) の胴部(11)の一端側に内容物(L) の取出部(12)、他端側に底部(13)が位置しており、容器(1) のうち少なくとも胴部(11)の部分が、ポリオレフィン成形体からなる厚み100μm 以上の基体(A) で形成されていることを特徴とする請求項1記載の包装体。
- 基体(A) が、ポリオレフィン製のブローまたは射出成形容器(a1)、あるいはポリオレフィン製の押出または射出成形シート(a2)からできていることを特徴とする請求項1記載の包装体。
- 金属箔ラミネートフィルム(B) が、金属箔(b1)の内面側にシーラント層(b2)が積層され、外面側に基材フィルム層(b3)が積層されたものである請求項1記載の包装体。
- 易破断加工部(m) が、金属箔ラミネートフィルム(B) の構成層である基材フィルム層(b3)に、線状に局部加熱を施すかあるいはミシン目を設けることにより形成されたものである請求項1記載の包装体。
- 湿気に敏感な物質からなる内容物(L) が2−シアノアクリレート系組成物である請求項1記載の包装体。
- 内容物(L) の充填量が10g以下である請求項1または6記載の包装体。
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