JP4428648B2 - 液体金属冷却炉用熱交換器 - Google Patents

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Description

本発明は、液体金属冷却炉用熱交換器に関する。さらに詳述すると、本発明は、ループ型の液体金属冷却炉に適した熱交換器に関するものである。なお、本明細書において「熱交換器」には、蒸気発生器、過熱器、蒸発器、凝縮器をも含んでいる。
高速増殖炉(FBR)では通常、冷却材に液体ナトリウムを用いているが、ナトリウムは水に対して化学的に活性であるため、冷却系統を1次〜3次の冷却系に分割している。即ち、1次冷却系と2次冷却系に液体ナトリウムを使用し、3次冷却系に水/蒸気を使用している。炉心を冷却する1次冷却系と発電用タービンを駆動する3次冷却系との間に2次冷却系を設け、1次冷却系と2次冷却系に液体ナトリウムを使用し、3次冷却系に水/蒸気を使用することで、炉心を冷却して放射化された液体ナトリウム(1次冷却系)と水/蒸気(3次冷却系)との接触の可能性を無くして安全性の確保を図っている。
高速増殖炉にとって、2次冷却系の存在は、軽水炉に比較して建設コストの増加を招く原因となる。このため、2次冷却系を省略したいとの要請があり、種々の検討が行われている。例えば、液体ナトリウムと水/蒸気との間で熱交換を行う蒸気発生器(SG)を、液体ナトリウムと水との接触を完全に防止する構造にできれば2次冷却系の省略が可能である。
かかる構造の蒸気発生器として、二重管式蒸気発生器が知られている。二重管式蒸気発生器では伝熱管の一本一本を二重管で構成しており、二重管のどちらか一方のバウンダリ(管壁)が破れたとしても、伝熱管(二重管)の外側を流れる液体ナトリウムと、伝熱管内の二重の流路のうち内側の流路を流れる水/蒸気とが接触しないようにしている。伝熱管内の二重の流路のうち外側の流路にはヘリウムガスが流れており、ヘリウムガス中の水分や液体ナトリウム中のヘリウムを検出することでバウンダリが破れたことを早期に検出し、原子炉の運転を停止させるようにしている。
安成弘著「高速増殖炉」同文書院、昭和57年10月5日、96−97頁 二重管蒸気発生器の開発・試験研究(1)全体研究計画、久保田他4名、日本原子力学会「1993春の年会」、F51、京都大学
しかしながら、二重管式蒸気発生器は大きなものであり、たとえ2次冷却系を省略できたとしても原子炉全体をさほど小型化することができず、建設コストを大きく減らすことはできない。
ところで、非常にコンパクトに設計できる熱交換器として、プレートフィン熱交換器(PFSG)がある。図9にプレートフィン熱交換器の熱交換部の概念を示す。プレートフィン熱交換器は波状のフィン101をろう付けした仕切板102を介して2系統以上の流体の熱交換を行うもので、通常は別系統の流体流路が交互に積層されている。高速増殖炉にプレートフィン熱交換器を適用することができれば、非常にコンパクトな熱交換部を構成することができる。しかし、フィン101と仕切板102との接合部のような微少な隙間は二相流部が流れる場合には腐食誘起物が堆積する可能性があり、高い信頼性が要求される高速増殖炉用の蒸気発生器として採用することは困難である。
本発明は、小型化が可能で信頼性が高い液体金属冷却炉用熱交換器を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために請求項1記載の発明は、液体金属冷却材と冷却水との間で熱交換を行う液体金属冷却炉用熱交換器であって、液体金属冷却材の流路を有する板状の液体金属側ユニットと、冷却水が流れる伝熱管を並列に密着させて板状に纏めた水側ユニットと、不活性ガスの流路を有する板状のガス側ユニットと、液体金属側ユニットの流路に接続された液体金属入口ヘッダー及び液体金属出口ヘッダーと、水側ユニットの伝熱管に接続された給水ヘッダー及び排水ヘッダーと、ガス側ユニットの流路に接続されたガス流入ヘッダー及びガス排出ヘッダーを備え、水側ユニットは伝熱管を1層に並べて密着状態で加圧しながら加熱して接合したものであり、液体金属側ユニットと水側ユニットを、ガス側ユニットを挟んで交互に重ね密着させて熱交換器本体を構成し、各ヘッダーは熱交換器本体の外面に取り付けられており、液体金属側ユニットの給水ヘッダー又は排水ヘッダーに隣接する部分、及び水側ユニットの液体金属入口ヘッダー又は液体金属出口ヘッダーに隣接する部分には不活性ガスの流路を設けている。
したがって、液体金属側ユニットの流路を流れる液体金属冷却材と水側ユニットの伝熱管を流れる冷却水との間で熱交換が行われる。水側ユニットを構成する伝熱管は密着した状態で加圧・加熱されて接合され、表面の原子の拡散により境目なく一体化される。また、伝熱管内はもともと外部から画された独立の流路を構成している。これらのため、伝熱管内の冷却水は漏れにくく、且つ伝熱管内に液体金属冷却材が侵入しにくい構造である。さらに、液体金属冷却材と冷却水との間には不活性ガスの流路が設けられている。これらの結果、液体金属冷却材と冷却水を、伝熱管の管壁と不活性ガスの層という二重のバウンダリによって仕切ることができる。また、各ユニットを重ね合わせて密着させた熱交換器本体は、プレートフィン熱交換器と同様に堅牢で小型化に適した構造である。
また、請求項2記載の液体金属冷却炉用熱交換器のように、水側ユニットの伝熱管の材料は改良9Cr1Mo鋼であることが好ましい。
また、請求項3記載の液体金属冷却炉用熱交換器は、液体金属側ユニットが液体金属冷却材の流路となる伝熱管を並列に1層に並べて密着状態で加圧しながら加熱して接合したものである。
液体金属側ユニットを構成する伝熱管は密着した状態で加圧・加熱されて接合され、表面の原子の拡散により境目なく一体化される。また、伝熱管内はもともと外部から画された独立の流路を構成している。これらのため、伝熱管内の液体金属冷却材は漏れにくく、且つ伝熱管内に冷却水が侵入しにくい構造である。即ち、冷却水と液体金属冷却材との間に、さらにもう一重のバウンダリを設けることができる。
また、請求項4記載の液体金属冷却炉用熱交換器のように、液体金属側ユニットの伝熱管の材料は改良9Cr1Mo鋼であることが好ましい。
さらに、請求項5記載の液体金属冷却炉用熱交換器のように、冷却水が水側ユニットの伝熱管内で加熱されて蒸気に変化するようにしても良い。即ち、熱交換器としての蒸気発生器に適用しても良い。
しかして、請求項1記載の液体金属冷却炉用熱交換器では、各ユニットを重ねて密着させているので、液体金属冷却材と冷却水との間で熱交換を効率良く行うことができると共に、熱交換器本体を小型化、堅牢化することができる。このため、熱交換器を小型化することができ、ひいては原子力発電プラントを小型化することができ、発電コストを下げることができて経済的である。また、水側ユニットは継ぎ目のない一体構造であり、しかも冷却水の流れの滞留を防いで腐食誘起物が体積し難い構造であり、また、液体金属冷却材と冷却水の間に不活性ガスの層を設けているので、熱交換器の安全性と信頼性を向上させることができる。
また、請求項2記載の液体金属冷却炉用熱交換器では、水側ユニットの伝熱管の材料が改良9Cr1Mo鋼であるので、水側ユニットの伝熱管の伝熱性能、降伏応力、耐食性、高温強度を向上させることができると共に、製造コストの増加を抑えることができる。
また、請求項3記載の液体金属冷却炉用熱交換器では、水側ユニットに加えて、液体金属側ユニットも継ぎ目のない一体構造となるので、熱交換器の安全性と信頼性をより一層向上させることができる。
また、請求項4記載の液体金属冷却炉用熱交換器では、液体金属側ユニットの伝熱管の材料が改良9Cr1Mo鋼であるので、液体金属側ユニットの伝熱管の伝熱性能、降伏応力、耐食性、高温強度を向上させることができると共に、製造コストの増加を抑えることができる。
さらに、請求項5記載の液体金属冷却炉用熱交換器のように、冷却水が水側ユニットの伝熱管内で加熱されて蒸気に変化するものであっても良い。即ち、熱交換器としての蒸気発生器に適用することができる。
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
図1〜図4に、本発明を適用した液体金属冷却炉用熱交換器の実施形態の一例を示す。この液体金属冷却炉用熱交換器(以下、単に熱交換器という)1は、液体金属冷却材2と冷却水3との間で熱交換を行うものであって、液体金属冷却材2の流路4を有する板状の液体金属側ユニット5と、冷却水3が流れる伝熱管6を並列に密着させて板状に纏めた水側ユニット7と、不活性ガス8の流路9を有する板状のガス側ユニット10と、液体金属側ユニット5の流路4に接続された液体金属入口ヘッダー11及び液体金属出口ヘッダー12と、水側ユニット7の伝熱管6に接続された給水ヘッダー13及び排水ヘッダー14と、ガス側ユニット10の流路9に接続されたガス流入ヘッダー15及びガス排出ヘッダー16を備え、水側ユニット7は伝熱管6を1層に並べて密着状態で加圧しながら加熱して接合したものであり、液体金属側ユニット5と水側ユニット7を、ガス側ユニット10を挟んで交互に重ね密着させて熱交換器本体17を構成し、各ヘッダー11〜16は熱交換器本体17の外面に取り付けられており、液体金属側ユニット5の給水ヘッダー13又は排水ヘッダー14に隣接する部分、及び水側ユニット7の液体金属入口ヘッダー11又は液体金属出口ヘッダー12に隣接する部分には不活性ガス8の流路18、19が設けられている。各ユニット5、7、10は別々に製造されて一体化される。
水側ユニット7は、伝熱管6として例えば横断面形状が矩形状を成す矩形管を使用しており、多数の伝熱管6を1列(1層)に並列に並べて一体化したもので、HIP(Hot Isostatic Pressing;熱間等方加圧法)加工によって一体化されている。
なお、本明細書では、部材同士の表面を密着させ、加圧しながら加熱して拡散接合し、部材同士の境目をなくして一体化する加工をHIP加工という。HIP法は、例えばアルゴンなどの不活性ガスを圧力媒体とし、例えば100MPa以上の圧力と1000℃以上の温度との相乗効果を利用して加圧処理する方式である。高い等方圧力と高温により、鋳造、拡散接合に有効で信頼性のある成型加工が可能となる。例えばSUS材の場合、1050〜1100℃の温度で2時間、150MPaの圧力で加工する。また、圧力のかけ方は等方的であることが好ましいが、必ずしも等方的であることに限らない。例えば、互いに直交する3軸方向から圧力をかけるようにしても良く、この場合、3軸方向から同時に圧力をかけるようにしても良く、一の軸方向から圧力をかけることをその方向を変えて繰り返し行うようにしても良い。さらに、圧力を伝える媒体として不活性ガス等の気体を使用して等方的に圧力をかけることが好ましいが、圧力媒体として液体を使用しても良く、あるいは、圧力媒体として粉体等を使用しても良い。HIP加工では、例えば材料の融点の7割程度の温度に加熱して加圧するので、特に加工品の端部に関して製作較差が悪化することがある。このため、機械加工を行い加工品の寸法を所定値にする。本実施形態では、図5(A)に示すように、伝熱管6の列の周囲を板材20で囲み、これらを一緒にHIP加工することで、HIP加工後の仕上げしろを形成している。伝熱管6は、例えば横断面形状が矩形を成す矩形管であり、1列に並べて配置することで、管壁同士を密着させて板状のユニットにすることができる(図5(B))。
水側ユニット7の伝熱管6の材料は、例えば改良9Cr1Mo鋼(modified-9Cr1Mo)であることが好ましい。また、板材20の材料も、例えば改良9Cr1Mo鋼であることが好ましい。ただし、伝熱管6及び板材20の材料を改良9Cr1Mo鋼以外のものにしても良い。この場合、安価なこと、伝熱性能、降伏応力、耐食性などの観点からフェライト系耐熱鋼の使用が好ましく、なかでもCr−Mo鋼の使用が好ましく、さらになかでも9Cr1Mo鋼の使用が好ましく、その中でも高温強度に優れる上述の改良9Cr1Mo鋼の使用が特に好ましい。
また、本実施形態では、HIP加工時に伝熱管6同士や板材との間の密着の度合いを上げるために、各部材の隙間を真空引きしている。また、HIP加工時の加圧により伝熱管6が潰れてしまうのを防止するために、伝熱管6の外側と同様に内側も加圧している。
このようにHIP加工により一体化させた水側ユニット7を切削など機械加工して寸法出しを行う。また、図3に示すように、左右両側に位置する伝熱管6の上下の開口をカバー21で塞ぐと共に、カバー21の近傍の側面に孔22を形成する。両側の伝熱管6には不活性ガス8が流され流路19となる。左右両側の伝熱管6以外の伝熱管6には冷却水3が流される。
液体金属側ユニット5の内部空間には、液体金属冷却材2例えば液体ナトリウムを流す流路4と、不活性ガス8を流す流路18が設けられている。不活性ガス8の流路18は内部空間の上下両端に設けられており、各流路18の間の広い空間が液体金属冷却材2の流路4となっている。液体金属側ユニット5の左右両側面の上下端近傍位置には、不活性ガス8の流路18の開口となる孔23が設けられている。また、液体金属側ユニット5の一側面の孔23の隣には、液体金属冷却材2の流路4の開口となる孔24,25が設けられている。液体金属冷却材2の流路4内には流れを導く補助板37が複数設けられており、上側の孔24から流入した液体金属冷却材2の流れを下方に向けて曲げた後、更に下側の孔25に向けて曲げている。このような流れにすることで、液体金属入口ヘッダー11と液体金属出口ヘッダー12の配置を可能にしている。即ち、水側ユニット7では伝熱管6を上下に開口させていることから、給水ヘッダー13及び排水ヘッダー14を熱交換器本体17の上下に配置することになるが、液体金属冷却材2の流路4を液体金属側ユニット5の側面に開口させることで、液体金属入口ヘッダー11と液体金属出口ヘッダー12を給水ヘッダー13及び排水ヘッダー14とは干渉しない熱交換器本体17の側面に配置させている。液体金属側ユニット5は、例えば板材の溶接や孔の機械加工等によって製造される。
なお、補助板37は液体金属側ユニット5の内外圧に耐えるための補強材を兼ねている。水側ユニット7における矩形管(伝熱管)6の辺6aは伝熱のためのフィンと内圧に対する支えとして機能しているが、FBR(高速増殖炉)の液体金属冷却材2の圧力は一般に冷却水3の圧力よりも低圧に設計されており、液体金属側ユニット5に設ける補助板37は、水側ユニット7の伝熱管6の辺6aほどには数を要しない。
ガス側ユニット10は、例えば伝熱性能に優れた金属製の波板(フィン)26の周囲、即ち上下左右の面に板27を溶接したものである。ただし、金属製の波板26に代えて、例えば伝熱性能に優れ、ガス通気に優れたポーラス素材などの板の使用も考えられる。波板26には図示しない多数の孔が設けられており、折り込み方向に垂直な方向にも不活性ガス8を流すことができる。即ち、波板26の表面の近傍は不活性ガス8が縦横に流れる流路9となっている。波板26の左右の側面に溶接された板27の上下近傍位置には不活性ガス8の流路9の開口となる孔28が形成されている。なお、各ユニット5、7、10の不活性ガス8の流路18、19、9の開口となる孔23、22、28は同じ高さの位置に設けられており、一直線状に並んでいる。
また、ガス側ユニット10は、矩形管を並べることで波板26と類似の構造とする製作法も可能である。この場合、波板26を用いた場合に比べ、構造強度が高くなり、またロウ付けなどの製作時の精度が向上するため、製品の信頼性は向上すると考えられる。ただし、波板26程の微細構造とすることは難しいため、大きさ、および熱交換性能の点で、波板26に劣る可能性がある。
水側ユニット7と液体金属側ユニット5はガス側ユニット10を挟んで交互に重ね合わされ、熱交換器本体17が構成される。即ち、各ユニット5、7、10を、例えば水側ユニット7、ガス側ユニット10、液体金属側ユニット5、ガス側ユニット10、水側ユニット7、…、の順番で必要枚数積層することで、熱交換器本体17を構成している。各ユニット5、7、10は、例えば銀ろう付けされている。即ち、ガス側ユニット10の波板26を水側ユニット7と液体金属側ユニット5に銀ろう付けすることで、各ユニット5、7、10を一体化している。ただし、各ユニット5、7、10を一体化する方法としては、銀ろう付けに限るものではない。また、図1では各ユニット5、7、10を4枚積層しているが、積層する枚数は4枚に限るものではない。
給水ヘッダー13及び排水ヘッダー14は、例えば熱交換器本体17の上面又は下面を覆うカバープレート13a、14aと、カバープレート13a、14aに設けられたポートの周囲に固着された接続管13b,14bより構成されている。カバープレート13a、14aの周縁は熱交換器本体17の上面又は下面の周縁に溶接されており、冷却水3が給水ヘッダー13→伝熱管6→排水ヘッダー14へと流れるようになっている。
液体金属入口ヘッダー11及び液体金属出口ヘッダー12は、例えば熱交換器本体17の積層方向の厚さとほぼ同じ寸法の長さを有し、液体金属側ユニット5の孔24又は25を覆うカバープレート11a,12aと、カバープレート11a,12aに設けられたポートの周囲に固着された接続管11b,12bより構成されている。カバープレート11a,12aの周縁は、熱交換器本体17の側面に溶接されており、液体金属冷却材2が液体金属入口ヘッダー11→液体金属側ユニット5内の流路4→液体金属出口ヘッダー12へと流れるようになっている。
ガス流入ヘッダー15及びガス排出ヘッダー16は、例えば熱交換器本体17の積層方向の厚さとほぼ同じ寸法の長さを有し、各ユニット5,7,10の一側面の孔23,22,28を覆うカバープレート15a,16aと、カバープレート15a,16aに設けられたポートの周囲に固着された接続管15b,16bより構成されている。カバープレート15a,16aの周縁は、熱交換器本体17の側面に溶接されており、不活性ガス8がガス流入ヘッダー15→ガス側ユニット10内の流路9→ガス排出ヘッダー16へと流れるようになっている。なお、熱交換器本体17の各ヘッダー15,16とは反対側の側面には、ガス連通管40,40が各孔23,22,28を覆うようにして溶接されている。
熱交換器本体17は各ヘッダー11〜16とガス連通管40が取り付けられた後に図示しないハウジング内に収納され、所定の場所に設置される。
この熱交換器1には、図示しない不活性ガス8の循環系統が接続されている。この不活性ガス8の循環系統(以下、ガス循環系統という)は、ガス流入ヘッダー15に不活性ガス8を供給すると共に、ガス排出ヘッダー16から排出された不活性ガス8を導いて循環させる。ガス循環系統の途中には、図示しない水分検出装置とナトリウムイオン、またはナトリウムベーパー検出系などの液体金属検出装置が設けられている。不活性ガス8の圧力は、冷却水3の圧力及び液体金属冷却材2の圧力よりも低くなっている。したがって、不活性ガス8と冷却水3又は液体金属冷却材2とを仕切る壁の一部に亀裂等が発生すると、冷却水3又は液体金属冷却材2は不活性ガス8の流路中に侵入し、その部分を起点に四方に広がり、さらにヘッダー15,16のうち近い方のヘッダーからガス循環系統に流出して水分検出装置又は液体金属検出装置に早期に到達する。このため、亀裂等の発生を迅速に発見することができる。
熱交換器本体17は詳しくは後述するように小型であり、各ユニット5,7,10内の不活性ガス8の流路の長さは短い。また、各ユニット5,7,10の不活性ガス8の流路18,19,9は、それぞれ直接ヘッダー15,16に接続されている。これらのため、亀裂発生後あまり時間が経過しないうちに不活性ガス8中に洩れた水分や液体金属冷却材2が水分検出装置や液体金属検出装置に到達し、亀裂等の発生を素早く検出することができる。このため、原子炉の迅速な停止が可能であり、また、冷却水3や液体金属冷却材2の漏れを検出する検出パスが明快でシンプルであり信頼性に優れているので、安全に対する信頼性をより一層向上させることができる。
さらに、冷却材2や液体金属冷却材2の漏れを検出する検出パスが明快でシンプルであることは、信頼性の向上に加えて、一般公衆に向けて分かり易く受け入れ易いシステムとなることに結びつく。
この熱交換器1を設置したループ型高速増殖炉を図6に示す。この高速増殖炉の冷却系は1次(液体金属)と2次(水/蒸気)に分かれており、もんじゅ等で採用されている冷却系を1次〜3次に分割するタイプの高速増殖炉に対し、2次冷却系(液体金属)を省略したかたちとなっている。即ち、図6の高速増殖炉の冷却系は、液体金属冷却材2を冷却材とする1次冷却系と、冷却水3(水/蒸気)を冷却材とする2次冷却系から構成されている。
熱交換器1は、一次冷却系の液体金属冷却材2例えば液体ナトリウムの熱によって二次冷却系の冷却水3を沸騰させて蒸気を発生させる蒸気発生器である。原子炉容器29内の炉心30を冷却して高温になった液体金属冷却材2は、一次冷却系の配管31によって原子炉容器29→蒸気発生器1→ポンプ32→原子炉容器29へと循環される。また、二次冷却系の冷却水3は、二次冷却系の配管33によって蒸気発生器1→発電用タービン34→図示しない復水器→ポンプ35→蒸気発生器1へと循環される。原子炉容器29と蒸気発生器1はガードベッセル36上に設置されている。
蒸気発生器1では、以下のようにして熱交換が行われる。炉心30を冷却することで高温になった一次冷却系の液体金属冷却材2は液体金属入口ヘッダー11に導かれ、ここから各液体金属側ユニット5内に分かれて流入する。そして、各液体金属側ユニット5内の流路4をほぼU字状に流れながら熱を液体金属側ユニット5の壁に伝えて冷やされる。各液体金属側ユニット5内で冷やされた液体金属冷却材2は液体金属出口ヘッダー12に流出し、ここで一つの流れに纏められて原子炉容器29へと循環される。また、液体金属側ユニット5の壁に伝えられた熱は、ガス側ユニット10→水側ユニット7へと伝達される。各ユニット5、7、10は密着した状態で銀ろう付けされているので、熱の伝達は良好である。
一方、二次冷却系の冷却水3は給水ヘッダー13に導かれ、ここから各水側ユニット7内に分かれて流入する。給水ヘッダー13から各水側ユニット7の各伝熱管6に分かれて流入した冷却水3は各伝熱管6内を上昇しながら伝熱管6の管壁を冷却し、これによって冷却水3は加熱されて蒸気となる。この蒸気は排水ヘッダー14に流れ込み、ここで一つの流れに纏められて発電用タービン34へと循環される。
この蒸気発生器1では、水側ユニット7の伝熱管6を密着させて並列に並べているので、伝熱管6の周壁のうち隣りの伝熱管6との境の部分6aがフィンとして機能し、熱伝達を促進する。つまり、水側ユニット7は、冷却水3の流路の中の部分6aがフィンとして機能するため、小型で熱交換性能に優れたプレートフィン熱交換器となる。このため、蒸気発生器1を小型化することができる。しかも、水側ユニット7の伝熱管6を1列(1層)に並べているので、2列以上に並べた場合に比べて、熱交換を効率良く行うことができる。このため、蒸気発生器1をより一層小型化することができる。蒸気発生器1を小型化できる結果、蒸気発生器1の製造コストを下げることができ、また、原子炉も小型化できてその製造コストも下げることができ、原子力発電プラントの発電コストを下げることができて経済的に優れている。
蒸気発生器1の水側ユニット7はHIP加工によって継ぎ目のない一体構造となっている。また、冷却水3が流れる伝熱管6は管でありもともと外部から画された独立の流路を構成している。これらのため、伝熱管6内の冷却水3と外部の液体金属冷却材2が接触し難い構造であり、安全性に優れている。また、冷却水3と液体金属冷却材2との間には必ず不活性ガス8の流路を形成しているので、伝熱管6はいわば二重管構造になり、冷却水3と液体金属冷却材2を二重のバウンダリによって画することができる。このため、冷却水3と液体金属冷却材2の接触防止をより一層確実にすることができ、安全に対する信頼性をより一層向上させることができる。
そして、冷却水3と液体金属冷却材2との接触を防止することができるので、もんじゅ等の1次〜3次の冷却系を有する高速増殖炉では必要であった二次の液体金属冷却系を省略することができる。即ち、本発明の蒸気発生器1を採用することで、1次冷却系(液体金属冷却系)と2次冷却系(水/蒸気系)との間で直接熱交換を行うことができ、原子炉プラントの単純化を図ることができる。このため、原子炉プラントの製造コストを下げることができて経済性をより一層向上させることができると共に、安全性をより一層向上させることができる。
また、蒸気発生器1の水側ユニット7はHIP加工によって継ぎ目のない一体構造となっており、製造工程で欠陥品になり難い構造である。また、水側ユニット7内の冷却水3の流路は伝熱管6で形成されており、冷却水3の滞留が発生し難く、腐食誘起物が堆積し難い構造である。これらのため、信頼性に優れ、高い信頼性が要求される原子炉への使用に適した蒸気発生器1を提供することができる。
この蒸気発生器1では、水側ユニット7と液体金属側ユニット5との間にガス側ユニット10を介在させている。このため、水側ユニット7内の冷却水3と液体金属側ユニット5内の液体金属冷却材2が壁1枚を挟んで直接隣り合わせにならず、冷却水3と液体金属冷却材2との間に壁と不活性ガス8の層という2重のバウンダリを確保することができる。
また、水側ユニット7の左右両端の伝熱管6を不活性ガス8の流路19にしている。このため、熱交換器本体17に液体金属入口ヘッダー11及び液体金属出口ヘッダー12を取り付けても、水側ユニット7内の冷却水3と各ヘッダー11,12内の液体金属冷却材2とが伝熱管6の管壁のみを挟んで直接隣り合わせにならず、冷却水3と液体金属冷却材2との間に伝熱管6の管壁と不活性ガス8の層という2重のバウンダリを確保することができる。
さらに、液体金属側ユニット5の上下には不活性ガス8の流路18が設けられている。このため、熱交換器本体17に給水ヘッダー13及び排水ヘッダー14を取り付けても、金属側ユニット5内の液体金属冷却材2と各ヘッダー13,14内の冷却水3とが金属側ユニット5の壁1枚を挟んで直接隣り合わせにならず、液体金属冷却材2と冷却水3との間に液体金属側ユニット5の壁と不活性ガス8の層という2重のバウンダリを確保することができる。
つまり、冷却水3と液体金属冷却材2との間には全ての場所において2重のバウンダリを設けており、冷却水3と液体金属冷却材2との接触防止に対する信頼性をより一層向上させることができる。
また、ガス側ユニット10を設けることでガス循環系統によって不活性ガス8中の水分や液体金属冷却材2を早期に検出することができ、冷却水3や液体金属冷却材2を仕切る壁に亀裂等が生じたことを迅速に検出することができるので、原子炉の運転を迅速に停止することが可能になる。
本発明の熱交換器1では、各ユニット5,7,10の積層数を増減することで熱交換の能力を調整することができる。このため、熱交換器1の設計の自由度を向上させることができる。
また、本発明の熱交換器1では、水側ユニット7をHIP加工で形成すると共に、各ユニット5,7,10を積層させる構造である。このため、熱交換器1本体が堅牢であり、上述したように冷却材2や液体金属冷却材2の漏れを迅速に検出することができることと相俟って、安全に対する信頼性をより一層向上させることができる。
ループ型高速増殖炉は、プール型高速増殖炉に比べて、原子炉容器29を小型に設計できる、熱交換器1が冷却材プールの外にあるためメンテナンス性が良い、などの利点がある。ループ型高速増殖炉では原子炉建屋内に、原子炉容器29とは別に熱交換器1が存在することになる。もんじゅ等で採用されている冷却系が1次〜3次(1次と2次の液体金属冷却系と、3次の水/蒸気系)に分割されているループ型高速増殖炉では、熱交換器として中間熱交換器と蒸気発生器が必要となり、原子炉建屋内には3種類の主要機器(原子炉容器、中間熱交換器、蒸気発生器)およびそれらを結ぶ配管が必要となる。このため、低コストの原子炉になるように設計し難い。これに対して、本発明の熱交換器(蒸気発生器)1を採用したループ型高速増殖炉では、二次液体金属冷却系を削除することができ、主要機器の1つである中間熱交換器を削除することができる。このため、非常に大きなコストダウンが期待できる。
また、本発明の熱交換器1では、単に、二次液体金属冷却系を削除するだけではなく、熱交換器(蒸気発生器)1自体を小型化することもできる。二次液体金属冷却系を削除しても熱交換器1が大型化したのでは、原子炉の経済性を必ずしも追求することはできない。また、原子炉容器29や熱交換器1の下には液体金属冷却材2の漏洩を考慮したガードベッセル36を設置する必要があることからも、熱交換器1の大型化は是非とも避けたい。本発明の熱交換器1は、二次液体金属冷却系の削除と共に小型化も可能にするので、原子炉を経済的なものにすることができる。
さらに、上述のように、冷却水3と液体金属冷却材(液体ナトリウム)2との接触防止に対する信頼性をより一層向上させることができるので、二次液体金属冷却系の削除に加え、ナトリウム水反応対策設備の削除も可能になり、原子炉の小型化と建設コストの削減をより一層きわだったものにすることができる。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、液体金属側ユニット5をHIP加工によって製造しても良い。液体金属側ユニット5では流路4の曲がりが必要となるので、伝熱管として円管を曲げたものを使用する。
図7にHIP加工した液体金属側ユニット5の概念を、図8に液体金属側ユニット5のHIP加工の概念をそれぞれ示す。各伝熱管38を2枚の板材39で挟むことで、液体金属側ユニット5についても上述の水側ユニット7と同様にHIP加工で製造することができる。なお、液体金属側ユニット5についても水側ユニット7と同様に、両側に位置する伝熱管38を不活性ガス8の流路とすることで、冷却水3と液体金属冷却材2との間にさらにもう一重のバウンダリを形成することができる。
なお、液体金属側ユニット5の伝熱管38の材料は、例えば改良9Cr1Mo鋼であることが好ましい。また、板材39の材料も、例えば改良9Cr1Mo鋼であることが好ましい。ただし、伝熱管38及び板材39の材料を改良9Cr1Mo鋼以外のものにしても良い。この場合、安価なこと、伝熱性能、降伏応力、耐食性などの観点からフェライト系耐熱鋼の使用が好ましく、なかでもCr−Mo鋼の使用が好ましく、さらになかでも9Cr1Mo鋼の使用が好ましく、その中でも高温強度に優れる上述の改良9Cr1Mo鋼の使用が特に好ましい。
また、円管を伝熱管として使用しHIP加工した板状ユニットを水側ユニット7とし、矩形管を伝熱管として使用しHIP加工した板状ユニットを液体金属側ユニット5とすることも可能である。即ち、円管をHIP加工したユニットと矩形管をHIP加工したユニットについて、中を流れる流体を入れ替えることも可能である。その場合、円管をHIP加工したユニットが水・蒸気系となって流路の曲がりを有し、矩形管をHIP加工したユニットが液体金属冷却系となって流路が直管となる。円管を蒸気管とする場合、円管内熱伝達、圧損式など、これまでの工学的知見を用いることが可能であるというメリットが生じる。
また、上述の説明では、蒸気を発生させる蒸気発生器を例に説明していたが、その他の熱交換器、過熱器等に適用しても良いことは勿論である。
また、上述の説明では、伝熱管6として横断面形状が矩形状のものを使用していたが、横断面形状が矩形状の伝熱管6に限るものではない。例えば、横断面形状が三角形の伝熱管6や六角形の伝熱管6等を使用しても良く、その他の形状の伝熱管6を使用しても良い。なお、横断面形状が三角形の伝熱管6を使用する場合には、三角形の底辺と頂点を上下互い違いに並べることが好ましい。
本発明の熱交換器1が小型化できることを確認するために設計を行った。小型炉用に設計した交換熱量10MWのヘリカルコイル型2重管蒸気発生器との比較結果を表1に示す。本発明の熱交換器1については、4つのケースについて設計を行った。なお、表1では、本発明の熱交換器1を新型SGと記載した。
なお、上述のヘリカルコイル型2重管熱交換器(SG)の場合、長期に亘る継続運転を目標としているため、2重管SGでありながら二次液体金属冷却系に設置されており、ナトリウム入口/出口温度は475℃/310℃での条件とした。また、水・蒸気系の条件は給水温度210℃、蒸気出口温度453℃、蒸気圧力10.7MPaとした。
ここで、「SGサイズ」は、熱交換器本体17の幅×積層厚さのサイズである。「伝熱高さ」は、熱交換器本体17の高さである。「ガス層空隙率」は、ガス側ユニット10の波板26部分のポロシティで、例えば60%の場合、その空間の容積中に40%の構造材を考慮する(熱通過率を構造材の6割減と仮定する)ことを意味する。「容積」は、(SGサイズ)×(伝熱高さ)である。
表1からも明らかなように、本発明の熱交換器1はいずれのケースもヘリカルコイル型2重管熱交換器に比較して非常にコンパクトに設計できることが分かった。これは、ヘリカルコイル型2重管熱交換器では最小巻き径以下に伝熱管を巻くことができず、巻いた伝熱管(コイル)の中央に無駄空間が存在すること、伝熱管をコイル状に巻いた場合には管と管の間にギャップがあるが、本発明の熱交換器1ではこの様なギャップが無く、いわば伝熱管6を束ねた様な形となるため、無駄な空間の発生を抑えることができること、などの理由によるものである。
このように本発明の熱交換器1はコンパクトであることに加え、冷却水3と液体金属冷却材2との間に少なくとも2重のバウンダリを持つ安全性の高い熱交換器であり、ループ型高速増殖炉の二次液体金属冷却系の削除を可能にすると共に、高速増殖炉の建設コストの低減にも有効である。
改良9Cr1Mo鋼によるHIP加工については、これまで知見がない。そこで、改良9Cr1Mo鋼製の水側ユニット7及び液体金属側ユニット5の成立性を確認するために、改良9Cr1Mo鋼を対象に矩形管のHIP接合試験を行った。実機と同様に矩形管41を密着させて並べ、上下面を平板42で、左右を角棒43でそれぞれ挟み込む形状を模擬した模擬試験体の製作(図10)および、引張り試験片の製作からなる。HIP保持温度900℃から1050℃の範囲の模擬試験体の製作では、以下の結果が得られ、その製作性が確認された。
(1)温度が上昇するにつれ、材料の境界面が不明瞭となり、接合性が向上する。
(2)950℃以上の温度では、矩形管外面角部が平面と接する部分に有意な空隙は見られず、矩形管と平面の良好な接合性が確認された。なお、HIP保持温度1050℃の試験片の接合面の様子を図11に示す。
(3)全ての試験体においても外面に有意な変形が見られなかった。
(4)ビッカース硬さ試験において、950℃以上の温度では、接合面における有意な強度の低下が見られなかった(図12)。なお、図12(a)において○印は試験位置を示しており、左の○印から順に、接合面からの距離が−1mm、−0.5mm、0mm、0.5mm、1mmを示している。
また引張り試験片については、900℃から1150℃の範囲の試験を行った。その結果を表2に示す。
900℃から1050℃の範囲の試験片は、そのサイズが引張り試験機の取り付け部より小さかったため、試験片に「つかみ部」を溶接しているが、引張り試験においては、すべての温度範囲(900℃から1050℃)で「つかみ部」との溶接部が切断するという結果となった。即ち、水側ユニット7や液体金属側ユニット5に相当する試験片自体のHIP接合の部分の破断はなかった。破断時の引張り力は、950℃の試験片2を除いて700N/mm以上である。また、1100℃と1150℃の試験片については「つかみ部」の溶接が不要であり、接合部の引張強さとして1200N/mm程度が確認された。これは同様の環境下においた母材とほぼ同等の強度であった。また延性についても、特に1150℃の試験片では接合面の完全な消失を確認し、同様の環境下に置いた母材と同等であることが確認された。これらのことから、改良9Cr1Mo鋼のHIPでの接合性を確認するとともに、製作性の確認と併せ、改良9Cr1Mo鋼を用いた水側ユニット7及び液体金属側ユニット5の成立性を裏付けることができた。
これらの知見により、改良9Cr1Mo鋼を用いて、HIPによる熱交換器1の製作が可能であることを確認した。
本発明を適用した液体金属冷却炉用熱交換器の実施形態の一例を概念的に示す分解斜視図である。 各ユニットを積層した状態を示す断面図である。 水側ユニットを示す斜視図である。 液体金属側ユニットを示す斜視図である。 水側ユニットの製造を概念的に示し、(A)は加圧しながら加熱する前の状態を示す斜視図、(B)は加熱しながら加熱した後の状態を示す斜視図である。 本発明の熱交換器を蒸気発生器として採用したループ型高速増殖炉を示す概念図である。 本発明を適用した液体金属冷却炉用熱交換器の他の実施形態を示し、HIP加工した液体金属側ユニットの正面図である。 図7の液体金属側ユニットの製造を概念的に示し、(A)は伝熱管と板材を組み付ける様子を示す図、(B)は伝熱管と板材を組み付けた後の様子を示す図である。 従来のプレートフィン熱交換器の要部を示す斜視図である。 HIP接合試験における改良9Cr1Mo鋼の模擬試験体を示し、(a)はHIP前の状態を示す写真、(b)はHIP後の状態を示す写真である。 HIP接合面を示し、(a)は接合面の写真位置を説明するための図、(b)は(a)の円bで示す位置を375倍に拡大して示す写真である。 ビッカース硬さ試験の結果を示し、(a)は試験位置を説明するための図、(b)は試験結果を示す図である。
符号の説明
1 熱交換器(蒸気発生器)
2 液体金属冷却材
3 冷却水
4 液体金属冷却材2の流路
5 液体金属側ユニット
6 冷却水3が流れる伝熱管
7 水側ユニット
9,18,19 不活性ガスの流路
10 ガス側ユニット
11 液体金属入口ヘッダー
12 液体金属出口ヘッダー
13 給水ヘッダー
14 排水ヘッダー
15 ガス流入ヘッダー
16 ガス排出ヘッダー
17 熱交換器本体
38 液体金属冷却材の流路となる伝熱管

Claims (5)

  1. 液体金属冷却材と冷却水との間で熱交換を行う液体金属冷却炉用熱交換器であって、前記液体金属冷却材の流路を有する板状の液体金属側ユニットと、前記冷却水が流れる伝熱管を並列に密着させて板状に纏めた水側ユニットと、不活性ガスの流路を有する板状のガス側ユニットと、前記液体金属側ユニットの流路に接続された液体金属入口ヘッダー及び液体金属出口ヘッダーと、前記水側ユニットの伝熱管に接続された給水ヘッダー及び排水ヘッダーと、前記ガス側ユニットの流路に接続されたガス流入ヘッダー及びガス排出ヘッダーを備え、前記水側ユニットは前記伝熱管を1層に並べて密着状態で加圧しながら加熱して接合したものであり、前記液体金属側ユニットと前記水側ユニットを、前記ガス側ユニットを挟んで交互に重ね密着させて熱交換器本体を構成し、前記各ヘッダーは前記熱交換器本体の外面に取り付けられており、前記液体金属側ユニットの前記給水ヘッダー又は排水ヘッダーに隣接する部分、及び前記水側ユニットの前記液体金属入口ヘッダー又は液体金属出口ヘッダーに隣接する部分には不活性ガスの流路が設けられていることを特徴とする液体金属冷却炉用熱交換器。
  2. 前記水側ユニットの伝熱管の材料は改良9Cr1Mo鋼であることを特徴とする請求項1記載の液体金属冷却炉用熱交換器。
  3. 前記液体金属側ユニットは前記液体金属冷却材の流路となる伝熱管を並列に1層に並べて密着状態で加圧しながら加熱して接合したものであることを特徴とする請求項1又は2記載の液体金属冷却炉用熱交換器。
  4. 前記液体金属側ユニットの伝熱管の材料は改良9Cr1Mo鋼であることを特徴とする請求項3記載の液体金属冷却炉用熱交換器。
  5. 前記冷却水は前記水側ユニットの伝熱管内で加熱されて蒸気に変化することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の液体金属冷却炉用熱交換器。
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