JP4429449B2 - 半導体試験装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はロジックLSI(大規模集積回路)用の半導体試験装置において、不良(フェイル:Fail)解析を行う際に適切に解析できるフェイルメモリを用いた半導体試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
始めに、従来の半導体試験装置の概略について説明する。図3に半導体試験装置の基本的な概念ブロック図を示す。
テストプロセッサ1は装置全体の制御を行い、テスタ・バス50を介して各部署に制御信号を与えると共にデータの授受を行う。
パターン発生器2は被試験デバイス( Device Under Test:以後、「DUT」という)30に与える印加パターンと、パターン比較器7に与える期待値パターンを生成する。
【0003】
タイミング発生器3は装置全体の同期を取るためにタイミングパルス信号を発生して、パターン発生器2、波形整形器4やパターン比較器7等に与え、図示していないが、コンパレータ6にストローブパルスを与える。
波形整形器4はパターン発生器2からの印加パターンとタイミング発生器3からのタイミングパルスを受けて、テスト信号波形に整形しドライバ5に与える。
ドライバ5は波形整形器からの信号を受け、所定の印可電圧としたテスト信号波形をDUT30の入力端子に与える。
【0004】
DUT30の出力端子からの応答信号はコンパレータ6に与えられる。
コンパレータ6は応答信号をハイレベルの基準電圧VOHとローレベルの基準電圧VOLとで電圧比較し、電圧比較結果の論理信号はパターン比較器7に与えられる。電圧比較のタイミングは、タイミング発生器からのストローブパルスの時点で行う。
【0005】
パターン比較器7はコンパレータ6からの試験結果の論理パターンと、パターン発生器2からの期待値パターンとを論理比較して一致・不一致を検出し、DUT30の良否判定を行う。不良の場合にはフェイルメモリ(不良記憶装置)8及びフェイルメモリ制御部9を主とした不良解析部門に不良情報を与え、パターン発生器2からのアドレス情報と共に記憶させ、後に不良解析が行われる。
【0006】
半導体試験装置には、ロジックLSI用とメモリLSI用とロジック及びメモリが混在したミクスドLSI用の3種類がある。
【0007】
一方、ロジックLSI用のフェイルメモリ8は、主にDUT30や試験用プログラムのデバッグ時に高速で使用するために、外付けのメモリを用いることは困難であるので、例えばASIC( Application Specific Integrated Circuit)で構成したりしている。ASICとは、特定のユーザ向けあるいは用途向けの専用ICやLSIである。従って、メモリLSI用のフェイルメモリに比べてメモリ容量は極めて少なく、例えば256ワード程度であるが、非常に高速で動作する。
【0008】
図4に従来のロジックLSI用のフェイルメモリ8を主とした不良解析部門の一例の構成図を、図5に動作を説明するメモリ状況の説明図を示す。
不良解析部門はフェイルメモリ8とフェイルメモリ制御部9とから構成されており、テストプロセッサ1とデータの授受を行って不良解析を行っている。
フェイルメモリ8は、前述したように、例えばASICによって制御回路とメモリ部10から構成されている。
【0009】
フェイルメモリ制御部9は、フェイルメモリ8を制御するために、パターン比較器7より不良情報、つまりアドレス情報(ad情報)とカウント情報(cn情報)とを得、テストプロセッサ1からの制御信号によって、書込(ライト)クロック(W clk)、読出(リード)クロック(R clk)、フェイルメモリレート(FM rate )やスタートクリヤ(S clr)信号、ストア(STORE)信号、リードアドレス(R addres )信号等を生成してフェイルメモリ8に与えている。
【0010】
フェイルメモリ8の制御回路は、パターン比較器7より不良情報(フェイル情報ともいう)、つまりアドレス情報(ad情報)とカウント情報(cn情報)とを受け、一度ラッチしてメモリ部10に与える。
また、フェイルメモリ制御部9からのストア信号を受けて、メモリ部10のライトイネーブル(W enable )を与えると共に、フェイルメモリアドレス加算・判定器( FM ad Inc・Judge)20はストア信号毎に1づつ加算して、例えば8ビットのライトアドレス(W addres )を生成し、このライトアドレスを8ビットのアドレス用フリップフロップ22にラッチしてメモリ部10に与え、そのライトアドレスのメモリ部10にパターン比較器7からの不良情報を記憶する。
【0011】
また、メモリ部10のフェイルメモリアドレスがオーバーフローしているか否かを判定するために、フェイルメモリアドレス加算・判定器20の後段に1ビットのオーバーフロー判定用フリップフロップ(FF1)21を設けて、オーバーフローするとフェイルメモリアドレス加算・判定器20に帰還してライトアドレスを再び0番地より生成するようにしている。
後に、このオーバーフロー情報とメモリ部10から読み出したデータとが、読出回路15とテスタ・バス50とを介してテストプロセッサで読み出されて、不良解析が行われる。
このオーバーフロー情報の関係を、図5を用いて説明する。
【0012】
フェイルメモリ8にメモリするスタート( start)番地は0番地からでも、前回終了の任意の番地からでもよい。MAX(最大)番地は、例えばライトアドレスが8ビットのときには255番地である。オーバーフロー判定用フリップフロップ(FF1)21の情報は、スタートポイントではスタートクリア信号で“0”とされている。
図5(A)は、不良情報が少ない場合である。スタート番地は前回終了の任意の番地よりスタートし、ストップ番地はMAX番地を越えていないので、ストップポイントでのFF1も“0”のままである。
【0013】
図5(B)では、不良情報が任意のライト番地より記憶をスタートし、MAX番地を越えて0番地から再び記憶されているが、不良情報は全メモリ量以内の情報である。この場合には、FF1はMAX番地を越えるときに“1”となり、フェイルメモリはフェイル情報を0番地から再び記憶させている。
【0014】
図5(C)では、不良情報の記憶を任意のライト番地よりスタートさせ、MAX番地を越えて0番地から再び記憶されているが、不良情報量は全メモリ量を越える情報となっている。この場合には、FF1はMAX番地を越えるときに“1”となり、不良情報を0番地から再び記憶させ、スタート番地を越えてストップしている。そのために、1回目のスタート番地からストップ番地までの不良情報は上書きされて過去のデータは消去されている。つまり、斜線の部分の過去データが消去されて上書きされている。
【0015】
図5(D)では、不良情報の記憶を任意のライト番地よりスタートさせ、MAX番地を越えて0番地から再び記憶され、不良情報量は全メモリ量を二重に越える情報量である。この場合には、FF1は1回目のMAX番地を越えるときに“1”となり、フェイルメモリの0番地から再び記憶させ、更に2回目のMAX番地を越え、スタート番地を越えてストップしている。そのために、1回目のスタート番地からストップ番地までの不良情報は上書きされて消去されている。つまり、斜線の部分が消去され、更に二重斜線の部分は2度も消去されている。FF1は“0”又は“1”となっていた。FF1は、一度MAX番地を越えると二度三度越えても、常に“1”情報を保つようにしてもよい。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
従来のロジックLSI用半導体試験装置のフェイルメモリ8であっても、比較的小規模のLSIの開発品や、汎用品の超規模LSIの製造時のテストであれば不良情報が少ないので充分に試験ができていた。
しかしながら、半導体製造技術の飛躍的な向上によって、LSIの集積度は益々向上し、入出力端子も1,000ピンを越えるようになり、そのテストプログラムのステップ数も飛躍的に多数となっている。
【0017】
このような現状に対して、開発試作時の超規模LSIのデバッグ時やそのテストプログラムのデバッグ時においては、状況によってその不良情報の数が従来に比し格段に増えてきた。
従来技術においては、図5(D)に示すように、不良情報数が記憶容量数、つまりMAX番地より多くなると、次々に先の不良情報を消して上書きするが、オーバーフロー判定用フリップフロップ(FF1)は、一度MAX番地を越えるとFF1は“1”情報となり、何度も上書きされるようになる。つまり、不良情報の内容はもとより、その不良情報数の個数すら不明となっていた。
【0018】
この発明の目的は、不良情報量がメモリ(記憶)量の制限、つまりMAX番地より多くなっても、不良情報の数を正しく計数し、どこまでの不良情報の内容が有効か否かを容易に検出できるロジックLSI用の半導体試験装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は不良情報の数を正しく計数するためにオーバーフロー判定用フリップフロップ(FF1)21をオーバーフロー判定用複数フリップフロップ( FF1・FF2)に換える。オーバーフロー判定用複数フリップフロップはフリップフロップを従属に接続して例えば2進カウンタの構成とする。そして、メモリ部のオーバーフローの回数を正しく計数して、テスタ・バスを介してテストプロセッサに伝送し不良解析を行う。
【0020】
テストプロセッサでは、スタートアドレスとストップアドレスとオーバーフローの回数とによって、不良情報の数と現在記憶されている不良情報の有効性とを検出する。消去された不良情報を必要とするときには、制御信号によって再度部分テストを行い、必要とする不良情報を再現することも容易にできる。
【0021】
次に、本発明の構成について述べる。この発明は、▲1▼不良解析部門はメモリ部及び制御回路から成るフェイルメモリとフェイルメモリ制御部とを有し、パターン比較器からの不良情報を受けてメモリ部に記憶し、テストプロセッサとデータの授受を行って不良解析を行うロジックLSI用の半導体試験装置であって、▲2▼フェイルメモリの制御回路に設けたフェイルメモリアドレス加算・判定器の後段に、複数のフリップフロップを従属接続し計数器の構成にしてメモリ部のオーバフローの回数を計数し、不良情報の発生回数をテスタ・バスに伝送して不良解析を行うオーバーフロー判定用複数フリップフロップを具備する半導体試験装置である。
【0022】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。図1に本発明の一実施例のフェイルメモリを主とする不良解析部門の構成図を、図2に本発明の動作を説明するメモリ状況の説明図を示す。先ず、図1について説明する。
【0023】
主な構成は、図4の従来構成と大差は無いので、この発明部分を重点にして従来技術と比較し説明する。
図4の従来技術においては、フェイルメモリアドレス加算・判定器( FM ad Inc・Judge)20の後段に1ビットのオーバーフロー判定用フリップフロップ(FF1)21を設けて、ライトアドレスがMAX番地を越えたか否かを判定し、フェイルメモリアドレス加算・判定器20に情報信号を帰還させると共に読出回路15とテスタ・バス50を介してテストプロセッサに情報を伝送していた。
【0024】
図1のこの発明においては、フェイルメモリアドレス加算・判定器( FM ad Inc・Judge)の後段に従来のオーバーフロー判定用フリップフロップ(FF1)21に換えて、オーバーフロー判定用複数フリップフロップ( FF1・FF2)25を設けている。オーバーフロー判定用複数フリップフロップ25は、複数のフリップフロップを従属接続し計数器(カウンタ)の構成とし、メモリ部10のオーバーフローの回数を計測する。計数器の構成は公知であるので省略する。この計数結果は読出回路15とテスタ・バス50を介してテストプロセッサに情報を伝送する。従って、不良解析の際には不良情報の数が正確に判明できる。
【0025】
図2を用いて、フリップフロップが2つの場合のオーバーフロー判定用複数フリップフロップ25の動作について説明する。理解しやすいように、図2の(a)欄は従来技術の図5(a)欄を用いた。よって、図2の(a)欄のメモリ状況の説明は省略する。(b)欄にオーバーフロー判定用複数フリップフロップ25の情報内容を示している。フリップフロップにFF1とFF2を用いて計数器を構成したので、メモリ部10のオーバーフローの回数が計数されている。
【0026】
図2(A)では、不良情報がMAX番地を越えていないのでFF1とFF2ともストップポイントの情報は“0”である。つまり、オーバーフロー回数は0である。
図2(B)では、不良情報が一度MAX番地を越えているのでFF1のストップポイントの情報は“1”であり、FF2のストップポイントの情報は“0”である。つまり、オーバーフロー回数は1である。
【0027】
図2(C)では、ストップ番地がスタート番地より大きくなっているが、MAX番地を一度越えているのでFF1のストップポイントの情報は“1”であり、FF2のストップポイントの情報は“0”である。つまりオーバーフロー回数は1である。不良情報の有効データは(ストップ番地+1番地)からストップ番地までである。
図2(D)では、ストップ番地がスタート番地より大きく、MAX番地を二度越えている。このときはFF1のストップポイントの情報は“0”となり、FF2のストップポイントの情報は“1”となる。つまり、オーバーフロー回数は2である。不良情報の有効データは最終データの(ストップ番地+1番地)からストップ番地までである。
【0028】
2つのフリップフロップFF1とFF2を用いることにより、三度のオーバーフロー回数まで計数できる。それ以上のオーバーフロー回数が予測されるときは更にフリップフロップを増やすとよい。
これらの情報はテストプロセッサに伝送され不良解析が行われる。
【0029】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、従来のロジックLSI用半導体試験装置のフェイルメモリ8には、高速動作が必要なために、記憶容量は比較的少ないが高速に動作する、例えばASICで構成されていた。そこで、不良情報がメモリ部10の記憶容量を超えたか否かを判定するオーバーフロー判定用フリップフロップ(FF1)を設けていた。しかしながら、半導体製造技術の飛躍的発展により、LSIの集積度が益々向上し、超規模LSIの試作品のデバッグやそのテストプログラムのデバッグにおいて、不良情報が予想以上に増えるものもでてきて、不良解析に支障を生じることもあった。
【0030】
この発明は、これらの問題点に鑑み、従来のオーバーフロー判定用フリップフロップに換えて、複数のフリップフロップによる計数器の構成によるオーバーフロー判定用複数フリップフロップとした。この情報をテストプロセッサに伝送して不良解析を行うことにより、この問題は解決した。
【0031】
つまり、メモリ部10のオーバーフローの回数が明確になり、不良情報の数も明確になり、有効データも明確になる。従って、消去されたデータ数も明確になる。消去されたデータの内容が必要であれば、再度部分テストを行うことにより得ることができる。
上記のように、この発明は従来装置の多少の改善により、大きな技術的効果を得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のフェイルメモリを主とした不良解析部門の構成図である。
【図2】本発明の動作を説明するメモリ状況の説明図である。
【図3】半導体試験装置の基本的な概念ブロック図である。
【図4】従来のフェイルメモリを主とした不良解析部門の一例の構成図である。
【図5】従来構成例の動作を説明するメモリ状況の説明図である。
【符号の説明】
1 テストプロセッサ
2 パターン発生器
3 タイミング発生器
4 波形整形器
5 ドライバ
6 コンパレータ
7 パターン比較器
8 フェイルメモリ(FM)
9 フェイルメモリ(FM)制御部
10 メモリ部
15 読出回路
20 フェイルメモリアドレス加算・判定器(FM ad Inc・Judge)
21 オーバーフロー判定用フリップフロップ(FF1)
22 アドレス用フリップフロップ
25 オーバーフロー判定用複数フリップフロップ(FF1・FF2)
30 被試験デバイス(DUT)
Claims (2)
- 不良解析部門はメモリ部及び制御回路から成るフェイルメモリとフェイルメモリ制御部とを有し、パターン比較器からの不良情報を受けてスタート番地より開始させ、MAX番地をオーバーフローした場合に先頭番地から順次上書きしていくメモリ部に記憶し、テストプロセッサとデータの授受を行って不良解析を行うロジックLSI用の半導体試験装置において、
フェイルメモリの制御回路に設けたフェイルメモリアドレス加算・判定器の後段に、メモリ部のオーバーフローの回数を計数する計数器を備え、
オーバーフロー回数が1以上の場合に、不良情報の最終データのストップ番地+1番地からストップ番地までを、メモリ部に記憶されている不良情報の有効データとすることを特徴とする半導体試験装置。 - 前記メモリ部のオーバーフローによって試験結果の記憶が消去された不良情報の数を、前記メモリ部に記憶されている不良情報の前記有効データの数とオーバーフロー回数から判別し、
再度部分テストを行うことにより消去された不良情報を得ることを特徴とする
請求項1に記載の半導体試験装置。
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