JP4432667B2 - 筒内直接噴射式内燃機関 - Google Patents

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Description

本発明は、筒内直接噴射式内燃機関に関し、特に、始動開始から排気浄化触媒が活性化するまでの間における大気中へのHCの排出量を抑制しつつ、排気浄化触媒を早期に活性化させる技術に関する。
火花点火燃焼に際して、燃料噴射弁から筒内に燃料を直接噴射し、筒内に成層化した混合気を形成することで大幅な希薄燃焼を行う筒内直接噴射式内燃機関は、特に低・中負荷領域において、大幅に燃料消費が低減できることが知られている。
そして、このような筒内直接噴射式内燃機関に関して、冷機始動からの暖機過程において、排気浄化触媒の活性化の促進を図るべく、いくつかの技術が提案されている。
例えば、特許文献1に記載の技術では、排気昇温が要求されるときに、噴射時期を遅角して燃料と空気との混合時間を少なくし、点火プラグ周りの局所的な空燃比をオーバーリッチとすることで不完全燃焼物であるCOを生成させ、この生成したCOと燃焼に寄与しなかった筒内の余剰酸素とを主燃焼以降に反応させることにより、排気温度を上昇させるようにしている。
また、特許文献2に記載の技術では、層状燃焼のための主噴射を圧縮行程で行うとともに追加燃料を膨張行程で噴射するようにし、主燃焼(層状燃焼)を緩慢化させて追加燃料噴射直前の前炎反応生成物濃度を高めることにより、追加燃料を主燃焼の火炎伝播によって自己着火燃焼させて、排気温度を上昇させるようにしている。
特開平10−169488号公報 特開平10−212995号公報
ところで、上記特許文献1に記載の筒内直接噴射式内燃機関は、燃料噴射弁が燃焼室の端(サイド)に設置されており、燃料は燃焼室内に斜めに噴射されてピストンキャビティによって点火プラグ周りへ運ばれる構造となっている。このような構造では、排気浄化触媒の昇温が要求されるとき(例えば、冷機始動から暖機過程)には、暖機時と比較して噴射された燃料があまり気化しないため、壁面に衝突した燃料はそのまま壁面に付着して液膜を形成しやすい。このため、後燃え時の余剰酸素との反応性が高い不完全燃焼物(CO、H2)の比率が減少して反応性の低い未燃HCの割合が増加してしまうと考えられ、大気中へ多くのHCを排出するおそれがある。
また、点火プラグ周りの局所的な空燃比をオーバーリッチとすることにより、部分的なリッチ失火が想定され、燃焼安定性が悪化するため、排気温度上昇の重要な因子である点火時期の設定範囲が狭くなってしまう(設定し難い)と考えられる。
点火時期は、排気温度の上昇又は後燃えによるHC低減効果に対して非常に感度を持っており、機関安定度限界の範囲内で最大限遅角させて設定するのが効果的である。すなわち、排気温度上昇の観点から言えば、点火時期は圧縮上死点後、膨張行程初期から中期に設定されることが望ましい。
ここで、特許文献1に記載の筒内直接噴射式内燃機関において、点火時期を膨張行程初期から中期に設定しようとすると、点火プラグ周りの空燃比をオーバーリッチにするためには噴射時期と点火時期を近づけて空気との混合時間を少なくする必要があり、噴射時期は必然的に膨張行程になる。しかし、かかる膨張行程ではピストンが下降していくため、ピストンキャビティへ向けて噴射された燃料が、点火プラグ周りへ十分に運ばれず、失火を招くおそれがあり(図3(a)参照)、点火時期を膨張行程初期から中期に設定することが困難である。
一方、特許文献2に記載の筒内直接噴射式内燃機関において、膨張行程に噴射した追加燃料の燃焼は自己着火燃焼であるため、その噴射時期又は主燃焼時の点火時期を厳密に制御する必要がある。さらに、始動直後のように燃焼室温度が低い状況下では、追加燃料の燃え残りが発生し、環境大気中へのHCの排出量が増大する可能性がある。
このように、特許文献1、2に記載の筒内直接噴射式内燃機関では、いずれもHC排出量の抑制(特に始動直後)及び排気浄化触媒の早期活性化(排気温度上昇)といった点で更なる改良の余地があった。
本発明は、以上のような点に着目してなされたものであり、筒内直接噴射式内燃機関において、始動開始から排気浄化触媒が活性化するまでの間における環境大気中へのHCの排出を最大限に抑制しつつ、排気浄化触媒の早期活性化を促進すること並びに低負荷の成層運転が続いた等の原因により排気浄化触媒の温度が活性温度より低下した際にも直ちに活性化温度へと戻すことを目的とする。
このため、本発明は、燃焼室上部の中央部に設けられ、シリンダ軸線に沿ってピストン冠面中央部へ向かって燃料を噴射する燃料噴射弁と、燃焼室上部の中央部に上記燃料噴射弁に隣接して設けられ、かつ上記燃料噴射弁からの燃料噴霧の一部が直接到達する位置に配置されてなる点火プラグと、機関の排気通路に介装された排気浄化触媒と、を有し、定の運転条件時に、膨張行程にて燃料を噴射するとともに、この膨張行程で噴射された燃料噴霧の先端が前記燃焼室の壁面に到達する前に該燃料噴霧に直接点火を行って層状燃焼させることを特徴とする。
本発明に係る筒内直接噴射式内燃機関によると、排気温度上昇の観点から点火時期を圧縮上死点後、膨張行程初期から中期に設定した場合でも、点火時期に点火プラグ周りに混合気が確実に形成されることとなり、膨張行程時に噴射した燃料のほぼ全量を燃焼させることができる。ここで、膨張行程噴射での燃焼最高到達温度は通常の均質又は成層燃焼と比較して低いためNOxの排出が低減され、また、熱発生位置が遅角であるため、未燃HCの後燃えも促進されて排気温度が上昇し、HCの排出を抑制することできる。さらに、燃料噴霧が未燃のまま壁面に到達して液膜を形成することを抑制でき、壁流分のHCの排出も合わせて低減できる。
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態に係る筒内直接噴射式内燃機関(以下、単に「エンジン」という)の概略構成図である。エンジン1は、吸気ポート2及び吸気バルブ3を介して燃焼室4内に新気を導入する。燃焼室4の下部には、往復運動を行うピストン5が設けられており、燃焼室4の上部には、筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁6、燃焼室4内の混合気に火花点火を行う点火プラグ7が設けられている。ここで、点火プラグ7は、燃料噴射弁6からの噴射により形成される燃料噴霧の一部が直接到達する位置に配設されており、燃料噴射弁6は、圧縮行程後半における筒内圧上昇時にも噴霧形状の変化が小さく、指向性の強いホールノズル噴射弁を採用している。
燃焼終了後の排気は、排気バルブ8を介して燃焼室4から排気通路9に排出される。また、排気通路9には排気空燃比を検出する排気空燃比センサ21が設けられており、その下流には排気浄化触媒11が設けられている。なお、排気浄化触媒11には、排気浄化触媒11の温度を検出する触媒温度センサ22が設けられている。
吸気バルブ3、排気バルブ8は、それぞれ吸気カム12、排気カム13により駆動される。吸気カム軸の端部には燃料ポンプ14が介装されており、この燃料ポンプ14で加圧された燃料は高圧燃料配管15を通して燃料噴射弁6に導かれる。なお、高圧燃料配管15には(高圧燃料配管15内を通過する)燃料圧力を検知する燃圧センサ23が設けられている。
エンジン1は、エンジンコントロールユニット(ECU)20により統合的に制御される。このため、ECU20には、上記排気空燃比センサ21、触媒温度センサ22、燃圧センサ23のほか、吸入空気量を検出するエアフローメータ24、アクセル開度センサ25、クランク角センサ26、カム角センサ27、冷却水温度センサ28、スタータスイッチ29等から信号が入力され、ECU20はこれらの信号をもとに燃料噴射弁6、点火プラグ7並びに燃料ポンプ14等を制御する。
また、燃焼形態としては、主に圧縮行程中に燃料噴射(圧縮行程噴射)を行うことでリーン運転を実現して燃費を向上させる「成層燃焼モード」と、吸気行程中に燃料噴射(吸気行程噴射)を行ってストイキ(理論空燃比)運転を実現する「均質燃焼モード」とが設けられており、エンジン運転状態に応じて燃焼形態(燃料モード)が選択されるようになっている。
図2は、本実施形態(第1実施形態)における燃料噴射量、噴射時期及び点火時期演算の制御フローチャートである。
図2において、S1では、吸入空気量QM、エンジン回転速度NE、アクセル開度APO、燃料圧力Pf、触媒温度Tcat等のエンジン運転条件を読込む。
S2では、アクセル開度APOから目標トルクTTCを求める。この目標トルクTTCは、例えば図に示すような目標トルクTTCをアクセル開度APOに割り付けたテーブルデータを予めECU20に格納しておき、読込んだアクセル開度APOに応じてテーブルデータを参照することで求めることが可能である。
S3では、成層燃焼領域か否か(燃焼形態を成層燃焼とするか均質燃焼とするか)をエンジン運転条件に基づいて判断する。この判断は、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷と燃焼形態との関係を実験により求めて予め記憶させておいたテーブルより読み込む。そして、成層燃焼領域であればS4に進み、成層燃焼領域でなければ(すなわち、均質燃料領域であれば)S12に進む。なお、基本的には、低負荷領域が成層燃焼領域、高負荷領域が均質燃焼領域と判断される。
S4では、エンジン回転速度NE及び目標トルクTTCから目標燃空比TFBYAを求める。この目標燃空比TFBYAは、例えば図に示すような目標燃空比TFBYAをエンジン回転速度NE及び目標トルクTTCに割り付けたマップデータをECU20に格納しておき、これらの値に応じてマップデータを参照することで求めることができる。なお、目標燃空比TFBYAは目標空気過剰率λの逆数を意味する。
S5では、現時点の触媒温度Tcatが触媒の活性温度TcatHに達しているかを判定する。触媒温度Tcatが活性温度TcatH以上であればS6に進み、以下のようにして通常の圧縮行程噴射による成層燃焼を行う(S6〜S8)。なお、かかる判定は、換言すれば排気浄化触媒11を昇温させる必要があるか否かを判定するものであり、Tcat<TcatHであれば排気浄化触媒11の昇温が要求されたことになる。
S6では、例えばエンジン回転速度NE及び目標トルクTTCに割り付けたマップデータを参照して圧縮行程における最適な噴射開始時期ITcoを読込む。なお、ここで使用するマップデータは、負荷と最適な噴射開始時期ITcoとの関係を実験等により求め、予め格納したものである。
S7では、吸入空気量QMとエンジン回転速度NEとから定まる理論空燃比相当の基本燃料噴射量(K×QM/NE;Kは定数)と目標燃空比TFBYAとに基づいて、燃料噴射量Qfcoが設定される。
S8では、点火時期ADVを算出する。ここで、成層燃焼では燃料噴射終了近傍の混合気に点火を行うので、例えば次に示す方法で点火時期ADVを算出する。
先ず、燃料圧力Pfにて燃料噴射量Qfcoを噴射するのに必要な噴射期間のクランク角換算値Tlを求める。この噴射期間(クランク角換算値)Tlは、例えば単位時間あたりの噴射量(噴射率)dQfを求め、基本噴射量Qfco及び噴射率dQfから次式(1)にて求める。なお、噴射率dQfは、燃料噴射弁6の燃料圧力Pfに対する噴射率特性を予め実験により求めてテーブルデータとしてECU20に格納しておき、読込んだ燃料圧力Pfに応じてテーブルデータを参照することで求めることが可能である(Cは単位換算用の定数)。
Tl=Qfco/dQf×360×NE/60×C・・・(1)
そして、算出した噴射期間Tl、読込んだ噴射開始時期ITcoを用いて、次式(2)にて点火時期ADVを算出する。
ADV=ITco+Tl−Td・・・(2)
ここで、Tdは、噴霧の終端近傍に点火を行え、かつ噴霧先端が燃焼室4壁面に到達する前に点火を行えるように点火時期ADVを適合するための適合用の係数である。なお、この適合用の係数Tdは、予め実験により最適値を求めてそのデータをECU20のROMに格納しておき、その都度参照することで求めることが可能である。
一方、S5において触媒温度Tcatが活性温度TcatHを下回っていれば(すなわち、排気浄化触媒11の昇温が要求されると)S9に進み、以下のようにして膨張行程にて燃料を噴射する膨張行程噴射による成層燃焼を行う(S9〜S11)。
S9では、例えばエンジン回転速度NE及び目標トルクTTCに割り付けたマップデータを参照して膨張行程における最適な噴射開始時期ITeを読込む。なお、ここで使用するマップデータは、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷と最適な噴射開始時期ITexとの関係を実験等により求め、予め格納したものである。なお、ここで読込まれる(設定される)噴射開始時期ITexは、噴射された供給燃料が比較的トルクとなる割合が高い膨張行程初期〜中期の間に設定される。
S10では、膨張行程にて噴射する燃料噴射量Qfexを求める。この燃料噴射量Qfexの算出は上記S7と概略同様であるが、膨張行程噴射では供給燃料の全量がトルクとならない(一部は「後燃え」に用いられる)ため、その燃焼効率を考慮した燃焼効率係数Kco(>1)を乗算して最終的な燃料噴射量Qfexを求める。なお、燃焼補正係数Kcoは、例えば燃焼効率とエンジン負荷に対する関係を予め実験により求めてその関係をECU20のROMに格納しておき、エンジン回転速度NE及び目標トルクTTCに割り付けたマップデータを参照して読込む。また、目標燃空比TFBYAとなるように、燃焼効率を考慮することで増加した燃料量分に応じてスロットル(空気量)が調節される。
なお、膨張行程噴射による成層燃焼時は、その点火時期における点火プラグ7周辺の混合気がストイキよりリッチかつ着火可能な空燃比となり、また、膨張行程噴射による成層燃焼時は、そのトータル排気空燃比(燃焼室4内の平均空燃比)がストイキから弱リーン(排気A/F=14.4〜18程度)となるように制御されるのが望ましい。
S11では、点火時期ADVを算出する。かかる算出は、噴射開始時期ITex、燃料噴射量Qfexを用いてS8と同様である(式(1)、(2)参照)。
S12(S3において均質燃料領域と判断された場合である)では、目標燃空比TFBYAに1を代入し、以下のようにして通常の吸気行程噴射による均質燃焼を行う(S13〜S15)。
S13では、吸気行程における燃料噴射開始時期ITinを設定する。なお、燃料噴射開始時期ITinは実験によりマッチングした、エンジン回転速度NEと目標トルクTTCに割り付けたマップデータをECU20に格納しておき、これらの値に応じて参照することで求めることができる。
S14では、吸入空気量QMとエンジン回転速度NEとから定まる理論空燃比相当の基本燃料噴射量(K×QM/NE;Kは定数)が燃料噴射量Qfinとして設定される。
S15では、点火時期ADVの設定を行う。ここでの点火時期ADVの演算は、上記S8、S11(すなわち、膨張行程噴射の場合)とは異なり、例えばMBT設定とし、エンジン回転速度NE及び負荷に対するMBTの関係を実験により求めて予め記憶させておき、その都度参照することにより行う。
図3は、膨張行程噴射によって形成される混合気について、前記特許文献1に記載のもの(a)と本実施形態(b)とを比較したものである。
図3(a)に示すように、特許文献1に記載のものは、燃料を燃料室内に斜めに噴射する構成であるところ、膨張行程ではピストンが下降していくため、ピストンキャビティに向けて噴射した燃料が点火プラグ周りへと十分に運ばれず、失火のおそれがある。
これに対し、本実施形態では、燃料噴射弁が燃焼室上部の略中央部に設けられ、(特定の運転条件時に)膨張行程にて燃料を噴射するとともに噴射された燃料噴霧が燃焼室の壁面に到達する前に直接点火を行うので(S3〜5、9〜11参照)、図3(b)に示すように、排気温度上昇の観点から望ましい点火時期、すなわち、点火時期を圧縮上死点後、膨張行程初期から中期に設定した場合であっても、点火時期に点火プラグ周りに確実に混合気が形成されることとなり、膨張行程時に噴射した燃料のほぼ全量を燃焼することが可能である。
ここで、膨張行程噴射での燃焼最高到達温度は、通常の均質または成層燃焼と比較して低いため、NOxの排出を低減することができる。また、熱発生位置が遅角(側)であることから、未燃HCの「後燃え」も促進されて排気温度が上昇し、HCの排出も抑制することが可能である。さらに、燃料噴霧が未燃のまま壁面に到達して液膜を形成することを抑制することができ、壁流分のHCの排出についても合わせて低減可能である。
また、点火プラグは燃料噴射弁からの噴射により形成される燃料噴霧の一部が直接到達するように配置されており、燃料噴霧の先端が前記燃焼室の壁面に到達する前に点火プラグを作動させるようにしている(S11、式(1)、式(2)参照)。これにより、混合気が燃焼室壁面に到達する前に確実に着火させることができる。
また、排気浄化触媒の昇温が要求された場合(例えば、触媒温度が活性温度に達していない場合)に膨張行程噴射による成層燃焼を行う構成としたので、触媒活性化前であっても、HC、NOxの排出を最大限抑制しつつ、触媒温度を早期に上昇させること(すなわち、触媒の早期活性化)が可能である。
次に、本発明の第2実施形態について記載する。なお、構成は上記第1実施形態(図1)と同じであるので、その説明は省略する。
図4は、第2実施形態における燃料噴射量、噴射時期及び点火時期演算の制御フローチャートである。図4において、S21〜S28は図2のS1〜S8と同様であるので説明は省略する。
S25において、触媒温度Tcatが触媒の活性温度TcatHを下回っていればS29に進み、以下に記すように、「圧縮行程噴射+点火」に追加して「膨張行程噴射+点火」を行う(S29〜S34)。
S29〜S31は図2のS6〜S8と同様である。
S32では、「圧縮行程噴射+点火」後の膨張行程における追加噴射の噴射開始時期ITexを設定する。ここで設定される噴射開始時期ITexは、供給燃料全量が排気温度を上昇させるため又は未燃HCを低減させるための「後燃え」に使用されるように、図2のS9における噴射開始時期ITexの設定とは異なり、膨張行程中期から後期の間に設定される。なお、かかる噴射開始時期ITexは、エンジン回転速度NEが高いほど膨張行程中期側に設定されるようになっており、具体的には、実験により求めた関係をエンジン回転速度NEに割り付けたテーブルデータとしてECU20に格納しておき、読込んだエンジン回転速度NEに応じてテーブルデータを参照することで設定できる。
S33では、膨張行程中期から後期に追加噴射する追加燃料噴射量adQfexを求める。この追加燃料噴射量adQfexは、現時点の触媒温度Tcat、主燃焼の目標燃空比TFBYAに応じて図5に示すような関係を有しており、例えば図5に示すようなテーブルデータをECU20に格納しておき、これを参照することで求める。
なお、現在の触媒温度Tcatが低いほど、早く活性温度にするためにより多くの追加燃料量を噴射する(追加燃料量が多く設定される)。また、「後燃え」するための十分な空気量がない場合は追加燃料が燃え残ってしまうため、目標燃空比TFBYAが大きくなる場合(すなわち、空燃比A/Fがリッチ化する方向であり、主燃焼後の残存酸素量がより少なくなる場合)は、追加燃料量は少なく設定される。
S34では、S32で設定された噴射開始時期ITexにてS33で設定された追加噴射量adQfexを燃焼させる追加点火時期ADVを設定する。なお、この追加点火時期ADVは、噴射開始時期ITex、追加燃料噴射量adQfexを用いて、図2のS8と同様な方法で算出する(式(1)、(2)参照)。
S35(S33において均質燃焼領域と判断された場合である)では、現時点の触媒温度Tcatが触媒の活性温度TcatH以上であるか否かを判定する。触媒温度Tcatが活性温度TcatH以上であればS36に進み、通常の吸気行程噴射による均質燃焼を行う(S36〜S39)。なお、S36〜S39は図2のS12〜S15と同じである。
一方、S35において触媒温度Tcatが活性温度TcatHを下回っていればS40に進み、以下に記すように、主燃焼の「吸気行程噴射+点火」に追加して「膨張行程噴射+点火」を行う(S40〜S46)。
先ず、S40では、主燃焼である「吸気行程噴射+点火」による排気空燃比がストイキよりリーンとなるように、すなわち、排気A/F=15〜18程度となるように、目標燃空比TFBYAに0.8〜0.96を代入する。これは、続いて行う膨張行程噴射の追加燃料が燃えるための酸素量を主燃焼後に残存させるためである。
その後のS41〜S43は図2のS13〜S15と同様であり、S44〜S46は図2のS12〜S14と同様である。
この実施形態によると、上記第1実施形態における効果に加えて、さらに次のような効果を有する。
すなわち、本実施形態では、成層燃焼領域において排気浄化触媒の昇温要求があったときは、トータル排気空燃比がストイキよりリーンとなる量の燃料を圧縮行程にて噴射し、火花点火して層状の主燃焼を行った後に、膨張行程にて比較的少量の燃料を追加噴射し、火花点火して層状燃焼させるようにしている(S25、S29〜S34)。これにより、例えば、排気浄化触媒の昇温要求直前に運転が圧縮行程噴射の成層運転だった場合は、排気浄化触媒の昇温要求時に、まず、トータル排気空燃比(燃焼室内平均空燃比)をリーンとして酸素量を残存させ、その後、膨張行程(特に、膨張行程中期から後期)にて追加噴射した比較的少量の燃料分の燃焼エネルギーが、排気温度の上昇または不完全燃焼物であるCO、H2、未燃HCの「後燃え」に使われることになるため、制御切替え時のトルクショックが少なく運転性の悪化を抑制できる。つまり、膨張行程中期から後期への比較的少量の燃料噴射と2回目の点火を追加するだけで運転性の悪化を抑制しつつ排気温度(触媒)を昇温することが可能である。
一方、均質燃焼領域において排気浄化触媒の昇温要求があったときは、トータル排気空燃比がストイキよりリーンとなるような量の燃料を吸気行程にて噴射し、点火して均質な主燃焼を行った後に、前記膨張行程にて比較的少量の燃料を噴射し、点火して層状燃焼させるようにしている(S35、S40〜S46)。これにより、例えば、排気浄化触媒の昇温要求直前に運転が吸気行程噴射による均質燃焼運転だった場合は、排気浄化触媒の昇温要求時(触媒温度が活性温度未満となったとき)に、燃料量と空気量を調整し空燃比をリーンとすれば、続いて行う膨張行程噴射の追加燃料が燃えるための酸素量を主燃焼後に残存させることができる。そして、その後の膨張行程(特に、膨張行程中期から後期)にて追加噴射した比較的少量の燃料分の燃焼エネルギーが、排気温度の上昇または不完全燃焼物であるCO、H2、未燃HCの「後燃え」に使われることになるため、制御切替え時のトルクショックが少なく運転性の悪化を抑制できる。
なお、上記のいずれであっても、膨張行程へ噴射する追加燃料は、前記特許文献2に記載されているような自己着火燃焼するのではなく、点火プラグにより確実に点火されるため、始動直後のように燃焼室温度が低い状況下での追加燃料の燃え残りを抑制し、環境大気中へのHCの排出量を低減できる。また、1回目の点火時期や2回目の噴射時期を機関要求等に応じて、容易に変更することも可能である。
次に、本発明の第3実施形態について記載する。図6は、第3実施形態に係るエンジンの概略構成図である。本実施形態における前記第1、第2実施形態との構成上の相違は、ピストン5の上面略中央部にキャビティ5aが形成されている点及び触媒温度センサ22が設置されていない点である(その他は同じであるので説明は省略する)。
図7は、第3実施形態における燃料噴射量、噴射時期及び点火時期演算の制御フローチャートである。
図7において、S51では、キースイッチがオンとなりスタータ起動位置までキーが回されるとスタータが起動し(スタータスイッチがONし)、エンジンがクランキングを開始する。
S52では、エンジン回転によって入力されるクランク角度センサ27及びカム角度センサ28を用いて気筒判別を行う。
S53では、吸入空気量QM、エンジン回転速度NE、燃料圧力Pf、冷却水温度Tw、初爆からの各気筒のサイクル数Ncylを読込む。なお、各気筒のサイクル数Ncylは燃料噴射弁6の噴射回数や点火プラグ7の点火回数等から判断可能である。
S54では、冷却水温度Tw、エンジン回転速度NEに応じて目標トルクTTCを算出する。本実施形態においては、図に示すような冷却水温度Tw、エンジン回転速度NEに割り付けたテーブルデータを予めECU20に格納しておき、読込んだ冷却水温度Tw、エンジン回転速度NEに応じてテーブルデータを参照することで求める。
S55では、目標トルクTTCとエンジン回転速度NEとから目標燃空比TFBYAを求める(図2のS4と同様である)。
S56では、スタータスイッチ(STSW)がONからOFFに切り替わったか否かを判定する。ONからOFFに切り替わっていればS57に進み、ONのままであればS66に進む。
S57では、燃料圧力Pfが所定の燃料圧力値LPfより高いかを判定する。なお、ここで用いる所定の燃料圧力値LPfは、燃料噴射弁6から噴射された燃料噴霧形状が変形して燃料噴霧の一部が直接点火プラグ7に到達せず、失火するおそれがある燃圧値として設定されたものであり、予め実験によって燃料噴射弁6の特性として燃料圧圧と噴霧との関係を調べて決定した値である。Pf>LPfであればS58に進み、Pf≦LPfであればS65に進む。
S58では、触媒昇温制御サイクル数Kcylを算出する。この触媒昇温制御サイクル数Kcylは、排気浄化触媒11が活性温度TcatHに達するまでに実施する必要があるサイクル数(すなわち、昇温制御に必要なサイクル数)である。本実施形態では、触媒温度Tcatを直接計測せず、始動時水温Tw0と触媒昇温制御サイクル数Kcylとの関係を予め実験等により求めてテーブルデータとしてECU20のROMに格納しておき、始動時水温Tw0に応じてテーブルデータを参照して求めるようにした。ここで、本実施形態においては、始動時水温Tw0が所定温度LTw未満ではKcyl=0が設定される(すなわち、触媒昇温制御を行わない)。なお、所定温度LTwは、燃焼安定性の問題から成層燃焼を行うことができないと判断される温度として設定されるものである。
S59では、現時点のサイクル数Ncylが触媒昇温制御サイクル数Kcyl未満であるかどうかを判断する。Kcyl>Ncylであれば触媒の昇温要求ありとしてS60に進み、以下に記すように、触媒昇温制御を実施する(S60〜S64)。
S60では、修正燃空比TFBYA2を算出する。この修正燃空比TFBYA2は、目標トルクTTCを発生させるために必要とされる目標燃空比TFBYAと、「後燃え」をさせるための未燃成分量との和である。ここで、排気温度を効率的に昇温させるためには、主燃焼により生成される不完全燃焼物であるCO、H2の量と、主燃焼後に存在する残存酸素量とをバランスさせる必要があるため、修正燃空比TFBYA2は0.8〜1.0の間で設定される。
S61では、図2のS9と同様に、エンジン回転速度NE及び目標トルクTTCから膨張行程の最適な噴射開始時期ITex(膨張行程初期〜中期)を設定する。
S62では、図2のS10と同様、基本燃料噴射量(K×QM/NE;Kは定数)に、修正目標燃空比TFBYA2、燃焼効率係数Kcoが乗算されて、修正燃料噴射量Qfexが設定される。
S63では、点火時期ADVの設定を行う。点火時期ADVは、噴射開始時期ITex、修正燃料噴射量Qfexを用いて、図2のS8と同様な方法で算出する(式(1)、(2)参照)。
S64では、修正燃料噴射量(全燃料量)Qfexを膨張行程初期〜中期の間で設定した噴射開始時期ITexにて噴射する。図8は、かかる燃料噴射を行った場合の点火時期における混合気の様子を示している。図8に示すように、点火時期ADVにおいて、点火プラグ7周りの混合気はストイキよりリッチ着火可能な空燃比となっており、その混合気の外側には空気が存在している。すなわち、本実施形態においては、燃料噴射量Qfexは点火時期における点火プラグ7周辺の混合気がストイキよりリッチかつ着火可能な空燃比となるように設定され、また、膨張行程噴射による成層燃焼時は、そのトータル排気空燃比(燃焼室4内の平均空燃比)がストイキから弱リーン(排気A/F=14.4〜18程度)となるように制御されている。
一方、S65(S56でにおいてスタータスイッチがONのままである場合又はS57において燃料圧力Pfが所定の燃料圧力値LPf以下である場合である)では、通常の制御を行う。この通常の制御は、具体的には、次のようなものである。
まず、スタータスイッチがONのままである場合は急激な回転上昇を伴う始動過渡時であり、この始動過渡時には、基本燃料噴射量(K×QM/NE;Kは定数)、目標燃空比TFBYA、水温増量補正、始動及び始動後増量補正などから算出された燃料量を吸気行程または圧縮行程前半に噴射する。また、良好な回転上昇のため、点火時期ADVは、通常のファストアイドル時の点火時期よりも比較的進角側に設定する。
一方、スタータスイッチがONからOFFに切り替わった後であっても、燃料圧力Pfが所定の燃料圧力値LPf以下の場合は、燃料噴霧の一部が直接点火プラグ7に到達せずに失火するおそれがあると判断し、吸気行程または圧縮行程に燃料を噴射し、点火時期ADVは燃料噴射時期にかかわらず、例えばエンジン回転・機関負荷に対するMBT設定とする。
この実施形態によると、上記第1実施形態における効果に加えて、さらに次のような効果を有する。
すなわち、初爆からの各気筒のサイクル数Ncylが所定回数(触媒昇温制御サイクル数Kcyl)未満のときに、触媒昇温制御(膨張行程噴射による層状燃焼)を行うようにしたので(59〜S64)、触媒温度センサを削除できコストを低減できる。
また、膨張行程噴射は、その点火時期において点火プラグ周りの混合気がストイキよりリッチかつ着火可能な空燃比となるように(なるような量の)燃料を噴射しているので、主燃焼の際に不完全燃焼物であるCO、H2が生成され、これが燃焼室内の余剰酸素と、残りの膨張行程・排気行程・触媒上流の排気通路内で反応(再燃焼)し、排気温度がさらに上昇し、また、未燃HCの「後燃え」が促進されるためHC排出をさらに抑制することが可能である。
さらに、膨張行程噴射による成層燃焼時は、トータル排気空燃比(燃焼室内の平均空燃比)をストイキから弱リーン(排気A/F=14.4〜18程度)としたので、主燃焼により生成される不完全燃焼物であるCO、H2の量と、主燃焼後に存在する残存酸素量とをバランスさせることができ、排気温度を効率的に昇温させることができる。特に、トータル排気空燃比(燃焼室内平均空燃比)をほぼ理論空燃比(ストイキ)とすれば、不完全燃焼物量と残存酸素量とがほぼ当量となり、排気温度の昇温効率を最良の状態にできる。
さらにまた、燃料圧力Pfが所定値LPfを下回る場合あるいは冷却水温度Tw(Tw0)が所定温度LTwを下回る場合には、膨張行程にて燃料を噴射して行う成層燃焼運転を行わないので(S57、S58)、失火及び燃焼不安定を回避することができる。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。なお、構成は上記第3実施形態(図6)と同じであるので、その説明は省略する。
図9は、第4実施形態における燃料噴射量、噴射時期及び点火時期演算の制御フローチャートである。図9において、S71〜S82は図7のS51〜S62と同じであるので説明は省略する。
S83では、燃料分割比Ksp、すなわち、全(修正)燃料量Qfexに対して一部の燃料を先行して噴射するための先行噴射燃料量の割合を設定する。この燃料分割比Kspはエンジン回転速度NE・エンジン負荷によって最適値が存在するものの、通常、0〜0.3(0%〜30%)程度の値に設定される。本実施形態においては、実験結果に基づいて燃料分割比Kspが設定されている。
S84では、図7のS63と同様にして点火時期ADVの設定を行う。
S85では、燃料噴射を行う。但し、上記第3実施形態と異なり、先行噴射燃料量(=全燃料量Qfex×燃料分割比Ksp)を吸気行程時に先行して噴射し、残り(=Qfex×(1−Ksp))を膨張行程初期〜中期の間で設定した燃料噴射時期ITexにて噴射する。図10は、かかる燃料噴射を行った場合の点火時期における混合気の様子を示している。図10に示すように、本実施形態では、点火時期ADVにおいて、点火プラグ7周りの混合気はストイキよりリッチかつ着火可能な空燃比となっており、その混合気の外側にはリーンな混合気が存在することになる。
なお、S86は図7のS65と同じであるので説明は省略する。
この実施形態によると、上記第1、第3実施形態における効果に加えて、さらに次のような効果を有する。
すなわち、膨張行程噴射による成層燃焼運転時に、燃料の一部を吸気行程中に先行して分割噴射するようにしたので(S85)、膨張行程初期から中期に設定した点火時期において、点火プラグ周辺には空燃比がストイキ又はストイキよりリッチな混合気が存在し、その混合気の外側にはリーンな混合気が存在する(図10)。この場合、主燃焼の結果、不完全燃焼物であるCO、H2又は未燃HCが生成され、また、主燃焼の熱又は多少の火炎伝播によって外側のリーンな混合気内の燃料が部分反応を起こし、化学反応的に活性な燃焼前駆体物質(アルデヒド類、OHラジカル等)を生成する。これにより、残りの膨張行程・排気行程・触媒上流の排気通路内でのCO、H2及び未燃HCの反応(再燃焼)がより連鎖的に行われ、排気温度をさらに効果的に上昇させることができるとともに、HCの排出をさらに抑制することが可能である。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。なお、構成は上記第3実施形態(図6)と同じであるので、その説明は省略する。
図11は、第5実施形態における燃料噴射量、噴射時期及び点火時期演算の制御フローチャートである。図11において、S91〜S104は図9のS71〜S84と同様であるので説明は省略する。
S105では、図9のS85と同様、燃料噴射を行う。すなわち、先行噴射燃料量(=全燃料量Qfex×燃料分割比Ksp)を圧縮行程時に先行して噴射し、残り(=Qfex×(1−Ksp))を膨張行程初期〜中期の間で設定した設定した燃料噴射時期ITex1にて噴射する。ここで、本実施形態における圧縮行程時の先行噴射時期は、噴霧のベクトルとピストン5の略中央部に形成したキャビティ5aとの幾何学的関係によって、燃料噴霧の全量がキャビティ5a内に入る範囲内で設定されている。図12は、かかる燃料噴射を行った場合の点火時期における混合気の様子を示している。図12に示すように、本実施形態では、点火時期ADVにおいて、点火プラグ7周りの混合気はストイキよりリッチかつ着火可能な空燃比となっており、キャビティ5aの上空にはリーンな混合気が、さらにそのリーン混合気の外側には空気が存在することになる。
なお、S106は図7のS65(図9のS86)同じであるので説明は省略する。
この実施形態によると、上記第1、第3実施形態における効果に加えて、さらに次のような効果を有する。
すなわち、膨張行程噴射による成層燃焼運転時に、燃料の一部を圧縮行程中に先行して分割噴射するようにしたので(S105)、上記第4実施形態と同様な効果が得られ、特に、圧縮行程噴射による通常の成層燃焼用にピストンキャビティが形成されている場合には、圧縮行程中に先行して行う燃料の噴射時期を燃料噴霧がキャビティ内に入る時期に設定することで、壁流分のHCが減少し、HC排出をさらに抑制することできる。
本発明の実施形態に係る筒内直接噴射式内燃機関の概略構成図である。 第1実施形態に係る燃料噴射量、噴射時期及び点火時期演算の制御フローチャートである。 従来の技術(a)と第1実施形態(b)とのぞれぞれで膨張行程噴射により形成される混合気の様子を示した図である。 第2実施形態に係る燃料噴射量、噴射時期及び点火時期演算の制御フローチャートである。 追加燃料噴射量adQfexの設定テーブルの一例を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る筒内直接噴射式内燃機関の概略構成図である。 第3実施形態に係る燃料噴射量、噴射時期及び点火時期演算の制御フローチャートである。 第3実施形態において膨張行程噴射による成層燃焼運転時の点火時期における混合気の様子を示す図である。 第4実施形態に係る燃料噴射量、噴射時期及び点火時期演算の制御フローチャートである。 第4実施形態において膨張行程噴射による成層燃焼運転時の点火時期における混合気の様子を示す図である。 第5実施形態に係る燃料噴射量、噴射時期及び点火時期演算の制御フローチャートである。 第5実施形態において膨張行程噴射による成層燃焼運転時の点火時期における混合気の様子を示す図である。
符号の説明
1…筒内直接噴射式内燃機関(エンジン)、4…燃焼室、5…ピストン、5…キャビティ、6…燃料噴射弁、7…点火プラグ、14…燃料ポンプ、20…エンジンコントロールユニット(ECU)、21…排気空燃比センサ、22…触媒温度センサ、23…燃圧センサ、24…エアフローメータ、25…アクセル開度センサ、26…クランク角センサ、27…カム角センサ、28…冷却水温度センサ、29…スタータスイッチ

Claims (13)

  1. 燃焼室上部の中央部に設けられ、シリンダ軸線に沿ってピストン冠面中央部へ向かって燃料を噴射する燃料噴射弁と、
    燃焼室上部の中央部に上記燃料噴射弁に隣接して設けられ、かつ上記燃料噴射弁からの燃料噴霧の一部が直接到達する位置に配置されてなる点火プラグと
    機関の排気通路に介装された排気浄化触媒と、を有し、
    定の運転条件時に、膨張行程にて燃料を噴射するとともに、この膨張行程で噴射された燃料噴霧の先端が前記燃焼室の壁面に到達する前に該燃料噴霧に直接点火を行って層状燃焼させることを特徴とする筒内直接噴射式内燃機関。
  2. 記燃料噴霧の先端が前記燃焼室の壁面に到達する前に該燃料噴霧の終端近傍に点火を行うように点火時期が設定されることを特徴とする請求項1記載の筒内直接噴射式内燃機関。
  3. 前記特定の運転条件時は、前記排気浄化触媒の昇温が要求されたときであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の筒内直接噴射式内燃機関。
  4. 前記特定の運転条件時は、前記排気浄化触媒の温度が所定温度を下回っているとき又は初爆からのサイクル数が所定回数未満のときであることを特徴とする請求項3記載の筒内直接噴射式内燃機関。
  5. 前記所定回数は、機関冷却水温度に応じて設定されることを特徴とする請求項4記載の筒内直接噴射式内燃機関。
  6. 点火時期において点火プラグ周辺の混合気がストイキよりリッチかつ着火可能な空燃比となるように前記膨張行程にて燃料を噴射することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の筒内直接噴射式内燃機関。
  7. 膨張行程にて燃料を噴射する膨張行程噴射による成層燃焼運転時は、トータル排気空燃比がストイキから弱リーンとすることを特徴とする請求項6記載の筒内直接噴射式内燃機関。
  8. 前記特定の運転条件時に、トータル排気空燃比がストイキよりリーンとなるような量の燃料を圧縮行程にて噴射し、点火して層状の主燃焼を行った後に、膨張行程にて比較的少量の燃料を追加噴射し、点火して層状燃焼させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の筒内直接噴射式内燃機関。
  9. 前記特定の運転条件時に、トータル排気空燃比がストイキよりリーンとなるような量の燃料を吸気行程にて噴射し、点火して均質な主燃焼を行った後に、膨張行程にて比較的少量の燃料を追加噴射し、火花点火して層状燃焼させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の筒内直接噴射式内燃機関。
  10. 膨張行程にて燃料を噴射する膨張行程噴射による成層燃焼運転時に、燃料の一部を吸気行程中に先行して分割噴射することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の筒内直接噴射式内燃機関。
  11. 膨張行程にて燃料を噴射する膨張行程噴射による成層燃焼運転時に、燃料の一部を圧縮行程中に先行して分割噴射することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の筒内直接噴射式内燃機関。
  12. 上面略中央部にキャビティが形成されたピストンを有し、
    燃料噴霧が前記キャビティ内に入るように前記圧縮行程中の分割噴射を行うことを特徴とする請求項11記載の筒内直接噴射式内燃機関。
  13. 燃料圧力が所定値を下回るとき又は機関冷却水温度が所定温度を下回るときは、膨張行程噴射による成層燃焼運転を行わないことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の筒内直接噴射式内燃機関。
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