JP4430815B2 - パーキンソン病に関与するdnaまたは遺伝子 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、パーキンソン病の発病に関与する遺伝子に関するものである。パーキンソン病患者には本発明遺伝子の一部が欠失していることから、本発明遺伝子はパーキンソン病診断用遺伝子として極めて有用であり、当該遺伝子を用いて得られる蛋白質や医薬活性物質等はパーキンソン病の予防・治療にも使用できる可能性がある。
背景技術
各種慢性進行性疾患の原因となる遺伝子は一つだけではないことが多いと考えられており、これら疾患の原因遺伝子が明らかになれば、当該疾患の診断を出生前後から行うことができるのみならず、現在の技術水準からすれば遺伝子治療による上記疾患の治療も不可能ではない。
パーキンソン病も慢性疾患の一つであるが、パーキンソン病に関与する遺伝子としては1997年に報告されたアルファシヌクレインが知られているのみである。イタリア人の家系では上記遺伝子が変異し、常染色体優性のパーキンソン病が発症することがある旨報告されているが、この遺伝子を用いたとしてもパーキンソン病の診断ができるケースは非常に限られる。従ってパーキンソン病の診断に当たっては、振戦、固縮、無動、姿勢反射障害などの神経症状による臨床診断を採用しているのが現状であり、本疾患の根本的治療法はないが対症療法として、レボドーパまたはドパミン作動性化合物(作動薬)が投与されている程度にすぎない。
発明の開示
本発明は上記問題点に着目してなされたものであり、その目的は、パーキンソン病に関与し該疾患の診断や治療等に有用なDNAまたは遺伝子または遺伝子断片;組換えベクター;蛋白質またはポリペプチド;モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体;プライマーまたはプローブまたは固定化核酸またはDNAチップ;オリゴヌクレオチド等を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明のDNAまたは遺伝子とは、
▲1▼配列表の配列番号1または配列番号2[配列番号2は、配列番号1の塩基配列のうち636〜719(後記するエクソン5に相当)の塩基部分を含まない、即ちオルタナティブスプライシングによるバリアントである]に記載の塩基配列全長、またはその部分的配列、またはそれら若しくはそれらの相補鎖にハイブリダイズする塩基配列からなり、且つパーキンソン病に関与するDNAまたは遺伝子であるところに要旨を有するものである。
更に本発明では上記▲1▼に加え、下記▲2▼〜▲8▼の態様からなるDNAまたは遺伝子、または遺伝子断片も包含される。
▲2▼上記▲1▼に記載の塩基配列、またはそれを含有する、またはそれらを部分的に含有する塩基配列からなり、且つその遺伝的欠損がパーキンソン病の原因となるDNAまたは遺伝子、またはそれら若しくはそれらの相補鎖にハイブリダイズする塩基配列からなるDNAまたは遺伝子。
▲3▼上記▲1▼または▲2▼に記載の塩基配列であって、オルタナティブスプライシングによるバリアントとして生じ、パーキンソン病に関与する塩基配列のDNAまたは遺伝子、またはそれら若しくはそれらの相補鎖にハイブリダイズする塩基配列からなるDNAまたは遺伝子。
▲4▼上記▲1▼〜▲3▼のいずれかに記載の塩基配列であり、その遺伝子産物が、配列表の配列番号1に記載の1〜465のアミノ酸配列からなる蛋白質、または配列表の配列番号2に記載の1〜437のアミノ酸配列からなる蛋白質と実質的に同等の機能を有する蛋白質をコードする遺伝子。
▲5▼上記▲1▼〜▲4▼のいずれかに記載の塩基配列に対して、エクソンの欠失、ナンセンス塩基置換、ミスセンス塩基置換、塩基の欠失、塩基の付加、塩基の挿入、スプライシングの異常、フレームシフトを生じさせた遺伝子、またはそれら若しくはそれらの相補鎖にハイブリダイズする塩基配列からなり、且つ、パーキンソン病に関与するDNAまたは遺伝子。
▲6▼上記▲1▼〜▲5▼のいずれかに記載のDNAまたは遺伝子の部分的塩基配列をもつDNAまたは遺伝子、または遺伝子断片、またはそれら若しくはそれらの相補鎖にハイブリダイズする塩基配列からなるDNAまたは遺伝子、または遺伝子断片。
▲7▼以下の(a)または(b)の蛋白質をコードする遺伝子。
(a)配列表の配列番号1に記載の1〜465のアミノ酸配列からなる蛋白質。
(b)前記アミノ酸配列において1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つパーキンソン病に関与する蛋白質。
▲8▼以下の(c)または(d)の蛋白質をコードする遺伝子。
(c)配列表の配列番号2に記載の1〜437のアミノ酸配列からなる蛋白質。
(d)前記アミノ酸配列において1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つパーキンソン病に関与する蛋白質。
ここで、前記配列番号1に記載の塩基配列全長は、12個の各エクソン間に11個のイントロン配列をゲノム上で介在させており、該塩基配列の内102〜1496の部分的配列には、1〜465のアミノ酸配列をもつ蛋白質をコードするものであり、これらエクソンとイントロンの境界領域におけるイントロンの塩基配列は、下記構成よりなるものである。
エクソン1とエクソン2の間に介在するイントロンは、エクソン1の3’末端に隣接して配列表の配列番号3に記載の塩基配列を有し、エクソン2の5’末端に隣接して配列表の配列番号4に記載の塩基配列を有し、
エクソン2とエクソン3の間に介在するイントロンは、エクソン2の3’末端に隣接して配列表の配列番号5に記載の塩基配列を有し、エクソン3の5’末端に隣接して配列表の配列番号6に記載の塩基配列を有し、
エクソン3とエクソン4の間に介在するイントロンは、エクソン3の3’末端に隣接して配列表の配列番号7に記載の塩基配列を有し、エクソン4の5’末端に隣接しては配列表の配列番号8に記載の塩基配列を有し、
エクソン4とエクソン5の間に介在するイントロンは、エクソン4の3’末端に隣接して配列表の配列番号9に記載の塩基配列を有し、エクソン5の5’末端に隣接して配列表の配列番号10に記載の塩基配列を有し、
エクソン5とエクソン6の間に介在するイントロンは、エクソン5の3’末端に隣接して配列表の配列番号11に記載の塩基配列を有し、エクソン6の5’末端には配列表の配列番号12に記載の塩基配列を有し、
エクソン6とエクソン7の間に介在するイントロンは、エクソン6の3’末端に隣接して配列表の配列番号13に記載の塩基配列を有し、エクソン7の5’末端には配列表の配列番号14に記載の塩基配列を有し、
エクソン7とエクソン8の間に介在するイントロンは、エクソン7の3’末端に隣接して配列表の配列番号15に記載の塩基配列を有し、エクソン8の5’末端には配列表の配列番号16に記載の塩基配列を有し、
エクソン8とエクソン9の間に介在するイントロンは、エクソン8の3’末端に隣接して配列表の配列番号17に記載の塩基配列を有し、エクソン9の5’末端には配列表の配列番号18に記載の塩基配列を有し、
エクソン9とエクソン10の間に介在するイントロンは、エクソン9の3’末端に隣接して配列表の配列番号19に記載の塩基配列を有し、エクソン10の5’末端に隣接して配列表の配列番号20に記載の塩基配列を有し、
エクソン10とエクソン11の間に介在するイントロンは、エクソン10の3’末端に隣接して配列表の配列番号21に記載の塩基配列を有し、エクソン11の5’末端に隣接して配列表の配列番号22に記載の塩基配列を有し、
エクソン11とエクソン12の間に介在するイントロンは、エクソン11の3’末端に隣接して配列表の配列番号23に記載の塩基配列を有し、エクソン12の5’末端に隣接して配列表の配列番号24に記載の塩基配列を有する。
尚、上記▲1▼〜▲8▼のいずれかに記載のDNA断片または遺伝子を含有する組換えベクターも本発明の範囲内に包含される。
また、上記課題を解決することのできた本発明の蛋白質とは、
(i)配列表の配列番号1に記載の1〜465のアミノ酸配列、または配列表の配列番号2に記載の1〜437のアミノ酸配列からなり、且つ、パーキンソン病に関与する蛋白質、またはそれと実質的に同等の機能を有する蛋白質であるところに要旨を有するものである。
詳細には、本発明蛋白質またはポリペプチドには、下記(ii)〜(viii)の態様も包含される。
(ii)上記▲1▼〜▲4▼のいずれかに記載の遺伝子から発現するパーキンソン病に関与する蛋白質、またはそれと同一または実質的に同等の機能を有する蛋白質。
(iii)上記▲5▼に記載の遺伝子から翻訳されるアミノ酸配列からなり、且つ、パーキンソン病に関与する蛋白質、またはそれと同一または実質的に同等の機能を有する蛋白質。
(iv)上記(iii)に記載のアミノ酸配列のうち、1カ所以上でアミノ酸が置換、欠失若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、パーキンソン病に関与する蛋白質。
(v)上記(ii)〜(iv)のいずれかに記載のアミノ酸配列であって、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列の内1〜72のユビキチン様部分的アミノ酸配列を含有し、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列の内418〜449のジンクフィンガー蛋白質様部分的アミノ酸配列を含有する蛋白質。
(vi)以下の(a)または(b)の蛋白質。
(a)配列表の配列番号1に記載の1〜465のアミノ酸配列からなる蛋白質。
(b)前記アミノ酸配列において1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つパーキンソン病に関与する蛋白質。
(vii)以下の(c)または(d)の蛋白質。
(c)配列表の配列番号2に記載の1〜437のアミノ酸配列からなる蛋白質。
(d)前記アミノ酸配列において1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つパーキンソン病に関与する蛋白質。
(viii)上記請求項(i)〜(vii)のいずれかに記載のアミノ酸配列の部分断片からなる、または該部分断片を含有する、または該アミノ酸配列の全長を含有するポリペプチドまたは蛋白質。
尚、上記(i)〜(viii)のいずれかに記載の蛋白質に対するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体も本発明の範囲内に包含される。
また、本発明のプライマーまたはプローブまたは固定化核酸またはDNAチップは下記(I)〜(IV)の用途に好適に使用される。
(I)上記▲1▼〜▲8▼のいずれかに記載のDNAまたは遺伝子の塩基配列、遺伝的変異、欠損、発現量を調べることに用いるか、或いはそれらの濃縮に用いるか、
(II)上記▲1▼〜▲8▼のいずれかに記載のDNAまたは遺伝子のいずれかに記載のDNA又は遺伝子から転写、プロセシングされるRNAの塩基配列、遺伝的変異、欠損、発現量を調べることに用いるか、或いはそれらの濃縮に用いるか、
(III)配列表の配列番号1または配列番号2に記載の各エクソン配列の塩基配列、遺伝的変異、欠損を調べることに用いるか、或いはその遺伝子座のハプロタイピングに用いるか、
(IV)前述の各イントロン配列の塩基配列、遺伝的変異、欠損を調べることに用いるか、或いはその遺伝子座のハプロタイピングに用いるか、
具体的には、下記(1)〜(14)に示す14種類のプライマーまたはプローブのセットを少なくとも1個、使用することができる。
(1)上記▲1▼に記載のパーキンソン病関与遺伝子のエクソン1と隣接するイントロンの塩基配列、またはその遺伝子座を調べる為の、下記塩基配列を有するプライマーまたはプローブ。
配列番号1のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号25に記載の塩基配列を有し、配列番号1の相補鎖のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号26に記載の塩基配列を有する。
(2)上記▲1▼に記載のパーキンソン病関与遺伝子のエクソン2と隣接するイントロンの塩基配列、またはその遺伝子座を調べる為の、下記塩基配列を有するプライマーまたはプローブ。
配列番号1のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号27に記載の塩基配列を有し、配列番号1の相補鎖のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号28に記載の塩基配列を有する。
(3)上記▲1▼に記載のパーキンソン病関与遺伝子のエクソン3と隣接するイントロンの塩基配列、またはその遺伝子座を調べる為の、下記塩基配列を有するプライマーまたはプローブ。
配列番号1のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号29に記載の塩基配列を有し、配列番号1の相補鎖のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号30に記載の塩基配列を有する。
(4)上記▲1▼に記載のパーキンソン病関与遺伝子のエクソン4の塩基配列、またはその遺伝子座を調べる為の、下記塩基配列を有するプライマーまたはプローブ。
配列番号1のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号31に記載の塩基配列を有し、配列番号1の相補鎖のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号32に記載の塩基配列を有する。
(5)上記▲1▼に記載のパーキンソン病関与遺伝子のエクソン4と隣接するイントロンの塩基配列、またはその遺伝子座を調べる為の、下記塩基配列を有するもプライマーまたはプローブ。
配列番号1のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号33に記載の塩基配列を有し、配列番号1の相補鎖のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号34に記載の塩基配列を有する。
(6)上記▲1▼に記載のパーキンソン病関与遺伝子のエクソン5と隣接するイントロンの塩基配列、またはその遺伝子座を調べる為の、下記塩基配列を有するプライマーまたはプローブ。
配列番号1のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号35に記載の塩基配列を有し、配列番号1の相補鎖のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号36に記載の塩基配列を有する。
(7)上記▲1▼に記載のパーキンソン病関与遺伝子のエクソン6と隣接するイントロンの塩基配列、またはその遺伝子座を調べる為の、下記塩基配列を有するプライマーまたはプローブ。
配列番号1のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号37に記載の塩基配列を有し、配列番号1の相補鎖のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号38に記載の塩基配列を有する。
(8)上記▲1▼に記載のパーキンソン病関与遺伝子のエクソン7の塩基配列、またはその遺伝子座を調べる為の、下記塩基配列を有するプライマーまたはプローブ。
配列番号1のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号39に記載の塩基配列を有し、配列番号1の相補鎖のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号40に記載の塩基配列を有する。
(9)上記▲1▼に記載のパーキンソン病関与遺伝子のエクソン7と隣接するイントロンの塩基配列、またはその遺伝子座を調べる為の、下記塩基配列を有するプライマーまたはプローブ。
配列番号1のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号41に記載の塩基配列を有し、配列番号1の相補鎖のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号42に記載の塩基配列を有する。
(10)上記▲1▼に記載のパーキンソン病関与遺伝子のエクソン8と隣接するイントロンの塩基配列、またはその遺伝子座を調べる為の、下記塩基配列を有するプライマーまたはプローブ。
配列番号1のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号43に記載の塩基配列を有し、配列番号1の相補鎖のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号44に記載の塩基配列を有する。
(11)上記▲1▼に記載のパーキンソン病関与遺伝子のエクソン9と隣接するイントロンの塩基配列、またはその遺伝子座を調べる為の、下記塩基配列を有するプライマーまたはプローブ。
配列番号1のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号45に記載の塩基配列を有し、配列番号1の相補鎖のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号46に記載の塩基配列を有する。
(12)上記▲1▼記載のパーキンソン病関与遺伝子のエクソン10と隣接するイントロンの塩基配列、またはその遺伝子座を調べる為の、下記塩基配列を有するプライマーまたはプローブ。
配列番号1のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号47に記載の塩基配列を有し、配列番号1の相補鎖のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号48に記載の塩基配列を有する。
(13)上記▲1▼に記載のパーキンソン病関与遺伝子のエクソン11と隣接するイントロンの塩基配列、またはその遺伝子座を調べる為の、下記塩基配列を有するプライマーまたはプローブ。
配列番号1のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号49に記載の塩基配列を有し、配列番号1の相補鎖のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号50に記載の塩基配列を有する。
(14)上記▲1▼に記載のパーキンソン病関与遺伝子のエクソン12と隣接するイントロンの塩基配列、またはその遺伝子座を調べる為の、下記塩基配列を有するプライマーまたはプローブ。
配列番号1のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号51に記載の塩基配列を有し、配列番号1の相補鎖のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号52に記載の塩基配列を有する。
更に本発明には、下記(a)〜(c)のオリゴヌクレオチドまたオリゴヌクレオチド類似体またはそれらの修飾物も包含される。
(a)上記▲1▼〜▲8▼のいずれかに記載の塩基配列の部分的配列からなるか、或いは上記▲1▼〜▲8▼のいずれかに記載の塩基配列にハイブリダイズするもの。
(b)ヒトRNAを鋳型としたPCR法、ヒトcDNAを鋳型としたPCR法、またはRT−PCR法のいずれかの方法により、上記▲1▼〜▲8▼のいずれかに記載の全塩基配列または部分的塩基配列を増幅する、或いは上記▲1▼〜▲8▼のいずれかに記載の全塩基配列または部分的塩基配列を部分的に含有して増幅するためのもの。
(c)配列表の番号1または2に記載のエクソンと、それらに隣接する前述のイントロンを含有する塩基配列をPCR法により増幅する、或いはその塩基配列の一部をPCR法により増幅するのためのオリゴヌクレオチド。
発明を実施する為の最良の形態
パーキンソン病或いはパーキンソン症候群は、遺伝的要因及び環境要因等が関与して発症すると考えられており、個々の要因を解き明かしていくことは、同病、同症候群発症機序の根本的な解明及び治療にとって急務である。本発明者らは、パーキンソン病の発症に関与する遺伝子を見出すべく鋭意検討してきた。その結果、パーキンソン病の一つである若年性パーキンソン病は、6番染色体のq25.2−q27の領域、詳細には染色体マーカーDS437とD6S264の間の17cMの領域と密接に関連することが分かった(Matsumine et al.,Am.J.Hum.Genet.60(1997)588−596)。そこで若年性パーキンソン病を発症した患者を用い、後記する実施例に基づいて本疾患に関与する遺伝子を特定し、本発明を完成したのである。
以下、本発明遺伝子を見出すに至った実験経緯に沿って本発明を詳述する。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。
実施例1:若年性パーキンソン病患者における染色体欠失領域
本実施例に用いたパーキンソン病患者の家系図を第1図に示す。図中、□は男性、○は女性、●は女性患者を夫々意味し、各記号に斜線の引いた者は既に死亡していることを意味する。該患者の両親及び兄弟はいずれも健常人であったが、患者は十代にパーキンソン様症状を呈して本疾患と診断され、その後も症状は徐々に進行し、現在に至っている。
第1図中*の付した被験者(患者及び健常人2名)のゲノムDNAに対し、6番染色体マーカーの一つであるD6S305を用いたPCR法によるハプロタイピングを行った。その結果を第2図に示す。
第2図より、D6S305は患者の両親及び兄弟のDNAテンプレートから増幅されたが、患者DNAテンプレートからは増幅されなかった。従ってこの患者は、染色体マーカーの一つであるD6S305が欠失していることが判明した。
実施例2:D6S305を含むゲノム断片のスクリーニングとエクソントラッピング
実施例1より、本患者にはマーカーD6S305に対応するゲノムDNAが欠失していることから、この領域には、本疾患に関連する遺伝子が存在する可能性がある。そこで、D6S305の一部の塩基配列を有するアンプリイマーを用いて、96,000種のゲノム断片からなる正常ヒトゲノムライブラリー(KeioヒトBACライブラリー)のPCR法によるスクリーニングを行った。その結果、約110kbの大きさからなるゲノム断片KB761D4とKB430C4の二つのクローンが得られた。
次に、これらのゲノム断片中に存在する遺伝子のエクソン断片を単離するためにエクソントラッピングを行った。エクソントラッピングは、エクソントラッピングシステム(GIBCO/BRL)を用い、附属の操作マニュアルに従って行った。その結果、上記二つのゲノム断片は約110kbと非常に大きかったにも拘わらず、単離されたエクソンはJ−17だけであった。
次いで、このエクソンJ−17の塩基配列に基づき、このエクソンJ−17自身を増幅するためのPCRプライマ−(J−17Inner)及びBAC KB761D4をテンプレートにしてエクソンJ−17に隣接するイントロンの塩基配列を決定し、その配列を基にJ−17を含む断片を増幅するためのPCRプライマー(J−17 Outer)の2種類のプライマーセットを作製し、実施例1に供した被験者(患者、健常な両親及び兄弟)のゲノムDNAのPCR増幅を行った。その結果を第3図に示す。尚、同図には本実施例及び後記する実施例6の結果も併記している。
第3図に示す様に、父(レーン1)、母(レーン2)及び兄弟(レーン4)の健常人ゲノムDNAからはPCR産物が見出されたのに対し、本患者DNA(レーン3)からは全く見出されなかった。従って、本患者では少なくとも本遺伝子のエクソンJ−17に相当する染色体部分が欠失していることが分かった。
実施例3:正常ヒトcDNAライブラリーからの本遺伝子のスクリーニング
次に、このJ−17を含む遺伝子全長、合わせて翻訳配列全長をカバーするcDNA群を単離するため、cDNAライブラリーから本遺伝子をスクリーニングを行った。具体的には、正常ヒト胎児の脳及び骨格筋のcDNAライブラリーをクローンテック社より購入し、プローブとしては、実施例2で得られた本遺伝子のエクソンの一部であるJ−17断片を第1のプローブとして用いると共に、更にこのプローブを用いた第1次スクリーニングで得られた陽性クローンのインサートDNA断片を第2次スクリーニング用プローブとして用いた。その結果、第4図に示す7個のcDNA[HFB1,3,4,5及びSKM1,3,8]が得られた。陽性クローンのインサートDNA断片は、ベクター特異的プライマー2種(F10inner:5′−AGCCTGGTTAAGTCCAAGCTG−3′及びR10inner:5′−GAAGGTCCCATTTTTCGTTTTC−3′)を用いて増幅した。
この様にして増幅された陽性DNA断片について、プライマーウオーキング法により直接塩基配列の決定を行った。サイクル配列の決定に当たっては、これらプライマーと市販のキット[ABI PRISMlabeling kits(Perkin−Elmer社)]を用い、操作マニュアルに準じてApplied Biosystems製「ABIモデル377DNAシークエンサー」により行った。
その結果、7個のcDNAは第4図に示した重なりの関係になっていた。これらのうち最長のSKM8は2960塩基からなり、その塩基配列中に1395塩基(nt102〜nt1496;終止コドンを含めるとnt1499まで)で465個のアミノ酸配列からなる蛋白質をコードする翻訳配列全長を含んでいた。
また、上記cDNA断片のうち4個(HFB3,4及びSKM1,3)については、nt636〜719の84塩基(bp)が欠失していた。このことは、ゲノムの本遺伝子から成熟したmRNAがスプライシングを受けて生成する際にその切れ方が少なくとも二通りあることを示している。
尚、本遺伝子によってコードされる上記1〜465個のアミノ酸配列からなる蛋白質のうち、N末端近傍(1番のメチオニンから72番のアルギニンまで)では、第5図に示す通りユビキチンと中程度の相同性が見られた(同一アミノ酸33%)。
このユビキチンは細胞内で不要になった蛋白質を除去するのに重要な物質として知られ、各種神経変性疾患への関与も指摘されている。例えばアルツハイマー病におけるpaired helical filaments(PHFs)や、パーキンソン病におけるLewy bodiesなとは、抗ポリユビキチン抗体で染まることが知られている。そのメカニズムは、まずユビキチンが各種蛋白質に結合し、ユビキチン同士が結合を繰り返してマルチユビキチン鎖を形成し、プロテアソーム系に分解を誘導して代謝されると考えられている。
このユビキチン同士の結合には48番目のリジン残基が必須であるとされており、上記蛋白質においても48番目にリジンが存在すると共に、その前後(例えば44〜48番、及び51番)のアミノ酸配列も一致することから、上記蛋白質はユビキチン様の機能を持つ可能性が示唆される。更に近年、N末端部にユビキチン様部分を含んだ、融合蛋白がいくつか発見されており、この場合、ユビキチン部分は分子シャペロンとしての働きが示唆されている。
この様に本蛋白質のN末端付近ではユビキチンとの相同性が観察されるが、73番目以降のアミノ酸配列においてはユビキチンとの相同性はほとんど見られない。一方、C末端付近(418〜449番)では、システイン残基が非常に多い特定のアミノ酸配列:Cys−X−Cys−X−Cys−X−His−X−Cys−X−Cys−X−Cys−X−Cysを有しており、この配列は、ジンクフィンガー蛋白質(亜鉛と結合し細胞の成長・分化及び発生に深く関与している蛋白質)の亜鉛結合部分の配列の一種であるリングフィンガーモチーフ(Cys−X−Cys−X(9−399)−Cys−X(1−3)−His−X(2−3)−Cys−X−Cys−X(4−48)−Cys−X−Cys)と極めて類似している。従って、本発明蛋白質は、新規なジンクフィンガー蛋白質の一種であると推定される。
実施例4:ゲノムライブラリーからの本ゲノム遺伝子のスクリーニング
前記実施例2で得られた二つの陽性ゲノムクローン(KB761D4及びKB430C4)にはエクソン(J−17)以外は含まれていなかったので、その他のエクソン配列を含むゲノム断片を得るため、本実施例では、前記cDNAライブラリーの陽性クローンのうち最もサイズの大きいSKM8をプローブとして、95,232クローンからなるゲノムライブラリー(KeioヒトBACライブラリー)からハイブリダイゼーションによるBACクローンのスクリーニングを行った。その結果、新たに24個の陽性クローンが得られた。
また、cDNAの塩基配列のN末端部分はエクソン1に相当するが、エクソン1を増幅するPCRプライマーを作製し、PCR法によるBACライブラリーのスクリーニングを行い、更にもう一つの陽性クローンを得た。
この様にして得られた合計25個のクローンを用いて、プライマーウォーキング法(BEE法)により各エクソンの同定及び各エクソンに隣接するイントロン配列の決定を行った。その結果、エクソン1〜3,5,6,8〜12はこれらの25個のBACクローンのいずれかにマップされた。またJ−17はエクソン7に相当していた。しかし、エクソン4を含むゲノム配列をもつBACクローンはこれらの25個のBACクローン中には含まれていなかった。
そこで更に、エクソン4を増幅するPCRプライマーを作製し、Genome Systems Inc.の有するゲノムライブラリーのPCRスクリーニングを行うことにより新たに2つの陽性クローンを得た。前述のプライマーウォーキング法により、27クローンのBAC−DNAをテンプレートにして、各エクソンとその隣接イントロンの塩基配列を決定した。プライマーウォーキング法に用いたプライマーは、cDNA配列に基づいて適当に合成した。各プライマーに対応するBACクローンは、プライマーそのものをプローブとしたオリゴヌクレオチドコロニーハイブリダイゼーション法により仕分けした。シーケンシングにはDNAシークエンサーを用いた。
その結果、この新規遺伝子のエクソンとイントロンの構成が明らかになり、本発明の遺伝子はゲノム上で全長500kb以上の非常に大きな遺伝子であり、12のエクソンとその間にある非常に大きな11のイントロンから構成されていることが明らかになった。これらエクソンとイントロンの境界領域におけるイントロンの塩基配列は前述した通りであるが、表1に、エクソンとイントロンの境界領域における塩基配列をまとめて示す。
Figure 0004430815
実施例5:ゲノムDNAエクソン部分の塩基配列の確認
次に、実施例4で明らかになったエクソン部分の塩基配列を増幅してcDNAの対応部分と一致するかどうかを確認する為に、各エクソンの5′側と3′側近傍のイントロンの塩基配列に基づく(一部のプライマーはエクソンの部分配列に基づく)プライマーセット14組を合成し、正常ヒト末梢血の白血球を用いて常法により調整したDNAをテンプレートにしてPCRを行った。参考の為に、本実施例に用いたプライマーセット14組の塩基配列を表2に記載する。
Figure 0004430815
上記PCR法は以下の様にして行った。各反応液(10ml)中に、100ngのDNA、1×PCR緩衝液[50mMのTris−HCl(pH9.2,25℃),14mMの(NHSO,1.75mMのMgCl],各350μMのdNTP,各0.5μMのプライマー及び0.35単位のExpand Long Taqポリメラーゼ(Boehringer Mannheim社)を含有し、PCR条件:94℃で30秒,50〜53℃で30秒,68℃で30秒〜1分を1サイクルとして合計35サイクル実施した。
この様にして増幅された各DNA断片の塩基配列を、適切なプライマーと市販のキットを用いて決定した。その結果を表2に併記する。
表2に示す通り、上記プライマーを用いたPCR法により得られたものは、いずれもcDNAより得られた塩基配列の対応部分と一致することが分かった。
実施例6:若年性パーキンソン病患者における本発明遺伝子の部分欠失(その1)
次いで、実施例1における若年性パーキンソン病患者及びその家族において、本発明遺伝子に異常があるかどうかを検討した。
詳細には、これら被験者の白血球よりゲノムDNAを調製して鋳型として用いると共に、表2のプライマーセットのうちエクソン2,3,J−17インナー,J−17アウター及びエクソン8の5′側と3′側のプライマーセットを用いてPCR増幅を行った。その結果を第3図に示す。
第3図より、パーキンソン患者の父親(レーン1)、母親(レーン2)及び兄弟(レーン4)のゲノムDNAを鋳型とした場合は、各エクソンに相当する配列が増幅されており、これらのDNAには欠失若しくは大きな変異はないことが分かる。これに対してパーキンソン病患者のDNAを鋳型とした場合(レーン3)は、エクソン3,4,5,6,7に相当する部分の塩基配列の増幅は全く見られなかった。従って本患者のゲノム遺伝子は、エクソン3〜7に相当する長い塩基配列が欠失していることが明らかになった。
更に、上記被験者のゲノムDNAを制限酵素EcoRIで消化した後、電気泳動で分離し、ナイロンメンブレン上にサザンブロットを行い、放射性PでラベルしたcDNAプローブSKM8を用いてサザンハイブリダイゼーションを行ったところ、第6図に示す通り、患者の両親及び兄弟では、少なくとも8個のEcoRI断片が見出されたのに対し、患者には4個の断片しか見出されなかった(図中、*は検出されなかった4個のEcoRI断片を示す)。従って、この結果からも患者のゲノム遺伝子は、特定部分が欠失若しくは変異していることを確認できる。
実施例7:若年性パーキンソン病患者における本発明遺伝子の部分欠失(その2)
実施例6より、若年性パーキンソン病患者には本発明遺伝子が欠失等していることが明らかになった。従って本発明遺伝子の欠失等は若年性パーキンソン病を誘発することが極めて強く示唆されたが、この点を確定する為に、別の患者を用いて同様に実験した。
詳細には、第7図に示す家系図を有する若年性パーキンソン病患者の家族のゲノム解析を行った。尚、6人の兄弟姉妹のうち2人の兄弟は健常であったが、その他の4人の兄弟姉妹はいずれも若年性パーキンソン病患者であった。図中、*を付した者(即も、母親と2人の健常な兄弟及び本疾患を有する2人の姉妹)のゲノムDNAを鋳型とし、実施例5と同様の方法により、各エクソンに相当するプライマーを用いてPCRを行った。その結果を第8図に示す。
第8図より、本実施例に用いた2人の患者のゲノムDNA(レーン2及び3)ではエクソン4が欠失しているのに対し、健常人である母親(レーン1)及び2人の姉妹のDNA(レーン5及び6)には欠失は見られなかった。
更に、このうちの一人の患者の脳組織より、標準AGPC法を用いてmRNAを抽出し、全量1mgのmRNAをTitan TM one tube RT−PCR System kit(Boehringer Mannheim社製)に50℃で30分間プライムした後、反応液をそのまま用いて順方向のプライマー(配列表1のnt351〜nt371)5′−GGAGGCGACGACCCCAGAAAC−3′及び逆方向のプライマー(配列表1のnt963〜nt983)5′−GGGACAGCCAGCCACACAAGG−3′と共にPCRを行った。PCR条件は94℃で30秒、次いで56℃で30秒、更に68℃で1分というサイクルを合計45回実施した。この様にして得られたPCR産物につき、cDNA塩基配列を解析した結果を第9図に示す。
第9図より、この患者のmRNAではエクソン4が完全に欠失し、エクソン3とエクソン5が直接結合していることが明らかになった。従って、独立2家系の若年性パーキンソン病患者において、本発明遺伝子の欠失が確認され、本発明遺伝子の欠失が若年性パーキンソン病を誘発することが明らかになった。
実施例8:各種組織における本遺伝子mRNAの発現
本発明遺伝子のmRNA[Poly(A)]がヒトの各組織中にどの程度発現しているかを調べる為、ゲノム断片J−17を用いたノザンブロット分析を行った。
詳細には、多組織のノザンブロットをクローンテック社より購入すると共に、プローブとして本発明遺伝子のエクソン4に相当するJ−17を用い、操作マニュアルに準じてノザンブロッティングを行った。その結果を第10図及び第11図に示す。尚、第10図中((a)に示す組織は、左から順に脾臓,胸腺,前立腺,精巣,卵巣,小腸,結腸,末梢血白血球;同図(b)に示す組織は、左から順に心臓,脳,胎盤,肺,肝臓,骨格筋,腎臓,膵臓;同図(c)に示す組織は、左から順に胃,甲状腺,脊髄,リンパ節,気管,副腎,骨髄の意味である。また、第11図中(a)に示す組織は、左から順に小脳,大脳皮質,延髄,脊髄,後頭極,前頭葉,側頭葉,被殻;同図(b)に示す組織は、左から順に扁桃体,尾状核,脳梁,海馬,全脳,黒質,視床下核,視床の意味である。
第10図,第11図の結果より、本実施例で検討した全ての組織中に、ポリAテールを含む4.5kbのmRNAが検出されたが、特に脳、心臓、精巣および骨格筋には豊富に発現していた。このうち脳内領域における発現はいずれのセクションでも認めるが、大脳皮質や前頭葉には一層多く発現していることが分かった。
実施例9:若年性パーキンソン病患者における本発明遺伝子の部分欠失(その3)
本実施例に用いたパーキンソン病患者の家系図を第12図に示す。図中、1〜7の番号を付した者(即ち、両親と3人の健常な姉妹、及び本疾患を有する2人の兄弟)の白血球よりゲノムDNAを調整して鋳型として用いると共に、表3に示すオリゴヌクレオチドプライマー対を用いてPCR増幅を行った。
Figure 0004430815
すべての反応は以下の様にして行った。25μl反応混合物中には、50mMのKCl,10mMのTris(pH8.3),1.5mMのMgCl,0.02%のゼラチンを、プライマー類,10nmolの各dNTP,及び2.5単位のAmpliTaq Gold DNAポリメラーゼ(Perkin−Elmer Applied Biosystems Division)と共に含有しており、PCR条件:94℃で10分間の最初の変性に引続き、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で45秒間を1サイクルとして合計40サイクル行い、次いで72℃で10分間の最終のエクステンションを行った。この様にして得られたPCR産物を、臭化エチジウムで染色した2%アガロースゲルで可視化し、標的エクソンの有無を調べた。その結果を第13図に示す。
同図に示す様に、パーキンソン病の2人の患者のDNAを鋳型とした場合(レーン6,7)には、エクソン5に相当する部分の塩基配列の増幅は全く見られなかった。
更に上記被験者のうちパーキンソン病患者(第12図中の6に相当する)及びその父親のゲノムDNAを制限酵素EcoRIで消化した後、電気泳動で分離し、ナイロンメンブレン上にサザンブロットを行い、放射性PでラベルしたDNAプローブSKM8を用いてサザンハイブリダイゼーションを行ったところ、第14図に示す通り、患者の父親では少なくとも8個のEcoRI断片が見出されたのに対し、患者には7個の断片しか見出されなかった(図中、*は検出されなかった1個のEcoRI断片を示す)。従って、この結果からも患者のゲノム遺伝子は、特定部分が欠失若しくは変異していることを確認できる。
実施例10:若年性パーキンソン病患者における本発明遺伝子の部分欠失(その4)
実施例9とは異なる別の患者を用いて同様に実験を行った。詳細には、第15図に示す家系図を有する若年性パーキンソン病患者の家族のゲノム解析を行った。尚、7人の姉妹のうち4人の姉妹は健常であったが、その他の3人の姉妹は、いずれも若年性パーキンソン病患者であった。図中、1〜6の番号を付した者のゲノムDNAを鋳型とし、実施例9と同様の方法により、各エクソンに相当するプライマーを用いてPCRを行った。その結果を第16図に示す。
同図に示す様に、パーキンソン病患者のDNAを鋳型とした場合(レーン3,6)には、エクソン3に相当する部分の塩基配列の増幅は全く見られなかった。
実施例11:若年性パーキンソン病患者における本発明遺伝子の部分欠失(その5)
更に別の患者を用いて実施例9と同様に実験を行った。詳細には、第17図に示す家系図を有する若年性パーキンソン病患者の家族のゲノム解析を行った。尚、5人の兄弟姉妹のうち3人の兄弟姉妹は健常であったが、その他の2人の兄弟姉妹は、いずれも若年性パーキンソン病患者であった。図中、1〜3の番号を付した者のゲノムDNAを鋳型とし、実施例9と同様の方法により、各エクソンに相当するプライマーを用いてPCRを行った。その結果を第18図に示す。
同図に示す様に、パーキンソン病患者のDNAを鋳型とした場合(レーン1)には、エクソン4に相当する部分の塩基配列の増幅は全く見られなかった。
実施例12:若年性パーキンソン病患者における本発明遺伝子の部分欠失(その6)
更に別の患者を用いて実施例9と同様に実験を行った。詳細には、第19図に示す家系図を有する若年性パーキンソン病患者の家族のゲノム解析を行った。尚、患者の両親はいずれも健常人であり、8人の兄弟姉妹のうち6人の兄弟姉妹は健常であったが、その他の2人の兄弟姉妹は、いずれも若年性パーキンソン病患者であった。図中、1〜8の番号を付した者のゲノムDNAを鋳型とし、実施例9と同様の方法により、各エクソンに相当するプライマーを用いてPCRを行った。その結果を第20図に示す。
同図に示す様に、パーキンソン病患者のDNAを鋳型とした場合(レーン4,8)には、エクソン3および4に相当する部分の塩基配列の増幅は全く見られなかった。
実施例13:若年性パーキンソン病患者における本発明遺伝子の部分欠失(その7)
更に別の患者を用いて実施例9と同様に実験を行った。詳細には、第21図に示す家系図を有する若年性パーキンソン病患者の家族のゲノム解析を行った。尚、患者の両親はいずれも健常人であり、5人の兄弟姉妹のうち1人の兄弟は健常であったが、その他の4人の兄弟姉妹は、いずれも若年性パーキンソン病患者であった。図中、1〜6の番号を付した者のゲノムDNAを鋳型とし、実施例9と同様の方法により、各エクソンに相当するプライマーを用いてPCRを行った。その結果を第22図に示す。
同図に示す様に、パーキンソン病患者のDNAを鋳型とした場合(レーン2〜6)には、エクソン5に相当する部分の塩基配列の増幅は全く見られなかった。
実施例14:エクソン5の一塩基欠失ホモ接合体の同定
第23図に示す家系図等に示す家系図を有する若年性パーキンソン病患者のうち各1人につき、直接配列PCR法によって欠失、挿入または点変異をスクリーニングした。PCR法は、オリゴヌクレオチドプライマー配列に特異的であって、その5’末端に標準的な配列プライマー(M13 universal and reverse primers)の配列を有するキメラプライマーを用いて行った。得られたPCR産物から過剰なプライマー及びdNTPを、Ultrafree−MC centrifugalfilter(Millipore)を用いて除去した後、精製したPCR産物をApplied Biosystems 373A DNA sequencerを用いたデオキシ鎖終結法によって配列決定した。
その結果、上記被験者では、エクソン5の1塩基欠失が同定された(第24図)。第24図のうち上図(N)は、野生型対立遺伝子のエクソン5のPCR産物を直接配列決定した結果を、下図(M)は、変異型対立遺伝子のエクソン5のPCR産物を直接配列決定した結果を夫々示す。
詳細には、1塩基欠夫により1個のグアノシンが配列−GGT−(コドン179)から除去される結果、フレームシフトが起こり、アミノ酸位置187において停止コドンができた。ヌクレオチドおよび予想されるアミノ酸配列を第25図に示す。図中、「Normal」は野生型対立遺伝子のDNA及びアミノ酸配列を、「Mutant」は、1塩基欠失の見られた変異型対立遺伝子のDNA及びアミノ酸配列を夫々示す。尚、この様な1塩基欠失は健常人では検出されなかった。
次に、第23図に示す家系図を有する患者(図中3)の1塩基欠失を確認すると共に、その両親及(図中1及び2)び本疾患を有していない患者の姉妹(図中4)の遺伝子型を確認するため、NlaIV制限部位分析を行った。詳細には前述に記載の方法により、プライマー対を用いてエクソン5を増幅させた後、PCR産物をNlaIV(New England Biolabs Inc.,Massachusetts)で消化した。得られたPCR産物を3%ゲル(2%Agarose/1%NuSieve−Agaroseを含有)で電気泳動し、臭化エチジウムで可視化した。これらの結果を第26図に示す。第26図中、レーン1は父親、レーン2は母親、レーン3は本疾患を有する姉妹の患者、レーン4は健常な姉妹を夫々示す。
野生型対立遺伝子はエクソン5ではNlaIV部位として検出可能であり、NlaIVの消化により、2個の断片(159bpおよび68bp)に切断されるのに対し、1塩基欠失による変異型対立遺伝子は227bpの1個の断片となる。この制限部位分析によれば、本実施例の患者はエクソン5の1塩基欠夫による変異型ホモ接合体であるが、彼女の両親は野生型ヘテロ型接合体であり、一方、患者の健常な姉妹は野生型ホモ接合体であることが分かる。これらの結果は常染色体劣性の態様を示すものである。
実施例15:若年性パーキンソン病患者における本発明遺伝子の免疫組織学分析および免疫蛍光分析
本発明遺伝子(パーキンと略記する場合がある)の変異によって誘発される黒質(SN)の分子メカニズムを解明する為、本発明蛋白質に対する抗体を用い、若年性パーキンソン病(AR−JP)患者、散在性パーキンソン病(PD)患者、及び健常人の脳中における本発明蛋白質の局在化について調べた。
詳細には、15名のPD患者、3名のAR−JP患者、および8名の健常人について調べた。AR−JP患者のうち、ケース1及び2は姉妹で本発明遺伝子のエクソン4が欠失しており、コドン138の後の6個のアミノ酸がフレームシフトして生じたストップコドンのため、143個のアミノ酸が欠失している(truncated)。一方、ケース3のAR−JP患者は52歳の女性患者でエクソン3が欠失しており、58位のアミノ酸の後がフレームシフトして96位のアミノ酸でpremature termination(終了)していた。
また、本実施例では、2種類のウサギポリクローナル抗体(M−73及びM−74)、アルファシヌクレインに対するウサギポリクローナル抗体、ポリユビキチンに対するマウスモノクローナル抗体を夫々用いた。
まず、免疫組織学染色を以下の要領で実施した。ホルマリン固定パラフィンで包埋した上記被験者の中脳、前頭皮質小葉、及び被殻の各切片を、3’−3’−ジアミノベンジジンを用いたアビジン−ビオチン複合体標準法によって適切に希釈して可視化した後、抗パーキン抗体M−74、抗アルファシヌクレイン抗体、または抗ポリユビキチン抗体で処理した。また、二重免疫蛍光法は、ウサギ抗パーキン抗体M−74およびマウス抗ポリユビキチンモノクローナル抗体を用い、FITC結合ヤギ抗ウサギIgG(Dako,Carpinteria,CA),ビオチニル化したヤギ抗マウスIgG(Sigma,St Louis Mo)、およびアビジン−ローダミン(sigma)と共にインキュベーションし、蛍光性焦点(confocal)顕微鏡MRC−1024(Bio−Rad,Richmond,CA)で観察して実施した。これらの結果を第27図及び第28図に示す。
このうち第27図は、抗パーキン抗体M−74を用い、脳切片中の本発明遺伝子を免疫組織化学染色した顕微鏡写真であり、図中A〜CはPD患者(ケース2);D〜Fは健常人(ケース1);G〜IはAR−JP患者(ケース1)の結果を夫々示す。また、A,D,GはSN中のメラニン含有ニューロン;B,E,Hは被殻;C,F,Iは前頭皮質小葉の顕微鏡写真である。写真中、矢印はニューロンを、矢の根部分はニューロメラニン、バーの単位は50μmである。
第27図より、SN(青斑を含む)中のメラニン含有ニューロンは、PD患者および健常人中では強度に染色されたのに対し、AR−JP患者では染色されなかった(図中A,D,G)。また、SN中のメラニン含有ニューロンでは、細胞質、顆粒構造、およびニューロン突起は均一に染色されたが核は染色されず、グリア細胞では弱い染色が見られた(図中A−F)。一方、PD患者および健常人については、被殻および前頭皮質小葉中のニューロンは、細胞質および核周囲構造で弱く染色された(図中B,C,E,F)。
また、第28図は、脳切片中の本発明遺伝子、ポリユビキチン、及びアルファシヌクレインを免疫組織化学染色した顕微鏡写真であり、図中A〜Cは、PD患者(ケース1)のSN中メラニン含有ニューロンで、抗パーキン抗体M−74(Aの緑部分)及びモノクローナル抗ポリユビキチン抗体(Bの赤部分)が二重染色された写真;D〜FはPD患者(ケース1)の中脳横断面図で、抗アルファシヌクレイン抗体が染色された写真;G〜IはPD患者(ケース1)の中脳横断面図で、抗パーキン抗体M−74が染色された写真を夫々示す。図中、矢の根部分はLewy body,バーの単位は50μmである。
二重免疫蛍光を行った結果、SN中メラニン含有ニューロンのLewy bodyでは、抗パーキン抗体および抗ポリユビキチン抗体の両方が染色された(図中A〜C)。また、中脳横断面の染色結果より、PD患者のLewy bodyでは本発明遺伝子およびアルファシヌクレインの両方が局在化していることが分かった(図中D,E,G,H)。これに対し、AR−JP患者の脳組織では、この様な染色は見られなかった(データは示さず)。
以上の結果より、本発明蛋白質は、散在性PD患者及び健常人の脳中に観察されるのに対し、AR−JP患者の脳中には観察されないことが分かった。また、PD患者のLewy bodyのなかには本発明蛋白質が観察された。
実施例16:若年性パーキンソン病患者における本発明遺伝子のイムノブロット分析
実施例15に引続き、本発明蛋白質に対する抗体を用い、AR−JP患者、PD患者、及び健常人の脳中に存在する本発明遺伝子をイムノブロット分析した。
まず、上記被験者の前頭皮質小葉、黒質、および被殻の組織ブロックを、Potter−Elvehjemホモジナイザーを用い、等張シュクロース溶液(10mMのTris−HCl pH7.4,0.32Mのシュクロース,1mMの酢酸亜鉛,15μg/mのロイペプチン,5μg/mlのp−アミジノフェニル−メタン−スルホニルフルオリドの塩酸塩(APMSF)及び50ng/mlのペプスタチンを含有)でホモジナイズした。得られたホモジネート液を4回遠心分離し、細胞核分画(600×gで10分間遠心分離したペレット)、ミトコンドリア分画(7000×gで10分間遠心分離したペレット)、ミクロソーム分画(100,000×gで1時間遠心分離したペレット)、及びサイトゾル分画(900,000×gで1時間遠心分離した後の上清)を得た。更に900,000×gのペレットを、0.25Mシュクロース含有TES緩衝液で再懸濁した後、シュクロースを密度勾配法により積層した(0.25M,0.86M及び1.3M)後、SW28ローターで、4℃、28,000rpmで1時間遠心分離した。上層の脂質を吸引した後、0.5Mのシュクロース層と0.86Mのシュクロース層の間の中間面をゴルジ分画として集めた。
これら種々の分画中の蛋白質は、10%ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動によって分離した後、PVDF膜ブロット(Bio−Rad)に移した。このブロットは、0.05%のTween20及び5%ウシ血清アルブミン含有Tris緩衝生理食塩水(10mMのTris−HCl,pH7.6及び150mMのNaClを含有)中で、52℃で1時間浸漬した後、4℃で一晩、ブロキング溶液中にて、抗パーキン抗体M−74等の種々の抗体でプローブした。次いで、0.05%Tween20含有Tris緩衝生理食塩水で洗浄した。内部コントロールとして抗β−チュービュリン抗体(Amersham Life Science,Arlington,IL)を用い、Goljiマーカーとして抗γ−アダプチン抗体(Sigma)を用いた。次に、このブロットを、ペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ウサギ−IgG(Dako)および抗マウスIgG(Dako)で室温にて1時間処理した。得られた反応産物は化学蛍光試薬(chemi−Iuminescence)(Amersham.Buckinghamshire,UK)で可視化した。
得られた結果を第29図〜第31図に示す。これらは、抗パーキン抗体M−74を用い、種々のホモジネートにおける本発明蛋白質のイムノブロット分析結果を示す顕微鏡写真であり、このうち第29図は、3名の健常人(ケース1〜3)、3名のPD患者(ケース1〜3)、及び2名のAR−JP患者(ケース1,2)の前頭皮質小葉全ホモジネート(左側のゲルはサイズマーカー、β−チューブリンは内部マーカーである);第30図は、健常人(ケース1)の前頭皮質小葉組織の亜細胞分画(左から順に核、ミトコンドリア、ミクロソーム、サイトゾル、及びゴルジ体を夫々示す。尚、γ−アダプチンはゴルジマーカーである);第31図は2名の健常人(ケース1,2)及び2名のPD患者(ケース2,3)におけるSN、被殻及び前頭皮質小葉の全ホモジネートの結果を夫々示す。
その結果、PD患者および健常人の前頭皮質小葉全ホモジネート中には52kDaの本発明蛋白質(図中、Parkinと示す)が検出されたのに対し、AR−JP患者の前頭皮質小葉全ホモジネート中では検出されなかった(第29図)。また、PD患者には、41kDaの二番目の蛋白質バンド、おそらくパーキン蛋白質のプロセシングされた型が見られた。尚、抗体M−74の代わりに抗体M−73を用いても同様の結果が得られた(データは示さず)。
また、健常人の前頭皮質小葉ホモジネートの亜細胞分画では、サイトゾル分画およびゴルジ分画中に本発明蛋白質の大部分が検出されたのに対し、ミクロソーム分画では、少量の蛋白質しか検出されなかった(第30図)。
更に、健常人およびPD患者のSN、被殻および前頭皮質小葉のホモジネートをイムノブロットした結果、SN中には脳の他の部分に比べ、本発明蛋白質が豊富に存在していた(第31図)。このうちPD患者のSN中の本発明蛋白質は、黒質ニューロンの減少に従って明らかに減少していた。
以上の実験結果より、本発明蛋白質は、AR−JP患者の脳のいずれの領域においても検出されるのではなく、SN中のメラニン含有ニューロンに存在することが明らかになった。
実施例17:散発性パーキンソン病(PD)患者および健常人におけるパーキンの多型
本実施例では、PDにおける多型頻度を調査した。詳細には、160名のPD患者、および神経変性疾病の見られない160名の健常人を対象にし、以下の要領で遺伝性多型について分析した。尚、本実施例では40歳以下で発症した患者は除いており、発症平均年齢は55.4±10.7歳であった。PD患者の家族にはPDの履歴を有するものはなく、症状の日周変動も見られなかった。また、健常人の年齢は40〜98歳であった。
まず、上記被験者のゲノムDNAを末梢白血球から抽出し、抽出直後に用いるか、或いは分析時まで−20℃で保存した。本発明遺伝子のエクソン4及び10は、2個のプライマー対を用いてPCR法により増幅した(エクソン4:順方向のプライマー,5’−acaagcttttaaagagtttcttgt−3’,逆方向のプライマー,5’−aggcaatgtgttagtacaca−3’,エクソン10:順方向のプライマー,5’−attgccaaatgcaacctaatgtc−3’,逆方向のプライマー,5’−ttggaggaatgagtagggcatt−3’)。
エクソン4には167位のSerをAsn(S167N)に置換させる多型(G→A)、エクソン10には366位のArgをTrp(R366W)に置換させる多型(C→T)、および380位をValからLeuに置換(V380L)させる多型(G→C)が存在した。S167Nの対立遺伝子については制限酵素A1wNIにより(野生型のみ切断される)、R366Wの対立遺伝子は制限酵素NciIにより(野生型のみ切断される)、またV380Lの対立遺伝子は制限酵素Bsp1286Iによって(変異型のみ切断される)それぞれ野生型と変異型を識別できる。
詳細には、PCR産物を3%アガロースゲルで電気泳動した後、臭化エチジウムで可視化した結果、A1wNIでは50bp/131bpのバンド[第32図のA)];Nci1では68bp/97bpのバンド[第32図のB)];Bsp1286Iでは57bp/108bpのバンド[第32図のC)]が夫々検出された(第32図)。
尚、エクソン4に対するPCR条件は以下の通りである。最初に94℃で10分間の変性を行い、次いで94℃で30秒間の変性,53℃で1分間のアニーリング,72℃で1分間のエクステンションを1サイクルとして合計40サイクル行った後、最後に72℃で10分間のエクステンションを行う。また、エクソン10に対するPCR条件は以下の通りである。最初に94℃で10分間の変性を行い,94℃で30秒間の変性,55℃で30秒間のアニーリング,72℃で45秒間のエクステンションを1サイクルとして40サイクル行った後,最後に72℃で10分間のエクステンションを行う。
上記被験者について、野生型ホモ接合体(w/w),野生型/変異型ヘテロ接合体(w/m),及び変異型ホモ接合体(m/m)の頻度を調べた。
表4及び表5に、S167Nにおける対立遺伝子頻度および遺伝子型の頻度を示す。尚、表5中の予想頻度はハーディ・ワインベルグの平衡則に従って計算した。
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上記結果によれば、対立遺伝子及び遺伝子型の頻度は、PD患者と健常人の間で、いずれも有意な差は見られなかった。また、167位Serのホモ接合体及び167位のSerがAsnへ置換したヘテロ接合体の頻度は、両者の間で有意な差は見られなかった。
更に表5より、3種の遺伝子型の観察頻度は、健常人の予想頻度との間でも、患者の予想頻度との間でも有意な差は見られないことが分かった。尚、コンピューター解析により、この置換によって遺伝子産物の二次構造は変化していないことが明らかになった。
次に、V380Lにおける対立遺伝子頻度および遺伝子型の頻度を表6に示す。
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表6に示す通り、V380Lにおける対立遺伝子頻度は、PD患者と健常人の間で有意な差は見られなかった。また、その観察頻度は予想頻度と一致しており、多型変異によって遺伝子産物の二次構造は変化しないことも確認した。
次に、R366Wにおける対立遺伝子頻度および遺伝子型の頻度を表7に示す。
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R366Wにおいては、3種の遺伝子型の予想頻度は、PD患者および健常人の間で全く差がなかったが、R366Wの対立遺伝子頻度は、PD患者と健常人の間で有意な差が見られた。即ち、PD患者の対立遺伝子頻度は1.2%であるのに対し、健常人では4.4%であり、PD患者は健常人に比べて有意に低下していた。また、この対立遺伝子の保有についての健常人とPD患者間の違いの程度(odd ratio)は3.60であった。
また第33図は、R366Wのアミノ酸配列のhydropathy Indexをグラフ化したものであり、+は疎水性領域を、−は親水性領域を夫々示す。図中の矢印部分では、366位のArgがTrpに置換したため、親水性から疎水性へ変化したことを示している。
更に第34図はR366Wにおける二次構造の変化を示す図であり、366位のArgがTrpに置換したため、361位から376位のαヘリックス部分がβシート構造(360位から360位)へ変化したことが分かる。
以上の結果より、上述した3個の多型のうちS167N及びV380LはPDへの影響はないと考えられるのに対し、R366Wの遺伝子頻度はPD患者で非常に低く、上記odd ratioが3.60と算出されたことから、この対立遺伝子はPD発症阻止因子ではないかと示唆される。
産業上の利用可能性
本発明は以上の様に構成されており、パーキンソン病に関与する遺伝子が明らかにされたのみならず、該遺伝子の一部が欠失や変異等すると本疾患を惹起することも明白になった。従って、上記遺伝子の異常の有無を検出すれば本疾患の発症を容易に判断することが可能になり、パーキンソン病の早期発見に極めて有用である。
また、本発明遺伝子をパーキンソン病患者に導入して治療を行う所謂遺伝子治療も可能であり、本遺伝子を用いて得られる組換え蛋白質はパーキンソン病の予防・治療用医薬として有用である他、この組換え蛋白質に対する抗体(モノクローナル抗体やポリクローナル抗体)も本疾患の診断に用いることができる。更にこの組換え蛋白質を用いれば、パーキンソン病の予防・治療・診断に極めて有用な医薬物質も合成し得る等、パーキンソン病を中心とする種々の遺伝子治療・医薬物質等への発展に寄与できる点で本発明は極めて意義深いものである。
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1に用いたパーキンソン病患者の家系図を示す説明図。
第2図は、第1図のパーキンソン病患者を用い、PCR法によるハプロタイピングを行った結果を示す図。
第3図は、第1図のパーキンソン病患者及びその家族における遺伝子欠失の有無を示す図。
第4図は、実施例3で得られた、6個のcDNA断片と1個の完全長遺伝子の構成を示す図。
第5図は、本発明遺伝子のN末端部分のアミノ酸配列とユビキチンとの相同性を示す図。
第6図は、第1図のパーキンソン病患者及びその家族におけるゲノムDNA断片のEcoRI消化物をゲル電気泳動した結果を示す図。
第7図は、実施例7に用いたパーキンソン病患者の家系図を示す説明図。
第8図は、第7図のパーキンソン病患者及びその家族における遺伝子欠失の有無を示す図。
第9図は、実施例7で得られた、第7図のパーキンソン病患者のcDNA断片を示す図。
第10図は、ヒトの各種組織中に発現される本発明遺伝子のmRNAを示す図。
第11図は、ヒトの各種組織中に発現される本発明遺伝子のmRNAを示す図。
第12図は、実施例9に用いたパーキンソン病患者の家系図を示す説明図。
第13図は、第12図のパーキンソン病患者及びその家族における遺伝子欠失の有無を示す図。
第14図は、第12図のパーキンソン病患者及びその家族におけるゲノムDNA断片のEcoRI消化物をゲル電気泳動した結果を示す図。
第15図は、実施例10に用いたパーキンソン病患者の家系図を示す説明図。
第16図は、第15図のパーキンソン病患者及びその家族における遺伝子欠失の有無を示す図。
第17図は、実施例11に用いたパーキンソン病患者の家系図を示す説明図。
第18図は、第17図のパーキンソン病患者及びその家族における遺伝子欠失の有無を示す図。
第19図は、実施例12に用いたパーキンソン病患者の家系図を示す説明図。
第20図は、第19図のパーキンソン病患者及びその家族における遺伝子欠失の有無を示す図。
第21図は、実施例13に用いたパーキンソン病患者の家系図を示す説明図。
第22図は、第21図のパーキンソン病患者及びその家族における遺伝子欠失の有無を示す図。
第23図は、実施例14に用いたパーキンソン病患者の家系図を示す説明図。
第24図は、野生型対立遺伝子及び変異型対立遺伝子のエクソン5からのPCR産物の直接配列を示すクロマトグラム。
第25図は、野生型(W)パーキン遺伝子のDNA配列及びアミノ酸配列、並びに1塩基欠失を有する変異型(M)パーキン分子の予想される配列を示す図。
第26図は、実施例14のPCR産物のN1aIV制限部位分析の結果を示す図。
第27図は、脳切片中に発現される本発明遺伝子の免疫組織化学染色の結果を示す顕微鏡写真。
第28図は、脳切片中に発現される本発明遺伝子、ポリユビキチン、及びαシヌクレインの免疫染色の結果を示す顕微鏡写真。
第29図は、健常人、PD患者及びAR−JP患者の前頭皮質小葉全ホモジネートをイムノブロットした結果を示す図。
第30図は、健常人の前頭皮質小葉亜細胞分画をイムノブロットした結果を示す図。
第31図は、健常人、PD患者及びAR−JP患者のSN、被殻及び前頭皮質小葉をイムノブロットした結果を示す図。
第32図は、エクソン4及び10からのPCR産物をゲル電気泳動した結果を示す図。
第33図は、本発明蛋白質のアミノ酸配列をHydropathy plotしたグラフ。
第34図は、366位のArgがTrpへ置換するのに伴い、αヘリックス部分がβシート構造に変化する様子を説明する図。

Claims (15)

  1. 下記(a)または(b)のDNAまたは遺伝子。
    (a)配列表の配列番号1または2に記載の塩基配列全長であり、
    (b)それら若しくはそれらの相補鎖にハイブリダイズする塩基配列からなる、パーキンソン病の予防・治療・診断に用いられるDNAまたは遺伝子であって配列表の配列番号1に記載の1〜465のアミノ酸配列からなる蛋白質、または配列表の配列番号2に記載の1〜437のアミノ酸配列からなる蛋白質をコードする、DNAまたは遺伝子
  2. 配列表の配列番号1または2に記載の塩基配列に対して、エクソン4、またはエクソン3と4欠失されたものである請求項1に記載のDNAまたは遺伝子。
  3. 配列表の配列番号1または2に記載の塩基配列に対して、配列GGT(コドン179)から1個のグアノシンが除去される1塩基欠失である、請求項1に記載のDNAまたは遺伝子。
  4. 配列表の配列番号1または2に記載の塩基配列に対して、366位のArgをTrpに置換させ多型である請求項1に記載のDNAまたは遺伝子。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のDNAまたは遺伝子を含有する組換えベクター。
  6. 配列表の配列番号1に記載の塩基配列長は、12個の各エクソン間に11個のイントロン配列をゲノム上で介在させており、該塩基配列の内102〜1496の部分的配列には、1〜465のアミノ酸配列をもつ蛋白質をコードする請求項1に記載の遺伝子。
  7. 前記エクソンとイントロンの境界領域におけるイントロンの塩基配列は、下記構成よりなるものである請求項6に記載の遺伝子。
    エクソン1とエクソン2の間に介在するイントロンは、エクソン1の3’末端に隣接して配列表の配列番号3に記載の塩基配列を有し、エクソン2の5’末端に隣接して配列表の配列番号4に記載の塩基配列を有し、
    エクソン2とエクソン3の間に介在するイントロンは、エクソン2の3’末端に隣接して配列表の配列番号5に記載の塩基配列を有し、エクソン3の5’末端に隣接して配列表の配列番号6に記載の塩基配列を有し、
    エクソン3とエクソン4の間に介在するイントロンは、エクソン3の3’末端に隣接して配列表の配列番号7に記載の塩基配列を有し、エクソン4の5’末端に隣接して配列表の配列番号8に記載の塩基配列を有し、
    エクソン4とエクソン5の間に介在するイントロンは、エクソン4の3’末端に隣接して配列表の配列番号9に記載の塩基配列を有し、エクソン5の5’末端に隣接して配列表の配列番号10に記載の塩基配列を有し、
    エクソン5とエクソン6の間に介在するイントロンは、エクソン5の3’末端に隣接して配列表の配列番号11に記載の塩基配列を有し、エクソン6の5’末端には配列表の配列番号12に記載の塩基配列を有し、
    エクソン6とエクソン7の間に介在するイントロンは、エクソン6の3’末端に隣接して配列表の配列番号13に記載の塩基配列を有し、エクソン7の5’末端には配列表の配列番号14に記載の塩基配列を有し、
    エクソン7とエクソン8の間に介在するイントロンは、エクソン7の3’末端に隣接して配列表の配列番号15に記載の塩基配列を有し、エクソン8の5’末端には配列表の配列番号16に記載の塩基配列を有し、
    エクソン8とエクソン9の間に介在するイントロンは、エクソン8の3’末端に隣接して配列表の配列番号17に記載の塩基配列を有し、エクソン9の5’末端には配列表の配列番号18に記載の塩基配列を有し、
    エクソン9とエクソン10の間に介在するイントロンは、エクソン9の3’末端に隣接して配列表の配列番号19に記載の塩基配列を有し、エクソン10の5’末端に隣接して配列表の配列番号20に記載の塩基配列を有し、
    エクソン10とエクソン11の間に介在するイントロンは、エクソン10の3’末端に隣接して配列表の配列番号21に記載の塩基配列を有し、エクソン11の5’末端に隣接して配列表の配列番号22に記載の塩基配列を有し、
    エクソン11とエクソン12の間に介在するイントロンは、エクソン11の3’末端に隣接して配列表の配列番号23に記載の塩基配列を有し、エクソン12の5’末端に隣接して配列表の配列番号24に記載の塩基配列を有する。
  8. 請求項1〜4、6、および7のいずれかに記載のDNAまたは遺伝子によってコードされた蛋白質。
  9. 配列表の配列番号1に記載の1〜465のアミノ酸配列、または配列表の配列番号2に記載の1〜437のアミノ酸配列からなる請求項8に記載の蛋白質。
  10. 配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列の内1〜72のユビキチン様部分的アミノ酸配列を含有し、 配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列の内418〜449のジンクフィンガー蛋白質様部分的アミノ酸配列を含有する請求項8に記載の蛋白質。
  11. 請求項8〜10のいずれかに記載の蛋白質に対するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体。
  12. 下記(1)〜(4)のいずれかの塩基配列を有するプライマーセットであり、請求項1〜4、6、および7のいずれかに記載のDNAまたは遺伝子の塩基配列、遺伝的変異、欠損、発現量を調べることに用いるか、或いはそれらの濃縮に用いるプライマーセット。
    (1)請求項1に記載のパーキンソン病の予防・治療・診断に用いられる遺伝子のエクソン3と隣接するイントロンの塩基配列、またはその遺伝子座を調べることに用いるものであり、配列番号1のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号29に記載の塩基配列と、配列番号1の相補鎖のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号30に記載の塩基配列を有する。
    (2)請求項1に記載のパーキンソン病の予防・治療・診断に用いられる遺伝子のエクソン4と隣接するイントロンの塩基配列、またはその遺伝子座を調べることに用いるものであり、配列番号1のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号31に記載の塩基配列と、配列番号1の相補鎖のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号32に記載の塩基配列を有する。
    (3)請求項1に記載のパーキンソン病の予防・治療・診断に用いられる遺伝子のエクソン4と隣接するイントロンの塩基配列、またはその遺伝子座を調べることに用いるものであり、配列番号1のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号33に記載の塩基配列と、配列番号1の相補鎖のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号34に記載の塩基配列を有する。
    (4)請求項1に記載のパーキンソン病の予防・治療・診断に用いられる遺伝子のエクソン5と隣接するイントロンの塩基配列、またはその遺伝子座を調べることに用いるものであり、配列番号1のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号35に記載の塩基配列と、配列番号1の相補鎖のゲノム上での5’−3’方向に沿って配列表の配列番号36に記載の塩基配列を有する。
  13. 配列表の配列番号1または配列番号2に記載の各エクソン配列の塩基配列、遺伝的変異、欠損を調べることに用いるか、或いはその遺伝子座のハプロタイピングに用いる、請求項12に記載のプライマーセット。
  14. 請求項7に記載の各イントロン配列の塩基配列、遺伝的変異、欠損を調べることに用いるか、或いはその遺伝子座のハプロタイピングに用いる、請求項12に記載のプライマーセット。
  15. パーキンソン病の予防・治療・診断に用いられる遺伝子のエクソンと隣接するイントロンの塩基配列、またはその遺伝子座を調べるための、請求項12〜14のいずれかに記載のプライマーセットの使用。
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