JP4429621B2 - アルカリ水溶液二次電池の充電制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特許第03268592号公報
【特許文献2】
特開平10−040967号公報(特願平8−197612号)
【特許文献3】
特開平2000−268885号公報(特願平11−70112号)
【非特許文献1】
「論文“最近の電池技術3−通信用バックアップ電池”、平井敏郎、電気学会誌、1999年7月」
【非特許文献2】
「社団法人電池工業会ホームページ、http://www.baj.or.jp/recycle/index.html」
【非特許文献3】
「日本電池株式会社編“最新実用二次電池”、日刊工業新聞社(1998)、各電池の当該項」
【非特許文献4】
「ホームページ、http://www.sbs-forum.org」
【非特許文献5】
「論文、E. Stefanakos and A. Thexton, Proceedings of INTELEC '97, (Melbourne, Austlaria, 26-1, 653 (1997)」
近年、各種電子機器の小型化、高性能化、携帯型化によって、電池の需要が高まっている。それに応じて電池の改良、開発はますます活発化している。また、電池の新しい適用領域も拡大してきている。
【0003】
鉛電池、ニッケルカドミウム電池(以下、Ni/Cd電池と称す)だけであった民生用の二次電池市場に、1990年前後から携帯機器の急速な普及とともに高エネルギー密度であるニッケル水素電池(以下、Ni/MH電池と称す)とリチウムイオン電池(以下、Liイオン電池と称す)が開発され普及して大幅なシェアを占めるに至った。
【0004】
一般に携帯機器搭載の新型電池であるNi/MH電池、Liイオン電池は本体機器の頻繁なモデルチェンジに伴って廃棄され新品電池に自動的に交換されてきた。一方で、バックアップ電源用として使用されるバックアップ用二次電池は、建物内の温度管理された比較的良好な条件で使用され、これまでの使用実績と研究成果によってある程度の交換時期が明確になっていた。それゆえ、電池の寿命予測や適切な交換時期が問題になることは少なかった。
【0005】
ところが、特に情報通信分野において、固定電話の飽和とそれに続く微減と対照的に携帯電話の多手段化、情報量の増大と高速化が急速に進み、ISDN、ADSL、IP電話など情報流通(IT)化への変貌が顕著になり、通信ネットワークの光化などのインフラ構造の変革が促進され、二次電池の適用分野と適用条件にも大きな変化が起こってきた。バックアップ用途では、これまでの屋内設置だけでなく、屋外、特に電柱などへの設置も行なわれるようになり、地域、設置場所、設置条件による適用環境の多様化が進んで、これまでの経験則やカタログ値だけの情報では二次電池の実際の寿命や取替時期を予測することが困難になりつつある(例えば上記非特許文献1参照)。
【0006】
また、携帯機器搭載用の新型二次電池に関しても、多機能化と小型化が進展するなかで、搭載二次電池にとっては、密閉化や熱放散の困難化など機器内環境の劣悪化が進行している。
【0007】
また、20世紀末に近づくにつれて京都議定書(COP3)などに謳われているように地球温暖化が深刻な間題として提起され、また膨大な産業廃棄物の不法投棄やその焼却に伴うダイオキシン類など大気、土壌、河川環境の劣悪化が社会間題としてクローズアップされるようになった。そして、環境保全、環境負荷低減、物質エネルギーの有効利用が叫ばれるようになり、順次義務化されてきている。二次電池に関しても、電池を構成する各種材料のうち、鉛、カドミウムなどの規制対象物質の厳格な管理や当該物質を含む鉛電池、Ni/Cd電池の使用規制が求められるようになり、電池構成材料のリサイクル化も要求されるようになってきた(例えば、上記非特許文献2参照)。長寿命化による省資源化もいずれ重要課題となりうる状況にある。
【0008】
さらに、従来の鉛電池やNi/Cd電池に比べて大幅な高エネルギー密度であるNi/MH電池、Liイオン電池は、事故による被害の程度もより深刻となりうるので、これらの電池に関しては信頼性の確保も重要な課題となっている。
【0009】
こうした環境負荷低減、信頼性の確保のためには、過充電や発生熱による電池劣化の進行を極力抑制し、長寿命化を図って物質エネルギーの有効利用を図ることが重要な対策の一つである。
【0010】
電池劣化の抑制の根本的な方策は電池材料の改質、電池構成法の最適化などが挙げられる(例えば上記特許文献1および非特許文献3参照)。しかしながら、これらの電池改良は、その方策の複雑さや膨大な確認試験の実施とそれに要する極めて長期の時間経過が必要となる。また、各電池製造メーカにおいて実施されるこれらの改良は統一性を欠いており、例え電池改良が実施され長寿命化しても実際に使用する場合には長寿命化効果を十分に発揮させるために特定の製造メーカの電池に限定されることを余儀なくされたり、多くの製造メーカの電池に対処するために複雑で高価な充放電機器の購入をしなければならなかった。
【0011】
また、次善の対策としては、電池劣化を極力抑制するための電池状態の監視、管理機能と充放電条件を具備した装置を開発することが挙げられる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
Ni/MH電池やLiイオン電池の高エネルギー密度電池に関しては、インテル社とデュラセル社によって1994年に提唱されたスマートバッテリーシステム(SBS)が充電制御、残存容量判定などを含めたバッテリーマネジメントシステムとして、改良を加えながら普及してきている(例えば上記非特許文献4参照)。しかしながら、電池の劣化状態に対しては、これらの電池制御・管理は、製造メーカ、電池種類などの情報の他、常時電池の電流、電圧、温度などをモニタする膨大な情報データ管理に基づく方法であり、極めて高価な方式で、製品価格の高騰を来し適用用途の限定を招いていた。
【0013】
一方、バックアップ用の二次電池に関しては、電話会社などにおいて通信ネットワークを利用した管理システムが導入されている。当該システムでは、多数の直並列に配置された個々の二次電池もしくは電池モジュールごとに電圧、電流、電池温度などをモニタし、それらのデータを通信ネットワークでサーバに収集し、端子電圧や電池容量の管理監視を行なう(例えば、上記特許文献2、3および非特許文献5参照)。しかしながら当該システムでは、電池あるいは電池モジュールの異常を的確に把握できるものの、電池の劣化抑制を実現するものではなかった。また、当該システムは膨大な量の大容量二次電池を管理監視するためのものであり、その適用範囲は極めて限定されたものに過ぎなかった。
【0014】
本発明は上記現状に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、アルカリ水溶液二次電池の簡易で効果的な充電制御方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明においては、請求項1に記載したように、アルカリ水溶液二次電池の充電制御方法であって、該二次電池が満充電状態から放電容量Cdで放電した後の充電において、容量値Cc1を下記式(1)および(2)によって算出し、上記容量値Cc1が正の値であるとき、充電開始からの充電容量が上記容量値Cc1に達するまで一定電流による充電を行った後、休止と要素充電との交互繰り返しからなる間欠充電を行い、i番目の要素充電中の最高電圧がi−1番目の要素充電中の最高電圧よりも低くなった場合にi番目の要素充電の完了をもって充電を終了し、上記容量値Cc1が零または負の値であるとき、上記一定電流による充電を行わずに上記間欠充電を行い、j番目の要素充電中の最高電圧がj−1番目の要素充電中の最高電圧よりも低くなった場合にj番目の要素充電の完了をもって充電を終了することを特徴とするアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法を構成する。
【0016】
Ccont = Cd0×E (1)
Cc1 = Ccont−Cd0+Cd (2)
ここに、Cd0は該二次電池の公称容量であり、Eは該二次電池の充電効率である。
【0017】
また、本発明においては、請求項2に記載したように、
アルカリ水溶液二次電池の充電制御方法であって、該二次電池が満充電状態から該二次電池の公称容量Cd0の50%以下の放電容量Cdで放電した後の充電において、容量値Cc1を下記式(1)および(2)によって算出し、Cdの80%以上140%以下の範囲内にある制御充電容量Cc0を設定し、上記容量値Cc1が正の値であるとき、充電開始からの充電容量が上記容量値Cc1に達するまで一定電流による充電を行った後、休止と充電との交互繰り返しからなる間欠充電を行い、上記容量値Cc1と該間欠充電による間欠充電容量との合計である積算充電容量が上記制御充電容量Cc0に到達する前に、i番目の要素充電中の最高電圧がi−1番目の要素充電中の最高電圧よりも低くなる充電電圧低下現象が起こったときにi番目の要素充電の完了をもって充電を終了し、該充電電圧低下現象が起こることなく該積算充電容量が上記制御充電容量Cc0に到達したときにも充電を終了し、上記容量値Cc1が零または負の値であるとき、上記一定電流による充電を行わずに、上記間欠充電を行い、該間欠充電による間欠充電容量が上記制御充電容量Cc0に到達する前にj番目の要素充電中の最高電圧がj−1番目の要素充電中の最高電圧よりも低くなる充電電圧低下現象が起こったときにj番目の要素充電の完了をもって充電を終了し、該充電電圧低下現象が起こることなく該間欠充電容量が上記制御充電容量Cc0に到達したときにも充電を終了することを特徴とするアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法を構成する。
【0018】
Ccont = Cd0×E (1)
Cc1 = Ccont−Cd0+Cd (2)
ここに、Cd0は該二次電池の公称容量であり、Eは該二次電池の充電効率である。
【0019】
また、本発明においては、請求項3に記載したように、
請求項2に記載のアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法において、上記放電容量Cdが該二次電池の公称容量Cd0の30%以下であり、上記制御充電容量Cc0が上記放電容量Cdの80%以上120%以下の範囲内にあることを特徴とするアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法を構成する。
【0020】
また、本発明においては、請求項4に記載したように、
請求項3に記載のアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法において、上記放電容量Cdが該二次電池の公称容量Cd0の10%以下であり、上記制御充電容量Cc0が上記放電容量Cdの80%以上100%以下の範囲内にあることを特徴とするアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法を構成する。
【0021】
また、本発明においては、請求項5に記載したように、
請求項1、2、3または4に記載のアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法において、上記容量値Cc1が正の値である場合に、上記間欠充電が休止R1から始まり、i番目の要素充電Ciとi番目の休止Riとを交互に実施し、かつ、要素充電Ciが一定電流値Icimで実施され、該電流値Icimが、間欠充電の平均充電電流Icaveと、充電開始からの充電容量が上記容量値Cc1に達するまで実施される上記一定電流による充電の充電電流値Icと、i番目の休止Riの休止時間tRiと、要素充電Ciの充電時間tCiとの間に下記式(4)、(5)および(6)が成立するように設定された値であることを特徴とするアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法を構成する。
【0022】
Icave =Icim・tCi/(tRi +tCi) (4)
かつ
Ic ≦0.2CA/セルの場合、Icave =Ic (5)
Ic >0.2CA/セルの場合、Icave =0.2CA/セル (6)
ここに、1CA/セルは、該二次電池1個を満充電から1時間で完全放電するような電流値を示す。
【0023】
また、本発明においては、請求項6に記載したように、
請求項1、2、3、4または5に記載のアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法において、上記間欠充電が休止R1から始まり、i番目の要素充電Ciとi番目の休止Riとを交互に実施し、i番目の要素充電Ciの充電時間tCiとi番目の休止Riの休止時間tRiとが下記式(7)および(8)を満足することを特徴とするアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法を構成する。
【0024】
0.5tCi ≦tRi ≦3tCi (7)
1min≦tCi ≦10min (8)
また、本発明においては、請求項7に記載したように、
請求項5に記載のアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法において、各要素充電Ciがパルス幅tCpk、ピーク電流値Icpであるパルス充電Cpkと時間幅tRpkのパルス休止Rpkとの繰り返しで構成され、各要素充電はパルス充電Cp1から開始され、さらにピーク電流値Icpと各要素充電Ciの平均電流値Icpaveとが下記式(9)および(10)を満足するように設定されることを特徴とするアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法を構成する。
【0025】
Icave =Icpave・tCi/(tCi +tRi)
=Icpave・Σ(tCpk +tRpk)/[Σ(tCpk +tRpk)+tRi] (9)
Icpave =Icp・tCpk/(tCpk +tRpk) (10)
ここに、Icaveは間欠充電の平均電流であり、tCiは要素充電時間であり、tRiは休止Riの時間である。
【0026】
また、本発明においては、請求項8に記載したように、
請求項7に記載のアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法において、パルス幅tCpkおよびパルス休止時間幅tRpkが、下記式(11)および(12)が成立するように設定されることを特徴とするアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法を構成する。
【0027】
tCpk ≦tRpk ≦3tCpk (11)
1s≦tCpk ≦180s、1s≦tRpk ≦180s (12)
また、本発明においては、請求項9に記載したように、
請求項7または8に記載のアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法において、最終の上記要素充電が他の要素充電よりも1ないし5個多い上記パルス充電を含むことを特徴とするアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法を構成する。
【0028】
【発明の実施の形態】
上記目的を達成するために、本発明ではアルカリ水溶液を電解液として含む二次電池(以下、アルカリ水溶液二次電池または単に電池と称す)の充電について、一定容量以上の充電では間欠充電を実施し、かつ放電深度の浅い放電後の充電については充電容量に一定の制限を設けて充電する新規の充電制御方法を提案するものである。
【0029】
以下、図面によって本発明の充電制御方法を説明する。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態例の概念を示した図である。すなわち、図1は本発明の充電制御方法によって実施された電池の放電、休止、充電、休止の充放電1サイクルの電圧と電流変化を示した一概念例であって、曲線1-1は電池のセル当たりの電圧変化を示し、曲線1-2は電池のセル当たりの電流変化を示している。
【0031】
図1において、本発明の充電制御方法では当該二次電池の満充電状態から時間tdeまで放電した後の充電において、充電開始(時間tcs)から、充電容量(充電電流を時間について積分して算出される)が当該電池の公称容量Cd0と充電効率Eの積に相当する容量Ccont(=Cd0×E)と当該放電の放電容量(放電電流を時間について積分して算出される)Cdとから下記式(2)によって算定される容量値Cc1になるまで一定電流値Icで充電を行い、容量値Cc1以上の容量範囲では、充電に一定時間tRiの休止を設ける間欠充電を行う。
【0032】
Cc1 =Ccont −Cd0+Cd (2)
そして、当該間欠充電において、休止と休止にはさまれた要素充電Ciの最高電圧Vciが各要素充電中の最高電圧Vmaxを記録した場合、次の要素充電完了をもって当該充電を完了する。充電中の最高電圧Vmaxを記録したか否かは、以下のようにして知ることができる。すなわち、間欠充電開始後、はじめて、i番目の要素充電中の最高電圧がi−1番目の要素充電中の最高電圧よりも低くなった場合にi番目の要素充電中に最高電圧Vmaxが記録された、と判断する。この場合、i番目の要素充電完了をもって当該充電を終了する。
【0033】
このように、電池の公称容量Cd0と充電効率E(%)の積に相当する初期の容量分は、充電に供給した電気エネルギーのほとんどを充電反応に供する領域であるから、この容量分は一定電流値での充電とすることで、効率よく短時間に充電を実行できる。それとともに、それ以降の充電では、充電に供給した電気エネルギーの一部は酸素ガス発生とその吸収反応に使用されるため、充電と休止を交互に繰り返す間欠充電を採用することで当該反応によって発生した熱を放散することができ、結果として電池の劣化を抑制することができる。
【0034】
なお、放電容量Cdが小さくて、上記式(2)によって算出される容量値Cc1が零または負の値であるとき、上記一定電流値Icでの充電を行わずに上記間欠充電のみを行う。これは、以下に説明する実施の形態例においても同じである。
【0035】
本発明では、これに加えて電池が満充電からの放電が上記放電終止電圧Vdeに到達しないで、公称容量Cd0の一定割合以下の放電容量となった場合の新しい充電制御方法を提案する。
【0036】
図2にその一実施形態例の概念を示す。すなわち、図2は電池を公称容量Cd0の一定割合以下の放電容量Cdとなった場合の、本発明の充電制御方法によって実施された電池の放電、休止、充電、休止の充放電1サイクルの電圧と電流変化を示した一概念例であって、曲線2-1は電池のセル当たりの電圧変化を示し、曲線2-2は電池のセル当たりの電流変化を示している。
【0037】
図2において、本発明の充電制御に従うと、放電容量Cdが公称容量Cd0に対して一定割合以下の場合、電池を満充電から時間tdeまで放電し、時間tdeにおける放電終了時の電池電圧は放電終止電圧Vdeに達しておらず、公称容量Cd0の一定割合以下の放電容量Cdeである。この場合、時問tcsにおいて開始される充電では、まず、一定電流値Icの定電流で容量Cc1まで充電され、当該容量Cc1に達した後は、時間tRiとなる休止Riと時間tCi、電流値Icimの要素充電の繰り返しで構成される間欠充電に変更される。本発明では、当該充電の容量を当該放電容量Cdの一定割合となる制御充電容量Cc0に制御して実行する。間欠充電の要素充電Ci中に当該制御充電容量Cc0に達したら当該要素充電Ciの完了をもって充電を終了することを提案する。もし、充電が当該制御充電容量Cc0に達する前に上述した図1に示す充電最高電圧Vmaxに到達した場合は、図1に示した充電制御方法の手順に従って充電を終了する。
【0038】
本発明の充電制御方法では、電池を満充電から放電したときの放電容量Cdeが公称容量Cd0の50%以下であった場合、引き続く充電の容量を当該放電容量Cdの80%以上140%以下の範囲になるように制御充電容量Cc0を算定し設定する。そして、当該制御充電容量Cc0に達するか、あるいは、上述した充電最高電圧Vmaxに達するかのいずれか早い達成の場合によって充電を終了することを提案するものである。
【0039】
かかる充電の前の放電容量Cdが、一定電流充電の上限容量であるCcontに対して、
Cd >Cd0 −Ccont
なる関係が成立する場合は、この充電制御を実施する際には、充電開始から、Cc1までは一定電流値Icで充電し、それ以後は上述した間欠充電を行う。
【0040】
Cd ≦Cd0 −Ccont
の場合には直接間欠放電によって充電を行なう。
【0041】
上記充電容量Cc1以後の間欠充電において、上述した充電最高電圧Vmaxより当該制御充電容量に早く達する場合、休止と休止にはさまれた各要素充電Ciの充電容量Cciについて、1つの要素充電中において、充電開始からの積算充電容量
Cc =Cc1 +ΣCci (3)
が制御充電容量Cc0に達した場合、当該要素充電をもって充電を終了する。この到達条件と上述する最高電圧Vmaxによる制御条件のいずれか早い場合をもって最終要素充電とし、充電を終了する。
【0042】
公称容量Cd0の50%以下の放電後の充電において、かかる容量範囲を設定することで、充電後の十分な放電容量を確保するとともに、過充電による劣化を抑制することができる。上記制御充電容量Cc0が80%より少ないと、ひき続いて放電を実施する場合、期待した容量に達しない恐れがあり好ましくない。逆に当該制御充電容量Cc0を140%以上に設定すると過充電が生じ、間欠充電を実施した効果が相殺されることになり、同様に好ましくない。
【0043】
また、本発明では、満充電からの放電の放電容量Cdが公称容量Cd0の30%以下の場合、これに続く充電では、上述した50%以下の放電容量の場合の制御充電容量Cc0に代えて、当該放電容量Cdの80%以上120%以下の範囲になるように制御充電容量Cc0を算定して設定し、同様の充電制御を実施することを提案する。上記制御充電容量Cc0が80%より少ないと、ひき続いて放電を実施する場合、期待した容量に達しない恐れがあり好ましくない。逆に当該制御充電容量Cc0を120%以上に設定すると過充電が生じ、間欠充電を実施した効果が相殺されることになり、同様に好ましくない。
【0044】
さらに本発明では、満充電からの放電の放電容量Cdが公称容量Cc0の10%以下である場合、上述した制御充電容量Cc0を当該放電容量Cdの80%以上100%以下の範囲に代えて設定し、同様の充電制御を実施することを提案する。上記制御充電容量Cc0が80%より少ないと、ひき続いて放電を実施する場合、期待した容量に達しない恐れがあり好ましくない。逆に当該制御充電容量Cc0を100%以上に設定すると過充電が生じ、間欠充電を実施した効果が相殺されることになり、同様に好ましくない。
【0045】
このように、放電終止電圧Vdeに達しない部分放電を行った場合に上記の制御充電を設定して充電を実施することによって、充電で深刻となりやすい過充電を抑制し、かつその後の放電容量を確保できることになる。
【0046】
アルカリ水溶液を電解液とする二次電池の充電制御方法に関して、本発明では、充電における容量が上記請求項1に記載の値Cc1以上で実施する間欠充電において、当該間欠充電が休止R1から始まり、各要素充電Ciと休止Riとを交互に実施し、かつ、当該要素充電Ciが一定電流値で実施され、その電流値が、その平均充電電流Icaveと、当該容量値Cc1以下で実施される一定電流での充電の電流値Icと、休止時間tRiと要素充電時間tCiとの間に
Icave =Icim ・tCi/(tRi +tCi) (4)
かつ
Ic ≦0.2CA/セルの場合、Icave =Ic (5)
Ic >0.2CA/セルの場合、Icave =0.2CA/セル (6)
となる関係が成立するように設定された値Icimであることを提案する。ただし、式(5)および(6)中において、CA/セルは電流値の単位を示し、1個の電池を満充電から放電終止電圧まで1時間で完全放電する電流値であって、具体的には公称容量を1時間で割って得る電流値である。当該間欠充電を実施する領域は比較的充電の末期であり、0.2CA/セルを越える電流値で充電すると過充電が深刻となって好ましくない。
【0047】
また、本発明においては、当該間欠充電を構成する各要素充電時間tCiと各休止時間tRiとが
0.5tCi ≦tRi ≦3tCi (7)
であり、かつ
1min≦tCi ≦10min (8)
であることを提案するものである。
【0048】
このように各要素充電Ciにおける充電電流値と各要素充電時間と各休止時間とを設定することによって、比較的高温環境下に電池が置かれても充電末期で確実に充電ができ、かつ過充電を抑制することができるようになる。
【0049】
本発明のアルカリ水溶液を電解液とする二次電池の充電制御方法においては、また、充電における容量が上記(2)式によって算定される値Cc1以上において、休止R1から開始され、続いて要素充電Ciと休止Riとの繰り返しによって実施される間欠充電の別の方法を提案するものである。
【0050】
図3にその一実施形態例の概念を示す。すなわち、図3は本発明の充電制御方法を構成する別の方法による実施例の一概念を示した図であって、容量Cc1に達した後の電池の充電が一定電流値Icでの充電から間欠充電に移行したときの、当該間欠充電の要素充電Ciがピーク電流Icp、パルス幅tCpkをもつパルス充電とパルス幅tRpkをもつパルス休止との繰り返しによって構成され、各要素充電においてはパルス充電Cp1から開始される。図3において、曲線3-1は電圧変化を曲線3-2は電流変化を示している。
【0051】
本発明の充電制御方法では、さらに当該パルス充電による当該要素充電において、ピーク電流値Icpと各要素充電Ciの平均電流値Icpaveとが、間欠充電の平均電流Icave、要素充電時間tCi、休止時間tRi、パルス電流幅tCpk、ピーク電流Icp、パルス休止幅tRpkと
Icave = Icpave・tCi/(tCi + tRi)
=Icpave・Σ(Cpk + tRpk)/[Σ(tCpk + tRpk)+ tRi] (9)
Icpave = Icp・tCpk/(tCpk + tRpk) (10)
となる関係が成立するように当該要素充電の条件を設定することを提案する。
【0052】
式(9)および式(10)の関係を満たすピーク電流値Icpと平均電流値Icpaveに設定することによって当該領域における充電電気量を確保し、過電圧を抑制する。上記条件に示したパルス充電を実施することによって、比較的高温下においても確実に放電容量を確保できる充電が可能となり、その一方で、過充電による電池へのダメージを低減できる。
【0053】
本発明においては、これに加えて当該要素充電を構成するパルス電流とパルス休止のパルス幅tCpkおよびtRpkについて、
tCpk ≦tRpk ≦3tCpk (11)
および
1s ≦tCpk ≦180s、1s ≦tRpk ≦180s (12)
となるよう設定して実施することを提案する。
【0054】
パルス休止幅tRpkは、パルス電流幅tCpkに対して1倍以上3倍以下の範囲に設定すると、パルス電流値の設定と併せ、合理的なコストで制御が可能となり、かつ確実な充電と過充電の抑制がバランスよく達成できる。パルス休止幅tRpkがパルス電流幅tCpkより短いと過充電の抑制が十分に達成されない恐れがあり、好ましくない。逆にパルス休止幅tRpkがパルス充電幅tCpkの3倍より長いと、ピーク充電電流Icpの値が大きくなりすぎて過充電をきたす恐れがあり、同様に好ましくない。また、式(12)に示すとおり、パルス充電幅tCpk、パルス休止幅tRpkは1秒以上3分以下の設定がもっとも低コストで実現でき、かつ確実な充電と過充電の抑制がバランスよく達成できる。1秒以下に設定するとコストが高くなり、かつより低コストで可能な一定電流値での充電と効果が変わらなくなって好ましくない。逆に3分以上の設定では、充電中の過充電が深刻となり、かつ特に高温下において休止中による自己放電で充電が効率よく実施されなくなる恐れがあって同様に好ましくない。
【0055】
本発明ではさらに、パルス充電とパルス休止とで構成される当該要素充電中において、充電最高電圧Vmaxに達成した場合、あるいは当該最高電圧Vmaxを示す前に、上記請求項2、3および4に記載する制御充電容量Cc0に達した場合、当該到達パルス電流から5回以内のパルス電流の完了をもって充電を終了する制御を行うことを提案するものである。これによって、より過充電を防止でき、適正な充電量に制御することが可能となる。
【0056】
図4に、本発明の実施形態例におけるアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法の機能を満たす充電制御回路のブロック概念の一例を示す。図4において、1は本発明の充電制御方法を具体的機能として示す充電制御回路であり、2は充電制御の対象となる電池であり、3は充電制御回路1に搭載された本発明における充電制御方法の演算プログラムを入力し、これに基づいて充電制御を実施する制御用マイコンであり、4は商用電源あるいは装置本体側から端子10および11によって供給される電力を制御するためのマイコンであり、5は充電制御用マイコン3によって制御される電流切り替えのスイッチであり、6は回路における温度異常を検知するためのサーミスタであり、これら温度異常を含めて充電制御用マイコン3による出力異常の検出を端子7によって装置本体側に送出する。これらの部品を搭載した当該充電制御回路1は、端子8および9によって制御対象の電池2に接続される。
【0057】
図4は本発明における充電制御方法を実施するための充電制御回路の一概念を示したものだが、本発明の充電制御方法を実現することができればよく、何らこれに限定されることはない。
【0058】
図5、図6および図7に、本発明の充電制御方法の実施手順の概念の一例を示す。
【0059】
図5、図6および図7において、手順S1で試験電池の充電効率F(%)の確認を行なう。もし、充電効率Eが不明ならば、手順S2でカタログなどの情報によって確認するか、測定によって求める。当該充電効率Eと公称容量Cd0から、手順S3で充電制御に関わる上記式(1)の容量値Ccontを算定する。手順S4では試験に必要な個別の条件を入力する。もし、特定の仕様の電池を対象とする場合には上記図4に示す制御回路の一例における制御用マイコンの演算プログラムにあらかじめ設定しておけば、この手順は不要となる。次の手順S5では、試験電池の端子電圧の測定などによって当該電池が満充電かどうかを確認する。もし満充電でない場合には、まず手順S6において補助充電を行なって満充電状態にする。
【0060】
以上の手順を踏まえた上で手順S7で試験電池を放電する。放電が終了したら手順S8で放電容量Cdを測定する。手順S9で、測定した当該放電容量Cdから定電流充電の容量Cc1を求める。手順S10では、公称容量Cd0に対する放電容量Cdの割合Cd/Cd0から制御充電容量Cc0を決定する。本発明の充電制御方法では、Cd/Cd0<50%の場合、80% ≦Cc0<140%に設定し、Cd/Cd0<30%の場合、80%≦Cc0<120%に設定し、Cd/Cd0<10%の場合、80%≦Cc0<100%の範囲の値に設定する。次に手順S11では、放電容量Cdが公称容量Cd0とCcontとの差と比較して
Cd >(Cd0−Ccont)
かどうかを算定する。もし、上記関係であるならば、手順S12で、一定電流での定電流充電を開始する。上記関係が成立しない場合は、手順S14の間欠充電を開始する。手順S12で定電流充電を開始した後、手順S13で充電容量Ccが上記手順S9で決定したCc1に到達したかどうかを評価し、Cc1に到達したら手順S14の間欠充電に移行する。
【0061】
当該間欠充電を構成する各要素充電がパルス充電と休止で構成されるかどうかによって操作が若干異なる(手順S15)。
【0062】
間欠充電が休止Riと定電流の充電Ciとで構成される場合、手順S16で各要素充電での電圧をチェックし、要素充電で充電最高電圧Vmaxを示したら手順S17でこの次の要素充電の完了をもって充電を終了する。要素充電が充電最高電圧Vmaxを記録しなかった場合、手順S18で充電の総容量Ccが制御充電容量Cc0に達したかどうかをチェックする。当該充電容量Ccが当該制御充電容量Cc0に達したら手順S19で当該要素充電の完了をもって充電を終了する。
【0063】
間欠充電がパルス休止とパルス充電とで構成される場合、手順20で要素充電におけるパルス充電のピーク電圧を測定し、充電最高電圧Vmaxを示した場合、手順21においてあらかじめ決められた1回から5回までのある回数のパルス充電を行なって充電を終了する。手順20でパルス充電のピーク電圧が充電最高電圧Vmaxを示さなかった場合は手順22で制御充電容量Cc0に達したかどうかを判断する。当該容量Cc0に達したら最高充電電圧Vmaxに達した場合と同様にあらかじめ決められた回数のパルス充電を実施して充電を終了する。
【0064】
もし、放電と充電との間に休止を設定する場合は、手順S8、手順S17、手順S19、および手順S21の後に当該休止を設定する手順を加える。
【0065】
ただし、図5、図6および図7に示した充電制御方法の実施手順フローは本発明の充電制御方法を実施する手順概念の一例に過ぎず、本発明の充電制御方法が実現されれば良く、何らこの手順概念に限定されることはない。
【0066】
本発明における充電制御方法の対象となるアルカリ水溶液二次電池は、電解液にアルカリ水溶液を用いた電池であり、具体的にはニッケルカドミウム電池(以下、Ni/Cd電池と称す。)、ニッケル水素電池(以下、Ni/MH電池と称す。)が考えられるが、上述した条件に適合すればこれ以外の電池も制御可能である。
【0067】
本発明の充電制御方法は、特に高信頼を要求される機器が適用対象として考えられ、当該充電制御方法によって必要な使用時間の確保と長寿命化とを実現することによって、機器の動作を確実にし、環境保全の貢献に資する。しかしながら、アルカリ水溶液二次電池を搭載する機器であれば何ら使用上間題なく、しかも従来を上回る使用時間の確保と長寿命化を実現することができるため、使用する利点は極めて大きい。
【0068】
以下に本発明のアルカリ水溶液二次電池の充電方法について具体的実施例によって説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
【0069】
【実施例】
(実施例1)
公称容量6800mAhのNi/MH電池をいったん満充電にした後、放電電流1.4Aで放電終止電圧1.0Vまで放電し、30分間の休止した。その後、当該電池を充電電流0.68Aで340mAh充電し、30分間休止した後、0.68Aで放電終止電圧1.0Vまで放電しその放電容量を測定した。続いて30分間の休止の後、0.68Aで340mAhの2倍の680mAh充電し、同様の条件で休止、放電を行い放電容量を測定した。このように30分間の休止の後、0.68Aで340mAhの倍数の充電容量の充電を行ない、同様の条件の休止、放電を行い放電容量の測定を繰り返して充電効率E(%)が100%の限界を確認した結果、5100mAhであることがわかった。この結果、当該電池の充電効率E(%)を75%と判断した。
【0070】
上記結果に基づき、上記(1)式の制御充電容量Ccの設定に用いる容量値Ccontを
Ccont=Cd0×E/100=6800×0.75=5100(mAh)
とした。次に同種のNi/MH電池を用い、いったん満充電にした後、放電電流1.4Aで放電終止電圧1.0Vまで放電し、30分間の休止をし、各サイクルの放電容量Cdに対して、充電電流2.0Aで制御充電容量Cc1
Cc1 = Ccont − Cd0 + Cd = 5100−6800+Cd
=Cde −1700(mAh)
を設定し、当該容量Cc1まで当該電流値で充電した後、休止から開始して、休止、要素充電を繰り返す間欠充電を行なって充電を実施した。休止と要素充電の時間は10分間ずつとし、要素充電における電流値Icimは、本発明の充電制御方法の条件に従い、Ic >0.2CAであるから、式(6)より間欠充電の平均電流値Icave =0.2CA=1.36Aとし、式(4)より、
Icave =1.36=Icim×10分/(10分+10分)
によってIcim =2.72Aに設定した。当該充電は、要素充電の最高電圧が当該充電における最高電圧Vmaxを記録した場合、次の要素充電の完了をもって終了し、この後30分間の休止を行なった。この、放電、休止、充電(定電流充電+間欠充電)、休止を1充放電サイクルとして連続サイクル試験を100サイクル実施し、100サイクル目の放電容量Cd100の1サイクル目の放電容量Cd1に対する割合を算出した。
【0071】
比較例1および2として、要素充電の電流値Icimをそれぞれ3.0A、1.36Aに設定し、その他の条件は上記試験と同様にして充放電サイクル試験を実施した。また、比較例3として、充電を2.0CAの一定電流で行い、最高電圧Vmaxに達してから−10mV低下したときに充電を終了する−△V方式の充電を行なう以外は上記と同様の条件で充放電サイクル試験を実施した。
【0072】
試験結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
表1で明らかなように、本発明の充電制御方法に従って、制御充電容量Cc0が80%以上140%以下となるように制御して、容量Cc1 =Cd−1700mAhまでIc = 2.0Aで充電し、その後休止10分、Icim − 2.72A、10分間の要素充電での間欠充電を実施した場合は、比較例に比べて放電容量Cdの減衰が小さく、Ni/MH試験電池は良好な放電容量を維持することがわかった。
【0074】
これに対して、間欠充電を構成する要素充電の電流値Icimを、3.0Aで実施した比較例1の場合、間欠充電の要素充電電流が大きすぎて過充電の抑制が十分でないため100サイクル目の容量の低下率は最も大きかった。また、間欠充電を構成する要素充電の電流値Icimを式(6)のIcaveと同じ値である1.36Aに設定した比較例2では本発明の要素充電電流値を満たさないため、同様に放電容量の減衰率は本実施例に比べて大きくなった。さらに従来法である−△V規制での充電を実施した比較例3の場合も、本実施例の容量維持率には及ばないことがわかった。
【0075】
(実施例2)
公称容量600mAhのNi/Cd電池をいったん満充電にした後、放電電流0.6Aで放電終止電圧1.0Vまで放電し、30分間の休止をした。その後、当該電池を充電電流0.06Aで30mAh充電し、30分間休止した後、0.6Aで放電終止電圧1.0Vまで放電しその放電容量を測定した。続いて30分間の休止の後、0.06Aで30mAhの2倍の60mAh充電し、同様の条件で休止、放電を行い放電容量を測定した。このように30分間の休止の後、0.06Aで30mAhの倍数の充電容量の充電を行ない、同様の条件の休止、放電を行い放電容量の測定を繰り返して充電効率E(%)が100%の限界を確認した結果、360mAhであることがわかった。この結果、当該電池の充電効率E(%)を60%と判断した。
【0076】
上記結果に基づき、上記(1)式の制御充電容量Ccの設定に用いる容量値Ccontを
Ccont = Cd0×E/100 = 600×0.60 = 360(mAh)
とした。次に同種のNi/Cd電池を用い、いったん満充電にした後、放電電流0.6Aで放電容量が270mAh(放電深度45%)まで放電し、30分間の休止をし、各サイクルの放電容量Cd=270に対して、充電電流0.06Aで制御充電容量Cc1
Cc1 = Ccont−Cd0+Cd =360−600+270=30(mAh)
を設定し、Cc1=30mAhまで当該電流値で充電した後、休止から開始して、休止、要素充電を繰り返す間欠充電を行なって充電を実施した。休止と要素充電の時間は10分間ずつとし、要素充電における電流値Icimは、本発明の充電制御方法の条件に従い、式(6)よりIc ≦0.2CAであるから間欠充電の平均電流値Icave=0.06Aとし、式(4)より、
Icave = 0.06=Icim×10分/(10分+10分)
によってIcim=0.12Aに設定した。制御充電容量Cc0を放電容量Cd=270mAhの71%、80%、139%、148%である190mAh、216mAh、375mAh、450mAhに設定し、当該充電は、この制御充電容量Cc0に達した場合の要素充電完了をもって終了するか、あるいは、要素充電の最高電圧が当該充電における最高電圧Vmaxを記録した場合、次の要素充電の完了をもって終了するかのいずれか早い場合をもって終了とし、この後30分間の休止を行なった。この、放電、休止、充電(定電流充電+間欠充電)、休止を1充放電サイクルとして50サイクル実施した。当該充放電サイクルを終了した後、1時間の休止を行い、その後、放電電流0.6Aで放電終止電圧1.1Vまで放電し、放電容量を測定し容量確認を行なった。結果を表2に示す。
【0077】
【表2】
表2で明らかなように、本発明の充電制御方法に従って、制御充電容量が80%以上140%以下となる80%および139%に設定、制御して充電を実施した試験No.2-2およびNo.2-3の場合、Ni/Cd試験電池は容量500mAh以上であり、良好な放電容量を維持することがわかった。
【0078】
これに対して、上記充電容量範囲より小さい71%、および上記充電容量範囲より大きい148%に充電容量を規制して浅い充放電サイクルを実施した試験No.2-1およびNo.2-4の場合では、容量の減少が大きくなり好ましくないことがわかった。
【0079】
(実施例3)
公称容量1800mAhのNi/MH電池をいったん満充電にした後、放電電流360mAで放電終止電圧1.0Vまで放電した。その後30分間の休止をし、充電電流360mAで90mAh充電し、1時間の休止の後、360mAで1.0Vまで放電し、容量を測定した。30分間の休止の後、充電電流360mAで90mAhの2倍の180mAh充電し、1時間休止の後、360mAで1.0Vまで放電し、容量を測定した。このようにして、1時間の休止の後、90mAhの倍数の容量分充電し、放電を行なって容量を測定するという操作を繰り返し、各操作ごとの充電容量(90×n mAh)に対する放電容量が100%から乖離する充電容量を調べたところ、公称容量1800mAhの75%となる1350mAhであることがわかった。この結果から当該電池の充電効率Eを75%とした。そこで、充電制御に用いる容量値Ccont=1350mAhとした。
【0080】
当該電池と同種の公称容量Cd0=1800mAhのNi/MH電池を、放電電流360mAで、放電容量Cdを公称容量Cd0の27.8%となる500mAhまで放電し、30分間休止した後、充電し、そして30分間休止する充放電サイクルを実施した。
【0081】
充電は、その初期を電流値360mAの定電流で行い、充電容量が
Cc1 = Ccont−Cd0+Cd =1350−1800+500=50(mAh)
に達したら、10分間ずつの休止と要素充電の繰り返しによる間欠充電を行なって実施した。当該要素充電の電流値Icimは、間欠充電の平均電流Icaveから
Icave=360=Icim×10/(10+10)
より、Icim=720mAに設定した。
【0082】
当該定電流充電と当該間欠充電から構成される上記充電は、制御充電容量Cc0を放電容量Cdの70%、80%、119%、および125%である350mAh、400mAh、595mAh、および625mAhに設定し、当該制御充電容量に達した場合にその要素充電の完了をもって終了し、あるいは、これより早く要素充電の電圧が当該充電での最高電圧Vmaxを示した場合には次の要素充電の完了をもって終了し、かかる2つの終了判断選択肢についてはいずれか早期の完了をもって選択し充電終了を実行することとした。
【0083】
このように条件を設定した上で当該充放電サイクルを100回実施し、1時間の休止の後、放電終止電圧1.0Vまで放電してその容量を測定した。
【0084】
結果を表3に示す。
【0085】
【表3】
表3で明らかなように、本発明の充電制御方法に従って、制御充電容量が80%以上120%以下となる80%および119%に設定、制御して充電を実施した試験No.3-2およびNo.3-3の場合、Ni/MH試験電池は良好な放電容量を維持することがわかった。
【0086】
これに対して、上記充電容量範囲より小さい70%、および上記充電容量範囲より大きい125%に充電容量を規制して浅い充放電サイクルを実施した試験No.3-1およびNo.3-4の場合では、容量の減少が大きくなり好ましくないことがわかった。
【0087】
(実施例4)
実施例3で使用した公称容量1800mAhのNi/MH電池と同種の電池を用い、各放電の容量Cdを公称容量Cd0の83%である150mAhとし、制御充電容量Cc0を放電容量Cd = 150mAhの70%(105mAh)、80%(120mAh)、99%(149mAh)および106%(160mAh)に設定し、それ以外は実施例3と同様の条件の充放電サイクルを20サイクル実施した。この浅い充放電サイクルの後、30分間の休止を行ない、続いて360mA、放電終止電圧1.0Vで放電して放電容量Cdmを測定し、その後30分間の休止を経て、360mA、−△V=−10mVの制御で充電を行ない、これを容量確認充放電とした。この浅い充放電20サイクルと容量確認充放電を繰り返して、確認試験における容量Cdeの変化を評価した。
【0088】
結果を図8に示す。
【0089】
すなわち、図8は、本実施例によって実施されたNi/MH電池の浅い充放電20サイクルごとに測定した容量確認試験での放電容量Cdmの変化であり、縦軸に公称容量Cd0に対する当該放電容量Cdmの割合(%)を、横軸には浅い充放電の積算サイクル数を示した図であって、図中、曲線8-1、8-2、8-3、および8-4は制御充電容量Cc0をそれぞれ70%、80%、99%および106%に設定した各試験での容量Cdmの変化を示している。図8に明らかなように、本発明の充放電制御にしたがって実施した試験を示す曲線8-2および8-3が示すサイクル数の経過に伴う容量の変化は、他の2つの場合に比べて小さく、優れた容量維持を示すことがわかる。
【0090】
(実施例5)
上記実施例4において使用したNi/MH電池と同種の公称容量1800mAhのNi/MH電池を使用して、充電を制御充電容量Cc0=99%(149mAh)に設定し、この制御充電容量、および間欠充電の休止時間と要素充電時間以外の条件については実施例4と同様の条件の充放電20サイクルと容量確認充放電を繰り返す試験を実施し、積算サイクル数が100サイクル経過した後の確認容量Cdmを測定した。
【0091】
間欠充電を構成する休止と要素充電の時間tRiとtCiの条件を表4に示す。表4において、試験No.5-1からNoI5-5までは、休止時間と要素充電時間との比率の影響を評価した試験であり、試験No.5-3とNo.5-6以降は、要素充電時間の影響を評価した試験である。
【0092】
【表4】
結果を図9および図10に示す。
【0093】
図9は、表4における試験No.5-1からNo.5-5までの確認容量Cdmと要素充電時間に対する休止時間比率tRi/tCiの関係を示した図である。図9に明らかなように、本発明の充電制御方法によるtRi/tCiが0.5≦tRi/tCi≦3の範囲では容量維持が優れていた。
【0094】
図10には、本実施例の試験No.5-3とNo.5-6からNo.5-9までの緒果であり、100サイクル後の確認容量Cdmの要素充電時間tCiの影響を示した図である。図10から、本発明の充電制御方法に従った要素充電時間tCiが1 min≦tCi≦10 minの場合、優れた容量維持を示していることがわかった。
【0095】
(実施例6)
実施例4に用いたNi/MH電池と同種の公称容量Cd0=1800mAhのNi/MH電池を使用して、実施例4の試験条件のうち、制御充電容量Cc0を99%(149mAh)とし、要素充電の条件以外、同様の条件で充放電サイクル試験を実施した。要素充電については、時間を実施例4と同様の10分間として間欠充電の平均電流値Icaveを720mAにした。要素充電は、パルス幅10s、ピーク電流1440mAのパルス電流とパルス幅10sのパルス休止で構成して実施した。上記制御充電容量Cc0に達するか、当該パルス充電時の電圧が充電最高電圧Vmaxを示すかのいずれかが生じた場合、該当するパルス電流から5回後のパルス電流の完了をもって充電を終了するよう設定した。
【0096】
比較のため、充電を充電電流360mA、−△V=−10mV制御で行なう他は本実施例と同様の条件の従来法による充放電サイクルと容量確認試験を実施した。なお、両者とも試験温度は30℃であった。
【0097】
結果を図11に示す。
【0098】
すなわち、図11は本実施例の試験結果である充放電20サイクルごとの確認容量Cdmの変化を示した図であり、図11において曲線11-1は本実施例の結果である容量の変化を示す曲線であり、曲線11-2は比較例として実施した従来法による容量の変化を示す曲線である。
【0099】
図11に明らかなように、本発明の充電制御方法に従って制御した場合、従来法による制御に比べて優れた容量を確保できることがわかった。
【0100】
(実施例7)
実施例6に用いたNi/MH電池と同種の公称容量Cd0=1800mAhのNi/MH電池を使用して、実施例6の試験条件のうち、パルス充電とパルス休止の条件以外、同様の条件で充放電サイクル試験を実施した。パルス休止のパルス幅tRpkとパルス充電のパルス幅tCpkおよびピーク電流値Icpについては、表5に示す条件で構成して実施した。
【0101】
【表5】
試験結果を図12および図13に示す。
【0102】
図12は、試験No.7-1からNo.7-4までの試験結果を示した充放電サイクル後の確認容量Cdmの変化を示す図であり、図12において曲線12-1はNo.7-1、曲線12-2はNo.7-2、曲線12-3はNo.7-3、曲線12-4はNo.7-4の試験における容量変化である。図12に明らかなように、本発明の充電制御方法に従って実施したパルス条件としてパルス休止幅tRpkがtCpk≦tRpk≦3tCpkの範囲である曲線12-2および曲線12-3における容量は、他の場合より大きくかつ優れた維持率を示した。
【0103】
一方、図13は、試験No.7-2と試験No.7-5からNo.7-8までの結果を示しており、縦軸に充放電100サイクル後の確認容量Cdmを、横軸にパルス幅tRpk、tCpkの対数値を示し、Cdmの設定パルス幅に対する影響を示した図である。図13に示すように、本発明の充電制御方法に基づいて設定したパルス幅が1s以上180s以下の範囲の場合、他の場合より大きな容量を示し、優れた容量維持を可能にすることがわかった。
【0104】
(実施例8)
実施例7で用いたNi/MH電池と同種の公称容量1800mAhのNi/MH電池を用いて、充電終了の判断とするパルス充電回数以外は実施例7で実施した試験No.7-3と同様の条件の充放電サイクル試験を実施した。パルス充電時に制御充電容量Cc0に達するか、あるいは当該パルス充電のピーク電圧が充電最高電圧Vmaxを示すか、いずれかの場合が生じたとき、当該パルス充電の完了をもって充電終了とする条件、および5回後、6回後のパルス充電の完了をもって充電を終了するよう設定して試験を行なった。
【0105】
結果を図14に示す。
【0106】
図14は、本実施例における充電終了の条件となるパルス電流の回数の容量に対する影響を検討した結果を示した図であり、縦軸に100サイクル後の確認容量、横軸に制御充電容量Cc0に到達したか、あるいは充電最高電圧Vmaxに達したパルス充電から充電終了となる最終パルス充電までの回数を示している。
【0107】
図14に明らかなように、本発明の充電制御方法に従って設定した5回後のパルス充電までに充電を終了した場合、優れた容量維持を示すことがわかる。
【0108】
以上述べたように本発明によれば、メモリー効果および電池劣化を抑制し、確実な放電容量を確保するアルカリ水溶液二次電池の高信頼の充電制御方法、装置および電池パックを実現でき、環境保全とエネルギー有効利用に大きな貢献を果たすことになる。
【0109】
【発明の効果】
本発明の実施によって、アルカリ水溶液二次電池の簡易で効果的な充電制御方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の充電制御方法の一実施形態例の概念である、放電、休止、充電、休止の充放電1サイクルの電圧、電流変化の概念例を示した図である。
【図2】本発明の充電制御方法一実施形態例の概念である、放電が一定割合以下の放電容量となった場合の放電、休止、充電、休止の充放電1サイクルの電圧、電流変化の概念例を示した図である。
【図3】本発明の充電制御方法を構成する別の方法による実施例の一概念を示した図であって、容量Cc1に達した後の電池の充電が一定電流値Icでの充電から間欠充電に移行したときの、当該間欠充電の要素充電Ciがパルス充電とパルス休止との繰り返しによって構成される場合の電圧、電流変化の一概念例を示した図である。
【図4】本発明における充電制御方法を実施するための充電制御回路の一概念を示した図である。
【図5】本発明の充電制御方法を実施する手順の一概念例を示したフロー図であって、図6、図7に続く図である。
【図6】本発明の充電制御方法を実施する手順の一概念例を示したフロー図であって、図5から続き、図7に続く図である。
【図7】本発明の充電制御方法を実施する手順の一概念例を示したフロー図であって、図5、図6から続く図である。
【図8】本発明の実施例4における試験結果を示した図であって、実施例4によって実施されたNi/MH電池の浅い充放電20サイクルごとに測定した容量確認試験での放電容量Cdmの変化を示した図である。
【図9】本発明の実施例5における試験結果を示した図であって、実施例5によって実施されたNi/MH電池の100サイクル後の確認容量Cdmと間欠充電を構成する要素充電時間と休止時間との比率tRi/tCiの関係を示した図である。
【図10】本発明の実施例5における試験結果を示した図であって、実施例5によって実施されたNi/MH電池の100サイクル後の確認容量Cdmの間欠充電を構成する要素充電時間tCiの影響を示した図である。
【図11】本発明の実施例6における試験結果を示した図であって、実施例6によって実施されたNi/MH電池の充放電サイクル試験と比較例として示した充放電サイクル試験での容量Cdmのサイクルに伴う変化を示した図である。
【図12】本発明の実施例7における試験結果を示した図であって、実施例7によって実施されたNi/MH電池のパルス充電とパルス休止とのパルス幅の比率を変えた充放電サイクル試験での容量Cdmのサイクルに伴う変化を示した図である。
【図13】本発明の実施例7における試験結果を示した図であって、実施例7によって実施されたNi/MH電池のパルス充電とパルス休止とのパルス幅を変えた充放電サイクル試験での容量Cdmのサイクルに伴う変化を示した図である。
【図14】本発明の実施例8における試験結果を示した図であって、実施例8によって実施されたNi/MH電池の充放電サイクル試験での充電を終了するまでのパルス充電回数と100サイクル後の容量Cdmとの関係を示した図である。
【符号の説明】
1…充電制御回路、2…電池、3…制御用マイコン、4…電力制御用マイコン、5…電流切り替えスイッチ、6…サーミスタ、7…制御用端子、8…電池接続用+端子、9…電池接続用−端子、10…商用電源接続+端子、11…商用電源接続−端子。
Claims (9)
- アルカリ水溶液二次電池の充電制御方法であって、該二次電池が満充電状態から放電容量Cdで放電した後の充電において、容量値Cc1を下記式(1)および(2)によって算出し、
上記容量値Cc1が正の値であるとき、充電開始からの充電容量が上記容量値Cc1に達するまで一定電流による充電を行った後、休止と要素充電との交互繰り返しからなる間欠充電を行い、i番目の要素充電中の最高電圧がi−1番目の要素充電中の最高電圧よりも低くなった場合にi番目の要素充電の完了をもって充電を終了し、
上記容量値Cc1が零または負の値であるとき、上記一定電流による充電を行わずに上記間欠充電を行い、j番目の要素充電中の最高電圧がj−1番目の要素充電中の最高電圧よりも低くなった場合にj番目の要素充電の完了をもって充電を終了することを特徴とするアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法。
Ccont = Cd0×E (1)
Cc1 = Ccont−Cd0+Cd (2)
ここに、Cd0は該二次電池の公称容量であり、Eは該二次電池の充電効率である。 - アルカリ水溶液二次電池の充電制御方法であって、該二次電池が満充電状態から該二次電池の公称容量Cd0の50%以下の放電容量Cdで放電した後の充電において、容量値Cc1を下記式(1)および(2)によって算出し、Cdの80%以上140%以下の範囲内にある制御充電容量Cc0を設定し、
上記容量値Cc1が正の値であるとき、充電開始からの充電容量が上記容量値Cc1に達するまで一定電流による充電を行った後、休止と充電との交互繰り返しからなる間欠充電を行い、上記容量値Cc1と該間欠充電による間欠充電容量との合計である積算充電容量が上記制御充電容量Cc0に到達する前に、i番目の要素充電中の最高電圧がi−1番目の要素充電中の最高電圧よりも低くなる充電電圧低下現象が起こったときにi番目の要素充電の完了をもって充電を終了し、該充電電圧低下現象が起こることなく該積算充電容量が上記制御充電容量Cc0に到達したときにも充電を終了し、
上記容量値Cc1が零または負の値であるとき、上記一定電流による充電を行わずに、上記間欠充電を行い、該間欠充電による間欠充電容量が上記制御充電容量Cc0に到達する前にj番目の要素充電中の最高電圧がj−1番目の要素充電中の最高電圧よりも低くなる充電電圧低下現象が起こったときにj番目の要素充電の完了をもって充電を終了し、該充電電圧低下現象が起こることなく該間欠充電容量が上記制御充電容量Cc0に到達したときにも充電を終了することを特徴とするアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法。
Ccont = Cd0×E (1)
Cc1 = Ccont−Cd0+Cd (2)
ここに、Cd0は該二次電池の公称容量であり、Eは該二次電池の充電効率である。 - 請求項2に記載のアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法において、上記放電容量Cdが該二次電池の公称容量Cd0の30%以下であり、上記制御充電容量Cc0が上記放電容量Cdの80%以上120%以下の範囲内にあることを特徴とするアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法。
- 請求項3に記載のアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法において、上記放電容量Cdが該二次電池の公称容量Cd0の10%以下であり、上記制御充電容量Cc0が上記放電容量Cdの80%以上100%以下の範囲内にあることを特徴とするアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法。
- 請求項1、2、3または4に記載のアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法において、上記容量値Cc1が正の値である場合に、上記間欠充電が休止R1から始まり、i番目の要素充電Ciとi番目の休止Riとを交互に実施し、かつ、要素充電Ciが一定電流値Icimで実施され、該電流値Icimが、間欠充電の平均充電電流Icaveと、充電開始からの充電容量が上記容量値Cc1に達するまで実施される上記一定電流による充電の充電電流値Icと、i番目の休止Riの休止時間tRiと、要素充電Ciの充電時間tCiとの間に下記式(4)、(5)および(6)が成立するように設定された値であることを特徴とするアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法。
Icave =Icim・tCi/(tRi +tCi) (4)
かつ
Ic ≦0.2CA/セルの場合、Icave =Ic (5)
Ic >0.2CA/セルの場合、Icave =0.2CA/セル (6)
ここに、1CA/セルは、該二次電池1個を満充電から1時間で完全放電するような電流値を示す。 - 請求項1、2、3、4または5に記載のアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法において、上記間欠充電が休止R1から始まり、i番目の要素充電Ciとi番目の休止Riとを交互に実施し、i番目の要素充電Ciの充電時間tCiとi番目の休止Riの休止時間tRiとが下記式(7)および(8)を満足することを特徴とするアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法。
0.5tCi ≦tRi ≦3tCi (7)
1min≦tCi ≦10min (8) - 請求項5に記載のアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法において、各要素充電Ciがパルス幅tCpk、ピーク電流値Icpであるパルス充電Cpkと時間幅tRpkのパルス休止Rpkとの繰り返しで構成され、各要素充電はパルス充電Cp1から開始され、
さらにピーク電流値Icpと各要素充電Ciの平均電流値Icpaveとが下記式(9)および(10)を満足するように設定されることを特徴とするアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法。
Icave =Icpave・tCi/(tCi +tRi)
=Icpave・Σ(tCpk +tRpk)/[Σ(tCpk +tRpk)+tRi] (9)
Icpave =Icp・tCpk/(tCpk +tRpk) (10)
ここに、Icaveは間欠充電の平均電流であり、tCiは要素充電時間であり、tRiは休止Riの時間である。 - 請求項7に記載のアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法において、パルス幅tCpkおよびパルス休止時間幅tRpkが、下記式(11)および(12)が成立するように設定されることを特徴とするアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法。
tCpk ≦tRpk ≦3tCpk (11)
1s≦tCpk ≦180s、1s≦tRpk ≦180s (12) - 請求項7または8に記載のアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法において、最終の上記要素充電が他の要素充電よりも1ないし5個多い上記パルス充電を含むことを特徴とするアルカリ水溶液二次電池の充電制御方法。
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