JP4430445B2 - アンカー用せん断試験機 - Google Patents

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Description

本発明は、躯体表面から一端が露出した状態で前記躯体に固着されたアンカーのせん断試験を行うせん断試験機に関する。
従来、コンクリート等の躯体に固着されたアンカーのせん断試験を行うせん断試験機としては、例えば、図5に記載された装置がある。図5に示すせん断試験機30においては、躯体2の表面3に固定されたアンカー1は、油圧シリンダー32の先端に設けられた連結具33に連結されている。油圧シリンダー32は、アンカー1が固定された躯体2の表面3とこの表面3に垂直な縁端4との間に跨がるように固定された反力台31に設置されている。油圧シリンダー32は、反力台31を介して躯体2の縁端4に反力を取ることにより、躯体表面3に沿ったせん断力をアンカー1に加えることができる。アンカー1に加えられた荷重は、油圧シリンダー32に取り付けられたロードセル34及びこのロードセル34に接続された荷重指示計35によって測定される。また、躯体2に対する連結具33の変位は、連結具33に当接された変位計36によって測定される。
また、特許文献1には、引張強度が機知の基準ピースの一端部に、アンカーの躯体表面から露出した部分(露出部)を着脱自在に連結するとともに、基準ピースにせん断力を与える引張機構が前記基準ピースの他端部に着脱自在に連結されたせん断試験機が記載されている。
特開平10−197427号公報
図5に示すようなせん断試験機の場合、油圧シリンダー32の反力を取るために反力台31を躯体2のコーナー部に設置する必要があり、躯体2の縁端4がないと試験をすることができない。また、大型で非常に重たく取り扱いが大変であるため、ほとんどの場合は研究所の実験室内などで使用されており、柱や壁や天井や床など、工事現場の躯体に固着されたアンカーを試験することは難しいのが実情である。
特許文献1に記載されたせん断試験機の場合、基準ピースが破断するか否かでアンカーのせん断強度が求められるため、引張強度が基準ピースの強度以上か以下といった簡易的な判定にしか用いることができない。例えば、荷重と変位の関係(荷重−変位曲線)を測定することは不可能である。また、基準ピースは、アンカーの露出部の外周に取り付けられた連結部材に横からネジで螺着されているので、アンカーの露出高さがある程度高くないと取り付けが難しい。このため、躯体表面からの露出高さが低いタイプのアンカーの試験に適用することができない。また、荷重が大きいとアンカーの曲がりや抜け出しと共に徐々に引張機構が浮き上がり、加力の方向が躯体表面に対して徐々に傾斜して引張方向になるので、せん断試験の精度や信頼性が低下するという問題もある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、アンカーのせん断試験を工事現場で簡便に実施することが可能なアンカー用せん断試験機を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、躯体表面から一端が露出した状態で前記躯体に固着されたアンカーのせん断試験を行うせん断試験機であって、前記躯体表面に沿って配設される本体部および前記本体部から前記躯体表面の反対側に突設された突出部を有し、前記本体部が前記アンカーの前記躯体表面から露出した露出部に着脱可能に連結することが可能になっている支圧板と、固定アンカーによって前記躯体表面に着脱可能に固定される反力台と、前記反力台上に載置されると共に前記反力台に反力を取って前記支圧板の突出部に対して前記躯体表面に沿った駆動力を付与する駆動源と、前記駆動源による荷重を測定する荷重測定器とを備え前記反力台は、前記支圧板の突出部と前記アンカーの露出部との間で前記支圧板の本体部を跨ぐように門形に形成されており、前記固定アンカーが前記支圧板を介した両側に配置され、前記支圧板が浮き上がると、前記支圧板の上に配置された前記反力台と接触することで前記支圧板の浮き上がりが抑制されることを特徴とするアンカー用せん断試験機を提供する。
このアンカー用せん断試験機においては、前記支圧板の前記躯体に対する変位を測定する変位計を備えることが好ましい。変位計は、支圧板に当接されていることが好ましい。
本発明のアンカー用せん断試験機によれば、供試アンカーが固着された躯体表面に反力台を固定することができるので、供試アンカーの位置が躯体縁端付近でなくとも、アンカーのせん断試験を行うことができる。
駆動源が支圧板の突出部に対して駆動力を付与するようになっているので、供試アンカーに係合される本体部を薄型化でき、躯体表面からの露出高さの低いアンカーを試験することも可能である。
反力台は、支圧板の本体部を跨ぐように門形に形成されているので、供試アンカーの曲がりや抜け出しが生じた場合でも、支圧板の上に反力台の載置部が配置されているので、支圧板の浮き上がりを抑制することができる。これにより、せん断力から引張力への変換を抑制して、せん断試験の精度や信頼性を確保することができる。
固定アンカーが支圧板を介した両側に施工されているので、支圧板からの反力を均等に受けることができる。従って、固定アンカーに掛かる力の方向が偏って測定が不正確になったり、固定アンカーに無理な力がかかって固定アンカーの曲がりや抜け出しが生じたりするおそれがなく、より正確に試験を実施することができる。
以下、最良の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明のアンカー用せん断試験機の一例を示す図面であり、図1(a)は平面図、図1(b)は正面図、図1(c)は左側面図である。図2は、図1のアンカー用せん断試験機の縦断面図である。
本形態例のアンカー用せん断試験機10は、コンクリート等の躯体2の表面3に沿って配設される本体部12およびこの本体部12から前記躯体表面3の反対側に突設された突出部13を有する支圧板11と、固定アンカー21によって躯体表面3に着脱可能に固定される反力台20と、この反力台20上に載置されると共に前記反力台20に反力を取って支圧板11の突出部13に対して躯体表面3に沿った駆動力を付与する駆動源14と、この駆動源14による荷重を測定する荷重測定器15と、前記支圧板11の躯体2に対する変位を測定する変位計16を備える。
ここで、試験対象のアンカー1(以下、供試アンカーという場合がある)は、躯体2の表面3から一端1a(露出部)が露出し、残りの部分(埋没部1b)が躯体2に形成された下孔5に挿入されている。アンカー1は、金属拡張アンカー(埋没部1bが拡開することにより下孔5の内面に係合する方式)や接着系アンカー(接着剤の硬化により下孔5の内面に接着固定される方式)など種々の方式が知られており、本発明のせん断試験機10は、躯体表面3からアンカー1の一端が露出するものである限り、いずれの方式のアンカーにも適用可能である。
図1,図2に示すように、支圧板11は、長矩形板状の本体部12と、この本体部12の一端部12aから本体部12の長手方向(図2の左右方向)に垂直に突設された突出部13を有する。本体部12および突出部13は、剛性のある金属などから形成することができる。
支圧板11は、後述する駆動源14によって本体部12の長手方向に沿って駆動され、躯体表面3に沿うせん断方向となるように、供試アンカー1に駆動力を伝達する。ここでは、支圧板11は駆動源14に押圧されることにより本体部12の長手方向に沿って変位し、図2の左向きに供試アンカー1にせん断力を加える。以下の説明では、支圧板11が移動方向に沿う軸線方向(図2の左右方向)を「加力方向」、支圧板11の移動先の側(図2の左側)を「加力方向前側」、支圧板11の移動元の側(図2の右側)を「加力方向後側」ということにする。
突出部13は、図2に示すようにL字形に屈曲された板状部材であり、固定ネジ(固定具)11aによって本体部12の一端12a側に固定されている。また、本体部12の前記一端12aに対向する側である他端12b側には、供試アンカー1の露出部1aが係合される係合穴12c(貫通穴)が形成されており、供試アンカー1の露出部1aに支圧板11を着脱可能に連結することが可能になっている。係合穴12cには、ブシュ12dを装着することができる。
本体部12の他端面12bには、躯体2に対する支圧板11の変位を測定する変位計16が当接されている。
なお、ここでは、支圧板11は、本体部12と突出部13とを別部材から形成してこれらを一体化した構成としたが、本発明は特にこれに限定されるものではなく、本体部12と突出部13とを一部材から形成しても良い。また、本体部12と突出部13とを別部材から形成する場合でも、これらを一体化する方式は特にネジに限定されるものではなく、溶接などによって接合することも可能である。
反力台20は、支圧板11の本体部12を介した両側に配置された一対の脚部22と、両脚部22,22を支圧板11の本体部12の上側(図2の上側;背板部24が突設された側)で橋絡する板状の載置部23とを有し、支圧板11の本体部12を跨ぐように門形に形成されている。ここでは、両脚部22,22は、支圧板11の長手方向に沿う寸法が載置部23よりも大きく取られており、躯体2の表面3上に安定して載置することができる。
載置部23は、支圧板11の本体部12の上方に配置されており、支圧板11の変位を妨げないように、載置部23と本体部12との間にはクリアランスCが確保されている。このように、反力台は支圧板の本体部を跨ぐように配設されているので、供試アンカーの曲がりや抜け出しが生じた場合でも、支圧板の上に反力台の載置部が配置されているので、支圧板の浮き上がりを抑制することができる。支圧板の浮き上がりを抑制するためには、前記クリアランスCは、なるべく小さいことが好ましい。
反力台20の載置部23の上には、駆動源14としてのシリンダーが載置されている。シリンダー14の先端面14aは、ロードセル15を介して支圧板11の突出部13に対向配置されており、シリンダー14の駆動力は支圧板11の突出部13に伝達される。ロードセル15は、シリンダー14の荷重を測定する荷重測定器15として機能するものである。
載置部23の上には、シリンダー14の先端面14aと反対側の背面14bに当接するように背板部24が突設されており、シリンダー14は、固定ネジ14cによって反力台20の背板部24に固定されている。また、ロードセル15は、固定ネジ15aによって支圧板11の突出部13に固定されている。
シリンダー14の先端面14aとロードセル15との間は、当接しているだけで互いに連結されてはおらず、ロードセル15付きの支圧板11と、油圧シリンダー14付きの反力台20とは、互いに分離可能になっている。
油圧シリンダー14の先端面14aは、例えば平面であっても良いが、ここでは凸の曲面(例えば球面)になっている。先端面14aが凸状になっていることにより、先端面14aとロードセル15とが接触し合う向きの許容範囲をより大きく確保でき、反力台20を躯体2に固定し、支圧板11を供試アンカー1に係合した後で、シリンダー14の駆動方向と支圧板11の長手方向とに多少のズレがあったとしても、シリンダー14の駆動力を突出部13に適切に伝達することができる。
各脚部22,22には、固定アンカー施工穴25a〜25cとレベル調整ネジ取付穴26とがそれぞれ複数形成されている。
固定アンカー施工穴25a〜25cの個数や配置等は特に限定されるものではないが、本形態例においては、固定アンカー施工穴25a〜25cは、脚部22の加力方向前側の端面22a側に2箇所(符号25a)と、脚部22の加力方向後側の端面22b側に2箇所(符号25b)と、脚部22の加力方向の中央部に2箇所(符号25c)、合計6箇所に形成されている。
固定アンカー施工穴25a〜25cは、反力台20を躯体2に固定するための固定アンカー21が挿通される貫通穴であり、図示したものは加力方向に垂直な方向に長い長穴であるが、円形穴などであってもよい。固定アンカー21としては、例えばねじ込み式などにより躯体2に着脱可能に取り付けられる種類のアンカーが用いられる。
固定アンカー1は、支圧板11に対して加力方向に垂直な位置(支圧板11の両側)に2本単位で対称的に配置される。これにより、駆動源14の駆動力に対して供試アンカー1から受ける反力が反力台20に作用した際に、反力台20が本来の加力方向から傾いてしまうといった不都合が避けられる。また、反力台20を複数の固定アンカー1で固定することにより、反力台20を躯体2により確実に固定することができ、供試アンカー1からの反力に耐えることができる。
固定アンカー施工穴25a〜25cに施工される固定アンカー1の本数は、荷重の大きさや躯体2の状態などの条件に応じて増減できる。例えば荷重が高い場合や躯体2の状態が悪い場合などには、アンカーの本数を4本または6本と増やすことができる。逆に荷重が比較的低い場合などには、図1に示すようにアンカーの本数を2本とすることができる。
固定アンカー施工穴のうち、反力台20の脚部22の両端面22a,22b側のもの(符号25a,25b)には、それぞれ脚部22の端面22a,22bから貫通したボルト取付穴29が形成されており、このボルト取付穴29には受圧用のボルト28を取り付けることができる。
図1,図2では、固定アンカー21は、加力方向前側にあたる反力台20の背板部24と反対側の固定アンカー施工穴25aに挿入され、躯体2に施工されている状態を図示している。また、固定アンカー施工穴25aに連通したボルト取付穴29には受圧ボルト28が挿入されており、受圧ボルト28の先端は該ボルト28の軸に垂直な平面であり、固定アンカー21の側面に当接している。
このように、受圧ボルト28の先端28aを反力台20の加力方向前側に配置された固定アンカー21の側面に当接させることにより、固定アンカー21が躯体2に施工された位置にズレがある場合でも、反力台20が加力方向後側に向かう反力を受けた際に、力を反力台20の両脚部22,22の固定アンカー21に均等に作用させることができる。従って、固定アンカー21が反力台20をより確実に支持することができる。
レベル調整ネジ取付穴26は、反力台20の水平を調整するためのレベル調整ネジ27が挿通される雌ネジ穴であり、図1(a)に示す平面視で4箇所に形成されている。
それぞれのレベル調整ネジ取付穴26にはレベル調整ネジ27(ボルト)が螺合されている。それぞれのレベル調整ネジ27を回し、レベル調整ネジ27の先端27aが反力台20の脚部22の底面22cから露出する長さを調整することにより、反力台20の水平を調整することができる。
本形態例のアンカー用せん断試験機10の使用方法の一例を説明する。
まず、アンカー用せん断試験機10の設置は、供試アンカー1の露出部1aを支圧板11の係合穴12cに係合させ、レベル調整ネジ27によって反力台20の水平を調整する。固定アンカー施工穴25aを通してドリルなどにより躯体2に下孔6を開け、この下孔6に固定アンカー1を施工することで反力台20を躯体2に固定する。
支圧板11の加力方向後側の端面12bに変位計16を当接させる。ロードセル15および変位計16の出力信号は、図示しないコンピュータによって保存や解析することができる。
なお、図4に示すように、支圧板11と躯体表面3との摩擦を低減するため、躯体表面3に支圧板11を載置する際に、図5に示すように、フッ素樹脂(PTFE、テフロン(登録商標))の樹脂シート17aと薄鋼板17bとが貼着された積層体17を2枚、樹脂シート17a側を向かい合わせて重ね合わせ、樹脂シート17a同士の間に石鹸水18の膜を形成したものを支圧板11と躯体表面3との間に挟み込むことができる。これにより、より正確にせん断試験を行うことができる。また、この種の摩擦低減の方法は、支圧板11上面と反力台20の載置部23との間のクリアランスに適用することも可能である。
駆動源14を駆動させ、支圧板11を介して供試アンカー1にせん断力を付与する。ロードセル15の計測値によって、供試アンカー1に付与された荷重を測定することができる。また、変位計16によって測定された変位を組み合わせることにより、荷重−変位曲線を求めることができる。
本形態例のアンカー用せん断試験機10の場合、供試アンカー1が所定の荷重に耐えられることを確認する確認試験(非破壊試験)も、供試アンカー1の破断強度を計測する破壊試験も、実施することができる。
固定アンカー21は躯体2に対して着脱可能であるので、せん断試験の終了後に除去することができる。つまり、固定アンカー21を抜いて、躯体2から反力台20を取り外し、アンカー用せん断試験機10を試験の現場から回収することができる。
固定アンカー21を抜いたあとに残った下孔6は、モルタル等を充填することによリ補修することができる。
このように、本形態例のアンカー用せん断試験機によれば、供試アンカーが固着された躯体表面に反力台を固定することができるので、供試アンカーの位置が躯体縁端付近でなくとも、アンカーのせん断試験を容易且つ簡便に実施することができる。また、躯体表面と躯体縁端に跨がるような大型の反力台(図5の符号31参照)を使用する必要がなく、反力台をコンパクトに構成でき、試験機を小型化することができる。
駆動源が支圧板の突出部に対して駆動力を付与するようになっているので、供試アンカーに係合される本体部を薄型化しても、支圧板に対して駆動源の駆動力を確実に付与することができ、躯体表面からの露出高さの低いアンカーを試験することも可能となる。
反力台は、支圧板の本体部を跨ぐように門形に形成されているので、供試アンカーの曲がりや抜け出しが生じた場合でも、支圧板の上に反力台の載置部が配置されているので、支圧板の浮き上がりを抑制することができる。これにより、せん断力から引張力への変換を抑制して、せん断試験の精度や信頼性を確保することができる。
固定アンカーが支圧板を介した両側に施工されているので、支圧板からの反力を均等に受けることができる。従って、固定アンカーに掛かる力の方向が偏って測定が不正確になったり、固定アンカーに無理な力がかかって固定アンカーの曲がりや抜け出しが生じたりするおそれがなく、より正確に試験を実施することができる。
次に、本発明のアンカー用せん断試験機の改変例について説明する。
図3は、本発明のアンカー用せん断試験機の改変例を示す図面であり、図3(a)は平面図、図3(b)は正面図である。
図3において、図1,図2で用いた符号と同一の符号は、図1,図2に示す構成と同一または同様であることを表し、重複する説明を省略する。
本改変例のアンカー用せん断試験機においては、支圧板11が反力台20の駆動源14から加力方向前側(図3の左側)に延びており、図3(a)に示すように、平面視で支圧板11と反力台20の載置部23とは重なり合っていない。
図3では、固定アンカー21は、加力方向前側にあたる反力台20の背板部24側に形成された固定アンカー施工穴25cに固定アンカー21が挿入され、躯体2に施工されている。また、前記固定アンカー施工穴25cに連通したボルト取付穴29には受圧ボルト28が挿入されており、受圧ボルト28の先端は該ボルト28の軸に垂直な平面であり、固定アンカー21の側面に当接している。
このようにアンカー用せん断試験機10を構成した場合でも、供試アンカーが固着された躯体表面に反力台を固定することができるので、供試アンカーの位置が躯体縁端付近でなくとも、アンカーのせん断試験を容易且つ簡便に実施することができる。
また、固定アンカーが支圧板を介した両側に施工されているので、支圧板からの反力を均等に受けることができる。従って、固定アンカーに掛かる力の方向が偏って測定が不正確になったり、固定アンカーに無理な力がかかって固定アンカーの曲がりや抜け出しが生じたりするおそれがなく、より正確に試験を実施することができる。
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、上記各形態例においては、駆動源として支圧板の突出部を押圧するものを用いたが、本発明は特にこれに限定されるものではなく、支圧板の突出部を引っ張るもの、あるいは押圧と引張を切替可能なものを用いることもできる。駆動源が支圧板を引っ張ることで支圧板にせん断力を付与する場合でも、受圧用のボルトは、押圧の場合と同様に、加力方向前側にあたる箇所から固定アンカーに当接させられる。
駆動源としては、特に限定なく、油圧式、電動式、ポンプ式、ネジ式など、種々の駆動方式を利用することができる。
本発明は、柱や壁や天井や床など工事現場の躯体に固着されたアンカーのせん断試験に利用することができる。もちろん、研究所や試験所などでも好適に用いることができる。
本発明のアンカー用せん断試験機の一例を示す(a)平面図、(b)正面図、(c)左側面図である。 図1のアンカー用せん断試験機の縦断面図である。 本発明のアンカー用せん断試験機の改変例を示す(a)平面図、(b)正面図である。 支圧板と躯体表面の間の摩擦を低減する方法の一例を説明する図である。 従来のアンカー用せん断試験機の一例を示す概略構成図である。
符号の説明
1…アンカー(供試アンカー)、1a…アンカーの露出部、2…躯体、3…躯体表面、
10…アンカー用せん断試験機、11…支圧板、12…支圧板の本体部、13…支圧板の突出部、14…駆動源、15…荷重測定器、16…変位計、20…反力台、21…固定アンカー。

Claims (3)

  1. 躯体表面から一端が露出した状態で前記躯体に固着されたアンカーのせん断試験を行うせん断試験機であって、
    前記躯体表面に沿って配設される本体部および前記本体部から前記躯体表面の反対側に突設された突出部を有し、前記本体部が前記アンカーの前記躯体表面から露出した露出部に着脱可能に連結することが可能になっている支圧板と、
    固定アンカーによって前記躯体表面に着脱可能に固定される反力台と、
    前記反力台上に載置されると共に前記反力台に反力を取って前記支圧板の突出部に対して前記躯体表面に沿った駆動力を付与する駆動源と、
    前記駆動源による荷重を測定する荷重測定器とを備え、
    前記反力台は、前記支圧板の突出部と前記アンカーの露出部との間で前記支圧板の本体部を跨ぐように門形に形成されており、前記固定アンカーが前記支圧板を介した両側に配置され、前記支圧板が浮き上がると、前記支圧板の上に配置された前記反力台と接触することで前記支圧板の浮き上がりが抑制されることを特徴とするアンカー用せん断試験機。
  2. 前記支圧板の前記躯体に対する変位を測定する変位計を備えることを特徴とする請求項に記載のアンカー用せん断試験機。
  3. 前記変位計は、前記支圧板に当接されていることを特徴とする請求項2に記載のアンカー用せん断試験機。
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