本発明の第1の実施の形態の耳止具の構成を図1ないし図4を参照して説明する。
図1ないし図4において、1は耳止具としての耳止具本体である。この耳止具本体1は、装着者の耳介Aの耳たぶとしての耳垂部Bより上部の対耳輪部Cに着脱自在に装着される止着装置である。具体的に、この耳止具本体1は、イヤリングなどに用いられる止着具であり、装着者の耳介Aの対耳輪部Cに被取付物としての装飾具である装飾物2などを取り外し可能に取り付けさせる。
また、この耳止具本体1は、弾性を有する弾力のある素材であるとともに、塑性変形可能な材質にて構成されている。そして、この耳止具本体1は、細長矩形平板状の板体を幅方向に沿って屈曲させた上面視略L字状に形成されている。この耳止具本体1の長手方向の中央部には、この耳止具本体1の長手方向の一端側に対して、この耳止具本体1の他端側を略直角に屈曲させた屈曲部4が設けられている。この屈曲部4は、耳止具本体1の幅方向に亘って設けられている。
そして、この屈曲部4よりも耳止具本体1の一端側である、この耳止具本体1の先端部には、この耳止具本体1の屈曲部4の屈曲方向である内側に向けて湾曲して突出した凸弧状の第1の湾曲部5が設けられている。ここで、屈曲部4より他端側の耳止具本体1の内側面に対向した第1の湾曲部5の内側面の屈曲部4寄りの部分は、耳止具本体1を耳介Aの対耳輪部Cに取り付けた際に、図4に示す対耳輪部Cの突出面である前面の内側面としての前面内側Dに接触して、この対耳輪部Cの前面内側Dに当接されて支持される第1の当接部としての内側当接部6となる。この内側当接部6は、屈曲部4より他端側に位置する耳止具本体1の内側面に対して略平行に対向する部分である。
また、第1の湾曲部5と屈曲部4との間の耳止具本体1には、この第1の湾曲部5と同じ方向である内側に向けて湾曲して突出した凸弧状の第2の湾曲部7が設けられている。この第2の湾曲部7は、第1の湾曲部5の約2分の1程度の幅寸法および高さ寸法を有する上面視凸弧状に形成されている。また、この第2の湾曲部7は、第1の湾曲部5の基端側に連続して設けられている。
ここで、屈曲部4より他端側の耳止具本体1の内側面に対向した第2の湾曲部7の内側面の第1の湾曲部5寄りの部分は、耳止具本体1を耳介Aの対耳輪部Cに取り付けた際に、図4に示す対耳輪部Cの突出面である前面の外側面としての前面外側Eに接触して、この対耳輪部Cの前面外側Eに当接されて支持される第2の当接部としての外側当接部8となる。この外側当接部8は、第1の湾曲部5に設けられている内側当接部6に対向する位置に設けられている。
さらに、第2の湾曲部7と屈曲部4との間には、これら第2の湾曲部7と屈曲部4との間を離間させる平板状の平板部9が設けられている。この平板部9は、第2の湾曲部7の幅方向の両端部間の距離に略等しい幅寸法を有しており、耳止具本体1の幅方向に亘って設けられている。また、屈曲部4より耳止具本体1の基端側には、平板状の間隔保持部11が設けられている。この間隔保持部11は、第1の湾曲部5および第2の湾曲部7のそれぞれから耳止具本体1の基端側を離間させる。
すなわち、この間隔保持部11は、平板部9とともに、耳止具本体1を耳介Aの対耳輪部Cに取り付けた際に、この耳介Aの耳輪Fを幅方向に亘って覆うように構成されている。さらに、この間隔保持部11の外側面は、様々なデザインや宝飾などが施されたデザイン性に優れた装飾物2を接合させる接合面とされており、この装飾物2が取り付けられて固定される。
そして、この間隔保持部11の長手方向の一端である基端縁には、挟着部としての挟持部材である矩形平板状の挟持片部12の基端縁が回動可能に取り付けられている。この挟持片部12は、間隔保持部11の幅方向に直交する方向に向けて回動可能に設けられている。また、この挟持片部12の先端部には、この挟持片部12の先端部を円状に湾曲させて形成された保持部13が設けられている。この保持部13は、挟持片部12の幅方向に亘って設けられており、この挟持片部12の先端部を円状に膨らませている。
ここで、この保持部13の先端部は、挟持片部12を耳止具本体1の屈曲部4側に向けて回動させて、この耳止具本体1を耳介Aの対耳輪部Cに取り付けた際に、図4に示す対耳輪部Cの突出面とは反対面である後面としての裏面Gから、この対耳輪部Cに当接されて支持される第3の当接部としての後側当接部である裏側当接部14となる。この裏側当接部14は、図1および図4に示すように、内側当接部6および外側当接部8にて当接支持される対耳輪部Cの前面内側Dと前面外側Eとの間の後側である裏側から、この対耳輪部Cを押圧して挟着させる。すなわち、この裏側当接部14は、耳止具本体1を耳介Aの対耳輪部Cに取り付けた際に、この対耳輪部Cを内側当接部6および外側当接部8によって挟持して、この耳止具本体1を耳介Aに固定させる。言い換えると、この裏側当接部14は、耳介Aの対耳輪部Cの裏面Gの内側面である裏面内側Hと、この対耳輪部Cの裏面Gの外側面である裏面外側Iとの間に位置する裏面中央Jから、この対耳輪部Cを内側当接部6および外側当接部8へと押し付ける。
このとき、この裏側当接部14は、この裏側当接部14を耳介Aの対耳輪部Cに当接させた状態で、耳止具本体1の内側当接部6および外側当接部8によって、これら内側当接部6、外側当接部8とともに略正三角形の各角部に位置するように構成されている。したがって、これら内側当接部6、外側当接部8および裏側当接部14のそれぞれは、これら内側当接部6、外側当接部8および裏側当接部14にて耳介Aの対耳輪部Cを挟持して保持した際に、この対耳輪部Cを周方向に沿って等間隔に離間させた位置に当接される。すなわち、これら内側当接部6、外側当接部8および裏側当接部14は、耳介Aの対耳輪部Cを、前面内側D、前面外側Eおよび裏面中央Jの三方向から挟着して、この対耳輪部Cに耳止具本体1を安定させて確実に固定させる。
さらに、挟持片部12は、この挟持片部12が間隔保持部11の内側面から離れる方向に回動させることによって、耳止具本体1を耳介Aの対耳輪部Cから取り外せるように構成されている。ここで、この挟持片部12の基端側の間隔保持部11の基端縁に連結されている部分には、この挟持片部12の保持部13を間隔保持部11の内側に向けて付勢する付勢手段としての図示しない弾性体が取り付けられている。すなわち、この弾性体は、耳止具本体1の内側当接部6および外側当接部8のそれぞれを耳介Aの対耳輪部Cの前面内側Dおよび前面外側Eに当接させた状態で、この対耳輪部Cの裏面中央Jを挟持片部12の裏側当接部14を介して付勢させる。
次に、上記第1の実施の形態の耳止具の作用について説明する。
まず、装着者の耳介Aの対耳輪部Cの前面内側Dに耳止具本体1の内側当接部6を当接させるとともに、この耳止具本体1の外側当接部8を耳介Aの対耳輪部Cの前面外側Eに当接させる。
この状態で、この耳止具本体1の挟持片部12を耳介Aの対耳輪部Cの裏面G側に向けて回動させて、この挟持片部12の裏側当接部14を耳介Aの対耳輪部Cの裏面中央Jに当接させる。
このとき、この挟持片部12と耳止具本体1の間隔保持部11との間に取り付けた弾性体の弾性力によって、この挟持片部12の裏側当接部14と内側当接部6および外側当接部8とによって耳介Aの対耳輪部Cが挟持される。
この結果、この耳介Aの対耳輪部Cが、この対耳輪部Cの前面内側D、前面外側Eおよび裏面中央Jの三方向から、耳止具本体1の内側当接部6、外側当接部8および裏側当接部14のそれぞれによって挟持され、この対耳輪部Cに耳止具本体1が安定して確実に固定されて装着される。
したがって、この耳止具本体1に取り付けられている装飾物2を、耳介Aの耳垂部Bよりも上部に取り付けることができる。
この状態で、この耳止具本体1の挟持片部12の裏側当接部14に指先を掛けるなどして、この挟持片部12と耳止具本体1との間に取り付けられている弾性体の弾性力に抗して、この挟持片部12を耳止具本体1の間隔保持部11の外側面側に向けて回動させる。
この結果、耳止具本体1の裏側当接部14による耳介Aの対耳輪部Cの裏面中央Jからの押し付けが解除されるので、この耳介Aの対耳輪部Cから耳止具本体1が取り外せる。
ここで、耳介Aの耳輪Fおよび舟状窩部Hの大きさは、個人差が大きく、厚みがある人や長い人などが存在する。これに対し、耳介Aの対耳輪部Cは、この対耳輪部Cが突出する向きには個人差があるが、この対耳輪部Cの大きさについて個人差が少ない。
そこで、上記第1の実施の形態のように、耳止具本体1の内側当接部6を耳介Aの対耳輪部Cの前面内側Dに当接させるとともに、この耳介Aの対耳輪部Cの前面外側Eに耳止具本体1の外側当接部8を当接させた状態で、この耳止具本体1の挟持片部12を回動させて、この挟持片部12の裏側当接部14にて耳介Aの対耳輪部Cの裏面中央Jを弾性体の弾性力にて押圧させて挟着させる。
この結果、耳介Aの対耳輪部Cの凹凸を活用して利用したことにより、耳止具本体1の内側当接部6、外側当接部8および裏側当接部14にて、耳介Aの対耳輪部Cが幅方向に沿って等間隔に離間された前面内側D、前面外側Eおよび裏側中央Jの三点で、この耳介Aの対耳輪部Cが前面および裏面Gから挟着される。
同時に、これら内側当接部6、外側当接部8および裏側当接部14による耳介Aの対耳輪部Cを挟持する面積、すなわち挟着面が広くなる。よって、この耳介Aの対耳輪部Cの裏面Gに裏側当接部14を押圧する弾性体の弾性力、すなわち耳止具本体1の内側当接部6、外側当接部8および裏側当接部14を対耳輪部Cに当接させる力を余り大きくすることなく、耳止具本体1を確実かつ安定させて耳介Aの対耳輪部Cに取り付けることができる。
このため、この耳止具本体1にて耳介Aの対耳輪部Cを挟持する力を小さくできるから、この耳止具本体1を耳介Aの対耳輪部Cに長時間装着させていても、痛みや違和感が生じにくい。よって、装着者に痛みや違和感を与えることなく、この装着者の耳介Aに耳止具本体1を快適かつ安定させて確実に装着できる。
また、耳止具本体1にて耳介Aの対耳輪部Cを挟持する力を小さくできるから、この耳止具本体1をより細くて小さくすることが可能である。したがって、この耳止具本体1をより目立たなくできるので、この耳止具本体1に装飾物2が取り付けられたイヤリングをより美しくできるから、より美しいイヤリングを提供できる。
さらに、この耳止具本体1の挟持片部12の裏側当接部14に指先などを掛けて、この挟持片部12を弾性体の弾性力に抗して外側に回動させるだけで、この耳止具本体1を耳介Aの対耳輪部Cから取り外すことができる。したがって、この耳止具本体1の取り外し作業も容易になるから、この耳止具本体1を止めたり外したりする脱着作業を容易にできる。
なお、上記第1の実施の形態では、上面視略L字状の耳止具本体1について説明したが、図5に示す第2の実施の形態のように、上面視略楕円状である略C字状の耳止具本体1とすることもできる。この耳止具本体1は、細長平板状の金属素材にて構成されている。そして、この耳止具本体1の長手方向の一端部である先端部には、約120゜程度の角度で内側に向けて円弧状に湾曲した先端湾曲部21が一体的に設けられている。この先端湾曲部21の先端部には、約180゜程度の角度でさらに内側に向けて円弧状に湾曲した保持湾曲部22が一体的に連続して設けられている。この保持湾曲部22は、先端湾曲部21の先端部を反転させるように半円状に形成されている。
また、この保持湾曲部22の先端部には、この保持湾曲部22が湾曲している方向とは反対側である外側に向けて約90゜程度の角度で湾曲した当接湾曲部23が一体的にさらに連続して設けられている。この当接湾曲部23は、この当接湾曲部23の先端側の内側面を先端湾曲部21の基端部の内側面に近接されている。ここで、この当接湾曲部23の基端側の外側面が、耳介Aの対耳輪部Cの前面内側Dに当接される内側当接部6となる。また、この当接湾曲部23の先端側の外側面が、耳介Aの対耳輪部Cの前面外側Eに当接される外側当接部8となる。
一方、耳止具本体1の長手方向の他端部である基端部には、この基端部を約180゜程度の角度で耳止具本体1の先端側に向けて円弧状に湾曲した基端湾曲部24が一体的に設けられている。この基端湾曲部24は、保持湾曲部22の内径寸法よりも小さな内径寸法を有するように半円状に湾曲している。すなわち、この基端湾曲部24は、この基端湾曲部24の先端部の内側面が、耳止具本体1の内側面に平行に対向するように設けられている。
また、この基端湾曲部24の先端部には、この基端湾曲部24が湾曲している方向とは反対側である外側に向けて360゜湾曲した円状の押付湾曲部25が一体的に連続して設けられている。この押付湾曲部25の先端部は、基端湾曲部24の先端部の外側面に一体的に連結されている。さらに、この押付湾曲部25は、この押付湾曲部25の外側に位置する面が、当接湾曲部23の内側面に対して略平行となるように湾曲している。そして、この押付湾曲部25の当接湾曲部23の内側面に対向する部分が、耳介Aの対耳輪部Cの裏面中央Jに当接されて押圧させる裏側当接部14となる。この裏側当接部14は、当接湾曲部23の内側当接部6と外側当接部8との間に対向するように設けられている。
さらに、耳止具本体1の基端湾曲部24の外側面には、この耳止具本体1を耳介Aの対耳輪部Cから取り外す際の引っ掛かりとなる引掛部としての引掛凸部26が一体的に突設されている。この引掛凸部26は、耳止具本体1の中央部の内側面に対向した基端湾曲部24の先端部の外側面に設けられている。すなわち、この引掛凸部26は、裏側当接部14より耳止具本体1の一端部である先端側に設けられている。そして、この引掛凸部26は、基端湾曲部24の外側面に対して垂直に突出しており、耳止具本体1の厚さ寸法程度の高さ寸法を有している。さらに、この引掛凸部26は、基端湾曲部24の幅方向に亘って設けられている。
上述したように、上記第2の実施の形態によれば、耳止具本体1の当接湾曲部23の先端側および基端側の外側面が外側当接部8および内側当接部6となって、耳介Aの対耳輪部Cの前面内側Dおよび前面外側Eのそれぞれに当接される。さらに、耳止具本体1の押圧湾曲部25の当接湾曲部23の内側面に対向する部分が裏側当接部14となって、耳介Aの対耳輪部Cの裏面中央Jに当接されて押圧させる。したがって、これら内側当接部6、外側当接部8および裏側当接部14によって、耳介Aの対耳輪部Cが前面内側D、前面外側Eおよび裏側中央Jの三点で当接されて挟着されるから、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、耳止具本体1の基端湾曲部24の外側に、この耳止具本体1を対耳輪部Cから取り外す際の引っ掛かりとなる引掛凸部26を設けた。この結果、この耳止具本体1を耳介Aの対耳輪部Cに取り付けた状態で、この耳止具本体1の引掛凸部26に指先や爪先などを引っ掛けて、この耳止具本体1を前側に引くことによって、この耳止具本体1が耳介Aの対耳輪部Cから確実に取り外せる。したがって、耳止具本体1の引掛凸部26に指先や爪先などを引っ掛けて前側に引く動作だけで、この耳止具本体1を取り外せるから、この耳止具本体1の取り外し作業を確実かつ容易にできる。
また、この引掛凸部26を耳止具本体1の基端湾曲部24の外側面に設けたことにより、この耳止具本体1を耳介Aの対耳輪部Cに取り付けた際に、この耳介Aの耳輪Fの裏面側に引掛凸部26が位置する。したがって、耳介Aの対耳輪部Cに耳止具本体1を取り付けた状態で、この耳止具本体1の引掛凸部26が耳介Aの耳輪Fによって裏側に隠れるから、この引掛凸部26が耳止具本体1の装着時に目立たない。よって、デザイン性を損なわせることなく、耳止具本体1の取り外し作業を容易にできるから、デザイン性を維持しつつ耳止具本体1の使い勝手をより向上できる。
さらに、図6に示す第3の実施の形態のように、細長帯状体を折り曲げて耳止具本体1とすることもできる。この場合、この耳止具本体1の長手方向の中央部は、この耳止具本体1の内側に向けて円弧状に湾曲されている。そして、この耳止具本体1の長手方向の一端部である先端部は、この耳止具本体1の中央部へと折り返されて第1の折り返し部31とされている。この第1の折り返し部31と耳止具本体1の中央部との間の円状に折り返された部分が第1の当接片部32となる。そして、この第1の当接片部32の外側面が、耳介Aの対耳輪部Cの前面内側Dに当接される内側当接部6として機能する。
また、第1の折り返し部31の先端部は、この第1の折り返し部31を折り返した方向の反対側である外側に向けて上面視円状に折り返されて第2の当接片部33とされている。この第2の当接片部33の先端部は、第1の折り返し部31の外側に位置する面に対向して近接されている。ここで、この第2の当接片部33の外側に位置する面が、耳介Aの対耳輪部Cの前面外側Eに当接される外側当接部8として機能する。
一方、耳止具本体1の長手方向の他端部である基端部には、この耳止具本体1の内側に向けて湾曲された基端湾曲部24が設けられている。そして、この基端湾曲部24の先端部には、外側に向けて折り返されて第2の折り返し部34が設けられている。この第2の折り返し部34は、基端湾曲部24の外側に位置する面に先端部が近接するように折り返されている。そして、この第2の折り返し部34と基端湾曲部24との間の円状に折り返された部分が第3の当接片部35となる。そして、この第3の当接片部35の外側面が、耳介Aの対耳輪部Cの裏面中央Jに当接されて押圧させる裏側当接部14として機能する。さらに、この第3の当接片部35の先端部には、この第3の当接片部35の外側に向けて約120゜程度折り返されて構成された引掛凸部26が設けられている。
この結果、耳止具本体1の第1の当接片部32の外側面が内側当接部6となるとともに、第2の当接片部33の外側に位置する面が外側当接部8となって、耳介Aの対耳輪部Cの前面内側Dおよび前面外側Eに当接される。さらに、耳止具本体1の第3の当接片部35の外側面が裏側当接部14となって、耳介Aの対耳輪部Cの裏面中央Jに当接されて押圧させる。したがって、これら内側当接部6、外側当接部8および裏側当接部14によって、耳介Aの対耳輪部Cが前面内側D、前面外側Eおよび裏側中央Jの三点で当接される。また、第3の当接片部35の先端部を折り返して引掛凸部26とした。よって、上記第2の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、図7に示す第4の実施の形態のように、弾性力を有し塑性変形可能な合成樹脂で耳止具本体1を構成することもできる。この耳止具本体1は、上面視略C字状に形成されている。そして、この耳止具本体1の長手方向の一端部である先端部には、上面視円状に膨らまされた形状の第1の当接突部41が一体的に設けられている。この第1の当接突部41は、耳止具本体1の一端部に設けられており、この耳止具本体1の長手方向の他端である基端側に向けて突出している。ここで、この第1の当接突部41の外周面が、耳介Aの対耳輪部Cの前面内側Dに当接される内側当接部6として機能する。
そして、耳止具本体1の内側面の長手方向の中央部には、この内側面から略垂直に突出した第2の当接突部42が一体的に設けられている。この第2の当接突部42は、第1の当接突部41よりも耳止具本体1の他側である他端側の内側に設けられている。そして、この第2の当接突部42は、上面視凸状に設けられており、耳止具本体1の基端縁に向けて突出している。ここで、この第2の当接突部42の外側面が、耳介Aの対耳輪部Cの前面外側Eに当接される外側当接部8として機能する。
さらに、耳止具本体1の基端部には、上面視円状に膨らまされた形状の第3の当接突部43が一体的に設けられている。この第3の当接突部43は、耳止具本体1の長手方向の他端である他側縁に設けられている。そして、この第3の当接突部43は、第2の当接突部42の先端部に向かって突出している。ここで、この第3の当接突部43の外周面が、耳介Aの対耳輪部Cの裏面中央Jに当接されて押圧させる裏側当接部14として機能する。
また、この第3の当接突部43よりも耳止具本体1の先端側に引掛凸部26が一体的に突設されている。この引掛凸部26は、第2の当接突部42に対向する耳止具本体1の基端側の外側面に設けられている。そして、この引掛凸部26の耳止具本体1の基端側に位置する一側面には、この引掛凸部26の基端側から先端側に向けて先細状に傾斜した傾斜面部44が設けられている。この傾斜面部44は、引掛凸部26の先端側から基端側に向けて、耳止具本体1の基端側に傾斜している。
この結果、耳止具本体1の第1の当接突部41の外側面が内側当接部6となるとともに、第2の当接突部42の外側面が外側当接部8となって、耳介Aの対耳輪部Cの前面内側Dおよび前面外側Eに当接される。さらに、耳止具本体1の第3の当接突部43の外側面が裏側当接部14となって、耳介Aの対耳輪部Cの裏面中央Jに当接されて押圧させる。また、この第3の当接突部43より耳止具本体1の先端側に引掛凸部26を突設させた。したがって、上記第2の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
このとき、耳止具本体1の内側当接部6、外側当接部8および裏側当接部14のそれぞれを、この耳止具本体1の内側面よりも内側に突出した突状の第1の当接突部41、第2の当接突部42および第3の当接突部43にて構成したが、これら内側当接部6、外側当接部8および裏側当接部14それぞれにて、ある程度の割合の人の耳介Aの対耳輪部Cに耳止具本体1を装着できれば、これら内側当接部6、外側当接部8および裏側当接部14のそれぞれを耳止具本体1の内周面よりも突出させた突部で形成しなくてもよい。すなわち、これら内側当接部6、外側当接部8および裏側当接部14を耳止具本体1の内周面よりも突出させずに、この耳止具本体1の内周面の形状を変化させて、この耳止具本体1の内周面の先端部、中間部および基端部のそれぞれを内側当接部6、外側当接部8および裏側当接部14として作用させることもできる。この場合、外側当接部8から内側当接部6までの内周面によって形成される円弧状の空間の面積を、外側当接部8から裏側当接部14までの内周面によって形成される円弧状の空間の面積よりも小さくすると良い。
さらに、図8に示す第5の実施の形態のように、丸型の耳止具本体1とすることもできる。この場合、この耳止具本体1は、上面視で略円形である円弧状に形成されている。そして、この耳止具本体1の先端部に第1の当接突部41が一体的に設けられているとともに、この第1の当接突部41よりも基端側の耳止具本体1の内側面に第2の当接突部42が一体的に設けられている。ここで、第1の当接突部41の外側面が内側当接部6として機能し、第2の当接突部42の外側面が外側当接部8として機能する。
また、耳止具本体1の基端部には、この耳止具本体1の基端部を二股に分割させる一対の分割片部51が設けられている。これら一対の分割片部51は、上面視凹弧状の長手方向の中央部が、耳止具本体1の基端縁に一体的に接続されて構成されている。そして、これら一対の分割片部51のうち、耳止具本体1の内側面に近接する側に位置する分割片部51の先端部に第3の当接突部43が一体的に設けられている。ここで、この第3の当接突部43の外側面が裏側当接部14として機能する。
さらに、一対の分割片部51のうち、耳止具本体1の外側面に近接する側に位置する分割片部51の先端部には、上面視円状の第4の当接突部52が一体的に設けられている。この第4の当接突部52は、第3の当接突部43と同様の大きさの上面視円形状に形成されている。また、耳止具本体1の外側面の基端側に引掛凸部26が設けられている。
この結果、耳止具本体1の第1の当接突部41の外側面が内側当接部6となるとともに、第2の当接突部42の外側面が外側当接部8となって、耳介Aの対耳輪部Cの前面内側Dおよび前面外側Eに当接される。さらに、耳止具本体1の第3の当接突部43の外側面が裏側当接部14となって、耳介Aの対耳輪部Cの裏面中央Jが当接されて押圧される。また、耳止具本体1の外側面の基端側に引掛凸部26を突設させた。したがって、上記第4の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、図9に示す第6の実施の形態のように、ねじ式の耳止具本体1とすることもできる。この場合、この耳止具本体1は、上面視略凹字状に形成されている。そして、この耳止具本体1の先端部は、第1の屈曲部61によって、この耳止具本体1の中央部に対して内側に直角に屈曲されている。また、この耳止具本体1の基端部は、第2の屈曲部62によって、この耳止具本体1の中央部に対して内側に直角に屈曲されている。すなわち、この耳止具本体1の先端部および基端部それぞれは、同じ向き、すなわち耳止具本体1の内側に向けて直角に屈曲されている。
そして、この耳止具本体1の先端部には、この耳止具本体1の内側に向けて円弧状に折り返された第1の当接片部32が一体的に設けられている。この第1の当接片部32の先端部は、耳止具本体1の内側面に対向して近接している。ここで、この第1の当接片部32の先端側の外側面が内側当接部6となる。また、この第1の当接片部32より基端側の耳止具本体1には、この耳止具本体1を内側に向けて上面視円弧状に湾曲させて構成された第2の当接片部33が一体的に設けられている。この第2の当接片部33は、第1の当接片部32と第1の屈曲部61との間に位置する耳止具本体1自体を、この耳止具本体1の内側に向けて円状に膨らませたように湾曲されて構成されている。ここで、この第2の当接片部33の内側面の先端側が外側当接部8として機能する。
一方、耳止具本体1の基端部には、別体に構成された上面視円弧状の第3の当接片部35の基端側が回動可能に取り付けられて連結されている。この第3の当接片部35は、第1の当接片部32および第2の当接片部33それぞれに向けて突出した上面視円弧状に形成されている。そして、この第3の当接片部35は、耳止具本体1の幅方向に直交する方向に向けて回転可能に、この耳止具本体1の基端縁に接続されている。また、この耳止具本体1の基端部には、第3の当接片部35を押圧して回動させる押圧手段としてのねじ体63が螺合されるねじ孔64が穿設されている。このねじ孔64は、このねじ孔64に取り付けられているねじ体63で第3の当接片部35を押圧して、この第3の当接片部35を第1の当接片部32および第2の当接片部33に接近させる位置に設けられている。
ここで、ねじ体63は、外周面にねじ溝が形成された軸部65を備えている。この軸部65の基端側には、この軸部65を回転させる際の把持部となる円盤状のつまみ部66が同心状に一体的に設けられている。そして、このねじ体63は、このねじ体63の軸部65を耳止具本体1の外側からねじ孔64に螺合させて取り付けられている。すなわち、このねじ体63は、つまみ部66をつまんでねじ体63を回転させることによって、耳止具本体1の厚さ方向に沿って移動するように取り付けられている。
この結果、耳止具本体1の第1の当接片部32の外側面が内側当接部6となるとともに、第2の当接片部33の内側面が外側当接部8となって、耳介Aの対耳輪部Cの前面内側Dおよび前面外側Eに当接される。さらに、耳止具本体1の第3の当接片部35の外側面が裏側当接部14となって、耳介Aの対耳輪部Cの裏面中央Jに当接されて押圧される。そして、ねじ体63を回転して第3の当接片部35による押圧を解除することによって耳止具本体1が取り外せる。よって、上記第4の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、耳止具本体1を耳介Aの対耳輪部Cに取り付けた状態で、この耳止具本体1のねじ体63のつまみ部66をつまんで、このねじ体63の軸部65を回転させることによって、このねじ体63の軸部65を後退させる。この結果、ねじ体63の軸部65にて押し付けられていた第3の当接片部35が回動して、この第3の当接片部35と第1の当接片部32および第2の当接片部33との間の距離が広くなるから、耳止具本体1を耳介Aの対耳輪部Cから容易かつ確実に取り外すことができる。
また、ねじ体63のつまみ部66をつまんで、このねじ体63を回転させることによって、このねじ体63の軸部65の先端部による第3の当接片部35と第1の当接片部32および第2の当接片部33との間の距離を変更できる。したがって、これら第3の当接片部35と第1の当接片部32および第2の当接片部33との間の距離を、装着者の耳介Aの対耳輪部Cの大きさや厚さに合わせて調整できるとともに、ねじ体63を回転させて第3の当接片部35を適宜回転させることにより、この第3の当接片部35による耳介Aの対耳輪部Cの裏面中央Jを押し付ける力を変更できる。このため、より多くの人々の耳介Aの対耳輪部Cに耳止具本体1を確実かつ容易に装着できるので、この耳止具本体1の使い勝手をより向上できる。
さらに、図10に示す第7の実施の形態のように、ばね式の耳止具本体1とすることもできる。この場合、この耳止具本体1は、屈曲部4にて中央部が屈曲された上面視V字状に形成されている。この耳止具本体1の先端部には、この耳止具本体1の先端側の内側へと折り返されて構成された第1の当接片部32が一体的に設けられている。この第1の当接片部32は、中央部が耳止具本体1の基端側に向けて突出した上面視円弧状に形成されている。ここで、この第1の当接片部32の先端側の外側面が内側当接部6として機能する。また、この第1の当接片部32の先端部には、耳止具本体1の基端側の内側に向けて屈曲された第2の当接片部33が一体的に設けられている。この第2の当接片部33は、第1の当接片部32の先端側に対して略直角に屈曲している。ここで、この第2の当接片部33の外側面が外側当接部8として機能する。
一方、耳止具本体1の基端部には、細長筒状のばね支持部71が取り付けられている。このばね支持部71は、このばね支持部71の軸方向の一端側である先端側が開口して開口部72とされている。そして、このばね支持部71の軸方向の他端部である基端部は、耳止具本体1の基端部に回動可能に取り付けられて接続されている。さらに、このばね支持部71は、耳止具本体1の幅方向に直交する方向に向けて回転可能に取り付けられている。
そして、このばね支持部71の内部には、螺旋状に巻回された形状の弾性体としてのばね体である巻ばね73が挿入されて取り付けられている。この巻ばね73は、ばね支持部71の軸方向に軸方向を沿わせた状態で、このばね支持部71の開口部72から挿入されて取り付けられている。そして、このばね支持部71の開口部72には、先端部に第3の当接突部43が一体的に設けられている押付手段としての押付部材74が進退可能に挿入されている。
この押付部材74は、細長棒状の本体部75を有しており、この本体部75の基端側がばね支持部71の開口部72から、このばね支持部71内に挿入されている。そして、この押付部材74は、ばね支持部71内に挿入させた巻ばね73の弾性力によって、第3の当接突部43の先端部が、第1の当接片部32および第2の当接片部33それぞれの外側面に向けて押し付けられるように構成されている。したがって、この押付部材74は、ばね支持部71内の巻ばね73が有する弾性力によって、この押付部材74の本体部75が先端側に向けて付勢されて、この第3の当接突部43の先端部を、第1の当接片部32および第2の当接片部33側に向けて付勢されている。ここで、この第3の当接突部43の先端部が裏側当接部14として機能する。
この結果、耳止具本体1の第1の当接片部32の先端側の外側面が内側当接部6となるとともに、第2の当接片部33の外側面が外側当接部8となって、耳介Aの対耳輪部Cの前面内側Dおよび前面外側Eに当接される。さらに、耳止具本体1の第3の当接突部43の先端部が裏側当接部14となって、ばね支持部71内の巻ばね73の弾性力にて耳介Aの対耳輪部Cの裏面中央Jに当接されて押圧させる。そして、この巻ばね73の弾性力に抗して押付部材74を基端側に移動させることによって耳介Aの対耳輪部Cから耳止具本体1が取り外せる。したがって、上記第6の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
なお、上記各実施の形態では、耳介Aの対耳輪部Cに装着される耳止具本体1について説明したが、この耳止具本体1を、耳垂部Bに取り付けられる別体のイヤリングやピアスなどに鎖などで連結させることもできる。また、この耳止具本体1の挟着面、すなわち内側当接部6、外側当接部8および裏側当接部14の少なくとも1つに、スポンジなどの柔らかい弾力のある図示しない素材を貼り付けるなどして装着させることによって、この耳止具本体1をさらに違和感なく快適に装着できる。
また、耳止具本体1に宝飾物2を取り付けてイヤリングとして宝飾物2を耳介Aに装着させる構成について説明したが、例えばヘッドホン、イヤホンあるいは補聴器などの耳介Aに取り付けて使用される種々の物品に対応させて用いることもできる。この結果、これらヘッドホン、イヤホンあるいは補聴器などの耳介Aに取り付けて使用される種々の物品を、確実かつ容易に耳介Aに取り外し可能に装着できるから、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、金属や合成樹脂などで耳止具本体1を構成したが、これら金属および合成樹脂以外の種々の素材で耳止具本体1を構成することもできる。