JP4429252B2 - 臭味改良ウコン、その製造方法、及び該ウコンを用いた組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、有効成分であるクルクミンの損失を抑制し、豊富にクルクミンを含むウコンを提供する方法に関する。また、クルクミンを豊富に含む、臭味が改良されたウコン、及び該ウコンを原料とした組成物に関する。
ウコン(学名:Curcuma longa L.)はショウガ科の植物で、主に根茎が使用され、その着色性や香味、殺菌作用からターメリックの名称で香辛料としても広く用いられている。また、古くより肝機能改善等の目的で民間療法的に用いられており、抗酸化作用、抗炎症作用、抗浮腫作用等を有することが明らかにされている。このように、ウコンは、安全かつ機能性を有する食材として用いられてきた歴史があり、また、今後さらに機能性食品等としての展開が期待されている。
ウコンの代表的な有効成分は、クルクミンおよびその誘導体(クルクミノイド)である。クルクミンはジアリルヘプタノイドの一種で、橙黄色を示す色素成分でもある。ウコンの機能性はクルクミンにより説明される部分が多く、またクルクミンはウコンおよびその近縁種に特徴的に含まれる成分であることから、クルクミンの機能性を享受するためにはウコンの摂取が有効な手段となる。
一方でウコンは苦味成分を含み、これは主にターメロンなどの精油成分によるものと考えられている(特許文献2)。このターメロンに代表される精油成分は、ウコン独特の臭気(ウコン臭)と苦味を生じさせ、これによってウコンを単独で摂取することが困難となっている。さらに、その強い臭気と苦味のため、他の飲食物等に混合しても強い影響を与え、添加した飲食物の商品価値を著しく低下させるという問題がある。
そこで、このようなウコンの風味を改善し、より摂取しやすくするための方法が従来から試みられている。例えば特許文献1は、ウコンを焙煎することによってウコン臭を改善し、香ばしい香りを付与する方法を開示している。しかしながら、ウコンを香ばしくなるまで加温すると、クルクミン含量が低下することが本発明者らによって示されている。
クルクミン含量を低下させずにウコンの風味を改善する方法として、例えば有機溶媒による処理がある。特許文献2は、ウコン粉末にn-ヘキサンを加え、40℃で30分加温し、ターメロン(苦味成分)を抽出除去している。しかしながら、有機溶媒による抽出処理は煩雑であり、また、コスト面および環境面などにおいても問題がある。
特開2000−295975 特許第3496200号
上記問題に鑑み、本発明は、有効成分クルクミンの損失を抑制しながらウコンの臭味を改善し、且つ添加物や有機溶媒を一切使用せずに簡便に行えるウコンの臭味改良方法を提供し、クルクミン含量の高い臭味改良ウコンを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、ウコンを加温処理することにより臭味を改良する方法であって、加温処理後のウコンに含まれるクルクミン含量が、該加温処理前のウコンに含まれるクルクミン含量の80%以上であるように加温する方法である、臭味改良ウコンの製造方法を提供する。ここにおいて、前記加温処理は、加温処理前後におけるウコンの色差ΔEが10以下であるように加温する方法であることが好ましい。また、前記加温処理は、加温温度x(℃)及び時間y(分)が、 2≦y≦312000、及び、40≦x≦210、であり、y≧1.93×1021×X(-10.58)、且つ y≦6.03×1018×X(-7.9)である範囲で行われることが好ましい。また、前記加温処理における加温温度は、40〜210℃であることが好ましい。
また、本発明の他の観点に従って、上記方法によって製造された臭味改良ウコンが提供される。さらに、該臭味改良ウコンを原料とした食品、医薬品、及び医薬部外品などの組成物が提供される。
本発明に従えば、クルクミンの損失を抑制しながら簡便にウコンの臭味を改善することができ、クルクミンを多く含む臭味改良ウコンを提供することが可能である。
本発明の方法は、臭気と苦味成分が少ない臭味改良ウコンであって、さらにクルクミンを豊富に含むウコンを製造する方法である。本発明による臭味改良ウコンは、摂取が容易であるほか、他の食品や飲料などへ添加しても呈味に与える影響が少ないという利点を有する。また、臭味改良のための処理によるクルクミンの損失を抑えることにより、クルクミンを多く含むことを特徴とする。
本発明は、ウコンを所定の条件に従って加温することにより、ウコンに含まれるクルクミンの損失を抑制しながらも、苦味成分を減少させることが可能であるという知見に基づいたものである。
ウコンに臭味・苦味を与える主な成分はターメロン等の精油成分であり、これはウコンに含まれるクルクミン以外の機能性成分の一部と見なされている。従って、従来はこれらの精油成分を保持するようにウコンを加工していた。しかしながら本発明では、ウコンに含まれるクルクミンを摂取することに注目し、精油成分を除去することを特徴とする。精油成分を減少させることによりウコンの臭味・苦味を改善し、クルクミン含有食品としてのウコンの摂取を容易にするものである。
しかしながら、ウコンに含まれるクルクミンは加温により減少することが本発明者らによって明らかとなった。その実験の結果を図1に示す。図1から分かるように、加温する時間が長くなるにつれてクルクミンが低下し、さらに、加温温度が高いほど、クルクミンの減少が早まることが示された。過度の加温によってクルクミンが減少する原因は不明であるが、加熱によってクルクミンが分解するか、或いは、他化合物との反応、又は同一化合物内での反応が進行することによって、誘導体化・構造変化することなどが考えられる。
従って、本発明におけるウコンの加温は、ウコンに含まれている精油成分などの揮発性成分が蒸散し、且つ、クルクミンの損失が少ない条件で行う。即ち、クルクミンが分解されない条件で行う。
臭味成分の代表化合物ターメロンは、常温常圧下では液体であり、10 mmHgでの沸点が159〜160℃であって(Merck index)、若干の揮発性があることが示されている。一方、クルクミンは常温常圧下では固体であり、融点184〜186℃が示されている(黒柳他、薬学雑誌、90(11), 1467(1970)。
このようなターメロンに代表される精油成分とクルクミンの揮発性の差を利用し、特にクルクミンの融点以下の温和な加温あるいは高温で短時間の加温を行うことにより、揮発性成分であるターメロン等のみを蒸散させ、クルクミンを残留させることが可能である。
なお、ウコンの臭気及び苦味を示す成分には、多数の成分が関与していると考えられるが、本発明では、香気成分中の代表的な化合物として、特許文献2にも記されているar-ターメロンをガスクロマトグラフィー法で測定した。
以下、本発明の方法を詳細に説明する。
まず、一次乾燥されたウコンを一定条件下で温和に加温する。ここで、一次乾燥されたウコンとは、生根ではなく乾燥状態にあるウコンを意味する。一般に、生薬、スパイス等の食品として流通しているウコンは、生根ではなく乾燥根である。乾燥根のウコンは、根茎が柔らかくなるまで水で煮込み(発芽力が消失する)、煮沸した根茎を約10日間天日乾燥する製造方法(スパイス百科事典、武政 三男著、三ユウ書房)が一般的であるが、これに限定されず、種々の方法により製造されたものであってよい。
本発明において、ウコンの加温は、加温後のウコンに含まれるクルクミンが、加温前のウコンに含まれるクルクミンの80%以上であるように行うことを特徴とする。本発明者らは、クルクミンの残存量が80%以上であるような加温条件が、加温処理前後のウコンの色差によって規定できることを発見した。
ここで、クルクミンの残存量とは、加温処理前のウコン100mgを基準とし、加温処理前のウコンに含まれるクルクミン含量と、加温処理後のウコンに含まれるクルクミン含量を重量比で表したものである。加温後のウコンのクルクミン含量は、加温前のウコンの重量に換算して求める。
本発明者らは、ウコンを種々の条件下で加温し、加温前後のウコンの色差ΔEが10以下であるような加温条件にすることによって、クルクミンが80%以上残存することを明らかにした。色差範囲の下限は、所望する香気および苦味により異なり、必要な程度に適宜設定してよい。
また、本発明者らは、加温の温度と時間の関係を明らかにするために、クルクミンの分解反応が1次反応に従うと仮定し、実施例に示した加温試験結果から各温度における反応速度関数を求め、有効成分クルクミンが80%以上保持される加温限界推測値を求めた(新しい図解薬剤学、第1版、宮崎正三他著、(株)南山堂)。その結果を表1に示す。
Figure 0004429252
表1の推測値と実施例に示した加温試験結果(実測値)を照合した結果、加温時間の範囲の上限を示す式として、加温温度x(℃)及び時間y(分)として、次式
y≦6.03×1018×X(-7.9)
が得られた。
また、式y≧1.93×1021×X(-10.58)が得られた。
さらに、ウコンを加温処理するにあたっての実際的な観点や製造上の効率を勘案し、加温温度(℃)を40≦x≦210とし、加温時間(分)を2≦y≦312000(約217日)とした。
以上の式及び設定によって得られた加温時間と温度範囲から成る加温条件を図2に示した。図2において、曲線に囲まれた範囲が適切な加温処理条件である。なお、加温温度及び時間は、現実的な観点から上記のように設定したが、これに限らず、適宜設定可能であることは明らかである。図2に示した加温条件範囲に従って加温されたウコンは、加温前後の色差が10以下であった。
図2のグラフで示された加温条件の範囲内において、特に好ましい温度は40〜210℃であり、より好ましくは70〜180℃であり、最も好ましくは100〜170℃である。
本発明の方法におけるウコンの加温は、任意の加温装置によって行われてよく、例えば気流式、乾熱式、スチーム式、赤外線式等様々な方法が利用可能である他、滅菌設備を流用して行うこともできるが、これらに限定されない。但し、直火式のように、ウコンと熱源が接触する厳しい加温方法の場合は、ウコンと接触する熱部の温度が雰囲気温を大きく超えている場合があるため、熱部に接触したウコンの焦げ付きが香気成分等の蒸発等よりも先に起こり、局地的に色差が大きく変化するため、全体の色差に影響が出る場合がある。その場合、有効成分であるクルクミンの含量も大きく減少するため加温時には注意が必要である。従って、間接的な加温方法が好ましく、また、投入したウコンを均一に加温できる加温装置が適している。
また、ウコンを加温する工程は、1回に限らず、複数回行うことも可能である。
なお、香味高揚(香ばしさ)を与えるために、ウコンを焙煎加工するという文献(特許公報 例:特開2001-039885)も存在し、例えば該文献(特開2001-039885)段落006には、「香ばしい香り高くなること」と記されているが、これはすなわち焙煎操作により生じた焦げ臭によるものと推測される。この場合の色差は10を超え(実施例参照)、またこのように「香味高揚」することによって、クルクミン含量が激減するという結果が、本発明者らによって明らかとされている。従って、本発明におけるウコンの加温は、香味付与の意味を持つ「焙煎」とは異なることに留意されたい。
本発明に従って臭味・苦味が改善されたウコンは、クルクミン含量が高く、且つターメロン含量が低いことを特徴とする。しかしながら原料となるウコンによって、クルクミンとターメロンの含有比が異なるため、本発明の臭味改良処理後のウコンに含まれるこれらの含有比も異なることは理解されるであろう。
本発明に従って製造された臭味改良ウコンは、そのまま摂取されてもよく、また食品、医薬品、医薬部外品などの組成物に添加されてもよい。加工食品、医薬品、医薬部外品に配合用組成物として添加される場合は、粉末形態であってもよく、液体中に含まれる形態であってもよい。ここで食品とは、飲料及び加工食品を含み、定法に従って加工されることができる。
飲料は、好ましくは容器詰飲料であり、例えば、緑茶、ウーロン茶、紅茶等の茶飲料;リンゴジュース、グレープフルーツジュース、オレンジジュース等のジュース類;果汁配合飲料;野菜汁配合飲料;コーヒー飲料;ココア飲料;牛乳等の乳飲料;コーラ、サイダー等の炭酸飲料;スポーツ飲料;豆乳;ミネラルウォーター;ニアウォーター飲料;ダイエットサポート飲料;栄養補給飲料等である。また、ビール、発泡酒、ワイン、日本酒等のアルコール飲料であってもよい。例えば緑茶、ウーロン茶、紅茶等の茶飲料乃至その原材料(例えば、茶抽出液)に、臭味改良ウコンを適量配合してもよい。
食品は、例えば、菓子、パン、ヨーグルト、ゼリー、冷菓、キャンデイ、ガム等であってよい。
上記飲料及び加工食品を含む食品には、食品添加物として使用可能な各種の甘味料、酸味料、無機酸塩、無機酸塩類、有機酸、栄養強化剤、酸化防止剤、香料、色素類、乳化剤、保存料、調味料、脂質類、タンパク質類、ペプチド類、多糖類、食物繊維類、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤等を単独或いは併用して配合してもよい。
好ましい甘味料としては、例えば、砂糖、ブドウ糖、果糖、異性化液糖、グリチルリチン、ステビア、アスパルテーム、フラクトオリゴ糖、環状オリゴ糖、人工甘味料等が挙げられる。
好ましい酸味料としては、天然成分から抽出した果汁類の他、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、リン酸が挙げられる。
好ましい無機酸類、無機酸塩類としては、リン酸、リン酸二ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム等が挙げられる。有機酸類、有機酸塩類としてはクエン酸、コハク酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
好ましい栄養強化剤は、例えば、β−カロテン、ビタミンA、葉酸以外の他のビタミンB類(例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸等)、ビオチン、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、コエンザイムQ10、α-リポ酸、カルニチン、カルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛、銅等である。
容器詰飲料に使用される容器は、一般の飲料と同様に、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属管、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の形態で提供することができる。
[実施例]
[加温処理]
ウコン粉末(殺菌済み) 4gをガラス製シャーレに移し、恒温乾燥機(ヤマト科学製 SG82)に静置し加温した。加温条件は、表2の通りである。実施例1〜11、及び比較例1〜5の加温処理ウコン粉末を得た。
得られたそれぞれのウコン粉末について、色差を測定した。色差の測定には「ハンターLab表色系」を用いた。ハンターLab表色系において、色の数値はLabで示され、L値、a値、b値は明度と彩度を表す。
ウコン粉末を底面が透明で外光の漏洩がない径約52mmの円筒形容器に、光が透過しないように充填し、分光式色差計(日本電色工業製 SE2000)を用いてLabを求めた。加温工程前のウコン(対照ウコン)をp、試験したウコンをqの添え字で示すとき、次の式により色差ΔEが求められる。
(式)ΔE = [(Lq-Lp)2 + (aq-ap)2 + (bq-bp)2 ] 1/2
測定により得られた色差を、表2に合わせて記載した。
Figure 0004429252
[クルクミン含量測定]
表2に示した実施例及び比較例のウコン粉末について、クルクミン含量を測定した。
成分分析として、内部標準法によりクルクミン量を測定した。分析条件は以下の通りである。
<クルクミン分析条件>
カラム: Nucleosil C18 φ4.6×150mm
移動層: アセトニトリル:1%リン酸水溶液=45:55
注入量: 10μL
流速 : 1.0mL/min
検出 : UV 254 nm
カラム温度: 40℃
<内部標準溶液作成方法>
4-ヒドロキシ安息香酸 n-ヘキシル(東京化成製)20mgをメタノールに溶解し、50mLに定容した。
<標準溶液作成方法>
クルクミン-1(長良サイエンス製)5mgを正確に秤量してメタノール(和光純薬製)に溶解し、内部標準溶液5mLを正確に加え、全体量をメタノールで50mLに定容した。
<検量線作成方法>
標準溶液を高速液体クロマトグラフに10μL注入し、得られた内部標準ならびにクルクミンのピーク高さ比と濃度から、1点検量線を作成する。
<試料の調整方法>
試料200mgを正確に採取し、内部標準溶液5mLを正確に加え、メタノールで50mLに定容し、30分静置する。0.45μmメンブレンフィルターで濾過後、高速液体クロマトグラフに10μL注入し、定量する。検量線を超えた値を示した場合は、希釈倍率を上げ、範囲内に入るようにして再分析を行った。
測定した結果を表3に示す。表3には、各実施例及び比較例のウコン粉末に含まれるクルクミン量、及び、加温処理前の対照ウコン100mgに含まれるクルクミン量(B)に対する、測定されたクルクミン量(A)の比を示した。
Figure 0004429252
表2及び表3の結果から、本発明の加温条件に従った範囲内における加温処理、或いは色差が10以下になるようにウコンの加温処理を行えば、加温処理後のウコンのクルクミン含量が、加温処理前に比して80%以上保持されることが確認された。
一方、色差が10を超え、本発明の加温条件の範囲外で加温された比較例では、いずれもクルクミン含量が2割以上減少しており、クルクミンの摂取源としての利用価値が著しく損なわれていた。
[香気成分分析]
加温処理による臭気及び苦味成分の減少を観察するために、揮発性化合物の主成分であるターメロンの含有量を測定した。測定は、加温処理をしていないウコン粉末、及び、155℃で15分間加温処理したウコン粉末(実施例10)について行った。測定はGC-MS法により行い、加温処理の前後における量比を、クロマトグラムの面積比から減少率として求めた。分析条件は以下の通りである。
<分析条件>
カラム:DB-1 MS φ0.25mm ×30 m ×0.25 μm 250℃
サンプル量:100μg
スプリット比:1:50
抽出:SPME法(Polydimethylsiloxane), 10分間抽出
得られた結果を、表4に示した。また、クロマトグラムの結果を図3に示した。
Figure 0004429252
表4から明らかなように、加温処理により、いずれのターメロン類も減少していることが示された。また、図3のクロマトグラムでは、ターメロン以外に検出される精油成分数種も減少していることが示された。
[官能試験]
加温処理をしていないウコン粉末、及び、155℃で15分間加温処理したウコン粉末(実施例10、色差9.75)について、官能試験を行った。
それぞれのウコン粉末865mgを、市販野菜飲料(商品名:充実野菜、伊藤園製)150mLに添加し、試験飲料を調製した。これを12人の熟練した審査員により官能試験を行い、「苦味の強さ」、「生薬臭(ウコン臭)の強さ」の2つの評価項目について、強く感じられる方を判定させた。なお、試験中は一口ごとに口内を水で洗浄させた。その結果を表5に示す。表5には、より強く感じたと判定した審査員の人数を示した。
Figure 0004429252
表5から、苦味、ウコン臭ともに、実施例10の加温処理ウコンは、未処理のウコンに比して大幅に改善されていることが示された。
[順位法による官能試験]
加温処理をしていないウコン粉末、及び、155℃で15分間加温処理したウコン粉末(実施例10、色差9.75)、及び、180℃で30分加温処理したウコン粉末(比較例4、色差21.65)について、官能試験を行った。
それぞれのウコン粉末865mgを、市販野菜飲料(商品名:充実野菜、伊藤園製)150mLに添加し、試験飲料を調製した。
12人の熟練した審査員により官能試験を行い、「苦味の強さ」、「生薬臭(ウコン臭)の強さ」、「焦げ味の強さ」、および「総合的なおいしさ」の4つの評価項目について、それぞれ1〜3位の順位をつけさせた。該方法により得られた順位数値を合計し、クレーマーの判定表より危険率5%で各項目の有意差判定を行った。その結果を表6に示す。
Figure 0004429252
表6から、苦味は未処理ウコン粉末が有意に強いことが示された。また生薬臭は、有意差はつかないものの加温処理を経た実施例10、比較例4で軽減する傾向が示された。また焦げ味は比較例4で有意に強く感じられていた。加工品の嗜好性を表す「総合的なおいしさ」では、実施例10は未処理ウコン、比較例4より有意に順位が高く、飲みやすいことが示された。これにより、適度な加温処理をしたウコン粉末は、添加した食品の呈味、嗜好性を大きく改良することが示された。
ウコンに含まれるクルクミンの加温による減少を示すグラフ。 加温処理条件範囲を示すグラフ。 精油成分のクロマトグラム。

Claims (4)

  1. 臭味が改良され、且つ、ウコンに含有されるクルクミンの80%以上が保持された臭味改良ウコンの製造方法であって、未発酵の粉末状ウコンを、分光式色差計を用いて得られた加温処理前後の色差ΔEが10以下であるように加温処理し、
    前記加温処理は、加温温度x(℃)及び時間y(分)が、
    2≦y≦312000、及び、40≦x≦210、であり、
    y≧1.93×10 21 ×X (-10.58) 、且つ
    y≦6.03×10 18 ×X (-7.9)
    である範囲で、間接的な加温方法により行われることを特徴とする臭味改良ウコンの製造方法。
  2. 前記加温処理における加温温度が40〜210℃であることを特徴とする、請求項に記載の臭味改良ウコンの製造方法。
  3. 請求項1〜の何れか一項に記載の方法によって製造された臭味改良ウコン。
  4. 請求項に記載の臭味改良ウコンを含む組成物。
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