JP4430256B2 - 車両用施解錠装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用施解錠装置に係り、詳しくは機械鍵を用いることなく車両用ドア錠を施解錠する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車においては、その基本性能や安全性の向上はもとより、その操作性の向上が求められている。従来、その一例として、スマートエントリ機能を有する車両用施解錠装置が提案されている。
【0003】
スマートエントリ機能とは、車両の所有者(運転者)が車両に近接した際にドア錠を自動的に解錠し、運転者が車両から離れた際にドア錠を自動的に施錠する機能である。
【0004】
こうした車両用施解錠装置は、通常、運転者が携帯する携帯機と車両内に搭載される通信制御装置とによって構成されている。通信制御装置は、車両周辺の所定領域にリクエスト信号を間欠的に出力するようになっている。そのリクエスト信号を携帯機が受信した場合、すなわち携帯機がリクエスト信号の出力領域内に入ったとき、携帯機はそのリクエスト信号に応答して所定のIDコードを含む送信信号を送信する。通信制御装置は、リクエスト信号に応答した送信信号を受信すると、送信信号に含まれるIDコードと自身に予め設定されたIDコードとを比較し、それらIDコード同士が一致したときにドア錠を解錠する。また、通信制御装置は、該送信信号を受信できなくなったときにドア錠を施錠する。このため、運転者は、何の操作を行うことなくドア錠を施解錠することができ、車両操作性が向上する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両の操作性をより向上させるために、スマートエントリ機能をトランクにも適用することが考えられる。このようにすれば、両手が塞がった状態でトランクを開こうと場合などにトランクを開ける操作が不要となり、操作性が向上する。
【0006】
しかしながら、スマートエントリ機能をトランクにも適用した場合、トランク錠を解錠する際に問題は生じないものの、トランクを再びロックするためには人による作業が必要となる。つまり、運転者は車両に近づくたびにトランクを施錠することが必要となってしまい、かえって車両の操作性が悪化するとともにトランクの閉め忘れが生じるおそれもある。よって、スマートエントリ機能をトランクに適用することは困難であった。
【0007】
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、トランク錠を解錠するための操作性を向上させることができる車両用施解錠装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、所有者によって所持される携帯機と、車両内に配設され、前記携帯機に対して送信信号の送信を要求するリクエスト信号を少なくとも車両外部の所定領域に出力し、そのリクエスト信号に応答して送信された前記携帯機からの送信信号を受信したときにドア錠を解錠させ、該送信信号を受信できなくなったときに該ドア錠を施錠させる通信制御装置とを備える車両用施解錠装置において、前記携帯機は、操作部を有し、その操作部が所定の態様で操作されたときにトランク開モードとなり、そのトランク開モードで前記リクエスト信号を受信した際にトランク錠を解錠させるための信号を含む前記送信信号を送信し、前記通信制御装置は、そのトランク開信号を受信したときに、前記ドア錠を解錠させるとともにトランク錠を解錠させることを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の車両用施解錠装置において、前記携帯機は、前記トランク開モードとなってから所定時間経過後に同トランク開モードを解除することを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の車両用施解錠装置において、前記携帯機は、前記トランク開モードとなった際にその旨を告知する告知手段を有することを要旨とする。
【0011】
以下、本発明の「作用」について説明する。
請求項1に記載の発明によると、携帯機の操作部が所定の態様で操作されたときにのみ、携帯機の車両への近接によってトランク錠が解錠される。このため、所有者の意思を反映したトランク錠の解錠を行うことが可能となる。しかも、車両に近づく前に予め携帯機をトランク開モードにしておけば、所有者は車両に近づいた際に何ら操作を行うことなくトランク錠を解錠することが可能となる。よって、例えば雨降り時に傘と荷物とによって両手が塞がってしまう場合などに屋内で予め携帯機をトランク開モードにしておけば、車両に近づいた際にトランク錠を解錠する操作が不要となり、操作性が向上する。
【0012】
請求項2に記載の発明によると、トランク開モードは所定時間だけ有効となる。すなわち、所有者が携帯機をトランク開モードにしてから所定時間以上経過した後に車両に近づいても、トランク錠が解錠されてしまうことがない。よって、例えば所有者が携帯機をトランク開モードにしたことを忘れてしまった場合などにトランク錠が解錠されてしまうことが防止される。
【0013】
請求項3に記載の発明によると、所有者は、携帯機がトランク開モードであるか否かを容易に認識可能となる。よって、所有者の意思に反したトランク錠の解錠が確実に防止される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図5に基づき詳細に説明する。
図1に示すように、車両用施解錠装置1は、車両2の所有者(運転者)に所持される携帯機11と、車両2に搭載される通信制御装置21とを備えている。
【0015】
携帯機11は、受信回路12、送信回路13、マイクロコンピュータ(マイコン)14、操作部15及び告知手段としての表示部16を備えている。
受信回路12はマイコン14に接続され、通信制御装置21からのリクエスト信号を受信したときに、その信号をパルス信号に復調してマイコン14に入力するようになっている。送信回路13はマイコン14に接続され、同マイコン14から出力されたIDコード信号を所定周波数(本実施形態では300MHz)の電波に変調して外部に送信するようになっている。なお、受信回路12及び送信回路13にはアンテナ17,18がそれぞれ接続されている。すなわち、受信回路12はアンテナ17を介してリクエスト信号を受信し、送信回路13はアンテナ18を介してIDコード信号を出力する。
【0016】
マイコン14は、具体的には図示しないCPU、ROM、RAMからなるCPUユニットであり、不揮発性のメモリ14aを備えている。このマイコン14は、受信回路12からリクエスト信号が入力されたときに、予め設定された所定のIDコードと、トランク開フラグとを含む送信信号(IDコード信号)を送信回路13に出力するようになっている。このIDコードは、メモリ14aに記録されている。
【0017】
マイコン14には、操作部15及び表示部16が接続されている。本実施形態において表示部16は、運転者によって視認可能な位置に設けられたLED等によって構成されている。また、操作部15は、それぞれ押しボタンスイッチからなる施錠スイッチ15a、解錠スイッチ15b及びトランクスイッチ15cによって構成されている。そして、マイコン14は、施錠スイッチ15aが押されたときには、前記IDコードに手動施錠信号を付加したものをIDコード信号として出力する。また、マイコン14は、解錠スイッチ15bが押されたときには、前記IDコードに手動解錠信号を付加したものをIDコード信号として出力する。さらに、マイコン14は、トランクスイッチ15cが所定時間T1を超えない時間押されたときには、前記IDコードに手動トランク解錠信号を付加したものをIDコード信号として出力する。
【0018】
一方、通信制御装置21は、送信回路22、受信回路23、及びマイクロコンピュータ(マイコン)24を備えている。この通信制御装置21は、図2に示すように、車両2の室内における運転座席の下方に配設されている。マイコン24には、ドアロック駆動装置31及びトランクロック駆動装置32が接続されている。ドアロック駆動装置31は、入力された電気信号に基づいてドア錠を施解錠するアクチュエータである。また、トランクロック駆動装置32は、入力された電気信号に基づいてトランク錠を解錠するアクチュエータである。
【0019】
送信回路22にはアンテナ25が接続され、受信回路23にはアンテナ26が接続されている。図2に示すように、これらアンテナ25,26は、運転席ドア近辺に配設されている。送信回路22は、マイコン24から出力されるリクエスト信号を電波や磁気信号に変換して、アンテナ25を介して車両室外の所定領域に出力するようになっている。なお、本実施形態においてリクエスト信号は、図2に示すように、車両2の室内における運転席近辺及び車両2の外部における運転席ドアの近辺の領域A1に出力される。したがって、このリクエスト信号の出力領域A1内において携帯機11と通信制御装置21との相互通信が可能となる。なお、本実施形態においてリクエスト信号は、134kHzの電波として出力されるようになっている。
【0020】
受信回路23は、携帯機11から出力されたIDコード信号をアンテナ26を介して受信し、そのIDコード信号をパルス信号に復調して受信信号を生成するとともに、その受信信号をマイコン24へ出力するようになっている。
【0021】
マイコン24は、具体的には図示しないCPU、ROM、RAMからなるCPUユニットであり、リクエスト信号を間欠的に出力する。また、マイコン24は不揮発性のメモリ24aを備え、このメモリ24aには予め設定された所定のIDコードが記憶されている。マイコン24は、前記受信信号が入力されたときには、自身のIDコードと受信信号に含まれるIDコードとを比較する。そして、それらIDコードが一致したとき、そのIDコードがリクエスト信号に応答して送信されたIDコード信号に含まれるものであれば、マイコン24は、ドアロック駆動装置31を駆動してドア錠を解錠させる。また、マイコン24は、IDコード信号を受信できないときまたは各IDコード同士が一致しないときには、ドアロック駆動装置31を駆動してドア錠を施錠させる。
【0022】
さらに、マイコン24は、リクエスト信号の応答にかかわらず、手動施錠信号を含むIDコード信号の受信時にはドア錠を施錠させ、手動解錠信号を含むIDコード信号の受信時にはドア錠を解錠させる。また、マイコン24は、手動トランク解錠信号を含むIDコード信号の受信時にはトランクロック駆動装置32を駆動してトランク錠を解錠させる。
【0023】
次に、このように構成された車両用施解錠装置1における携帯機11のマイコン14によって行われる処理を図3に示すフローチャートに従って説明する。なお、この処理はマイコン14を構成するROM内に格納されたプログラムに基づいて所定時間毎に繰り返し実行される。また、前記プログラムは、ROM以外のコンピュータ読み出し可能な記録媒体に記録されていてもよい。
【0024】
まず、ステップS1においてマイコン14は、トランクスイッチ15cが所定時間T1以上押されたか否かを判断する。そして、マイコン14は、トランクスイッチ15cが所定時間T1以上押されたときにステップS2の処理へ移行する。なお、本実施形態において所定時間T1は、3秒程度に設定されている(この所定時間T1は、3秒に限らず何秒に設定されてもよい)。
【0025】
ステップS2においてマイコン14は、トランク開フラグを「1」にし、トランク開モードとなる。そして、マイコン14は、このトランク開フラグをメモリ14aに書き込んでステップS3の処理へ移行する。つまり、マイコン14は、トランクスイッチ15cが所定時間T1(3秒間)以上押されたときに、トランク開モードとなる。
【0026】
続くステップS3においてマイコン14は、自身に設けられたタイマをスタートし、ステップS4の処理へ移行する。
ステップS4においてマイコン14は、表示部16に対して作動信号を出力する。つまり、マイコン14は表示部16を点灯させる。そして、マイコン14はステップS8の処理へ移行する。つまり、マイコン14は、トランク開モードとなったときに表示部16を点灯させる。
【0027】
また、ステップS1において、トランクスイッチ15cが所定時間T1以上押されなかったとき、または、トランクスイッチ15cが押されなかったとき、マイコン14はステップS5の処理へ移行する。
【0028】
ステップS5においてマイコン14は、タイマスタート後、所定時間T2が経過したか否かを判断する。そして、マイコン14は、タイマスタート後、所定時間T2が経過していればステップS6の処理へ移行し、所定時間T2を経過していなければステップS8の処理へ移行する。なお、本実施形態において所定時間T2は、1分程度に設定されている(この所定時間T2は、1分に限らず何分(秒)に設定されてもよい)。
【0029】
ステップS6においてマイコン14は、トランク開フラグを「0」にし、トランク開モードを解除する。そして、マイコン14は、このトランク開フラグをメモリ14aに書き込んでステップS7の処理へ移行する。つまり、マイコン14は、タイマスタート後、所定時間T2(1分間)が経過したときにトランク開モードを解除する。また、マイコン14は表示部16を消灯させる。
【0030】
続くステップS7においてマイコン14はタイマをリセットし、ステップS8の処理へ移行する。
ステップS8においてマイコン14は、通信制御装置21からのリクエスト信号を受信したか否かを判断する。そして、マイコン14は、リクエスト信号を受信した場合にはステップS9の処理へ移行し、リクエスト信号を受信していなければステップS10の処理へ移行する。
【0031】
ステップS9においてマイコン14は、送信回路13に対してIDコード信号を出力する。つまり、マイコン14は、リクエスト信号に応答してIDコード信号を出力する。詳しくは、マイコン14は、トランク開フラグとIDコードとを含む信号をIDコード信号として出力する。
【0032】
ステップS10においてマイコン14は、通信制御装置21からのフラグOFF信号を受信したか否かを判断する。そして、マイコン14は、フラグOFF信号を受信していればステップS11の処理へ移行し、フラグOFF信号を受信していなければここでの処理を一旦終了する。
【0033】
ステップS11においてマイコン14は、トランク開フラグを「0」にし、トランク開モードを解除して通常モードとなる。そして、マイコン14は、このトランク開フラグをメモリ14aに書き込み、ここでの処理を一旦終了する。また、マイコン14は、表示部16を消灯させる。つまり、マイコン14は、通信制御装置21からのフラグOFF信号を受信したときにもトランク開モードを解除する。よって、携帯機11は、トランクスイッチ15cが所定時間T1以上押されてから1分間経過するまでの間または通信制御装置21からのフラグOFF信号を受信するまでの間トランク開モードとなる。なお、本実施形態において携帯機11は、トランク開モードの状態でトランクスイッチ15cが再度押されたときにもトランク開モードを解除するようになっている。
【0034】
次に、このように構成された車両用施解錠装置1における通信制御装置21のマイコン24によって行われる処理を図4に示すフローチャートに従って説明する。なお、この処理はマイコン24を構成するROM内に格納されたプログラムに基づいて所定時間毎に繰り返し実行される。また、前記プログラムは、ROM以外のコンピュータ読み出し可能な記録媒体に記録されていてもよい。
【0035】
まず、ステップS21においてマイコン24は、送信回路22に対してリクエスト信号を出力する。これにより、図2に示した所定領域A1に対してリクエスト信号が出力される。
【0036】
続くステップS22においてマイコン24は、携帯機11からのIDコード信号を受信したか否かを判断する。そして、マイコン24は、IDコード信号を受信していればステップS23の処理へ移行する。
【0037】
ステップS23においてマイコン24は、IDコード信号に含まれるIDコードと、自身のIDコードとを比較し、それらが一致したときにはステップS24の処理へ移行する。
【0038】
ステップS24においてマイコン24は、ドアロック駆動装置31からの出力信号をモニタし、ドア錠が施錠状態であるか否かを判断する。そして、マイコン24は、ドア錠が施錠状態であればステップS25の処理へ移行する。また、マイコン24は、ドア錠が施錠状態でないとき、すなわちドア錠が解錠状態であればステップS26の処理へ移行する。
【0039】
ステップS25においてマイコン24は、ドアロック駆動装置31に対してドア錠を解錠させるための制御信号を出力してドア錠を解錠させ、ステップS7の処理へ移行する。すなわち、通信制御装置21は、携帯機11が所定領域A1内に存在するときに、ドア錠を自動的に解錠するようになっている。
【0040】
続くステップS26においてマイコン24は、IDコード信号に含まれるトランク開フラグが「1」であるか否かを判断する。そして、マイコン24は、トランク開フラグが「1」のときにはステップS27の処理へ移行する。また、マイコン24は、トランク開フラグが「1」でないとき、すなわちトランク開フラグが「0」のときにはここでの処理を一旦終了する。
【0041】
ステップS27においてマイコン24は、トランクロック駆動装置32を駆動してトランク錠を解錠させる。すなわち、通信制御装置21は、携帯機11からのIDコード信号に含まれるトランク開フラグが「1」のときにトランク錠を解錠するようになっている。
【0042】
そして、ステップS28においてマイコン24は、送信回路22に対してフラグOFF信号を出力してここでの処理を一旦終了する。なお、フラグOFF信号は、リクエスト信号よりも広い領域へ出力される。詳しくは、フラグOFF信号は、少なくともトランク近辺の領域へ出力されるようになっている。
【0043】
ところで、ステップS22においてIDコード信号を受信していないとき、及びステップS23において各IDコード同士が一致しないとき、マイコン24はステップS29の処理へ移行する。このステップS29においてマイコン24は、ドアロック駆動装置31からの出力信号をモニタし、ドア錠が解錠状態であるか否かを判断する。そして、マイコン24は、ドア錠が解錠状態であればステップS30の処理へ移行する。また、マイコン24は、ドア錠が解錠状態でないとき、すなわちドア錠が施錠状態であればここでの処理を一旦終了する。
【0044】
ステップS30においてマイコン24は、ドアロック駆動装置31に対してドア錠を施錠させるための制御信号を出力してドア錠を施錠させ、ここでの処理を一旦終了する。すなわち、通信制御装置21は、携帯機11が所定領域A1内に存在しなくなったときに、ドア錠を自動的に施錠するようになっている。
【0045】
次に、こうした携帯機11と通信制御装置21との相互通信によるドア錠の施解錠動作の流れの一例を、図5に示す時系列図に従って説明する。
同図に示すように、通信制御装置21は、前記所定領域A1に対してリクエスト信号を間欠的に出力する。
【0046】
また、携帯機11は、トランクスイッチ15cが所定時間T1以上押されると、トランク開フラグを「1」にしてトランク開モードとなり、タイマをスタートする。そして、携帯機11は、通信制御装置21からのリクエスト信号を受信すると、通信制御装置21に対してIDコード信号を出力する。
【0047】
通信制御装置21は、IDコード信号のIDコードと自身のIDコードとが一致すると、ドアロック駆動装置31を駆動してドア錠を解錠する。また、通信制御装置21は、IDコード信号に含まれるトランク開フラグが「1」であればトランクロック駆動装置32を駆動してトランク錠を解錠する。つまり、携帯機11がトランク開モードの状態で所定領域A1に入ったとき、すなわち携帯機11が車両2に近接した際には、トランク錠が自動的に解錠される。
【0048】
そして、通信制御装置21は、トランク錠を解錠した後、フラグOFF信号を携帯機11に対して出力する。携帯機11は、このフラグOFF信号を受信すると、タイマをリセットするとともに、トランク開フラグを「0」にしてトランク開モードを解除する。また、携帯機11は、フラグOFF信号を受信しない場合には、タイマが所定時間T2を経過した際にトランク開モードを解除する。
【0049】
よって、本実施形態の車両用施解錠装置1においては、携帯機11のトランクスイッチ15cが所定時間T1以上押され、その後所定時間T2内に携帯機11が車両2に近接すると、トランク錠が解錠されるようになっている。
【0050】
ところで、前述したように、携帯機11は、施錠スイッチ15aが押されたときには手動施錠信号を含むIDコード信号を出力し、解錠スイッチ15bが押されたときには手動解錠信号を含むIDコード信号を出力する。そして、通信制御装置21は、手動施錠信号を含むIDコード信号の受信時にはドア錠を施錠させ、手動解錠信号を含むIDコード信号の受信時にはドア錠を解錠させる。すなわち、本実施形態の車両用施解錠装置1においては、手動操作によるドア錠の施解錠が可能となっている。
【0051】
また、前述したように、携帯機11は、トランクスイッチ15cが所定時間T1を超えない時間押されたときに、携帯機11は手動トランク解錠信号を含むIDコード信号を出力する。そして、通信制御装置21は、この手動トランク解錠信号を受信した際には、トランクロック駆動装置32を駆動してトランク錠を解錠するようになっている。すなわち、携帯機11がリクエスト信号を受信していない状態においてもトランク錠を解錠できるようになっている。
【0052】
したがって、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)携帯機11は、トランクスイッチ15cが所定時間T1以上押されたとき、トランク開モードとなる。そして、このトランク開モードの状態で運転者が車両2に近接すると、ドア錠が自動的に解錠されるとともに、トランク錠も自動的に解錠される。すなわち、運転者は、車両2に近接するだけでドア錠の解錠とトランク錠の解錠とを行うことができる。そして、こうしたトランク錠の解錠は運転者の操作に基づいて行われるため、運転者の意思に反してトランク錠が解錠されてしまうといった不都合が防止される。しかも、運転者は、車両2に近づく前に予め携帯機11をトランク開モードにしておけば、車両2に近づいた際に何ら操作を行うことなくトランク錠を解錠することができる。よって、例えば雨降り時に傘と荷物とによって運転者の両手が塞がってしまう場合などに屋内で予め携帯機11をトランク開モードにしておけば、車両2に近づいた際にトランク錠を解錠する操作が不要となり、操作性が向上する。
【0053】
(2)携帯機11は、トランクスイッチ15cが所定時間T1(3秒間)以上押されてから所定時間T2(1分間)だけトランク開モードとなる。すなわち、トランク開モードは所定時間T2だけ有効となる。このため、運転者が携帯機11をトランク開モードにしてから所定時間T2以上経過した後に車両2に近づいても、トランク錠が解錠されてしまうことがない。よって、例えば運転者が携帯機11をトランク開モードにしたことを忘れてしまった場合などにトランク錠が解錠されてしまうことを防止することができる。
【0054】
(3)携帯機11には表示部16が設けられ、この表示部16は、携帯機11がトランク開モードとなったときに点灯するようになっている。このため、運転者は、携帯機11がトランク開モードであるか否かを容易に認識することができる。よって、運転者の意思に反したトランク錠の解錠を確実に防止することができる。
【0055】
(4)通信制御装置21は、携帯機11からのIDコード信号に含まれるトランク開フラグに基づいてトランク錠を解錠した後、携帯機11に対してフラグOFF信号を出力するようになっている。そして、携帯機11は、このフラグOFF信号を受信するとトランク開フラグを「0」にしてトランク開モードを解除するようになっている。このため、携帯機11をトランク開モードにして車両2に近接することによってトランク錠を解錠した後トランクを閉めると、フラグOFF信号によって携帯機11のトランク開モードが解除される。よって、トランク錠の解錠後、所定時間T2内にトランクを閉めてリクエスト信号の出力領域A1に携帯機11が入っても、再度トランク錠が解錠されてしまうといった不都合を防止することができる。
【0056】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 前記実施形態において携帯機11は、IDコードとトランク開フラグとを含むIDコード信号を出力するようになっている。つまり、携帯機11は、トランク開モード、通常モードにかかわらずトランク開フラグとIDコードとを含むIDコード信号を出力するようになっている。しかし、携帯機11は、トランク開モードのときにのみトランク錠を解錠させるためのトランク開信号をIDコード信号に含ませて出力するようになっていてもよい。そして、通信制御装置21は、トランク開信号を認識できたときのみトランク錠を解錠させるようになっていてもよい。また、前記実施形態において携帯機11は、トランク開モード、通常モードにかかわらず同一のIDコードを出力するようになっている。しかし、携帯機11は、トランク開モードと通常モードとで異なるIDコードを含むIDコード信号を出力し、トランク開フラグを出力しないようになっていてもよい。そして、通信制御装置21は、各IDコードを認識することによってトランク錠を解錠するか否かを判断するようになっていてもよい。すなわち、トランク錠を解錠させるための信号は、トランク開フラグに限定されるものではない。
【0057】
・ 前記実施形態では、3つのスイッチ15a〜15cによって操作部15が構成されている。そして、トランクスイッチ15cが所定時間T1以上押されたときに携帯機11がトランク開モードとなる。しかし、操作部15は、それらスイッチ15a〜15cに限らず、例えば施錠スイッチ15aと解錠スイッチ15bとによって構成されてもよい。そして、各スイッチ15a,15bが同時に所定時間T1以上押されたときに携帯機11がトランク開モードとなるようにしてもよい。また、各スイッチ15a〜15cは、押しボタンスイッチに限らず、スライドスイッチ等の他の種のスイッチによって構成されてもよい。すなわち、操作部15を構成するスイッチの種類及び数や、トランク開モードとするための操作態様は、前記実施形態に限定されるものではない。
【0058】
・ 前記実施形態では、通信制御装置21のアンテナ25,26を運転席ドアの近辺に配設している。しかし、これらアンテナ25,26は、少なくとも車両2の外部における運転席ドアの近辺にリクエスト信号を出力できるのであれば、どの位置に配設されてもよい。
【0059】
・ 図2に示すように、トランクルームにもアンテナ25を設け、同図に2点鎖線で示すようにトランクルーム内にもリクエスト信号を出力させるようにしてもよい。このようにすれば、たとえトランクルーム内に携帯機11を入れたままトランクを閉めてもドア錠が必ず解錠状態となるため、いわゆるインロックを確実に防止することができる。また、こうしたアンテナ25の増設に限らず、アンテナ25を所定領域A1及びトランクルーム内に出力可能な位置に配設してもよい。
【0060】
・ 告知手段は、表示部16に限らず、ブザーやバイブレータ等であってもよい。すなわち、告知手段は、運転者の視覚、聴覚、触覚等、運転者に対してどのような形で告知するものであってもよい。
【0061】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1) 請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用施解錠装置において、前記通信制御装置は、前記トランク開信号の受信によってトランク錠を解錠したときにモードOFF信号を出力し、前記携帯機は、そのモードOFF信号の受信時にトランク開モードを解除すること。この技術的思想(1)に記載の発明によれば、所有者の意思に反したトランク錠の解錠を確実に防止することができる。
【0062】
(2) 所有者によって所持される携帯機と、車両内に配設され、前記携帯機に対して送信信号の送信を要求するリクエスト信号を少なくとも車両外部の所定領域に出力し、そのリクエスト信号に応答して送信された前記携帯機からの送信信号を受信したときにドア錠を解錠させ、該送信信号を受信できなくなったときに該ドア錠を施錠させる通信制御装置とを備える車両用施解錠装置を用いたトランク錠の解錠方法であって、前記携帯機に設けられた操作部が所定の態様で操作されたときに前記携帯機をトランク開モードにし、そのトランク開モードで前記リクエスト信号を受信した際にトランク開信号を含む前記送信信号を送信させ、前記通信制御装置が前記トランク開信号を受信したときに、前記ドア錠を解錠させるとともにトランク錠を解錠させることを特徴とする車両用施解錠装置を用いたトランク錠の解錠方法。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、トランク錠を解錠するための操作性を向上させることができる。
【0064】
請求項2に記載の発明によれば、例えば所有者が携帯機をトランク開モードにしたことを忘れてしまった場合などにトランク錠が解錠されてしまうことを防止することができる。
【0065】
請求項3に記載の発明によれば、所有者の意思に反したトランク錠の解錠を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における車両用施解錠装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態の車両用施解錠装置を備えた車両の概略平面図。
【図3】同実施形態の携帯機によって実行される処理を示すフローチャート。
【図4】同実施形態の通信制御装置によって実行される処理を示すフローチャート。
【図5】同実施形態の車両用施解錠装置によって行われる施解錠動作の一例を示す時系列図。
【符号の説明】
1…車両用施解錠装置、2…車両、11…携帯機、14…マイクロコンピュータ(マイコン)、14a…メモリ、15…操作部、16…告知手段としての表示部、21…通信制御装置、24…マイクロコンピュータ(マイコン)、24a…メモリ、31…ドアロック駆動装置、32…トランクロック駆動装置。
Claims (3)
- 所有者によって所持される携帯機と、
車両内に配設され、前記携帯機に対して送信信号の送信を要求するリクエスト信号を少なくとも車両外部の所定領域に出力し、そのリクエスト信号に応答して送信された前記携帯機からの送信信号を受信したときにドア錠を解錠させ、該送信信号を受信できなくなったときに該ドア錠を施錠させる通信制御装置とを備える車両用施解錠装置において、
前記携帯機は、操作部を有し、その操作部が所定の態様で操作されたときにトランク開モードとなり、そのトランク開モードで前記リクエスト信号を受信した際にトランク錠を解錠させるための信号を含む前記送信信号を送信し、
前記通信制御装置は、前記トランク開信号を受信したときに、前記ドア錠を解錠させるとともにトランク錠を解錠させることを特徴とする車両用施解錠装置。 - 前記携帯機は、前記トランク開モードとなってから所定時間経過後に同トランク開モードを解除することを特徴とする請求項1に記載の車両用施解錠装置。
- 前記携帯機は、前記トランク開モードとなった際にその旨を告知する告知手段を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用施解錠装置。
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