JP4427941B2 - 点火コイル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は点火コイル、より詳しくはエンジンのプラグホールに直接搭載されるスティックタイプの点火コイルに関する。
【0002】
【従来の技術】
図8に、点火コイル100の積層コア101付近の軸直方向断面図を示す。図に示すように、積層コア101は丸棒状を呈している。積層コア101は、短冊状の薄い珪素鋼板102が径方向に多数枚積層され、形成されている。積層コア101の外周面には、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなるテープ103が巻装されている。テープ103の外周側には、積層コア101と同軸状に円筒状の二次スプール104が配置されている。二次スプール104内周面とテープ103外周面との間には、隙間105が区画されている。二次スプール104の外周面には二次巻線106が巻装されている。上記各部材は、点火コイル100の外殻であるハウジング(図略)内に収納されている。
【0003】
ハウジング内には、エポキシ樹脂が注入されている。エポキシ樹脂は、ハウジング内の各部材間に充填され硬化する。エポキシ樹脂は、各部材間の絶縁を確保している。また、エポキシ樹脂は各部材を固定している。隙間105にも、エポキシ樹脂107aが充填されている。図9に、図8のI−I断面図を示す。図に示すように、二次巻線106と二次スプール104外周面との隙間にも、エポキシ樹脂107bが浸透している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エポキシ樹脂と二次巻線106と二次スプール104との線膨張係数は、それぞれ異なる。低温時においては、二次巻線106の線膨張係数は、二次スプール104の線膨張係数およびエポキシ樹脂の線膨張係数よりも小さい。このため、図9に示す二次スプール104およびエポキシ樹脂107aは、縮径方向に収縮変形しようとする。これに対し、二次巻線106はほとんど変形しない。しかしながら、二次巻線106と二次スプール104とは、隙間に介在するエポキシ樹脂107bにより連結されている。このため、二次スプール104およびエポキシ樹脂107aは縮径方向に収縮変形したくても、二次巻線106により外周側から引き止められてしまう。すなわち、二次巻線106よりも内周側に配置される部材には、外周側から熱応力が加わる。図8中矢印で示すように、具体的には熱応力109は周方向に作用する。
【0005】
一方、積層コア101は、珪素鋼板102が多数枚積層され、形成されている。積層された各々の珪素鋼板102は、エンジンの冷熱負荷による熱応力のため、微小量だけ反り変形する。このため、仮に、積層コア101が剥き出しでエポキシ樹脂107aに当接していると、この珪素鋼板102の反り変形により、積層コア101は、図8中点線110で誇張して示すように、楕円状に変形する。そして、この積層コア101の楕円変形により、図8中矢印で示すように、エポキシ樹脂107aに対して楕円長軸方向に熱応力111が加わる。この楕円長軸方向の熱応力111と前記周方向の熱応力109とが相俟って、エポキシ樹脂107aには大きな熱応力が加わることになる。
【0006】
また、仮に、積層コア101が剥き出しでエポキシ樹脂107aに当接していると、前記周方向の熱応力109により、珪素鋼板102の尖った角部108を起点にしてクラックが発生するおそれがある。
【0010】
本発明の点火コイルは、上記課題に鑑みて完成されたものである。したがって、本発明は、肉厚が最適化された熱応力緩和部材を備える点火コイルを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(1)上記課題を解決するため、本発明の点火コイルは、ハウジングと、該ハウジング内のほぼ中央に配置され、磁性板材を積層してなる棒状の中心コアと、線膨張係数が25×10 −6 /℃以下であり、且つ該中心コアの外周面を覆い、エンジンの冷熱負荷に起因して前記中心コアが前記磁性板材の積層方向を長軸とした楕円状に熱変形する際に発生する熱応力を緩和する熱応力緩和部材と、隙間を隔てて該熱応力緩和部材の外周側に配置された筒状のスプールと、該隙間に充填され硬化する樹脂絶縁材と、を備えてなる点火コイルであって、該熱応力緩和部材の肉厚は、肉厚が厚くなるにしたがって前記樹脂絶縁材に加わる前記熱応力が比例的に減少する比例関係が成立しなくなるとともに前記熱応力が飽和する、0.1mm以上に設定されることを特徴とする。
【0012】
図1に、熱応力緩和部材の肉厚と、樹脂絶縁材に加わる熱応力との関係を概念的にグラフで示す。図に示すように、肉厚が薄い場合、肉厚と熱応力緩和量とは比例する。しかしながら、肉厚がある厚さTを超えると、この比例関係は成立しなくなる。すなわち、熱応力緩和量が飽和値Sに達してしまう。これは、熱応力緩和部材の肉厚が厚さTになると、中心コア(前出の図8においては積層コア101)の熱変形の大分量が抑制されてしまうからである。そして、厚さT以上に熱応力緩和部材の肉厚を厚くしても、中心コアの熱変形の抑制量は、ほとんど変わらないからである。
【0013】
本発明の点火コイルによると、この飽和値Sまで熱応力を緩和できるように、熱応力緩和部材の肉厚が設定されている。したがって、熱応力緩和部材外周面とスプール内周面との間に区画される隙間(以下、適宜、単に「隙間」と略称する。)に介在する樹脂絶縁材に加わる熱応力は、ほぼ、前出の図8に示す周方向の熱応力109のみとなる。すなわち、複数の点火コイル間で、隙間の樹脂絶縁材に加わる熱応力は、ほぼ一定になる。このため、隙間の樹脂絶縁材の寿命が複数の点火コイル間でばらつくのを抑制することができる。ひいては、点火コイルの寿命が複数の点火コイル間でばらつくのを抑制することができる。したがって、点火コイルの製品管理が容易になる。
【0014】
また、飽和値Sは、言わば熱応力緩和部材により熱応力を緩和できる最大値である。このため、本発明の点火コイルによると、隙間の樹脂絶縁材に加わる熱応力の絶対値が比較的小さくなる。したがって、隙間の樹脂絶縁材の寿命自体が長くなる。ひいては、点火コイルの寿命自体が長くなる。
【0015】
好ましくは、熱応力緩和部材の肉厚を厚さTに設定する方がよい。こうすると、肉厚を厚さTよりも厚く設定する場合と比較して、同等の熱応力緩和量を確保しつつ熱応力緩和部材の使用量を少なくすることができる。このため、熱応力緩和部材に要するコスト、ひいては点火コイルの製造コストを削減できる。また、点火コイルの外周径を小径化することができる。
【0016】
なお、本発明において「熱応力緩和部材の肉厚」とは、熱応力緩和部材全体の径方向厚さをいう。例えば、熱応力緩和部材が一層のテープから形成されている場合は、テープ自体の肉厚が熱応力緩和部材の肉厚に該当する。また、例えば、熱応力緩和部材が合計四層のテープから形成されている場合は、テープ四層分の肉厚が熱応力緩和部材の肉厚に該当する。
【0017】
また、本発明における「巻装」には、中心コアに熱応力緩和部材が直接巻き付けられる場合は勿論、予め巻き付け後の形状が付与された熱応力緩和部材を中心コアに配置する場合も含まれる。
【0018】
(2)前記中心コアは、磁性板材が積層された積層コアである。中心コアを積層コアにすると、前出の図8に示すように、積層コア101が楕円状に熱変形する。このため、特に積層コアを持つ点火コイルは、隙間の樹脂絶縁材に加わる熱応力が大きくなる。したがって、積層コアを持つ点火コイルにおける隙間の樹脂絶縁材の寿命は、特にばらつきやすい。
【0019】
この点、本構成のように、熱応力緩和部材の肉厚を、飽和値まで熱応力を緩和可能な厚さに設定すると、樹脂絶縁材の寿命のばらつきを小さくすることができる。
【0020】
また、上述したように、積層コアを持つ点火コイルは、本来的に積層コアが樹脂絶縁材に加える熱応力が大きい。したがって、本構成によると、この大きな熱応力を効果的に抑制することができる。すなわち、前出の図1に示す熱応力緩和量が大きくなる。このように、本発明の点火コイルは、積層コアを持つ点火コイルとして具現化するのに特に適している。
【0021】
(3)前記熱応力緩和部材は、線膨張係数25×10−6/℃以下の材料で、例えばポリエチレンテレフタレート製であり、該熱応力緩和部材の肉厚は、0.1mm以上(粘着剤は除く)に設定されている構成とする方がよい。
【0022】
つまり、この構成は、熱応力緩和部材をPETにより形成するものである。そして、熱応力緩和部材の肉厚を0.1mm以上に設定するものである。熱応力緩和部材をPET製としたのは、PETは線膨張係数が25×10-6/℃以下で比較的小さいからである。線膨張係数が小さいと、エンジンの冷熱負荷による熱変形量が小さい。このため、本構成によると、中心コアの熱変形を効果的に抑制することができる。すなわち、中心コアが隙間の樹脂絶縁材に加える熱応力を、効果的に緩和することができる。
【0023】
また、熱応力緩和部材の肉厚を0.1mm以上に設定したのは、0.1mm未満だと、未だ熱応力緩和量が飽和値に達していないからである。言い換えると、肉厚0.1mmが前出の図1に示す厚さTに相当するからである。したがって、本構成によると、熱応力緩和量の最大値である飽和値Sを確保することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の点火コイルの実施の形態について説明する。
【0025】
(1)第一実施形態
まず、本実施形態の点火コイルの構成について説明する。図2に本実施形態の点火コイルの軸方向断面図を示す。また、図3に本実施形態の点火コイルの中心コア部付近の軸直方向断面図を示す。
【0026】
点火コイル1は、エンジンブロックの上部において、気筒毎に形成されたプラグホール(図略)内に収納されている。また、点火コイル1は、後述するように、点火プラグ(図略)と図中下側において接続されている。
【0027】
図2に示すように、点火コイル1は、ハウジング2を備えている。このハウジング2は、樹脂製であり上方に向かって拡径する段付円筒状を呈している。ハウジング2の拡径した上端部には、広口部20が形成されている。また広口部20の側壁の一部には、切り欠き窓21が形成されている。
【0028】
ハウジング2の内部には、中心コア部5と一次スプール3と一次巻線30と二次スプール4と二次巻線40とコネクタ部6とイグナイタ65とが、収納されている。
【0029】
このうち中心コア部5は、積層コア54と弾性部材50とテープ52とからなる。図3に示すように、積層コア54は、幅の異なる短冊状の珪素鋼板540を径方向に多数枚積層して形成されている。なお、珪素鋼板540は、本発明の磁性板材に含まれる。図2に示すように、積層コア54は、棒状を呈している。弾性部材50は、シリコンゴム製であって、円柱状を呈している。弾性部材50は、積層コア54の上下端に合計二つ配置されている。図3に示すように、テープ52は、PET製であって積層コア54の外周面に巻装されている。なお、テープ52は、本発明の熱応力緩和部材に含まれる。テープ52については、後で詳しく説明する。
【0030】
図2に示すように、二次スプール4は、樹脂製であって有底円筒状を呈している。なお、二次スプール4は、本発明のスプールに含まれる。二次スプール4は、中心コア部5と同軸的に、かつ中心コア部5の外周側隣りに配置されている。図3に示すように、テープ52と二次スプール4との間には、円筒状の隙間9が区画されている。二次巻線40は、二次スプール4の外周面に巻回されている。
【0031】
図2に示すように、一次スプール3は、二次スプール4と同軸的に、かつ二次スプール4の外周側隣りに配置されている。一次スプール3は、樹脂製であって円筒状を呈している。一次巻線30は、一次スプール3の外周側に巻回されている。一次巻線30の外周側には、外周コア(図略)が配置されている。外周コアは、一枚の長方形状の珪素鋼板が丸められ形成されている。すなわち、外周コアは、軸方向にスリットの入った円筒状を呈している。
【0032】
エポキシ樹脂8は、ハウジング2内に配置された上記部材間に介在している。このエポキシ樹脂8は、エポキシプリポリマと硬化剤とを、前記広口部20から真空引きしたハウジング2内に注入することにより、上記部材間に浸透し硬化する。
【0033】
コネクタ部6は、ハウジング2の広口部20に配置されている。コネクタ部6は、角筒部60と台座部61とを備える。角筒部60は、切り欠き窓21からハウジング2外方に突出して配置されている。台座部61は、板状であって、広口部20のほぼ中央に配置されている。イグナイタ65は、パワートランジスタや電気回路などがモールド樹脂により覆われ形成されている。イグナイタ65は、台座部61の上端面に搭載されている。
【0034】
高圧タワー部7は、ハウジング2の下方に配置されている。高圧タワー部7は、タワーハウジング70と高圧ターミナル71とスプリング72とプラグキャップ73とを備えている。タワーハウジング70は、樹脂製であって円筒状を呈している。高圧ターミナル71は、タワーハウジング70の内周側上方に配置されている。高圧ターミナル71は、金属製であって下方に開口するカップ状を呈している。高圧ターミナル71は、二次巻線40に電気的に接続されている。スプリング72は、金属製であって螺旋状を呈している。スプリング72の上端は、高圧ターミナル71の上底壁下面に止着されている。スプリング72には、点火プラグ(図略)が弾接している。プラグキャップ73は、ゴム製であって円筒状を呈している。プラグキャップ73は、タワーハウジング70の下端部に環装されている。プラグキャップ73の内周側には、点火プラグが圧入されている。
【0035】
次に、本実施形態の点火コイルの通電時の動きについて説明する。まず、エンジン制御ユニットからの制御信号が、図2に示すコネクタ部6およびイグナイタ65を介して、一次巻線30に伝達される。続いて、この制御信号による自己誘導作用で、一次巻線30に電圧が発生する。それから、この電圧が、一次巻線30と二次巻線40との相互誘導作用により、昇圧される。そして、二次巻線40に高電圧が発生する。その後、二次巻線40に発生した高電圧は、高圧ターミナル71とスプリング72とを介して、点火プラグに伝達される。最後に、この伝達された高電圧により、点火プラグのギャップに火花が発生する。
【0036】
次に、本実施形態の点火コイルのテープについて説明する。図3に示すテープ52は、PET製であり薄膜状を呈している。テープ52は、積層コア54外周面に、合計四層巻き付けられている。テープ52の肉厚すなわち四層巻き全体の層厚は、後述するFEM解析の結果から、厚さt=0.1mmに設定してある。
【0037】
次に、テープ52の積層コア54に対する巻装方法について説明する。図4に、本実施形態の点火コイル組み付け時におけるテープの巻装方法を示す。なお、珪素鋼板は省略して示す。図に示すように、テープ52の軸方向長さは、積層コア54の軸方向長さとほぼ等しく設定されている。また、テープ52一枚の厚さは0.025mmである。上述したように、このテープ52は、積層コア54の外周面に、合計四層巻き付けられている。
【0038】
次に、本実施形態の点火コイルのテープの肉厚に対して行ったFEM解析の結果について説明する。なお、FEM解析の演算には、Design Space(サイバーネットシステム(株)製)を用いた。
【0039】
図5に、解析により得られたテープの肉厚およびテープの層数と、図3の隙間9のエポキシ樹脂8aに加わる熱応力との関係をグラフで示す(図1参照)。図に示すように、肉厚が0.1mm(層数4層)未満の場合、肉厚が厚くなるにしたがって熱応力は比例的に減少する。一方、肉厚が0.1mm以上の場合、肉厚が厚くなっても熱応力はほとんど減少しない。
【0040】
FEM解析から、熱応力緩和量は、肉厚が0.1mmになると飽和することが判った。そして、このときのエポキシ樹脂の熱応力つまり熱応力緩和量の飽和値は、75.1MPaであることが判った(エポキシ厚さは0.4mm)。また、熱応力緩和量は、外挿線(図中、点線で示す。)を引いて得られる肉厚0mmのときのエポキシ樹脂の熱応力78.5MPaと、飽和値75.1MPaと、の差から3.4MPaであることが判った。FEM解析の結果から、図3に示すテープ52は、線膨張係数が25×10-6/℃以下で、ヤング率は6000MPa以下で、肉厚は厚さt=0.1mmに設定した。
【0041】
次に、本実施形態の点火コイルの効果について説明する。本実施形態の点火コイル1によるとエポキシ樹脂8aに加わる熱応力は、ほぼ、前出の図8に示す周方向の熱応力109のみとなる。すなわち、複数の点火コイル1間で、エポキシ樹脂8aに加わる熱応力は、ほぼ一定になる。このため、エポキシ樹脂8aの寿命が複数の点火コイル1間でばらつくのを抑制することができる。ひいては、点火コイル1の寿命が複数の点火コイル1間でばらつくのを抑制することができる。したがって、点火コイル1の製品管理が容易になる。
【0042】
また、飽和値75.1MPaは、言わばテープ52により熱応力を緩和できる最大値である。このため、本実施形態の点火コイル1によると、エポキシ樹脂8aに加わる熱応力の絶対値が比較的小さくなる。したがって、エポキシ樹脂8aの寿命自体が長くなる。ひいては、点火コイル1の寿命自体が長くなる。
【0043】
また、本実施形態の点火コイル1によると、図5に示すように、テープ52の肉厚を、例えば0.15mmとした場合と比較して、肉厚が2/3でありながら同等の熱応力緩和量を確保することができる。すなわち、肉厚を0.1mmよりも厚く設定する場合と比較して、同等の熱応力緩和量を確保しつつテープ52の使用量を少なくすることができる。このため、テープ52に要するコスト、ひいては点火コイル1の製造コストを削減できる。また、点火コイル1の外周径を小径化することができる。
【0044】
(2)第二実施形態
本実施形態と第一実施形態との相違点は、テープの巻装方法のみである。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0045】
図6に、本実施形態の点火コイル組み付け時におけるテープの巻装方法を示す。なお、図4と対応する部位については同じ記号で示す。図に示すように、テープ52は、積層コア54の外周面に配置する前から、巻装後の形状すなわち四層巻き筒状を呈している。図中矢印で示すように、この筒状のテープ52の内周側に積層コア54を挿入することにより、積層コア54の外周面にテープ52を配置する。
【0046】
本実施形態のように、積層コア54外周面に直接テープ52を巻き付けるのではなく、予め巻き付け後の形状を呈するテープ52を積層コア54外周面に配置する場合も、本発明にいう「巻装」に含まれる。本実施形態によると、テープ52の内周側に積層コア54を挿入するだけで、テープ52を積層コア54に配置することができる。このため、テープ52の巻装作業が容易になる。
【0047】
(3)第三実施形態
本実施形態と第一実施形態との相違点は、テープの軸方向長さのみである。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0048】
図7に、本実施形態の点火コイル組み付け時におけるテープの巻装方法を示す。なお、図4と対応する部位については同じ記号で示す。図に示すように、テープ52の軸方向長さは、積層コア54の軸方向長さよりも短く設定されている。すなわち、テープ52は幅狭である。テープ52は、積層コア54の外周面に螺旋状に巻き付けられる。本実施形態によると、積層コア54外周面の軸方向において、テープ52の層数すなわち肉厚を、自在に調整することができる。
【0049】
(4)その他
以上、本発明の点火コイルの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0050】
例えば、上記実施形態においては、二次スプール4を内周側に、一次スプール3を外周側に、それぞれ配置したが、この配置は逆であってもよい。この場合は、一次スプールが本発明の「スプール」に該当する。
【0051】
また、テープ52の層数や一枚あたりの肉厚は、特に限定しない。テープ52全層分の肉厚が、エポキシ樹脂8に加える熱応力を飽和値まで緩和可能な厚さ(上記実施形態においては0.1mm以上)に設定されていればよい。また、テープ52を形成する材料も、積層コア54の熱変形を抑制できる程度の線膨張係数25×10-6/℃以下を有する材料であれば、特に限定しない。また、上記実施形態においては、中心コアとして多数の珪素鋼板540からなる積層コア54を配置したが、中心コアとして円柱状の一体物の磁性材を配置してもよい。また、中心コアとして、六角柱状の磁性線材を束ねて円柱状としたものを配置してもよい。
【0052】
【発明の効果】
本発明によると、中心コアの外周面を覆う熱応力緩和部材の線膨張係数は、25×10 −6 /℃以下であり、且つ該熱応力緩和部材の肉厚は、0.1mm以上であるので、熱応力緩和部材の肉厚を最適化できると共に、中心コアを外周側から規制することで、中心コアの楕円変形を効果的に抑制することができる。すなわち、中心コアが隙間の樹脂絶縁材に加える熱応力を、効果的に緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 熱応力緩和部材の肉厚と樹脂絶縁材に加わる熱応力との関係を示すグラフである。
【図2】 第一実施形態の点火コイルの軸方向断面図である。
【図3】 第一実施形態の点火コイルの中心コア部付近の軸直方向断面図である。
【図4】 第一実施形態の点火コイル組み付け時におけるテープの巻装方法を示す図である。
【図5】 FEM解析により得られたテープの肉厚およびテープの層数とエポキシ樹脂に加わる熱応力との関係を示すグラフである。
【図6】 第二実施形態の点火コイル組み付け時におけるテープの巻装方法を示す図である。
【図7】 第三実施形態の点火コイル組み付け時におけるテープの巻装方法を示すグラフである。
【図8】 点火コイルの積層コア付近の軸直方向断面図である。
【図9】 図8のI−I断面図である。
【符号の説明】
1:点火コイル、2:ハウジング、20:広口部、21:切り欠き窓、3:一次スプール、30:一次巻線、4:二次スプール(スプール)、40:二次巻線、5:中心コア部、50:弾性部材、52:テープ(熱応力緩和部材)、54:積層コア、540:珪素鋼板(磁性板材)、6:コネクタ部、60:角筒部、61:台座部、65:イグナイタ、7:高圧タワー部、70:タワーハウジング、71:高圧ターミナル、72:スプリング、73:プラグキャップ、8:エポキシ樹脂(樹脂絶縁材)、8a:エポキシ樹脂(樹脂絶縁材)、9:隙間、S:飽和値、T:厚さ、t:厚さ。
Claims (2)
- ハウジングと、
該ハウジング内のほぼ中央に配置され、磁性板材を積層してなる棒状の中心コアと、
線膨張係数が25×10−6/℃以下であり、且つ該中心コアの外周面を覆い、エンジンの冷熱負荷に起因して前記中心コアが前記磁性板材の積層方向を長軸とした楕円状に熱変形する際に発生する熱応力を緩和する熱応力緩和部材と、
隙間を隔てて該熱応力緩和部材の外周側に配置された筒状のスプールと、
該隙間に充填され硬化する樹脂絶縁材と、
を備えてなる点火コイルであって、
該熱応力緩和部材の肉厚は、肉厚が厚くなるにしたがって前記樹脂絶縁材に加わる前記熱応力が比例的に減少する比例関係が成立しなくなるとともに前記熱応力が飽和する、0.1mm以上に設定されることを特徴とする点火コイル。 - 前記熱応力緩和部材は、ポリエチレンテレフタレート製である請求項1に記載の点火コイル。
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